デジタル臨時行政調査会作業部会 法制事務のデジタル化検討チーム(第5回)
概要
- 日時:令和4年(2022年)5月13日(金)14時15分から16時まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 諸外国の法制事務のデジタル化に関する事例の調査(中間報告)
- 法制事務のデジタル化に向けた工程について
- 法令のデジタル原則への適合性確認プロセス・体制の確立に向けて
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/53KB)
- 資料1 諸外国の法制事務のデジタル化に関する事例の調査(中間報告)(株)ぎょうせい提出)(PDF/3,558KB)
- 資料2 法制事務のデジタル化に向けた工程表について(PDF/919KB)
- 資料3 法令のデジタル原則への適合性確認プロセス・体制の確立に向けて(PDF/995KB)
- 議事録(PDF/346KB)
関連情報
議事録
事務局(柳生): デジタル庁の柳生でございます。今日も御参集いただきまして、ありがとうございます。
時間となりましたので、「法制事務のデジタル化検討チーム」の第5回会合を開催したいと思います。
本日、進行を務めさせていただきます、デジタル庁企画官の柳生でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日も構成員・オブザーバーの皆様方には、オンラインで御参加をいただいているところでございます。
本日は、事務局から諸外国における法制事務のデジタル化の調査を委託しております、株式会社ぎょうせい様にも御出席いただいておりますので、御承知おきいただければと思います。
本日の議事につきましては、ただいま画面に投映させていただいている次第のとおりでございます。大きく分けて三つの議題を用意しているところでございます。
早速ではございますが、議事の一つ目に移らせていただきます。諸外国の法制事務のデジタル化に関する事例調査の中間報告につきまして、株式会社ぎょうせい様より20分程度で御説明をお願いいたします。それでは、ぎょうせい様、よろしくお願いいたします。
株式会社ぎょうせい(石崎氏): 株式会社ぎょうせいの石崎と申します。よろしくお願いいたします。
今回、諸外国の法制事務のデジタル化に関する中間報告をさせていただきます。
私のバックボーンですが、ぎょうせいにおきまして、2005年に内閣法制局の法令審査支援システムの開発、その後、自治体向けの法制事務のシステムの開発、その他、現在では法務省がe-LAWSのデータ整備を行うところの支援業務に関わらせていただいております。
今回、諸外国の調査では、こういう経験を踏まえまして、日本の例と対比する、また、デジタル化の難しいところなどをどういった観点でクリアしていったのかということを見ていきたいと思っております。
今日の報告では、資料ベースで着目点を御紹介させていただきます。まだ比較検討までは至っていないところですが、御容赦いただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
それでは、スライドですが、今回、重点調査を行う対象としまして、EU欧州連合の法令編集ソフトLEOS、法令データベースEUR-Lex、ドイツ連邦共和国のE-Legislation、次のページでデンマークの法令共同制作システムLDe Eunomiaを対象としております。
次のページで、今回、事例の調査を行うに当たりまして、調査項目としていただいているのが、立法支援システムについて、法令の改正方式について、法令の公示方法について、公式法令データの所在・整備主体、民間法令集とのすみ分け、Rules as Code等についてです。
まずEUについて見ていきたいと思います。
EUのLEOSというシステムですけれども、オーナーは欧州委員会の情報総局になっております。
次に開発経緯ですが、これまでの立法に関するプロセスの複雑さ、多くの関係者、デジタルと紙の併存、文書のバージョン管理の問題、こういうところが発端となっております。
8ページに参考までにEUの立法手続についての絵を示しております。
9ページですが、LEOSは2015年からプロトタイプのリリースが始まりまして、現在はInteroperable Europeという組織、公共部門におけるいろんなツールを発行している組織がサポートを行っていると聞いております。
10ページにEUの法令種別を載せております。EUの法令種別は、一次法、二次法と分かれておりまして、一次法のEU基本条約、それ以外の規則以下のところ、二次法の部分がLEOSのサポートの対象となっております。
11ページにLEOSの特徴を挙げております。
LEOSの目的としては、効率的なオンラインコラボレーションということが挙げられております。特徴として、まず連携ということですが、オンライン上で一つのファイルにアクセスし、複数人が同時に編集することが可能です。
構造として、EU法のテンプレートを採用して、EU法の構造に基づいて起草できる。誤りを防止するために可能な限り制約をかけている、ルールに基づいて起案ができるようになっているということです。
また、レビューの機能、インポートの機能、リッチテキストの機能、バージョン管理の機能が搭載されているようです。
参考ですが、LEOSの画面のキャプチャーを出しております。起動時の画面、ファイルのグローバル管理、草案の作成環境、バージョン間の変更の追跡、表やテーブルのコンテンツの編集、ファイル分割の管理、テキストの簡易編集、ここにコメントの機能も入っていると思います。あとは、レビューツールの画面を掲載しております。
20ページです。EU法の改正は、改正を統合というところで、統合という言葉が日本の法制執務の用語で言うところの溶け込ませになろうかと思いますけれども、一部改正法の溶け込ませを欧州議会の立法行為総局というところが行って、最終的に統合された法律案はEUの公式法令データベース、EUR-Lexで公開されるようになっています。
21ページも参考ですが、先ほど紹介をしましたInteroperable Europeという組織について、サービスを一覧にしております。LEOSのほかに、例えば、公共サービスのライフイベントを記述するデータモデルですとか、公共部門におけるITソリューションの共有、公共調達手続で要求される文書のシステム、こういったものを出している機関です。
22ページ、LEOSですが、EU加盟各国で使われるシステムになっておりますので、EU加盟各国のシステムに機能を連携・統合できるように、ブロック構成になっているところが特徴のようです。
また、LEOSのコンテンツの管理については、XML形式でデータを保存し、ストレージで管理をしております。XML形式、現在はAkoma Ntoso V3です。
24ページからは、法令データベース、EUR-Lexについての御紹介です。
EU法の公示は、EU出版局が行うことになっております。
公示の媒体は、2013年末までは紙媒体ですけれども、2014年以降は電子版のみの刊行になっております。
画面イメージについて添付しております。
26ページでは、EUの官報について、法令編、告示編、政府調達情報とセクションが分かれているということを紹介しております。
28ページですが、EU法の公式法令データの所在として、EUでは公式の法令集、紙の法令集はつくられておりませんので、EUR-Lexのホームページ上で閲覧・ダウンロードが可能になっております。
画面のイメージを添付しております。
32ページですが、公式法令集と民間法令集のすみ分けということで、民間の会社からは紙の法令集が出されているということです。幾つかのものが出されています。Sweet&Maxwell社のものが代表的になっております。主に法曹関係、法律の専門家の利用を念頭に置いた提供になっております。
33ページは、Rules as Codeの取組ということで、例を挙げておりますけれども、2012年から欧州委員会規制適性・実績プログラムが実施されています。法令を簡素化し、ターゲットを絞られた形とすることで、企業や個人が遵守しやすい、また、意図した利益を得られることを目的としているということです。
当局、市民が規制や行政の負担を軽減するための提案をすることができ、提案は欧州委員会で分析されます。分析は効率的な選択肢の検討や法の簡素化、不要な規制を取り除く可能性がないかということを評価しています。
これは競争法についての進捗状況ですが、今、検討が行われているのか、法案になったのかという進捗状況が見えるスコアボードが用意されています。
そのほか、EUR-Lexの中の法令の出力形式等々を書いております。五つのフォーマットに出力が可能です。
また、EUR-Lexについては、中に実験的機能のコーナーがありまして、実験機能を試しに入れて、ローンチするという面白い機能があるようです。
以上がEUについてです。
続きまして、ドイツの報告をさせていただきます。
ドイツのE-Legislationプロジェクトですけれども、プロジェクトの背景としては、国家規制管理委員会、NKRが2006年に設置されたということです。
法的規制が国民、企業、行政に及ぼす結果やコストを明確に分かりやすく示し、透明性の向上を保証することを目的とした諮問機関です。
NKRが2019年に立法プロセスの近代化・デジタル化について調査報告書を出しています。日本語に訳しますと、まず内容、次に段落という報告書なのですが、この報告書の中で一貫した立法システムを構築することを提案しています。
プロジェクトの目的は四つありまして、立法プロセスのための新しいIT基盤の構築、システムの不連続性の排除、立法プロセスをシームレスで相互運用可能なものとする、立法プロセスを最新の技術に対応させる、こういうことが載せられています。
次のページにドイツの立法サイクルのフロー、ドイツの条文の精査等々のプロセス、新しいシステムのドイツの立法プロセスの中における位置づけのイメージ図を描いております。
また、ドイツの立法過程について、上院、下院、そのほか、委員会等々の過程を書かせていただいております。
現在、E-Legislationの取組は、2023年までの予定で開発中になっております。
開発中のシステムについて、機能をまとめております。立法用のテキストエディター、素案の電子準備、ガイドラインのライブラリー、規制評価、持続可能性チェックアプリケーション、省内・省間調整という機能が実装されるようです。
46ページですけれども、ドイツの法令の改正も一部改正方式ということで行われています。
改正の内容を読みやすくするために、溶け込ませ、統合という作業を出版社やオンラインプロバイダーが行います。ドイツも日本と同じように溶け込ませを行った法令は、非公式の文書として発行されているところです。ただし、サイトに公開されるものは、統合した、溶け込ませを行った法律及び法規命令になります。
47ページです。法令の公示について、法律または命令は連邦法令公報で公示されます。法律、命令については、公報の紙のものが、現在は正本という扱いになっているようです。
ただ、連邦官報と呼ばれる告示や会社の公告を出すようなものについては、既に電子版に移行しているようです。
49ページですが、公式法令データは、連邦司法省が整備主体となっております。
また、ウェブサイト、インターネット上の法律、データベースのウェブサイトは、連邦司法省がJurisという会社と共同で提供しているということです。
Jurisという会社は、このほかに、有料の会員制のデータベース、JURIS Onlineというものをつくって運営をしています。
次のページにJurisという会社の概要をまとめております。1985年創業ですから、東西にドイツが分かれているときの会社で、連邦政府が出資をしています。
ただ、最後のところに書いてありますが、この会社は、Juris社が中心となった、主要な出版社、販売店、府省を含んだjurisAllianzという出版ネットワークの頂点に立っている会社のようです。
民間法令集とのすみ分けにつきまして書いております。ここにJuris社のサービスも載っておりますし、その他のサービスも幾つか載っております。このほかに民間で運営されるサイト、法律情報サイトもあるようです。
Rules as Code等の取組ですが、ドイツでは立法における文書の形式と構造がガイドラインでしっかり決まっております。立法者はガイドラインに従った立法用のテキストエディターを通じて作業することで、文書内の特定の構造や内容に一貫したラベルをつけて、関係者全員にとって一貫した構造を持たせることができるようになっております。ガイドラインに従った立法のシステム、テキストエディターが既にあるようです。
53ページは、行政サービスの情報管理という取組です。
2017年に制定されたオンラインアクセス法に基づき用いられるFIMという共同情報管理ツールでは,全行政サービスのプロセスをシステムとして標準化することを目標にしています。例えばこれによって、ある州の行政サービスのコンテンツをほかの州で利用可能とする。また、先ほどのまず内容、次に段落という報告書の中では、現在の行政サービスのデジタル化だけではなくて、将来的には規制の影響評価など、事前に法的シミュレーションを可能にすることが期待されると指摘されています。
以上がドイツの報告になります。
3例目はデンマークです。
デンマークにおける立法プロセスは、法案の作成、議会での法案の検討、議会における3回の読み取りと修正及び採択、公式官報での公表、公式法律情報データベースへの反映という流れになっておりまして、以下、このようなシステム構成でできております。
エディターとしてLex Dania editor Eunomia、ワークフローとしてLex Dania Klient、官報Lovtidende、公式法律情報データベースRetsinformationという構成になっております。
Lex Dania editor EunomiaとLex Dania Klientにつきまして、それぞれどういう役割かというところを図にしております。Lex Dania editor Eunomiaは、法案の起草、修正、成立を担う。Lex Dania Klientは、法案の提出ですとか、審議、国王の裁可というワークフロー的なことを担うという位置づけになっています。
Lex Daniaの所管は、法務省の下の市民局です。
また、運用保守事業者として、Schultz社という会社が挙げられています。
利用者は、議会から省庁までに及んで、幅広いところでこのシステムが使われています。
最後の行ですが、法律情報データベースの公開の際は、民間企業のローゼンタールという会社とLex Dania Klientがつながっておりまして、公開作業の一部を委託することもできる、委託しないこともできるという仕組みになっているそうです。委託すると、24時間以内に更新された法律の情報が公開されるということがマニュアルに書いてあります。
ここで出てきましたSchultz社という会社は、1661年創業の国立印刷局に近いような会社だそうです。
また、ローゼンタール社は,1902年にできた会社で、現在は印刷出版業とサービスプロバイダー業の会社のようです。
Lex Daniaの開発経緯ですが、第1世代は、MS Wordのベースでつくられたシステムなのですが、第4世代、2015年からはLex Dania editor Eunomiaというものに引き継がれています。ここはWordと違って、専用のエディターを開発することで、文書の構造を意識したリアルタイムのエラー検出ができるようになったそうです。
次のページでは、デジタル・バイ・デフォルト原則について訳しております。不要かつ複雑な規則を排除し、新しい規則は分かりやすくし、安全で使いやすいデジタルソリューションへと変換していく。こういう合意の下で、デンマークにおける立法デジタル化の強力な推進が行われたという経緯があるようです。
次のページに機能等々を整理しております。
Lex Dania editor Eunomiaの機能について、法的ガイドラインのデジタルライブラリーというアプリケーションですが、Lex Dania editor Eunomiaは法律の技術的ルール、形式的なルールをサポートし、起草におけるエラーを制限する、また、エラーは即時にフィードバックされると言っております。その反面、Lex Dania editor Eunomiaは、エラー検知機能は搭載されているものの、曖昧さの検知ですとか、複雑な文書の検知、文書の改善案のレコメンド機能はない。こういった内容に関することは、これまで同様、起草者が行うシステムになっているようです。
67ページは、法令の改正方式です。デンマークも同じように一部改正の形式で、溶け込ませが行われているということですが、デジタル対応・立法事務局が2018年初頭に設立されておりまして、その事務局では立法が適切に記述されていること、及びデジタル対応であるかというところを法案のフェーズで人的に確認する役割を担っているようです。
法律の公布については、官報で行われておりますが、官報は2008年以降、全て電子化がされています。
最後、デンマークの民間法令集とのすみ分けですが、やはりデンマークでも民間法令集が複数提供されていまして、公式の法令データに対して、プロ向け、専門家向け、ビジネスユース向けに民間の法令データベースが出ております。
以上、デンマークについて御報告させていただきました。
中間報告は以上です。後半の調査フェーズから、関係機関へのヒアリングを行っていきたいと思っております。
ヒアリング先としては、欧州委員会、EU出版局、ドイツの連邦司法省、連邦司法局、連邦内務省に、現在の立法システムの開発状況、運用状況等々もお問合せをさせていただければと思っております。
最後、Rules as Codeというところも、後半の取組課題になってきます。Rules as Codeについて、最終的な報告書としては、幾つかありますイニシアチブの取組がそれぞれRules as Codeについてどういう定義をしているか、どういう利用技術を持っているか、また、推進主体は誰か、政府系、学術系、Civic Tech系、プロジェクトの成果は実際に導入されようとしているのか、実験的なところで終わっているのか、そういったところを明らかにしていきたいと思っております。
以上で中間報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
事務局(柳生): ありがとうございました。
本件も含めまして、議事1~3につきまして、御意見、御質問等がございましたら、議事3の後にまとめて頂戴できますと幸いでございますので、そのようにさせていただきたいと思います。
続きまして、議事の二つ目に移らせていただきます。前回御議論いただきました法制事務のデジタル化に向けた工程表につきまして、事務局より5分程度で御説明させていただきます。説明をよろしくお願いいたします。
事務局(大久保): 資料2ですけれども、2ページ目から4ページ目については、前回、第4回の資料のほとんど再掲となっておりますが、2ページ目のサマリーだけ御説明いたします。
法令等のデジタル正本、最新版の公式法令データベースを常に参照できる環境をつくっていくというところが大きな目標になってきます。
それに当たっては、論点として、国民が使いやすいデータ形式・内容、すなわち、データ更新のタイミングとしては可能な限り早く、公布と同時にという部分と、内容としても、二次利用しやすい形式もそうですし、中身としても様々なリンクであったり、附帯する情報が充実しているものを提供していきたいということでございます。
それを実現していくに当たっては、日本の法改正形式も一部改正形式を取っておりますので、溶け込ませのコストというところが重要になってくるということでございます。ですので、目指すべきところとしては、同じ法令データベースの中で完結する法制事務ということで、法令データベースの中の条文を直接編集していくといった仕組み、そういったことが究極的に目標を目指していくに当たっては、必要になってくるであろうということでございます。
それに向けての取組として、実際、データベースの中の条文を更新するといった場合には、そもそも法令データのつくり方であるとか、法改正の仕方そのものにも非常に大きな影響を与える部分でございますので、まずは概念実証、PoCといった形で、実際にそういうことが実現できるのかということを、データ構造であったり、法制執務の面からもきちんと検証していくということで、取組として挙げさせていただいておりました。
3ページ目、4ページ目は、概念実証で検証すべき事項について整理をさせていただいていたところでございまして、前回、第4回の検討チームでも進め方についていろいろと御指摘をいただいたところでございます。
今回、最後の5ページ目は、第4回でいただいた御指摘を踏まえて、その内容をサマリーしているものでございますけれども、一つ目は達成水準ということで、ユーザーのニーズだったり、ペインポイントにダイレクトにつながってくることが成果として重要であるという御指摘がございました。
最初にも述べましたけれども、法令データベースは、正確・最新なものを国民に提供するということで、これには2点ポイントがあるということで、データ更新が即時に行われるということと、アノテーション情報を付与していくことによって利用価値を向上していくということでございますが、さらにこれを同じデータベースの中で更新していくということを法制事務そのものとしていくということで、法制事務のフローに立ち返っても、その場でも誤りの発生を防止するであるとか、効率的に作業を行うといった観点で、業務フローそのものがデータベースを中心に変わっていくということが、達成すべき目標として挙げられるのではないかということでございました。
こういったことを、実際、PoC、概念実証を通じて進めていくプロセスというところでは、やはりユーザーを早期に巻き込んだ形でフィードバックをいただきながら、PoCを実施していく必要があろうというご指摘を踏まえて、下に二つ下線を引いてポイントを挙げております。
1点目としては、これらの概念実証の取組の基礎となります改正手法等の調査といったところでございます。各府省等で法令案の作成だったり、審査を担当する主体からきちんとフィードバックをいただいていくことが重要であろうという御指摘がございましたけれども、改正手法と一口に言った場合にも、例えば概念実証は実際に省令といったレベルから始まっていくことを想定していますが、省令一つ取っても、デジタル庁の例でいえば、新旧対照表形式の改正をするといった場合にも、単純にその差分に棒線を引いていくといったことでやっておりますけれども、その他の府省においては、例えば条のところがずれていくであるといった条文の変わり方に応じて、新旧対照表上でそれを表現する手法が若干違うといったことも実情としてはあると認識をしております。例えばデジタル庁とほかの府省との共同命令であったときにはどうなるのかといったバリエーションまで含めますと、非常に様々なルールの体系があろうということでございますので、そういったものをきちんと整理しながら、一方で、標準化を目指していくに当たっては、実例というか、実際の担当者において実施していることをきちんと把握する必要があろうということでございます。
また、そういったことを通じて、実際に法令データベースを中心に編集をしていくといったフローが業務としてきちんと実装可能なのかどうか、実際のフローに落ちていくのかどうかということは、実際に法令を作成したり、審査を担当していく担当者のペインポイントを解決するものでなければ、なかなか受け入れられるものになってこないといったこともございますので、そういった観点からもフィードバックや検証が必要ではないかと認識をしております。
もう一つの下線でございますけれども、データの構造化やデータ開発といった部分については、今、申し上げました改正手法等の調査の知見を前提として、それを実際にどうやってデータに落としていくのか、データベースの仕組みに落としていくのかということに当たっても、今回、検討チームでもリーガルテックの方々をはじめとして、技術的な知見をお持ちの方にサポートをいただいておりますが、引き続きそういった民間の知見も得ながら進めていくことが重要であろうという御指摘をいただいておりました。
code for e-LAWS(仮称)と書いてありますけれども、広くオープンに技術的な知見をいただけるような枠組みを活用しながら、エディター開発ということでいえば、ユーザビリティーをきちんと高めていくということもそうでございますし、そもそもデータベースを編集していくということで、書いた条文がそのまま法令の編さんに使えるといったことをデータ構造でどうやって表現するのかといったことについても、専門的な知見を得ながら進めていきたいと考えているところでございます。
今回、第5回の御議論におきましても、こういったPoCの進め方であったり、あるいはこういった項目をきちんと深掘りしていかなければいけないといったことについて、構成員の皆様方から御指摘等をいただければ幸いだと考えております。
私からは以上でございます。
事務局(柳生): ありがとうございました。
続きまして、議事の三つ目に移らせていただきます。「法令のデジタル原則への適合性確認プロセス・体制の確立に向けて」につきまして、事務局から御説明させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、これが概要的な資料になります。3月30日のデジタル臨調にお諮りしたものからの修正点を中心に御説明させていただきたいということでございますけれども、デジタル原則を徹底するためにということで、新規法令や既存法令等について継続的な見直し・点検をしていくということで、今後どうしていくのかというところで書いているものでございます。
一つ、黄色い箱のところでございますが、今後の大きな方向性、タイムスケジュールとして考えているものにつきまして、令和6年の通常国会に提出する法案の中から、その確認を試行的に開始していきたいと考えているところでございまして、それを明記しているものでございます。そのためには、後で御説明しますが、会議体といったものやデジタル庁の体制といったものについて、一定程度整備していかなければいけないというものでございますので、それについて明記するとともに、実際にやり方、どうやっていくのかといった詳しい手順について、さらに深掘り、詰めていかなければいけない点がございますので、今年度中に取組を詳細に設計していきたいと考えているものでございます。
これまでも御説明させていただいているところでございますが、繰り返し御説明させていただきますと、大きく分けて①②③と三つのプロセスに分かれているところでございます。
一つ目のところですが、規制、手続等を企画立案する各省庁に対して、実際にデジタル原則へと移行するためには何をすればいいのかといったことが分かるような、具体的な指針を示していくというところでございますけれども、その中身はテクノロジーマップ等々とかなり関係があるところがございまして、テクノロジーマップの整備等とともにということで、そこについて書かせていただいているところでございます。会議体、合議体についても書かせていただいているところになります。
②立法プロセス等への組み込みでございますけれども、新規法令につきましては、特に法律案・政令案といった、まさに内閣として決定していくようなものについては、デジタル庁が主体的に見ていくということで、そのタイミングとして、内閣法制局が予備審査を開始する前ということで、実際に条文が細かく内閣法制局で審査される前にやりたいことについて、デジタル庁と各省がお互いに合意した上で、細かい条文の書き方といったところに移っていく流れだということで、このように書かせていただいているところでございます。
一方、省令以下につきましては、デジタル庁で全て見ていくわけにもいかないところがございますので、それは各省の官房なりの協力を得ながらということになるかと思いますけれども、パブリックコメントといった、ある種決定段階の前の段階までに確認プロセスといったものをしていただくということを考えているところでございます。
既存法令につきましては、まさに作業部会を中心に見直していただいているところでございますけれども、今後、改めて見直すタイミングといったものについては、まさに技術の進展とか、国民の皆様方からの要望、さらには規制手続等の執行状況等を踏まえて、デジタル庁が会議体などを使いながらやっていくことを検討しているということでございます。
次の四角のところが新しく加えさせていただいているところでございますけれども、実際に立法プロセス等の組み込みを考えたときでございますが、ある種法律といったものの中でも、取扱いが普通の法令と違うものが一部ございます。具体的に言いますと、まさに税関係法令といったような、党税調との関係があるなど、様々ございます。ほかにも組織法令とか、給与関係の法令などが該当するのだと思いますけれども、プロセスがほかの法令とはちょっと違うといったものについて、どのように取り扱うかといったようなことについて、それはそれで別途検討が必要だということで、念のためここに書かせていただいているところでございます。
さらにということで、既存制度とのまさに連携でございますけれども、検討チームの第2回目に規制の事前評価といった御説明を総務省からいただいてございますので、そういった制度との連携、重複排除といったことを進めていくことが、実際に各省庁の負担軽減にもつながっていきますので、そういったことにつきましても、今年度内に予定しております詳細設計の際にやっていきたいということで、書かせていただいているところでございます。
③につきましては、特に変更点はございませんので、説明は割愛させていただきます。
次ページ以降につきましては、その細かい内容を書かせていただいているところでございますが、一番最後のページに飛んでいただければと思います。工程案を書かせていただいているところでございますが、最終的にデジタル原則への適合性確認のプロセスといったものにつきましては、集中改革期間終了の段階で本格実施していけるようなスケジュール感で、まずはアジャイル的にやっていきたいと考えているところでございますので、工程案のところにつきましても、令和7年度以降に本格実施といった矢羽根を書かせていただいているところになります。
説明につきましては、簡単になりましたが、以上とさせていただきたいと思います。
それでは、議事1~3につきまして、質疑応答、意見交換の時間にさせていただきたいと思っております。
御質問、御意見のある方におかれましては、挙手のボタンを押していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。藤原構成員、よろしくお願いします。
藤原構成員: 藤原でございます。どうもありがとうございました。
ぎょうせいさんにいただいた資料は、本当に参考になるというか、お願いして本当によかったと思いながら聞いていたのですけれども、大きな感想としては、基本的にXMLエディターをつくって、そこを中心にデータをつくって回していくという、今、考えていることと全体構造がそれなりに似ているという印象を持ったので、そういう意味で議論の方向性がそんなに間違っていないということは、何となく確認できたと思って聞いていました。
関連して二つほどコメント的なことを言おうと思うのですが、一つは、皆様、既にお気づきのことかと思うのですが、ドイツがつくった2019年の報告書が一番参考になる資料、すごく重要な資料の一つだと思って、そこを深掘りしたほうがいいと思っていて、EUとドイツとデンマークは基本的にEU内ですし、相互に連携し合ってというか、関連し合っているのだと思うのですけれども、物事の順番として、恐らくEUがあって各国があるとなっているのですが、デンマークが結構先行している中で、ドイツは実はそんなに先行していなくて、2019年に頑張ろうとやったという経緯だと思っているので、それはある意味日本の現状に似ているところがあるもので、いろんな先行事例を見ながら、どういうことを考えられたのかというのは、そこに出てきている気がするので、そういう意味でかなり参考になるのではないかと思いましたということが一つあります。
もう一つは、PoCの関係で、今後いろいろ考えていくのだと思うのですけれども、見ていて、今、当然だと思うのですが、いろんなデータが一つ一つブロックごとに分かれていたり、アプリケーションがモジュール化されている辺りというのが、結構参考になるというか、そういう考え方でこれからやっていかなければいけないのだろうと思いました。
ぎょうせいさんの報告書ですと、EUだと21ページとか、22ページとか、ドイツだと45ページ、デンマークだと66ページの辺りに表になっていて、こういうアプリケーションがありますとか、あったと思うのですけれども、こんな感じでちょっと整理をしながら考えていく必要があるのだろうと思いました。
最後に今回の資料3の関係です。確認プロセスのお話ですけれども、これはもともと皆さんお気づきで始められたと理解はしているのですが、デンマークの例はやはり参考になると思っていまいして、ぎょうせいさんの資料だと67ページにありますけれども、例えば評価ツールの話なども出てきていて、もちろん人的に確認されているのですが、どういうふうにツールを使っているのかとか、その辺りも調べられると参考になるのではないかと思いました。
以上です。
事務局(柳生): ありがとうございます。
ぎょうせいさん、何かコメント等はございますか。
株式会社ぎょうせい(石崎氏): ぎょうせい、石崎です。ありがとうございます。
最初にいただきましたドイツの2019年の報告書、まず内容、次に段落という報告書、私も読んでみて非常に面白い内容で、ここは参考になる内容だと思います。おっしゃるとおりだと思っています。ありがとうございます。
藤原構成員: ちゃんと英語版もあって、我々がここで話している内容は、本当は英語にしなければいけないのだろうと思って、すごく大変だと思っていました。
蛇足ですが、以上です。
事務局(柳生): どうもありがとうございます。
PoCのところ、大久保さん、補足等はございますか。
事務局(大久保): アプリケーションも含めて、モダンな構成できちんとつくっていくことが重要だという御指摘だと受け止めましたけれども、実際にe-LAWSの話でいえば、データベースのところをもっと活用しやすいものにする改修の取組もありますので、そういったところともきちんと整理をしながら、こういう構成が良いのではないかといったことを徐々にお示しできればと考えております。ありがとうございます。
事務局(柳生): 資料3につきましては、御指摘いただいた点は重要な点だと思っていますので、詳細な制度設計などの際には、まさにそういった仕組みといったものをどうしていくのかということも考えていきたいと思います。
続きまして、手を挙げられておりました、渡部構成員、よろしくお願いします。
渡部構成員: お世話になっています。弁護士の渡部でございます。本日もいろいろありがとうございます。
資料1、資料2、資料3について、それぞれ1点ずつ、順番にコメントをさせていただきたいと思います。
資料1、ぎょうせい様の資料ですけれども、私も藤原先生と同様に、非常に短期間の中で、非常にすばらしい内容をまとめていただいたと大変感謝しています。資料の詳細についてはまだ検討しておりますけれども、非常に豊富な情報によって、我々の検討の基礎が諸外国の制度からも裏づけられる、非常に意義深い調査だと思っております。引き続き完成に向けてお力添えをいただければと思っております。
次に資料2についてですけれども、こちらも事前にお願いしていた概念実証の中身であるとか、例えばターミノロジーの辺も非常にすばらしく整理されておりまして、資料2については非常にすばらしいよい出来で、私からは特に追加のコメントはございません。
資料3につきまして、1点、お願いがございます。具体的には2ページ目のところでございます。概念実証の後に何をするかといったところが非常に分かりやすく整理されていて、この資料はすばらしいと思っています。
私から1点お願いをしたいのは、事前のプロセスというところに、今、非常に力を入れて書いていただいているのですけれども、それに加えて、従前から申し上げているとおり、実際に政令ができた後、法律ができた後、実は立法プロセスの中で、デジタル原則というのがきちんと反映されていないのではないかということに対して、我々国民、また、専門家からフィードバックする機会がプロセスとしてはあることが重要だと思っております。したがって、事前のみならず、事後として、例えば政令の場合であれば、パブリックコメントについて、我々が見た段階でも、例えばデジタル原則に全く合っていないものがあれば、それはデジタル庁さんと再度協議してもらうとか、事後的な救済のような側面も制度としては加えていくべきではないかと考えております。また、長い話にはなるかと思うのですけれども、事後的なという観点もぜひ御検討いただければと思っております。
私からは以上3点です。今日もありがとうございます。
事務局(柳生): ありがとうございます。
資料3について、コメントさせていただければと思いますが、御指摘の点は非常に重要な点だと思っております。そういうことにつきまして、資料としては反映し切れていないところもあるのですけれども、既存法令等のところで、執行状況を見ていくということも書いてございますし、実際に走りながらやっているところについて、省令などを含めてどこまでやるのかということについては、まさに御指摘いただいた点も含めて、詳細設計の際にきっちりとどこまで何ができるのかということをやっていきたいと思っているところでございます。
ただ、法律などからまずアジャイル的に走り出すので、パブリックコメントなどになると、もうちょっと後の段階になってしまうのですけれども、そのあたりも踏まえながら、どうやって進めていくのかということについては、きっちりと設計していきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
続きまして、角田構成員、よろしくお願いします。
角田構成員: 今回も調査や資料のまとめ直しなど、皆様、ありがとうございました。
何点かコメントなどがございます。まず、最初のぎょうせいさんの調査のことなのですが、様々な国について、知りたいところを調べていただいて、本当に有益だったと思います。
このご報告について、細かい点でコメントですが、Akoma Ntosoはつなげて「アコマントス」のように読むそうです。Akoma Ntosoは世界的な標準仕様で、ボローニャ大学のMonica Palmirani先生たちが提唱して世界中に広まったもので、アフリカ諸国などでも使われていているようですが、ご報告のようにEUも採用しているのであれば、世界標準を採用しているというわけですね。
日本のe-LAWSも設計の際にそれと合わせたというか、日本の設計のほうが先でしたので、後から互換性をチェックしたところ、互換であるということが大体分かっています。そこで、ドイツなど調査頂いた国々で採用されているXML形式について、Akoma Ntosoとの互換性とか、あるいはAkoma Ntosoをそもそも使っていて、その上でプラスアルファの部分を追加しているのかなど、その辺をもし確認できるようでしたら、確認していただきたいです。
それから、日本についても、Akoma Ntosoと互換の状態で今まで維持されてきましたので、今回のデジタル庁の取組で崩れてしまうというのは、これまでの努力が水の泡になってしまいますので、その辺はできれば継承してほしいです。これは標準化に向けたほうがよいのではないかという意味での意見です。
以上が各国調査のご報告の前半についてのコメントです。
後半というか、ご報告の最後の方でもRules as Codeの話がありましたが、少々気になっているのは、Rules as Codeの定義もこれから調べてくださるということなのですけれども、この報告書中の各国の調査報告の項目の中に、既に「Rules as Code」と書かれていて、そもそもこれに該当する事項がわかっている前提でまとめられてしまっているようなのですが、どういう場合にはRules as Codeの項目欄に記載したのかという点を明記していただきたいのです。例えば何かの調査時に検索をするケースであれば、その検索に使ったキーワードはこれでした、のような検索条件があると思うのですけれども、今回の調査でもRules as Codeの欄に記入する際の条件のような何かぎょうせいさんの意図がわかるものを知りたいのです。その辺が、現状では見えていない状態ですので、そこは明らかにしてほしいと思いました。これがぎょうせいさんのご報告に関してのコメントです。
次に、全体的な今後の進め方や工程表に関わりそうな話なのですけれども、アジャイルに進めるということと、フィードバックを細かくかけていくというお話についてなのですが、このときに少々気になっているのが、現場の声を聞いて、現場に合わせていくというのはもちろん、そうして欲しいですし、合わせてもらえるケースでは問題ないのですが、もし、現場で合わせてもらえないときの対応が心配です。開発者の側の判断だけで機能を追加するとか、しないとかいったことを決められてしまわないように、少し上のほうの会議体などに上がってくるような仕組みがないと、現場の声や本当に大事なことがスルーされてしまうという心配がありまして、その辺を工程の中に組み込んでいただければと思いました。
以上です。
事務局(柳生): ありがとうございます。
ぎょうせいさんからコメント等があれば、よろしくお願いします。
株式会社ぎょうせい(石崎氏): ありがとうございます。
先ほどのAkoma Ntosoですが、「ン」で始まる単語は日本にないものですから、私の発音が悪くてすみません。西アフリカのアカン語というのは承知しておりまして、リンクされたハートという意味だと、Wikipediaなどでは出ています。ありがとうございます。
XMLの仕様の標準化について、この後、我々で整理して、それぞれデンマーク、ドイツ、EU、情報のやり取りをするのに共通仕様になっているところだと思いますので、言葉の定義等々、仕様の定義を決めて整理していきますので、よろしくお願いします。
Rules as Codeのところの観点というのは、私たちもどういう観点で見ようかというのは悩んでいるところです。今回、対象に挙げているオーストラリアやニュージーランド、フランス等のイニシアチブの取組をしているところの定義を集めてきて、それを比較するということがまずは分かりやすいと思います。Rules as Codeについて、こういう観点で見てみればどうかということがありましたら、逆に御意見をいただきたいと思っております。
ぎょうせいからは以上です。
角田構成員: 私の質問がわかりにくかったかもしれないのですが、定義をはっきりさせていただきたいということではなくて、石崎さんがRules as Codeという項目を設けましたよね。
株式会社ぎょうせい(石崎氏): はい。
角田構成員: それを設けられた上で、そこに報告事項が書き込まれていました。その書き込まれていた事項は、どのような観点からRules as Codeの欄に書きこまれたのですかという質問です。そのときの観点を石崎さん自身のお考えをお聞かせ頂きたいのです。
株式会社ぎょうせい(石崎氏): 分かりました。
角田構成員: それに基づいて、こういう事項も必要だ、こういう事項は不要だ、のような判断や、この報告書はそういう観点から記したものであると承知した上で、理解したいという話ですので、そのような観点についても書いていただきたいです。
株式会社ぎょうせい(石崎氏): ありがとうございます。私も悩んでいて、いろいろと例を挙げたので、どういう観点で見たのかというのは、改めて整理しておきます。ありがとうございます。
角田構成員: 分かりました。
事務局(大久保): 続けて、二つ目の工程表関連ですけれども、最初にXMLの標準形式との互換性というところは、まさに御指摘のとおりだと思っておりまして、アノテーションをつけていくに当たっても、情報をデータベースに持たせていくのかどうかといった、データの構造の選択というときには、XMLの互換性もきちんと考慮に入れながら検証したいと考えております。
また、進め方ということで、ルールのところです。なかなか統一ができないところ、合わせてもらえないようなところも、無視しない仕組みをということでございましたけれども、恐らく調べていくと様々出てくると思うのですが、御指摘のとおり、そういったところはきちんと拾っていく検証の仕組みもそうですし、逆に技術的にカスタマイズして、例えばある程度一般的なルールとして記述できるような形にして取り込むということもアプローチとしてはあるかと思いますので、そこは幅広く考えていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
事務局(柳生): 最後の点について、私からも補足させていただきますが、これまでのやり方はローカルルールではないですけれども、各省ごとに違うとか、そういったものが実際にあるのが事実なのだと思います。例えば省令の改正の仕方にしても、新旧対照表のやり方が違うとか、そういったものがまかり通っているのが実際の法令執務のところになってございます。ですので、我々としては、できるだけ皆さんの意見を聞きながら、皆さんの使い勝手がいいようにやっていくというのは当然ではございますが、まさに角田先生におっしゃっていただいたように、実際に使いたくないから使わないみたいなところが出てくる。理由があるから使わないとか、みんなの合意の上で使わないのであれば、それはそれでいいのですけれども、ただ単に使いたくないから使わないみたいなことがあってはいけないのだろうと考えていまして、デジタル臨調でこの取組をやっているというのが、まさに一つ大きなきっかけというか、デジタル臨調がやっているからこそ、最後はみんなでやるといったことが語りかけられるようになると考えてございますので、そこにつきましては、事務的な調整をまずしっかりやった上でということになりますけれども、我々もしっかり各省庁がついてこられるというか、ついてくるように、引っ張るようにやっていかなければいけないのだろうと考えているところでございますので、引き続き御指導をいただければと思います。
続きまして、安野構成員、お願いできればと思います。
安野構成員: 安野です。
風邪ぎみで声があれなのと、ビデオはオフで失礼いたします。
コメントとして二つございまして、一つ目は、ぎょうせいさんにいただいた資料に関してで、藤原構成員もおっしゃっていたように、大きな方針として、もともとこの会議体で話していたことというのは、そんなに見当違いではなかったということが感じられて、非常に勉強になる面白い資料でした。調査いただきまして、ありがとうございました。
今後、調べていくところとして、成功事例というよりは、ここでつまずいたとか、ここで失敗したいみたいな事例を集められると、事前に落とし穴が分かっていいと思っておりまして、個人的に気になったのは、例えばデンマークの事例で、もともとワードを拡張する形でつくっていたものをオリジナルのエディターにしたという経緯があると思っていて、我々もアーキテクチャー上、ワード拡張をしていく形にするのか、完全に新しくエディターをつくるのかというのは、技術的には大きな意思決定ポイントで、重要なポイントだと思うので、既に通っているデンマークでどういったことがあったのかみたいなことが分かるとよさそうだと思いましたし、それに限らず、こういうふうにトライしていって、ここで問題が起きたみたいな話があると、すごく参考になると思っております。それが1点目のぎょうせいさんの調査に関してのコメントでございます。
2点目のコメントとしては、資料2の工程表のところなのですけれども、4ページの工程表を改めて見ていて、これはもしかしたら前回の会議で気づくべきだったのかもしれないのですが、若干素朴な疑問として、これは(案)と書いてあるので、今後詰めていく前提だとは思っていますが、要件定義をする順番をもう少し考えたほうがいいと思い始めました。
アノテーションとか、XMLの定義というのは、ある種新しいエディターがちゃんと使われることを前提にしたものだと思っておりまして、第一段階でエディターを皆さんが使って、法制のプロセス自体がその上に乗っかる。第二段階として、そこに新しいデータがどんどん乗っていくみたいな構造だと思っておりまして、一気に全部を検証するというよりは、土台になるものから順番に検証していくような形にスケジュールを組めたほうが、よりアジャイルの意味があると思ったので、そこに関しては、今後検討できるといいと思っています。
私からは2点のコメントでした。
事務局(大久保): 御指摘ありがとうございます。
2点目の点は、まさに御指摘のとおりだと考えておりまして、土台としてきちんとプロセスができるとおっしゃっていただきましたけれども、今回のエディターでいえば、ここで書いた条文がきちんとデータベースに返っていく、編さんというところに使えるということがまず前提にあって、その上でアノテーションとしていろいろな情報を付与することができるようにしておく、という順番になってくると考えておりました。まさに最初のところは、改正手法等の調査とも連動してくるところだと思うのですけれども、そういった段階をきちんと踏んで、要件として定義していけるような形で進めてまいりたいと思っておりますので、今後とも御指導いただければ幸いでございます。
事務局(柳生): 1点目につきましては、ぎょうせいさんの資料だと、実際のプロジェクトの成果の導入等の部分を調べられていく際に、そのあたりのところも調べていくと思うのですけれども、何かコメント等はございますでしょうか。
株式会社ぎょうせい(石崎氏): ワードの問題にかかわらず、システムをバージョンアップするきっかけというのは、何か問題があったということで、バージョンアップが行われると思っております。バージョンアップの課題が何だったのか、その課題をどうクリアしたのかということは、今回の3か国、ほかのところで見ていきたいと思います。ありがとうございます。
安野構成員: ありがとうございます。
事務局(柳生): 続きまして、堀口構成員、よろしくお願いします。
堀口構成員: 資料の御用意ありがとうございました。堀口です。
資料1、資料2及び資料3全てに関しまして、オンラインエディターを市場提供している立場にある団体に所属する者として、ヒアリング等の調査を行いつつ検討した点を踏まえて、御意見申し上げます。私は技術者ではございませんので、技術的な観点での正確な表現が担保できないという点は、御容赦いただければと存じます。
まずエディター開発という点につきましては、私の所属する団体でも相当程度長期間にわたりまして、市場での検証を行っておりましたが、これは非常に難易度が高いものの一部であるというのは理解してございます。
この中で、安野構成員の御発言にありましたように、私といたしましては、自団体及び他の団体のトライ・アンド・エラーについては、調査、検証を行ったことがございますので、何らかお伝えすることができるかと存じます。
また、ユーザビリティーの点がお話に挙がっておりますが、この点については、PoCの期間を問わず、相当程度の継続的な検証が必要になってまいります。これは職員の皆様が活用されるシステムであり、日々の業務で使っていく、さらには国民に提供されるという点から、極めて重要な観点だと考えてございます。
このような中で、システム自体がアップデートしやすいものであるというのが、最低限必要な条件になってくると考えております。つまりこういった中では、市場の声を聞くという作業が必要になってくると考えておりまして、したがいまして、民間の市場標準に沿った仕様、こういったものでないと、民間の技術動向に追いついていくことは難しくなるのではないか。ひいてはメンテナンス等においても、ロックインが起こりかねないのではないかと考えております。
標準的なXML構成につきまして、角田構成員からも御意見がございましたが、資料2の3ページ、4ページに関しまして、XMLデータでの取扱い、編集が前提になっていると拝見しておりますが、こちらに関しまして、私のほうで法令系の出版社さんの開発担当者等、その他、編集系のシステムに関して知見のある方にヒアリング等を行ったところ、XMLデータ自体をマスターデータとしていくということが、現在の民間での市場の標準として一般的な在り方なのかというところについては、要調査であると考えております。
一部にはXMLで保存をすることによって、XMLの保存の処理が重くなる、これによってウェブ、まさに現状ではリモートワークというものが必須となっていると考えますけれども、ウェブでの編集といったものも含めて、重くなったり、使い勝手が悪くなるという現象が生じるのではないかという懸念も聞こえております。
資料1については、一部で海外のシステムに関して、XMLでの出力が可能であるという表現がございましたが、データ自体はXMLを取り扱うのではなく、入出力をXMLで行うというのが一般的・標準的な形式なのではないかという声も聞かれました。
このような観点で、私のほうで資料を拝見して、一般的な観点から知見のある方にヒアリング等を行ったところでございますが、PoC、概念実証、その他の実施におかれましては、こういった点も調査、検討されることが重要ではないかと考えております。
以上です。
事務局(柳生): ありがとうございました。
事務局からコメントをお願いします。
事務局(大久保): 御指摘ありがとうございます。
最初の点ですが、エディター開発でかなり難易度がというところでございましたけれども、先ほどまさに安野構成員からも御指摘がありましたように、ベースとなる部分から順次ということで、今回でいえば、きちんとデータベースに返っていく、編さんというものに編集エディターが使えるという部分であると認識をしておりますので、先行事例といったところは、何らかの御知見をいただけましたら、大変幸いであると考えております。
また、後半、XMLの編集というところでございますけれども、すべてXMLベースではないかということだったのですが、データ出力の部分で角田構成員からの御指摘がありましたように、標準形式のXMLで出していくというところは重要でありつつも、実際には中のアーキテクチャーとしては、前回の第4回でも少し申し上げましたけれども、データベースをドキュメントDBの形式に変えていくというところにも取り組もうとしておりまして、その中でデータベースの方ではXMLからJSONに変換をしながら、データの入出力はXMLでやっていくといったことも検討しておりますので、そういった実装作業の状況もフィードバックをさせていただきながら、アーキテクチャーについては考えていければと思っております。
また、ユーザビリティーについても同様に、非常に高い水準でのものが求められるということで、e-LAWSの話で申しますと、過去にもデザイナーの方に入っていただきながら、プロトタイプ等をつくってきたというところもございますけれども、これまで以上に実際のユーザーの声を取り入れていくデザインプロセスといったものが重要になるということで、受け止めておりますので、そういったところはPoCの中でもきちんと検証ができるように進めてまいりたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
堀口構成員: 御回答いただきまして、ありがとうございます。
資料2の2点目に関しましては、私の誤解がありましたことは、おわび申し上げます。
事務局(柳生): 続きまして、米田構成員、お願いします。
米田構成員: ありがとうございます。
ぎょうせい様からの資料も説明も大変詳細で、かつ、資料は具体的に記載されているので、非常に参考になりました。
三つの資料それぞれの内容について、意見等があるわけではないのですが、ただ、この後、作業を進めていく上で、先ほど角田構成員からも話がありましたが、これまでばらばらにやっている各省庁を引っ張っていく上で、やはり分かりやすい資料というか、引っ張っていけるだけの説得力のある資料にする必要があります。すごく初歩的なお願いなのですけれども、この資料を、日本の状況と比較できるように出していただきたい。それを踏まえることで、各省庁への説明とか、説得するという場面で、日本は今こんな状態なので、変えなければいけないということを、より明確に示していけると思います。会議体の資料としては、メンバーである我々が分かるレベルでオーケーというところもあるのですけれども、この会議の目的を達するには、会議の合意でおしまいではなく、広くやり方を変えてもらわねばなりません。外に向けて理解をいただくには、お手数なのですが、日本との比較ができるように、日本の部分もぜひ入れていただけないかと思っているところであります。
以上です。
事務局(柳生): ぎょうせいさん、いかがでしょうか。
株式会社ぎょうせい(石崎氏): 日本との比較ということですが、あるべき姿としては、日本と各国の比較、ポイントポイントで比較をするというのが正しいのだろうと思いますので、事務局の方と相談してから、お話をさせていただきたいと思います。
事務局(柳生): 重要な御指摘でしたので、事務局としてもぎょうせい様と御相談しながらやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
八木田構成員、よろしくお願いいたします。
八木田構成員: Legalscapeの八木田でございます。
今回、資料1から資料3まで御準備いただきまして、本当にありがとうございました。非常に分かりやすく、示唆的な資料だったと考えております。
これまで各構成員の皆様方におっしゃっていただいた意見は、基本的に全て私もそのとおりだと感じておりまして、私から資料1から資料3について追加でコメント等はございません。
1点だけ、今後、一構成員として、どういったところでお力になれそうかということをご参考までにお話しさせていただきますと、資料2の最後のところで、概念実証の進め方みたいなところがあったと思うのですけれども、こういった法令データが公開されたときに、利用者たる国民、特に法務関係者がどういった形で使いそうかというところにつきまして、弊社でも幾つか知見があります。また、主に事業者などが使うことが想定されるAPIのような形で公開する際に、どのような形式がよいかという点につきましても、弊社が提供しているサービスが、まさに法令を含むデータを分析して、例えば弁護士だったり、企業の法務部みたいなところに提供するものですので、そういったところで弊社の知見を提供させていただくことは可能だと思っている次第でございます。参考までに申し上げさせていただきました。
今回はありがとうございました。
事務局(柳生): 八木田構成員、ありがとうございました。またいろいろと御知見を賜れればと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、構成員の方々からは、1回、コメントをいただいているところでございます。追加の御発言等があればと思いますし、また、作業部会の構成員の方々にも何名か御参加いただいていると思いますので、その方々から御質問、御意見等があれば、手を挙げていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
特にはなさそうということでしたら、今日は少し早いですが、これまでとさせていただこうかと思っております。発言等をされたいという方がいらっしゃいましたら、手を挙げていただければと思います。藤原構成員、よろしくお願いいたします。
藤原構成員: 単なる質問なのですが、これは今月中ぐらいに作業部会に報告されるみたいな、今後はどういう日程になるのでしょうか。
事務局(柳生): 最後に日程のところは御説明しようと思っておりました。
藤原構成員: 分かりました。すみません。大丈夫です。
事務局(柳生): ちょうどいただいたところですので、今後の進め方も含めて、御説明させていただければと思います。
まず資料2、資料3につきましては、今日いただいた御指摘は一応反映できていると思っておりますので、今後、作業部会に御報告させていただいた上で、5月末のデジタル臨調で取りまとめられる一括見直しプランといったものに反映させていくというスケジュールで考えているところでございます。ですので、今日御覧いただいて、御確認いただいた資料2、資料3につきましては、作業部会に御報告させていただくといった流れになっていくということで、御理解いただければと思います。そのようなスケジュール感になっているところでございます。
ほかに御質問等がある方はいらっしゃいますでしょうか。
なさそうですので、今日は時間を多めにいただいてしまっていたので、大変恐縮でございますけれども、今日の議事は以上とさせていただきたいと思います。
なお、資料3につきましては、一部赤字のところがございましたけれども、説明のしやすさという観点から赤字にさせていただいていたものでございます。公表時には全て黒字で表記ということにさせていただきたいと思ってございますので、よろしくお願いいたします。
今日の議事内容等につきましても、これまでどおり、公開とさせていただきたいと考えているところでございます。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を閉会したいと思います。本日は、御参加いただきまして、大変ありがとうございました。