デジタル臨時行政調査会作業部会 法制事務のデジタル化検討チーム(第2回)
概要
- 日時:令和4年(2022年)2月28日(月)16時30分から18時まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 法制事務に関する既存制度等について
- 法制執務業務支援システム(e-LAWS)
- パブリックコメント
- 規制の政策評価
- 法令のデジタル原則への適合性確認のプロセス・体制について
- 海外事例の調査項目案について
- 法制事務に関する既存制度等について
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/61KB)
- 資料1 e-LAWS の取組について(PDF/894KB)
- 資料2 パブリックコメントについて<総務省作成資料>(PDF/626KB)
- 資料3-1 規制の政策評価について<総務省作成資料>(PDF/1,066KB)
- 資料3-2 (参考)規制の事前評価書の例(PDF/296KB)
- 資料4 法令のデジタル原則への適合性確認のプロセス・体制について(PDF/1.025KB)
- 資料5 海外事例の調査項目案について(PDF/402KB)
- 議事録(PDF/374KB)
関連情報
議事録
事務局(須賀):では、定刻になりましたので、「デジタル臨時行政調査会作業部会 法制事務のデジタル化検討チーム」第2回の会合を開催させていただきます。
須賀でございます。本日もよろしくお願いいたします。
本日も、各構成員にはオンラインでご参加いただいておりますが、まず本検討チームの座長であります小林デジタル副大臣から、第2回会合の開催に先立ちましてご挨拶をお願いいたします。
小林デジタル副大臣:構成員の皆さん、そして関係省庁の皆さんも、ご協力いただきまして本当にありがとうございます。
今日は第2回ということで、特に法令のデジタル原則への適合性確認のプロセスや体制を検討したいと思っています。それに先立って、総務省さんから既存の取組みを教えていただきながら、皆さんと議論を深めたいと思っています。
おかげさまで、臨調全体としても、作業部会が進んでいまして、各省庁でまず既存の法令のチェックをどんどん進めているところですけれども、今後のことを考えると、法令だけではなく、幅広くある通達等も適合性の確認が必要ですし、これから出てくる新規法令をどうチェックするかということもあるのですが、そうは言っても、既存法令についても技術が進展するたびに改めてチェックしなければいけないものも残ってくると思っていますから、そこも継続的に見直しが必要だと思っています。これらを誰がいつどのようにやるかというのは、しっかり結論を出していかなければいけないと思いますので、構成員の皆さんからぜひ知恵をいただきたいと思っています。
いずれにしろ、この取組みはこの国を持続的にテクノロジーが実装しやすくする、そしてテクノロジーが実装しやすい社会というのは、非常に多様でフェアな社会が実現できると思っています。そういった次の日本をつくることにつながる重要な議論だと思っていますので、引き続きご協力をよろしくお願いします。
事務局(須賀):ありがとうございました。
では、本日の議事でございますけれども、少し盛りだくさんになっておりまして、早速ではございますけれども、議題の1つ目に移らせていただきます。事務局から10分程度、法制執務業務支援システム、通称e-LAWSについて、まずご説明をさせていただきます。
柳生さん、お願いします。
事務局(柳生):デジタル庁の柳生でございます。今日もよろしくお願いいたします。
では、e-LAWSの取組みについてご説明させていただきます。
第1回の検討チームで、まず前提として法令の作成から公布までの流れを併せてお示しいただきたいというご要望がございましたので、e-LAWSのご説明も兼ねながら、そこら辺についてもご説明させていただければと思います。
e-LAWSは、先ほどご説明がありましたが、法制執務業務支援システムということで、通称e-LAWSと言っているものでございます。今回、特にe-LAWSの法令データベースの周りを中心にご説明させていただきたいと思ってございます。
上の絵のところですが、真ん中のところに「e-LAWS 法令データベース」と書かれているかと思いますけれども、まずe-LAWSのほうで法令データベースを持ってございます。この法令データベースを基にしまして、左上のところになりますけれども、実際に各省庁が法案を作成することになっていきます。
それで、まず現行条文はどういうことになっているのかといったことについてe-LAWSを使って確認していく。さらには、各種の用例、同じような文言の使い方をしているようなものを調べるための用例検索をe-LAWSで行っているものでございます。それを用いまして法制局で審査ということになってございます。
審査ですけれども、一応紙と書いてありますが、最近、特に去年あたりから法制局のほうも大分軟化してきていまして、ウェブ会議で審査してくれるといった状況にもなってきてございまして、これについては徐々に変わりつつありますけれども、最終的な法制局の長官といったところになるとやはり紙といったことになってございますが、そういった実際に法令の案といったものについて法制局の審査が行われるという流れになってございます。
それで、政府として法案を閣議決定するということになりますと、次の真ん中のところに移りますが、国会への提出ということになります。これにつきましては紙で提出するということになってございまして、穴あき条文という言い方をしますけれども、紙で印刷したものを用いて国会で審議いただくということになってございます。
国会でご審議いただいて成立したもの、決定したものにつきましては、改めて印刷局にデータとして入稿するということでございまして、紙のものになりますけれども、官報で公布されることになって出てくることになります。
官報で公布されたものにつきましては、通称「改め文」と言われているものになってございますので、それを再びe-LAWSのデータに反映させる、いわゆる「溶け込み条文」を作って格納することをもちまして、一連の流れとして回っているというものになります。
e-LAWSのデータベースにつきましては、e-Govを通じて国民に提供しているというものになります。
次に、法令のどういうことをやっているのかということのご説明を簡単にさせていただければと思います。
よく「かいめぶん」とか「あらためぶん」という言い方をしていますが、それは一体何なのだということをご説明させていただきますと、硬い言い方をすると逐語的改正方式という言い方をしますけれども、まさに対象となる法令のどの部分をどうやって変えていくのか、まさに変えようとしている部分を特定して、それをこう変えるのだというふうにして変えていくものが改め方式、逐語的改正方式というものでございます。
それがどういうふうなものなのかということは横に書いてございますけれども、これは国民の祝日に関する法律を変えたときのものになりますが、改め文という形では左のほうに書いてあります。「第二条海の日の項中『七月二十日』を『七月の第三月曜日』に改め」と書いてございますけれども、「七月二十日」と書いてあるものを「七月の第三月曜日」に変えるのだといったものを改め文という形で表現してございまして、実際の法律は、左の改め文のほうになりますが、これが公布されることで上の現行から下の改正後の世界に変わるといったことが起きるというものが、まさに日本がやっている法改正の様式になってございます。これをどのように立案していくのかいうのは右の形になります。
確かに、いきなり改め文を書くというわけにはいきませんので、先ほどあった、改正の前、現行のものと改正後の姿を新という形で新旧対照表で並べまして、差分を改め文として作成するといった作業を通じて一部改正法をつくっているというのが今の日本の法制執務の実態になりますので、基礎知識としてe-LAWSの説明と併せてご紹介させていただきました。
続きまして、e-LAWSの説明に戻りたいと思います。次のページになります。e-LAWSの取組みです。法令データの整備と機能向上に向けた取組みということで、これにつきましては令和3年通常国会で、法案等に誤りがいろいろあったということで、政府横串でつくりました「法案誤り等再発防止PT」というもので示された取りまとめに基づいてやっている取組みになりまして、去年の12月に第3回目がございまして、そこで提出した資料になってございます。
その中で、e-LAWSの法令データの整備というところで、当面の取組みというところに書かれておりますけれども、正確かつ信頼性の高い法令データを整備しようというところでございます。法律とか政令について、第1回目のときに厳しいご指摘をいただいたところでございますけれども、e-LAWSのデータが正しくないのではないかといったようなことから、なかなか使われないというところが実際にございましたので、まさにe-LAWSのデータとぎょうせいが持っているデータを突合してみて、まさに合わせるという作業を実施したところでございます。両者が異なる場合につきましては、官報にまで立ち返ってそれを精査したというものになります。
次に、実際に精査した、法律・政令については精査が終わっているところでございまして、府省令・規則につきましては年度内に完成する予定ということで考えてございます。
令和4年4月以降につきましては、きれいにしたデータについて法務省がデータオーナーとして整備していくということで、このデータの確からしさを引き続き担保していくということを考えてございます。
実際に法務省がどのようにしてデータを管理していくのか、更新していくのかということは、②のデータ更新業務のフローの見直しということでございますけれども、これは次のページでもうちょっと細かくご説明させていただきますが、印刷局の協力も得てデータ公開を迅速化することを考えているものでございます。
資料を見ていただければと思いますが、最終的に法律は官報で公布されていくということで、右上のところに官報公布と書かれているところでございます。まさに、官報公布されたものが法律としては正しいものということになります。ですので、官報をつくるためのデータを基にしてe-LAWSのデータを整備していくということで、e-LAWSのデータを正確、かつ正しいものがちゃんとできるだろうという下で考えてつくった仕組みでございます。
ですので、左の真ん中ぐらいにe-LAWSとございますけれども、各府省が法令の案をe-LAWSに入稿したことを通じて、印刷局はそれを基に官報の原稿を作っていくことになってございますけれども、入稿したデータを用いまして公布法令のデータをXML形式で作る。その作ったデータを基に法務省がe-LAWSのための溶け込み条文を同じXML形式で作って格納するということを考えているということでございます。
特に法律につきましては、国会審議をやっている最中に、この溶け込みのデータの作成を法務省が行うことによって、法律が成立した暁にはできるだけ速やかにe-LAWSのデータ更新をしていくということで、国会修正等がないような場合につきましては、できるだけ公布と同日にデータベースに反映していきたいと考えているところでございます。
次のページになります。これがまさにe-LAWSが取り組んでいることでございますけれども、今後、e-LAWSがどのようなことをやっていきたいのかということでございます。中長期的な取組みということで、3枚目の資料のところにございましたが、中長期的にもe-LAWSの業務フローの見直しをやっていくのだとうたわれてございますので、それについて事務方として考えているものになります。
法制執務の業務フロー全体を見直すということでございますけれども、e-LAWS自体につきましては当初働き方改革という観点から導入したものになりますけれども、その中でもう一つ、法令データの利活用の利便性の向上といったことについても、e-LAWSの機能を考えていく際には併せて目的とすることが必要ではないかと考えているところでございます。
具体的には、法令データベースの更新です。溶け込み後の条文のデータを公開するということをできるだけ迅速化していく。さらには、法令条文の意味的情報を充実していく。意味的情報ということではいろいろ中身がございます。まさに、引用関係のものといった、ある程度やりやすそうなところから、個々の条文の中身、内容といったかなり難しいところまで含めていろいろございますけれども、そういったものの充実を一つ一つ図っていくべきではないか。
さらに、法令関係情報、まさに通知・通達と連携しやすいようにするにはどうしたらいいのかといったことも含めて考えていく必要があるだろうと考えているところでございます。
そのような方針を受けまして、実際、どのように令和4年度でe-LAWSをやっていこうかということで考えていますけれども、今回も来ていただいていますが、総務省の行政管理局さん等々の関係行政機関の方々の協力も得ながら取組みを考えているところでございます。まさに働き方改革や法令データの利活用の利便性の向上を目的としている中で、それを使っていただける一般のユーザーの方、各省庁、法制局も含めて、そういった方々がどのようなことを望んでいるのかといったことを丁寧に聞き取った上で、何をしていくのかといったことを考えていきたいと考えてございます。
さらに、先ほど法令のデータベースの更新の業務フローを簡単にご説明させていただきましたが、それが今年の4月から始まることになりますので、その実施状況を踏まえまして、さらなる迅速化はできないかといったことについても取り組んでいきたいと考えてございます。
さらに、法令のデータベースの高度化ということですけれども、まさに意味的情報の充実と併せて、各種関連の情報とひもづけるといったことも含めまして、今、法律単位でしかDB化していないものにつきまして、条単位でデータベース化していくことも考えていきたいと思ってございます。
さらには、第1回のときにご指摘もいただきましたけれども、各府省に使っていただかないとやはり意味がないシステムになりますので、各府省における法制執務の実態調査を行いまして、まさにユーザーニーズと絡むところでございますけれども、どのようなものを望まれているのかといったこともしっかり踏まえながら、e-LAWSの機能拡充に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
そのような取組みを通じて、第1回のときにKPIの重要性といったことをおっしゃっていただきましたけれども、そういったものも含めまして、実際に我々としてどういうマイルストンを置いてやっていくのかといったところについて今後検討していきたいと考えてございますので、いろいろご知見等を賜れれば幸いだと考えているところになります。
私からは以上になります。
事務局(須賀):ありがとうございました。
意見交換・質疑応答の時間は、この後、既存の制度を3つご紹介し終わった後にまとめて取りたいと思っております。
続きまして、総務省の行政管理局調査法制課の水野課長に本日お越しいただいております。10分程度でパブリックコメントについてのご説明をお願いいたします。
総務省(水野課長):総務省行政管理局で調査法制課長をしております水野でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
画面の1枚目の資料をご覧いただければと思います。まず、パブリックコメント手続につきましては、行政手続法という法律に規定をされてございます。
行政手続法でございますが、行政運営の公平性の確保と透明性の向上により国民の権利利益の保護を図ることを目的とした制度でございまして、行政処分や行政指導を行う際のルールを定めているものでございます。
これと並びまして、行政機関が政令・府省令などの命令等を定めるときのルールとしまして、意見公募手続、いわゆるパブリックコメントの手続を定めているものでございます。
意見公募手続につきましては、行政機関が命令等を制定するに当たりまして、事前に命令等の案を示しまして、その案につきまして国民から広く意見を募集するものでございます。平成11年に閣議決定に基づきまして、規制の設定・改廃に係るような命令等を対象として行うこととされておりましたが、平成17年の行政手続法の改正により、行政手続法に基づく手続として位置づけられたものでございます。
意見公募手続の対象となります命令等につきましては、従来の閣議決定で行われたときと違いまして、規制の設定・改廃に関わらないものも含めまして対象としたところでございます。具体的には、政令、内閣府令、各省の省令、委員会が制定する規則、また処分の要件を定める告示のほか、申請に対する処分を行う際の審査基準、不利益処分を行う際の処分基準、また、一定の条件の下に該当する複数の方に対して行政指導を行う際の行政指導指針を対象としているところでございます。
なお、下のほうに書いてございますが、地方公共団体が定める規則や行政機関の内部組織・相互の関係等を定める一定の命令につきましては対象外でございます。
また、対象となっておりましても、緊急性の高い場合とか軽微な変更の場合などにつきましては事前の意見公募手続は免除されているところでございますが、命令等の制定後に意見公募手続を行わなかった理由について公示することとされています。
運用実績でございます。若干数字が古くて恐縮でございますが、平成29年に施行状況調査を行った際、トータルとしまして999件の意見公募手続が行われてございます。
流れを見ますと、まず命令等を制定する行政機関は、命令等の案を作成しまして、これを公示し、広く一般の意見を求めることとされてございます。
ここで公示する案でございますが、法律上も具体的かつ明確な内容でなければならないとされているところでございまして、各府省における運用実態を見ますと、おおむね政令であれば内閣法制局の審査で、部長了となった段階で公示をするというものが通例かと思っております。
また、省令以下でありますと、ケースバイケースでございますが、総務省の場合、一省庁としてパブリックコメント手続を行う場合については、部局長の決裁を取って行っているところでございます。
実際の募集のイメージは、次のページのとおりでございますが、総務省が行う場合の例でございます。意見公募手続を行う場合はこのように報道発表を行いまして、具体的に制定をする命令等の新旧対照表などを掲載してございます。
また、これは行政手続法にはっきり書いてあるところでございますが、意見公募の案の公示や結果の公示につきましては、いわゆるe-Govにおいて一律に行うこととされているところでございます。
また、意見の提出期間でございますが、やむを得ない場合を除きまして公示の日から起算して30日以上を取らなければならないということも法律で決まっているところでございます。
この期間の間に、国民の方が命令等の案に対しまして意見を提出することになりますが、先ほど平成29年では999件の意見公募手続があったと申し上げましたが、そのうち意見の提出があったものについては804件、提出意見の総数は4万7932件でございまして、意見公募手続1件当たりの平均した提出意見数は48件、中には意見がないものもございますので、意見があったものだけについて見ますと、1件当たり約60件の意見が国民の方から寄せられているということでございます。
このように、国民の方から提出された意見につきましては、役所のほうで考慮をしなければならないということとされてございますが、この意見公募手続、パブリックコメントの手続の趣旨でございますが、このような命令等の制定の過程を明らかにすることによりまして、国民の方々の多様な意見や情報を役所のほうで把握をいたしまして、その内容が適切であれば活かしていくという制度でございまして、提出意見が多いか少ないかということではなくて、いわゆる多数決を導入しているというものではないということをご理解いただければと思っております。
また、このような意見公募手続を経まして命令等を制定するわけでございますが、政令でありましたら閣議決定で決められる、府省令以下でありましたら、大臣とか部局長の決裁を経て官報に公布されるといった形で公にされるわけでございますが、公布と同時に、提出された意見、またその意見に対する考え方、その意見に対してどのような考慮をしたのか、また意見公募手続を実施しなかった場合については、何で実施をしなかったのか、その理由の結果を公表するということでございます。
この結果の公示につきましては、3枚目の資料を開いていただければと思いますが、このように、それぞれの提出意見や、考え方、修正をしたどうかというものを一覧の形で記載をしているところでございまして、こちらにつきましてもe-Govに掲載をすることとされてございます。
このように、行政手続法の意見公募手続は、命令等を制定する前に国民の意見を広く求めることによって、行政の公平性の確保と透明性の確保を図る制度でございます。このように制定されました命令等に基づいて、例えば申請が拒否されたり、不利益処分を受けたような場合につきましては、事後的な救済手続でございます行政不服審査法というのを私どものほうで所管をしているところでございますが、行政不服審査法と相まって、国民の権利利益の保護に資するということで、事前手続たる行政手続法と併せまして、私ども行政管理局において所管・運用をしている次第でございます。
大変簡単でございますが、私からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局(須賀):水野課長、どうもありがとうございました。
続きまして、総務省の行政評価局政策評価課の辻課長にいらしていただいていまして、10分程度で規制の政策評価についてご説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
総務省(辻課長):行政評価局政策評価課長の辻と申します。よろしくお願いいたします。
本日、私からは、規制の政策評価の制度や現状などについてご説明させていただきます。
まず1ページでございます。規制の政策評価は、各行政機関が規制の新設や改廃を行おうとする際に、その影響などについて自ら評価をするという仕組みです。
まず、導入経緯でございます。いわゆるRIA、規制影響評価というものがございますけれども、国際的に取組みが進んでおり、そうした海外の動向なども踏まえまして、平成16年の規制改革・民間開放推進3か年計画において、我が国においても導入しようということで盛り込まれ、平成19年10月からスタートした仕組みでございます。
法的な枠組みでございますが、行政機関が行う政策の評価に関する法律、いわゆる政策評価法と、同法の施行令第3条第6号に基づきまして、各行政機関は法律または政令により規制を新設または改廃する場合に、事前評価、すなわち政策を決定する前に、自ら評価を行うことが義務づけられております。
なお、法律または政令による規制が事前評価の義務づけの対象になるわけですけれども、それ以下のものについては任意の努力義務になってございます。
総務省の役割でございますが、政策評価制度の所管官庁として評価のガイドラインを策定・改訂したり、あるいは各行政機関の評価の実施状況の点検をしたり、各府省の担当職員に対して研修を実施したり、そういったことを担っているところでございます。
2ページでございます。規制の政策評価の目的は、大きく2つございます。まず、1点目が、規制の導入による影響、すなわち発生する効果や負担を予測することによりまして、規制の新設・改廃の可否とか規制の内容の検討に資するような情報を提供するということ。2点目として、規制の必要性や影響についての情報を提供することで、国民などに対する説明責任を果たすということ。こういったことが規制評価の目的でございます。
評価に際しては、規制の導入による効果と費用、便益と負担を比較・分析して、効果が費用を正当化できるかどうかを評価する。そういう形で評価されることが理想になりますけれども、実際のところは、例えば規制の効果を定量的に示すというのは簡単ではございませんので、それぞれ各府省で苦労しながら評価を行っているというのが現状でございます。
続きまして、3ページ目、規制の政策評価のプロセス、主な流れでございます。通常、各行政機関では、規制を導入するに当たって、まず規制の内容を検討して、審議会等の意見を聴取した上で、法律や政令を改正する場合には内閣法制局の審査を受け、そして、政令案については、先ほど行政管理局のほうから説明がありましたパブリックコメントにかける。その上で閣議決定をする。法律案の場合には、パブコメをやる場合もありますけれども、通常はパブコメを経ないで閣議決定をして、法律案が国会に出され、国会で審議されるという流れになります。
規制の事前評価につきましては、各府省における規制の検討プロセスと並行して各行政機関において評価書の案が作成され、その検討の進捗とともにブラッシュアップをされていく。最終的には、法律による規制については法律案を閣議決定をする前までに、また、政令による規制については政令案をパブコメにかける前までに、評価書を決定して公表することとされているところでございます。
また、後述しますけれども、各行政機関は規制の導入を検討する際に、デジタル化の視点も踏まえた検討を行っているどうか、自己点検することとされておりまして、規制の評価書の作成と並行してデジタル化のチェックリストが作成されます。
各府省が作成した評価書及びデジタル化のチェックリストについては、総務省行政評価局のほうに提出されますので、総務省では、この提出された評価書の内容を事後に点検して改善点等の提案を行う。また、総務省が受けた評価書及びチェックリストを内閣府の規制改革推進室にも送付しておりまして、規制改革推進会議等における議論に活用していただく。こういうプロセスになってございます。
4ページ、規制の事前評価の項目でございます。各行政機関が評価を実施するに当たっては、まず規制の目的、内容や必要性、規制の導入による影響の評価、費用と効果の関係、代替案との比較、こういった項目などについて検討して、評価書に記載をして公表することとなってございます。
次に5ページ、先ほど少し触れましたデジタル化のチェックリストについてです。令和2年6月に規制改革推進会議で、「デジタル時代の規制・制度について」が決定され、規制・制度の類型化と具体的な見直しの基準が示されたところでございます。(1)から(5)のような項目、実際にはもう少し細かい基準が示されているわけでございますけれども、これを踏まえまして、令和2年7月に閣議決定された規制改革実施計画におきまして、規制を新設またはその内容を変更する場合に、デジタル化の視点を踏まえた制度設計になっているかどうかを上記基準に基づき評価するための手続を整備することとされたところでございます。
これを受け、内閣府規制改革推進室と総務省行政評価局が協力をいたしまして、チェックリストのひな形を作成し、令和3年1月に連名で各府省に事務連絡を発出しました。
これにより、令和3年度から、各行政機関は、規制の導入の検討を行う際、チェックリストを使ってデジタル化の視点を踏まえた制度設計を行ったかどうかを自己点検した上で、検討結果を事前評価書に記載し、評価書とチェックリストを合わせて総務省に送付していただくこととなっているところでございます。
7ページがチェックリストのイメージでございます。左側の(1)から(5)の項目は、規制改革推進会議で整理されましたデジタル化の見直しの基準を記載したものです。各行政機関は、規制の導入を検討するに当たり、まず当該規制がこの見直しの基準に該当するのかどうかを判断していただきます。例えば、一番上の安全規制のところですけれども、目視とか打音等を原則とするインフラなどの定期点検や検査を求めるような規制、これであれば基準の(1)の①に該当することになりますので、その場合には、右側に赤枠がついている欄が2つありますけれども、そのうちの左側のA欄に、「○」がつくことになります。A欄に「○」がついて基準に該当すると考えられる規制については、次にデジタル技術を活用した規制を導入するかどうか、導入の有無をB欄でチェックをすることになります。
B欄に「○」がついている場合には、デジタル技術を活用した規制を導入することにしたということでございますので、同時に作成する規制の評価書には、規制の内容がデジタル技術を活用したものであるということを書いていただいて、その内容を前提に規制の影響評価を行っていただくことになります。
B欄が「×」の場合には、デジタル技術を活用する制度設計をしないということになりますが、その場合には規制の評価書において代替手段との比較について記載することとされておりますので、その中でデジタル技術を活用した規制の手段を取らなかった理由などが説明されるということになります。
このチェックリストですが、規制の事前評価書と合わせて総務省に提出され、総務省から内閣府に送付して、規制改革推進会議等における議論に活用されることになります。
なお、令和3年度の導入以降、2月18日までに42件のチェックリストの提出がありまして、このうちA欄に「○」がついているものが5件、そのうちB欄が「×」のものが3件あったということでございます。
最後、8ページは、昨年11月の第1回デジタル臨時行政調査会に提出された資料です。デジタル時代の規制・制度の在り方の検討の具体例について報告されたところでございます。
なお、本日、参考としまして、規制の政策評価の具体的なイメージということで、デジタル庁で所管されています、「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」、これを導入する際の事前評価書を一例としてつけさせていただいております。実はこの規制は令和2年度のものでございますので、デジタル化のチェックリストは作成されておりませんが、規制の評価書のイメージはこういうものだということでご理解いただきたいということで添付させていただきました。
説明は以上でございます。
事務局(須賀):辻課長、どうもありがとうございました。
それでは、構成員の皆様、ここまでご説明させていただきましたe-LAWS、パブコメ、規制の政策評価、この3つの既存の制度につきまして、質疑応答、意見交換の時間を30分程度設けておりますので、ご質問、ご意見がある方は挙手をお願いします。
安野さん、お願いします。
安野構成員:ご説明いただきましてありがとうございました。大変よく分かりました。
e-LAWSに関してご質問させてください。
今回の会議の目的である、シングル・ソース・オブ・トゥルース化、信頼できる情報源にするというところで言うと、今、問題点は多分2つだと理解しておりまして、不整合があることが1点目で、2点目が更新までのリードタイムがあるということだと理解しています。
これを改善するに当たって、それぞれ現状をちゃんと把握したいという意図でご質問ですが、1点目の不整合に関して言うと、ぎょうせいさんと突合されたときに差異がいろいろあったというお話をいただいたのですが、改め文は基本的にはよくできていて、論理的に一意に決まるフォーマットだと理解していて、では、エラーはどういうところでどれぐらいの分量が起きているのかなというのが気になったポイントです。特定の状況のときにすごくよく起きるとか、特定の法律でよく起きているみたいなことがあれば、それに対する打ち手が考えられそうだなと思ったのが1個目のところです。
2個目はリードタイムのところで、こちらは公布から実際のe-LAWSの更新までの時間差がある種KPIになるのかなと思っていますが、現状、どれくらいの遅れがあるのかというところはお聞きしておきたいと思っていて、その遅れに対して支配的にかかっているプロセスはどのプロセスになるのかなというのもお伺いしたいです。
事務局(柳生):ありがとうございました。
まず、不整合のところですけれども、どこかに特徴があってというよりも、恐らく確認の段階でミスがあってぽろぽろ漏れているといったところが多いかなと思っています。
何でこんなことが起きているかというと、基本的に確認を一時期各省に任せていたのです。e-LAWSに溶け込んだ後のデータを各省に作成・確認してもらっていた時代がありましたので、そうすると、各省の作業負担になっていたということもあるのだと思うのですが、担当者の確認漏れだとか、字が間違っていましたといったことが実際に起きてしまっていたということになっています。
そういうことが起きないように、令和4年度からになりますけれども、専門業者を使ってそれを法務省が一括してちゃんと確認していくのだということをやって、正確性の高いデータ更新を行っていこうと考えているものでございます。
現状のリードタイムですけれども、私もデータで持っていないのですが、かなり空いているのが事実だと思います。下手をしたら数か月空くようなことになってしまっているのが実態だと思います。
これにつきましても、今、e-LAWS自体、どういう仕組みになっているかというと、基本的にまず各省にちゃんとメンテしていただくといったスキームになってございますので、各省が一個一個データ更新をしていただかないと最終的に反映されていかないということで、どうしても時間がかかってしまう。下手をしたら、忙しいところだと1か月、2か月と延びてしまうということが実際に起きてしまうところですけれども、それを今度から、まさに4月からは法務省がそれを一括してやりますよということで、法務省がデータオーナーとして溶け込みといったものをしっかり管理していくのだということで考えていまして、それでリードタイムを抜本的に減らせるようになるのではないかと考えてございます。
ただ、実際にやってみないとどれぐらいリードタイムが減るのかが分からないものでして、4月からその状況を見定めながら、より迅速化ができるような手段がないのか、どこかで隘路があるのであれば、そこの見直しとか、そういったところをやっていきたいと考えているところでございます。
お答えになっていないところもあって大変恐縮ですけれども、以上になります。
安野構成員:よく分かりました。ありがとうございます。
事務局(須賀):八木田さん、お願いいたします。
八木田構成員:Legalscapeの八木田でございます。ありがとうございます。大変よく理解させていただきました。私のほうから3点ほど申し上げさせていただければと考えております。
まず1点目ですけれども、先ほどおっしゃっていただきました、確認の段階でミスがあったとか、各省庁のほうで確認するというプロセスになっていたとおっしゃっていただいたかと思っているのですが、この辺りはシステム的に何かできないかなと思っています。先ほどの資料の3ページの図があったと思うのですけれども、その中でシステム上、官報の文面が出来上がるときのデータと全く同じデータを使って、デジタル正本を公開することができれば、原理的に間違いみたいなものが出てこないはずなのですね。
これの前提となるのが、公布法令と溶込法令というものが機械処理によって変換できると私は考えているのですが、これができれば、官報で公布されている文面と全く同じものがe-LAWSのほうで公開できるのかなと考えております。そうすると、人間によってミスが出るということが原理的にはあり得ないようなものが実現できるのかなと考えております。
この点と近いことですけれども、2つ目になりますが、迅速化という観点があったかと思います。迅速化する上で、出していただいているこの図の矢印はデータの変換を表していると思うのですが、この変換のうち人手が介在している部分を徹底的に減らすというのが迅速化にかなり貢献するのかなと考えております。機械処理でできれば1秒もかからないものになりますので、どこの部分が実際に人手で行われているのかというところを特定する。
やり方としては、恐らく現状の運用を前提として、人手がかからないようにここをシステム化しようという考え方ではなく、むしろ逆に、人手がかからないように運用自体をもし変えられるのであれば、それがベストかなと思っております。ちょっと突っ込んだ言い方になってしまうかもしれないのですが、もし改め文というものを作るのが手間であれば、できれば改め文をそもそも作らなくてよくなるようなフローにできればベストかなと思っています。ちょっとこれは難しいかと思いますが、そういった形で、どの部分で人手が発生していて、もしかしたらこれは削れるのかもしれないみたいなところを最初に検討するのがよろしいのかなと考えておりました。
3点目になるのですが、さっき少し前出しさせていただきましたが、XMLの状態で溶け込みの法令データ、つまり、いわゆる改正後の条文がちゃんと書かれた形のデータが存在してさえいれば、公布法令たる改め文は自動で作れるかと思っております。
図の左下、最初のほうでワープロファイルという形で法律の案文が入ってきて、それを一般系編集システムというところに入れているかと思うのですが、もしこの過程で早めのタイミングでXMLを作ってしまえば、同時に公布法令、いわゆる改め文のデータと溶込条文のデータをそれぞれペアの形でつくることができて、そこから官報システムとか組版用データをつくったり、修正していく過程において、その2つを両立する形でどんどん流れに乗せて修正していけば、間違いというか、食い違いが出る可能性もなくなりますし、しかも、それらが全てほとんど自動でできると思いますので、かなり迅速化にもつながるのではないかと考えておった自体でございます。
ちょっと長くなってしまいましたが、以上でございます。
事務局(柳生):大変ありがとうございました。
まさにご指摘の点は我々も問題意識として考えている点でございまして、今回やろうとしていることということで先ほど述べさせていただいたのですが、法令データの利活用の利便性の向上を目的として我々はやっていくべきではないかと考えており、まさにそこら辺から着想を得ているところでもございます。
デジタル正本として最初から作ったものがあればいいのではないかということで、最終的にはそういったところを目指していかなければいけないのかなと我々も思っております。そういう意味では、官報の電子化みたいな話はそこら辺の出口としてある中で、我々としてどういったデータが必要なのかといった、まさに下流のほうから、これまではどちらかというと作っていく工程のほうから入っていたのですけれども、実際に官報として出していくような工程のほうからこういったデータが必要である、逆にこういったデータはどういう工程で作ればいいのかといったような逆算で考えていくことも必要なのではないのかということをまさに考えているところでございます。構成員がおっしゃったところについて、まさに検討のところなのかなと。そういう意味で、人手が介在しているところをシステム化していくといったところについて、今後の迅速化の中の一つの大きなタマになるのかなと考えてございます。
2番目ですけれども、改め文のところで、そもそもそういった溶け込みのデータを最初から作っておけばいいのではないかというところでございますけれども、まさにご指摘はごもっともなところでございますが、一方で、今の改め文というのは改正箇所を絵で抜いているみたいな場合が実際にあって、特に別表の改正だとか、そういった表の改正の場合に改正箇所をどうやってデータ的に特定するのかといったところについて、こちら側としてどういうデータの持ち方をすればそれがうまくできるようになるのかとか、そこら辺を検討しなければいけないかなというところもまだございます。
そういうことで、まず最初にやるべきことは、ここら辺の出口としてのデータ周りをどうやってきれいなものを我々として最終的に作っていくことを考えていくのかといったことを優先してやってみて、そういったデータを作るために、先ほどからの繰り返しになりますが、上流工程でどういうものを作るべきなのかといった逆算から入っていきたいと考えてございますので、まさに先ほどご指摘のところの改め文、最初からそうやって作ればいいではないかというところにつきましては今後検討していく課題かなと考えているところでございます。
あと、改め文でそもそもやらなくていいじゃないかみたいな話ですね。新旧方式でやればいいのではないか、そもそも溶け込み後の世界を議決すればいいのではないかといったことについては、多分に国会の話も関わってくるものでございますので、そこら辺についてはそういった世界がより効率的ではないのかといった議論も併せてしていだたきつつ、我々としても一歩一歩それならそれでやっていくこともやりながら、最終的にはそういったまさに大きな世界に我々もちゃんと行けるようなものを見据えながら、一歩一歩進めていければなと考えてございます。
引き続き検討みたいなものばかりになって恐縮ですけれども、いただいたご指摘につきましては我々も問題意識としては十分把握しておりますし、それがまさに一番の肝かなと考えているところでございます。
八木田構成員:ありがとうございます。承知しました。
事務局(須賀):では、藤原構成員、堀口構成員に挙手をいただいていますので、この順番でお願いいたします。
藤原構成員:藤原でございます。どうもありがとうございました。よく分かりました。
e-LAWSについては、実は今の八木田さんのお話とほとんど同じようなことを言おうと思っていたので、少しだけ補足をすると、デジタル原則と考えていくと、やはり紙でというのはないので、官報が紙で印刷して配布されるというところは改めなければいけないということになって、電子化されることだと思うのですけれども、だからといって、人間が見られないと意味がないので、人間にとって可読的なというのは絶対に残さなければいけないと思うので、そこをどういうふうにするのかというお話かなと思っています。
これは結局、デジタルデータの今と新しいものがあれば、差分をコンピューター的に理解することは簡単にいろいろできて、あとはそれを人間が分かるようにどうするかという形かなと思うので、そういう観点で考えていくと解が出やすいのかなと思っています。
その意味で、今の新旧対照表は確かに分かりやすいのですが、あれを作るのは結構大変だと、中にいた人からよく聞くので、あれと全く同じ形に絶対しなければいけないわけではないよということは言ったほうがいいのかなと思っています。
後半のパブコメと規制の政策評価の関係ですけれども、この2つは、新しい法令とかについていろいろな評価みたいなことをするという似た側面がある一方で、弁護士的に言うと、パブコメは大変重要なのですけれども、実は規制の政策評価はほとんど見ないのです。やはり第三者の目が入るというのは結構重要だと思うので、そういう意味で我々にとっては重要だと思うのですけれども、パブコメについてはそういう意味では内容がすごく重要なので、回答によって新しい法令の外延的なところが分かるところがあるので、あれは法令と同じようにちゃんと検索可能にしなければいけないのかなと思っています。
ただ、規制の政策評価について言うと、我々が見ないというのはある意味当然で、自己評価が中心の制度なので、当然それを立案された方々の思いがそこに出てくるわけなので、それはほかの概説の資料とかに出ているものと基本的には同じことになってくると思います。そういう意味では、我々が見ないのは、それはそうだなと思うのです。
一方で、今回の話の関係では、デジタル原則の適合性の確認のプロセスを考えたときに、これは結構関係しているなと思っていて、もちろん立案される方はそれを気にしながらやるのですけれども、確認プロセスというのは基本的には第三者が見なければいけないのかなという感覚を持っていまして、それをなるべくデジタル化していく、機械化していくというのがデジタル原則に合っていて、かつ、デジタル原則の適合性は、どんどん新しい技術が入ってきて、新しい事例がどんどんアップデートされるので、そういうのを各省庁の人がフォローをするのはかなり難しいので、そういう意味でもデジタル庁さんが見ないといけないのだろうなということを何となく見ながら思っていました。
以上です。
事務局(須賀):一つ一つお答えをよろしいでしょうか。
事務局(柳生):e-LAWSのところですけれども、まさに新旧、今後そういった将来的な絵姿も含めてだと思いますけれども、最終的に目指すべき姿はどういうものかというと、法令データ、現行の条文データをこう変えたいのだというものを作った段階で、その差分が吐き出されるといったもの、新しいものを書いたら、その差分が勝手に出てくるみたいなものが出来てくると将来的には一番いいのかなと考えているところでございまして、将来的な絵姿としてそういうものを目指したいというところはあるのですが、その中に一歩一歩進めていくところもあるかなということでございますので、まさに構成員がご指摘のところは我々としても目指すべき姿と認識してやっているところでございますので、よろしくお願いいたします。
事務局(須賀):水野課長、パブコメのところは結果が重要なので検索可能にすべきというご意見でしたけれども、いかがでしょうか。
総務省(水野課長):総務省行政管理局でございます。
パブコメの結果公表についての検索ということでございますが、現状、e-Govにおいて結果を公表してございますので、その範囲内で何らかの工夫は可能なのではないかと思っておりまして、この辺はデジタル庁さんともいろいろご相談してまいりたいと思っております。
事務局(須賀):フォーマット辺りということですね。ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
辻課長、政策評価のほうはいかがでしょうか。
総務省(辻課長):辻でございます。
今、デジタル化のチェックリストを各府省に自ら作っていただいているわけですけれども、現行制度の課題というか問題点としては、基本的に各府省がチェックリストを作って出してくるタイミングが、政策を決定するタイミングとほぼ前後するようなタイミングであり、内閣府の規制改革推進室のほうでチェックをするといっても、実はもう政策は決まっているというようなところがありますので、そこをもし第三者的にチェックをしていくということであれば、決定の前の段階でデジタル庁なりがしっかり見ていくということが一つの形として考えられるのかな、というところがあるかと思っております。
以上です。
事務局(須賀):ありがとうございます。
お待たせしました。堀口さん、いかがでしょうか。
堀口構成員:堀口です。
私といたしましては、e-LAWSに関しまして、先ほどご説明いただいた点、並びにその他構成員の皆様からご指摘がございました点について申し上げます。
私どもは、経済産業省様及び他省庁様での実証実験等を通しまして、法制執務並びに省庁内の文書作成といったところでのデジタル化に取り組んでまいりました。
こういった観点から申し上げますと、e-LAWSの機能改善、あるいはデジタル化でできるであろうという姿を思い描く、こういったことの前に現状についての理解が必要であると考えてございます。特に、e-LAWSに存在する機能、並びにその機能がなぜ使われていないかという点について、既存の資産をどのように活用するかということについても十分に配慮して検討することが極めて重要であると思っております。
一例を挙げますと、e-LAWSの中には、私の理解といたしましては、改め文の溶け込ませが自動化できる機能が存在してございます。こちらにつきましては、機能としては存在するにもかかわらず、一般ユーザーの皆様が周知されていない可能性がある。あるいは、機能に改善の余地がある可能性があるということについて、十分理解の上、自動化、さらには改善といった方策を検討していく必要があると考えてございます。
また、データベースの効率化という部分と、データベースを正しくするという部分と、作業、文書の作成、法案の作成から、法案関連の文書作成に関する部分まで、この作成に関する部分ではユーザーが求める要件が変わってまいります。
文書の作成においては、非常に長時間に及ぶ労働時間、さらには大量の関連文書の閲覧といった作業が発生するために、ユーザビリティーの面において非常に高度な配慮が求められる。一方で、データベースについては正確性が必要とされるなど、ソフトウエアに求められるシステムの要件が変わってくるという点にも留意するべきだと考えております。
以上でございます。
事務局(柳生):ありがとうございました。
おっしゃっていただいたところは我々としても問題意識として抱えているところでございまして、今、e-LAWSは、堀口構成員からご紹介いただきましたけれども、改め文の作成機能も含めて実装してあるところでございますけれども、皆さん、やはりどうしても精度というか、実際の法制局で審査してもらっているところのレベルと比べるとまだ甘いところもございますので、そこの機能拡充については我々も検討していかなければいけない。
その中で、実際にどういうふうに機能拡充していくのがいいのかというのは、それはユーザーのニーズ、どういう機能がどういうインターフェースで欲しいのかといったことも含めて、そういったところは先ほどの業務の長時間の文書作成のほうの立場としてのニーズをしっかり把握してやっていくことも必要だと思います。
一方で、作るほうの各省もそうですし、もう一つのプレーヤーとしての法制局、審査する側としても、どういった機能をe-LAWSに実装しておいてもらいたいのかといったことも含めて、今回ちゃんと聞き取った上でやっていきたいと考えてございますので、そこら辺も含めて、最終的には国民の方々、リーガルテックの方々を含めて、文書を運用されるユーザーのニーズをきっちり分けて、それも働き方改革の観点といったことも含めて、その観点からどういった機能が必要なのかといったことについて、我々として一回真面目に調べてみて、地に足のついたことをやらなければいけないなと思っておりますので、そこはかなり丁寧に、行政管理局さんの協力も得ながら、各省の話をちゃんと聞いてやっていきたいと思っているところでございます。
ですので、そういったところも含めて、実証実験でいろいろご苦労というか、課題を把握されていると思いますので、そこについてe-LAWSの見直し等も含めていろいろアドバイスをいただければ幸いでございます。
私からは以上です。
事務局(須賀):ありがとうございます。
では、渡部構成員、続きまして角田構成員の順番でお願いいたします。
渡部構成員:お世話になっております。弁護士の渡部でございます。
今日は、デジタル庁様、総務省様、本当にお忙しい中、ご説明をありがとうございました。とりわけ、e-LAWSについては、前回、令和3年前の情報で私もコメントをしておりましたけれども、今日改めてお取組みを伺って、非常に意義のあるお取組みをされているということに改めて敬意を表したいなと思っております。
私からは、e-LAWSに関して2点、パブコメに関して1点、事前評価に関して1点、それぞれコメントと質問をさせていただければと思います。
まず、e-LAWSについては、2ページの図について少し質問をさせていただきます。こちらに「法案作成・審査」、その後に「成立・決定」というところで国会のアイコンが映っておりますけれども、両者をつなぐ矢印が資料に示されているかと思います。私は、ここの矢印の国会提出へのプロセスは現在もまだ紙で行われているのかなと理解しているのですけれども、これが紙になっている理由、または法的根拠というところをご教示いただければと思います。
2番目ですけれども、e-LAWSに関する柳生様の同資料の4ページとなります。私は外資系の企業にいる関係でとりわけ関心が高いのが、できた条文がどのように英語版に翻訳(トランスレート)されていくのか。また、公布された条文の翻訳もオートメーションできるのではないかと考えています。
現在は、法令の英訳というのが一部公表されておりますけれども、このデジタル化という中で、日本語法令の英訳のデジタル化というのは検討の俎上にあるのかをご教示ください。
続いて、パブコメのところについては、先ほど藤原構成員からもコメントがありましたとおり、実はデジタル原則に適合するかといったところを、省庁だけの事前評価だけでなく、例えばパブコメの機会において、デジタル原則に適合しているかどうかという省庁側の考えを述べた上で、それに関しても国民や事業者から、意見、チェックをもらうことも重要ではないかと考えております。例えばパブコメの中、あくまで政省令ではございますけれども、例えばデジタル原則の適合性を我々弁護士やその他の民間の国民がレビューできるような仕組みになることは難しいか、ご所感をご教示いただければと思います。
最後に、法令の事前評価については、先ほど辻様から、事前のチェックに関してはやはりデジタル庁様に持っていただくようなイメージですという趣旨のご発言があったかと理解をしているのですけれども、現在の事前評価のシステムを使ってデジタル原則の適合性を事前に漏れなくチェックするというのは、現行の体制ではなかなか難しいものなのでしょうか。不勉強で恐縮ですが、ご教示いただければと思います。
以上です。
事務局(須賀):盛りだくさんなので、一回回答させていただきます。
柳生さんから順番にお願いします。
事務局(柳生):e-LAWSについてですけれども、国会に何で紙で出しているのだというところですが、何かあるのかもしれませんが、私が把握していく限り、法的根拠は恐らくないかと思います。何かあったら、また改めて訂正させていただきます。
英語の翻訳についてですけれども、たしか、これ自体は日本法令の英訳自体は法務省がまとめてデータベースをつくっていたかと思います。これについては、毎年度各省が何を翻訳するのかということが法務省から調査がかかりまして、毎年度各省庁で順次やっていっているところでございます。実際のところを申し上げますと、各省庁は外注みたいな形でやっているのが実態になりますので、予算とのバランスを見ながら各省庁はそこら辺の法令を英訳化していっているというのが実態となってございます。そこら辺については、仕組みというよりも、できるだけ英訳化しましょうという方針は決まっていて、順次、各省庁でやっているものでございます。
事務局(須賀):ありがとうございます。
水野課長、いかがでしょうか。
総務省(水野課長):総務省行政管理局の水野でございます。
先ほど、パブリックコメントを実施する際に、デジタル原則への適合性もチェックできるようにしたらどうかというお尋ねでございました。私どもの行政手続法は国民の権利利益の保護に資することを目的としているところでございまして、役所が行う行政処分とか行政指導の事前手続を定めているものでございますので、行政手続法における法的な制度としてデジタル原則を絡ませるというのは、私どもから見ますと、困難なところはあるのかというのが感想としてはございます。
ただし、デジタル原則に適合するというチェックは大変重要なことと考えられるわけでございますので、せっかくパブリックコメント手続を行っているのであれば、この際、同時にデジタル原則のチェックを行うかどうかということにつきましては、今後、各種のデジタル原則の適合性をどのように確認するのかの過程における仕組みの話かと思っておりますので、先生方に幅広いご議論をいただければと考えているところでございます。
事務局(須賀):ありがとうございます。
続きまして、辻課長もご回答をお願いできますでしょうか。
総務省(辻課長):政策評価制度は、先ほど申し上げたとおり、各府省が自ら評価を実施するという仕組みでございまして、その中で行政評価局が政策評価制度の所管官庁として、各行政機関が行う政策評価がガイドライン等に沿って的確に行われているようにしていく、そういう役割でございますけれども、その中で行政評価局が規制を導入すること自体の良い悪い、その可否についてまで判断していくというところはなかなか難しいのかなと思っております。
その中で、今のチェックリストについては、総務省はチェックリストの中身そのものをチェックするのではなくて、各府省が提出してきたチェックリストの内容を前提としまして、評価書の記載内容は整合性が取れているかどうか、そういったことをチェックしているわけですけれども、各省の判断が正しいかどうかというところまで今の体制で見ていくというのはなかなか難しいのかなというのが正直な現状でございます。
また、我々の体制面でも、実は規制の政策評価を見ている担当は、我々の局の中でも3人ぐらいしかいない中でやっているものですから、そういう中で法令を見ていくというのも厳しいのかなというところはございます。
以上です。
事務局(須賀):ありがとうございます。
では、時間との兼ね合いで、最後に角田構成員からコメントをいただければと思います。
角田構成員:皆さん、どうもありがとうございました。いろいろなご意見、勉強になりました。
私からe-LAWSに関して質問が1点と、e-LAWSに対してのコメントと、あと、法務省法令英訳サイトの話が先ほど出ましたが、その法令英訳データベースを元々開発したのは実は名古屋大学でかつて私が所属していたチームでしたので、その辺の事情などもお話しさせていただきます。
まず、e-LAWSへの質問ですけれども、最初にワープロデータで入稿する、その際にもエラーがそもそもあるのではないのかという恐れがあります。そこから先は、本当にうまくつくってあれば、e-LAWSも実は機械的にある程度うまくいくようにできていると思います。そこで、もしかして、いろいろ問題が起こっているのは、最初に入稿する時点で既に存在していた問題にも起因しているのではないか、という気もいたしまして、その点が質問です。
次に、e-LAWSに関して3つコメントがあります。技術系の構成員の方々もいらっしゃるので、少しお話しさせていただきますと、まず、改め文が簡単に作ることができると思うのは、先ほどの例で示されたようなパターンの場合で、そういうものはたしかに比較的簡単に作れます。私は論文で改め文の書き方の全パターンを何百も分析して、名古屋大学のリポジトリにも登録していますので、それを見ていただくと分かると思います。でも、それでも列挙し切れなかったのが、先ほども話に出ました別表といって表の部分の改め文で、これを作るのはプログラマーの人をたくさん集めて考えていただくしかないかなと思います。
もう一つ難しい典型例ですが、法令には附則というものがあって、そこではその法令はいつ効果が出るのかとか、そういう条文が頻繁に追記されていくのですけれども、それを書いて、次の法令に改正する前にその改正や効力に関する附則を改正するとか、そういうケースも頻繁に出てきてしまって、数理論理学的には高階の述語論理みたいなものになっていってしまいますので、原理的にも扱いが難しい状況に陥ってしまいがちなのです。そこのところはどうしても人手でうまくやらなければいけなくて、そういうところがデジタル化するにしても問題になりそうな点です。
あと、私がまとめた改め文の書き換えルールでも、実際に適用するときにはルールの競合が起こって、改め文の書き方としてどちらでも可能であるようなパターンが結構出てくるのです。それをどうするのか、かつて私が内閣法制局に問い合わせると、結局はどちらでもよい、という回答もありました。その中で、どうやって統一していくのかという問題も、デジタル化を考える上で、技術的にも制度的にも考えなければいけないと思います。細かい話ですけれども、こういう事情も皆さんにご認識いただければなと思っています。仕様を決める前の話なので、必ずしも技術的な話だけではないと思います。
最後に、法令英訳サイトのことについてですけれども、2008年頃に私が所属していた名古屋大学のチームでこのシステムの開発を受注しました。そのチームは、その開発を受ける何年か前から内閣官房の人たちと一緒に法令英訳サイトの構想を考えてプロジェクトを実施していました。その際、法令の英訳版は重要法令については実はどの省庁でも少しずつは持っていることがわかり、それを全部集めてデータベースにしたらいいのではないかという構想で進められていました。当時の内閣の方々にも掛け合ってプロジェクトを進めて、最終的には閣議決定もあり、法務省の管轄にしていただく形になっていくのですけれども、その際、各省庁から出てくる英文法令というものはばらばらに翻訳されたものですので、同じ日本語の単語でも違う英単語が使われていたりして、統一が取れていない状態でした。それでも一応みんなで、この範囲内でやりましょう、ということで法務省の法令英訳のサイトに、辞書データのような形で統一して、それを参照して英訳していただくことになりました。今でももしかすると法律の先生方が20人ぐらい集まって、これはこういう英訳にすべきだよね、のように決めて作業をされているかもしれないです。このように結構面倒なことも裏側で行われていました。
デジタル化への問題の掘り起こしとして、英文のことも多少は意識したほうがよろしいのではないかと、先ほどのご発言を伺いまして私も同感でした。このような難しい省庁間の言葉の調整、どの訳語を当てるかとか、あるいは訳し方のスタイルとか、そういった標準化のような部分がデジタル化での中でも結構ポイントになってくるのかなと思いました。
そこで、縦割りの省庁とはいえ、むしろ横に結ぶことができる、まさにデジタル庁さんが中心になって取りまとめたほうがよろしい点もありそうだと思いました。
以上です。質問の点だけご回答お願いいたします。
事務局(柳生):ありがとうございました。
入稿の段階からミスがあるのではないのかということですけれども、恐らく改正を前提とした条文を改正箇所の後ろにさらに書いていたりもするので、結局のところ、1条を改正して、その後に4条を足すといったときに、果たして1条を基にちゃんと4条が書けているのかとか、ミスがあるのだったらそういうのがあると思います。
法制局が持っている法制審査支援システムというのがありまして、それで確認してみてはいるのですけれども、結局、溶け込み後のデータを擬制してチェックをしているので、そういった意味で改正が溶け込んだ世界で改正後の世界がきれいに反映できているかというのが、最初の入稿の段階で本当に担保できているのかということについては、まだ一つの課題であるのだと思います。それはまさに改め文を書いているだけで、直接データベースをいじっていないからだと思います。
ですので、一応擬制でやってはいるのですけれども、そこについてのミスがいろいろなところに、恐らくチョンボと言われるようなところとして出てきている要因なのだと我々としても認識しているところでございますので、そこについては法制局のシステムとか、そこら辺とのe-LAWSの連携みたいなものを含めて、長期的には考えていかなければいけないかなと考えているところになります。
e-LAWSからは以上になります。
角田構成員:どうもありがとうございました。
私も以上です。
事務局(須賀):ほかの点は、事務局より詳しい有識者として角田構成員からご説明いただいたということだと思いますので、ここで質疑は終わりにさせていただきます。お約束の時間を過ぎてしまって申し訳ありません。こちらで総務省の皆様にはご退室をいただければと思います。どうもありがとうございました。
続きまして、議事の2つ目、「法令のデジタル原則への適合性確認プロセス・体制について」という資料です。事務局から説明をお願いいたします。
事務局(柳生):続きましてご説明させていただきます。「法令のデジタル原則への適合性確認のプロセス・体制について」という資料になります。
1枚おめくりいただきまして2枚目になりますが、これは第1回も含めてご覧いただいた法制事務のデジタル化に向けてというところでございますけれども、今回、まさに今この資料が説明したい、何に取り組みたいかというところにつきまして、オレンジの点線で結んでいるところになります。
新法の制定時のデジタル原則への適合性確認というものと、既存のものについてもアップデートしていくというところについて取り組むことが必要だろうというところから、そこについて改めて今我々が目指している場所を示している資料になります。
おめくりいただきまして、これは前回、第2回目、第3回目の作業部会でヒアリングしてお示ししていた資料になりますけれども、今まさにやっているデジタル技術、いろいろなデジタル技術が出てきておりますけれども、それと実際にある規制の中で、どういったところにデジタル技術が活用できるのかといったものをマッピングしたものになります。
その上で、先ほどアップデートといった話がございましたし、新規法令の適合性といったことにつきましても、こういった技術マッピングみたいなものを踏まえながら実際に見直していくことが必要になるだろうということでございますので、これについても資料としておつけさせていただいているものになります。
続きまして、次のページからが今回ご説明させていただきたい点になります。
最初に○を2つ並べているところでございます。これは副大臣から冒頭のご挨拶でもいだたいたところでございますけれども、デジタル原則の徹底を図るといったものにつきまして、まさに新規法令の策定とか法令改正が起こってきた場合につきましては、デジタル原則への適合性の確認をしていくことが不可欠であろうと考えてございます。それで、このプロセスといったものを入れていくのだと、年末の重点計画についても書かせていただいているところでございます。
ただ、それだけで十分なのかというところでございますけれども、法令に基づくような通知・通達につきましては、新規法令の策定を伴わないもの、新たに通知・通達で既存法令の中で出すようなものといったものもございますので、それについても確認していくということがデジタル原則への適合性をしっかりやるために必要ではないのかということで、問題意識として書かせていただいているところでございます。
さらにということで、まさにこれがアップデートのところになりますが、デジタル技術は常に日々進展していくといった性格を持っておりますので、既存法令につきましても、一度やったらそれでもういいのかというものではなくて、デジタル技術が進化していく状況に合わせて継続的にどうやっていくのかということを常にアップデートしていくということが必要であろうということで、継続的に点検・見直しは不可欠ではないかということで書かせていただいているところでございます。
これにつきましては、構成員の皆様を含めて問題意識としては共有されているのかなと考えているところではございますけれども、年末の重点計画に新規法令の確認プロセスと書かれていますので、そこについての概要をしっかりまたここで改めて皆さんを含めて意識共有をさせていただきたいということも踏まえまして、まさに新規法令だけではなくて、それの関連の通知・通達、さらには既存法令につきましても、定期的に適合性の確認、点検と言ったりすると思いますけれども、そういったプロセスが必要になるのではないかと考えているところでございます。
検討する際には、大きく分けて論点が3つあるのかなと書かせていただいているところでございます。時間の関係もあって、次のページでご説明させていただきます。
法令等のライフサイクルにおける各論点の位置づけということで、まさに先ほど書かせていただいた論点を並べているところでございます。デジタル原則といったものにつきまして、デジタル技術は日々進展していくという中で、それの実現をしていくための具体化という意味でも、デジタル原則の具体化が変わってくるというところでございますけれども、新規法令等のところを見ていただければと思いますが、まず、各省庁が政策企画をしていくことになります。どういった規制手続を設けるのかといったことにつきまして各省がまず考えていくことになりますが、その早い段階からデジタル原則をちゃんと意識してもらう、考慮した上でちゃんと考えていただくということが当然必要なことなのだろうということですので、デジタル原則の適合性というものをどうやっていくのかということについて、各省庁にこういうことをやっていくのだよということを具体的に示しておくことが最初に必要ではないのかというのが論点の一つとして考えているところでございます。
実際にそれをルール化していくといった場面になりますけれども、それが論点②でございます。法律、政令、省令、告示、通知・通達、解釈文書等、いろいろございますけれども、それがルール化されていくといった中で、それをどうやって立案していく、そのルールを立案していく段階で、先ほど規制の事前評価等をいろいろご議論いただきましたけれども、そのプロセスとしてどういう段階で確認していくのかといったことをしっかりとやっていくことが必要であろう。それを制度化していくということで、それを担保していくことが必要ではないのかというのが論点②でございます。
論点③につきまして、これはかなり重要なところではないかと我々も思っているところでございますけれども、ルールだけをつくってそれでいいのかということではなくて、実際に法律といったものを執行された場面によって、本当にちゃんと執行できているのかということはまさに重要になります。ですので、執行していく段階で、様式等といったものとか、実際にデジタル技術を使うとなるとシステムといったものも必要になってきたりします。さらにはということで、デジタル化されたものを前提とした省庁の体制といったことも含めたり、仕事のやり方、BPRということになるかと思いますけれども、そういった体制の見直しについても併せてやっていかなければいけないだろうということになっておりますので、そういった執行面のプロセスをしっかりつくっていくのだといったことにつきまして、それはまさにシステムを所管するデジタル庁といったところも含めてだと思いますけれども、そういった関係省庁ときっちりそういったところをどうやって最適化していくのかということを仕組みとして入れていく必要があるのではないかというのが論点③でございます。
既存法令につきましては、また同じようにルールの見直し、さらには、執行面に対しての体制面を含めた各種の仕組みを導入していくということでローリングしていくことが必要ではないのかと考えているところでございます。
引き続きまして、次のページをご覧いただければと思います。実際、論点ごとにどういった課題があるのかを抽出したものでございます。論点①は課題というところまで言い切っていないのですけれども、デジタル原則への適合性確認のための具体的な指針を出すべきだということですけれども、主体としては誰が出すのか。デジタル臨調、デジタル庁といったところで策定して、まさに事前にあらかじめ公表しておくということで、まさに政策を企画立案する各省庁、さらには国民の方々も含めてだと思いますけれども、予見可能性を担保できるのではないのかということです。
論点②のところになりますが、これは新規法令、既存法令で同じところと違うところがございますけれども、確認する、点検・見直しをしていくといったときに誰がやるのか。実際にデジタル庁がやるのか、それとも個別の責任を負っている各省庁がやるのか。各省庁がやるにしても、それは官房と言われるような取りまとめ部局がやるのか、担当部局が直接やるのかといったような、まさにプレーヤーがいろいろあり得るのではないかというのがこの主体のところの課題になります。
主体と課題とのパラレルになると思いますけれども、実際に法令以外を取り扱う場合についてどこまでやるべきなのかということですけれども、デジタル庁でどこまでやるのか、各省でどこまでやるのかといったような、まさにデジタル庁の体制面の話も含めてだと思いますし、各省の体制面、どこまで何をやるのかといったような、まさに役割分担といったところも含めて、どういうプレーヤーがどういうことをやって分けていくのかといったことについて考えていく必要があるのではないのかというのが対象ということになります。
さらには、時期というところでございますけれども、法律、政令、省令、先ほどいろいろご説明いただきましたけれども、まさに法制局が関わってくる法律、政令、さらに法制局以外の省令といったものも含めて、立案過程が異なってきますので、新規法令の際にはどのタイミングで確認することが、意義があるタイミングとして関与できるのかといったことは、恐らく個別によって違ってくるということになりますので、その入るタイミングをどうするのかということを考えなければいけない。
既存法令の場合につきましては、新規法令とは違って、既にあるといったものになりますけれども、どういったタイミングで再度見直すのかといったタイミングはいろいろあると思います。そういう意味では、一つ王道という意味ではデジタル技術の進展に応じてやっていくのだということですけれども、問題としては技術動向だとかデジタル技術の活用といった状況が日々どんどん変わっていっている中になりますので、そういったものをどうやってキャッチアップしていくのかといったことがその裏側としては必要になる。把握する手段を考えなければいけないということになります。
さらにはということで、国民等から声に応じて実施ということになります。先ほど政策の執行面も重要であると説明させていただきましたけれども、実際に政策の執行の対象である国民と、経済界の方も含めてだと思いますけれども、エンドユーザーと言われるような方々から、実際にどうなのだ、こう変えてもらいたいといった声も含めてやるということが一つの大きなきっかけになるのではないのかということで、まさに国民等からの声に応じて定期的な見直しも行う必要があるのではないのか。
さらには、漠然と「定期的な実施」と書かせていただいてございますけれども、新規法令等をつくるときに、こうやっていくのだというふうにある程度決まった段階で、本当それをちゃんとやっているのかどうかといったことについて定期的に確認していくことも含めてやっていくことが必要なのではないのかということで、どういったきっかけでこれをやっていくのかということも一つの大きな検討課題ではないかと考えているところでございます。
論点③につきましては、先ほどの執行面の課題のところにございますけれども、実際にデジタル原則を実現していくといったところについては、どういった手続で、どういったシステムを設けて、どういった体制まで行くのかといったところまできっちりとコミットしていくことが必要であろう。
それについては、デジタル原則をうたうデジタル庁が中心となって、システム面、体制面、さらに手続といったところを考える、関係プレーヤーはデジタル庁がかなり主ですし、予算当局も含めて議論して、実際にどうやっていくのかといったことについてある程度ルール化していくことが必要なのではないかと考えてございます。
そういったところにしっかり対応していくのだ、BPRをしっかりやっていくのだ、システムをちゃんと整備していくのだということについて、先ほど説明させていただきました具体的な指針だとか、もう一つはデジタル庁のほうで情報システムの整備、管理の基本的な方針といったものを出してございますので、こういったところで、併せてルール化をしていくことによって、執行面においてのデジタル原則の実現を担保できるのではないかと考えてございまして、ここら辺についてどうしていくのかということについてご議論いただければと考えているところでございます。
駆け足になりましたが、私からは以上になります。
事務局(須賀):ありがとうございます。
少々時間が押していますので、資料5を先にご説明させていただいて、意見交換は最後にまとめてお願いできればと思います。
事務局の奈倉さんから説明をお願いします。
事務局(奈倉):事務局の奈倉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
前回の会合で、法制事務のデジタル化を検討するに当たって海外事例を調査すべきであるというご意見をいただきました。これを受けまして、事務局において調査すべき国の範囲と、この項目を調査したら参考になるのではないかという調査項目案をまとめたものが今映している表になります。縦軸が国名、横軸が調査項目案となっております。
まず、縦軸につきまして、現在調査対象として検討している国は13か国ございます。この選定基準につきまして、いわゆるデジタルガバメント先進国と言われている8か国と、その他参考になると思われる5か国を列挙いたしました。
ご参考までに、デジタルガバメント先進国とは、アメリカ、イギリス、エストニア、シンガポール、中国、インド、デンマーク、韓国の8か国を指します。その他、参考事例があるなどの理由で記載したのは、ドイツ、フランス、EU、オーストラリア、ニュージーランドの5か国です。
次に横軸です。「立法支援システム」とは、立法業務がシステム化されているかということを指しております。
「法令の改正方式」とは、法改正が改め文方式で行っているかという点を指しております。
「法令の公示方式」とは、どこの国も基本的には官報によって法令を公示していると思われるのですが、その官報は紙で発行しているのか、あるいは電子なのか、電子官報の場合、その官報に法的効力があるのかといったことを指しております。
「公式法令データの所在・整備主体」というのは、ルールのマスターデータが存在するか、そのマスターデータには、法律、政令、省令、告示等のどこまで記載されているのか、そして、マスターデータが存在する場合は、どの機関が管理しているかといったことを指しております。
「民間の法令集の棲分け」とは、政府が責任を持って管理する範囲はどこまでなのかということを指しております。
「法制事務に関するデジタル化を定める法令等」とは、法令上、立法手続や新規法令内容のデジタル原則適合性が義務づけられているかということを指しております。
最後に、「Rules as Code等の取組み」というのは、主に各国がどのような技術的な取組みを行っているかという趣旨で記載しております。
既にご存じの方もいらっしゃるかと存じますが、Rules as Codeの概念についてご説明させていただきます。Rules as Codeは、OECDのレポートによりますと、自然言語のみならず、機械が判読可能な形でルールを策定しようとする取組みのことを一般に指しております。したがって、主に法令をプログラミング的なアプローチで策定する取組みの有無を調査する趣旨でこの項目を記載しております。
最後に、現在表に記載されている内容につきまして、当該国が日本と比べて先進的な取組みを実施していると思われる部分に二重丸をつけております。一方、単なる一重丸部分については、日本と比べて特段進んでいるとまでは評価できないものの、ご参考までに記載しているものとなります。
なお、現在この表で空欄とされている部分につきましては、単純に現時点の調査において該当項目が見つからなかっただけの趣旨でありまして、その国に特筆すべき取組みが存在しないと結論づけるものでないことをご留意いただければと思います。
駆け足となってしまった大変申し訳なかったのですが、私からの発表は以上となります。
事務局(須賀):ありがとうございました。
ちょっと盛りだくさんなので、今日は欲張り過ぎたかもしれませんが、前回のご指摘を踏まえて事務局でつくったものということで、ぜひこちらもインプットいただければと思います。
では、意見交換が残り3分になってしまいましたが、何かコメントをいただける方がいらっしゃいましたら挙手をお願いいたします。
では、米田先生、お願いいたします。
米田構成員:最後のデジタル原則への適合性確認のプロセス・体制についてというところで、新しいものをつくるとか既存のものを見直すということがあるのですけれども、実際に施行しているものなり、始めたものについて、国民等からの声に応じて実施と書いてありますが、これはどこで受け止めるのかということについて記載が曖昧過ぎるかなと。これはやはりデジタル庁で受けるとか、各省庁で受けるとか、仕分けがもう少し明確にできるのではないかなと思ったので、その辺はどのように検討が進んでいるかということを伺えればと思います。
事務局(須賀):柳生さん、これは未定ですよね。
事務局(柳生):そこがまさにご指摘いただきたかった面もございまして、国民の声を広く受けるというところになりますと、実際にエンドユーザーの方と付き合っているのは各省になりますので、そういう意味では各省が一番拾いやすいのかもしれないのですが、一方で各省には言いにくいといった場面もまた出てくるところがありますので、そこについてどういった仕組みを設けるのがいいのかというところがございます。
そこについて、各省から受けるといった線がいいのか、デジタル庁で直接受けるほうがいいのか。各省で受ければ日々の改善といったところに反映できる点もございますけれども、一方でデジタル庁にいただければ、横串も兼ねて刺すこともできるといった点もございますので、そういったところについてはどこで受けるのかといったところも一つの大きな課題というか、検討すべき点かなと考えているところでございますので、まさにそこについていろいろご意見をいただければと考えているところでございます。
事務局(須賀):ブレストのレベルでは、アイデアボックスを使えないかとか、それこそパブコメに乗せるのはどうなのかとか、あと、ミシュランみたいな覆面調査をやってみたらどうかとか、いろいろなアイデアが出ていますので、そちらもぜひここでご議論いただけたらと思います。
米田構成員:ありがとうございます。
事務局(須賀):渡部先生、お願いします。
渡部構成員:30秒で終わらせます。
私は、結論から言うとデジタル庁さんが良いかなと思っています。理由の1つ目は、デジタル原則の解釈自体に揺らぎがあるので、そこに対して統一的な解釈を示せるデジタル庁さんが一番適任と考えます。理由の2つ目は、横串すなわちベストプラクティスの普及が一番重要なところなので、情報集約という意味でもぜひデジタル庁さんがこの新しい役割を担っていただくのが国民にとってもベストかなと考えております。
手短ですが、以上です。
事務局(須賀):ありがとうございます。
ほかに何かありますでしょうか。と言われても、この時間でという感じではあると思います。大変申し訳ありません。
最後に、小林副大臣から何かコメントがございましたら。よろしいでしょうか。
小林デジタル副大臣:大丈夫です。たくさん論点も出てきたし、具体的なご意見もいただけたと思いますので、頑張っていきましょう。
事務局(須賀):事務局で案をつくるときに、この検討会メンバーの方々には半事務局として案をつくるところからぜひご協力いただきたいと思っています。例えば法令データが公布と同時にe-LAWSにのるにはどうしたらよいか、ということから逆算して法制事務をBPRして見直していく、というような点は、ぜひ皆様に一緒に資料を作るような形でご協力いただけたらと思っていますので、具体的にお声かけさせていただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。
では、時間になりましたので、本日の議事は以上とさせていただいて、議事録の扱い、資料の扱いについては前回と同様にさせていただければと思います。
以上をもちまして、本日の会議を閉会いたします。ご参加、どうもありがとうございました。
(以上)