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デジタル臨時行政調査会作業部会 テクノロジーベースの規制改革推進委員会(第5回)

概要

  • 日時:令和5年(2023年)6月8日(木)16時00分から18時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 構成員の変更について
      2. 中垣構成員からの説明
        • スマート保安推進アンケート調査について
      3. 事務局からの説明
        • 「テクノロジーベースの規制改革」の進捗及び当面の進め方
      4. 意見交換
    3. 閉会

資料

議事録等

開催日時

令和5年(2023年)6月8日(木)16時00分から18時00分まで

場所

オンライン開催

出席構成員

座長

江崎浩(デジタル庁 シニアエキスパート(アーキテクチャ))

構成員

  • 遠藤典子(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート 特任教授)
  • 岡田有策(慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)
  • 小川恵子(EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 バンキングキャピタルマーケットリーダー レグテックリーダー パートナー 公認会計士)
  • 荻野司(一般社団法人重要生活機器連携セキュリティ協議会代表理事)
  • 川原圭博(東京大学大学院工学系研究科 教授)
  • 川端由美(自動車ジャーナリスト)
  • 島田太郎(株式会社東芝 代表執行役社長 CEO)
  • 鈴木真二(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構福島ロボットテストフィールド 所長 東京大学未来ビジョン研究センター 特任教授)
  • 染谷隆夫(東京大学大学院工学系研究科 教授)
  • 豊田啓介(東京大学生産技術研究所 特任教授)
  • 中垣隆雄(早稲田大学理工学術院創造理工学部 教授)
  • 中村修(慶應義塾大学環境情報学部 教授)
  • 永井歩(アスタミューゼ株式会社 代表取締役社長)
  • 登大遊(独立行政法人情報処理推進機構サイバー技術研究室 室長)
  • 松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 教授)

概要

須賀参事官: 時間となりましたので、第5回目のテクノロジーベースの規制改革推進委員会を開会いたします。今回も構成員の皆様にはオンラインでご参加をいただいております。後半にまとめて意見交換の時間を設けておりますが、これまでと同様、Webexのチャットを活用して、説明の最中などでも随時、出席者の皆様からのご意見・ご質問を承っておりますので、遠慮無く投稿ください。

なお、今年度は『テクノロジーマップの整備に向けた調査研究(アナログ規制の見直しに向けた技術実証等)』といった事業の一環として、株式会社三菱総合研究所に本委員会の運営支援を担当いただくことになりました。ご承知おきいただければと思います。

では、これ以降の議事進行につきましては、江崎座長にお願いしたいと存じます。江崎座長、よろしくお願いいたします。

江崎座長: 皆様、ご参集いただきましてありがとうございます。今年度も引き続き座長を、私、江崎が務めさせていただくことになっております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

本日の議事は次第のとおりで、まず、本委員会の構成員の変更について事務局から報告をお願いします。

須賀参事官: 資料1に委員会の構成員とオブザーバーをお示ししております。お申出により、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構理事長の久間和生様、独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンターセンター長の齊藤裕様は、昨年度限りでご退任されました。それぞれのご所属の機関につきましては、引き続きオブザーバーとして参加いただけることとなっております。ご報告は以上です。

江崎座長: お二人には、本当にお忙しい中ご参画いただきました。今後は両機関ともオブザーバーとしてご参加いただければと思います。ありがとうございました。

続きまして、中垣構成員からスマート保安推進アンケート調査についてご説明をお願いいたします。

中垣構成員: 中垣でございます。本日このような機会をいただき感謝申し上げます。

スマート保安は、2017年に経済産業省電力安全課が設置した「電気施設保安技術高度化の評価・検証事業」の委員会が前身の1つなのかと思っています。

私自身は、早稲田でCCSというCO2の分離回収固定化に係る研究を行っているのですが、15年ほど前までは東芝のエネルギー機器の研究所に勤めておりました。電気主任技術者という資格も持っており、火力発電のJIS規格改定の委員長を務めておりました。そのような背景で、先の委員会から現在に至るまで、火力発電を専門とした委員ということで参画しております。このテクノロジーベースの規制改革推進委員会についても、そのような経緯でお声がかかったのだと考えています。

今回の資料は、製品評価技術基盤機構(NITE)の事業として実施されたスマート保安の推進アンケートという調査を基にまとめたものです。スマート保安プロモーション委員会の委員長を私が務めておりますので、今回、構成員としてご説明するという経緯でございます。

最初に、電気保安分野の状況についてご説明したいと思います。2ページの左上にあるのが年間の停電回数です。2011年に3.11があったため、一時的にこのように停電時間が延びてはいるのですが、停電の件数としては本当に1回とかそのようなオーダー感です。一方で、電気保安事故というのは、1990年以降微増傾向にあります。特に風雨・水害によるものが時折増えています。このように増加傾向がある中で、地震が活動期に入っているとか、経年劣化による工事の件数が増えたりしています。これは古いビンテージストックが増えているということですが、それと相まって気候変動もあり、様々な再生可能エネルギーの設備も増えています。

小規模なものを分散型に置くため工事の件数が増えるとか、異常気象が発生すると火力や水力等もいろいろな故障が増えてきます。そのような計画外停止により保守点検の重要性は増してはいますが、一方で労働力という面では、人口減・高齢化により、エッセンシャルワーカーの人たちが慢性的に不足しています。物だけではなく、人的なリソースも不足している状況にあり、保安のスマート化、要するに人的な省力化というのは待ったなしと言われています。

そのため、新たな保安の手法について技術的に妥当性といったところを客観的に評価しようということで、一定の保安水準が維持されていることを確認するスマート保安プロモーション委員会が作られました。スマート保安アクションプランとして、3ページの(注1)に書いてあるように経済産業省の中の取組として実施されているものです。新たな保安技術の技術的な妥当性を評価するため、これまでの経緯から製品安全の分野で長年携わってこられたNITEさんが実施しています。

プロモーション委員会では、確認された技術をカタログ化して公表していっております。事業者さんの保安水準を向上させるとか、業務を合理化して少しでも省力化していくというところに寄与していこうという考え方です。

電気保安あるいは個別専門技術の学識経験者8名をもって委員を構成しています。審議内容により、電事連等の業界団体関係者が入ってきています。

1案件について1~2回評価の委員会を開催しようと考えており、必要に応じて回数を増減しています。例えば、現在は基礎要素技術と保安技術モデルの2つに分けています。基礎要素技術は、まだ十分なデータの積み上げができていない一方で、すくい上げるべき技術ということで1回の審議、保安技術モデルは、実際に使っていただくことを想定して2回の審議を行っています。年間4件~8件を想定して委員会を実施しています。説明資料の詳細部分は原則非公開ですが、確定した内容については技術カタログとして7件が公開されています。スマート保安技術カタログはNITEのホームページから既に閲覧でき、公表・整理を進めております。技術のTRLのレベルによって保安技術モデルと基礎要素技術の2つに大別しています。データの積み上げが必要なものについては基礎要素技術として早めに評価して、開発意欲の向上やさらなる実証試験による共同開発のチャンスを増やしていくことを期待しています。

アンケート調査を行い、このようなスマート保安を実施していく上で、現状の実装のレベル、2025年を想定した近未来の目標、最終目標を、ポイント制で評価しています。また、取組状況や進捗状況について評価項目を設けてアンケートを実施しました。

今日ご紹介するのは、初回とその翌年度の2か年分をまとめて報告したものです。初年度については、まだスマート保安のプロモーション委員会の存在すらあまり知られていないというところもあり、1年経ってどれぐらい認知が進んだのだろうという把握も含めて行っております。

実施の目的は、6ページの①~④に書いてあるとおり、主には進捗状況を把握して推進対策を検討することで、我々の活動に対してフィードバックがかかるように項目を設定しているところです。細かい内容については後で出てきます。

初回は令和3年に実施しました。送配電・変電の設備、需要設備を持っている発電の設備の事業者から、総計156件回収しました。

設問の形式は、Excelでつくったようなアンケートフォームで選択回答形式といたしました。設問は9項目あり、そのうち経営姿勢から開発牽引力の5つについてはレーダーチャートで示していたりもします。プロモーション委員会の認知度、どのような期待、役割がありますかというところを我々自身の活動のデータとしたく、このような項目も挙げております。

配慮事項ということで、基本的には無記名で回収しております。調査についてはあまり細かい度合いを設定しても仕方がないので、例えば導入済みには5ポイント、一部導入には3ポイントといった形でポイント制にしています。

全般的にですが、電気保安のスマート化ということで、スマートという片仮名のところの定義、それから意味合いを少し難しく捉えている事業者さんが大変多く見受けられたので、最初の段階でこれは何かを懇切丁寧に説明する必要性がございました。電気保安のスマート化の将来像を聞くと、IoT機器の導入やAIの活用が必須というような形で認識されており、そのようなものを導入するのはまだ躊躇するとか、検討を諦めているという感じの保留といった回答が一定数あり、フォローが必要だと考えています。

アンケート調査についての説明に移ります。9ページの調査結果(参考例示)は初年度の結果です。このレーダーチャートは先ほどの5つの項目を表しております。ブルーのラインが現状、オレンジが2025年の目標で、灰色で示してあるのがその先の目標という形です。現状から2025年、最終目標についてということで値が大きくはなっているのですが、レーダーチャートで開発牽引力と人材育成の2つにおいて若干低い評点でありました。この辺りにはさらなる支援が必要かと感じています。保安技術を導入することに対する設問では、堅実で着実に進捗するという回答になっており、何らかを導入しようという取組を開始しているのだろうとうかがい知ることができます。

個別の導入に対してどのような障害がありますか、どのような影響がありますかというところを大中小のような形で集計を取ったものがこちらのグラフになります。ダブルY軸になっていて、左が累積の回答数ということで、百何件という回答数が出ているものもあります。一方、5段階の評価で評点を取り、平均を取ったものがグリーンの折れ線グラフで、右の数値を参照することになっています。大きく出ているところ、例えば4.1と出ているところは、導入の初期投資や運用の費用です。どれぐらいお金がかかるのだろうということが障害になっており、非常に影響が大きいと答えている回答数が非常に多いということになります。一方で、例えば社内のルール、特許などのところは比較的影響がなく、総合の評価としても、数値としても比較的低いものになっています。

総じて、費用の面が4.1ということで非常に大きいと感じています。研究開発費や、技術者や開発力というマンパワーの不足も懸念点として回答しているところが多くなっています。

10ページには2021年度と2022年度の2か年の変化も併せて示しています。濃いブルーが初年度で、グリーンが次年度、他は目標と参考です。こちらでも5と4が比較的点数が伸び悩んでおり、全体的にスマート保安という取組についての認知度は少し上がったと認識しています。電気設備ごとに多少の強弱はあるのですが、何らかの方向性を示して、全般的に積極的に取り組んでいこうというところは見てとれました。プロジェクトリーダー的な人の育成や取組事例の発信など進捗が著しいところについては、本格的なスマート保安推進の取組は、今は積極的に実施されているだろうという傾向は見てとれたかと思います。

個別技術導入の評点はかなりランダムな動きをしており、ポイントの高いところと低いところがあります。例えば、デジタル化的なところやドローン等の導入というところは少し進展があります。一方で、データ活用は、導入したとしても解析の時間、積み上げの時間が必要で、低い点としてまだ伸び悩んでいます。

電気設備においてスマート保安に関する理解は進んでいますが、まだ保安技術が不明で回答を保留したという事業者さんでも、2025年に向けては何とか前に進んでいこうという動きは一応見てとれたかと思っております。

11ページも参考例示として、プロモーション委員会の認知度は2021年度から2022年度に従って確実に増えており、我々の活動も少しは認識していただいているかと思います。
活動としてどのような期待がありますかというところですが、規制のルールの見直しの提言、業界内の普及促進活動が6割ぐらいを占めています。現時点でも行っている技術カタログの公表や、さらなる知名度の向上などが4割になっています。

12ページの調査で得られたことのまとめとして、現場では新たな技術情報が不足しており、どのように進めたらいいのか迷っていることが見てとれます。導入したくてもマンパワーが足りない、リーダー的な人やIoTに詳しいような人が足りないことや、新技術を導入する場合に過度にリスクを恐れて躊躇しているという実態もあります。これまでこの委員会の中でも議論されてきたことですが、新技術やノウハウというのは競争領域であり、先行している事業者の多くはあえて情報開示はしたくないという機密情報の関係もあります。

また、電気事業法だけではなく、いろいろな省庁の規制や手続きが障害となっていることもあるかと思います。導入技術の時期に躊躇しているというのは、要するに今導入したとしてもすぐに陳腐化してしまって、一体いつ入れたらいいのかの見通しもできていないとか、どのようなメリットがあるのかインセンティブが感じられないと導入をためらう、2番手だったらやってみますといった感じでファーストムーバーとして動くところは避けたいなどというところです。冒頭申し上げたのですが、お金の問題も経営判断等に関係してきているかというところです。

13ページの導入促進に向けた電気保安のスマート化の将来像として、いろいろな最新技術を導入していきたいのですが、官の役割としては規制と手続きの緩和があります。保安分野ですと、保安規制を定めて管轄のところに届けることになっているのですが、省庁が規制緩和をする上でもう少し手続きを簡素化したり、時間を短縮したりしてくれるとありがたいと感じています。それから民側ではとにかく人材が確保できていないということで、プロジェクトリーダー的な方やIoT・情報系の技術者をもう少し増やすこと、人材育成が急務かと感じています。これは外部の人材を登用することもあり得るかと思っています。

その中で情報公開は必要で、いろいろなところで共有化の仕組みをつくっていくわけですが、情報公開をしたということに対して明確に実感が持てるようなインセンティブの提示や、標準化や公開の仕組みの構築などが導入促進に向けて必要と考えています。

14ページのとおり、理解促進のための活動が重要であり、まずは内容が理解できていない、専門的な記述が多過ぎて分からないという課題があります。相反する内容への対応に苦慮するというのは、例えばアクセル面ではIoTやAI活用がありますが、ブレーキ面ではリスクもあるということです。このようなことを考えると、現場を置き去りにしないような懇切丁寧な現場レベル感での周知の仕方や、効用と運用リスクを明確に周知するといった現場サポートが非常に重要かと思っています。導入イメージと将来像及び現状認識の情報共有が重要だと、まとめとしては書いてあるのですが、官民相互にメリットがあるということを前提にして、効率化を図っていくべきかと思います。

最後に、15ページのような技術支援の輪としていろいろな声が上がっています。新技術の創成、発掘も必要ですし、実証試験や評価可能な現場環境の提供と開発者のマッチングを図っていく必要があります。データを蓄積していく上で現場のデータを吸い上げなければならないのですが、売り切りの状態になってしまうと、データを持っているのはユーザーなのか、開発者なのかという点から、データが引き渡されないとフィードバックがかからない、相互連携がないという問題があります。このようなところも技術支援の輪が必要かと思います。ネットワーク構築、サイバー対策の相互支援、外部人材の活用と書いてありますが、情報系の人材の登用・活用を積極的に行い開発期間と費用を抑えていくというような技術支援の輪も必要かと考えております。

参考資料としてスマート保安技術のカタログをお付けしており、7件が登録されています。保安技術モデルとして、基礎要素技術としてそれぞれどのようなものがあるか事例としてお示ししたものでございます。

私からの報告は以上とさせていただきます。

江崎座長: 中垣構成員、ご説明、ありがとうございました。続きまして質疑応答に移りたいと思います。本日は製品評価技術基盤機構(NITE)のスマート保安事業部のご担当者も参加されていると伺っております。回答に際してご発言いただく場合もあり得ると中垣先生より伺っております。ご承知おきください。

それでは先ほどのご発表に関しまして皆様からご質問、ご意見等はございますか。発言される方は挙手機能により挙手をいただきましたらこちらから指名させていただきます。よろしくお願いします。ご質問等はございますか。丁寧にご説明いただいたので皆さんからはあまり質問がないのかもしれません。私から質問させていただきます。

導入するに当たっては現場の対応が、お金の面と事業の面と、効果という点でなかなか容易に進めるのは難しい状況ではあるけれども、少しずつ動き出しているという状況ですか。

中垣構成員: はい。そういう状況だと見てとれます。難しく考えているところもあって、結局は保安の実務に当たられている方々の実務を少しでもサポートする技術だとまず理解してもらって、今はやりのAIを導入することが必須ではないということの理解促進が必要と考えております。

江崎座長: 特に現場としてはあまり困っていないという認識だし、必要以上の要求がされていると現場では感じている部分が少なからずあるということですか。

中垣構成員: いいえ、現場ではもう人が足りないというのは分かっていますし、これから先どんどんそういった保安に係る人材が減っていくということは分かっているので、何かしなければいけないと焦ってはいるのですが、それがAI活用をしなさいと言われると、まずそれを勉強することから始まるような形で進んでいないのだと思われます。

江崎座長: そうすると、やはりおっしゃっていたとおりの成功事例みたいなものが出てきて、皆さんが、二番手ではあるがリスクが少ない形で進めることができるサイクルにまだ持ち込めていないということですか。

中垣構成員: どこかにファーストムーバーがいて、ここまで省力化できた、経費がこれだけ削減できたとか、元々年次点検ということで完全に停電して点検しなければいけなかったものが、こういったデジタル化で常時監視ができて、かつ無停電で、例えば3年間監視できるといった大きなメリットのようなところがこういうカタログで今周知されようとしています。こういったものが周知されていけば、同じことを行おうという事業者さんも少しは増えてくるのかと思っています。

江崎座長: やはりカタログの充実と、インセンティブも含めて、それを現場の方々がご覧になって、最後に経営層の方がそれをオーケーしてくれるというサイクルをどうつくっていくかということですね。

中垣構成員: はい。

江崎座長: 構成員の方々から何かございませんか。よろしいでしょうか。

では、本当に貴重な経験を、令和3年でしたので既に2年前から、苦労しながらではありますが着実にこういう活動されているというご紹介だったと思います。ありがとうございました。

中垣構成員: ありがとうございました。

江崎座長: それでは特段皆様方からのご質問は無いようでございますので、次の議題に進ませていただきます。次の議題は、事務局からテクノロジーベースの規制改革の進捗及び当面の進め方についてのご説明をお願いいたします。

須賀参事官: 江崎座長、ありがとうございます。それでは事務局資料のご説明をさせていただければと思います。始めの2ページはこの委員会の概要ですので飛ばせていただきます。

4ページが、今回の委員会でご議論いただきたい論点で、今回少し時間が空いたこともあり、てんこ盛りとなっております。まず1つ目が技術検証の事業を各省連携で行うための調整状況のご報告。2つ目がテクノロジーマップの縦軸と横軸の在り方を見直すことも含めた方針のご説明。3つ目がカタログの掲載項目について、幾つか追記をした上で先行公募第2弾を行っていきたいと思っておりますのでそのご説明。4つ目がポータルサイトや技術解説記事など周辺を補強する情報についてどのように整理をしていくか。5つ目に、コンソーシアムという形で定常的にステークホルダーの皆様とどのようにコミュニティをつくって交流していくかということについてのご提案、ということで順にお話をさせていただければと思います。

次のページからは、技術検証事業の進捗でございます。

6ページは技術検証案件(類型)の一覧です。前回の委員会で、規制を見直す前に技術検証が必要と当局がおっしゃった1,043条項を抽象化しますと、技術検証の案件として現時点では14類型に大くくり化できる、というご報告をさせていただきました。さらにそこから進展しまして、表の一番右側の、相乗りで技術検証を一緒に行っていこうと各所管省庁と調整がついた条項数がかなり増えて、限りなく500に近い469というところまで調整がついてきたということを、まずはご報告させていただきます。

7ページでございますが、14類型については、順次それぞれ技術検証を実際に行って、カタログにつなげていきたいと思っています。先行的に規制所管省庁との対話・協議が進んで、技術検証を具体的にどういった形で実施すればいいのかという仕様を固める作業が進捗している5つの類型、具体的には赤い四角で囲っています類型3、6、8、13、14について、現在、仕様書のつくり込みを行っております。この中で幾つか脱落するかもしれませんが、早期に協議が完了した類型について、初回の公募ということで、6月前半、来週ぐらいまでに公募を開始したいと思っております。

8ページですけれども、公募予定の類型をより詳しく見ますと、相乗りしている法令や条項というのはかなり幅広く違うものになっております。一番右側に各条項の所管省庁も載せておりますが、相乗りしていただいて様々な役所が一緒に省庁横断的に技術検証していただくということは、その分だけ政府内の知見が倍々に増えていくということだと認識しております。さらに、ここにはまだ追記できていないのですが、自治体から似たような類型で技術検証のニーズがあるというお話もいただいておりまして、自治体とご一緒できる可能性がないか現在最終調整をしているところでございます。

9ページ以降でございますが、この5つの類型について、それぞれイメージがより湧くようにということで少し詳細を記載しております。類型3は、ドローンや点群データを使って構造物を遠隔で状況確認していくというものでございまして、使われるテクノロジーとしては、ドローンやAIによる画像解析などが想定されています。

類型6は、屋外の特定地域に立ち入って自然物の状態などを調査するように求める規制群です。南極を含む様々な地域において似たようなニーズがあるということで、ドローンや衛星の画像やAIを使ってどこまで遠隔で状況確認ができるかということの検証を行ってまいりたいと思っております。

10ページの上段の類型8は、現地に立入検査を行って質問などを行うという規制について、オンライン会議システムなどを使って遠隔でどこまで実施できるのかということをぜひ検証したいということでございます。現在相乗りされている条項数は11になっておりますが、恐らく相乗りされていないところにも幅広い拡張可能性のある検証かと思っております。

下段が類型13でございます。事前の閲覧の許可や不正閲覧や文章改ざん防止のための監視を求める規制があるわけですが、不正アクセスの防止もしながら、本人確認などをリモートで実施できるのかということを検証してまいりたいと思っております。

そして11ページの最後の類型14は、法定講習のオンラインでの実施です。テクノロジーの先行公募も行わせていただき、一部、学習管理システムなどを使ってどこまでなりすましの防止などを含めた手が打てるのか課題が残っておりましたが、しっかりと検証も行ってまいりたいと思っております。

以上が技術検証の事業の実施方針でございます。

2つ目の議題に移ります。テクノロジーマップのアップデートでございます。

13ページは元々お示ししている見慣れたテクノロジーマップでございまして、これを少し構造化しますと次のページになります。縦軸と横軸を不断にアップデートする際の整理の仕方として、規制目的は何か、そのために一体何をしなければいけないのか、それを実現するための手段は何か、ということがマップに一覧で表示されている形をつくっていきたいと思っております。

15ページがテクノロジーマップの縦軸のアップデートの方向性です。左側が従来案ということで、先行7項目、デジタル臨調でピックアップした典型的なアナログ規制を縦に置いてみるということからまず整理を始めたのでこういった形になっています。現時点ではこれを、技術検証を見据えて14の類型に整理をし直すためにもう一段抽象化をした縦軸に置き換えるという作業を行っております。

さらにその次の16ページに、これはまだ試行錯誤中ということでぜひコメントやアドバイスをいただけたらありがたいのですが、事務局でMRIさんとともに現時点で検討している整理のアイデアをお恥ずかしながら出させていただきました。例えば一つ目は、条文上で何をしろと書かれている部分を忠実に参照しながらある程度大くくり化、構造化できないかというアプローチで縦軸を検討するやり方です。ただ、これでは個別の手段自体は固定され、それをデジタルで行えるかどうかといった低次元の代替の検討にとどまってしまうという悩みがございます。そういう意味で右側のように、だんだん森に迷い込んでいる感じもございますが、条文上で必ずしも明記されていないような、どんな情報の処理やどういう判断を求めているのかというようなことまで解釈・推定を加えて、元々アナログな規制情報では何をするということになっていたのが、デジタルだとどこまで代替できるのか、上位互換ができるような形で整理ができないかということも、少し考察を始めております。この辺り、知恵のある方にぜひ教えていただきたいと思うところです。

17ページは横軸のアップデートになります。元々横軸はデジタル臨調のフェーズ1、2、3ということで、右に行けば行くほどより高度なテクノロジー活用であり、デジタル完結度が高いという整理ができたらいいということで機能を分解しておりましたが、実際には技術の高度さ、技術の成熟度とは必ずしも関係なく、定期検査の検査周期をリアルタイムのモニタリングによって延長したり撤廃したりするといった、若干どこに位置づけたらいいのか分からないものを一番右に置くことになっていました。

それらをいったん構造化した上で、IPOモデルというデータフローに沿ってそもそもどういうデータをインプットし、どのようにプロセシングし、最終的にアウトプットして使っていくのか、行動に移していくのかといった形で機能を整理し直せないかにチャレンジして、一番下のカラフルな横軸に置き換えるとどうかということで、マップをアップデートさせていただいております。

18ページですが、縦軸のアップデートと横軸のアップデートをあわせますと、ほぼ紙で一覧性をもって見るのが不可能な小さな文字のマップになってしまっております。これはポータルサイトでは、もちろん必要な部分だけを抽出し、拡大して見ていただくことができるようになるわけですが、一方で1枚のマップとして一覧性があって読む気が起きるものにすることも今後の課題かと思います。まだイメージの段階ですけれども、こういった整理をしていきたいと思っております。

19ページ、個別の技術と各社さんが提供されるソリューションやサービスというのは必ずしも1対1対応ではないため、一番右側に、市販されているサービス等を置いたときに、それぞれのサービスは緑の線上の○の要素技術的なものの組合せで成立しているといった有機的な見せ方もできるといいのではないかと、考えております。

20ページ、テクノロジーマップに付随して使い方のマニュアルや規約も提示するにあたり、ステークホルダー毎に分けて手引や解説をつくって丁寧にお示ししていければというのが現在の考え方でございます。

21ページでは、テクノロジーマップに付随する取組として、既に業界団体等からグローバルに出されている既存のガイドラインのうち、こういったものを参照していかれればよろしいのではないかという文書についても、テクノロジーマップと併せて情報提供を随時行っていきたいと思っております。

22ページからが3つ目の項目、技術カタログの話でございます。

23ページですが、去年10月に講習と試験のデジタル化をテーマに製品・サービスの先行公募を行わせていただき、多くのご提案をいただきました。公募時点でのカタログ掲載項目案に、その後の委員会などでご指摘いただいた点を追加して、現時点で技術カタログの掲載項目はこのようなものでいかがかというリストがここから先続いてまいります。必須で必ず書いていただきたい項目は、門戸を広げる意味でなるべく少なくしておき、柔軟にご提供いただける情報は任意記載、という形で行ってきたいと思っています。

ひとつ事務局としても判断に悩んでいるのが、公共調達における事業者登録の情報を任意にするか必須にするかということです。事業者登録をしていただいているのであれば、当局としては一々資格を確認せずにすぐに調達のプロセスに入れるので有用です。他方で、スタートアップのように、これから初めて政府調達の市場に進出されるという方は、登録がないことが参入障壁にならないように任意記載にはしたく考えております。入札資格はどんどん更新されていきますので、事業者さんに当面は手作業でアップデートしていただかなければならないのかもしれませんが、本来政府側が持っている情報でございますので、将来的にはシステム面でしっかりとつながり、更新を補助していくような形を目指せればとも考えております。

25ページです。一つ大きく論点と思っていますのが、サービス開始前の製品やサービスをどう扱うかということでございます。先行公募の段階では、まだリリースしていないとして情報提供いただいたものは、残念ながらカタログには載せないという判断をしました。製品・サービスの存在を確認できないため、ファクトチェックで落とさせていただくという運用にしたということです。他方で、これから出てくる可能性が高い製品・サービスの情報は、技術成熟度とセットにいたしますと、今後の技術ポテンシャルの高いエリアということで、情報価値が高いのではないかと思っております。

論点の一つ目は、販売提供前の製品やサービスの情報についても、技術成熟度レベル(TRL)とセットの形で技術を持っていらっしゃる機関にぜひ教えていただくことにしてはどうかということです。ただ、いきなりカタログに載せてしまうと調達しようとしても調達できないということで情報の質が下がってしまいますので、カタログ収載するのではなく、まずはテクノロジーマップに、今後出てくる技術エリアという形で掲載する、個別製品情報はその裏付けデータとして持っておく、という形でどうかと考えております。ここはぜひ後で皆様にご意見をいただければと思います。

26ページからが、先行公募第2弾の内容となります。第1弾の講習と試験のデジタル完結に続き、比較的業務プロセスが単純で、規制所管省庁が持っていらっしゃる課題感についても言語化、明確化が比較的容易だと思われた往訪閲覧、縦覧の規定に関する技術公募を、第2弾として実施できないかということで準備を進めております。業務プロセスを分解した上で、なりすましの防止ができるか、のぞき見の防止ができるか、複写の防止、改ざんの防止といったことが共通の当局のご懸念だということが把握されております。そういった質問項目を重点的に設けた上で6月中に公募を開始し、できれば8月には公募を締め切った上で精査、公表したいと考えております。

次のページからはご参考なのですが、先ほどのカタログ項目に沿って往訪閲覧、縦覧のカタログをつくっていくための質問項目のご紹介でございます。

34パージからが4つ目の項目、ポータルサイトと技術解説記事の進め方になります。35ページ、これまでカタログやマップをインターネットに随時公表していくというときに、サイトがどういうものだったらいいか、どういった情報が手に入ると多くの方にアクセスいただけるかという点についてご議論いただき、左側に書いているように、様々なアイデアをいただいてきたと思っております。

まず今年度は小さく始める、あまり欲張らないということにしないと手が回り切らないということもございまして、最低限、ポータルサイトをしっかりつくり、技術が未来をこう変えていくという技術的な裏づけを持った確かな記事を出していく、それから各省庁でせっかく試行錯誤した技術検証に関する情報については、こういったところで引っかかった、こういった課題がクリアできたという情報を、ほかの当局やステークホルダーに共有する、といった点を最優先に、まずは整備していきたいと思います。

36ページからは、ポータルのイメージを書かせていただいております。想定する利用者がそれぞれどういったときにこのポータルサイトにアクセスしてみようと思うのかというユースケースを想定し、カスタマージャーニーのマップも作成して、画面の遷移図みたいなものもしっかりつくりながらポータルサイトのつくり込みを行ってまいりたいと考えております。

38ページは技術解説記事になります。まずはこのような検証を実施したとか、こういった技術でこのような変化が期待されるということを確かな情報を基に書いていくということに注力し、ライターに手伝っていただいて、読める記事、読ませる記事をしっかりつくっていきたいと思います。

このときに、例えば技術保有機関であれば、どのエリアでこれから規制がアンロックされていくのか、どこがフロンティアになっていくのか把握したいというのが恐らく大きなモチベーションであろうと思います。左側の各ステークホルダーが何を知りたくてわざわざこのマップを見るのかということを踏まえて、しっかりと記事をご提供していくことができればと思います。ここは少しできてきましたら、またご相談させていただければと思います。

39ページは利用規約の話を書いております。テクノロジーマップや技術カタログは、当然我々は情報の精度も質もなるべく確保したいと思って公開するわけですが、完璧なものにはなりえないという中で、それぞれの方にどういった責任分界で使っていただくのか、期待値をコントロールすべきだというご指摘をいただきました。間違った不適切な情報が載ってしまうとか、知財が侵害された状態になってしまうとか、あるいは望ましくない属性の情報提供者の情報がそのまま載ってしまうとか、情報が掲載される段階で幾つか想定されるリスクがあります。情報が利用される段階ではどういったリスクがあるのか、それを参照して実際に技術を現場で活用されるという段階になったときにどういったリスクがあるのか、どういったリスクを想定しておけばいいか、随時アップデートしてまいります。

ご提供する主要な掲載コンテンツごとにそれぞれのステークホルダーの方々が一体どういったことを意識して、どういった役割・責任の下で使っていただくことが望ましいのかということは、しっかりと利用規約で網羅的に書いていきたいと思っております。

41ページです。弁護士さんにも入っていただき、規約の項目の整理を始めております。こちらはイメージですが、このような形でつくり込んでまいりたいと思っております。

最後に5つ目、コンソーシアムの項目に参ります。

43ページです。私どもが公式に提供していくテクノロジーマップや技術カタログの情報に対して、私たちはこういう情報が欲しいというニーズがあるときに随時公募をかけさせていただくわけですが、それは私たちの勝手な都合で実施する情報収集でございます。技術の進展や技術を使うニーズというものは随時いろいろなステークホルダーの側で生じるものでございますので、そういった情報を私たちのほうに常時インプットしていただける、あるいはコミュニケーションが随時取れるルートなり場をしっかりと持っておきたいというのがコンソーシアム設立の趣旨でございます。元々既に連携するとおっしゃっていただいている団体の方々にも当然入っていただきながら、各ステークホルダーのために役に立つようなコミュニティを小さく産んで大きく育てていきたいと思っております。

44ページですが、このコンソーシアムに期待する役割は大体3つございます。

まずはとにかく技術に関する情報をご提供いただきたい、これを継続的に共有するような仕組みにしたいということです。

それからもう一つが、アナログ規制を見直していくときに、関係者としてどういったところにどのようなプレーヤーがいるのかということが、規制所管省庁であっても、ご自身の周りのほんの限られたステークホルダーしか恐らく見えない中でご検討されていると思います。今回、技術検証を類型化していてみて分かったように、実は全く離れた分野で似たような技術検証を行い、技術の情報をお持ちの方というのはきっといらっしゃるため、そういった方々がどこにいらっしゃるのかということを明らかにし、緩やかにネットワーク化をすることで、話し合っていただく、話しかけていただくことが容易にできるような環境をつくっていけたらと思います。随時いろいろなステークホルダーの方から、これは変だということも含めてフィードバックをいただくことで、アナログ規制の見直しに関する施策とのシナジーもしっかりと確保していきたいと思っております。ここは、この委員会で、毎回オブザーバー参加を熱心にしてくださっている機関の皆様には、ぜひ中心的な役割を果たしていただけたらと期待しております。

それから3つ目が関係者共同での学習機会ということで、お役に立つのであれば、説明会、勉強会なども随時事務局のほうで企画をしていければと思いますし、持込みの企画も大歓迎でございます。

以上、まとめますと、45ページのように、横軸に各ステークホルダーの皆様、私たちも含めた運営事務局、それぞれがこれから縦軸の時間軸ごとにイベントなりの仕掛けをご用意してまいります。そのときに、こういった観点でご協力をいただきたい、ご参加をいただきたいということを一覧にまとめてございます。ご自身が当てはまるところだけを縦に見ていただければと思いますが、今後、まずはコンソーシアムの運営を開始するときに、ぜひ周りの方に参加の呼びかけをしていただく、あるいはご自身が参加していただければありがたいです。事務局としては、全体の会合を開き、マップやカタログに関して今ここでご説明しているようなことも含めてしっかりと説明会を開き、ピッチコンテストや、技術検証が進むごとにその報告会、よい事例があればそれを勉強会で共有するような場、ワークショップ、マッチングイベント、シンポジウムといったことも、可能な範囲でニーズに合わせて随時企画をしてまいれればと思っております。

事務局からの報告は以上でございます。

江崎座長: ありがとうございました。5つのポイントに関して、お話しする前からてんこ盛りでというお話をされていましたが、これだけ事務局が相当時間をかけて、皆様方から昨年度いただいたことに関して、実装に向けたかなり具体的な検討されているということが皆さんもお分かりいただいたのではないかと思います。今、ご説明があった事務局でつくっている進め方の方針等につきまして、皆様方からの意見をこれからいただければと思います。皆様方からご意見をいただきたいと思いますが、5項の固まりですが、もう区別せずに聞きますか、順番にやっていきますか、どちらがやりやすいですか。

須賀参事官: もしお話しいただきにくくなければどこでも、ランダムで大丈夫です。

江崎座長: それでは、順番にということはせずに皆様方からフラットに、かつ具体的なところの話もあるでしょうし、もう少しオーバーオールに見るとこれが抜けているとか、こういうところをやってもらうとどうかいうことが出てくるのではないかと思います。

登構成員からチャットをいただいていますが、発言できる状況ではないのでということです。それでは島田構成員のほうからお手が挙がっていますのでお願いします。

島田構成員: ありがとうございます。前回の説明のときには、要はテクノロジーやそういうことを検証しなくても、法令等の改正と、もしくは実際に行うだけでもうデジタル化が進められる項目はたくさんありますということでした。これとは別に着々と進行しているということでしょうか。

須賀参事官: ありがとうございます。先行公募第2弾というのを今ご説明させていただきましたが、技術検証を経ずにいきなりカタログに収載していくというルートも当然設けたいと思っています。第1弾で先行公募させていただいた試験・講習については、その後にカタログ掲載項目を追加させていただいており、事業者さんには二度手間になってしまうのですが、情報を追加していただいた上で、まずは第1弾、第2弾の2つのエリアについては早々にカタログが出ていくという形にしたいと思っております。

島田構成員: 分かりました。難しい問題をやっているとだんだんつらくなってくるので、やはり早くに効果を出したほうがいいと思います。その辺りについてはもう少し前面に出して丁寧に説明したほうが、やはりスモールサクセスが少しでもあるといいのではないかと思います。
次のテクノロジーマップの件ですが、これはテクノロジーというだけあって、多分常に変化していくと思うのです。次から次へと新しいテクノロジーが出てくるので、そうするとテクノロジーマップをつくって、やっと完成したと喜んでいるともう古新聞になっているようなことになる可能性があります。

一番大切なのは、システムエンジニアリングではRFLPという言い方をするのですが、これはRequirement、Function、Logical、PhysicalImplementationの頭文字を取ったものであります。ここで大事なのはRとFです。それを整理することがもし可能であれば、ソリューションを提供する側としてはあっという間にできるということになります。

法令の中にはあまりはっきりと書かれていない、もしくははっきりと書かれ過ぎているものがあるというご発言があったと思います。飛行機の設計などにおいても設計には手順があるのですが、手順というのは、実はもう残りかすでありまして、標準化されたり、規定化されたりしているときには、その規定がなぜでき上がったのかというのが分からない状態になってしまっていることが多いです。したがって、法令も様々な理由があってつくられているのですが、その法令の精神みたいなものを読み解くことは、多分、初めて見た人もしくは法令を遵守しないといけない人が読むだけでは分からないのだと思います。

リクワイヤメントとしてこれを達成したいからこの法律を書いたのですと、そのための機能として目視しなさいとか、この辺りの関連性を、今は技術が世の中にたくさんありますので、もし埋めることができれば、恐らく次にこれをロジカルもしくはフィジカルにインプリメントするときに、この技術、あの技術も全く同じですと言える。もしくはこういうリクワイヤメントだから別に見なくてもいいのではないかとか、他の方法で同じことを達成できる手段が生まれてくるはずです。

今回たくさんMRIの方が来られているみたいなので、そういう人たちを動員して、このRFLP分析をされると、法律自体が大変進化するかもしれないと思ったというところであります。この方法ですと普遍的でありますし、SysML(SystemsModelingLanguage)と言われるようなツールも、これは航空宇宙で開発されたものですが、使えるのではないかと思っております。大変な作業であることは間違いないですが、成果を得るためには多分それが一番かと思います。そうすると、新しい技術が出てきたときに全く同じ目的を達成するために全く違う技術に入れ替えるということが簡便になると思います。

たくさん申し上げて申し訳ございませんが、最後にもう一つだけ。カタログのユーザーエクスペリエンスということですが、私は、先ほどの早稲田大学の先生、中垣構成員がおっしゃっていた一番の導入のハードルというのは、どれぐらいお金がかかるのか、何ができるのかよく分からないという点にあるというところが非常にポイントだと思っております。カタログを見る人は、自分がやりたい、もしくは自分がクリアしなければいけない規制に対してどれぐらいお金がかかり、どのようなソリューションがあるか簡単に分かることが一番いいのではと思っていまして、そこが大体ハードルになるのです。自分の力で一生懸命テストして、この規制はこれでも大丈夫ですと証明するとなると本当に心が折れてしまうので、このように使えるのかと見えるように工夫するというのが一つのビューとして重要なのではないかと思いますので、ぜひご検討いただければと思います。以上です。

江崎座長: ありがとうございます。ここで事務局に反応してほしいところですが、先に染谷構成員がお時間の関係で5時15分に出なければいけないということですので、ご発言をお願いいたします。

染谷構成員: ご説明をありがとうございます。またこれまでの議論を反映してここまで丁寧にお取りまとめいただきまして、本当に敬意を表したいと思います。特にカタログもこれから作成され、それからコンソーシアムもできるなど、着実に進歩が見てとれると思っております。

一方で、冒頭のスライドにもありましたように、本委員会のゴールとして、例えば同類系の規制の横断的な活用や民間による調達の促進など、皆様方がいろいろと努力をされている中、ここで行った活動やいろいろなカタログ等が、今後、こういうところに効果を上げていくのかを何らかの形でモニタリングしていく必要があると思っております。どのように進めていくのか教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

江崎座長: それでは事務局のほうから、染谷構成員と島田構成員に回答をお願いできますか。

須賀参事官: 貴重なご提言ありがとうございます。染谷先生が退出される予定とのことで、そちらから先にお答えします。

モニタリングに関しては、今後の検討事項と認識しております。まずはこの技術は代替できるのかといった検証を行うとして、実際にそれが現場のモチベーションになり、導入されていって、結果として現場の効率化が図られ、さらに規制当局側もそれを見てさらなる規制の合理化を図る、そういうことをサイクルとして回したいということが元々の狙いでございます。どういったところで定点観測をして、フォローアップできればいいのかということは、別途また案を検討しましてご相談させていただければと思います。大事な点だと思っております。

それから島田構成員には、毎度この規制の文系的なえも言われぬ世界に理系のロジカルな枠組みをいろいろとご提案いただき、本当にありがたく思っております。RFLP分析というのも私は全く知らなくてお恥ずかしい限りですが、ぜひ挑戦してみたいと思います。

江崎座長: 染谷構成員、先ほどのところでよろしいですか。何かございますか。

染谷構成員: ありがとうございます。もう一つだけ追加で発言させていただきます。

最終的な効果までモニタリングするのは本当の意味でのゴールだと思いますが、最終的な効果の検証の前段階でもモニタリングをスタートするのが良いと思います。そうでないと、途中でこの膨大なものをみんなで見てどこがいいかという細かい話になりかねません。この辺りは、ぜひ途中でモニタリングをどうするかということも事務局側でご検討いただけるとありがたいと思います。

私のほうからは以上です。ありがとうございます。
江崎座長: 別途、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)の方でも苦労する話と同じですね。あちらもMRIさんなのでそういうノウハウがたまっているかもしれません。

染谷構成員: ありがとうございます。

江崎座長: それでは、事務局の方から島田構成員への回答を続けてください。

須賀参事官: 大変失礼いたしました。島田構成員からご提示いただいたRFLP分析も、今ちょうど私たちがテクノロジーマップの縦軸のアップデートを試行錯誤している枠組みを当てはめてみて、どのような構造化ができるかぜひ思考実験してみたいと思いました。

目視で行うこと至上主義みたいになっているけれども、それは手段であって、本来は何を求めたかったのか(Requirement)、そのためにどんな機能が必要なのか(Function)。これを一つずつ、デジタル臨調で、各規制所管省庁の方々と法目的や保護法益まで解き起こすような会話をさせていただいているところなのですが、それを規制法のRFLP分析という形で型として行っていけると、大きな意味での機能代替や規制のDXと呼べるようなものが起こる可能性があるように思いました。ぜひ法律自体が進化したと言っていただけるところまで持っていきたいと思っております。これは縦軸の検討の中ですぐに試してみたいと思います。以上です。

江崎座長: ありがとうございます。島田構成員が最初のところでもおっしゃっていた、少なくとも技術の細かなものがなくても、法律のところをいじるだけでも構想等が変えられるというものもあるということだし、そこが実は本質的な考察点だということで、それをどのようにするかという意味においては、ちょうど14ページのところで、「Asis」と「Tobe」で目的をもう一度しっかりと見直すということを島田さんはおっしゃったわけです。手段が先にあるのではなく、目的をもう一度見直しましょうと、手続きに落ちていると目的をほとんど気にしないところをどのようにうまく整理していくか、非常に難しい問題で事務局も悩んでいるところだということです。

須賀参事官: はい。まさに条文に出てくるキーワードにとらわれ過ぎますと上位レイヤーに行けないのですが、手段に落ちてくるまでにどういった思考回路があったのかはしっかりと言語化をしないといけないと思っておりますし、そういうものが反映できるマップがつくれるといいと思います。

島田構成員: 私も自分で設計していたときに、過去の先輩の設計を引き継ぐとなぜこうなっているかということが分からないのです。そのときに役に立ったのは過去の議事録でした。書庫にこもりまして延々とそういうことに至った経緯を読んでいくと、こういうリクワイヤメントでこれが成立しているのだということが天から降りてきました。それを分解すると大胆に変革ができるようになったという経験があります。ですから恐らく条文のみでなく、凡例もしくは過去の失敗例のようなものを解きほぐしてリクワイヤメントのマップに再構成するということにチャレンジされると革命的かもしれません。大変だと思います。

須賀参事官: ありがとうございます。法令の場合はコンメンタールや解説文書がいっぱいあるのですが、実はそこに載せていない、法制局にはどう説明したといった情報も本来非常に価値のある情報のため、規制所管省庁と協力して可能な範囲でたどっていきたいと思います。

江崎座長: 完全にコミットできるかというのは、分量が大変多いので、事務局としてはやりたいけれどもヒューマンリソースの問題もあるというのがもう一つ問題ですね。

須賀参事官: 知的には本当におもしろい作業です。幾らでも時間があればやりたいところです。本質だと思いますのでなるべく可能な範囲で頑張ります。

江崎座長: ありがとうございます。ほかのところに関してでも結構でございますが、構成員の皆様方からご質問、ご意見等はいかがでしょうか。

江崎座長: 小川構成員が先ほど手は挙げていらしたようです。

小川構成員: ありがとうございます。各先生がおっしゃったことは本当にそのとおりだと思っています。先ほどの法の精神のところですが、私もこれは非常に重要だと思っています。特に我々もよく海外と国内の規制の比較という分析をしています。日本が従来チェックリスト方式、それに対比し欧米はプリンシプル・ベースの規制と言われ、昨今日本でもそのバランスが注目されていますが、テクノロジーベースの規制の検討に当たっては、本来の法の趣旨のところの理解というのは、大変重要だと考えております。島田構成員を含めた構成員の皆様のご意見には全く賛同しております。また今回こういった本当にすばらしいおまとめをいただいて、そこについて感謝申し上げます。

一点、今回アナログからデジタル化にあたって、特有なリスクを識別し対応すべきと考えています。例えば、デジタル化、ペーパーレスというと新たなリスクが発生し、例えば会計監査でも追加的な検証手続き等が必要とされます。当然デジタル化は、紙よりも複製や、デジタル上の加工が容易となります。デジタル化にあたってはこうした改ざんを制御する技術も非常に重要となり、またログが残るだけではなく、アクセスコントロールなどが極めて重要となってきます。特権ID含めたアクセスコントロール、いわゆるITGC(InformationTechnologyGeneralControl)については、多くのトピックがありますが、デジタル化にあたってはこうした周辺領域も当然考えていく必要があると思っています。こうした点についてすでにご検討されているようであればお聞かせください。

江崎座長: 事務局、返事ができますか。非常に抽象度が高く、回答するのが難しいような話でございます。

須賀参事官: ありがとうございます。具体的に、ここについておっしゃっていただいていると私が思ったこととずれていたら申し訳ないのですが、まず先行公募第2弾で往訪閲覧・縦覧のデジタル完結のための公募をさせていただこうと思っています。そこで、まさになりすましの防止や、のぞき見の防止などアクセスコントロールに関連する論点が当局の共通の懸念として挙げられています。紙はその場に台帳を設置して入られる方を管理するという形のアクセスコントロールがされているのに対し、デジタルではどのように担保できるのか。今回の先行公募第2弾でも、申請情報をどのように登録して管理していくのかは、かなり細かく詳しく聞かせていただく質問項目になっておりますが、もしこういうことも聞いたほうがいいというものがありましたら、ぜひ教えていただきたく思います。今週中に教えていただけましたら間に合ってありがたいと思います。よろしくお願いします。

小川構成員: ありがとうございます。了解いたしました。

江崎座長: では、ぜひ何か重要な点があれば、小川構成員のほうから事務局に言っていただければと思います。

登構成員: (チャット発言)構成員の登です。テクノロジーマップ等について、今、周囲に騒音がありマイクで発言が困難なので、代わりに文字で意見を記述させていただきます。

第一.テクノロジーマップ・技術カタログのWebサイトについて、スロースタートで開始するという点について、賛成です。

第二.P.39「テクノロジーマップ・技術カタログの利用規約」について、5「利用上の責任」の「情報掲載者」の責任として「安全性、信頼性、正確性、完全性、有効性、セキュリティ欠陥、エラー・バグ、権利侵害の不存在等について責任を負う」という規定があります。「責任」について、誰に対する責任なのか不明確だと思いました。(1)「情報掲載者」から「他の閲覧者」に対する責任とすると、他の閲覧者と情報掲載者との間との法的関係はそれらの2者でその都度発生するので、本規約で規定する意味はないと思いました。(2)他方、「情報掲載者」から「国」(Webサイト運営者)に対する責任とすると、「安全性、信頼性、正確性、完全性、有効性、セキュリティ欠陥、エラー・バグ、権利侵害の不存在等について責任を負う」は、報償原則からみるとかなり過度な責任規定と思います。記事の寄稿者(コントリビューター)は報酬を受け取らないのに、これだけ過度な責任を負わされるとすると、誰も寄稿しなくなってしまうのでは?と思いました。国は、Webサイトを運営することに関して費用(税金)を受け取っているのに、寄稿者(無償の貢献者)に全部の責任を負わせるのは、不均衡だと思います。

江崎座長: チャットのほうでは、登構成員から、TermsandConditionsが厳し過ぎると、みんなは記事を書かないし、投稿しないのではないですかという心配を書かれているかと思います。

もう一つ、川端構成員のほうからは、アーリースタート、スモールスタートというのはよろしいことかということですが、過去の履歴等をきちんと残せるような仕組み、これは先ほどの話と共通するわけですが、そういうところで意見があります。どうですか。

須賀参事官: ありがとうございます。登構成員にはずっとご提案いただいて、実際サンプルの記事まで書いていただいておりまして、あのクオリティのものが何本出せるか甚だ自信はないですが、そこに近づけるようにと思っています。

4.の記事のところでご説明をさせていただきましたが、まずは欲張らずにスモールスタートしようと思っておりまして、具体的にはUGC(UserGeneratedContent)を盛り込んでいくのは少し後回しにさせていただき、まず我々がクオリティコントロールできる範囲で記事なども書いて提供していくということを行いまして、さらにその後にコントリビューターをどんどん受け入れていくという2段階で取り組ませていただきたいというご提案になっております。その観点から、初めは規約や条件も厳しめに設定しますが、第二段階でにぎやかにしていく際には、コントリビュートする気が起きるような、チェックは厳し過ぎないような寄稿のスタイルというものを徐々に確立していきたいと思います。

川端構成員からもご提案いただきましてありがとうございます。更新してしまうと昔のものが消えてしまうというのはとてももったいなく、あの当時はこういう感じだったということも価値のあるデータだと思います。そのような履歴を残せるように工夫していきたいと思っておりますが、費用感や技術的に可能かどうかというのはよく検証して、またご報告させていただきます。

江崎座長: ありがとうございます。座長ではない帽子で意見を申しますと、この記事のところに、先ほどの法律をつくったときにこういう心でつくったということを、担当の役人の方に書いていただくというのは一つ手かという気がします。法律をつくったときに条文に書かれているものと、書かれていない背景みたいなところを考えながら担当の役人の方は法律をおつくりになっているので、そういうものを文章化するのは一つの手かと、お話を聞いていて思いました。

須賀参事官: 技術検証の対象法令は現在調整のついているものだけでも500近くあるので、500本の記事が出せるかどうかは別として、技術検証の14類型ごとに代表的な規制について語っていただいて、それを踏まえてこういった検証をしましたと、文系と理系の視点が両方セットの記事になったらおもしろいかとはと思っておりました。所管省庁もご協力いただけるようであればありがたいと思います。

江崎座長: そうですね。担当の方には負担になりますけれども、歴史としてきちんと残っていくというのはご本人にとってはプラスになるかということも考えられるのでぜひうまく出せるといいかという気がします。

ありがとうございます。ほかに構成員の方々からご意見等はございますか。非常に難しいご意見になるかもしれませんが。鈴木構成員、お願いします。

鈴木構成員: 先ほどの中垣構成員のお話にもありましたけれども、リスクを恐れるといった話がやはり新しいものに取り組むときには出てくるのかと思います。何が何でもデジタル化ということではなく、リスクが低いものから始めていくということも必要かと思いま。切り替えたときのリスクがどれぐらいあるのかということです。きちんと評価した上でリスクに応じて進めていくということも必要です。

私はドローンの法制度の検討に官民挙げていろいろと取り組んできたところですが、一律の制度をつくってしまうと、リスクの低いものに対しては厳し過ぎるし、リスクの高いものについては緩過ぎるということがあります。非常に重要な検査などは当然きちんと行わなければなりません。日常的な点検のようなものであればデジタル化というところが容易に進むであろうということもあります。一つの検査でも、どういうフェーズでどういう検査を行うのかに応じてリスクも違ってくると思いますし、またどういう場面で使うのかというところでもリスクは違います。環境と評価プログラムみたいなところで、リスクをきちんと評価して、全部を一度でやっていくということでなくてもいいのかということを感じたところです。

あとはパフォーマンスベストと言われているところがやはり重要で、先ほど、これはご指摘もあったとおりですが、なぜそれをやらなければいけないのかというところの原理原則を要求して、なぜそれを行うのか、どうやってそれを行うのかというところは自由に選べるような考え方が必要なのかと感じました。

須賀参事官: 鈴木構成員、ありがとうございます。いま技術検証事業の仕様書を一生懸命書いていると報告させていただきましたが、その中で具体的に何をどのぐらいの粒度で見たいのか、それは何のリスクを把握するために見たいのか、ということはかなり詳細に当局と会話をさせていただいて書き込む形にしております。そうしないと技術検証の事業に応募していただく方が、一体何をテストできるケイパビリティのある方でないと手が挙げられないのかというのが分からないので、言語化するということに多大なコストをかけております。それ自体が付加価値になってくると思いますし、その会話をする中で本当にそこまでやる必要があるか、この選択は事業者に任せてよいのではないか、というような議論もできるようになっていくといいかと受け止めました。

鈴木構成員: 本当に現場と一緒になってやっていかないとできないことだと思いますので、大変だと思いますけれどもよろしくお願いいたします。

江崎座長: ありがとうございます。やはり同じ技術でも、適用領域によってリスク管理の程度も違うというところをしっかりとこの中に埋め込めるかどうかというところも入ってきますね。要求基準が低いところであれば早く導入できるところもあるし、要求基準が高ければ、そこのところがこの枠内でどのように書けるかという工夫が、大変かもしれないですが、それが必要だというご意見です。

荻野構成員からチャットが出ていますが、ご発言されますか。

荻野構成員: この内容はあくまでも希望です。ちょうど28ページのところに少し出ているのですが、トラストについて3行では心もとないと思いました。技術カタログですので、これを見た方がこういうところまで考慮されているということがもう少し詳しく分かるように、フリー記述になってしまうとどこまで書いたらいいか分からない方も多いかと思うので、その辺はぜひ工夫していただけるとうれしいです。以上です。

須賀参事官: 荻野構成員、そこは具体的にご相談させていただいてよろしいですか。フリー記述にならないよう、記入例、チェックリストなど何らかの型を用意できればありがたく、至急ご相談させていただけるとありがたいと思います。

荻野構成員: はい。あと、今日は多分サイバーセキュリティ課の方もおられると思うのですが、経産省サイバーセキュリティ課でも、IoT機器に関して適合性の検証要件や、検証する仕組みや要件を今検討しておりますので、そういうところの知見も少し活用しながらこういう公募時における入力項目の中に少し参考にできる内容もあるかと思います。以上です。

江崎座長: これは、中垣委員が最初にご説明された中で、コスト以外のところで、特にIoT機器に対してのセキュリティリスクのようなところが全く分からなくて躊躇されるという例が少なからずあるということがありましたので、そういう観点が入ると思えばいいのですか。

荻野構成員: そのとおりです。特に欧米は経済安全保障も含めてかなり積極的にいろいろなガイドラインや要件を公開されていますので、それらも少し活用しながらこの辺りも補完できるのではないかと思います。

江崎座長: 調達側が上手に利用できる情報がここに書かれると。

荻野委員: そうですね。そうなると非常に安心ですね。
江崎座長: では、須賀参事官のほうから荻野構成員に協力してほしいとお願いするということですね。

須賀参事官: はい。この部分を抜き出してお送りしますので、こう直せばいいといったことを具体的に教えていただけると大変助かります。

江崎座長: では岡田構成員からもチャットがありますが、お話になりますか。

岡田構成員: チャットに書いたようなことですけれども、技術のところで、おっしゃったようにユーザーを厳密に決めるというところまでしなくてもいいと思っています。逆に自治体になってくると技術に詳しいわけではないですから、やはりそういった人たちにインパクトのあるような説明を持っていなければいけない。逆にインパクトが強過ぎると誤解が生まれて何でもできると思ってしまい、先ほど出たようなリスクの問題のところも拡大解釈されてしまうとまずいというところもあるので、実際ターゲットユーザーを絞るということよりも、やはり幅広く見てもらうのであれば、どこに揃えていくのかというところは見ておかないといけないです。

実際に、例えば技術者の人たちが書いてしまうと、学会レベルではないですけれども、非常に専門的なところや、そこでの違いみたいなところを強調するようなことが出やすいですし、逆に一般の人にしてみると分からないものを全部AIと呼んでいるところもあって、統計でも数学でも全部AIと呼んでいる人たちも山ほどいるのを私は感じています。そういうところでいうと、その辺りのユーザーの人たちが思っている世界観というのは、どうも技術開発をしている人たちの世界観とは大分違うと思います。本当に誰が読むのかというところに対して、そこにどういう人が書けばいいのかというところも少し整理したほうがいいのかということを1個目に書きました。

2個目は、技術というところで言うと、ちょうど島田構成員もおっしゃったように、新しい技術がどんどん出てくるというところはあるわけですが、そう新しいものをどんどん買い換えるというわけにはいかないので、やはり一番大事なのはどうやって技術をメンテナンスしてあげるかということになってきます。そのメンテナンスに対するフォローアップみたいなことを書いておいてあげないと、買ったはいいけどもあとは自分たちでどうするのということになってしまい、また二の足を踏まれてくる気がしてくるので、その辺りの技術のメンテナンスや維持というところに関するアフターフォローであるとか、30年、40年きちんと使えるといったことも含めた、そういう体制があったほうがある意味日本の技術っぽいのかと私自身は思っています。

そのようにしてあげることのほうが、海外の技術とは違って、国産の技術を使うというところは、その技術の維持管理も含めて面倒を見てくれるというところで、だから国内の技術がここに入ってくることのメリットが出るのではないかと思います。またそれに合わせることで、オペレーターも含めて、技術を維持していってくれる人やオペレーターの育成というところに対しても、ある意味メーカーがするのかどうかは別としても、いろいろな意味で総合的な後方支援ができるところが、使う側には安心感を生むと思いますので、もう少しその辺りのアフターフォローや後方支援みたいなところが、今、入れるかどうかは別にしても、少しそういう部分を視野に入れてもらったらいいかと思いました。以上です。

江崎座長: サステナビリティという観点は、広い意味でのセキュリティというところにも、先ほどの荻野構成員のところとも関係しますし、メンテナンスのところは、日本製に寄せ過ぎるというのも微妙なところなので、この辺のバランスをどう取るかというのは事務局として非常に悩ましいところかと思います。でも、導入する側としては、技術の持続性、システムの持続性、それからリクエストビリティというところは非常に大きなところになってくるということですか。

岡田構成員: はい。そう思います。

須賀参事官: ありがとうございます。まさに自治体の方にこの話をご説明しますと、サービスエリアが分かるようにしてほしいということはよく言われます。地元の企業のほうが、その後のアフターフォローが丁寧だからということもあって、いきなり全く離れた自治体に事業所がある方に調達をかけるということは結構ハードルが高いということも教えていただいて、サービス提供エリアは書いていただけるようにカタログの項目を工夫したいと思っていたところです。工夫したいと思います。

江崎座長: ありがとうございます。永井構成員、お手が上がっていますけれども大丈夫ですか。

永井構成員: 私からは細かい点が幾つかあり恐縮です。まずテクノロジーマップの中で、トラストのところに入るのかどうかですが、最近はAIや機械学習を使ったソリューションやテクノロジーの場合は、どういうデータセットでトレーニングしたか、学習モデルをつくったかというところが結構重要だと思っています。こういった中で、国が違法なデータセットを使っているとか、誰かを侵害しているデータセットを使っているという話、テクノロジーとしての知的財産侵害ではなく、学習モデルをつくる上での部分というのをある程度開示してもらわないとなかなか使いづらいところもあるかと思いましたので、ここは項目の中に入れていただいたほうがいいのではないかと思いました。

2つ目が、データの話で、IPOという形でInput→Process→Outputと書いていただいているところがあるのですが、私たちはたくさんの企業様のデジタル導入の中で引っかかっているところのポイントとしてデータクレンジングというところが結構あると思っています。このデータ取得の後に割と学習のところに一気に入っていたりして、ここの勝負が結構大きくて、どこまで精度を上げた形でモデルのところに入れていけるかどうかというところの中で、画像などはディープラーニングで、脳で勝負ということができるのですが、そうではないデータや精度が高くないとなかなかリスクが高いデータの場合に、クレンジングやアノテーションなどで結構引っかかっている会社様が多いので、どのようにそこを解決していくかというのはロードマップの中にあったほうがいいのではないかと思いました。

それから、私たちは業務の中で最先端のテクノロジーをデータベース化していろいろな方に使っていただくことが大変多いのですが、常に、新しいテクノロジーが入るたびに分類体系が使えなくなるという問題がありまして、その中で動的にそこをメンテナンスしていくということが一番理想ではあるのです、それがコストという面でなかなか厳しいといったときに、動的なラベリング技術といったものを導入して、そこのメンテナンスコストを下げるというアプローチと、もう一つは、そもそもクラスタリングやラベリング自体を動的に行うのはあきらめて、概念検索や近傍検索といったもので、ユーザーのほうである程度吸収してもらえるようにしていくという形の方法を取るという2つがあるかと思うのです。その辺りも実際にどういうユーザーインタフェースにしていくのかという中で、カスタマージャーニーの話などもあるので、そういったナビゲーションがしっかりしているということがとても重要だと思っているのですが、メンテナンスコストとの折り合いの中でそういった動的なクラスタリング、ラベリングの手段を一部入れたり、概念検索も一部入れたりというのはご検討いただいてもいいのかと思いました。以上です。

江崎座長: これをどう入れるかというのは事務局で悩ましいところだと思いますが、ペンディングの問題とカスタマイゼーションの問題と新しい軸が出てきたときにというお話は、一般的にリテラシーとして記事のところにそれを書いていただく、それがあるというのは非常に重要なところかという気がしてお話を伺っていたのですが、これは人工知能学会でそういうまとめというのはあったりするのですが。

永井構成員: すみません。私のほうは人工知能学会でのまとめは把握していないです。

江崎座長: 例えばということで人工知能学会を出したわけですが、少し中立性がある、あるいはその領域でリスペクトされている方がおっしゃったような、永井構成員個人ではなく、正しいことだということであれば多分記事としてしっかりと書いて、これはユーザーサイドが気にするところになりますね、業種に対してどういう質問をしていくのかというポイントが示されると思いますので、そういうことは記事を書くというのはいかがですか、難しいですか。

須賀参事官: アウトプットは、記事がいいのかどうかも含めて検討させていただければと思いますが、元々私たちが登構成員に導かれて構想として持っているのは、非常に動的な、新しい軸なり、観点が追加されるたびにぐるぐると組み変わるようなマップなものですから、当然そのために動的なクラスタリング、ラベリングといったことを目指すものと思ってきました。現時点のいろいろなリソース制約を踏まえたときにできることは限られますが、中長期的にはぜひそこは目指していきたいですし、それが結局サイトを何回たたいて見ていただけるかということに直結してくるとも感じております。

AIの話もおっしゃるとおりで、原案ではコンプライアンス関連で反社ではないというチェックだけはつけていただこうとしていましたが、学習データについてもしっかり法令を遵守して対応していますと宣言をしていただくチェック欄を作るということかと思いました。データクレンジングのところは、データ復旧機能があるかとは聞いているのですが、それに加えてクレンジングも行ってくれるのかということを追加で任意で聞くということなのかとも思いました。そこは少しこちらでこういう方法でどうかということをこの後個別にご相談させていただければと思います。

永井構成員: ありがとうございます。

江崎座長: お忙しいかと思いますが、ぜひ事務局からのご要望に反応していただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは中垣構成員、お手が挙がっております。よろしくお願いします。

中垣構成員: 再びすみません。19ページのマップの見方ですが、縦軸の分類のところに緑色の線を横に直線的に引いていても必ずしもそうではないものもあります。例えば人/モノの動きというところで、もちろんカメラもあり得るということで線を引こうとすると、中分類のところが斜めに線が引かれることになると思います。縦軸の並びというのは、横に並んでいるInput、Process、Outputと必ずしも一直線で結ばなくても構わない設計なのですか。

須賀参事官: おっしゃるとおり、真横に線を引いているのはそうしないとスライドの見た目が乱雑になってしまうというだけで、実際はこのソリューションにはこのテクノロジーとこのテクノロジーが要素技術で入っているということを、システム上でタグづけをしておきたいというイメージでございますので、必ずしも真横であるとは思っていません。

中垣構成員: 分かりました。テクノロジーの技術カタログについて、我々もカタログをつくるというところで同じような項目を挙げてはいるのですが、例えば今回冒頭発表した中でも、コストとベネフィットというところが見えてくると導入のモチベーションも上がるというところで、例えばどのような効果があるかというようなベネフィットと、どれだけコストがかかるかというところを相対的に表すような、コストベネフィット比みたいなものを出せるといいかと思います。

例えば、我々のところでいうと、アナログの点検をこれだけ時間をかけて行っていたが、これを導入するとこれだけ減るというように時間で数値化しているものもあります。そうすると人件費ということで生々しい数値を出す必要もないのですが、時間が軽減されるということが間接的に分かるとか、TBMで交換していた部品をConditionBasedMaintenance(CBM)に変えるということで交換周期が伸び、部品の寿命が何年伸びたといったことになってくれば、間接的にはこれぐらいのコスト削減になるという予測がつくとか、そのような情報があるといいかと思いました。

最終的に、例えば本質安全を追求するというところが先ほどのテクノロジーマップでも大項目としてあると思います。ベネフィットの中にさらにコベネフィット(Co-benefit)というか、派生的にプラスアルファのこともあるという情報もあったほうがいいかと思います。例えば、安全を最低限のレベルということではなく、安全のレベル自体も上がっている。法律の求めるリクワイヤメントは当然クリアしているけれども、それ以上に安全のレベルは上がっているというようなプラスのコベネフィットも記載できるようなところがあると、より情報としては密になるかと思いました。以上です。

須賀参事官: 中垣構成員、ありがとうございました。この委員会でも、技術至上主義のようになり、どんなにコストがかかりメリットが小さくてもとにかくテクノロジー代替するということは意味がないというご指摘をいただいてきたと認識しています。ただカタログの項目に落とそうとするとどうしても事例ベースになってしまい、この事例だとこういうコストベネフィット比が成立する、ということにしか結局はならないとすると、どちらかというと記事向きなのかと思いました。自由記入欄でアピールしていただくのはいいのですが、項目としてしまうと聞かれた側は困るかと思って落としています。もしうまい書き方といいますか、こういう設定にしておくと私たちが知りたい最低限の情報が一覧性を持った形で取れるというアイデアがあればぜひいただけるとありがたいと思います。

中垣構成員: 分かりました。考えてみます。

江崎座長: ありがとうございます。もし上手な記述法が発見できればぜひご提案いただいて、採用できればと思います。

他にございますか。まだご発言いただいていない方がいらっしゃいますか。ご自由に、ご意見、質問等があればと思います。川原構成員、ありがとうございます。

川原構成員: 改めてお示しいただいた技術マップに、例えば今の生成AIはどうなのかとかと考えると、なかなか味わい深いと思って見ておりました。特に生成AIは便利なだけではなく懸念も多いので、今、いろいろな人がいろいろなユースケースを考えていろいろな意見を言っているところだと思います。つい最近、文化庁が公表したAIと著作権の関係性の一枚の資料は非常によかったと思っています。ここまではやっていいし、それを縛るものは全くない。ただこういう感じにしてしまうと従来の著作権の法律にこのような感じで引っかかってしまうというのが、クリアではないのかもしれませんが、かなり大筋では、直感的にも理解しやすく、道筋を示すという意味では非常に意味の大きな紙が出たのかと思っています。

それ以前にも、民間の弁護士の方が企業などで利用するときにはこういうデータは入れてもいいけれども、こういうものを入れてしまうとこういうリスクがあるとか、こういう入れ方をしたものはこういう感じでまずくなるかもしれないというアドバイスに近いような論点整理があったのも非常によかったと思っています。複雑で何が起こるか分からないようなものが増えてきているので、そういうところから重点的にトピックを立てていくのも、このマップの充実のさせ方の一つとしてあるかと思いました。私からは以上です。

江崎座長: ありがとうございます。事務局、何か反応しますか。

須賀参事官: 新しい技術が出てきたときに、それをプロセスに分解して既存の法律の当てはめを示すということは、それ自体、大変、付加価値が高いものだと思います。そういった法令側の歩み寄りの努力というものも、こういうものがよかったという評判を聞きつけてはリンクを貼るといったことをやって行けたらと思います。

江崎座長: これは学術界と霞が関の方も非常に気にしているところなので、最終的なものが出る前に書けるものもあれば記録に残しておくというのも一つの大事な仕事になるかもしれないです。それが法令をつくるときに非常にいい影響を与えていくということになるでしょうし、データをどのように管理するかというお話が、シリアスというか、クリティカルなところも出てくるということになるかと思います。

ほかにご意見等がございますか。よろしいでしょうか。多くの仕事に関してのご説明でしたので、構成員の方々も非常に幅の広いところからなのでご意見がなかなか出しにくかったのではないかと思いますが、今日はこれぐらいにさせていただいて、もし突然だったので話せなかったといったことがあれば、公募に関係するものに関してはできるだけ早く、ASAPで事務局のほうにご意見をいただければと思います。もう少し長期レベルの話であれば、事務局は大変な仕事をやっておりますが、皆さんからのご意見は非常に大切に勉強したいということをお聞きしていますので、ぜひ事務局にインプットいただければと思います。

それでは、特にこれ以上皆様方からのご発言はチャットのほうにも書かれておりませんので、本日の議事は以上とさせていただきます。最後に事務局から次回の委員会等についてのご説明をお願いします。

須賀参事官: 加藤構成員、最後にチャットでのコメントありがとうございます。対応します。

次回の委員会の開催は、事務局より改めてご連絡差し上げます。なお、本日の議事につきましては、後日、事務局からご出席いただいた皆様へ、議事録案の確認をさせていただいた上で、デジタル庁ホームページにおいて公表させていただきたいと存じます。また、本日の委員会の資料につきましても、特段のご異議がないようでございましたら、原則全てデジタル庁ホームページにて公開をさせていただきたいと存じます。

本日は委員会にご出席いただき、誠にありがとうございました。

江崎座長: ありがとうございます。それでは、以上をもちまして本日は閉会とさせていただきます。本当にお忙しい皆様方、それから非常に大量の仕事を進めている事務局にも感謝しつつ、ご参加いただき、貴重なご意見をいただきまして本当にありがとうございます。お疲れさまでございました。