デジタル臨時行政調査会作業部会 法制事務のデジタル化検討チーム(第6回)
概要
- 日時:令和4年(2022年)9月12日(月)13時から14時30分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 法制事務のデジタル化に向けた今後の検討方針(案)
- 米田構成員からのプレゼンテーション
- 臨時国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施について
- 質疑応答・意見交換
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/66KB)
- 資料1 法制事務のデジタル化に向けた今後の検討方針(案)(PDF/2,475KB)
- 資料2 米田構成員提出資料(鹿児島大学司法政策教育研究センター「法の世界の DX を考える 法情報実務セミナー2022」について)(PDF/663KB)
- 資料3 臨時国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施について(PDF/1,407KB)
- 資料4 デジタル原則適合性確認指針(素案)(PDF/1,103KB)
- 議事録(PDF/456KB)
関連情報
議事録
事務局(須賀): それでは、時間となりましたので、法制事務のデジタル化検討チーム、第6回の会合を始めさせていただきます。進行を務めますデジタル庁参事官の須賀でございます。本日もよろしくお願いいたします。
構成員とオブザーバーの皆様には、いつもどおりオンラインでご参加をいただいております。
議事に入ります前に、新たにデジタル副大臣に就任をされ、本検討チームの座長も務めていただきます大串正樹副大臣よりご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
大串副大臣: このたびデジタル副大臣を拝命いたしました大串正樹でございます。本検討チームの座長も務めさせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
検討チームではデジタル臨時行政調査会作業部会の下で、将来にわたってデジタル原則を徹底させるために必要となる対応についてご議論をいただいてきたと承知しております。
まず、1つ目の必要な対応といたしまして、デジタル原則適合性を自律的かつ効率的に確認できる体制及びプロセスの構築が挙げられてきたところでございます。これらについては、先日、一部先行的に取組を開始すべく、デジタル法制審査チームを設置いたしました。詳細についてはこの後、事務局から説明をさせていただきますが、今後もプロセスの充実に向け、このチームでご議論いただきたいと考えておりますので、引き続きご協力をお願いいたします。
また、制度の点検・見直しに際しては、政治や行政だけではなく、国全体として自律的にルールを見直す文化が醸成されることが必要でございます。このため、法令データのデジタル正本の提供体制を確立し、官民がアクセスしやすい環境を構築したいと考えております。この後、事務局から今後の検討方針案をご説明させていただきます。引き続きご知見を賜ればと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局(須賀): 副大臣、どうもありがとうございました。副大臣は所用によりこちらでご退室をされます。ありがとうございます。
今回の会合より法務省にオブザーバー参加をいただくことが決まりました。これまで総務省行管局と国立印刷局にそれぞれオブザーバー参加していただいていましたが、今般、法務省の大臣官房司法法制部の大久保様より、ご参加いただくことになった趣旨なども含めてご挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。
法務省: 法務省大臣官房司法法制部の大久保直輝と申します。よろしくお願いいたします。法務省においては、民事判決情報のデータベース化に向けた検討を進めておりまして、先般の新聞報道を契機としてお声掛けいただき、この検討会にオブザーバーとして参加させていただくこととなりました。
民事判決情報のデータベース化については、これまで日弁連法務研究財団という公益財団法人に設置されたプロジェクトチームにおいて検討が進められており、法務省はオブザーバーとして参加して必要な協力をしてまいりました。
本年6月、このプロジェクトチームにおいて制度整備に関する提言が行われ、提言を踏まえて法務省においても検討を進めているところでございます。法務省における検討は、まだまだこれからという段階ではございますが、今後の検討を進めるに当たり、この法制事務のデジタル化検討チームにおける議論の状況を参考にさせていただければと思っております。今後、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局(須賀): どうもありがとうございます。私たちも大いに法務省さんのご検討とも同期しながらやらせていただければと思っております。
本日の議事はただいま画面に投影させていただいている次第のとおりでございます。
早速ですが、議題1「法制事務のデジタル化に向けた今後の検討方針(案)」について、今回から事務局に参画してくれています山内補佐からご説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
事務局(山内): デジタル庁参事官補佐の山内でございます。今回から新たに事務局に参加することになります。どうぞよろしくお願いいたします。
投影しておりますのが資料1でございまして、法制事務のデジタル化に向けた今後の検討方針案でございます。資料は前後半に分かれてございまして、前半ではこれまでの検討状況をまとめまして、後半で今回の議論の本題に入ってございます。
まず前半で、これまでの検討状況について手短に振り返りでございます。
3ページ目は検討経過などの時系列をまとめてございます。この検討チームではデジタル臨調の下で2月からこれまで5回議論いただきまして、主要な論点整理だとか、実現に向けた工程表を作成いただいております。
4ページ目で大元のデジ臨本体の目的も書いてございます。デジタル原則に基づいてデジタル、規制、行政の改革を進めるということとしております。
5ページ目は、まだ検討チームが立ち上がる前の資料でございますけれども、デジ臨ではデジタル原則に基づいた法令等の点検・見直しを進めてございました。その規制の総点検である課題が見えてまいりまして、それが次の6ページ目でございますけれども、総点検のために膨大な手作業、人海戦術が必要でございました。それから、ルールのマスターデータが不存在でした。また、ルールの全体像が不明確だった。これらの課題に対処するために、この検討チームが立ち上がりまして、適合性の確認プロセス、体制、それから、法制事務のデジタル化をご議論いただいているところでございます。
7ページ目で、検討チームの皆さんにご議論いただいた結果、最新版の公式法令データベースの提供体制の確立を目指すという方向性をおまとめいただいたところでございます。
さらに8ページ目ですけれども、工程表を整理いただきました。一番下に記載されておりますけれども、来年度、令和5年度以降に実証実験となってございます。今現在、どういうステータスかと申しますと、今システムの要件だとか技術検討を行うPHASEとなってございます。
駆け足でございましたけれども、以上がこれまでの検討状況でございました。
こういった背景を踏まえまして後半、ここからが今回ご議論いただく本題でございます。
10ページ目、システムの要求条件を設計するに当たりまして、その前提条件となるシステムの目的ということで今回整理しております。真ん中の色のついている部分、目的を整理してございますけれども、左からまいります。
1つ目が適合確認サイクルを実現する基盤情報確保、これは効率的に利用可能な信頼性の高いデータを確保するということでございます。
2つ目が法令等の戦略的なオープンデータ化、これは全ての人々が法令にアクセスできて高度なサービスも生まれるようにということでございます。
3つ目でございますけれども、法令事務自体のデジタル原則の適合ということで、法令事務を効率的で魅力的なものにしようということでございます。
11ページ目でシステムの目指す効果というものを行政、利用者、社会全体の観点からより噛み砕いてございます。
例えば右側、上のまとまりの2ポツ目でございます。レイアウト調整と条文編集を分離しまして、これによって職員の能力、リソースを本質面に集中できるようになることという効果を書いてございます。
この点、私もこれまで法改正だとか省令告示改正とかさせていただいたのですけれども、制度の内容だけでなくてレイアウトみたいなことでかなり苦労して時間を取られたということもございますので、デジタル技術が貢献できる点が非常に多いと考えてございます。
その下、中央のまとまりですけれども、1つ目のポツ、誰もが最新の信頼できる情報を即時に閲覧することが可能、こういった当たり前の世界が実現される。
これに加えまして3つ目のポツですけれども、リーガルテックを活用したさらに高度なサービス創出の加速ということが書いてございます。
一番下ですけれども、このシステムで法令等を迅速機敏に見直すことで、これまで不便な手続とかがあったものが見直されまして、これによって規制が足手まといとかではなくて、デジタル社会実現のための強力な推進剤として規制を活用できるというような効果を書いてございます。
以上、ここまで効果・目的とまとめてございますけれども、この次から実現するシステムの検討に進んでまいります。
12ページ目はシステムの要求条件ということでまとめてございます。先ほどのシステムの目的を達成するための要求条件でございますけれども、これまでの検討チーム会合でご議論いただいた点も含めつつ、今回さらに追加もしてございます。今回で確定ということではなくて、議論を続けてアップデートしていくべきものであると考えておりますので、タイトルにも作業中イメージということで書いてございます。
それでは内容に移りたいと思います。たくさんございますので、口頭では主だったものをご紹介させていただきます。
まず左側、Aのデータ構造の要求条件でございます。Aの1、3、4というところでマシンリーダブル、タイムリー、過去時点ということで挙げております。この3点は、利活用しやすい法令データは何かということでございますけれども、構成員の八木田先生のご発言を参考にさせていただいたものでございます。データ活用についてはBの7とかにも記載してございます。
次に、Aの2番はデータ形式でございます。例えば現状、法令データというのは法令標準XMLという形で交換されておりますけれども、こちらはこれまでの会合でも議論になりましたけれども、その中で角田先生からご指摘いただいたのが世界標準になりつつあるAkomaNtosoとも基本的に互換であるとご指摘いただいてございますので、そういった互換性、それから、既存システムとの整合性についても気を配ることが必要と考えてございます。
次にAの9ですけれども、実は法令というのは施行期日という難しい問題があるという点、これは後ほど詳しくご説明させていただきます。
次にAの12ですけれども、告示以上ということで書いてございます。現状、告示というのは国で網羅的なデータ整備をしていないのですけれども、告示も官報に掲載されるものでございまして、しかも法令としての効力を持つことができるものでございますので、少なくともシステムの能力上は法律から告示までは扱えるようにする必要があるということが書いてございます。
真ん中のBに移りますけれども、Bの8、誤りのチェック機能などを介在させて品質を向上ということを挙げてございます。
次にBの11と12、まとめてまいりますけれども、法令以外にも流用できるようにということでございまして、こちらはこれまでの会合で構成員の皆様に多くのご意見をいただいたところでございます。どこまで対応するのかというのはかなり難しいところなのですけれども、それでもよい設計のシステムにするという観点で考えますと、少なくとも視野を広く持って設計することが必要だと思ってございます。
右側にまいりましてC、ユーザーインターフェースでございます。職員がシステムを使ってくれるというのが必要だと思っておりまして、システムが面倒なので手作業となりますと、システムの目的が達成されず本末転倒ですので、ユーザビリティを高めることが必要ということをこれまで堀口先生とか藤原先生にもご指摘いただいたことがございます。
右下にまいりましてD、その他の重要な点でございますけれども、例えばDの3、得られる効果を明確にすることが必要ということでございます。こちらはこれまでの会合で渡部先生とか安野先生にもご指摘いただいたところですけれども、どうしても新しいシステムというのは導入の最初は効率が落ちると、ただ、ちゃんとKPIを考えて、それを追跡するようにすれば、使いやすさとか効果の理解につながるという点でございます。
関連しまして、これまでの会合で米田先生からもシステムの技術面だけではなくて、それがいい法令をつくることに役立つのだということをどうアピールするかということもご指摘いただいておりますけれども、こういったユーザーとのコミュニケーションとか合意形成といった点も意識していく必要があろうかと考えてございます。
以上、要求条件を述べさせていただきましたけれども、これらの中で実現が簡単そうなもの、一方で相当難しそうなものもございます。順番に対処していく必要があるのですけれども、今回はAの9番の星のついている施行期日、こちらを挑戦的な課題ということで取り上げたいと思います。
13ページ、施行期日の不確定性でございます。これまでの会合でも何回か話題に上がっていると認識しておりましたけれども、こちらは何が難しいかということをご説明させていただきます。
左側のまとまりでございますけれども、改正法、つまり法令の変更が確定した段階で、その変更がいつ適用されるか未定である。これが極めて一般的であるということが挙げられます。代表例として、ここで施行期日政令と書いていますけれども、これ以外にも公布日施行の場合は国会の審議状況で前後しますし、あるいは条約の発効期日で施行するものもありますけれども、そういったものだと外的要因で施行期日が前後することになります。これだけだと、ただ施行期日が未定というだけなのですけれども、問題なのは同じ条項を複数の未施行法令が改正して、しかもその前後が事前に確定しない、いわば衝突するという状況が日常的に生じるということでございます。
下の図をご覧いただきたいのですけれども、衝突する規定の例を書いてございます。左側に改正法AとBというのが書いておりまして、これらは同じ法律の同じ条項、ここでは第一条と書いていますけれども、第一条を改正するとなってございます。改正法A、Bという順番で施行されると矛盾なく適用される、つまり溶け込むということになりますけれども、万が一、改正法A、Bの順番で施行されてしまうと、改正法Bの段階で第一条が第二条に名前が変わりますので、改正対象の条が存在しない、つまり溶け込まないということになってございます。こうすると意図したような溶け込み条文が施行されませんので、何としても避けなければならないという事態でございます。
資料の中央に戻っていただきまして、これまでも対処技術がございました。例えば調整規定だとか、改正規定の改正といった技術が用いられておりました。調整規定という専門用語ですけれども、下の図でいいますと赤色の吹き出しです。施行の順番に応じて改正規定を読みかえるというのが調整規定でございました。
本文に戻りますけれども、調整規定のように明示的に処理する以外にも施行期日政令で考慮するということも一般的でございます。これらの作業はこれまでは全て手作業で管理されておりました。そのために残念ながら事故につながってしまうリスクの高い状況になってございます。
右側のまとまりにまいります。ここまで主に法案編集の段階での問題を申し上げましたけれども、公開用データベースの整備でも現状は手作業になっています。この文脈でよく法令もGitで管理すればいいではないかとか耳にするのですけれども、少なくとも未施行の法令については施行期日が問題になっていまして、一般的なバージョン管理のパラダイムで表現できないような複雑な構造になっていると考えております。
一方で、今回のシステムが目指しているタイムリーな法令データ開示、それから、信頼性の高い未施行条文の提供、これらのためには施行期日の不確実性も考慮してデータ管理できるシステムというのが必要不可欠だと考えてございます。
以上が、施行期日の不確定性という課題でございました。こちらの課題はかなり難しいと考えておりますけれども、今回解決策の案ということで一つお持ちしておりますので、次のページでご提案させていただきます。
14ページ、施行期日の不確定性を考慮したデータ構造に関するご提案でございます。上のリード文の1ポツ目でございます。ある改正法内で施行期日を同じくする改正規定を単位として管理いたしまして、施行期日順の組み合わせごとに法令文書の溶け込み条文を保持した上で、時間軸上の対応関係を含めた全体をデータ構造として管理したらどうかというアイデアでございます。
こちらはイメージでご説明させていただきますけれども、例えばある改正法の中に2つの施行期日がある場合を考えます。下の図でいうと、改正法1というのが、施行期日が青色のもの、それから、緑色のものが一緒になって改正法1を構成しているイメージですけれども、この場合、こういった改正期日が分かれる単位で改正規定を分けて捉えまして、まずはどの改正規定が衝突するのか管理しようというアイデアでございます。こうやって改正規定が分解できますと、図でいうところのA、B、Cという改正単位がございますけれども、これらの複数の改正単位が紫色の法令1、赤字の法令2というのを改正しておりまして、これらが衝突するのではないかというのを自動で判定することができます。
加えまして、右下の紫色と赤色の吹き出しでございますけれども、改正規定の施行期日の順序のパターンが分かりますので、それぞれのパターンでどのような溶け込み条文にすべきなのか。これまでこういうのは法案担当者が手作業とか頭の中で管理していたわけですけれども、これを提案して管理いただくことで明示的で客観的な管理が可能になりまして、考慮漏れが防止されると考えてございます。
上のリード文に戻りまして2ポツ目でございます。これにより衝突条項や施行期日の組み合わせを自動で特定して法令編集者に提示することで、手動管理による事故を防止できると考えてございます。また、溶け込み条文が事前に準備できることで施行期日を考慮した信頼性の高い未施行条文の提供、それから、施行即時の溶け込み条文の公開も実現できると考えてございます。こういった溶け込み条文は公表段階だけではなくて、例えば法案の策定をする段階でも新旧の旧部分に使ったりしますので、有用性の高いデータであると考えております。
ここまでご説明した方法で、少なくとも衝突検知、それから、アラートは実現できると考えております。加えまして、左側の黄色の囲みの2ポツ目でございますけれども、改め文は、溶け込みを用いて自動出力をベースに手動で登録と書いてございます。こちらは新旧対照表方式でも基本同様なのかなと考えておりますけれども、自動出力しやすい形式への運用変更も考えられるところでございます。もしそれが可能になったらフローが簡潔になりまして、全体の自動化ということも視野に入ろうかと考えてございます。
以上がご提案でございまして、こちらを実際にシステム化するに当たっては、より念入りな設計が必要と考えてございます。現時点での素案といたしまして、ぜひご意見等を頂戴したいと考えております。
次に15ページ目にまいります。まだまだ未検討の継続事項がたくさんございますので、今後検討すべき内容ということでこちらにまとめてございます。時間の都合上、口頭で網羅することが難しいのですけれども、例えば左側、職員が触る条文エディター、あるいは真ん中にございます審査の厳格性の観点、これと両立といったところについても今後具体的に検討が必要と考えてございます。これらについても引き続きご意見等を頂戴したいと考えてございます。
最後の16ページ目でございます。こちらではPoC項目の具体化ということで、暫定的なものということで作業中イメージと書いてございます。
上のリード文の1ポツ目、システムの設計と並行して具体化が必要と考えております。
2ポツ目でございますけれども、既存研究とか既存事業、それから、海外の取組にも目を配ることが効率的な検証に必要不可欠ではないかと考えております。
3ポツ目でございますけれども、このPoC自体も合意形成プロセスの一環と考えることができるのではないかと思っておりまして、こういった検証を関係者と一緒に取り組みまして、アジャイルに実装していくというのが将来的に円滑なシステム活用につながっていくのかなと考えている次第でございます。
資料1については以上でございます。
事務局(須賀): どうもありがとうございました。
意見交換については最後のところでまとめて行わせていただければと思いまして、議題の2に移りたいと思います。今、山内補佐からご説明をさせていただいたPoCを実施していくに当たって、利害関係者やステークホルダーをどこまでの範囲で認識すればいいのかということ、それから、そういった方々とアジャイルにコミュニケーションしながらフィードバックをどんどんいただきながらPoCを実施していくためにも、何らかのコミュニティが欲しいという話をしていましたところ、米田先生に自分のところでやってあげるよと言っていただいたのが今回のセミナーでございまして、そちらの報告をしていただければと思います。
米田構成員、ご説明をよろしくお願いいたします。
米田構成員: ご紹介をいただきました構成員の米田でございます。ご依頼をいただきましたので、私がセンター長をしております鹿児島大学法文学部附属司法政策教育センターにおける「法の世界のDXを考える法情報実務セミナー2022」という取組を紹介させていただきます。
鹿児島大学法文学部所属の司法政策教育センターは、鹿児島大学における法学、それから、法実務分野の教育研究の振興と司法政策に関する調査研究を推進し、それによって社会貢献活動を実施することを目的としている組織です。通称はこちらでも何回か言及しましたeLen(エレン)と呼んでおりますけれども、全国の自治体がウェブ上に公開している例規を集め、それを串刺しで検索をして比較したり、加工用データをダウンロードできるような条例データベース、それから、明治期の官僚・官職のデータベース等を発信したり、また、法科大学院生や修習生、若手の弁護士の研鑽とあわせて、離島等司法過疎地での法律相談を実施する等、社会貢献活動を重ねているところでございます。
当センターでは、コロナが来る直前の2020年1月にeLenのバージョンアップに合わせて法律系のデータベースベンダーの皆さんや、出版社の皆さんを対象としてセミナーを開催いたしました。それを契機として、法情報の実務に関わる方々への情報提供者に当たる側の人たちをおたずねしたり、ご助言をいただいたりしながら、そういった関係者の皆さんのネットワークの形成や意見交換をする機会を設けるという取組をしてきたところでございました。
たまたまこういった流れの中でお声掛け等もいただきましたので、2022年度、本年度の当センターの新規の事業として、これをさらに踏み込んだ形で取組をしようということで、先ほど申し上げました「法の世界のDXを考える法情報実務セミナー2022」という主題の下で、「リーガル・インフラのデジタル革命」という連続セミナーを実施しているところでございます。
この検討会議の活動もその一部になりますけれども、現在、法の世界の様々な側面で根底からのデジタル化が急速に進展しつつあるという認識にありまして、この企画ではこの歴史的な事態というものを学問的な視座から俯瞰的に捉え、その動向を可視化していきたいと考えています。
資料の2ページで示しましたが、このセミナーでは国政や地方自治、法実務、法学分野の研究教育などの、現場で最も基礎的な位置を占める法情報の生成と活用に関わる分野を優先的に扱いたいと考えております。資料の3ページに挙げている左側の赤い下線のものが現在具体的にどうにか実施したいと思っているテーマでございまして、第1回法制執務、第2回の官報のデジタル化は既に実施しておりますけれども、この後、順番は未定ですが、法令の審査について、それから、本日から法務省の司法法制部の方もおられますが、これからご協力をお願いして、判例情報、裁判例の情報についての扱い、それから、法令や例規をどのように保存・確保していくかということ、さらに自治体の法制執務をどのように展開するかということなどを、できれば年度内、年度を超えても、これを連続的に取り扱ったセミナーを開催したいと思っております。
資料3ページの右側にあるのはもう少し興味深いところがあるだろうと思っている分野でございまして、こういった分野について、それぞれ個別のセミナーを開催していきたいと思っております。
講師陣としては各関係省庁の担当官の皆様や当該の分野の最前線にいる研究者や実務家の方に依頼をしたいと考えておりますので、ぜひご協力をいただければと思っているところでございます。
このセミナーは2段階の取組をしておりまして、セミナーで現在の取組の情報発信や現状の報告をしていただいた後、大体1週間から10日ぐらい後にワークショップを開催し、セミナーに基づいた形で、民間各社での取組や受け止め方をうかがったり、また、意見や感想等を交わす時間を持ったりするという、セミナーとワークショップの2回構成で個々の企画を展開をさせていただいています。セミナーの対象といたしましては、ここに書かれたような関係者の皆さんや関心のある方にどんどん参加していただきたいと思っているところでございます。
既にご案内のとおり、第1回目として、7月25日にデジタル庁の省庁業務サービスグループでe-LAWSを担当しておられる大久保修平様に、この検討チームの議論の進捗と今後のPoCの方向についてご紹介をいただきました。
第2回目はPoCに積極的に参加したいというご意向を持たれている独立行政法人国立印刷局の官報部専門官の阿部隆弘様に官報発行の現場、本当に現場の詳しいところまでご報告をいただきました。これからの官報のあり方として、これからどんなシステムを組んでいかなくてはいけないのか、それから、働き方改革にどのような貢献をしなければいけないのかということについてのご意見をいただくなど、これからの官報の姿やそれに向けての国立印刷局の担当のみなさんの熱意がリアルに感じられる報告をしていただきました。それぞれ200名、170名という申し込みをいただいて、セミナーでも、ワークショップでも有意義な意見交換も行われたところでございます。事後の映像配信を含めますと、申し込んだ方の90%以上の方が視聴してくださったものと確認をしております。
先ほど申し上げましたとおり、この企画では法の世界のDXとして幅広いテーマを取り上げていきますけれども、「法制事務のデジタル化検討チーム」の議論の進展をフォローしたいと考えておりまして、技術的側面と利活用の側面を分け、分科会等細かい集まりもつくっていくような形を採りまして、関係者の幅広い情報提供と議論の深化、それから、到達点の共有を図れるように企画を進める予定でございます。
法制事務のデジタル化というものは、我が国の近未来の自然の流れといえるわけですけれども、関係府省庁ほか、国会や裁判所を含む関係機関、国会図書館、これまで法情報を提供してきた民間の皆様がおられますが、関係者は実は個別に当事者でございますので、直接議論しにくい面があったかと思います。そこで知の結集と交換をする役割を持つ大学の機能を活用して情報共有を図ることで、それぞれの壁を越えて議論し、新たな関係を創発できればと思っているところです。このフィードバックを踏まえることで、この検討チームやデジタル臨調の取組自体の早期化を実現できれば、それに貢献できればと思っています。
今後、PoCに多くの関係機関、それから、府省庁等に参加していただいて有益な成果を上げていくためにも、より幅広くPoCに参加をいただけるように展開したいと考えておりますので、皆様におかれましてもご支援・ご協力を賜りますようにお願いいたします。どうもありがとうございました。
事務局(須賀): 米田先生、大変ありがとうございました。
いずれの会も盛況で、本当に私どもも勉強になっております。
では、ここで少しテーマが変わりますけれども、議事の3「臨時国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施」に移らせていただきます。河野大臣が着任されて、デジタル法制局をすぐ設置するのだとおっしゃっていただいて、その機能が立ち上がっておりますので、責任者の中野企画官から報告をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
事務局(中野): よろしくお願いいたします。デジタル庁の中野と申します。柳生の後任として7月に着任いたしました。今後とも何とぞよろしくお願いいたします。
今、須賀からご紹介があったとおりですけれども、次期臨時国会提出予定法案を対象にデジタル原則への適合性確認等プロセスを既に試行的に実施しておりますので、この取組についてご説明させていただきます。
まずはデジタル原則に照らした規制の点検・見直し作業に関するこれまでの取組を簡単に振り返らせていただこうと思います。昨年12月に構造改革のためのデジタル原則について閣議決定が行われました。ご案内のとおりでございます。本年6月にデジタル臨時行政調査会において一括見直しプランを決定しておりまして、これにのっとりまして目視規制、実地監査、書面掲示等の7項目の代表的なアナログ規制を定める、法令の約5,000条項、そして、新規点検対象の約2,000条項を対象に点検・見直し作業を行ってきているところです。後ほどご説明しますけれども、今回試行実施しておりますデジタル原則適合性確認等のプロセスにおいても、これら7項目の代表的なアナログ規制を対象として点検を行ってきているというところになります。
次は8月30日のデジタル臨時行政調査会作業部会に提出させていただいた資料でございます。先ほどご説明した7項目の代表的なアナログ規制に加えまして、フロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定につきましても、今回のデジタル原則適合性確認等プロセスの対象としておりますのでご説明させていただきます。
フロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定の現状としましては、一括見直しプロプランにおいてもフロッピーディスク等による申請等の原則オンライン化の検討が盛り込まれたことを踏まえまして、改めてデジタル臨調事務局で法令検索を行い精査しましたところ、約1,900条項にフロッピーディスク等の個別の記録媒体を指定する規定が存在することが判明したところでございます。
こうした規定に関する課題としましては、第1に行政手続を定める法令の中でフロッピーディスク等の利用が規定されることで、デジタル手続法の適用除外となって手続のオンライン化が進みにくいという課題があります。第2に行政等による名簿・登録簿の作成など、行政手続以外についても古い記録媒体の利用が規定されることで、他の新たな記録媒体やクラウド等の利用の可否が法令上不明確になっているという課題が存在します。
このような状況を踏まえまして、デジタル臨調事務局で作成した法令のリストを各府省に提示し、フロッピーディスク等の規定が含まれる法令の精査・点検と見直しの方針の検討を開始しているところでございまして、各府省の見直し方針について、年内をめどに取りまとめ、デジタル臨調として公表を予定しているところでございます。
次に、こちらは6月3日のデジタル臨時行政調査会に提出された資料でございますが、これまで法令等のデジタル原則適合性の確認プロセスにつきましては3つの具体的な方向性が示されているところです。
第1に、公の会議体での議論を踏まえて、政策企画の早い段階から各府省が自立的に考慮できる具体的な指針をデジタル庁が策定することとされています。
第2に、デジタル原則適合性確認プロセスを立法プロセス等へ組み込むということでございまして、新規法令等のうち、法律案・政令についてはデジタル庁が内閣法制局予備審査前までを想定して主体的に確認するとともに、省令以下については各府省庁が決定前、これはパブリックコメント前を想定しておりますが、それまでに確認する、既存法令等については今後、技術の進展、国民の要望、執行状況等を踏まえて公の会議体による検討を経て、デジタル庁が点検することなどの内容となっています。
なお、一括見直しプランではこの新規法令等の確認プロセスは令和6年常会提出法律案のうちから試行的に実施することとされていたところでございます。
第3に、デジタル庁の確認等を経た上で定められた法令等における執行に向けたシステム、手続フロー、体制について事前にすり合わせるプロセスを設計・制度化するため、情報システムの整備及び管理の基本的な方針や指針において当該プロセスを明確化する、まさにエンド・トゥー・エンドでデジタル化を進めていくという内容になっております。
今回、このデジタル原則適合性確認等プロセスの前倒し実施について、本年8月30日に河野デジタル大臣からご発言がございましたのでご紹介させていただきます。
河野大臣のご発言としましては、「昨日、岸田総理にデジタル臨調の取組のスピードアップについてご説明をいたしました。」、「デジ臨で今アナログ規制を見直していますけれども、例えば、この秋に招集される臨時国会で、それに逆行するような条項が入った法案が出てくることは避けなければいけないわけですから、デジタル法制局をデジ臨の中に設置して、この秋の臨時国会に提出予定の法案からしっかり見ていきたい。」、そして、総理の方からとにかくこのデジタル改革についてはスピードを最優先に実行してほしいということでございましたので、秋に向けて、デジタル法制局を早急に立ち上げて、しっかり審査をやってほしい。」、「今日、デジ臨の事務局の中に、デジタル法制局17名で立ち上げました。この秋に提出されるであろう法案のアナログ規制に逆行するようなものがないかどうか審査をしてまいります」とのご発言となります。
こちらを受けまして、一括見直しプランにおいて2024年、つまり令和6年常会提出法律案のうちから試行的に実施することとしていた新規法令等に対するデジタル原則適合性確認等プロセスを前倒ししまして、次期臨時国会への提出予定法案を対象に試行的に実施しているところでございます。
こちらが指針の素案の概要でございまして、各府省庁にお示ししている内容でございますけれども、趣旨・対象としては、デジタル改革をより一層加速させるため、次期臨時国会提出予定の法案を対象として7項目の代表的なアナログ規制に該当するアナログ行為を求める場合があると解される規定、そして、先ほどご説明しましたフロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定、こういうものをチェックしていくということになります。
具体的には、7項目の代表的なアナログ規制に係る確認方法としては、7項目に該当するアナログ規制を課している条項、いわゆるPHASE1が存在しないことを確認するとともに、活用可能な技術の水準等に応じてPHASE2、又はPHASE3のいずれかの段階にあるかを確認するということにしておりまして、これらの確認の結果、PHASE1に当てはまる条項がある場合ですとか、PHASE3と区分されるべき条項であるにもかかわらず、PHASE2に当てはまる条項がある場合は、これらのPHASEを進めるために案文等の見直しができないか検討することとしています。また、フロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定に係る確認方法としては、オンラインでの手続型の記録媒体、クラウド等の利用ができることを明確にするという規定への変更の可否を検討することとしております。
最後に、今回の前倒しを踏まえまして、このデジタル原則への適合性確認等のプロセスに当たっての工程案を更新しておりますのでお示しをさせていただきます。上段が5月13日、前回の検討チームでお示ししたものでございますが、指針につきましては素案を今回8月に策定しましたので、前倒しした上で、今後、今回の試行を踏まえて見直していくという内容に更新しております。また、新規法令等の確認につきましては、次期臨時国会提出法案のうちから試行的に確認し、順次対象を拡大していくという内容に更新させていただきます。
以上が資料3となりまして、資料4の方は先ほどご説明しました指針の素案の本体となりますので、説明は省略させていただければと思います。
私からのご説明は以上となります。ありがとうございました。
事務局(須賀): ありがとうございました。
それでは、事務局からの資料のご説明は以上となりますので、ここから先は質疑応答・意見交換の時間とさせていただきたいと思います。会合自体は14時半までお時間をいただいております。
まず冒頭に、山内補佐からご説明しました資料1に関連して、作業部会の構成員であられます増島弁護士から幾つかコメントを事前にいただいていますので、そのご紹介と、それに対する回答から始めさせていただければと思います。
山内さん、お願いします。
事務局(山内): 増島先生からいただいたご質問、ご了承をいただきましたので、この場でご紹介してご回答させていただきたいと思います。
メールで頂戴しましたご質問を抜粋してご報告いたしますことをご理解いただければと思います。2点いただきましたので、1点ずつまいります。
まず、1点目でございますけれども、「今回いただいた素案について、これは現状の法制事務のワークフローの変更を伴う提案という理解でよろしかったでしょうか。事故を起こさないような技術的に複雑な課題を解きにいくという行き方もあるわけですが、ソフトウェアの条件構文を複雑化すると、そこには必ずバグが生まれることも事実です。既存のワークフローを前提にシステム・技術のほうで問題を吸収しようとするとろくなことが起こらないというのが、これまで日本の企業社会が学習してきたレッスンだと思います。
したがって、今般のデジタル化はこうした過去のレッスンからきちんと学習して、システムはシンプルに、拡張性を高くすることを優先し、法制事務のアナログなワークフローの変更をいとわないという大方針の下で行われなければならないはずですが、いただいた素案・提案は、そのような前提に立ったものと理解してよろしいでしょうか」というご質問をいただきました。
まず、この点についてですけれども、ワークフローの改善がありきであることについては、私はご指摘のとおりだと考えてございます。その上で、本質的に何が必要なフローなのかという観点で検討が必要かと思っておりますけれども、例えば施行期日の面については、公布日施行とか条約の発行期日みたいに本質的に未定のものが考えられますので、こういったものも考慮する必要があるかと考えております。いずれにしてもシステム設計とフローはセットで検討すべきものだと考えてございます。これが1点目でございます。
2点目は経過措置に関するご質問を頂戴しています。「法改正がありますと、法改正前に行っていた一定の行為について、法改正によって何かアクションが必要なのかどうかということが問題となります。いわゆる経過措置がこれをカバーしているわけですが、今回のデジタル化された法制事務において、この経過措置がどのように取り扱われているのか」というご質問でございます。
こちらについては経過措置規定ももちろんこのシステムのスコープと考えてございます。では、どう扱うかということでございますけれども、経過措置規定自体は改正規定と異なりまして、それ自体が溶け込んだ条文として機能すると考えられますので、新規制定条文だとか、あとは改正規定でない附則などと同じような取扱いができるものと考えてございます。
増島先生からいただいたご質問については以上でございます。
事務局(須賀): ありがとうございました。
では、この先は挙手いただいた方にご指名をさせていただければと思います。
渡部構成員、お願いいたします。
渡部構成員: 皆様、いつもお世話になっています。弁護士の渡部と申します。今日は4点申し上げたいことがあります。
今回、事務局からの資料を事前に配付いただいて読んでおりまして、また、今日のプレゼンテーションを拝聴して、これは非常に時間もかかったのではないかなと思っています。すばらしい資料、すばらしいプレゼンでございました。まず、この点を冒頭に申し上げたいと思います。非常に時間がかかったのではないかなと感じるとともに、本当にすばらしいチームになっているなと思っております。
第1点ですけれども、山内補佐に質問がございます。まず、この法令等のデジタル正本に関連して、内閣法制局の審査という関係では、内閣法制局がユーザーとしてどのように巻き込まれていくのかというところについて、少し所感を教えていただきたいなと思っております。
第2点の質問として、ちょっと関連してなのですけれども、まさにこの内閣法制局審査のプロセス、増島先生の言葉をお借りすると「ワークフロー」というところも恐らくデジタル化していくのかなとは想像しています。まさに内閣法制局の審査というところが、どのように併せてデジタル化していくのかについてぜひお考えをお聞かせいただければありがたいなと思っています。
第3点でございますけれども、今後、このシステムを使うに当たって、まさに官庁の方のデジタル人材の育成と申しますか、例えばこのツールの使い方、エデュケーションが問題になってくると思います。これも今後デジタル庁さんが中心になって進めていくものなのか、ぜひご教示いただければと思っております。
最後に4点目、続けてで恐縮ですけれども、資料3の中野様に質問がございます。こちらも拝見していると、法制局の事前審査の前にデジタル化に適合しているのかを事前確認するプロセスが新しく加わると読み取れました。
誤解があれば恐縮なのですけれども、そうすると、恐らく従来のスケジュールがよりタイトになって、2つ審査をクリアしなくてはいけないのかなと感じたのですけれども、ここも何か法制局の審査、また、デジタル法制局の審査ともに、ワークフローやプロセスをデジタル化できないのか、例えばメールで今どうなっていますかというのではなくて、例えば今誰々が審査していますとか、どういう状態ですというステータスみたいなのもデジタル化していけたら素敵かなと思っていたのですけれども、この点もぜひワークフローのデジタル化をご検討いただけたらありがたいなと思っております。
長くなりましたが、以上4点でございます。恐れ入ります。
事務局(須賀): 山内さん、中野さんの順で答えていただけますか。
事務局(山内): では、冒頭の3点、ご回答させていただきます。
まず1点目ですけれども、内閣法制局はユーザーとしてどうなっていくのかというご質問をいただきました。こちらについては審査というのは内閣法制局の責任でやっているものですので、このシステムのまさにオーナーの一つに内閣法制局が位置づけられていくのではないかと思っていまして、検討にも参加いただく必要があるのかなと思っています。現時点では、こういう公開の場ではないところで情報収集をしている段階でございますけれども、こちらについてはシステムの全体像だとか、どういうスコープで取り組むかというようなところの案を今固めているところですので、その後、法制局も巻き込む形で検討が進められていくべきだなと考えているところでございます。
次に、内閣法制局の審査について、どうデジタル化していくかというところでご質問を頂戴しています。こちらはまだプロセスの詳細なところまで設計には至っていないところでございますけれども、例えば審査でどういうことが行われているかといえば、既に公布されているだとか、改正済みの溶け込み条文みたいなものを参考にしまして、それに例えば改め文が溶け込むかとか、そういったものを審査していると認識しておりますので、そういったところに施行前の信頼性の高い法令データが必要になってまいりますので、そういったところのワークフローをまず精査しまして、必要な措置について考えていく必要があると思ってございます。現状、まだ細かくはできていませんけれども、検討してまいりたいと考えているところでございます。
3点目の人材、特にツールの使い方についてでございますけれども、こちらはシステムを設計して、あとはそれを使っていく段階で、もちろんツールの使い方だとか、そういうのはユーザーにとっても分かりやすく整備していくところでございます。まだ、ここもどういう形式でやるかというのは考えていないところでございますけれども、ユーザーが普段使っているシステムと連携がしやすいような形にして使いやすく作る。その上で、実際にできたシステムをどうやって使っていくかというのは慣れていただくようなフローも含めて、設計の段階で想定する必要があると考えてございます。
冒頭の3点は以上でございます。
事務局(中野): 中野でございます。ご質問ありがとうございます。
まさに先生のご指摘のとおりでございまして、2つチェックする機関があって、例えば各省が混乱するとか二度手間になってしまうとか、そういうことがないようにするということで、我々としましては常会を念頭に予備審査前、例えば秋頃からとか、こういう段階から各府省でまずは自律的に考えていただくということ、代表的なアナログ規制のような規定が入らないようにしていただくということもそうですし、我々ができるだけ、まさにデジタル技術を使って効率的かつ効果的に見て、早め早めに審査をしていくということかなと思っていまして、まさに内閣法制局とのシステム面での連携というのは、この試行実施で秋からやっているところですので、現段階ではそこまでまだ至っておりませんけれども、まさにご指摘のとおりかと思いますので、今後、本格実施に向けて検討を進めていきたいと思います。ありがとうございます。
渡部構成員: 貴重なご教示ありがとうございました。非常に勉強になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
事務局(須賀): 今、最後にご指摘いただいた点にたどり着くと、山内さんと中野さんの検討が合流して、一緒になって設計するタイミングになるのかなと思いますし、それこそがこの検討チームのもともとの問題意識でありますので、しっかりそこにアドレスできるように歯を食いしばってやっていきたいなと思います。ありがとうございます。
八木田構成員、お願いいたします。
八木田構成員: Legalscapeの八木田でございます。皆様の発表、本当にありがとうございました。
私からは、資料1に関しまして1点補足と、1点意見がございまして、よろしければ、資料1の12ページを共有いただけないでしょうか。
まず1点目、先ほど山内補佐にも私の以前の発言に言及いただいたところではあるのですけれども、この画面左側のデータ構造ですとか、設計上の要求条件の部分について、以前、米田先生より先ほどご紹介いただきました法制執務のデジタル化の最前線のワークショップで発言させていただいた内容をご共有させていただければと思います。
弁護士を含むいろいろなユーザーにリーガルテックサービスを提供している立場として、現状の法令の公開に関してユーザーの抱えている課題を収集しているのですが、大きく3つありまして、まず、1つ目はデジタル正本の不在、しかもその事実が知られていないということがあろうかと思います。2つ目は過去の法令やその差分の情報がない、履歴がないということです。最後に、法令の周辺にある法令関連情報というものがリンクされていないというのが、よく当方がヒアリングをさせていただく中で、ユーザーさんがおっしゃるポイントです。
その中で、今まさに出していただいているスライドの12ページのところに記載いただいたとおりなのですけれども、法令の公開について求められている要求条件というのは、全てのデータを、正しい状態でタイムリーに、機械可読な形で、過去分まで出していただきたいということなのかなと思っています。それら全ての要素を、この中に入れていただいていると理解しております。特に全てのデータを正しい状態で入れていただくというのはかなり重要で、これは現状、デジタル正本がないのにその事実を知らないという弁護士の先生が一定いらっしゃるのですが、それがちゃんと担保されているということが、ここでまさに期待されている部分であります。
また、タイムリーというところ、ここのAの3のところにありますけれども、そこの背景としては、例えば官報で出た1週間後に法制事務システムを通じてデータが出ますということになってしまうと、本当にいち早く知りたいという方は、では、官報の紙なりPDFなりを読みに行きますという話になってしまって、このシステムをつくった効果が結構薄れてしまうのかなというような趣旨でございます。
さらに、この「機械可読な」というところもポイントかと思っておりまして、国としてデータを出した後、いわゆる民間企業にとっては、そのデータが機械可読でない形だとなかなかやりにくい、リーガルテックの市場が生まれていろいろな企業が切磋琢磨していくということが起きにくい、というような趣旨になります。
最後に、過去分までというところは、4番目に書いていただいてはいるのですけれども、過去のものまで出していただくと、例えば5年前のこの事件に対応するために、5年前の民法が必要だみたいなことも国民としては見られるようになるということで、ここも結構重要かなと思っているというところでございまして、補足として申し上げさせていただきました。
2点目は、意見みたいなところになってしまいます。これは私が完全に理解できているわけではないのかもしれないですけれども、おっしゃっていただいた施行期日の不確定性を考慮したデータ構造によって、その前のページでご指摘いただいた問題は解決できるのかなと思っています。
他方で、私はこれは結構難しい部類の問題なのかなと思っておりまして、全体のアーキテクチャとか実装を複雑化する要因の一つなのかなと理解しております。ですので、ここについては引き続き検討を進めるべきという前提ではあるのですけれども、一案なのですが、少なくともPoCにおいては、こういったところをスコープ外にするのもあり得るのかなと思っておりました。進め方としては、本件に対応する場合、しない場合で、具体的に各ユーザー、要するに、例えば行政でのワークフローがどう変わるのかとか、法令を利用する一般国民にとってのUXがどう変わるのかというところの調査と、それぞれでどうインパクトがあるのかというところに加え工数などのコスト次第で、PoCに含める、含めないということを検討されたほうがいいのかもしれないなと思いました。
長くなってしまって恐縮ですけれども、少し一般化してまとめますと、こういった高難易度な部分が今後も幾つか出てくるのかなと思っておりますが、実際の運用に向けたロードマップを細かく引いていく中で、今まさにやろうとしているPoCの範囲はどこまでにするかという議論や、またそのPoCを基にどういうプロセスで実際の運用に向けてこのプロダクトを作り上げていくかという議論の中で、こういった高難易度な部分をどこまで対応するかという検討を今後もやっていく必要があると思っております。
長々と意見を述べさせていただきましたが、ありがとうました。
事務局(須賀): ありがとうございます。
山内さん、いかがですか。
事務局(山内): まず、1点目の補足について、ありがとうございました。
このシステムはデータの利活用面も含めて視野に入れて検討すべきものと考えてございますので、非常に有益な議論につながる意見を頂戴したと思っております。
2点目の意見でございますけれども、かなり重要な観点をいただいたと思っていまして、難しい施行期日の問題に今解決策として挙げているこのデータ構造ですけれども、これを使わない場合でも対処できることは確かにあるかなと思っていまして、これを本当にする必要があるのか、そもそもできるのか、あとはやったところでどういう効果が出るのかというところは、しっかり把握しておく必要があると思っていまして、その調査は必要なのではないかなと思っています。一遍にやるのではなくて、一貫してやるとガイドライン等にも書いてございますけれども、そういったところの観点が必要になるのかなと思った次第でございます。
以上でございます。
事務局(須賀): 八木田さんの基本の3項目というセミナーでもおっしゃっていただいたものを私たちもその後持ち帰って何度も言及しながら検討してまいりましたので、本当にありがとうございます。
続きまして、藤原構成員、コメントをお願いいたします。
藤原構成員: 藤原でございます。今日はご説明をどうもありがとうございました。
最初に、米田先生のセミナーはすばらしかったなという感想を言っておこうと思っていまして、私は1回目は話すほうで出て、2回目は聞いていたのですけれども、本当に現場感覚がすごいよく分かって、この手の改革とかBPRとかDXはトップダウンとボトムアップが両方必要で、現場の感覚が分からなくてはいけないので、現場はこういうことを考えていて、そのうちこのぐらいは前提が変わると変わってしまうというところも含めていろいろ理解することができて、かなり有益だなと思って、これからも大変期待しています。とりあえず感想でした。
あと3つほどコメントしようと思います。
1つ目は細かいお話で、先ほどの増島先生のご質問に関連して、経過規定の話があったのですけれども、なお従前の例によるというものだけは何となく特別な扱いが必要なのかなという気がしておりまして、法令から消えてしまった条文の効力が残っていたりするので、この対応は真面目に考えておいたほうがいいのかなと思いました。ちょっとマイナーなコメントです。
あと2つ、私も実は先ほどのスライドの14ページの素案のところについてコメントがあるのです。
1つ目は、まさに八木田さんのコメントとかなり似ているところもあって、私はやってもいいかぐらいに思っているのですけれども、大変そうだなという意味では同じ感想を持っていて、特に場合分けが増えてしまうというか、最初につくる人は1パターンだから全部つくればよくて、次が来ると、前か後かで2パターンについて2つの条文を作ることになって、3つ目だと9パターンぐらいになってどんどん増えていってしまうのです。これはどのぐらい改正が重なる可能性があるか分かっていないですけれども、多分すごく膨大になる可能性があるので、これを全パターンについて常に溶け込まし文をつくっておくというのは多分必要ないし、やるべきではないし、放っておくと全部論理的に場合分けしたプログラムをつくってとなりがちなのですけれども、そういうことは多分しないほうがいいなと思っていて、どのぐらいまで頑張るのかというところを決めなくてはいけないなと思っています。
一方で、確かにこれは抜け漏れが多いので起こり得ると思うので、こういうパターンがありうるとシステムが示してくれることはすごく有用な気がしているので、示してくれるけども、全部つくっておかなくていいみたいな、そういうルールが何となく感覚的には良さそうに思うのですけれども、いずれにせよ、その辺りも含めてちょっと考えたほうがいいのかなという気がしました。基本的にできることを頑張りすぎてしまうとか、全部やるというのは大体何か失敗のもとだと思っているので、そのように思っています。
もう一つは、同じ14ページの中で自動出力しやすい改め文を許容するような運用変更とあって、これが多分すごいポイントだろうと昔から思っているのです。特にこのスライドを拝見した後、e-GovのXMLのスキームとかを眺めながら思っていたのですけれども、私はエンジニアではないので素人考えなのですけれども、逆に素人考えのほうが分かりやすい方もたくさんいらっしゃるかなと思って一応お話をしようと思います。
例えば何条を削除しますみたいな修正をWordとか一太郎で人間が普通にやると、段落を選択して消して一生懸命その後の条文番号を消して変えていくみたいなことをやると思うのですけれども、XMLのデータ的には、ここからこのタグを消して、この後、この条文番号のタグの数字を全て1減らすという自動的な作業として簡単に書けるはずだと思うのです。それはよく考えると、プログラミングの指示というか命令としては改め文と同じような内容なのです。
多分、前も何か話が出たかもしれませんが、改め文というのは基本的にはデジタルではない時代にコンピューターのプログラミング的なことを言語的に書くとああなるということだったのだと思っているので、今後、この改正の内容の表現方法をどうするかというのは考える必要あると思うのですが、多分XMLのいじり方と平仄を合わせて、そこがずれないようにしていくと、どちらから見てもいいということになるような気がしているので、そういう観点で改め文をどこまで維持して、どこから変えるかみたいなことを考えるということをしたほうがいいのかなと思ったというところです。
私からのコメントは以上です。
事務局(須賀): ありがとうございます。
山内さんからまず回答ですが、中野さんも何かコメントできるところはありますか。
事務局(中野): 1点だけ、なお従前もそうですし、結構議論になるがなお効で、要はもう法令上は溶け込み条文から消えてしまっているけれども、効力を有する条文というのを何と申しますか、有用性があるのではないかというような議論もあるのですが、その辺り、逆質問みたいなって申し訳ないのですけれども、先生、いかがでございますでしょうか。
藤原構成員: 基本的になお従とかなお効とかという規定は本当に見落としの原因になりやすくて、実務家の立場から言うと、あれがどこかに全部載っていて検索でヒットするデータベースがないかと思うぐらい欲しいものではあるので、あると国民的には便利だと思うのですけれども、どこにどういう形で持たせるのが良いかは、よく分からないです。
事務局(中野): ありがとうございました。
事務局(須賀): ありがとうございます。
山内さん、お願いします。
事務局(山内): では、2点目、3点目にご回答させていただきます。
まず、2点目については、これを全部対応するのは大変だなというところと、あと、論理的に場合分けしたところに全て全部溶け込ませを書くのは必要ではないし、やるべきではないというようなご指摘だと思っています。衝突することを示してくれるけれども、それを必ずしも書かなくてもいい、できることを頑張りすぎては失敗のもとということをいただいております。この点について、私の個人的な考えになってしまうかもしれないのですが申し上げます。
こういう施行期日が前後するところは、この規定を書く側がどういうことをやっているかと申しますと、例えば2段階、3段階の改正が同じところで衝突するとなったときは、それぞれの溶け込みで矛盾のない溶け込みが生じることを必ず法令の担当者の側で責任を持って保証する必要がございます。なので、その段階ごとに新旧対照表を書いたりしまして、それが衝突しないということ、衝突してもちゃんと溶け込むことを確認してございます。実際にここは必ず担当者のメンタルモデルの中に入ってくる要素かなとは考えてございまして、そこを明確化するのだという考え方も一つあるのかなと思ってございます。
一方で、こういう複雑なパターンを全部網羅するのではなくて、こういうパターンで施行されるというのをあらかじめ想定しておくようなことも一般的にされておりまして、その場合、調整規定とかを設けずに、施行期日政令を策定するときに、この順番でやりましょうということで措置しているところもございます。これも施行期日政令で考慮漏れをしますと事故になりますので、ここはきっちり考える必要があるのですけれども、全部溶け込ませをやるというのは確かに手間でございまして、そういうこれまでやってきたような管理的なフローも含めて、より使いやすい使い方を考える必要があるかなと思った次第でございます。それが2点目についてです。
3つ目、改正規定を考えるとき、例えばXMLのタグをこのように編集するのだという考え方だとか、そういう改正だとかの形式の整理という観点でご指摘をいただいたと思っております。こちらも改め文の出力だとか、あとはそれが溶け込むかみたいなことを考えるときには必ず考えているはずでございまして、私がまだ不勉強なのですけれども、恐らくe-LAWSの中でもこういった取組がきっとあるのではないかと思ってございまして、こちらも勉強しながら、こういうXMLのデータ構造に整合性を取った形式を考えたいと思っている次第でございます。
以上でございます。
藤原構成員: ありがとうございました。
事務局(須賀): ありがとうございました。
では、角田構成員、お願いいたします。
角田構成員: 私もスライドの14ページのところについてのコメントなのですけれども、PoCから外すというご提案は結構よろしいのではないかと思っています。私が懸念しているのは、細かいところまで考えてくださったことが、逆にあまり多くの人々に伝わらないかも知れないという不安でして、そうなると少々もったいないと感じています。
そういう意味では、PoCよりも前段階でシミュレーションを行って多くの人々に納得感が得られるようにしていただきたいです。こういう法令のシミュレーションは昔の人工知能でも論理式表現を用いた推論による方式が30年くらい前に流行しました。そのときに、法令の扱いはかなり面倒な点がありました。例えば、法改正にはありがちな、文面がその文自体を書き換えてしまう可能性があったりですとか、存在した記述が消えてしまって話にならなくなってしまったりですとか、そういう状態の対応が大変なのです。このような状態の一般的解法は、数学的に保証されている原理的に完璧な手法で対応するのはかなり面倒になります。このようなケースで手っ取り早いのはシミュレーションして実際に動かしてみるアプローチで、ポピュラーだと思います。
そういうことを考えたときに、条文改正の際に条文が消えてしまうとか、条がずれてしまうとか、結果として、条文のIDとなる識別子が変わってしまうなど、そもそもIDが存在していたのかという疑問もありますが、普通のデータベースのアーキテクチャでしたらIDが変わってしまうのはあり得ないわけですが、これらのような問題が発生しがちだと思います。
そういうIDの内部管理だとか、本格的にアーキテクチャの問題とも関わってくる話なので、先ほど八木田構成員も懸念されたのだと思うのですけれども、より分かりやすい構造にしておくとか、内部構造とも関係するので、むしろPoCのような目的ベースの最小機能要件というよりは、手順確認的なもので、実験例でもよいので、PoCの前、あるいは別途、何か具体的なものがあったほうがよいのかなと思います。リソースも限られていると思いますので、山内さんだけにお任せするという意味ではなく、何らかの形でPoCとは別個にシミュレーションも実施したほうがいいかなと、私がお話を聞いていて思ったことです。
保持するのが溶け込んだ条文というのではなくて、絶対的な時系列がどのようになったとしても存在し続けるような例えば条文の条名(条文の「第○条」の部分のこと)とは別にIDみたいなもので、永久欠番的なものが別途あることが、単なる開発上の便宜的なものではないアーキテクチャとして必要なのかも知れないと思いました。今までは書面に書いた法令をもって、そこに条名でIDの役割もある程度持たせていたのですけれども、今はデータを膨大にストレージに保存できる時代なので、アーカイブの話でもありますが、消えてしまわない形でデータが裏側というか水面下に蓄積されていって、その一面が氷山の一角のように、ときには現実の改正法案として、あるいは今生きている法令として出力されるような、そういった広い基盤が裏にあるような形のアーキテクチャを考えてもいいのだろうと考えています。断片の積み重ねではない形という意味です。一つのアイデアとして、そういうことも想定したシミュレーションもしていただけたら、と思いました。
事務局(須賀): ありがとうございます。
シミュレーションというのはどうですか。山内さん、何かコメントはありますか。
事務局(山内): 角田先生の問題意識、私の理解を確認させていただければと思います。
私も今のこのアイデアはまだ素案ですし、あと、全ての例えばシナリオを網羅したシミュレーションができているかというと、そうでもなくて、なので、まだここは生煮えというか、現時点でPoCに持っていける段階のものではないというようなご指摘なのかなと思いますけれども、まず、そういう理解でよろしいですか。
角田構成員: はい、よろしいかと思います。
事務局(山内): ありがとうございます。
その意味では、ここをさらに詰めていく必要があるとは思っていまして、ご提案いただいたようなシミュレーション、あるいはプロトタイプみたいな形でこれが動くのかなというのをPoCをやる前段で、手元でやるPoCというか、それはむしろ必要なものかなと思っていまして、私が作るというのもそこはやぶさかではないところでございますけれども、やり方は考えてやらせていただくのと、あとはちゃんといろいろなシナリオも考慮しているというようなところも含めて、今後、その資料だとかもブラッシュアップをしていきたいと思っております。
IDについて、かなり重要なご指摘をいただいたと思っていまして、IDは改正法の位置づけを考えるに加えて、データの利活用という段階で参照するときにもかなり重要になってくると思っておりますので、そこも含めて設計を検討していきたいと思っております。
以上でございます。
角田構成員: ありがとうございます。
シミュレーションを実施していくというお話は、まさにそうしていただきたいです。これまで、アジャイルという言葉はデジタル庁さんの会議などでは何度もお話に出てきているのですが、今まさにおっしゃっていただいたことがアジャイルな、特にポピュラーなプロトタイピング的な手法ですので、見本になるようなアプローチだと思いました。このご提案のままのイメージで本当に最後までいけるかどうか分からないところがあるかもしれないですけれども、そのやり方というのはとても賛同できます。私自身も研究上、興味がある分野ですので、可能な範囲にはなりますが、できることがございましたらお手伝いさせていただきます。よろしくお願いいたします。
事務局(須賀): 大変心強いコメント、どうもありがとうございます。
今、ご説明したものと全然違うものが最終的にサービスとして出来上がったら、それはそれでアジャイル開発がうまくいったということだと、このチームでは認識していきたいなと思います。
続きまして、安野構成員からお願いいたします。
安野構成員: 安野でございます。若干電波が悪くて、ビデオなしで失礼させていただきます。
まず、チームの皆様には議論をすごくうまく資料に落とし込んでいただきましてありがとうございましたというところと、あと、コメントを3点ほどできればと思っています。
皆様がお話をされていた施行期日の不確実性の部分で思ったところで、まず、ぱっと見の感想として、八木田構成員もおっしゃっておりましたが、長いこと施行前の法令があって、そこにさらにアップデートが頻繁に起きるときに組み合わせ爆発が起きそうだなと思いまして、若干これは私もちゃんと理解できているか危ういところではあるのですが、どれくらいアップデートが頻繁に起きるのかというところで、あまりそういうのがないのであればいいし、あれば結構問題だなというところでした。
八木田構成員もおっしゃっていたように、これはどれくらい細かい問題なのかというところが1個あるなと思っておりまして、13ページを見ると、施行期日が不確定なのは極めて一般的という表現もあったので、何か意外と大量に起きるケースなのかなということも思いまして、これは1年にどれくらい起きているものなのかみたいな肌感が分かると嬉しいなというのが1点目のコメントです。
2点目のところで、PoCからこういった高難易度部分を外すというアイデア自体はすごく賛成で、こういう細かいケースまで全部PoCで対応しなければならないとなると、むしろ重要な部分にリソースを割けなくなると思いますので、基本的には賛成でございます。
一方で、PoCの中でどのような高難易度な問題にぶち当たったかというところのリストアップはぜひしていただけると、将来的にPoCが終わった後に、実際に実装するときにどれくらいの工数がかかりそうかみたいなところを考える上ですごく有用になると思ったので、どういうスケジュールやPHASEを切るのかというところあるのですけれども、どういう細かい問題リストがあるのかみたいなのは、ある程度PoCの段階か、もしくはその直後ぐらいでリストアップできるといいのではないかなと思いました。
3つ目が、こういった施行期日の不確定性みたいな細かい問題は多分いろいろ出てくるだろうなと思っていて、もし実運用に入った後に、米田先生もおっしゃっていたような論理的に解決できない矛盾みたいものが生じてしまったときにどうするかみたいなことは、ワークフローを考えるときに1個考えておくといいかもしれないなと思いました。ある種例外というかエラーが起きてしまったときに、どうそれを解決するのかというのは事前に考えておくと、将来的なトラブルを防ぐことができそうだなというコメントでございます。
以上です。
事務局(須賀): ありがとうございます。
山内さん、いかがでしょうか。
事務局(山内): 3点いただきました。ありがとうございます。
まず、1点目の施行期日が衝突する例がどれぐらい起きているかというところですけれども、私の手元に数字があるわけではございませんで、もしかしたら例えばPoCがそういったところの事実を確認するところからスタートするということになるのかもしれないのですけれども、これは状況としては一般的だと考えてございます。ただ、毎年提出される法令自体の数にも限度がございますので、そのスケールの中に収まるものかなとは考えているところでございます。
ここは先ほども関連するものがございましたけれども、これを実行することでどれぐらいの効果が出るのか、例えばどれぐらいの時間がこれで節約されるのかとか、そういったところについては調べる必要があると思っておりまして、この点がいただいた2点目にも関連するところでございます。どれぐらいこれが必要な高難易度のものがあるかというところの実態把握が必要になってくるということを考えてございます。それが1点目と2点目でございます。
3点目については、ご質問をいただいたものの理解に間違いなければ、そういうシステムで想定していたところと違うところだとか、そういう後々出てくるような手作業が必要になってくるようなところも含めた設計が必要だと理解いたしましたけれども、そういうところも必要だとは考えておりまして、必ず人間の手作業が、例えばもっと単純に緊急対応みたいなものが生じてくると思っておりますので、そこにも目を配った設計が必要だと考えてございます。
以上でございます。
安野構成員: ありがとうございます。
事務局(須賀): それでは、堀口構成員、よろしくお願いいたします。
堀口構成員: 堀口です。よろしくお願いします。本日は、資料のご説明をありがとうございました。
私のほうからは、資料1に関しまして幾つかご意見を申し上げたいと思っております。
まず、資料1の12ページに関してでございますが、こちらを拝見いたしましたところ、各種要件、APIを含めた要件というものが検討されておられると理解しております。私のほうからは、私自身が技術者ではございませんので、あくまでシステムビジネスのほうを運営する者として幾つかの観点を申し上げます。
こちらのようなAPIというものを、やはり幾つかご指摘があった点ではございますが、つくりすぎてしまうものが出てくるという懸念の中で、民間サービスとの比較、こういった中で陳腐化しかねないという点、その観点で、どのような点でAPIのインターフェースを切るかによって、民間が参入できるというような領域が変わってまいると理解しております。
このような中で、官民の得意分野、今回のデジタル化の中では、デジタル正本の整理というところが官が担う重要な役割と認識してございますけれども、こういったものと作業の効率化、霞ヶ関の働き方という観点、また、ユーザビリティという観点、こういった様々な官民の役割分担というような観点を踏まえつつ、民間サービスのレベルに遜色ないもの、あるいは民間で市場のある分野については民間サービスの活用というところも視野に入れてご検討されるのが全体的によろしいのではないかと感じた次第であります。
また、資料1の16ページに関しまして、産官学の既存研究や既存事業、海外の取組等にも目を配ってというご指摘があったかと思います。こちらは非常に重要な観点だと感じました。こういった観点でございますが、私の所属する法人においても官公庁様との業務改善の取組を既存事業の中で行っている点もございますので、こういったものが皆様の事業、PoCの検証、あるいは今後の開発検討において、お役に立てるものがあるとしましたら、何らかお役立ちさせていただければと思ってございます。
以上でございます。
事務局(須賀): 今のは応援歌だと認識すればよろしいですか。ありがとうございます。
では、米田先生、よろしくお願いいたします。
米田構成員: 今日の議論はほとんど働き方改革につながる、データベースの構造の話を中心にして進んできたと思うのですけれども、セミナーの成果として確認されたことを少し報告させていただきたいと思います。
やはり今回の取組は、法令が外に出てくる手前のつくる部分の話と、それから、今、民間と官の境目の話がありましたが、それを利活用するという部分、さらに保存の部分ということが重要な観点かと思っています。これまで、つくる部分については官庁ということで、この部分はかなり詳しく議論してきましたが、利活用の部分についての情報はまだまだ集まっていないと思っています。例えば改め文を溶け込ます技術というのは、各ベンダーそれぞれが持っていて、それぞれ特徴のあるデータベースとなっていて、溶け込ませるシステムや作業組織を持っているわけです。そういったものはどんなものがあるのかという情報について、まだ十分に明らかにしていただいていないので、それをまたお願いして明らかにしていただく方向が必要かと思います。そのほかでも、法文をデータ上で扱う経験値は圧倒的に民間のみなさんのところにあるわけで、それに学ばせてもらう方向が必要かと思います。
さらにこれを保存するという観点、これまで過去法令についての議論が先ほどありましたけれども、日本法令索引で結局国会図書館がずっと保存しているものが公的なものであって、無料で使える国民全員が使えるというシステムになっている。さらにそれを使った判例、裁判例が出てくるわけですけれども、そういった全体の法令のデータベースというか情報はどうあるのかということをもう少し広げてみる部分も必要かなと思っています。
特にデジタル正本をどのように政府から出すのかという観点でいくと、デジタル正本は恐らく技術者の方は、電子化されたゼロイチの世界で1個のもので、それが正本と思っているかもしれませんが、実際に我々が見るのは恐らくPDFが紙で印刷されたものを見るか、またはホームページで見るか、または利活用のためにXMLのデータで見るかという幾つかのバージョンで、しかし、中身が同じであるという群のようなものとして認識しなければいけないのではないかというのが、ここまでセミナーの中でも議論してきた結果かなと思っており、国民がアクセスできるデジタル時代の法律の正本のイメージとしてそういうものではないといけないのかなと思うようになったところがございます。そういったところを踏まえて、今後、議論をしていただければと思います。
もう一つは、先ほど教育の話が出たのですけれども、リーガルリサーチというものを見直す必要がある。我が国の法学教育では、乱立しているデータベースをどういうノウハウで使いこなすかという点について、法科大学院ができて初めて制度的に教育を始めましたけれども、法科大学院の教育内容が司法試験に傾斜することによって、授業からもその分野の重要度や取組み量が下がってしまっている。このリサーチの方法について、できるだけ簡単にと言えばおしまいなのですけれども、プラクティカルにどんなリーガルリサーチをすれば、効率的でいい方法につながるのかということも意識しながら、デジタル正本や法情報の提供のあり方や利活用を導く議論する必要があるかなと思い至っていますので、意見として言わせていただきました。どうもありがとうございます。
事務局(須賀): ありがとうございます。
山内さん、いかがですか。
事務局(山内): 何点か頂戴しました。冒頭の利活用の話についてですけれども、こちらは今回の検討では継続検討というところに入れたりだとか、要求条件としては認識しているものの、まだ具体的には整理できていないところです。ここは今後の議論でより精緻化しつつ、ユースケースも調べながら、どのようなデータ公開が望ましいかということを議論できればと思ってございます。
それから、こういったデータをこの後、例えば官報だとか、そういったところに公布するに当たって、必ず正本というところも議論が出てくるところでございますけれども、そこも引き続きどういった形での正本として捉えなければいけないかとか、そういったところは議論する必要があると思ってございます。
保存の観点ももちろん考慮すべきでございますので、そこも検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
事務局(須賀): ありがとうございます。
米田先生のセミナーでもそうでしたが、法令のデジタル正本というものをアーカイビングの観点からご覧になる方々と、それから、リーガルテック企業などが特徴的ですが、生きた法情報としてご覧になる方々で、かなり求める姿が違うのだなというのは私たちも認識をしております。アーカイビングの観点からご覧になると、ある程度の安定性が欲しいとか、随時変動するのではなく一定期間は確定していてほしいというニーズが一方ではあるということだと思いますので、そこのバランスをどう取るかというのは非常に難しいけれども、大事な論点だと思います。
それから、群というキーワードを先ほど出していただきましたけれども、これは官報のデジタル化の文脈でも関係省庁の皆様と議論させていただいているのですけれども、いろいろな媒体で同じデータを見ていくときに、その間で食い違いが生じてしまったときの処理をどうするかというのは重要な論点です。紙も電子もどちらも正本といったときに、では、それがずれた場合に免責するのか、そういった辺りの議論が必要なのだろうと認識しております。このチームで引き続きご議論いただけたらと思います。
では、時間になりましたので、本日の議事は以上とさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。
本日のご議論はご異議がなければ議事録を作成し、皆様にご確認いただいた上で、資料につきましても全て公開とさせていただきたいと思います。
では、本日はどうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。