令和4年度(2022年度)第2回デジタル庁の政策評価に関する有識者会議
概要
- 日時:令和4年(2022年)7月21日(木)10時00分から11時46分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 委員紹介
- 議事
- 政策評価と行政事業レビューとの連携について
- 令和4年度デジタル庁政策評価事前分析表の作成について
- 総合評価方式について
- デジタル庁におけるEBPM の推進
- その他(今後の予定)
- 意見交換
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/83KB)
- 資料1 政策評価と行政事業レビューとの連携について(PDF/79KB)
- 資料2 デジタル庁における行政事業レビューについて(PDF/1,023KB)
- 資料3 令和4年度デジタル庁政策評価事前分析表の作成について(PDF/221KB)
- 資料4 総合評価方式について(PDF/139KB)
- 資料5 デジタル庁におけるEBPM の推進について(PDF/254KB)
- 資料6 今後の主な予定(案)(PDF/73KB)
- 議事概要(PDF/162KB)
参考資料
議事概要
日時
令和4年(2022年)7月21日(水)10時00分から11時46分まで
場所
オンライン開催
出席者
委員
- 岩﨑 尚子(早稲田大学電子政府・自治体研究所 教授)
- 神林 龍(一橋大学経済学研究所 教授)
- 笹島 宗彦(兵庫県立大学情報科学研究科 教授)
- 佐藤 一郎(国立情報学研究所 教授)
- 重川 純子(埼玉大学教育学部 教授)
デジタル庁
- 冨安 泰一郎(戦略・組織グループ グループ長)
- 山本 和徳(戦略・組織グループ 次長)
- 吉田 宏平(戦略・組織グループ 参事官)
事務局
- 大平 利幸(戦略・組織グループ 企画官)
- 甘利 英治(戦略・組織グループ 参事官補佐)
議事要旨
主な意見は以下のとおり。
- 冒頭の挨拶でいわゆる無謬性神話からの脱却というお話があったが、恐らくこういった政策評価というのは、そもそもNew Public Management、NPMの考え方から出発していて、NPMというのは基本的に行政の中において、かなり民間企業と似たような分野に関してどう扱うかというところが重要で、民間と重なる部分というのは、当然失敗をすることがあり得るわけだから、政策評価という制度そのものが、行政活動においても失敗をすることがあり得る、いわゆる無謬性というものにこだわらない、また、こだわらなくていいようにするための仕組みという新しい行政の考え方を、この場で作っていければいいのかなと思っている。
- 政策評価をするためには、政策評価に向いた指標であるかどうかというところが大切。
例えば、アウトプットとアウトカムというのが適切にちゃんとなっているかとか、その辺、今のうちにやっておかないと、後で苦労するのかなと考えている。 - 情報システム統一研修運営について、アウトプット指標はいいが、アウトカム指標の集合研修の修了者数はアウトプットと思われる。アウトカムとしては、何かこういうような能力を備えた人材が、こういう仕事をしてくれるというところまで、多分言わないと、アウトカム指標としては適切ではないと思われる。
- マイナンバーに関して、マイナンバーの普及そのものがとても重要だと思う。具体的な安全性を高めるとか、信頼性を高めるようなことは、目標として入っているが、広報に関することは、具体的な指標としては挙がっていない。マイナンバーに対する信頼であるとか、あるいはマイナンバーがどういうことができるかという認知とか、国民の方々がどういうふうにそのこと認識しているかとか、それを高めていくような効果的な広報みたいなことを項目として入れることができないか。
- 情報システム統一研修に関しては、修了者数ということだけではなくて、もともと目指している何か目標があるのだと思うので、そういうことについて、理解度がここまで到達している人たちを何割というような目標設定にすることによって、アウトカム指標といった形にできるのではないかと考える。
- 人材育成という観点から見ると、受講したかしないかというのは、やはりアウトカムと言うことはできない。
- 育成した人材が、どう生産プロセスといいますか、プロダクティビティにどう反映されているのかというのがアウトカムで、情報システム統一研修というのがなされて、デジタル庁で何か開発したりするものの時間的な余裕ができるとか、時間が短くなるとか、あるいは良いものができるとか、かつ、それで政策全体が前に進んで、国民が幸福になるというところまでが、多分、一番大きく見て、一連の政策になるはず。
- 具体的な指標に落とし込めるのかというのが、一つポイントになるが、これはすぐには思いつかないなというところが、現状の課題ではないか。
- 今回、デジタル庁における政策評価の主な施策と事業レビューの対象事業が基本的に一対一になっていているが、本来、政策評価は政策評価と行政事業レビューは目的や点検の視点が異なっており、同じ項目に関しても、違う観点から見る必要があるのではないか。
- マイナンバーの普及は、なかなか難しいところがあって、なぜ難しいのかというと、そのマイナンバーそのものとマイナンバーカードの普及という2つの話がちょっと混在してしまっている。最大の問題点は、他の府省庁との連携で進めていくところがあるので、例えば、マイナンバーなりマイナンバーカードの普及というものをその目標として挙げることは、政府全体としては正しいのですけれども、デジタル庁の政策の評価としては、ちょっと違うというか、ほかの府省庁の施策と関わってしまっているところがあるので、そういう全体の目標をデジタル庁で挙げること自体は否定しないが、同時に、デジタル庁の施策や取り組みに対する指標をちゃんと作っておかなければいけない。
- マイナンバー制度の普及促進に関しては、最近カードの発行率が急激に伸びていると伺っている。今回のこの指標の発行数の増加というのは、推進政策に非常に寄与していると判断でき、評価は高い今後の評価の在り方としては、使い勝手を良くて、国民にとって本当に利便性の高いものかどうかというところを評価していく必要がある。したがって、行政事業レビューシートの評価項目には、マイナポータルを利用し行政手続を行う数とは別に、マイナポータルの利便性とか利活用率とか、住民の使いやすさなどの指標の設定が望まれる。
- 今、政府としては、来年度末までに、全国民に行きわたるようにということで、いろいろな施策を挙げて取り組んでいるところである。総務省ではマイナポイント事業、厚労省は保険証等、今年度末までに、関係省庁一体となってやっている。
- 政策目的とか、アウトプット、アウトカム指標をどの程度まで伸ばしていくのか、どれぐらいの範囲で設定するのかということに関して、事前にきちんと整理をしておいたほうがいい。つまり、デジタル庁の中でできることで限定すると、そのマイナンバーに関する政策の究極的な目標というのは評価ができない。これはもう明らかなので、デジタル庁だけでマイナンバーカードあるいはマイナンバーに関する政策を管理します、あるいはアウトカムを設定して、そこで評価しますということはやらないほうがいい。
- 政策が究極的に目標にしているものと、デジタル庁の中の取り組みとして達成できるものとをちゃんと切り分けて、デジタル庁における政策評価は後者ということをはっきりと言わないと、誤解を招くものと考える。
- 諸外国に比べデジタル化が遅れている現状を踏まえて、世界水準のデジタル社会を実現すると、マイナンバーカードがどれぐらい発行されているかということの関係は、それはもうかなり遠い関係であると認識される。政府全体の計画で、この最終アウトカムと中間アウトカムというのは決められているのであれば、この部分については、デジタル庁は触れない。デジタル庁が貢献できるアウトカムというのを、ここでいう政策評価のアウトカム指標としますというふうに最初に言ってしまって、そこで何が使えるかということを考えるという手順を踏めば、あまり空中戦にならないで済むのではないか。
- 総務省のほうで、こういった横断的な取組については、毎年度テーマを決めてやっていると承知している。マイナンバーについても、カードの普及率とか、そういったところがテーマになるかもしれない。
- アウトカムというのは、本当はこうだねという想定はできるが、それを計る具体の指標がないという問題がある。それで成果指標をもう少し前段階のものや事業の計画数値、空欄等になってしまう場合もあるのではないかと思っている。
- アウトカム指標というのは、やはり政策の究極的な目的に当たりますので、こういう業務データみたいなのから出てくるわけではない。何人の人が利用したかとか、何回利用したかとか、時間がどれぐらいかかったのかというのは、そういう意味では、政策目標の間接的な指標でしかない。結果として、人々が幸せになったのか、あるいは経済活動が活発になったのかというところがアウトカムであるべきと考える。
- アウトカム指標というのは、取りに行かないと駄目なのかもしれない。勝手に出てくる情報ではないので、この行政レビューの場合には、そういう意味ではアウトカムにこだわることなくアウトプットだけを見る、PDCAサイクルを回すというのは基本的にそういうことだと思う。何かセンサーをつけておいて、そのセンサーから出てくる数値を見ながら、うまく回っているかどうかというのをチェックするという、そういう形になると思うので、何人の人が利用したか、何回利用したか、時間が何分かかったのかというのは、重要なアウトプットにはなるのですけれども、それが政策目標を達成しているのかどうかということに関しては、一人一人の利用者に聞くとか、あるいはその地域の行政サービスに対する満足度というのが上がっているのかどうか、その結果として、参入してくる事業者が増えたのかとか、そういうところが多分アウトカムになるのだと思う。
- EBPM的なデータを取りに行くということができないという前提も考えないといけない。
- 結局のところ、測定できる指標だけだと、結局、デジタル庁が、これからやってく施策というものの評価になっているのかどうかというところが、すごい引っかかっているが、いいアイデアがあるわけでもなくて、非常に困るところ。
- アジャイル型の政策形成・評価について、地方の施策を見た場合、多くの場合がウォーターフォール型で進めてきた。無謬性神話の話にもつながると思うが、間違えないでやっていくために、確実に一歩を進めてから、全体確認を取ってもう一歩進めるやり方を、アジャイル型に変更して馴染んでいくかどうか、不安を感じている。
- デジタル庁としては、今回、政策評価の対象となっている施策のうちで、一つはEBPMを実践できればと考えている。
- 今のアウトカム指標の見直しは必要であるが、この施策中では、情報システム統一研修がもっともEBPMに適していると思う。理由は2つあり、1つは人材形成に関するEBPMというものは、既に世界各国でやられていて、ある程度参照できる枠組みがあるというのが1つ。あともう一つが、アウトカムを測定するときに、デジタル庁内でデータでも、何とかなるのではないかと考えている。もう少し、きちんとロジックモデルを設計して、アウトカムをきちんと測定しながら、研修の効果を見定めていくという形で進めれば、EBPMによる評価もできるのではないかと考える。
以上