デジタル臨時行政調査会作業部会 法制事務のデジタル化検討チーム(第1回)
概要
- 日時:令和4年(2022年)2月17日(木)16時から17時まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 事務局からの説明
- 意見交換
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/49KB)
- 資料1 法制事務のデジタル化検討チームの設置について(PDF/92KB)
- 資料2 法制事務のデジタル化検討チーム構成員(PDF/70KB)
- 資料3 法制事務のデジタル化検討チーム運営要領(PDF/56KB)
- 資料4 法制事務のデジタル化に関する検討事項(案)(PDF/44KB)
- 資料5 法制事務のデジタル化について(PDF/1,429KB)
- 議事録(PDF/343KB)
関連情報
議事録
須賀参事官:では、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。本日は、第1回デジタル臨時行政調査会作業部会に設置されました法制事務のデジタル化検討チームに御参加いただきまして、どうもありがとうございます。
司会進行を務めさせていただきますデジタル庁参事官の須賀でございます。
本日、各構成員にはデジタル臨調らしくオンラインで御参加をいただいております。どうもありがとうございます。
まずは、本検討チームの座長でもあります小林デジタル副大臣から、検討チームの開催に先立ちまして、趣旨などを含めて御挨拶を賜りたいと思います。お願いいたします。
小林デジタル副大臣:皆様、今日はよろしくお願いします。検討チームに御協力をいただき本当にありがとうございます。そして、事務局の皆さん、お疲れさまです。
今日は、臨調の作業部会のメンバーもオブザーバーとして参加をしていただいていますが、まず、このチームのミッションを共有できたらと思っています。もともとデジタル臨時行政調査会というのは、この国の社会制度自体がデジタルに合っていない、テクノロジーの実装を阻んでいるのはむしろ社会制度そのものになっているということで、これを丸ごと見直していこうという取組みです。
この取組みをやる上で、あらゆる分野、省庁、そして自治体や民間の慣習まで含まれていますので、非常に大きな取組みが必要だと思っていますし、それをやるためには、政治や行政だけではなく、それぞれが自発的に、同時多発的にやってもらうということがとても重要だと思っています。
そういう意味では、今から臨調で法改正をどんどんやるわけですけれども、変わった法律は、常に時代も変化をしていきますから、アップデートも継続的にされなければなりませんし、新しく法律が出てくる際もきっちりその適合性をチェックする必要があると思っています。そのためには、いわゆるデジタル法制局と言われるような、新しい法律がデジタル原則に適合しているかをしっかり見ていく、この仕組みをつくり上げなければならないということが一つ。
もう一つは、どんどん変わっていくものを誰がチェックするのかといったときに、もちろん行政官が法律をつくっているわけですから、行政官がチェックするというのは当然なのですけれども、実際に法律を使って生活を送るのは国民ですから、ぜひ国民の皆さんにも見ていただいて、そして、違和感があれば直しにくるということができるようにしたいと思っています。
若干相矛盾するかもしれませんが、民主主義の根幹である法律ですけれども、この法律自体を民主化する。今だと非常に分かりづらいユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスになっている、この法律自体をもっと国民に分かやすくしていくというのも、法制事務のデジタル化の役割だと思っています。
これをやっていけば、企業や国民が、自分たちが読み解いて、そして、そこに何か変化を加えていくようなアプローチも可能になるのではないかと思っています。そうなることが、この国全体として、自発的、自律的にルールを見直していくという文化が醸成されて、常に最新の状態になった社会制度の中で、個人や企業が活躍できる、そんなフェアで多様な社会になるのだろうと思っています。
これをやっていくためには、まずは法令のベースレジストリをしっかり整備して、官民からアクセスをしやすくするとともに、法制事務自体をデジタル化、そしてBPRを徹底して、官民の役割分担を見直していく必要があると思っています。特にベースレジストリさえ国が整備をすれば、リーガルテックの皆さんがそれぞれの業界に分かりやすく、各分野に分かりやすくサービスを提供していただければ、官民でうまく特徴を生かしたサービスが提供できるようになると思っています。そうなってくると、このリーガルテックの部分に新しい成長産業が生まれてくると思いますし、リーガルテックの皆さんが分かりやすく法律のサービスを各業界に提供していく、国内の事業者もそうですし、海外からの事業者にとっても、日本のルールが分かりやすくなれば、投資の判断も速くなるわけですから、新たな投資を受入れることができるようになってくる。これは間違いなくこの国の大きな成長にもつながる改革だと思っています。
ですので、この規制をしっかり見直していく。そして、この規制、ルールのつくり方を新しくすることが成長を実現するのだと思って、皆さんとこの取組みを進めていきたいと思っています。御協力をよろしくお願いします。
須賀参事官:どうもありがとうございました。
続きまして、この後、今回初回ですので、皆様に御自由に意見を言っていていただく時間を十分取っておりますけれども、まず冒頭に自己紹介を各構成員の皆様から一言ずついただければと思います。
まず、安野構成員からお願いできますでしょうか。
安野構成員:初めまして。安野貴博と申します。よろしくお願いいたします。
私は、現在、MNTSQ株式会社というリーガルテックのスタートアップの共同創業者兼取締役をさせていただいております。経歴といたしましても、機械学習、自然言語処理というところから、実際にリーガルテックの現場でプロダクト開発を統括しておりまして、そういった立場から御助言することができたらいいなと思っております。個人的にも、先ほど小林副大臣もおっしゃられておりましたが、法整備を民主化するであるとか、オープン化するであるとか、信じられる単一の情報元をきっちりしていくみたいなところは個人的にも非常に共感するところですので、ぜひやれていければなと思っております。よろしくお願いいたします。
須賀参事官:ありがとうございます。
続きまして、角田構成員、お願いいたします。
角田構成員:初めまして。角田でございます。よろしくお願いいたします。
私は中央大学の国際情報学部という、法律と情報を国際的な観点から学ぶという学部に所属していまして、私自身はもともと1980年代から法律AI分野という、法律をAIやITでどのように取り扱っていくかという研究を長く実施してまいりました。これはデジタル庁さんと同じ問題意識で昔から取り組んできたと言えるかもしれません。実際に現在もそういう活動の一環として、全国の自治体の条例のほとんどを集めて整理してデータベース化して無償でウェブ提供する取組みですとか、自動で条例案の雛形を作成するようなシステムをつくって、この4月からもそのシステムが無償提供されるのですが、そういった活動を行ってまいりました。
これらの活動と同時に、『法律時報』や『NBL』などの法律専門家向け雑誌に法律AIの抱えている問題や注意すべきことも提言してまいりました。あとは法のつくり方自体について研究を行ってきて、いろいろなレベルの法のデータ化とか、あるいは法をどのようにつくるかという作成方法論の工学的な手法で「法令工学」というのですけれども、そういった研究も進めてまいりました。そこで、そのような観点から法制事務のデジタル化で可能なこと、逆に技術的に時期尚早と思われる点などについて助言させて頂き、ソフトランディングといいますか、実際に円滑に進めるために何かお役に立てたら幸いに思います。
あと、副大臣の先ほどのお話を伺いまして、私も同様の思いが根底にあると感じました。私が昔専攻していたシステム科学科の制御工学系の授業で習った数学的な定理のひとつに、可観測イコール可制御というものがありました。可観測というのは観測できることで、見ることができることとコントロールできること、つまり制御できることというのは同じだということです。厳密には典型的なある種のシステムに限られますし、イコールではなくて両者が表裏のような関係で成り立つという定理ですが、それが約半世紀前に証明されているのです。ですので、そういった観点からしても、やはり民主主義を考える場合でも、政治を国民の手によってコントロールものとするためには、国民に見えることが一番大事だと考えています。このように見えることの重要性について副大臣からのお言葉を頂戴して、とても感銘を受けました。ありがとうございました。ぜひ見える化を目指して協力させていただきたいです。
以上です。
須賀参事官:どうもありがとうございます。
では、続きまして、藤原構成員、お願いいたします。
藤原構成員:長島・大野・常松法律事務所の弁護士の藤原総一郎と申します。
私は、本業は弁護士で、M&Aとかテクノロジー系の案件をやっているのですけれども、多分、今日の会議との関係では、リーガルテックの担当を事務所内でやっていまして、しかも、安野さんのいらっしゃるMNTSQさんとは資本業務提携もして、MNTSQさんの社外取締役でもありまして、どういう意味かというと、リーガルテックのユーザーであり、売るほうの取締役であり、いろいろな方面から見ていて、企業さんが見ているDXとか、そういう意味でもいろいろな角度からいろいろなお話ができるのではないかなと思っています。
あと、デジタル臨調の事務局のお手伝いもさせていただいているのですけれども、今回の特に法令のベースレジストリをつくるというところは、結局全体の改革の本当のベースのレイヤーの一番下のほうにあって一番重要なところの一つかなと思っているので、本当に何かいいことができたらいいなと思っています。よろしくお願いします。
須賀参事官:どうもありがとうございます。
では、堀口構成員、お願いいたします。
堀口構成員:FRAIM株式会社代表取締役の堀口です。本日はよろしくお願いいたします。
私は、FRAIM株式会社の代表といたしまして、当社で行っております文書作成の仕組み、皆様、あまりなじみがない分野かもしれませんが、オンラインでどこにいてもクラウドで編集ができる文書作成システム、並びに、それに伴う自然言語処理といったところの開発・提供というものを行ってございます。
また、私どもの取組みといたしまして、あるいは私自身の取組みといたしましても、特徴的でございますのが官公庁の皆様、昨年、須賀様がおられる経済産業省での御活用、実証実験等もさせていただいて、勉強させていただきましたところでございますが、テクノロジー企業としてデジタル行政において何ができるかということに関しては、継続的に私どもも検討して、活動しているというのがございます。今回の取組みにおきましては、皆様方の御関心事の中にも、目視での法令検査の在り方に関する検討というところがあられるというふうに存じ上げておりますので、こういった部分で私どもの観点から知恵をお出しできるところがないか。また、私どものほうでも勉強させていただく点が多々あると思ってございますので、どうぞ何とぞよろしくお願い申し上げます。
須賀参事官:ありがとうございます。
では、八木田構成員、お願いいたします。
八木田構成員:ありがとうございます。Legalscapeの八木田と申します。よろしくお願いいたします。
弊社、Legalscapeは、ちょっとこの名前の由来にもなるのですけれども、リーガルとスケープという言葉を組み合わせた言葉になるのですけれども、我々のやりたいこと、まさにやっていることというのは、リーガル、法律情報というのはたくさんあると思います。まさに今回の法制事務のデジタル化検討というところにもピンポイントで刺さってくると思うのですけれども、この法律情報というのがたくさんあるのに散らばっていて、本来は一つの場所にあって、相互に関連し合いながら理解されるべきものなのに、ばらばらになっているという法律情報を集めてきて、整理して、一目でぱっと見渡せるような形にできないかということで、見渡す、スケープ、景色のような形にできないかということで、Legalscapeという会社名にいたしました。
現状、Legalscapeで提供しているサービスとしても、いわゆるリサーチツールを提供しておりまして、各種法律事務所さんですとか企業法務部さんに法律のリサーチをしていただけるようなサービスを提供しています。その中で、例えば法律の書籍を読んでいたら、書籍の中でこの法律が参照されているのだとか、そういったリンクの構造を全て解析して、リンクに飛べるとか、逆引きができるとか、そういったものを機能として提供していたりもします。ですので、今回の法制事務のデジタル化というところで申し上げますと、ベースレジストリみたいなものを作成する際に、Legalscapeの中で似たようなものをつくっていたりもしますので、そこでまさに少し弊社の知見が御提供できるかなと考えております。よろしくお願いいたします。
須賀参事官:心強いです。ありがとうございます。
では、米田構成員、お願いいたします。
米田構成員:鹿児島大学の米田と申します。よろしくお願いいたします。
私自身、研究の一番の中心は企業法務の組織についての研究で、この3月に企業法務の実態調査が商事法務から刊行されますが、その編集などもしております。その中で今回の調査は2020年の調査になりますが、ICTをどう使っているかとか、また、リーガルテックに対する関心のような質問項目も入っているものがありまして、企業法務に関しては最大の調査ですので、幅広いユーザー側の視点というか、そういう感覚をお伝えできればと思います。
それから、私自身は法科大学院で仕事をしておりましたが、法科大学院ができたときに、その法情報、日本法のデータベースが判例も法令もそうですけれども一気に電子化されて、一般の企業に広がるということが起こったのですね。そういった辺りを体感していることと、法社会学を専門にしていますので、その視点から分析というか叙述をする、記述をしてきたという仕事がお役に立つかも知れません。さらに、角田先生のつくられた条例のデータベースを鹿児島大学から発信させていただいておりまして、まさに条例のデータベースを使うユーザーサイド、それから、それに付随している例規の作成を支援するシステムですね。これを実際に使っていただいた感覚等もこちらで蓄積をしておりまして、そういった知見がここで役に立つのかなと思っています。
特に例規は、今、1,790自治体ありまして、95%ぐらい我々は捕捉しているのですが、それをリアルタイムで更新するのはいかに大変かということについて、痛いほど実感しているところでございまして、各自治体の中での例規をつくってそれを公布するまで、昨日も公布し損ねて無効になっているというニュースが出ていましたけれども、そういった現場サイドの状況を踏まえた形での発言などもできるのではないかと思っています。
法社会学という専門からしますと、ルールは現場で自生するもので、統制するというのはかなり難しいのですね。だから、ある種、本当に大海に挑むような、大海原に踏み出すような作業ということに実際はなりますので、くじけることなく、それから、計画的に実現することがどこまで実現できるかということについて、やはり強い確信を持てるところは、そこはしましょうと。あと、できないところは夢としてきちんと語り続けましょうと、そういうスタンスで発言ができればなと思っています。
今回、今のブームの流れというのは、僕はちょっと行き過ぎ感というか、夢感が大きいと思っているところがあるので、それをどこまでやるかということについて、地に足の着いた議論になればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
須賀参事官:大変心強いです。ありがとうございます。
では、最後になりますが、渡部構成員、お願いいたします。
渡部構成員:皆様、こんにちは。渡部友一郎と申します。私は弁護士なのですけれども、少し藤原先生とは違いまして、企業の中で働くいわゆる組織内弁護士という立場でございます。したがって、まさにこの組織の中、経営者とともにビジネスを考える、投資を考える中で、この法律をユーザー目線からどういうふうにデータベース化していけばよいのかというところについて、ぜひ知恵を出していけたらと思っております。
また、個人の経験としても、2018年、今私が所属しているAirbnbが日本の1940年代の法律をアップデートしたいというときに、まず最初にぶつかった壁というのが、どういう法令やどういう情報があるのかということでした。したがって、今回の小林副大臣がおっしゃったとおり、新しい法律をつくる、新しい時代に合ったルールをつくるためには、まずはシングル・ソース・オブ・トゥルース(single source of truth)、どこに行けばその法令があるのか、ルールがあるのかというところを明らかにするというのが、実は見えにくいのですけれども大きな第一歩だと思っています。
実際、グーグルのエリック・シュミット会長が彼の本の中で非常に面白いことを言っておりまして、『今は企業の進化が法律の変化をはるかに上回っている』と、まさにこういう世の中で、我々のベースとなる法律というところをしっかりデジタルにつくっていくということが非常に大きな意義のあることだと思っておりますので、全身全霊を尽くしてしっかり貢献できるように頑張っていきたいと思います。引き続き御指導をよろしくお願いします。
須賀参事官:ありがとうございます。
期待感が高まる自己紹介を皆様していただいて、ありがとうございます。
それでは、早速ですが、本日の議事に移らせていただいて、まず冒頭に、企画官の柳生から、資料1から4に沿いまして、本検討チームの設置の詳細等について御説明をさせていただきたいと思います。柳生さん、お願いします。
柳生企画官:企画官をやっております柳生と申します。よろしくお願いいたします。
では、早速、資料の御説明をさせていただければと思います。
映っております資料1についてでございますけれども、先週2月10日の木曜日に開催されました、デジタル臨時行政調査会の下の作業部会の際の資料でございますけれども、まさに本検討チームの設置について定めたものになります。1つ目のところになりますけれども、作業部会の下に、この新規法令のデジタル原則への適合性の確認プロセス・体制構築の検討を行うために、本検討チームを設置するということになってございます。
2つ目になりますけれども、検討チームの構成員については次のとおりでございます。先ほど御紹介させていただきましたが、座長はデジタル副大臣でございます。構成員につきましては、デジタル改革、規制改革、行政改革、法制事務に関して優れた識見を有する皆様の中から座長が指名する者ということで、皆様方が構成員になっていただいているところでございます。
3になりますけれども、まさにこの検討チームの庶務、事務方につきましては、内閣官房、内閣府の協力を得て、デジタル庁のほうで処理させていただきたいと思います。
4になりますが、その他、運営に関しての細かい事項等につきましては、座長が定めるというふうにさせていただきたいということになってございます。
引き続きまして、資料2につきましては、本検討チームの構成員について書かれている資料でございます。座長は副大臣ということでございます。構成員につきましては、安野様、角田様、藤原様、堀口様、八木田様、米田様、渡部様ということで、先ほど自己紹介いただいておりますので、詳細は割愛させていただきます。
続きまして、資料3に移らせていただきたいと思います。本検討チームの運営要領についての資料になります。
1つ目、1になりますけれども、本検討チームの会合におきまして配付された資料につきましては、原則として、公表するということにさせていただきたいと思います。
2になりますけれども、検討チームの議事録につきまして、これも原則として、公表するということにさせていただきたいと思います。
続きまして、3のところになります。とはいいつつも、原則公表、公開ということで考えてございますけれども、検討チームの決定を経てということになりますが、ある特定の場合におきましては、議事録の一部または全部を非公表とすることができるというふうにさせていただきたいと思います。
そのような場合ということでございますけれども、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあると認められるような場合、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあると認められるような場合、その他中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある等相当の理由があると認められる場合につきましては、資料や議事録といったものについて、チームの決定を経た上ですけれども、非公表とすることができるというふうにしたいと考えてございます。
この1、2、3に定めるもののほかにつきまして、運営に関して必要なものについては、これも座長が定めるということにさせていただければと考えてございます。
引き続きまして、資料4になります。本検討チームで検討いただきたい検討事項の案でございます。これも第1回作業部会において示された資料となってございます。概略については、先ほど簡単に副大臣からも説明がありましたけれども、まず1つ目、新規法令のデジタル原則への適合性の確認プロセス・体制についての御検討をいただきたいというものでございます。これにつきましては、まさに今やっております既存の法令の見直しと併せて、日々新しく生まれてくる新規法令についてもデジタル原則の適合性をしっかりとチェックしていかなければいけない、確認していかなければいけないという中で、どのようなプロセス・体制でやっていくのかといったことについて御議論いただければと考えているものでございます。
2つ目、法制事務のデジタル化・BPRと官民分担の在り方についてというものでございます。これについては下の3つのポツで並べてございますけれども、法制執務、デジタル原則の適合性を確認して、さらにそれの当然のベースといったものになっていくものだと考えてございますけれども、先ほど来いろいろ御発言いただいておりますけれども、法令データのベースレジストリ(デジタル正本)といったようなものが、今この瞬間、明らかになっていないものにつきまして、それを整備・提供していくといったことについて、どのように取り組んでいくのかということについて御議論いただければということでございます。
次の2つ目のところになりますけれども、法令関連文書等の利活用に向けた官民の役割分担というところでございます。法令関連文書というような書き方をさせていただきますが、いろいろな仕組みや規制の詳細につきましては、法令に必ずしも書き切られていない。通知・通達やガイドライン、Q&Aといった様々なドキュメントでその実際の中身が定められているといったものが現実になってございます。ですので、それについてどのように実際にオープンにしていくのか。そして、それをどうやって見直すといったようなことが起きていくのかということにつきまして、官だけでやるのか、それを民も含めてどのように役割分担していくことでうまく回るような仕組みができるのかといったことについて御議論いただければと考えてございます。
最後のポツですけれども、法制事務に係るリーガルテックの活用というところでございます。これにつきましては、今まさに政府で行っている法制執務につきましては、やはりどうしてもアナログ、紙前提の作業、事務ということになってございます。その中で、リーガルテック、様々なデジタル技術が生み出されている中で、その事務をいかに効率化していくのか、それによって、より正確で効率的な改正ができるのではないかという観点も含めまして、リーガルテックの方々の様々な知見をまさに法制事務の中に入れていきたいということから、いろいろな御知見、提案等について御検討いただければということで、検討事項ということで挙げさせていただいているところでございます。
資料につきまして、簡単でありますけれども、説明は以上になります。
須賀参事官:ありがとうございました。
資料5は補足になりますけれども、ただ今資料4で柳生さんから説明させていただいたことの背景と、デジタル臨調で取り組んでいる全体像との関連だけ少し私のほうから補足をさせていただきます。年末にデジタル臨調で「構造改革のためのデジタル原則」の御提案をさせていただき、その後、閣議決定を経て、政府全体の方針となっております。
原則の詳細は割愛させていただきますが、これを当てはめるべき先は、いわゆる狭義の「法令」、法律、政令、省令に限らず、通達や事務連絡、さらに国が必ずしも策定に関与していないガイドラインなども現場ではルールとして機能しているという実態がございます。全体のデジタル化、DXを徹底してやっていこうとしますと、そこまでをどうしても視野に入れざるを得ない。
これは膨大な作業になりますので、現在デジタル臨調事務局で手作業に頼ってやっている点検作業を、今後、もう少しシステム化、プロセス化していくということを同時に考えなければいけないと思いまして、年末のデジタル臨調の資料に「法制事務のデジタル化」を論点として盛り込んでございます。
このチームの御検討で解が見えてくればと思っている論点としては、まず1つ目が、現在、デジタル臨調の事務局でやっている数万にわたる既存の法令(ストック)の点検を、手作業でキーワード検索をしているわけですけれども、それを今後どうやって、より効率化、自動化、システム化していけるか。それから、新規の法令、新しくフローで入ってくるものについても、併せてデジタル原則の適合性の確認をしたいわけですが、既存の法令審査のプロセスとの関係で、どこでどういうふうに誰が担っていくべきか。また、一度既存の法令を点検して終わりではなくて、今後もテクノロジーの進化などに応じて随時法令がアップデートされていくような形を実現するには、どういったプロセスや体制・インフラが必要か。こういった問題意識を、膨大な手作業・人海戦術をやる中で非常にビビッドに持っております。
2つ目の論点は、法令以外も含めた点検作業を国だけで抱えるのではなくて、いろいろな方に助けていただいて連携しながら実施したいと思ったときに、そもそも何をアップデートするのかという、法令のマスターデータが必ずしも定かではないという課題です。先ほどより構成員の皆様からおっしゃっていただいていますように、法令データのベースレジストリは、少なくとも国家がある程度の範囲については責任を持って、公布と同時に整備・提供をするべきではないかという問題意識も持っております。
最後に3つ目ですが、先ほどから御指摘いただいているとおり、この「ルール」というものの外縁が実ははっきりしていないということも論点です。社会においてルールや規律として機能しているものの全体像の把握が非常に困難であるなかで、国家が歯を食いしばってでもデジタル形式で少なくともここまでは正確なものを公共財として提供するべきだ、という範囲をどのように整理・確定できるか。それ以外の部分については、民間のサービス、リーガルテックのサービスなどとも連携しながら、国全体として国民がルールや規律というものにより自由に、民主的にアクセスをしていただけるような環境をつくっていくにはどうしたらいいか。こういったことを問題意識として持っております。
最後のページは諸外国の例を載せています。デジタル原則にのっとって法令をチェックする「デジタル法制局」をデンマークが持っているので、それを一つの参考にしながら私たちも御提案をさせていただいてきたのですけれども、法令のベースレジストリのほうも、アメリカやオーストラリアでいろいろ先行的な実証実験をされています。どういう形式で法令データを出すとよいのか。機械判読可能、マシン・リーダブルといってもそれには幅がございますので、どういった形式で、どこまで国がやってくれると、あとは民間で巻き取るよと言っていただけるのか、というようなこともぜひ御議論をいただければと思っております。
以上でございます。
では、早速ですが、議事の2に移らせていただいて、ここまでの御説明も踏まえて、各構成員から御意見や御質問等がありましたらお願いできればと思います。
では、藤原先生、お願いいたします。
藤原構成員:藤原でございます。
最初は質問みたいな話なのですけれども、今の最後のスライドであったデンマークとかオーストラリアの事例を含めて、海外の情報は取ったほうがいいと思っていて、もちろんヨーロッパ言語と日本語は技術的には全然違うので、恐らく技術的には本当に、今まさにここにいらっしゃるような方々を含め、日本のものが必要になってくると思うのですけれども。全体の立てつけについては参考になる部分があるはずだと思っていて、例えば、デンマークでDigital ready Legislation事務局というのは一体何をしているのかとか、あと、オーストラリアとか、イギリスのウェブサイトが僕は結構見た目が好きなのですけれども、どうやってあれをつくっていて、多分、どの国もちょっと前までは日本の改め文と同じように、言語で何か差分をつくるとかをずっとやってきたはずで、もしかするとずっと使っているのかもしれないのですけれども、それを今どうやってあの人たちが即時にやっているのかというところについてはノウハウがあるはずなので、それは何かある程度聞いて情報を集めたほうがいいのかなという気がするのですけれども、その辺りはデジタル庁さんのほうで何か連絡があったりするのか、それとも、これは誰か外部の人に頼むのかとか、そういう情報収集はどういう感じになるのでしょうか。
須賀参事官:現在、事務局で委託調査を検討しておりまして、その中で、幾つかの国しか難しいと思うのですけれども、先例を調べたいと思っております。ここを重点的に調べるべきというアイデアがありましたらお寄せいただけたらと思います。イギリスにもデータの再利用原則があるとか、ドイツも進んでいると思ったらまだ改め文で法改正しているとか、断片的には聞いているのですが、諸外国の例で参照できるものがあれば調べてまいりたいと思いますし、こちらでも情報提供させていただきたいと思います。
角田構成員:今のようなお話では、To Beとして理想とか見本となるような諸外国の調査というところが一番重要だと私も思うのですけれども、結構、足元のほうの調査も重要だと感じています。私は個人的にも調査を開始していて、条例など地方自治体のものについては元々ある程度把握しているのですが、国のいろいろな告示だとか通達といったレベルでの作成現場のAs Isのような現状把握も重要だという思いが深まっています。また、もしかするとその辺の情報は、デジタル庁さんでしたら収集しやすいのではないかとも思うのです。そのような現状についてさまざまな断片的な一部分の報道や記事は数多く存在していますが、それらは法律とか政省令ぐらいまでの話が多く、その下下位のレベルの法のAs Isの調査も必要だろうなと考えています。
私はちょうど昨日、このAs Isの調査ともいえる機会として、国立医薬品食品衛生研究所の食品添加物のご担当の方々と打合せをいたしました。この機関では告示を扱いの添加物の公定書を膨大な量、作成されているのですが、その中では、様々な添加物はそれぞれについて、こういうふうに扱ってこういうふうにやりなさいのような細かい指示が何千と書かれて、分厚い本となっています。また、その方々の隣の部署では、化粧品に関する物質を扱っているそうで、これはまた少々まとめ方が違ったりしているそうです。種類も量も多く、専門性も高いので一律にデータ形式をまとめるのは大変だと思われます。このように同じ政府の機関でもでも結構違いがあるし量も多いし、分野ごとの特性もあるという現状です。自分で少し調べただけでも気が遠くなりそうでした。これらのデータ化に関わる方法や形式の情報もどのように集めるのかが課題になるように思います。
本来我々が意見を出さなくてはいけないのかもしれませんが、容易ではないという思いと、もし何か既にデジタル庁さんでも調査が進められているのでしたら、どのような状況なのか、どのようなおまとめがあるのなか伺えれば幸いです。
須賀参事官:ありがとうございます。まさにこれから調べたいので、こちらで調査項目を整理しますけれども、ぜひ皆様に事前に見ていただいて、まさに今ご指摘の下位法令の扱いをどうしているのかとか、全部政府でやっているのですかとか、データが間違っていた場合にどうするのですかとか、英語版は誰がつくっているのですかとか、様々な調査の観点があるかと思いますので、皆様に先にインプットいただいてから調査を走らせたいなと思います。ありがとうございます。
皆様、ほかにいかがでございましょうか。
米田構成員:角田先生の今の御発言の関心をちょっと敷衍すると、今の法令自体も、どういうプロセスで、きちんと文章として上がってきて、公布まで至っているのかと。公布からさらに溶け込みが出てきて、e-LAWSに載っかって出てくるのかというプロセスも実はブラックボックスなのですよね。法令自体も、起案から始まって、委員会を通って、本会議を通ってくるまでに政治のプロセスで随分いろいろなやり取りがあって、直前に変わったりする。さらに、印刷局に持ってくところで、その持っていったものの原稿が違ったりいろいろなことが起こって、公布からe-LAWSに反映するまで最低3日ぐらいかかってしまうという実態が多分あって、その辺でひっかかっているところはどこなのかというのを注目すべきだと思うのです。
それは必ず人がやらなければいけないところというのが残っていて、なおかつ機械化できるところもあると。そこの見極めと、機械化のところをどう支援するシステムを入れられて、人はどこに関わらなければいけないのかということに関する視線をしっかり持って現場を見ていくということが、システムを変えていくことにとってすごく大事だと思っています。
さっきも言ったのですけれども、要するルールというのは現場に即してできてくるものなので、最初からこうやってやれというのは絶対無理なのですよね。それをやると必ず現場がおかしくなって、僕の経験だと、最後はデジタルのほうが捨てられるのですよね。最後に人のほうが勝つのです。だから、人にきちんと好ましく思ってもらうようなものにするためには、現場のプロセスをよく見なければいけないと思っているので、今言ったところでいくと、やはり最初のところは、国の法令の範囲がどのようにつくられているのかということを見る。
法律はまだしもだと思います。政令、省令ぐらいになると怪しくなってきて、もっと下の通知、通達になるともうばらばらという、管理がされているかどうかも多分保証されていないと思うのです。忘れられた通達とかがいっぱいあると思ったりしているので、告示なんかもそうですね。適用しなければいけないのに、しないまま現場だけで適当により集めたルールで解釈してやっているというものがいっぱいあったりするというのが僕の推測なので、その辺をきちんと角田先生がおっしゃったように言語化するというか、観察して、できるところの形を見極めることも大事かなと思っています。
焦点としては、やはり法律がどういうふうに表に出てくるのかのプロセスをまず明らかにしていただきたいと。法制局も僕が知る限り3つあるわけで、その法制局それぞれで書き換えているわけですね。マナーをもって役割分担をしながら。そこのところで随分言葉の使い方も違うし、マナーも違うようなので、そこのところを最終的に、どこは人がやり、どこは機械がやるか。機械がどう支援すれば、人がつくってくるものが択一的なものに近くなるのかというのですかね。そういったあたりの目の向け方が大事かなと思ったりしています。
須賀参事官:ありがとうございます。BPRの前提として、まず既存のプロセスをちゃんと整理してみるようにという御指摘だと思います。対応させていただきたいと思います。
渡部構成員、お願いいたします。
渡部構成員:ありがとうございます。まずは事務局に、この資料をつくられるのはいろいろな調査をされて大変だったなと思います。ありがとうございます。
私のほうからは3点ありまして、1つ目に、この検討のワーキンググループは、まず、アウトカムとして何を欲しいのかというところをディスカッションするのが大事かなと個人的には考えています。すなわち、誤解があれば恐縮ですが、私の認識だと、今、e-LAWSというのはあくまでも公布された後、溶け込みの作業をして、各省庁のボランティアではないですけれども、そういう形でつくられている。恐らく問題の所在としては、アウトカムとして我々が欲しいのは、我々弁護士や企業の法務がe-LAWSにアクセスしたときに、それに載っているものは最新の法令であって、これをコピー・アンド・ペーストして使えば、それは確かなものだよねというところではないかなと思います。
実は、今日に至るまでに元法制業務に携わった方々にいろいろお話を聞いてく中で、例えば行政官の中でも1つコメントとして興味深かったのは、実は私、e-LAWSは使わないんですと、正確かどうかちょっと不安なことがあるからですと、なので、ぎょうせいさんのSuper法令Webを使っていますというふうな御意見もあったり、やはり企業が安心して企業の活動をできるポイントというのは、見ている法律が確かなものだよというところだと思うので、恐らくそれが我々のアウトカムなのではないかなというところがまず1点です。
2点目は、今回、須賀様がおっしゃっていたとおり、デジタル臨調ができて、今回全部見直しをすればそれで終わりというような考えを持ってらっしゃる方もいるかもしれないですけれども、恐らくこれは国家の計として10年、50年、100年、これからどんどん法律をアップデートしていくというところがこのワーキンググループに課されたミッションかなと思っています。したがって、まずは、やはりできないところというのはあるかもしれないのですけれども、そのフレームワークをどうつくるかというところのディスカッションが大切なのかなと感じました。
それから、長くなって恐縮ですが、3番目なのですけれども、実は今回これは副次的な効果として、霞が関の働き方問題にも直結していると思っています。例えば、私が話を聞いた方の中では、法制業務のために月150時間から400時間、4か月間、ほぼ昼夜を問わず紙を持っていったり帰ったりという中で作業されていたという話も伺いました。これは一例かもしれないですけれども、このデジタル化を果たすことによって、優秀な官僚の方が本来果たすべき、力を注ぐべき問題にフォーカスできるという効果もあるのではないかなと考えていますので、やはり非常に重要な作業だと思っています。
以上、長くなりましたが、3点コメントでございました。ありがとうございます。
須賀参事官:ありがとうございました。
続きまして、安野構成員いかがでしょうか。
安野構成員:コメントというか、私がぜひ知りたいなと思った点としては、米田様がおっしゃっていたとおり、好ましくないと思われるとデジタルは基本的には捨てられていくというのは、プロダクト開発をしている身からしてもすごくおっしゃるとおりだなと思うところでして、多分、法の実務に携わっている方がどういう点を特に気にされているのかみたいなところは、私もぜひ知りたいなと思うところですし、あまり土地勘がないところですので、そこはぜひ今後知っていきたいなと思っています。
もう一点が、渡部弁護士がおっしゃったとおり、アウトカムの想定というのも非常に重要だと思っているのですけれども、もう一つ、スケジュール感についてもぜひ知りたいなと思っていまして、どういうスケジュールでどういうアウトプットを出す議事進行なのかみたいなところで想定があれば、これはぜひお聞きしたいところだなと思っています。
須賀参事官:ありがとうございます。実はこの検討チームの最終的な成果物として、論点を整理して工程表を出しますということをコミットしてしまっているものですから、今、素案は全くないのですけれども、皆様に御議論いただきながら、最終的にはそれを仕上げていきたいなと思っています。まさに皆様に御指摘いただいているとおり、現実的にできることからまずはとにかく手形を落としながら、とはいえ大きなビジョンも忘れないと、こういうやり方ができたらなと思っておりますので、どうぞ御協力をお願いいたします。
では、ほかにいかがでしょう。堀口さん、八木田さん、いかがですか。
八木田構成員:ありがとうございます。八木田でございます。先に話させていただきますと、これまで各先生方がおっしゃっていただいたこと、かなり同意しておりまして、特に今、このアウトプットとして論点を整理して工程表を出すとおっしゃっていただいたと思うのですけれども、ここをさらにちょっと深掘りみたいな質問になってしまって恐縮なのですけれども、この工程表というのはどういったスコープなのかをお伺いしたくて、例えば、工程表として具体的にシステム開発をする上での要件みたいなところも含めて、かなり深いところまでの工程表というか、聞きたいこととしては、どれぐらいの粒度感のどういったものがアウトプットになっているか、もう少し深くお伺いしたいなと思った次第なのですが、いかがでしょう。現時点で何か決まっているものはございますか。
須賀参事官:細かいものが裏付けにあればあるほどありがたいと思っていますけれども、例えば、少なくもここまではe-LAWSでやってもらうとか、それ以外にこういったシステムとつながれるようにしていくとか、どういうふうに具体的に、その物がいつ頃までにできていくのか、できていくべきなのかということについての整理は一定できたらなと思っています。仕様の議論までできるか分かりませんが、皆様の御知見をお借りしながら、データの出し方、形式も含めて御議論いただきたいと思っていますので、粒度は細かければ細かいほど、私たちとしてはありがたいと思っています。
八木田構成員:なるほど。ありがとうございます。
須賀参事官:では、最後に堀口さん、いかがでしょうか。
堀口構成員:私のほうからは2点御意見申し上げられればと思ってございます。
1点目といたしましては、皆様方のような政府の関係、並びに、こういった立法プロセスにおけるサービス、私どもが参加している趣旨の1つでもありますが、民間サービスの活用という点について、私が考えるようなハードルがあるという点でございます。こちらについては、まずどのようなハードルがあると考えているかと申しますと、やはり私ども民間事業者というものは、民間の事業、民業としてのサービス展開というところを主軸に据えてございます。したがいまして、やはり提供の対象といたしまして、政府並びに立法府というところに対する提供というのが、通常なかなか想定されているところではないという面もございまして、こういうものをうまく活用できたら、政府のお取組みのお役に立てるのではないかというようなものはあったとしても、なかなかそれがそのまま活業に至るというものでもないと。また、そのための経済的な土台というのも場合によっては不足している可能性があると認識してございます。
私どもも、この点については非常に昨今のデジタル化というところについては高い関心を持って関与させていただいてございますし、昨年の経済産業省、また今年も幾つか官公庁様とのお取組みを開始している中で、多くのヒアリングをする中、市場性の高いものから商品投入をしていくというような格好で取り組んでございますが、やはりその中でも、さらに公共性が高いものについては、何らかのハードルがある可能性が高いと考えており、こういったところについて、政府としてどのように考えられているのかというところで御意見を伺いたいと考えてございます。
2点目でございまして、今回、デジタル原則の3の官民連携原則というところがあると認識しておりまして、公共サービスの提供において、民間企業のUI・UX等を活用していくということと、加えて、ベースレジストリの考え方、法制において政府が正しいものを出していくという考え方があるのかというふうに認識してございますが、この点については、例えば私どもがよく御一緒させていただいております法令系の出版社様といったところについては、まさに民に対するUI・UXというものを提供しておられるという経験値がかなりあられるのかなと。
一方におきまして、e-LAWSさんだったりとか、省庁の皆様のお取組みというところがデータの整合性を担保しておられるという、こういった相互補完的な関係性があるのではないかと推察する次第でございます。ここについてどう整備されていくのかというところについては議論していく余地が大きいのではないかと考えてございます。
以上でございます。
須賀参事官:いずれも本質的な御指摘をありがとうございます。市場性というのは重要で、もちろん契約を社会契約である法令というふうに読み替えてリーガルテックが縦横無尽に使えるのであれば政府としては大変ありがたいわけですけれども、仕様の変更も含めてコストがかかる話ですから、政府という市場がそんなに大きくないという前提の中で、どこまでがフィージブルなのか、安野さんも大変お詳しいと思いますけれども、そこまでコストをかけて本当にやるのですかみたいなことも含めて、ぜひ御議論いただけたらなと思います。
それから、デジタル原則3とリンクしたご指摘も大変ありがたく、政府として裏方でどこまでやるべきかということと、それを国民にUIとして御提供して使っていただくところをどなたにやっていただけるようにするのか、官民の役割分担のあり方もぜひ議論いただけたらと思います。何でも国でやってくれということよりは、最低限ここまでやってくれれば、あとはこっちでやれるからと、そういう議論を期待しております。
藤原構成員:質問だけして終わってしまったので、ちょっと意見も言っておこうかなと思って手を挙げたのですけれども、まず最初は、デジタル原則の適合性のところで、まさに何人かの先生がおっしゃっていたように、人間のやるべきところと機械がやるべきところの分担があると思うのですけれども、いずれにせよ、今、人力ですごく頑張ってやっているノウハウみたいなものが継承されないと、何をやればいいか分からなくて、現状の事務局の皆さんはめちゃくちゃ頑張ってやっていて、その方々の脳の中にはすごいノウハウがあるのですけれども、これは放っておくとすぐ皆さん異動されて、どこかに行って、いなくなって、なしということになってしまうので、それだけは起きないようにする。
結局またお手間をかける可能性あるのですけれども、それはやらなければいけないのかなと思っていまして、特に、結局、現状のテクノロジーだと、ノウハウをオープンにして検索可能にするというのは一番効果が出るところだと思っているので、そこから始めないと駄目だと思うので、そういう意味でもちょっとそこはお願いしたいかなと思っています。
あとは今回のベースレジストリをつくるときに、つくりますと言うのですけれども、多分今までのものを入れるところと、今後のものを入れるところと別々な全然違う話だと思っていて、今までのものを入れるところは、もうどう考えても絶対すごく手作業が必要になりそうな気がしているのですけれども、場合によっては、これは現実性があるのかよく分かりませんが、それこそ既存の法令データベースであって、多分その中の多くは今回すごくいいものができてしまうと要らなくなるので、極論すると、そのデータを買うとか、それで人手をかけないようにするとかいう考えもあるかなと思うので、そういうところも含めていろいろ考えたらいいのではないかなと思っています。
以上です。
須賀参事官:副大臣も大きくうなずいていらっしゃいましたが、まさにそういったことも含めて、現実的な最短距離の解を見いだしていけたらと思います。
最後に副大臣に総括コメントをいただきたいと思うのですが、その前に、今日は作業部会のメンバーの方も何名が乗っていただいていますので、もし御発言のある方がいらっしゃいましたらと思いましたが、いかがでしょうか。根本さん、増島さん、落合さん、稲谷先生。
柳生企画官:今回、この検討チームの中にe-LAWSの担当も事務方として協力していただいているということもあって、先ほど渡部構成員のほうからちょっとあって、e-LAWSの名誉もあるので一言だけ付言させていただきたいと思います。
e-LAWSの内容については、また次回、第2回目に中身を御説明させていただきたいと思っておりますけれども、確かにこれまでe-LAWSに載っていたデータが御指摘のとおり不十分だったというところもあって、実際の法制局審査の場面とかでは使えないといったようなことになっていたのが現実だったのですけれども、よくも悪くも令和3年の通常国会でいろいろ法案のミスがあったといったところもあって、データベースをもう一回洗いざらいきれいに直して法制局審査でも使えるレベルにまでe-LAWSのデータベースを新しくメンテし直してあるというところになっておりますので、そこら辺の取組みも含めて、また次回、改めて御説明させていただきたいと思います。
そういう意味では、まさにe-LAWSの担当も含めて、検討チームの中に入っていろいろ検討させていただきたいと、いろいろ御知見いただいて深化していきたいと考えておりますので、御協力をお願いしたいと考えているところでございます。
すみません。言い訳めいたような発言になってしまいまして大変恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。
渡部構成員:とんでもございません。私のほうも不勉強で、もしお気持ちを害してしまいましたら、特に他意はございませんので、どうか御海容いただければと思います。
柳生企画官:いえ、まさにそういうイメージで本当にこれまで来てしまっていたというところもあって、そういった意味で法令のデータベースをしっかり持つべきなのだというところの気づきが今回、よくも悪くも法令のミスのところも含めてありまして、法令執務のデジタル化をやっていく風というのは、そういう意味もあって今吹いているところでございますので、まさにそういった問題意識も含めて、ぜひいろいろ御指摘いただけると、我々もある種それを叱咤と思って頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
須賀参事官:ありがとうございます。
角田先生、手を挙げていただいているのですが、ちょっとすみません。先ほど根本さんに顔を出していただきかけていたので、もし一言いただけるようであれば、先にお願いできますでしょうか。
根本作業部会構成員:特にないのですけれども、今のリアル空間上のお話、フィジカル空間上のお話に加えて、サイバー空間上のお話をどういうふうにやっていくのかなというのが大きな関心事でありますということを、今日はそれだけ申し上げたいと思います。ありがとうございます。
須賀参事官:作業部会のほうでも、法のベースレジストリを政府内でかかえずに広くみんなに提供していくことが重要だというふうに根本構成員から御指摘いただいたところでございました。
落合さんも手を挙げられているので、角田先生の後に落合さんで、もう残り4分ですので、それで締め切りとさせていただきます。角田先生、お願いいたします。
角田構成員:要点だけ言ってしまいますと、実はe-LAWSを開発するときにも、その事業の根拠になったものが、まさに渡部先生がおっしゃっていた働き方改革だったのです。それが結局はあまり効果がないのではないかと思われているということであれば、今回の取組みでは、あらかじめ評価項目を設定して列挙しておいて、KPIとしてチェックポイントを設けておくことで、取組成果が仮に理想形まではたどりつけなくても、ここまでは効果がありましたということを言えると思います。そうでないと、例えば先ほどの働き方改革の話のように、せっかくe-LAWSのような働き方改革の意図があっても一般にはその効果が認知されないということになるとA困ってしまいます。ここまでは効果があるのだよというのが分かるようにするKPIのようなものを掲げておいていただければ、と思いました。
以上です。
須賀参事官:ありがとうございます。
では、落合先生、お願いします。
落合作業部会構成員:ありがとうございます。作業部会のほうに入っております落合と申します。
私のほうから、デジタル原則の実現とも関係する検討会と思いますので、その観点でこういう視点があるなと思ったところをお伝えいたします。1つはGtoBtoXという原則を立てているかと思います。政府も機能を提供してインターフェースは民間にということを、合理的にできるところはなるべくそのようにするというのは法制以外の分野でもまとめていこうということになっております。この視点もぜひ使って進めていただけるといいかなと思いました。
もう一点は、原則の中で、例えばタクソノミー、用語、様式等の統一という部分がございます。これはまさしく、このデジタル法制局で進めている作業を行いやすくするために、必要に応じて法令自体のほうも書き換えていくための内容としても、検討する必要があるのではないかということで原則に入っているかと思います。まさしくこの検討会で行っている内容を見ながら、作業部会のほうでも進捗を進めなければならないと思いました。ぜひそういった相互に進捗を交換できるような機会もあればと思って聞いておりました。
以上です。どうもありがとうございました。
須賀参事官:ありがとうございます。
米田先生、一瞬お手が挙がっていたように思いましたが。
米田構成員:時間の制約があればもういいと思うのですが、一言だけ。今、お話ししていると、民間といったときの視野が企業で止まっている感がすごくあって、僕は鹿児島にいると、やはりそこにとどまらないのですね。もっと幅広い、国民一人一人というのがいるので、そこに焦点が当たるような議論になるように導いていただければと思いました。
以上です。
須賀参事官:重要な視点です。ありがとうございます。
では、小林副大臣、最後に総括コメントをいただけましたら幸いです。
小林デジタル副大臣:皆さん、本当にありがとうございました。とても本質的な議論でしたし、それぞれのこれまでにやられてきた取組みや専門性が発揮されて、すごくありがたい会議と思っています。
そして、何よりとてもありがたいと思うのは、社会実装できるものをやろうという考えが皆さんに共通していることだと思っています。そこが我々の目指すところなので、ちょっとまだ事務局でスケジュール感とか、どこの粒度までやるかという点を示せないまま走っているのですが、そこも御理解いただいた上でいろいろな発言をしていただいて、本当にありがたく思っております。
これまでずっと言われてきた問題を、ある種取り組む政策の扉は開けられたというふうに思っていますので、ここから皆さんと一緒に、どうすればやり切れるのかという観点も踏まえながら実現したいと思っています。
そして、e-LAWSも含めて、結局、ユーザーと一緒に仕組みをつくる必要があると思っているのですが、ユーザーたるリーガルテックの皆さんもいらっしゃるし、官僚も入っているので、官僚もまさにユーザーですから、ユーザーの皆さんと一緒に指針をつくることができれば、使われる、より良いものが出来上がるのではないかと思っています。
そうすると、あとは頑張ってリーガルテックの皆さんにうまく飜訳して世の中に出していただけると、一般国民すら触れることができる民主的な法律が出来上がるということではないかと思っていますので、一緒にそれを実現できればと思います。今日はありがとうございました。
須賀参事官:どうもありがとうございました。充実の議論で、時間になりましたので、本日の議事は以上にさせていただきたいと思います。
本日の内容は、議事録を作成して皆様に後ほど御確認をいただいた上で公開させていただきたいと思います。また、本日の資料につきましても、ご異論ございませんでしたら、基本的にはデジタル庁のウェブサイトにて全て公開をさせていただきたいと思います。
本日は、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。
(以上)