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デジタル臨時行政調査会作業部会 テクノロジーベースの規制改革推進委員会(第4回)

概要

  • 日時:令和5年(2023年)2月9日(木)15時00分から17時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
      1. 議事
        1. 小川構成員からの説明
          • デジタル化に伴うトラスト担保の方策に関する考察について
        2. 「テクノロジーベースの規制改革」の当面の進め方について(事務局からの説明)
        3. 鈴木構成員からの説明
          • 福島RTFにおけるドローンの社会実装に向けた取組みについて
        4. 登構成員からの説明
          • デジタル技術解説記事のサンプル記事執筆結果について オンライン受験システム (CBT) 技術の検証と評価方法
        5. 意見交換
      2. 閉会

資料

議事録等

開催日時

令和5年(2023年)2月9日(木)15時00分から17時00分まで

場所

オンライン開催

出席構成員

座長

江崎浩(デジタル庁 シニアエキスパート(アーキテクチャ))

構成員

  • 遠藤典子(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート 特任教授)
  • 岡田有策(慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)
  • 小川恵子(EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 バンキングキャピタルマーケットリーダー レグテックリーダー パートナー 公認会計士)
  • 荻野司(一般社団法人重要生活機器連携セキュリティ協議会代表理事)
  • 川原圭博(東京大学大学院工学系研究科 教授)
  • 川端由美(自動車ジャーナリスト)
  • 島田太郎(株式会社東芝 代表執行役社長 CEO)
  • 鈴木真二(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構福島ロボットテストフィールド 所長 東京大学未来ビジョン研究センター 特任教授)
  • 染谷隆夫(東京大学大学院工学系研究科 教授)
  • 豊田啓介(東京大学生産技術研究所 特任教授)
  • 中垣隆雄(早稲田大学理工学術院創造理工学部 教授)
  • 中村修(慶應義塾大学環境情報学部 教授)
  • 永井歩(アスタミューゼ株式会社 代表取締役社長)
  • 登大遊(独立行政法人情報処理推進機構サイバー技術研究室 室長)
  • 松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 教授)

概要

須賀参事官: 定刻となりましたので、第4回目の「テクノロジーベースの規制改革推進委員会」を開会させていただきます。今回もオンラインでのご参加、ありがとうございます。

本日の議事は、前半に説明、そして後半にまとめて意見交換とさせていただいておりますが、前回同様Webexのチャットを活用いたしまして、説明の最中からコメントいただけるようであれば、随時ご投稿いただければと思います。これは出席者の皆様全員、傍聴者の方も含めてコメントいただけますので、ぜひご協力よろしくお願いいたします。
では、早速本日の議事に入らせていただきたいと思います。以降の議事進行は江崎座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

江崎座長: それでは、議事に入りたいと思います。
第4回の議事といたしましは、まず、小川構成員から前回の議題に関連して、「デジタル化に伴うトラスト担保の方策に関する考察」について、前回不足している分に関してのお話をいただきます。その後、事務局から「テクノロジーベースの規制改革の当面の進め方」について、鈴木構成員から「福島ロボットテストフィールドにおけるドローンの社会実装に向けた取組」についてお話をいただきます。また、登構成員からは、技術解説記事(プロトタイピング)についてのご紹介をいただく予定でございます。最後にまとめて構成員の皆様からご自由にご発言をいただく時間とさせていただければと思います。

それでは、まず小川構成員からご説明をお願いいたします。

須賀参事官: 大変申し訳ございません、小川さんのご参加が遅れている可能性があります。もし差し支えなければ、事務局から説明を先にさせていただきます。

江崎座長: では、事務局から説明をお願いします。

植木(事務局): それでは、事務局の説明を先にさせていただければと思いますが、本日の事務局資料は前半は私植木から、後半は大迫からご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

今回、我々デジ臨の事務局として進めていく予算やこの後ご説明する法案などとの関係がございますため、今までテクノロジーマップ、技術カタログ、その他の取組についてかなり幅広にご意見をいただいておりまして、まだ検討課題もたくさん残っている状況ではあるのですけれども、あくまで当面の進め方ということで一旦まとめておりますので、こちらをご説明させていただければと思います。

それでは、資料をめくっていただいて、3ページ目でございまして、まず、テクノロジーマップの関係からお話ができればと思います。

次のページですけれども、テクノロジーマップの説明と申しながら、こちらは昨年末のデジタル臨時行政調査会、親会のほうでお示しした資料でございますけれども、今まさに開会されている通常国会に、我々事務局としてデジタル規制改革推進のための一括法案というものの提出を予定してございます。こちらの内容としては、記載しているとおりではあるのですけれども、法改正が必要なアナログ規制について一括で改正を行うということに加えまして、今後も技術の進展を踏まえて規制の見直しが継続的・自律的に行われるような措置をしていきたいということを考えてございまして、下のほうに黄色い枠で囲んでおりますけれども、テクノロジーマップなどを踏まえて、規制所管官庁や地方公共団体のほうでデジタル技術の効果的な活用が進むような規定というのもまさに今検討しているというところでございまして、今回、この法案との関係がテクノロジーマップの中でも少し出てくるということでございます。

次のページでございますけれども、こうした状況も踏まえまして、テクノロジーマップの在り方について、法案との関係というところも念頭に、一旦デジタル庁が整備するテクノロジーマップというものはこういうものにしたいと思っておりますというところで外延の整理をさせていただきました。従前からお示ししているような図がまた右下に出てくるわけではございますけれども、規制や技術のデータベースやレポジトリから任意のマップが出てくるような動的なものとしてテクノロジーマップを生成すべきだといった議論もいただいていたところではありますけれども、今回はあくまで事務局のデジタル庁としてこういうことを公表したいというところのいわゆる狭義のテクノロジーマップと申すようなものとして整理をしたというところでございます。

位置づけとしては、資料の記載のとおりではあるのですけれども、アナログ規制の類型とその見直しに活用可能な技術の対応関係を整理、可視化するものということでございまして、これを踏まえて該当する規制のところ、技術が活用可能だという部分についてはデジタル技術の活用がどんどん進んでいくという姿を目指していきたいというところでございます。

構成要素としては、これまでお示しした分と重なるところがあるのですけれども、規制の類型とこれにひもづく具体的な規制のリスト、横軸の②のところのデジタル化、自動化のフェーズの考え方、それから③の具体的にこういう技術が活用可能だよといった情報を念頭に置いておりますけれども、加えて、これまでご議論いただいたところで、利用規約やマニュアルといった言葉で今は載せておりますけれども、このテクノロジーマップの位置づけや責任関係といったところも合わせて一つの固まりとして出していきたいということで整理をさせていただいております。

では、次のページに行っていただきまして、改めて今ご説明したテクノロジーマップを含めて、取組の全体像の今一旦出ているものというのを整理してみたというのがこちらでございまして、左側の今ご説明したところの狭義のテクノロジーマップということでは、デジタル庁として出していきたいというところを考えてございます。これが左側でございます。

それから、右側の技術カタログをはじめとして、その他技術の活用に当たって必要となってくるというところでいろいろコメントいただいておりましたガイドライン、ガイドブック、あるいはこの後、登構成員からもご説明がありますけれども、技術解説記事のようなものを含めた様々な技術を活用していく上での参考情報といったものを全体像として捉えておりまして、いわゆる自動生成されるテクノロジーマップといいますか、技術と規制のレポジトリから任意の情報を取り出していくといったものについては、この中であえて定義をすると技術解説記事などに含まれるような技術の使い方、リテラシーといったものを深めていくような取組として、より自由度の高い形でやっていくといった位置づけになろうかというふうに一旦の整理をしております。

それぞれの具体的な内容や整備の進め方、公開の仕方などにつきましては、この委員会での議論も踏まえまして、この後ご説明いたしますけれども、今後公募いたします運営事務局の力を借りながら具体化を進めていきたいと思っておりますので、引き続き委員の皆様のご意見を頂戴しながらしっかり具体化して進めていきたいというところでございます。

では、次に進んでいただいて、今は全体像のところですけれども、具体的な規制の見直しや技術検証の話に移ってまいります。

まず、規制の見直しの進め方というところの関連ですけれども、こちらも年末のデジタル臨時行政調査会にお出ししている資料ですけれども、今、アナログ規制の見直しで約1万条項について工程表をセットしたというステータスでございます。

次のページですけれども、他方で、この9,669条項のうち、技術検証を行わないと実際に規制をどう変えられるかというところが見通しにくいよと言っているところがまだこのうちの1,043条項ございます。こうしたものについて確実に工程表どおりの見直しを進めていくためには、技術やその検証というものが必要になってまいりますので、ここをしっかりと進めてまいりたいというところでございます。

次のページに行っていただいて、今のお話の中でもそうですし、前回の委員会の議論の中でも技術の中身が分からないとか、あるいは技術を扱っている方からすると、むしろ規制のこういうところに使えるのではないかという示唆も得られるだろうといったお話もまさに委員会の中でもご指摘いただいておりましたので、昨年末から年末年始を挟む形ではあったのですけれども、デジタル庁のほうで広く技術を公募するといいますか、意見を求めるといった取組もさせていただきまして、1か月ほどの期間で72社の方から347の製品、サービス、技術の情報を頂戴したということでございまして、まずは我々が置いている規制の軸でありますけれども、一旦はそちらにマッピングして満遍なく情報提供をいただいたというところでございます。

次のページに幾つか事例をご紹介しておりますけれども、秘密計算や、ドローンといっても空中と水中の両方行けるよといった話、衛星データの活用、ブロックチェーンなど、幅広くいただいているところです。

次のページです。こうしたいただいた情報なども踏まえると、こちらのテクノロジーマップで今までお出ししていたものに少し赤字で今回いろいろ情報提供いただいたものをマッピングしたような形になっていますけれども、こういったまさに民間の皆様の情報もいただきながらマップを拡張していく、より具体化していくといったイメージも今回取り組んで得られたかなと思っておりますので、事務局のほうで進めてまいりました規制の見直しのところとこういった技術の情報を取り込んでいくというところを少しずつ進めていければというところでございます。

次のページから、技術検証事業の具体的な進め方というところで、説明を替わらせていただきます。

大迫(事務局): 事務局の大迫です。よろしくお願いします。技術検証の進め方を説明させていただきます。

画面にありますとおり、令和4年度の補正予算で45億円を確保しまして、その内数にはなりますけれども、規制所管省庁と連携しながら技術検証を進めていきたいと考えております。

具体的には、先ほど技術検証が必要な条項は約1,000条項存在するとご説明しましたけれども、各省の予算で個別に進めるものなどを除きますと、デジタル庁の予算を使いたいという条項が500条項弱ございます。その500条項弱のものを一つ一つばらばらに検証するというのではなくて、実証で解決しようとする課題に応じて類型化をすることで、できる限り効率的に実施していきたいと考えております。

次をお願いします。その類型化をまとめたものがこの一覧表になりまして、左半分が規制の趣旨・目的になりますけれども、左側の大分類が規制の目的、中分類が検査等で確認しているもの、それから小分類につきましては、確認するために実際に見ているものを記載しております。この分類に対応した検証案件の類型を右半分に記載しておりまして、1から13番の13類型にグループ化したところでございます。

上から1から10が検査・点検で、人が現場に赴いて確認することを技術代替できないか。それから、11、12につきましては、常駐・専任で、技術を使うことで常駐・専任規制を緩和することができないか。それから最後の13につきましては、閲覧についてオンライン化できないかといったことをそれぞれ検証するものになります。

そして、一番右側の関連する条項数は、類型化した検証にひもづけられる条項数になりまして、今後の調整で少し動く可能性もありますけれども、合計すると先ほど紹介した500弱の条項になるということになっております。

時間が限られておりますので、幾つかの類型の内容をご説明したいと思います。

次のページをお願いします。1つ目は、監査の実証になります。真ん中右側に記載がありますとおり、地域や施設・設備における異常の有無を把握する監視を求める規制において自律飛行型ドローン、カメラ、センシング技術による代替が可能か検証するというものです。具体的には左下の主な規制対象のところに書いておりますけれども、鉱山保安法の危険物の見張りや自然公園法の立入制限地区内の巡視といったもので検証していきたいと思っております。

続いて、1ページ飛ばして20ページの3番をお願いします。構造物の検査の実証になります。建物・構造物の管理状況や損傷の状況の検査において、ドローンやAIによる画像解析の技術を活用した遠隔実施による代替が可能か検査をするものになります。具体的には、罹災証明の交付のための住家、住宅の被害認定調査や火薬製造施設の土堤の検査などで検証を進めたいと思います。

次のページの4番をお願いします。設備の定期点検の実証になります。設備の不備、劣化の確認について、センサーや通信機器の付与による監視により代替が可能か検証を進めるものです。具体的には、動物取扱業者の飼養施設内の設備やガス供給設備の点検で検証を進めたいと考えております。

次は、1ページ飛んで6番をお願いします。対象の違いになりますけれども、人工物ではなくて自然物、例えば公園内の樹木や崖といったものを対象にした実地調査になります。衛星画像、ロボット、AIによる画像解析の技術の活用による代替が可能かどうか検証するものです。具体的には、自然公園法における公園計画の妥当性や自然環境保全法における保全計画の妥当性の確認などの検証を進めたいと思います。

2つ飛んで26ページの9番をお願いします。図面のOCRや画像分析を活用した検査の実証です。図面情報をデータ化して画像分析に活用していくということで、施設の完成検査の効率化につなげることができないか。ここは一定のボリュームのある条項が入っておりますけれども、検証を進めたいと思っております。

次に、29ページの12番をお願いいたします。常駐・専任のうち、特定技能・経験を有する者が行う業務代替の実証になります。現場にいる人が高度な作業を行う場合にどこまで技術で代替できるのか。左下にありますけれども、養鶏振興法の孵化直後のひなの状態を目視により評価するといった規制で検証を進めていく予定になります。

最後に、13番をお願いします。閲覧の実証になります。機微な情報が含まれる閲覧規制をオンライン化する場合、情報の加工や流用防止技術、それから本人確認技術について検証を行うもので、具体的には公害紛争の処理手続における閲覧規定などで検証を進めたいと考えております。

以上が13類型の簡単なご説明になりますけれども、3点だけ補足させていただければと思います。

1点目ですけれども、これらの類型一つ一つには複数の条項をひもづけておりますけれども、それらの条項に共通する事項については、グルーピングすることで効率的に実施していきたいと考えています。一方で、各条項の中にもやはり特有の事項が存在しますので、そのような特有事項は、各省と連携を密にしてきめ細かな実証をしていきたいと考えております。

2点目です。これらの実証によって得られた結果、性能要件と言えると思いますけれども、この性能要件につきましては、各省や地方自治体などの調達の主体が仕様書に記載できる調達要件として使えるようにしっかり整理をしていきたいと考えております。

最後に3点目です。本日紹介しました実証は、目視や常駐・専任などの7項目のアナログ規制の見直しに着目しました。いわゆるアズイズとトゥービーが比較的明確な見直し・検証になりますけれども、これらの検証と並行しまして、さらなる規制の見直しに向けた課題の整理やその課題解決に向けた実証の必要性の検討などもしっかり進めていきたいと考えております。

最後に、スケジュールをご説明させていただきます。4月のできる限り早い時期には技術検証に係る運営事務局を立ち上げたいと考えています。そして、技術検証のうち、検証条件の整理が進んでいるものなどの早くスタートが切れるものについては、6月に事業者公募を行って、7月頃から実証をスタートさせたいと考えております。

テクノロジーマップにつきましても、6月までに具体的な案を作成しまして、7月以降に公表に向けた調整を進めていきたいと考えております。

そのテクノロジーマップにひもづく技術カタログの策定・公表につきましては順次行っていきまして、技術検証が終わる冬以降には順次その結果も公表しまして、幅広い関係者にご利用いただけるようにしたいと考えているところでございます。

事務局の説明は以上になります。よろしくお願いします。

江崎座長: ご説明どうもありがとうございました。
続きまして、小川委員が入られましたので、小川構成員から前回の議題に関連して、「デジタル化に伴うトラスト担保の方策に関する考察」についてご説明いただければと思います。よろしくお願いします。

小川構成員: 小川です。よろしくお願いいたします。
では、資料を共有させていただきます。10分間ぐらいでご説明できたらと思っていますので、よろしくお願いいたします。

「デジタル化に伴うトラスト確保の方策に関する考察」ということで、ご参考までに作らせていただいております。

まず、今回のテクノロジーマップの社会実装に対しては、多くのステークホルダーがかかわってくることになるため、皆さんのご理解ご協力が社会実装の条件になると考えています。技術保有企業、運営主体、規制所管省庁、それから技術利用者などが、それぞれの立場から見てトラストの仕組みがなければ、社会的信頼を得ることは叶わず、結果、参加意欲を阻害し積極的な活用にブレーキがかかると考えています。

そういう中で、トラスト確保に対する説明責任ということで少しまとめさせていただいております。これらは実は昨今、民間企業でも非常に重要なテーマになっています。民間の事例を参考に本日資料を作っております。

ポイントは、コスト、もしくは最新技術の進化のスピード、複雑性、専門性の観点からもあらたなテクノロジー導入におけるリスクがゼロだということを100%保証することは、限界があり、非常に難しいということです。そこに限界があることを大前提にして、だからこそ透明性、遡及性、説明責任が非常に重要になってくると考えています。

ここに1から5と、ポイントを記載しています。まず誰がどのような役割と責任を負っており、トラストに対する説明責任をいかに果たすのか、またリスクを完全にゼロとすることができないという前提の中で、コストの制約も理解し、いかにリスクを低減し、逆にどこまでリスクをテイクしていくのか。また、リスクが仮に顕在化した場合、いかに最速で課題を解決していくのか。さらに、常に内外環境が変化する状況を把握し、いかに動的にその変化に対応していくのかといった観点が重要になってくると考えています。

下に記載させていただいている説明責任、透明性、遡及性の実現が鍵になると考えています。

特に重要なのは、こうした仕組みは一度作ったら終わりではなく、規制自身の変化も含め内外の変更事象を常に把握し反映される継続的な動的なダイナミックの仕組みが社会実装として重要になってくると思っています。

少し参考までにコンプライアンス(規制対応)の潮流についてお話したく思います。私は公認会計士ですが、公認会計士は、当然財務諸表の確からしさについて、第三者という立場で監査を実施している。ただ、この長い歴史で、事象はさらに複雑化し、それも変化が激しくなり、第三者による監査に加えて有効な統制整備運用についての宣誓責任を、経営者側に課していくといった動きになってきています。

建付けは、その後、ドッド・フランクや税務、ひいてはアンチマネーロンダリングといった分野にも広く取り入れられています。

またここに、米国OCCの制裁金の事例もあげています。粒粒の不備を改善していくもぐら叩きのような対応だけでなく、そもそものガバナンス体制そのものの重要性を指摘しています。監督当局の重点もこうした方向へ変化していると感じています。

またもう一つ興味深い動きがあります。昨今、民間側で聞こえるようになった「市民開発」に注目しています。これはシステム部のシステム開発にのみ頼るのではなく、よりフロントに近い部署がデジタル化を実現するため、ローコード、ノーコードのツールを用いて社員に広くDX案を募るといった枠組みです。このDX推進の枠組みを適正に回していくためには、機動性も考慮したデジタルガバナンスが重要となってきています。

では、データ/デジタル/テクノロジーガバナンスとは何か、事例を交えてご説明したく思います。

ポイントとして、まずガバナンス体制の設計と、説明責任の明確化が上げられます。誰がそのトラストに対してどういった責任を負うのか明確にすることが非常に重要となります。次に、目的は何かを明確に共有する必要があります。また先ほど申しましたようにコスト、リソースなど制約がある中、リスクはゼロにはできません。したがって、リスクアプローチという枠組みを設けて、リスクをしっかり識別し評価し、どこを重点的に対応するかといったことを決定していくプロセスが重要となります。さらにこうした仕組みがきちっと回っているか、モニタリングし、動的に継続的に検証していくプロセスも説明責任を果たすためにはなくてはならないと考えます。さらに先に述べた通り、変更事象を把握し常時反映できる枠組み併せて、デジタルテクノロジーのガバナンスの設計図になっていくものと考えます。

ここでいうトラストに対する説明責任を考えるとき、昨今の重要なテーマの1つになっているのがサードパーティーリスクです。DXではプラットフォーム化、エコシステム化が進みます。これにより自身が負えない第三者のリスクが自身のリスクとして取り込まれていくこととなり、このリスクをどのようにコントロールしていると説明できるかが重要となります。

次に、リスクアプローチについて少しお話したく思います。リスクアプローチというのは、全てのリスクがゼロにできない中で、リスクをしっかり識別し、可視化し、目的達成を阻害するなどのリスクの影響についての重要性を分析します。そのうえで、右側の下の図にある通り、確率が極めて低くとも、そのリスクが顕在化した場合、例えば人の命に関わるような絶対に回避しなければならないリスクがあります。逆に、今まで許容してきたような、社会的影響が極めて低くテイクしてもさほど大きな問題にならないリスクもある。人・モノ・金といったいずれも制約ある資源を、どこに集中投下していくか、その方針を裏付けていくプロセスになります。

次にリスクの種類についてご説明します。まずここにあるように、2つのリスクに識別することができます。まず一つ目が、技術自身に内在するリスクです。想定要件通りしっかり機能する、さらにしっかり機能するようコントロールする機能も兼ね備えているといった、技術自身に関するリスク。

二つ目が、目的を達成するための機能要件そのものが、漏れてしまうというリスクです。目的はあくまでも規制の目的達成ですが、それを阻害するリスクに対する要件がそもそも漏れてしまうと、技術が仮に要件通りであったとしても目的を達成できない。こうした2つのリスクに対応しなければトラストは実現できないと考えています。

また、リスクに対応すべき主体という観点からリスクを3つの種類に分けられると考えています。各規制固有のリスク、それからある程度分類されたテクノロジーマップ区分ごとに共通するリスク、それから例えばサイバーセキュリティや個人情報保護上のリスクやモニタリングのための証跡が欠如するリスクなど、全般的に共通するリスクといった3つの区分に分類できると考えています。そうしたリスクの異なる性質も踏まえ分析していく必要があると考えます。

また、以前の会合の中で少し挙がっていましたが、テクノロジーだけを考えればいいのかというと、それでは十分ではないと考えます。新たなテクノロジーを入れると、今までアナログで人がやっていた業務フローが変わります。テクノロジーが完璧でも、例えばあらたな業務プロセス上のリスクを識別しコントロールしなければ、結局幾らテクノロジーがしっかり機能しても目的を阻害するリスクは残存することとなりますね。なので、どこが変わるのかも含めたところもある程度幅広く検討し、新たな業務プロセス、データフローの可視化とリスクの識別も一つの鍵になってくると思っています。

次に、ここではリスクコントロールマトリックスというフレームワークを示しています。まず、先ほど説明責任を果たすための宣誓をすると言いましたが、その説明責任を果たすためにいうべきこと、これを我々はアサーションと呼んでいますが、それを一番左に記載しています。次に、それを阻害するリスクをまず識別し記載します。さらに、それらに対して統制活動を記載します。アサーションを置いたうえで、リスク、コントロールを順次可視化していく枠組みとして、こうしたリスクコントロールマトリックスが説明責任という観点で有効です。

次のページには、動的な統制活動の有効性を示しています。サンプルを取ってみて問題ないか確認するといったいわゆる発見統制では常時リスクの顕在化を抑制することができません。むしろ識別したリスクそのものを事前に予防する機能として予防統制といった統制技術自身を機能要件として埋め込んで実装することが求められてきています。また、どうしてもシステム統制だけでは十分ではない場合には、アナログ統制も整備しリスクを最小化していくことが求められます。

次のページには、昨今新たな議論となっているAIやRPAといった最新技術特有のリスクや、クラウド等々といったサードパーティーリスクも非常に大きなテーマとして取り上げています。

また、ペーパレスを推進する上では、デジタル化特有のリスクがあらたに発生します。簡単に複製できるなどなど新たなリスクについては会計監査上も新たなリスクを識別分析することが求められています。技術の進化は日進月歩です。常に動的にこうした変化に対応していくことが求められます。

最後に、「トラスト確保のための様々な技術検証」ということで、事例を8個あげています。1つずつご説明すると時間がないので、一言ずつのご説明になりますが、まずは技術保有企業自身の自己評価といった仕組みも一定程度有効ではないかと考えています。まずはテクノロジー提供会社側で、きっちりとトラストについてある程度宣誓していただく。

それから、サイバーセキュリティ第三者評価のほかにゼロトラスト評価、それからサードパーティーリスクについてはSOCレポートと言われる第三者評価などなどがあります。当然人、物、金には限界がありますので、先ほどリスクアプローチのご説明をしましたが有効なリスク分析の結果に従って対応していくことが必要でしょう。

また、海外でも一部始まっていますが、当局もインボルブしての実証実験も場合によっては有効でしょう。規制のサンドボックスや、当局も入ったかたちでのハッカソンなども一緒にリスクを識別していくといった観点からも有効でしょう。また、特にサイバーセキュリティのエリアで言われているのは、不正はいたちごっこということです。これらに対応するには、より多くの目による検証といった手法も有効です。中にはホワイトハッカーの活用等、複数の目でそれを検証するといったところも一つの大きな潮流となっています。いずれにしてもリスクにあった統制活動を整備していくことが重要でしょう。

以上になります。お返しいたします。

江崎座長: 非常に精細な資料を短い時間でご説明いただきまして、ありがとうございます。共通の情報としてテクノロジーマップの中にこういうものを入れて、皆さんがこれを参照してうまくやっていくということの重要なご示唆だと思います。ありがとうございます。

続きまして、鈴木構成員から「福島RTFにおけるドローンの社会実装に向けた取組」についてのご説明をお願いいたします。

鈴木構成員: 東京大学の名誉教授、それから未来ビジョン研究センターの特任教授をしております、鈴木です。福島ロボットテストフィールドの所長を非常勤でやっておりまして、今日は福島ロボットテストフィールドの取組ということでお時間をいただきましたので、10分ほどでお話しさせていただきます。

福島ロボットテストフィールドは、福島復興の拠点として2020年に本格開所いたしましたが、被害を受けた南相馬に1キロと500メートルの広大な敷地の中で様々なフィールドロボット、これはドローンだけではなくて水中ロボット、それから海上ロボット、地上のロボットなど、様々なものの試験ができるようになっております。実施例としてはやはりドローンが多いということになります。

ご承知のようにドローンは、2015年に首相官邸の屋上にドローンが見つかったということで航空法の中で新たな規制が開始されましたが、そうした規制が導入されることによってその利用も広がってきたという側面がございます。ニュースでご存じかもしれませんけれども、昨年の12月5日に、これまで禁止されていましたレベル4飛行、これは人の上空での目視外飛行ということになりますけれども、それを機体認証制度、それから国家操縦ライセンス制度といったものを導入することによって可能にするということで、この新たな法規制がまた今後の利用・活用につながっていくというところが期待されているところであります。

先ほどの話にもありましたけれども、ご承知のように、新たな技術を社会実装していくためには大きな方針をまず示すことが必要で、また、それを規制するための法規制や法制度も整備していく必要があり、それをどう使っていくかという実務的なガイドラインづくりがそろって初めて利活用が進んでいくという側面がございます。

福島ロボットテストフィールドでは2019年からも活動を始めておりまして、こういったドローンを中心としたロボットの様々なガイドラインづくりに取り組んでいるところでございます。幾つかの例をご紹介したいと思いますが、一つはドローンによるプラント点検のための取組ということで、ここは3省ガイドラインというのが消防庁、厚生労働省、経済産業省のほうで作られて、その活用事例集というのも発行されていたわけですけれども、実務的にそれをどのように活用していくかというところで、より実務者の立場に立った実務マニュアルやチェックリスト、また、これに携わる関係者のための教育カリキュラムといったものを福島ロボットテストフィールドのほうで整備して、それを使っていただいているという状況です。

現地にはこういったテスト用のプラントが作られておりますので、そこで実際にドローンを飛ばすということも日々行われております。こうしたプラントは、橋梁やトンネルといったものが作られております。どこにでもあるものなのですけれども、実際に使おうとしますと、現状では道路を閉鎖しないとドローンを飛ばせないとか、プラントを停止させないとドローンを飛ばせないといった規制がかかっておりますので、ロボットテストフィールドでいろいろな検証を行うということで活用いただいているところです。

これは警備部門での運用ガイドラインということで、オリンピック・パラリンピックに間に合うように整備したというところがございます。市街地を模擬したこういったところも作られております。これは実際の建物や信号が作られていて、様々な実証実験が行えるようになっております。

それから、先ほどリスクという話がありましたけれども、やはりドローンを飛ばすことによるリスクを許容レベルに抑える必要がございます。機体の安全性の認証、それから操縦技能の証明だけではなくて、運行の際、どのようなリスクがあり得るかということを事前に想定して、それが許容レベルに収まっているということを「飛行マニュアル」という形で許可・申請を受ける必要がありますけれども、このリスクの評価の仕方が標準化されていないと、その確認もなかなか困難であるということで、昨年、このリスク評価のガイドラインを福島ロボットテストフィールドで準備しております。これはレベル4飛行が可能になるということに合わせて準備したわけでありますけれども、もちろん航空局当局がこういうものを用意するということはあり得るわけですけれども、技術の進歩が速くて常に内容をアップデートしていく必要がございますので、公的機関としてのロボットテストフィールドがこういうものを担うということをご提案して、航空局の審査要領の中にもこれを取り入れていただいております。

ドローンのリスク評価ですけれども、これは既にテンプレートがございまして、各国の航空当局が参加するコンソーシアムをJARUSというのですけれども、これに日本の航空局も参加いただいております。こういったものをベースにこのリスク評価の手法を標準化しているというところであります。こういったフローに従ってそのリスクを定量化して、それを許容されるリスクに抑え込むための方策をこの中でつくり込んでいくということになるわけですけれども、内容についてはここで説明する必要はないかと思いますが、こうした国際的なガイドラインを適用するに当たっては、例えば我が国の法制度や利用環境に合わせてテーラリングする必要がありますので、細かい内容をチェックいたしまして、カテゴリーⅢといいますけれども、今回のレベル4飛行における安全確保措置に必ずこういうことを行わなければいけないということが法令で義務づけられております。

これまで許可・承認を経て飛行していたカテゴリーⅡという飛行方法においてもこういったリスク評価が推奨されるということになっており、12月5日の施行に併せてこのガイドラインを発表しております。どのようなものかというのはホームページを見ていただければ確認していただけますけれども、ガイドラインそのもの、その作業シート、そのための技術説明書、それから今作成中のものは、ユースケースごとのサンプルというか、例題を準備しているところであり、今年度中には公開する予定にしております。

ドローンですけれども、利用が広がってきておりますので、その利用が密になってきますと、ドローン同士の衝突など、いろいろなトラブルが発生することが懸念されますので、運行を管理する必要がある。ただし、航空機のように人がいちいち管理するということでは数も多くてほとんど不可能ですので、デジタルのシステムでこれを管理しようということで、UTMという無人機の運航管理システムが研究開発され、既に一部の民間のものがサービスを提供しているというものもございます。

我が国では、そういったドローンの高密度運行というところが災害時に既に発生しております。これは、災害があったときにドローンで状況を把握するということが現実に行われております。こういった区域ではヘリコプターも飛行しますので、ヘリコプターとドローンの安全を確保するという意味でこの運航管理が重要になってまいりますが、現時点では、そういった災害時には、国が指定するということで無人機の飛行を禁止しているという状況がございます。これは安全確保のためなのですけれども、ただ、効率よく無人機、ヘリコプターを運用するためには、運行管理の下でお互いが利用し合うということが将来的には求められますので、単純に禁止するのではなくて運用調整を行うということで、まだこの段階ではシステム的に自動で行うということだけではなくて、マニュアル的にアナログ的に行うというガイドラインをまず策定したというところになります。

そのための訓練等も福島の地元の消防等の関係者に入っていただいて、トレーニングといったことを踏まえて教育マニュアルというのも作っているところでございます。

その安全確保をする意味で、機体の安全性の確保、それから操縦者の技能、そして運航時のリスク評価ということがあるわけなのですけれども、最終的には事業者がそれを安全に実施できるか、確実に実施できるかという事業者の第三者評価といったものもこれから必要になるということが考えられます。そういう意味で、福島ロボットテストフィールドにおきまして、ドローンサービス品質標準化といった活動を行っています。これはJISの改定によりまして工業規格から産業規格に変わったことによりまして、サービス品質のようなものも標準化できることになりましたので、ロボット事業者の方が適切な品質を保持しているかどうか、サービスの品質を保持して提供できるかどうかということを評価できるような仕組みをこれから構築しようとしております。これは事業者にとりましては、自らのサービス品質を保証することができますし、それから、発注側にとってもどこに頼めば大丈夫かということも可視化できるということで、こういった仕組みがドローンの普及につながっていくと考えております。

今後の取組ということで、私の私案的なところなのですけれども、先ほど機体の安全認証というお話をしましたけれども、今、実際の機体を飛行させてデータを取得して安全性をアピールするということが行われておりますけれども、これを開発の段階からシステマティックに安全性をきちんと評価できるような仕組みへと変えることによって、機体の開発そのものを効率よく行えるような仕組みが必要であろうということで、開発プロセスのデジタル化といったところがこれから必要になると考えております。

それから、カーボンニュートラルというのはもちろんありますけれども、福島は水素の研究の拠点にもなっておりますので、福島ロボットテストフィールドも地元のそういった研究施設と連携して、今後、カーボンニュートラルへの取組も進めることを計画しております。

また、機体もだんだん大型化してきておりまして、欧州では最大離陸重量600キロまでを小型無人機として定義しておりますし、また、人が乗れるような大型の垂直離着陸機、空飛ぶ車と呼ばれていますが、こういったものも福島ロボットテストフィールドで飛行試験を行っているところであります。そうした環境をさらに整備していくということが必要かと思います。

それから、ドローンは空中だけではなくて水中のドローンというのも出現しております。海の産業革命という期待もあるということで、こういったところに取り組む必要があるかと考えております。

現在、福島ロボットテストフィールドには航空局から専門官の方が駐在して一緒に仕事をしておりますけれども、例えばアメリカでは、航空の分野ですけれども、連邦航空局がこういった無人機サイトに権利を委譲しまして、その無人サイトが飛行許可を与えるようなこともできるようになってきております。我が国ではまだそこまで行っておりませんので、中央の許可を得る必要がありますけれども、こういったテストサイトへの許可の移譲といったことも今後必要になってくるのではないかと考えております。

私からは以上でございます。ありがとうございました。

江崎座長: 鈴木先生、ご説明ありがとうございました。非常にドローン中心にここでやりたいことというのが大分まとまって、順調に進められているということかなと思います。

続きまして、登構成員から「デジタル技術の解説記事のサンプル記事執筆結果」についてご説明をお願いできればと思います。

登構成員: こんにちは。登です。12月頃にデジ庁さんからそろそろこういう技術の解説記事を外部の方々に書いてもらうためには、前に各ユーザー組織の方々の意思決定をやる方と技術者の両方の層に魅力がある記事みたいなものがあればいいのではないかと登が言ったので、言ったからにはそういう記事を1つぐらい書いてみと言われまして、言わなかったほうがよかったなと思ったのですけれども、ちょっと書いてみようと思いました。

そこで、目標としては、時間をかけて書くのも仕方がないので、いただいた題材について、技術検証としては2日間ぐらいかけました。それであと5日間ぐらいをかけて1週間頑張ったらこれぐらいの記事になるのかなというサンプルを書いてみました。今日のサンプルは、ちょうど10月にデジ庁さんが公募されたオンライン試験システムのCBTという技術が20社ぐらいから出されているのですけれども、そのうち何社かにお願いをして、ある1社から最も早くうちのをサンプルにしてくださいと返事があったところからお借りして、それを使って技術検証をしてみた結果であります。

もともとこれのヒントはデジ庁のほうにこういう不正受験対策等が重要になるというのがあったので、登が検証する際にもこの点をほとんど参考にしてやってみました。
今回書いてみた記事ですけれども、1から4の部に分かれていて、1というのは総論的になぜ試験で不正防止が重要かとか、従来の紙と比べてリスクはどういう点が増えるのかとか、インターネットを経由する場合、不正以外にも何か困ることはないだろうか、また、そういう点はどうやったら直せるのかということを書いてみました。

次に、2はかなり技術的に面白いところであります。借りてきたあるオンライン受験システムは、ウェブカメラを使って自宅で受験者が試験を受けると、その映像がたまっていくのですけれども、この人は不正をやっているなとAIが検出すると、次に人間試験監督にアラートを出すので、人間試験監督はすごく短い時間で不正の部分だけを人間が判定できるのであります。我々はそれを不正の人の視点から見て、いかにごまかせるかという検証をしてみようと思い、これを2章に書きました。

第3章は、今度は不正ではなく、本システムを使おうとしたとき、試験がダウンしてしまうとか、問題文が事前に漏えいしてしまうというリスクがあり得ます。こういうことについても実際に試してみようと思いまして、技術検証と結果を書いてみました。特に重要な判断をされる方は、時間がないのでまとめだけを欲することもあります。そこで、10%ぐらいの10枚ぐらいの紙でまとめも書きました。これで大体は意思決定層の方にも、例えばコンピュータベースド試験の場合の意思決定層というのは誰かというと、試験を実施しようとされる公的機関や民間の機関の方々の経営者なのではないかと思います。それらの方々がこういうリスクがあったのかと気づくためには、技術的なことが並べてあっても無関心なので、どちらかというと人文的、社会的な感じの書き方がいいと思いました。

技術のほうについては、技術者はこんな感じで不正ができるのか、これはこういうふうにすれば直るらしいぞという驚きを感じてもらうような技術的な記事も書きました。

というのを理想的に書こうと思ったのですけれども、ちょっと旅行しながら1週間ぐらい遊びでやっていたので、本当によい品質があるかどうか分かりませんけれども、今日、たしか最大15分ぐらいプレゼンしてもいいということなので、あと数分で大体の構造はこうなっていると示したいと思います。

そもそもCBTは本質ではなくて、この文章を書いた理由は何かというと、こういう技術解説記事をほかの人に書いてもらうときに、1人で1週間で書いてくださいよと頼むとき、その方に何かサンプルをお示ししないと、どれぐらいのエフォートをかけて、どれぐらいいい記事を書くか分からないので、そのサンプルをつくるという意味なので、これから述べるのはそのサンプル的にCBTにはこんな問題があるということですが、今日の会議の本質はCBTではないと思いますので、CBTは面白いものだと認識いただくことは非常に面白いと思うのですけれども、技術記事を書くことについてぜひ議論させていただければと思います。

まずは不正のところから行きますと、第2章は不正を大分検証いたしました。検証するに当たっては、なぜ不正対策が重要かとか、不正が起こるとこんなリスクがあるということを最初にちょっとだけ書いています。例えば、当たり前のことなのですけれども、試験をやると、行動力保持者の選抜をやるとか、評価をするというときのそもそもの目的が不正があると損なわれるのではないかというのが第1の不正を防がないといけない理由になるのではないかと思います。

第2は、不正が一定確率でみんなできるのだと。紙の試験ですとできなかったのがCBTだったら簡単ですよというツールなど出回りますと、合格者集団の社会的価値が落ちるので、合格者集団が社会で担うべき責務が果たされなくなって社会的損害が発生するのではないかと思います。

第3に、試験を実施する主体がこんなことも見抜けなかったのかというふうに社会的現象として非難を受けると、公的組織であればあるほど、損害が小さくても、わずかな対策を怠っただけで存続できなくなると思います。経営者というのは組織の存続が最も価値が高いと考えるべきですから、存続しなければならないと思います。

第4は、試験を受験した善良な人が不正行為をした人の分損をして、その個人が損をするという個人的損害が発生します。大体こういうことを書くと、うちの組織の目的は何だったのだという木を見て森を見ずみたいな感じになっているところを思い出して、試験というのはこんなものだと。それでは、試験の不正検出というのは重要だ。不正検出に関する不正はどのように防げるかと見てみようというので読んでくれるのではないかと思いました。

まずはアプリケーションに関して、普通の使い方の簡単なマニュアルといいますか、流れを書いております。これは(1)から(10)みたいな感じで書いていて、このシステムは普通のマークシート型の受験や自由入力記述式の受験もできるのですけれども、特徴としてはこの画面にあるように、問題の右上に自分のカメラが出ます。そして、ずっと監視されているというのが特徴であります。この後、試験が終わると例えば60分間の映像が送られて、順次AIで処理されて、これは不自然だという被疑点が検出されます。そのメカニズムを数ページにわたって書いています。これはこの製品のセールスポイントでもありますから、これを書くのはさほど難しいことではなかったのであります。

実際に検証した結果は、この画面のとおりであります。この大変悪い受験者が過去問集を読みながら、電話をかけ、試験を受けていると、これはAIが非常にスムーズに検出しまして、不正確度82%だと。これぐらいでしたら、もう証明されましたから、この不正な人は排除されるので大変よろしいと思います。

これは非常にすばらしい概念で、もともと紙から集合型のコンピュータ試験という技術進歩が90年代に起こり、次に集合型から在宅型というものが2010年代後半に大分監視カメラの技術が普及して出てきたけれども、それでも限界があって、ようやくこれが2020年になると、カメラ監視をAIによることにより技術が進んだのだというのがすばらしい点についてまず述べました。

しかし、このカメラのすばらしい映像を悪さをして遮断したり、すり替えることができたら、どういうことになるでしょうかという問題提起を次に述べました。この問題提起は幾つかの方法があります。

第1は、カメラ映像をUSBカメラを引き抜くことで妨害する方法ですが、これはうまくいかなく、ちゃんと検出できるのであります。そうすると、次に不正受験者が考えることというのは、カメラ映像の部分だけを妨害し、試験の受験の信号だけは妨害しなかったら、カメラの映像を欠落させることができるのではないかと、これは誰でも考えることです。しかし、そう簡単にはうまくいかないのです。なぜならば、少し技術上の工夫がこのシステムにはしてあって、SSLという暗号の仕組みで、カメラのサーバーへの映像も、試験問題の閲覧の信号も、外から見ると同じ暗号に包まれているので、不正受験者はカメラだけを遮断することができないということで、これは困ったと。

そうすると、どうすればいいか。ここで少しSSLという暗号について書きまして、このSSLには中間者攻撃というプログラムができるという理論を少し書きました。実際に実験をしてみると、確かにこの不正受験者は過去問を読んでいますけれども、結果は何と合格判定されてしまったのであります。ここで、SSLというのは高度な概念だろう、だからほとんどの不正者はこれを見つけられないのではないかと思われるという反応が考えられるのですけれども、それに対する再反論として、まずこのSSLのプログラムは一から自作したのだけれども、2時間しかかかっていないというのが第1の再反論で、第2の再反論は、実はSSL中間者攻撃を思いついた後、さらにTCPと呼ばれるプロトコルを使っているのですけれども、それが非常にパケットロスに弱くて、試験の閲覧信号とカメラの送付信号は、一つの通信における長さが大いに違います。

そこで、工夫した結果、ちょうど65%のアップロード方向のパケットを遮断するぐらい自分の家のルーターの信号を混雑させれば、何と試験問題の閲覧は可能で、カメラは遮断されるということも簡単にできたのであります。このような問題があるということがまずあります。

そして、この問題の本質は何であるかということを書きました。カメラの妨害については幾つかの手法がさらにあると思ったので、試してみました。例えば2000年代に売られていたような10万画素CMSカメラみたいなものがありまして、Windows98対応と書いているのですが、これを最新のパソコンにつなぐと、20年前の懐かしいウェブ会議の画質がまた出てくるのであります。そして、すごくよい方法があって、最初の証明写真の撮影比較の際にはピントを合わせ、試験が始まるとピントをぼかすと、何と本人確認は合格し、さらに目線の不性移動は検出されなくなって、やはり不正は見つからず、全部合格になってしまったのであります。この問題の本質はこういうところである。

ほかにもあります。受験者のパソコンで、このアプリとは別にCPUを高負荷に使うことでわざと映像を欠落させると、不正に成功したというやり方と、映像を最初の3分間は大変まじめに試験を受けて、残り50分間はそのまじめな映像を10秒ごとに分割してランダムでつなぎ合わせると、これはAIも人間の監視者も分からないということも可能であるということも述べました。横にタブや別のモニターを使えば、目線をごまかして情報を不正入手できるということも述べました。

さらに、述べたこと全てについて、技術的にこのようにすれば検出可能であるという対策手法も述べました。例えばタブをほかに開く場合、この試験システムに簡単な改良を施すと、タブがアクティブでなくなったときにそれが検出可能であると。しかし、それではアクティブでなくなったとしても、ほかのタブで何をやっていたかの証明が不可能ではないか。その場合は、さらにこのアプリやウェブブラウザのキャプチャー機能を用いて試験者の画面をキャプチャーして監視すればいい。

しかし、あるAPIを使えばキャプチャー不可能領域をつくることができる、これはどうすればいいだろうかというふうに、問題は幾つかの段階に分かれてどんどんと細かくなるのですけれども、切りがないので、この試験実施主体がある程度理解すればいいという程度までそれを削り落とした内容になっています。

ほかにも幾つか問題をどう解決するかということをインターネット技術の点からも述べています。可用性を確保するためにはこのままでは少し問題があるから冗長化しなければならないのである。その方法もこのようにすればいいのではないかということも述べております。これらは技術者にとっても大いに楽しみの対象となり、つい読んでしまう内容に仕立て上げることはこのようにすればできるのかなと思いました。

最後に、まとめのところが今のことを簡単に述べておりまして、それを読めば時間がない方でも大体分かる。これを書くのにかかった時間は大体5日間で、検証に要したのは2.5日、うち0.5日は自作不正プログラムを書いて、攻撃者目線で不正をやってみたというところであります。1週間ぐらい使ってほかの方に依頼されるとしたら、最低限の内容はこれぐらいで、もうちょっと書いてほしいなというと、うーんと言って、でも仕方ないからこれぐらいは書くかということで、真剣に検証してくれるのではないかと期待をして、これをサンプル記事としまして提出したいと思います。

登の説明は以上であります。ありがとうございました。

江崎座長: ありがとうございました。多分これだけの仕事を5日でできる人はあまりいないので、そこは注意しなくてはいけないのですけれども、参照としても非常に技術と経験なども入っているということで、すばらしいと思います。

それでは、ご説明いただきましたので、意見交換の時間にさせていただければと思います。本日の議論に関して、あるいは今後の委員会における議論の進め方、それから今後のプレゼンテーション機会のリクエスト等に関しまして、構成員の皆様からご意見、ご質問等をいただければと思います。ご発言をご希望される方は、挙手機能により挙手の上、ご指名させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。どなたでも結構ですので、ご意見、ご質問等をお願いいたします。

染谷先生、お願いします。

染谷構成員: 染谷です。
このデジタル化を推進するに当たって、やはり先生方からのお話はリスクや不正に対する対処ということが中心的な話であったと理解いたしました。

登先生のお話の中で、不正はこういうふうに行われ、そこへの対策はこうだということをどんどん公開することによって、ある意味そうやればいいのかというふうに不正をしたい人は分かってしまう一方で、対処する側からすると、不正をしようとしている先端を行く人にとってはさらにその先を行かなければいけないということを考えるのではないか。

いつでも不正をしようとしている人たちが最先端かつものすごい投資をして不正をするわけではない中に、ボリュームゾーンへの対策では、全て開示することは危険ではないかという考えもある。一方で、そういうものを開示することによって防げるのだという考えもあると思います。今後、こういう書類についての取扱いをどのように考えればいいのかということについて、ぜひ先生の見解をお伺いできればと思います。

江崎座長: 登さん、どうぞ。

登構成員: コメントありがとうございます。まさにそこが非常に難しい問題なので、答えは多分その両極端のポリシーではなく、その内容内容に応じた中庸点を探すことだと思います。その中庸点はどこにあるかと大分考えながら書いたのですけれども、こういう不正ができるよという内容を提示することは、その内容が一般の不正をしたいという人が誰でもこれぐらいは思いつくだろうなという内容に限って基本的には書いたつもりであります。

それでは、この中間者攻撃がどうだ、難しいことが出ているではないかと思われるかもしれませんけれども、通信の内容を中間者攻撃していじくるというのは、誰でも通信内容をいじりたいと思うことですから、そこまではこれが不正を助長することにはならないのであります。

ところが、この先にさらに進むと、中間者攻撃を行うための具体的な試験システムに対応する実装というものが実はあって、そこを書くのに自分は大体2~3時間で書いたのですけれども、それは多分全員が書けるわけではなく、その鍵は今、フォーカスしているこのぼかしている部分の中に現れてくるのであります。これをぼかさなければ大分不正ができるのですけれども、ぼかすことにより、これは不正方法としては確かにあるけれども、対策をしたほうがいいなという速度のほうがSSLについて少し勉強してみよう、不正をしてみようと思って勉強する方の出現速度よりも早くなるのではないかと思いました。

したがって、全体的に不正のやり方を少し提示した上で、こういう対策をすべきという書き方の強さ・弱さを考えるときには、それによって不正が出てくる速度よりも速い速度で不正を直そうとするインセンティブのほうが働く、その中間点を見極めることで、こういう原理的にどちらに転んでもよくないことが起きるというリスクを我々は最小化することができるのかと思いました。
以上です。

染谷構成員: よく分かりました。どうもありがとうございます。

江崎座長: これに対して、中村先生、どうぞ。

中村構成員: ありがとうございます。
今の登さんのご回答で、情報を隠すか隠さないかという論点よりは、先ほど小川さんが説明いただいたようなリスクとコストで考えていく、何か起きるリスクの大きさ、それに対してそれをプロテクトするコストの高さというところからしっかりオペレーションしていくのが大事なのだろうなと思います。

情報は、気がつく人は気がついてしまうので、あまり隠す意味はないと思います。登さんは天才だから、登さんが考えていることは普通の人は考えられないなと思うのは多分間違いで、登さんを超える人はやはり世の中にいらっしゃるので、先ほど説明していただいた例題の中でも、僕は個人的に受験者が文章を読みながら、出題を読みながら回答していた場合にどういうふうに動くのだろうなと思ってしまいました。すなわちカメラにうつらない場所に第3者がいて、問題を朗読することで、第3者が回答を教えてくれるというシーンを想像すると、、問題を声に出して読んでいるという行動があったときにこれを不正と言われてしまうと、本当は不正をしていないにもかかわらず、問題を声に出して読んでいた受験者は不正と扱われるというリスクのほうが大きいのではないかなと思います。解説文は非常に大事ですし、非常に有用だと思います。個々のリスクを知ってそれを利用する人がいた場合、どのように対応をするのか。今、医学部や薬学部でCBTをやっていますが、この場合も、想定するリスクに対して、特別なコンピュータを用意してオペレーションするコストが見合うということで実現されていると思います。

従って、このドキュメントの中でそれぞれのリスクに対して、対応するためのコストはどのぐらいかなどの情報を書いておいてくれると良いのではないかと思います。
ありがとうございます。

江崎座長: ありがとうございます。
これはサイバーセキュリティと同じようなお話になるので、情報の共有をどうしてトランスペアレンシーをどこに持っていくかというのは共通の課題になってくるかと思いますね。それをちゃんと事務局のほうでハンドリングできるような人を雇って、そこにはもしかしたら人工知能のテクノロジーが使えるかもしれないというのも入ってくるのですね。

ほかの皆様方からご意見、ご質問等はございますでしょうか。これからの進め方などのお話でも構いませんけれども、特に事務局側としてはこれから進めていく方向のご説明がありましたけれども、そこで何かいいアイデアなり、こういうところに注意しなくてはいけないとか、これが不足しているというのがもし皆様方からあれば、非常にありがたいと思います。

では、小川構成員、お願いします。

小川構成員: 重ねて失礼します。
今、中村先生はすごくヒントになることをおっしゃったなと思っていて、先ほどアズイズ、トゥービーという話があったと思うのですね。私も今回、いろいろと資料の中で先ほどのリスクアンドコントロールマトリックスを作っていて、受験に対する不正、例えばABCDを選択するのであれば、不正はいたちごっこで、どこかで聞いていてAと後ろで出したりできると思うのですね。

でも、そもそもABCDの回答がいいのかということで、例えばすごく理解を確認するような論文の回答にしたら、単純に不正が起こりやすくならずに、理解度を違う形で確認する手法も出てくると思うのですね。

なので、多分今までのことが是で、それをテクノロジーで、もしくは不正でというと、やはりそこの限界のところはそもそものところもある程度考え直していくというのが今回のすごく重要なポイントで、それが最終的な社会コストの削減にもなりますし、やり方を変えていくといったところの見直しまで議論ができたら、一つの大きな変革になるのかなと感じました。
お返しします。

江崎座長: ありがとうございます。
事務局のほうの中でも出てきましたけれども、アズイズとトゥービーというのをかなり意識して、アズイズでどう対策をするのかというのと、その次の段階としてはトゥービーを考えるというのも、今の受験の話でも出てきましたけれども、共通したところでそういう区別をしつつ、どこに気をつけてやっていくかというのが非常に重要なポイントだろうという話かと思います。

ほかに皆さんからございますでしょうか。

須賀参事官: 今日はちょっと情報量が多くてなかなかコメントが出にくいだろうと思いますので、先ほどばーっとご説明さしあげた技術検証案件の一覧を画面に共有させていただきました。

江崎座長: これはこれから進められるということですね。

須賀参事官: これからデジ庁が音頭を取って各省庁に連携して参加いただくということで整理を進めているものです。意外と大くくりができるねということを感じております。

江崎座長: 法律が違っていてもかなり共通するものがたくさんあるような気がします。

それから、もう一つ重要なところとしては、事務局の説明の中でこの作業をした後に出てくるものとして、調達にそのまま利用できるような技術仕様や調達仕様文みたいなものがアウトプットとして出てくると、非常に効率的に皆さんが問題に対してアタックできるだろうというところも非常に重要なところかなと聞いておりました。

鈴木先生、お願いします。

鈴木構成員: ありがとうございます。
アナログやデジタルという話ではないのですけれども、例えばこういった検査などを行う事業者の方々の事業者としてのデータの取扱いに対する認証というか、検査というか、そういうところの仕組みが同時に入っていかないと、技術だけでは、デジタル化したとしても扱っているデータの確からしさというところが欠落することになりかねないのですね。

日本人は非常にきめ細かくそこをやるので、割と信用してしまうのですけれども、海外などではそこのデータの確認を絶対に1人でやってはいけないとか、複数でそこを確認しないとそのデータは信用できないというような、人間を信用しないという立場に立ってそのデータの管理をさせているというところがあって、そこが一番日本社会の中では浸透していないのではないかなというところがあって、そこを技術だけではカバーできないのではないかと思うのですね。

具体的な例は幾らでも挙げられるのですけれども、そういったところも実は重要な視点なのではないかなと思っていまして、私たちは先ほどドローンのサービス品質JISというお話をご紹介したのですけれども、そういったところを事業体としてどうやって確実に行えているのかということを保証できるのかといったところも見る必要があるのではないかなと考えているところですので、このデジタル化の話の中でもそれは重要な視点なのではないかなと感じましたので、ちょっと視点が違うのですけれども、お話しさせていただきました。

江崎座長: 中村先生、お願いします。

中村構成員: 2点だけ。
一つは、技術を使うときに、技術を本当に理解し、使える人が利用することが重要だと思います。ドローンで鈴木先生がおっしゃっているように、ちゃんと飛ばせる技術を持っている人という点が重要で、いろいろな技術を使うときに、その専門家のレベルをしっかり担保していくということがすごく大事だろうというのが1点目です。AIもそうだと思います。

2点目は、やはり日本の社会は責任を誰が取るのかというところが不明確だと思います。何か起きたときのそれぞれのレベルでの責任をしっかり取っていく。先ほどのリスクの話でもそうですが、今、経営の面では監査システムがあり、何か問題があった場合には、経営者が責任を取ることが社会システムとして形成されています。例えばセキュリティだとCISOがしっかり責任をとるというような、どういう責任をどの立場の人が、どのように取っていくのか。これを明確化しないと、実際には回ったシステムにならないのではないかなという気がします。

以上です。

江崎座長: ありがとうございます。
そうですね、コーポレートガバナンスというか、ガバナンスコードをどうするかというのも非常に重要な共通の情報として入らなくてはいけないということだと思います。

それから、1個共有させていただくと、特にサプライチェーンでのデータマネジメントみたいなお話が当然入ってくるときに、データに関しての信憑性、あるいはどこから参照されるかというお話は、実は経済産業省のほうでデータのマネジメントのプラットフォームのところの議論は随分やっているものがありまして、これを国際標準化に持っていこうというところも経産省がやってらっしゃいますので、そういうデータがどういうふうに扱われるということも意識した上でやらなくてはいけないですねというところも共通のインプットとしてのところに必要になってくるかなと思います。

川端さんが書き込んでらっしゃいますので、川端さん、お話しになりますか。

川端構成員: ありがとうございます。
非常にまとめていただいて、私も本来記事を寄稿したかったのですけれども、かなりばたついた時期になってしまって、先生にお任せしてしまっておりました。特に私はどういった形でこういった情報が集まってくるということも、このプラットフォームの鮮度を保つために情報が集まってくるというところがとても大切かなと思っていて、しかもそれが高度な専門家が発信する情報が集まるようにということが非常に重要で、利用されることとの両方がプラットフォームの鮮度を保っていくと思うのですね。なので、投稿したくなる仕組みというのが必要かなと思います。

先ほどから責任に関して非常に重要であったりとか、セキュリティを担保することという安全側のお話というのは設計上必要だと思うのですけれども、同時に、インセンティブの設計というのが議論としてはもう少し必要かなと思いました。

例えば企業さんは割と技法というのを社内で出していて、そういった技法というのは先端の技術者は書けと言われるのですけれども、書く時間を惜しんで研究していたりするので、そういった技法としてある程度書かなくてはいけないと思っているけれどもなかなか進まないところ、例えば代筆するというのはすごくインセンティブになるのではないかと思うのですけれども、そういった論文の下書きみたいなことをこのプラットフォームでしてあげられたりするといいのかなみたいなことは考えました。

あと、そういったデータの管理に関しては、欧州では今、製造業のほうでCatena-Xの話があって、その背後でGAIA-Xの話というのが連携してありまして、製造業が関わってくるところに関してはそちらの連携も考えることが必要になるのかなと思っております。
以上です。

江崎座長: ありがとうございます。それをどうやって集めていくかというのは非常に知恵をいただいて、実装するということを考えなくてはいけないですね。

ほかにございますでしょうか。
荻野委員が書いていらっしゃるので、お願いします。

荻野構成員: 非常に普通のことを書いただけなので、とにかく結局サイバーセキュリティは経年劣化しますので、PDCAでいいかどうかは別として、今回のこういう技術マップについても一度作ったきりでなくて、ほかの委員の方も言われていますけれども、振り返りを常にできるように柔軟で適時アップデートできるような形の仕組みが必要だなと思います。
以上です。

江崎座長: 多分ドキュメントを作ったときに、アップデートを自動的にチェックするようなところまで作り込んでおいたほうがいいのかもしれないですね。自動的にこれはアップデートされていませんというのが見えてくるようにするという。

荻野構成員: そうですね。

江崎座長: ありがとうございます。
では、加藤先生、いかがですか。今日は書き込みがないですけれども、忙しそうかな。

須賀参事官: 先生、乗られたばかりかもしれないです。

江崎座長: なるほど。
では、島田委員、いらっしゃいますか。

島田構成員: 島田です。
せっかくここまでやるのであれば、この効果測定をしたほうがいいと思います。それを数値化してみんなに示すことによってモチベーションが高まるのではないかということでございます。

あともう一点は、9,000件ぐらいある条項の改定に比べて、技術で解決しなければならないのが1,000件ということは、技術なしでできることはもっとさっさとやればいいのではないかなと思いました。
以上です。

須賀参事官: 補足させていただきますと、9,669のうち、技術検証せずに既に成熟している技術、例えばこういうテレビ通話の技術などといったものはわざわざ実証や検証をしなくてもすぐ採用すればいいではないかということで、ルールさえ解禁されれば即デジタルに行けますというのが大半でして、工程表に沿ってすぐにも対応していくことになります。今、取り上げようとしている約1,000件というのは、そもそも技術があるかとか、現在はアナログで行っているものに対して同等程度の信頼性を確保できると言えるのかということを確認しないとそちらに踏み出せないとおっしゃっている残りの1,000件の話をしているという認識でおります。

島田構成員: 了解しました。
であればこそ、その成果としてどれだけ税金が削減できたかというのを数値化して示すことは、よりデジタル庁のアピールにもなるのではないかなと見ていて思いました。

もう一個だけ付け加えるとしますと、情報を目視ではなくてデジタル化できるということは、いろいろな検査結果などのような記録の情報を再利用する手段はもう一回考えたほうがいいかもしれないと思います。例えばその記録からCO2のコンサンプションを計算できるようにするとか、いろいろな方法があると思うのですけれども、集めたデータというのはデータがつながると違う価値を生む可能性がありますので、少しどういう活用ができるのかというのを考えてみる必要もあるかと思います。
以上です。

江崎座長: 効果に関しては、どこかの企業でうまくいったときの経営的なインパクトみたいなものを会社は通知でお出しになるので、それを一つの成功事例として共有するのはすごくいいかもしれないですね。

島田構成員: なのですけれども、我々が企業で仕事するときはいつもこの投資効果はどうなのだと必ず言われるわけですので、デジタル庁もかっこよく投資効果をこう考えておりますというふうに仮説を立ててやっていくことも新鮮でいいのではないかと思います。

江崎座長: ありがとうございます。
それでは、中垣委員、いらっしゃいますか。

中垣構成員: 今、ちょうど示していただいている17ページのところで、私が関係しているのは真ん中の辺りの4番のところのセンサーを活用した設備診断とか、5番のところの設備の作動状態の定期点検の実証というところになるのですけれども、今、島田さんがおっしゃった評価というのは非常に重要な視点で、導入の前後において何がどれだけ変わったのかというのがちゃんと数値化されているというのは、導入者としてはそれを導入しようとするときの判断材料になるので、非常に重要かなと思っています。

我々がやっている点検のところで出てくる、従前こういう点検のときにこんな工数、こんな時間がかかっていましたというのがここまで減りましたというのは、時間削減のような形で出してもらっていたりもします。そのようなものは後で見ても非常に分かりやすいなと思っています。

それと、設備自体の延命とか、状態を監視するということが本来の目的で、それをこれまで人が巡回点検していたものを、センサー等を使って代替するということをやろうとするのですけれども、今度は設備自体の信頼性云々というよりも、導入するセンサー自体がどこまでもつのというところに話がシフトしてしまって、共通化できるような部品については、こういったセンサーだったらこういう耐久性があって、こんな事例がありますというところが共有化されると、いろいろなところに横展開できるのかなと思っています。
以上です。

江崎座長: ありがとうございます。共有できるものを探して上手に出していければ非常にありがたいということですね。

それでは、松尾委員、いらっしゃいますでしょうか。

松尾構成員: ありがとうございます。
登さんがお示しいただいたものがすごいなと思ったのですが、事務局からお願いがあって書いていただいたということで、事務局は次にどういうお願いをされるのでしょうか。
江崎座長: 松尾先生にお願いが行くかもしれません。

松尾構成員: いえいえ、登さんのあの記事のネクストアクションというか、次に検証すべきことというのは何なのかなという、僕の仕事を増やしたいのではなくて、登さんの次の仕事は何かなという程度の質問なのですけれども、この辺はいかがでしょうか。

江崎座長: 須賀さん、答えますか。

須賀参事官: 登さんのお仕事なんてそんなとんでもないですけれども・・・テクノロジーマップというのは非常に淡泊な単語の羅列みたいなものをイメージしていて、その単語の背景として企業の技術がカタログ化されていく。それだけをお出ししても勘所が分からない。それはそもそもどのぐらい踏み込んで確からしいのか、言っていいのかみたいなことが端的に分からないのです。

登さんに初めにプレゼンいただいたとおり、テクノロジーマップやカタログを参照していただきたい相手には企業の経営トップから現場の意思決定をされる方までいろいろな方がいらっしゃる。今回は1つの製品だけを取り上げて検証いただきましたけれども、本来であれば講習・試験のデジタル完結という類型の中で様々なソリューションが提案されたときに、それらを比較検証しながら、こういうところに気をつけたほうがよさそうでしたといったことを技術記事にして出していくと世の中に伝わるのではないかというご提案をいただいたと理解しています。

ただ、そういった記事の執筆には、技術リテラシーや硬軟織り交ぜた文章の書き方も含めて、絶妙なバランス感覚が求められるということも理解をしたので、大変申し訳ないのですが、登さんのおっしゃっているイメージを一度可視化してみていただけませんかとお願いしたのが今回でございます。事務局としては当然ずっと登さんに無償で書き続けていただくというイメージは持っておりませんで、今後、技術検証の結果をこういった記事にまとめていくにあたり、ライターさんには登さんの記事をお手本として参照していただき、この水準には到底至れないかもしれませんが、こういったものを成果物のサンプルとして期待していますというコミュニケーションをさせていただこうと思っておりました。

松尾構成員: ありがとうございます。

私の記憶では、こういった記事をもう少し構造化して、目的に応じて出せるようにするとか、より多くの人に見てもらえるようにするということも含めたご提案をされていたと理解していまして、そうすると、今のPDFの状態で、内容としてはすばらしいというか、こんな短時間で本当にすごいなと思うのですけれども、仕組みとして、あるいは検証したいこととしては何かもう少し次のステップがあるのではないかなと思ったので質問させていただいたという感じです。

江崎座長: 記事をどうやって集めるとか、どういうふうにするかというところですね。

松尾構成員: そういうことですね。

江崎座長: あと、次にやらなくてはいけないこととしては、さっきの効果というのがどうなるかというところも併せて、シミュレーションも含めたところがあればベストだという感じですね。

松尾構成員: 分かりました。

須賀参事官: 登さんにはまずこの記事をお書きいただきましたけれども、もともとのご提案では、いろいろな方に投稿していただいて、その製品に関する多角的な情報収集ができて、外部の目が入って質が担保されていくような編集システム、プラットフォームが必要なのではないかというご提案をいただいていると思いまして、そちらも引き続き一緒に検討にご協力いただけたらと思っています。同時に、それに初めから全部乗っかって頼り過ぎてしまうのではなく、これから出てくる様々な情報をポータルサイトで見やすいように見せていくというようなことは、普通に技術検証の事業の一環として、デジタル臨調の事務局のほうで責任を持って行ってまいりたいと思います。

松尾構成員: 分かりました。ありがとうございます。

須賀参事官: 登さんがこの話で挙手をいただいているのではないかと思います。

江崎座長: 登さん、お願いします。

登構成員: まずお詫びは、ご指摘いただいたように、構造化されたドキュメント、今で言うとマークダウンのようなものでバージョン管理可能で、これをウェブ上で複数名でも投稿できるものを作るのだと確かに主張したのですけれど、現在のところ、それをやる技術水準はこれから開発しなければ難しいので、実はこれはどうやって作ったかというと、登が前に批判した、まさに行政はけしからんというワード・PDFでやっております。これを見てみてください。この左側が従来方式のワードの目次で、これも普通のワードであります。これはえらい苦労をしたので、もう同じようには書きたくないなと思って、そのうち構造化された、かつ、結果的にはPDFにも見えるし、パワポにも見えるし、HTMLにも見えるようなものの1つのソースを入力すると自動で見やすい形に出てくるというものを書きたいというインセンティブを生じさせるために、まずは苦行をやってみようと思って作ってみたというのが実は隠されたこれの本音であります。

実はもう一つ、この方式には隠された意図があります。それは何かというと、登も非常に不完全な技術力でありますけれども、一応ちょっと書いてみたことには、目が止まるところとしては最初は面白い不正の部分やそれに対する対策に目を止めていただくと興味を持ってもらえそうで、次にその辺りを読むと、しばらくするともっとちゃんと考えると面白そうだと。誰にとって面白いかというと、3つあるのだと思うのですが、第1はデジタル技術を活用されるような経営者の方、第2はその経営者に集まっている優秀な職員、社員の方、第3はそういう経営者や職員から仕事を頼まれて代行する事業者の方やこういうシステムをつくる方々、この3者がこのような感じの文章をさらにましにしたものに仕掛けを込めておくのがいい。その仕掛けは何であるかというと、表面的に問題解決のことが書いてあること。それをより奥深く読んでいこうとすると、実はその文章の中を読めば読むほど、文章の中から奥深く理解したくなるような気分を生じさせる書き方の工夫を凝らすということだと思っております。これが一つの文章に隠された幾つかの層の構造になっていて、勉強するのは嫌だと思っている人にとっても気づかれない間に彼らの精神を自然に勉強の方向に誘引する効果を文章にもたらす方法は何であろうかと考えたとき、我々技術者が書いてきたこれまでの文章はそういう観点が全く欠けているなという反省に至ったのであります。多様な流れでこれまでやってきたことは誠に努力不足だと反省したので、これからはもう少しそのような隠れた層が含まれる文章を書きたいと思いまして、書けないのだけれども、ひとまずはそういう目標で書いてみようと思ったことと、それを構造化されたGitHubで管理できるようなものはそのうち出現するであろう、または、なければ我々がつくるのであろうという決意を新たにしながら提出をしたという点を補足させていただきます。
以上でございます。

江崎座長: ありがとうございます。
この辺りは自然言語処理、人工知能の話も入ってくるので、松尾先生にはいろいろご意見いただけることがあるかもしれないですね。ありがとうございます。

それでは、16時からご参加いただいていますけれども、遠藤委員、何かございますでしょうか。

遠藤構成員: 日程が合わずに参加が叶いませんでした間に、大変すばらしい進展を遂げてくださいまして、本当にありがとうございます。

これから技術検証が具体的に始まっていくということなのですけれども、前回から申し上げているとおり、経済安全保障の問題は個別のところで指摘していかれるのか、それともまた何か一つの大きなブロックをつくってその中でご検証されるおつもりでいらっしゃるのか、その点を確認させていただければと存じました。
よろしくお願いいたします。

江崎座長: 事務局が答えますか。

須賀参事官: 現時点ではそこだけを取り出したブロックをというふうには考えておりませんけれども、それぞれの項目を検証していく中で、性能要件を設定するといった段階で検討していくことになるのかなと思っております。

江崎座長: そうですね。ただ、経済安全保障のポイントというのはちゃんとチェックするということをちゃんとチェックポイントとして入れておかなければいけないというご提案ですね。ありがとうございます。

遠藤構成員: ありがとうございます。承知いたしました。

江崎座長: それでは、豊田先生、お願いいたします。

豊田構成員: ありがとうございます。非常に勉強になりました。

僕も正直どういうコメントができるか整理はできていないのですが、松尾先生や登さんのコメントにかなり絡むのですけれども、こういった形で検索参照性があると。マップというからには、二次元に限らず今回デジ庁さんがあえて鳴り物入りでつくるからには、高次元で複数のスケールでの参照性・検索性があるようなマップであるというものを志向するべきかなとは思うのですが、そうなってくると、文字として、言葉として検索ができるというだけでなくて、特に今回小川さんから冒頭にありましたけれども、これまでの事業的なとか、企業のモデルではなかなか参照や真似ができないようなかなり大きなスケールの構造というのも非常に分からなくて、契約の体制がどうなっているのかとか、いろいろな投資と回収の構造がどうなっているのかみたいなところでの参照性みたいなところまで大きく欲しい領域なのだと思うのですね。そういう文字として、もしくは記述された形であらかじめ埋め込まれている参照・検出の構造だけでなくて、まさにChatGPTみたいものが話題になっていますが、文字で記述していったものが背後の構造化をしていて、その構造自体でそれが契約なのか、論理構造なのか、技術的な構造なのか、その辺は全く整理できていないのですが、今すぐではないのですが、そういった参照性みたいなものも多重に引き出せるようなマップになっていると、今の時代に作るテクノロジーマップというものにすごくふさわしいものになるのではないかと、あくまで勝手な感想なのですが、思いました。

江崎座長: ありがとうございます。
それは今のところ解がないので、これを機会に研究開発項目としてほかのところからちゃんと積んでいくということかなと思います。ありがとうございます。
それでは、次は永井委員、いらっしゃいますか。

永井構成員: ありがとうございます。
私からは2点、先ほどの皆様の発言とも少しずつかぶるところがあるのですが、まず1つ目が、これは弊社も同じなのですが、情報量が膨大になればなるほど、構造化と次元の数でカバーしていくのは結構難しいなという壁にぶち当たっていまして、その中で動的なナビゲーションというのを先ほどのジェネラティブなAIも含めたところで様々検証しております。ですので、そういったインタラクティブなナビゲーションというところも最近進んでいるジャンルの一つではありますので、そういったものも実験的に取り入れていくことによって新しいパラダイムというか、検索というものが今議論されている中で、また古いレガシーなナビゲーションを始めたのだというふうに、時代が変わった後に後づけになってしまうと非常に残念ではあるかなと思ったので、少し導入が難しいところも承知しておりますが、そういった動的なナビゲーションというのも検討されるのがいいのかなというのが一点です。

2点目が、最近弊社もそうなのですが、様々な会社さんでいろいろと監視や運用を人間に代わっていってやる中で、その効果検証のためのテクノロジーというのがまた新たにありまして、課題自体を解決するテクノロジーと別に、いかにそのたくさんやっているロボットやセンサーを同時に検証していくのかどうかということ自体は、テクノロジーを使わないとなかなか検証コストが高いというところがあるかなと。特に人間を代替したようで実はすごく精度が落ちて、結局人間に戻るケースという幻滅期に入っているようなプロジェクトもたくさん見ていまして、そういった中で、過剰なデジタルへの期待という部分の調整もかかっている今の社会的な状況の中で、ただ、それは恐らくバランスの問題もあって、人間が完全にやっていることの100%を機械でやるのではなく、何割ぐらいが最適なのかということ自体をある程度合理的に意思決定するための技術というところも列挙していってもいいのかなと感じました。

江崎座長: ありがとうございます。
事務局の人たちはこれを手作業で全部頭を使ってやっていましたので、これをぜひデジタル化できるといいですねというのは事務局とお話ししたところですし、次のところは永井先生がおっしゃったようなところなので、ぜひお知恵とトライをできるようなところに持っていければいいですね。
それでは、川原先生、お願いします。

川原構成員: 私もこれまでのコメントに重なる部分はあるのですが、登さんの力のこもった作文を拝見して、ちょっとしたドクター論文ぐらいあるなというのが感想で、これをどうスケールさせるかというのが非常に重要だろうなというところと、小川委員のお話にもありましたが、出てきた文章のトラストをどう担保するかというのが矛盾する話だと思うのですけれども、そこを解決するところがディプロイのポイントなのだろうなと思っていました。ChatGPTの話がもうありましたし、松尾先生の前で言うのもあれですけれども、かなり適当な文章を入れても、これを要約してみたいなことを言うとかなりポイントを得て、しかも初心者の人にこそ分かりやすいポイントをまとめてくださるので、簡単に整った文章をつくってもらうにはいいのかなと思っています。

ただ、ちょっとよく分からないことも自信満々に答えたりするところもあるので、やはりそこはトラスト担保というところでしっかり見ないといけない部分があるのだろうなと思っています。

江崎座長: ありがとうございます。
それでは、最後に岡田委員、いかがでしょうか。

岡田構成員: 岡田です。よろしくお願いします。
私は中村先生が途中でおっしゃった責任というところが大事だなと思っていて、今、皆さん方はリスクというふうにいろいろとお話しになっていましたけれども、結局責任の分担とか、どこまでが責任ということと、さらには集めてきたデータをどこまでクローズ化するか、どこまでオープン化するかというところも、責任と連動するということになってくるとは思いますから、やはり今の流れで言うとオープンをどんどんしていったほうがいいということで、島田さんがおっしゃったように、効果測定するのだったらどんどんオープンにしたほうがいろいろな人が効果測定してくれることにはなると思いますが、一方で、オープンにし過ぎることによって責任が気持ち悪いという人も出てくると思いますので、いろいろな人のいろいろな意見を整理していって見ていかないと、どれが正解というわけではなくて、どちらに行っても嫌がる人はいるだろうしという感じはするので、特に公共性が高まってくればくるほど、オープンとは言いながらもクローズのほうに行きやすい傾向が強いと思うので、今みたいに集めてくるデータを公共の対象にすればするほど、オープンにすることに対する精神的ネガティブさというのをどう対処していくのかというのは考えていく必要があるかなという気はしています。

ですから、今の登さんがお作りになった資料といったところも含めていきながら、いろいろな意味でのDXに対して、簡単に言うと目に見えないから怖いとか、何か嫌だという人たちがいるのも事実ですから、そういうところにどうやっていわゆるIT系、デジタル系と言われているような人たちではない、従来のアナログ系の人たちの精神的ハードルみたいなもの、バリアみたいなものというところも何か見せていければいいのかなという感じは見ていて思いました。
以上です。

江崎座長: どうもありがとうございます。
いろいろとこれから作業に当たって考慮しつつ、留意しなくてはいけないというところをたくさん皆様方からいただいたようですけれども、事務局さんは全部受けられそうですか。

須賀参事官: ありがとうございます。事務局からご説明したことについて、方針としては特にご異論はなかったと思った一方で、ただの静的な図を出して終わりとしないように、最先端のデータの蓄積の仕方とか、その吐き出し方も含めて、最先端のやり方は貪欲に追求するようにというご意見だったと承りましたので、ぜひその辺りも皆様にご相談しながら、これを使ってみたほうがいいのではないかとか、ここまでできるのではないかというアドバイスをいただきながらやっていきたいなと思いを新たにいたしました。

江崎座長: そうですね。予算立て的には、ずっとテクノロジーがアップデートされなくてはいけないので、普通予算のほうにという要求事項のほうがやりやすいというか、そうしなくてはちょっと難しいかもしれないですね。ぜひ補正ではなくという話も含めてということではないかなと思います。

1人ずつお回ししましたけれども、もしほかにご意見等がございましたら、最後にまだ時間がありますが、どなたかいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ご希望はございませんようですので、本日の議事は以上とさせていただければと思います。

それでは、最後に事務局から次回の委員会等に関しまして、ご説明をお願いします。

須賀参事官: 次回の委員会の開催は、先ほどご説明さしあげた予算執行、事務局の調達との兼ね合いもございまして、4月以降の開催を予定しております。改めてご連絡さしあげます。

また、本日の議事は後日、事務局から皆様に議事録案の確認をご依頼させていただいた上で早期に公表させていただきたいと思います。

それから、今回限りのお願いでございますけれども、事務局の調達のための入札の公告を近日中に実施する予定でありまして、応札を検討する事業者から希望があった場合には、秘密保持に関して誓約書をいただいた上で、皆様にご確認いただく前の暫定版の議事録を貸し出す予定としております。ご了承いただけましたら幸いです。

さらに、本日の委員会資料につきましても、特段のご異議がないようでございましたら、原則全てデジタル庁のホームページにて公開させていただきたいと思います。
本日は御出席ありがとうございました。

江崎座長: どうもありがとうございます。
最後の機密保持に関しての誓約書の事前の議事録の提示に関しまして、ご反対の意見はないということでよろしいですね。

ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、本日の委員会は閉会したいと思います。4月にまたお会いしましょう。お疲れさまでございました。