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デジタル臨時行政調査会作業部会(第5回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)3月15日(火)10時から12時まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 書面掲示規制、対面講習規制、往訪閲覧・縦覧規制について関係省庁からヒアリング
      2. 意見交換
    3. 閉会

資料

関連情報

議事録等

日時

令和4年(2022年)3月15日(火)10時から12時まで

場所

オンライン会議

出席者

座長

  • 小林史明  デジタル副大臣

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科 教授)
  • 稲谷龍彦 (京都大学大学院法学研究科 教授)
  • 上野山勝也(株式会社 PKSHA Technology 代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 菅原晶子(経済同友会常務理事・政策統括)
  • 根本勝則(日本経済団体連合会専務理事)
  • 増島雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所)

議事録

事務局(松田): ただいまから第5回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開催します。よろしくお願いします。

今回も構成員の皆様にはオンラインでご参加いただいております。
なお、小林副大臣におかれては、国会対応のため、途中で一時離席をさせていただきます。また、菅原委員、根本構成員におかれては、所用により途中での退席を予定しております。

まず、本作業部会の座長である小林副大臣から、作業部会の開催に先立って一言ご挨拶を賜れればと思います。よろしくお願いします。

小林デジタル副大臣: 皆さん、おはようございます。
今日も規制制度を横断的に見直すために、どういった課題や論点があるのかということを、所管省庁の皆さんからお話を聞いた上で、どうすればその課題を乗り越えられるのかを所管省庁の皆さん及び構成員の皆さんと一緒に考えて、知恵を絞っていきたいと思っています。

今日は第5回の作業部会ということですが、内容は書面掲示規制や対面講習規制、そして、往訪閲覧・縦覧規制を取り上げていきます。警察庁、国交省、観光庁、法務省、そして、総務省からヒアリングを行いますが、具体的には安全運転管理者に関する講習、ホテルに設置されている約款の掲示など、国民生活に結構身近なものを取り上げています。

これらの見直しの観点ですが、やはりデジタル原則5つに適合しているかという点で見ていきたいと思っています。デジタル完結ということで、原則1は乗り越えられそうだということが見えてきたとしても、自治体ごとにばらばらになってしまうと、これは原則4には適合していないということになると思っています。こういったパターンも出てくると思いますので、その辺りを幅広く見ていただき、しっかり多角的な観点で検討いただきたいと思っています。

その話が出てくると、やはりシステム対応も出てきますし、自治体との連携も必要になってくるということで、この辺りについて包括的にどうアプローチするかを所管省庁や構成員の皆さんと一緒に議論できるということがこの場のメリットだと思いますので、ぜひ深掘りをお願いします。
併せて、初回、まず警察庁の皆さん、大変前向きに検討いただいて、本当にありがとうございます。先ほど申し上げたとおり、これは大変身近で、かなり幅広い事業者に関係するところなので、ここが合理化されると大変喜ばれると思いますし、役所にとっても事務処理を効率化できるのではないかと思いますので、ぜひ一緒に進めていければと思っています。

それ以外にも警察庁関係でアナログな原則・規則が残っている部分も様々あると思っていますが、岸田政権では、ぜひこの機会に一度それを全部洗い出して、できれば一括法という形で皆さんの負担もなるべく減らし、この時代に合ったルールに転換するということを一緒にやってまいりたいと思いますので、今日は実際にどんな課題があるのかということをぜひ本音ベースでいろいろお話しいただいて、知恵を出せればと思っています。どうぞよろしくお願いします。

事務局(松田): ありがとうございました。これより本日の議事に入らせていただきます。以下の議事進行は、安念副座長にお願いいたします。

安念副座長: おはようございます。安念です。本日もよろしくお願いします。
第5回の議事としましては、講習、閲覧縦覧、掲示の3分野の規制について、警察庁交通局、国土交通省不動産・建設経済局、観光庁観光産業課、法務省民事局、総務省行政管理局からヒアリングを行う予定です。まず、事務局の大澤参事官より、本日のヒアリングの趣旨についてご説明をお願いします。

事務局(大澤): 事務局の大澤です。よろしくお願いします。私からは、これまで扱ってきた目視規制などがありましたが、今日の件については、少し毛色が異なるので、冒頭に事務局から少しご説明させていただきます。

まず、ご覧いただけますとおり、今日は3つを議題にさせていただきます。1つは対面講習の規制です。こちらは国家資格の取得、あるいは更新のための講習を対面で実施することを求める規制でして、人が会場に行かなくてはならないということで、時間的・場所的な制約があるということです。
2つ目の書面の閲覧・縦覧の規制については、公的な情報を閲覧・縦覧させる際に、その情報を求める国民が公的機関へ訪問することが必要になる規制でして、申請に応じて情報を出す場合も、あるいは申請がないパターンもありますが、いずれも人が特定の場所に行って初めて書類を確認できるということですので、こちらも時間的・場所的な制約があるということです。

3つ目は書面の掲示です。こちらも書面を特定の場所に掲示することを求めている規制でして、人が特定の場所に行かないと、それを確認できないというところが特徴です。

典型的な規定ぶりを見てみますと、まず、講習については「○○は△△に講習を受けさせなければならない」という非常に単純な記述になっていますが、ポイントは、講習の実施の方法について、対面によるのか、あるいはオンラインによるのかということが法令上は明確に規定されていない場合が多いということです。本日議論いただく警察庁のように、特にこのコロナ禍では、通知を発出して、オンラインで講習を実施することが可能ということを明確にしている例もあります。

それから、閲覧・縦覧については「○○は、××(書面)を△△(場所)において、公衆の縦覧に供しなければならない」という規定ですが、ポイントは、閲覧・縦覧の方法として書面を特定の場所で閲覧・縦覧に供すると規定されている点です。

一方、この点は、グレーの網かけの中にありますが、デジタル手続法、e-文書法の規定によって、主務省令で定めれば、書面ではなくてオンラインによる閲覧・縦覧が可能となるということです。
掲示については「○○は、公衆の見やすい場所に、××(書面)を掲げなければならない」と。こちらも書面を特定の場所に掲示することを求める規定である点がポイントです。

これらの規制とデジタル原則の点検との関係ですが、赤枠の①-1にあるように紙の介在、あるいは①-2にありますように人の介在、対面が残っているか否か、こういったところを点検して、デジタル化を基本とする方向で見直しを行うということです。

類型化については、既にご紹介していますので、簡単にご説明しますが、まず、左から右に「講習」「掲示」「閲覧・縦覧」と並べており、掲示と閲覧・縦覧については、対象となる情報が公的な証明書であるか、あるいは申請によるかによって類型化しておりますが、こういった類型化。

それから、上から下に向かって、デジタル化のPHASEが進んでいくことになりますが、PHASE1は紙や人の介在が残っているもの、PHASE2は、例えば、一番左の講習を例にとると、講習の受講、前後の受講の申込み、修了証の発行、こういったプロセスのいずれかがデジタルで可能になっているという状態です。PHASE3になると、これらのプロセス全てがデジタル完結するということです。

少し先行事例を見ていきます。食品衛生責任者養成講習です。これは食品の製造・販売を行う施設ごとに行うことが義務づけられている食品衛生責任者を養成するために、都道府県等が行う講習です。令和4年度にe-ラーニングがおおむね導入される見込みになっています。

厚労省がこの講習のオンライン実施に向けた取組を幾つか行っており、例えば、平成7年、自治体ごとに内容がばらつかないように講習内容の標準化を推進しています。平成元年には、法律上は明確ではないのですが、e-ラーニングによる実施が可能であるということを通知で明確化した。さらに、コロナ禍に入り令和3年には、e-ラーニングの積極的な活用を呼びかけ、日本食品衛生協会が構築したe-ラーニング講習会の内容を共有している。

その下のところはポイントが2つあり、1つは、受講の申込み、修了後の修了証の発行といった一連のプロセスまで、講習そのものも含みますが、一連のプロセスを一つのシステムの中でオンラインで完結させているということ。

2つ目が、やはりオンラインで講習を実施するとなると、なりすましでしたり、適正に受講していただいているのかの確認が難しいという課題がありますが、顔認証による本人確認であったり、飛ばし見・早送りの防止、あるいは1時間放置した場合の停止といったシステム上の工夫をし、この辺りは各省が対面講習の見直しに向けた取組を進めていく上で、参考になると考えております。

それから、閲覧・縦覧、掲示の規制の見直しに向けた先行事例です。1つは、サービス付き高齢者向け住宅の登録事項の公示ということで、法令上は登録事項、名称、住宅の構造の公示というのが義務づけられていますが、こちらについて、現地で掲示をする方法だけではなくて、インターネットの利用による方法も認められており、選択制となっているというところです。

本日は取り扱いませんが、書面の掲示の規制の中で「○○業」の許可証を見やすい場所に掲示をするという典型的な規制がありますが、書面あるいは原を掲示しなくても、そこに書かれている情報はインターネット上で公開する。こういった手段を取っているものとして、先行事例になると思います。

また、2つ目の建設業法におけるデジタルサイネージ等を活用した掲示、こちらについては、本日、ご説明が詳しくありますが、簡単に申し上げれば、建設現場ごとに施工の体系図や標識、こういったものを掲示することが義務づけられていますが、本年1月の通知により、デジタルサイネージを活用した方法、あるいは一定の条件の下でインターネットを利用する方法が認められました。

それから、民事訴訟法における公示送達についても法務省から後ほどご説明がありますが、裁判所の掲示場に掲示をするというのが現行の制度ですが、3月8日に国会に提出された民事訴訟法の改正案によれば、掲示場への掲示に加えて、下位法令で定める方法にインターネットの利用が含まれる見込みですが、これにより不特定多数の者が閲覧できる状態に置くことも併せて必要とされ、デジタル化の取組が進められているということです。

こちらが、見直しの方針(案)として、本日議論いただく個別の案件について事務局から事前に各省庁に示した方向性の全体像です。

講習、閲覧・縦覧、掲示、約1,800の規制がありますが、その中から典型的なもの、業界から要望があるものなどを含めて、今日は取り上げる予定です。

左の2つ、安全運転管理者講習、建設業の提出書類の閲覧については、PHASE2から3へ、それから、国際観光ホテル、行政手続法については、PHASE1から3へ、それぞれ見直しを進める必要があると考えています。
論点については、この後、各省庁からのヒアリングの中でもご紹介があると思いますので、説明は割愛しますが、経済界からの要望についてのみ、簡単にご紹介します。

まず、安全運転管理者に関する講習については、居住地等から指定の会場への移動に時間や費用が発生するということで、オンライン講習を可能にしてほしい。

建設業の提出書類の閲覧については、これは都道府県知事に対して提出される、あるいは広域ですと国土交通大臣に対して提出される書類ですが、県庁所在地や中核都市だけに閲覧の便宜が図られ、その他の地域では数時間かけて出向くことが必要なので、デジタルによる閲覧を可能にしてほしいというご要望です。

国際観光ホテルについては、客室数が数百に及ぶこともあり、全ての部屋に印刷、ファイリング、引き出しにしまうだけで非常に手間ということで、ウェブサイトにおける公表で公示に足りるようにしてほしいということです。

行政手続法については、経済界からの要望は特段ありませんが、先ほど申し上げたように、民事訴訟法の改正案がありますので、行政手続法上の公示送達はなぜオンライン化できないのか、特別な理由があるのかという観点から議論を頂戴できればと考えています。私からは以上です。

安念副座長: これからヒアリングに移ります。前回と同様、これまで各省庁と直接やり取りしてこられた大澤参事官にお願いいたします。

事務局(大澤): ご紹介させていただいたように、本日は4つのセッションを予定しており、最初のセッションは、対面講習規制のうち、安全運転管理者等に対する講習を議題としたいと思います。それでは、警察庁交通企画課の今村課長からご発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

警察庁交通局: 警察庁交通企画課長の今村です。ただいまから安全運転管理者講習のオンライン化の状況についてご説明します。

1ページは「1安全運転管理者について」ということで、道路交通法第74条の3の規定に基づき、一定台数以上、具体的には乗車定員が11人以上の車については1台、それ以外の車については、5台以上の自動車を使用している場合に、安全運転管理者を選任しなければならないとされています。

続いて2ページですが、安全運転管理者の業務が列挙されています。
下半分の囲みの中に記載のとおり、昨年6月に千葉県八街市において、小学生5名が犠牲となる飲酒死亡事故が発生したことを受けて、本年10月から安全運転管理者の業務に、アルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認が追加されることになっています。
3ページです。道路交通法第74条の3の規定に基づき、自動車の使用者は安全運転管理者に都道府県公安委員会が行う講習を受けさせなければならないとされています。通常、安全運転管理者は毎年1回講習を受けることになりまして、都道府県により多少の違いはありますが、多くの場合は1回6時間の講習を受けていただいております。
従来の一般的な受講の流れを下半分に記載しておりますが、公安委員会から通知を受け取った後、講習の当日に会場で手数料を支払って講習を受けるということになります。その後、希望する方に対しては受講証明書を郵送で送っております。

次に、4ページです。安全運転管理者講習のオンライン化に至る経緯についてです。まず、令和2年4月に、警察庁から各都道府県警察に対して、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、会議室等における講義方式について、インターネットを使用した講義方式に代えることが可能である旨を通知しました。

さらに、昨年8月には行政のデジタル化、受講者の利便性向上の観点から、インターネットを使用した非対面方式による講習を引き続き実施することが可能である旨を通知しております。

昨年9月末現在で10の都道府県警察がオンライン講習を実施しており、現時点で改めて調査をしたところ、さらに少なくとも3つの県警でオンライン講習を実施しています。

受講の流れとしては、手数料を窓口で支払う必要はありますが、講習自体は安全運転管理者の勤務場所等で受けることが可能になり、また、一部の県についてではありますが、受講証明書もオンラインで入手可能となっております。

5ページ目、現状のPHASEとPHASEを進めるための課題として、デジタル庁からお示しいただいたものを記載しています。

具体的には6ページから、論点(1)ですが、実施主体は都道府県公安委員会であり、全国展開に向けたスケジュールを早期に示す必要があるのではないか。また、一部地域でオンライン講習を実施して分かった課題は何かということですが、まず、スケジュールについては、警察庁として、都道府県警察共通のオンラインシステムの構築と運用を目指して鋭意検討を行っているところです。

現時点で予算の裏づけがありませんので、公の場で庁としての方針を申し上げられる段階にはありませんが、できるだけ早期に運用を開始できるよう、予算要求作業を進めてまいります。

また、課題について3点記載してありますが、そのうち1つ目の手数料を窓口で支払っているということが最も大きな課題であると考えています。

背景としては、いまだ多くの都道府県で手数料を収入証紙で納入しなければならないとされていることがあります。この点は、政府の方針として、地方公共団体の行政手続のオンライン化も進められていると承知しておりますので、近い将来に改善がなされるものと期待しております。

7ページです。論点(2)として、講習の実施主体である都道府県公安委員会に対し、警察庁として講習のオンライン化をどのタイミングでどのように後押しする予定かということですけれども、警察庁として、利便性の高いデジタル完結を基本とした本格的なシステムを整備し、都道府県警察に利用を促してまいります。

続いて、論点(3)については、デジタル弱者保護の観点から、対面講習も残置する場合、その基本的な考え方如何ということです。

前提として、昨年6月、先ほどご紹介した八街市での事故のような痛ましい交通事故を防ぐためには、全ての安全運転管理者に講習を受講していただく必要がありますので、オンライン講習を受けることができないという方がいるのであれば、対面での講習も残す必要があると考えております。

安全運転管理者の選任対象となる事業所は一定規模以上のものに限られますので、全くインターネットを利用できない事業所の数というのはそれほど多くはないのではないかとも考えておりますけれども、対面での講習をどの程度実施する必要があるのかという点については、講習のオンライン化を進めていく中で見極めていきたいと考えています。

最後、8ページですが、目指すPHASEとしては、PHASE3、具体的には申込みから受講、受講証明書の発行までオンラインで完結できるということを目指しています。ご説明は以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。ただいまのご発表について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。増島先生、お願いします。

増島構成員: 大変前向きな動きがいろいろ行われていることを理解しました。2点教えてください。
1点は、まず、支払いの方法の収入証紙、ここの部分が大きな論点とおっしゃっていましたが、収入証紙でなければいけないというのは何かの規制に基づくものでしょうか。民間のクレジットカード支払いのサービスを導入すれば、済んでしまうのではないかと感じたものですから、現状、いろいろオンラインの活動を積極的にやられているにもかかわらず、まだ収入証紙の部分が残ってしまっている。ここが前に進めない理由は何かというのが1点です。

2点目は、オンラインができなかった場合の対面を一定想定しなければいけないかもしれないというお話でしたが、ある意味、これは特定の警察の場所に行くと、そこでオンラインで見られるという、こんな仕組みになっていると、これはこれでできるわけです。要するに、なるべくリソースをかけずにやっていく必要があるので、インターネットを使えない人がいたとしても、警察でオンライン受講することができれば、先生は1人でいいではないかという状態にまではできるのではないかという、こんな感じがしましたが、この辺はどのようにお考えでしょうかというのが2点目です。以上です。ありがとうございました。

警察庁交通局: それでは、まず、1つ目のご質問ですが、もしかしたら私の理解が不正確かもしれませんけれども、支払いにつきまして証紙を使わなければいけないというのは、恐らく県の条例で決まっているのではないかと思います。

したがって、都道府県公安委員会の判断というよりも、県の知事部局のほうで、収入証紙について、もう使わなくていいとご判断いただけるのであれば、公安委員会のほうとしても、クレジットカードですとか、その他の方法について、導入することができると認識しています。

2つ目の、例えば、警察署に来てオンラインで見られるのではないかという方法については、確かにそういう方法もあろうかと思いますので、今後、その点も視野に入れつつ考えていきたいと思っています。

増島構成員: ありがとうございました。

事務局(大澤): 菅原構成員、お願いします。

菅原構成員: 収入証紙の件は、今回の件のみならず、ほかにも幾つか類似案件があると思いますので、一度整理したほうが良いと思います。

対面の件に関しては、増島先生もおっしゃっていたように、自前でインターネット講習を受けられる環境がないのであれば、受講拠点を設置することが考えられると思います。

全てをデジタル完結するようにするという事務局の案には賛成です。これに加えて、e-ラーニングは代理受講できてしまう可能性があるので、確実に本人受講させる仕組みを整備する必要がある。

マイナンバーカードと運転免許証の一体化の話が出ていますが、そうであれば、暫定措置として、e-ラーニングのID、パスワードを、例えば、運転免許証番号の4桁掛ける2種類の暗証番号で設定したり、受講中は運転免許証の写真で顔認証し続けるなど、今あるものを使ったアイデアを考えてみたらどうか。最終的にはマイナンバーカードの個人認証機能を用いてe-ラーニングが受講できるようにして、顔写真もマイナンバーカードの写真と紐づけて、その結果も資格情報としてマイナンバー情報と紐づければ、バックヤードの行政の管理が楽になると思いますが、そうした検討をされているかを伺いたいと思います。

警察庁交通局: 先生のご指摘のとおり、今、運転免許証とマイナンバーカードの一体化について、道路交通法の改正案をまさに提出させていただいたところでして、公布の日から3年後ということになりますけれども、マイナンバーカードと運転免許証の一体化というのが導入されることになっています。

本人確認について、どういった形で行うのかということについては、これからしっかりと考えていきたいと思いますが、ただ、マイナンバーカードの一体化と言いましても、まだ現在はマイナンバーカードを持っておられる方は人口の4割にとどまっていますので、少なくともこれだけというわけにはいきませんし、また、個人情報保護の問題などもありますので、その点も含めてしっかり考えていきたいと思っています。

事務局(大澤): 根本構成員、お願いします。

根本構成員: 非常にすばらしい取組をしていただいていて、今後、こういう形でいろいろなものが進めばいいなと思っています。個々については、証紙の問題等々、今、菅原委員から指摘があったものは、まとめて対応すればいいかなと思います。

ただ、本件について、1点だけコメントさせていただくと、実はこの講習は一連の動作のうちの一部分にすぎないということです。今回の件でいえば、安全運転管理全体の流れの中の一つの動作にすぎませんので、こういうすばらしい取組をされている警察庁には、全体をデジタルベースのものに見直していくという姿勢をぜひ堅持して、その方向に進んでいただきたいと思います。

警察庁交通局: ご指摘ありがとうございます。警察庁としては、今回は安全運転管理者講習についてのお話ということで、特化してお話をさせていただきましたが、行政手続全般について、オンライン化も進めようとしておりますので、今のご指摘についても、そういった文脈の中で受け止められるのではないかと考えています。

事務局(大澤): 稲谷構成員、お願いします。

稲谷構成員: 根本構成員や菅原構成員がおっしゃったことと結構かぶってしまいますが、受講証について、今回は欲しい人だけみたいな感じなので、そんなに深刻な問題にならないのかなという気もするのですが、これが一定の資格等に結びついているケースにおいては、ご説明もあったように、例えば、マイナンバーと紐づけるとか、あるいはNFTを使ってみるとか、様々な方法によって真正性を確保していくやり方は将来的にあるかなと思ったのが1つです。

もう1つは、収入証紙の問題ですが、これは警察庁だけの問題ではなくて、デジタル庁とか、デジタル化全体の問題であると思います。条例と法律の所管事項の関係性の問題もあるとは思いますが、例えば、デジタル臨調のほうでデジタル権利宣言みたいな話もちょっと出ていましたが、今後、もしデジタル上で手続を進める権利のようなものがあると考えていくであれば、それを結果的に制限する条例のようなものは、制限的に解釈するという形で、全国で統一的にデジタル上で手続完結できるように整備していく方向性もあると思います。こういった取組を進めていくと、警察庁さんの取組も一層加速していくのかなと思った次第です。以上でございます。

警察庁交通局: 当庁から1つだけ、受講証の点については、先生のご指摘のとおりでして、道路交通法に基づいて受講証明書を出しているわけではなく、一定の資格にも特に結びついていませんので、今は希望者だけに出すという形にしています。

事務局(大澤): 落合構成員、よろしくお願いいたします。

落合構成員: ほかの委員もおっしゃられていますが、非常にすばらしい取組を進めていただいていると感じています。
基本的な方針の整理としても、先ほどまでご説明いただいたような、全面的にデジタル化を進める形で進めていただければと思います。1つだけありますのは、各都道府県レベルですとか、自治体レベルでの実際の運用が、中央で決めても、なかなか伝わらないことが生じる例は、別に警察庁さんの例ということではなく、ほかの省庁でもいろいろ見られるところです。どのように全国で同じような形でできるようにしていくかは課題になると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

警察庁交通局: 警察庁として、まず、中央で共通のシステムを構築し、運用することが大事だと思っておりまして、都道府県警察の負担もなるべく軽くなるような形でそういったシステムを構築して、そこに積極的に参加・参入するようにということで働きかけをしてまいりたいと思います。

落合構成員: 分かりました。それは非常に実効性があるというか、システム自体、準備してさしあげるということは非常にいいことかと思います。ありがとうございます。

事務局(大澤): よろしいでしょうか。これ以降のご質問は、事務局までお寄せいただければ、事務局から発表者に確認の上、回答させていただきます。

最初のセッションはこちらで終了させていただきます。本日の議論を踏まえまして、作業部会として追加の検討事項の連絡を差し上げる可能性もございますので、対応方、よろしくお願い申し上げます。

警察庁交通局: 承知しました。ありがとうございました。

事務局(大澤): 続いては、書面の閲覧・縦覧規制のうち、建設業者の提出書類に係る閲覧です。国土交通省建設業課、鎌原課長からご発表をお願いします。

国土交通省不動産・建設経済局: 国土交通省で建設業課長をしております鎌原です。資料に基づいて説明させていただきます。建設業許可の許可申請書などの閲覧についてです。建設業の許可ですが、現在、国交大臣の許可と知事の許可の2種類あります。建設業法においては、建設業者の施工能力、実績、経営内容に関する情報を広く提供するということで、建設工事の注文者や下請による適切な建設業者の選定の利便に供するためということで、大臣、都道府県知事が許可申請書等の書類を公衆の閲覧に供しなければならないとされています。下に条文をつけております。公衆の閲覧に供する閲覧所を設けなければならないとしております。

閲覧の実態ですが、各地方整備局と都道府県庁での閲覧を実施しています。事前申請は不要としています。閲覧の際は閲覧簿に氏名等の記入を求めています。

実績ですが、大臣許可については、延べですが、各地方整備局で年間約6,500人程度の閲覧があるという状況です。そして、約2万件程度の書類が閲覧されています。

閲覧者の約9割は企業でして、特徴としては、帝国データバンクなどの信用調査会社が建設業者のデータ収集を目的に来訪されているということが大半です。

現状のPHASEですが、法令上、役所などへ訪問して閲覧することを求めていますが、画面上での閲覧も許容しておりまして、PHASE2の類型4の①に該当すると考えています。次のページです。

現在、そして、今後の取組ですが、現在、建設業の許可申請を電子化、電子申請ができるようにということと、書類の閲覧の電子化に向けた検討・調整を進めていまして、来年1月から実装・運用を開始する予定です。最終的にこれによってPHASE3の類型4への移行を目指して取り組んでいるところです。

現状ですが、建設業許可の申請や、経営事項審査も別途ありますが、この申請も書類のみの申請となっています。申請の準備、審査が双方にとって大きな負担ということで、これまでの政府のいろいろな方針の中でもオンライン化を実現することが定まっており、今、それに向けて取り組んでいるところです。

下のほうに書いていますが、令和5年1月から電子申請システムの運用を開始するということ。電子申請が行われたものは、電子閲覧を可能という形にしていきたいと思っています。

それから、大臣許可業者、知事許可業者を問わず、全ての建設業者にとって電子申請が可能となるよう、国と都道府県で統一のシステムを運用していきたいと思っておりまして、現在、都道府県と調整を鋭意進めているところです。

機能ですが、下にあるように、例えば、納税証明書の提出を不要とするとか、法人登記に関する書類も、これまで紙で提出いただいていましたが、国税庁とか、法務省とのバックヤード連携によって、行政の中で確認するということをできるようにしたり、既に提出した情報のプレプリント機能、エラー表示機能などを実装して、行政庁、それから、申請者にとっても負担の軽減が最大限図れるようにしていきたいと思っています。

最後のページです。建設業の許可ですが、今、許可業者さんが全国で大体47万社ほどあります。大臣許可の対象となっているのは1万社程度でして、圧倒的大多数が知事許可となっています。そのため、このスライドにも書いておりますが、都道府県と建設業許可・経営事項審査電子申請システム運営協議会を設置して、都道府県も同じシステムで同じように、なるべく同じタイミングで運用していただけるように、今、話し合いを進めているところです。私からは以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。増島構成員、よろしくお願いします。

増島構成員: 今後、まさに建設関連の許可をリモート化するというのは、政府が当初から掲げていたものでしたので、積極的に取り組まれていることが分かり、とてもよかったと思います。

2点教えていただきたいのですが、まず1点は、申請を電子化するという話をしたときに、我々はデジタル庁との議論もよくやるのですが、絶対にやってはいけないのが、今、紙のものをPDFで出すというのは電子化と言わないという話がありまして、データベースを構築していくという発想でつくらないと駄目ですよねという話をしているのですが、この辺の電子化と言われているものが、その後、ちゃんと閲覧する人が整理されて見えるような形のもの、端的に言えばPDFで見られますという話ではない形で進めていますかというのが1点目です。

2点目に教えていただきたいのが、運営協議会という仕組みをこれからつくっていくという話でありましたが、元々の趣旨は、許可証などの書類を選定の利便に供するためということなので、国民がすごく簡単に見られるというところが本質なのだろうと理解しています。

その意味では、今、帝国データバンクさんとかが見に来ますという状態は、恐らく法律が想定している状態よりも、使い勝手が随分悪い状態になっているはずでして、グーグルでさっと検索すると、その内容が見えるのと同じぐらい簡単な状態で、事業者の状況とか、申請の状況が見られる状態になっていなければいけないと思うのですが、この運営協議会の議論の中では、ちゃんとそういう形で中身が進んでいくようになるかというのが教えていただきたいところでした。

というのも、事業者としては、こんなものをネットで見せたくないというマインドの方が強いかもしれなくて、なるべくアクセスしにくいようにシステムをつくろうと思えば、幾らでもできてしまうので、みんなに見せるのだという方向に全体の仕様を変えていかないと、これは使い勝手が相当悪いものになってしまい、やったふりみたいな話になってしまうので、こうならないような座組になっているかどうかという部分を教えていただけますでしょうか。以上です。

国土交通省不動産・建設経済局: ありがとうございます。
今、増島構成員からご質問いただいた2点ですが、目指しております電子化は、システムの構築をして、試運転をしてから来年1月に実装と考えていますが、PDFとかではなく、システムをきちんと構築し、データベースにたまっていく形になります。

申請者は、前回打ち込んだものが自動的にそこに出てきたり、齟齬があるとエラー表示が出たりというようなことで、使いやすい形のシステムになるように今検討しています。

2点目の運営協議会ですが、今まさに、さらに追加で実装するような機能はないかということを、予算との兼ね合いもありますので、今、優先順位をつけて整備ができるように都道府県と検討しています。

閲覧を希望する方が使いにくくならないようにということは、まだ閲覧のところまで細かな仕様を固めているわけではないですが、よくよく留意してやっていきます。

閲覧に供する書類自体、もう法令で決まっていますので、建設会社の方でそれは見せたくないと言っても、必ず閲覧に供するものなので、基本的にはアクセスしやすいよう、手間暇なく見られるようにということでやっていきたいと思います。

実は今、許可の方はまだ紙ベースですが、ニーズがあるということで、監督処分を受けたような建設会社の情報については、既にインターネットで一般の方が見られるようにしています。不良業者と契約するのを避けるためということですが、そういうことも行政のほうで自主的にこれまでやってきていますので、今回の許可情報の電子化についても、使い勝手の良い形でしっかり取り組んでまいります。以上です。

増島構成員: ありがとうございます。まさにAPIを切っておいていただくと、勝手に民間の人たちがそこにアクセスして、世の中の人に見やすいサービスを勝手につくって、課金するみたいなことを多分してくると思うので、全体がそんな流れになると、官民の役割分担という意味でもとてもいいのかなと感じた次第です。どうもありがとうございました。

事務局(大澤): 安念副座長、よろしくお願いします。

安念副座長: ありがとうございました。ただいまのご説明で、非常に野心的かつ包括的なシステムを構築なさるということで、非常に感じ入った次第です。1つ伺いたいことは、この業界は昔から非常に零細な事業者さんの多いところで、さすがに今時、パソコンの1台もない会社はあるまいとは思うのですが、仮にこの申請というのがもう紙ベースは許さないのだという趣旨であれば、何かサポートのようなことをしなければならないようなこともあるかもしれない。その点は、当局としてどのようにお考えですか。

国土交通省不動産・建設経済局: まさにご指摘のとおり、圧倒的に中小です。99.5%は中小でして、今、高齢化が進んでいることもあり、アナログな方がかなり多い実情があります。

あと、建設業の許可自体が5年の更新制になっているので、今度の1月からこの電子申請をスタートしたとしても、仮に全ての会社さんが電子申請をしたとしても、入れ替わるまでに5年ぐらいかかってしまうということもあって、まず、私どもの方では、電子申請を始めたということと、あと、それがこれまでの紙に比べてどれだけ便利になっているかをしっかりと周知していくことが大事かと思っています。

パソコンとかでやるのも、食わず嫌いのような方も小さな会社さんの中にはいらっしゃると伺っていますので、しっかりとメリットを説明して、それを使っていっていただくということを考えております。

あと、具体的な支援ですが、相談窓口ですとか、そういったものは整備局とか、各県庁さんにも置いていただきたいと思っていますし、あと、機器等の財政的な支援は、ちょっとまだ検討できていない状態なのですが、せっかく良いものをつくろうと思っておりますので、なるべく多くの方に使っていただけるように取り組んでいきたいと思っております。

安念副座長: ありがとうございました。申請は当面は紙ベースでも認めるということですか。それとも、来年からは電子申請しか認めないということですか。どちらでしょうか。

国土交通省不動産・建設経済局: 両方並存という形を考えております。これまでの調査の結果なのですが、すぐに電子申請だけということは、恐らく対応できない業者さんが相当数あるのではないかと思っていまして、なるべく早く電子申請に移行していきたいと思っているのですが、当面は両方の申請を可能とする形で、今、都道府県と話を進めているところです。

事務局(大澤): 菅原構成員、よろしくお願いします。

菅原構成員: デジタル化を前向きに捉えて頂きありがとうございます。まず、閲覧簿に氏名の記入を求めている理由は何でしょうか。ウェブ閲覧の時も、そこの中身は変えずにデジタル化していくことが前提だと思うのですが、その意味合いと、併せて、工事経歴書や財務諸表などは直近のものを載せるイメージなのか、これらは現在の紙ベースでも毎年更新されているか。

例えば、建設業許可というのは5年に1回の更新だと思いますが、なぜ5年なのか。また、ここに書いてあるように、建設業者の能力を広く提供し、注文者や下請業者の方々の選定に役立てるという目的に供するのであれば、財務諸表や工事経歴書が古ければ、そもそもウェブで閲覧可能にする意味もないと思います。こうした機会、デジタル化に伴い、そもそもの中身の見直しが必要ではないかと。
中身の見直しがあってこそ、本来の業法での効果がより高まるのではないでしょうか。よろしくお願いします。

国土交通省不動産・建設経済局: 今、菅原構成員から大変重要なご指摘をいただいたと思います。現状、氏名を記載していただいている理由というのは、今、パソコンの画面で閲覧をしてもらっているところもあるのですけれども、やはり書類で閲覧をしてもらっているところもありまして、言ってしまえば紛失防止です。

どなたが来て閲覧をされて、会社のデータが抜き取られたりすることのないようにというか、実物をご覧になっていただいている関係で、今、氏名について記載していただいてますが、今後、インターネットで閲覧できるようになれば、こういったことも不要になるので、そのときは氏名等を一々打ち込むことは求めないような形を今は考えています。

あと、閲覧に供する情報ですが、これは建設業法の中で変更届を毎年提出することになっており、財務諸表や工事経歴についても、毎年、最新のものが建設会社から許可行政庁に提出されますので、常にリバイスといいますか、アップデートしたものが閲覧に供されるような仕組みになっております。以上です。

事務局(大澤): それでは、落合構成員、よろしくお願いします。

落合構成員: 非常に前向きに取組を進めていただいていると感じました。1つお伺いしたいのが、いま示されている中に、建設業法13条の中で、公衆の閲覧に供する閲覧所を設けなければならないと書いてあります。デジタル化を進めた場合、自宅からでも、どこからでも見られるような状況になることからすると、むしろ閲覧所という具体的な場所を求めず、デジタルで提供しているだけで良いという形にしていくことが考えられると思いますが、この辺りは、どのようなご予定でしょうか。法改正などもあり得るのかなと思うのですが。

国土交通省不動産・建設経済局: 現状、まだしばらくは紙での閲覧が残ると思っていまして、電子申請されたものについて、順次、電子的な閲覧に変えていきたいと思ってますので、今すぐに法改正をしないと困るかというと、閲覧所での紙での閲覧と、電子的な閲覧も可能と思っているのですが、ただ、いずれ電子申請がある程度のところに来て、もう電子的な閲覧ということになりますと、閲覧所を置かなければならないという規定はそぐわない形になりますので、そのときは改正が必要と思っています。閲覧所を設けるのではなく、閲覧に供するという、そこを定めて、閲覧の供し方として電子的な形を目指していくのかなと思っています。

落合構成員: 閲覧に供することの意味である情報開示は必要だと思いますし、選択的となることもあると思っています。

ただ、デジタルになった時に、閲覧所も置いてデジタルもとなると、対応が二重になってしまって、情報提供を行うという社会的要請には応えている一方で、業務が二重になってしまう可能性もあると思います。その部分については、システムの整備と併せて、よいタイミングで切り替えていただくよう、今後も事務局と協議していただければと思います。ありがとうございます。

事務局(大澤): 2つ目のセッションはこちらで終了といたします。
本日の議論を踏まえて、作業部会として追加の検討の依頼の連絡を差し上げる可能性もあります。その際は、ご対応方、よろしくお願いします。それでは、ここで一旦、安念副座長に議事進行をお返しさせていただきます。安念先生、お願いします。

安念副座長: 後半の議事を始めます。前半同様、ヒアリングの議事進行は大澤参事官にお願いします。

事務局(大澤): 後半最初のセッションは、書面の掲示についてご議論をいただく予定です。最初に、国土交通省から掲示義務に関する先行事例をご紹介いただいた上で、その後、質疑応答を行い、そして、その後で観光庁からご説明、質疑応答と、このような運びにさせていただきたいと思います。それでは、まず、先ほどのセッションからの引き続きということになりますが、国交省の鎌原課長から、先行事例についてご説明をお願いします。

国土交通省不動産・建設経済局: 改めて、国交省の鎌原です。よろしくお願いします。私どもの方で、今年1月にいわゆる解釈・運用の明確化ということをしています。「建設業許可標識等の掲示におけるデジタルサイネージの活用について」ということで、資料を共有させていただいております。

現状、建設業法の中で、建設業の許可票とか施工体系図、どういう施工体制でここの現場の工事をしているかを、見やすい場所に掲示することを義務として求めています。

通常、工事現場というのは仮設の囲いがあって、中でどういうことをやっているかなかなか外から見えにくい。でも、音がひどいとか、粉じんが舞っているとか、どこに連絡すれば良いか、どこの会社がこれを責任を持ってやっているかが外からも見えるようにということです。

従来は基本的に紙で行われていました。先生方もご覧になったことがあるかと思いますが、工事現場の壁に建設業の許可票が壁に貼りつけられている、あれです。それを今回、一定の要件を満たす場合は、デジタルサイネージによる掲示も可能ということを明確化しました。

これにより、写真をつけていますが、従来はこういった形で、これは施工体系図の掲示ですが、雨に濡れても大丈夫なようにビニールで覆ったり、ラミネート加工したり、あるいはたくさんの会社がいる場合は、たくさんの紙が必要になるということで、非常に手間暇がかかっていたものですが、それを右側のように、デジタルサイネージで掲示することでも法律上の義務は果たしているということを業界に対して周知しました。

下に求める要件を書いていますが、あくまでこれは公衆の方が必要なときにちゃんと情報が得られるようにということですので、その内容を確認することが可能な画面サイズや文字サイズ・デザインであることや、建設業法で求めている許可票の情報、施工体系の情報というのが、このデジタルサイネージの中で確認できますということが明記されていることを条件として求めています。

タッチパネル、スライドショーのいずれでも可能でして、建設業法のものだけでなく、私どもが所管している類似のもので、建設リサイクル法の解体工事業者の登録標識とか、浄化槽の登録標識もありますので、同様の措置を講じています。基本的には業界の方々からも喜ばれているものと認識しています。以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。ご意見、ご質問がございましたら、お願いいたします。落合構成員、お願いします。

落合構成員: こちらも進めていただいており、ありがとうございます。今回のこのデジタルサイネージですが、現場で見ていただくこともできるようにしているということで対応されていると思います。例えば、インターネットで見やすいように掲示していただくこともあり得るのかなと思うのですが、その辺りを、今後、考えていかれることはありますでしょうか。

国土交通省不動産・建設経済局: 基本的には現場でもすぐに見られるように、近隣の住民の方などが見られるようにということで、現場での掲示は引き続き求めていきたいとは思っていますが、ご指摘のインターネットについては、例えば、今回のデジタルサイネージで可能というものでも、いろいろと業界のヒアリングなども行ったところ、特に夜間の住宅地では、デジタルサイネージが光り続けていたり、スライドが変わりまくっていたりというのが、住環境との関係でなかなか近隣の方からご理解を得られないこともあるということを聞いています。

そのときは、静ひつな環境を維持するということで、夜間は現場でのデジタルサイネージを止めて、ただ、インターネットで同じ情報は見られますということを現場に書いておいてくださいということで、今、業界には通知しているところです。そういう意味で、インターネットで同じ情報が見られるというような取組を始めているところです。

落合構成員: もちろん見に行ったときにということもあるのでしょうが、近隣の方ですと、ご自宅でインターネットで見ることも比較的容易というか、もう既にインターネットとか携帯の普及率はかなり高まってきております。場合によってはインターネットだけというのも実験してみていただいたりとか、そういうことも踏まえたほうが、全体としてはコストの合理化にもなりますし、その場に行かないと見られないより、遠くからも見られるほうが情報開示としてもより充実していると思います。そういったこともまたご検討いただければと思います。ありがとうございます。

事務局(大澤): ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。国交省の鎌原課長におかれては、改めてありがとうございます。

国土交通省不動産・建設経済局: ありがとうございました。

事務局(大澤): そうしましたら、観光庁観光産業課の柿沼課長からご発表をお願いします。

観光庁: よろしくお願いします。観光庁観光産業課長の柿沼です。
本日お示しいただいたのは、国際観光ホテル整備法における料金及び宿泊約款の公示の仕方というところです。

まず、法律の趣旨ですが、昭和20年代にできた非常に古い法律でして、当時は戦後間もなくですので、まだ日本にそんなに外国人が観光で来るということはなく、当時は在日米軍とかが多かったのですけれども、そうした時代において、日本としてこれから外国人の方が宿泊できる施設をどれだけ増やしていくかという趣旨でできた法律です。

結論から申し上げますと、今、料金とか宿泊約款の公示義務はあるのですが、現在でもこういったデジタル対応しているものを省くものではないので、今回、デジタル庁でやられている、全体でデジタル化を進めていくというところにぜひ乗せていきたいなと思っていて、ただ、やはり一部の事業者はデジタル対応できていないので、そういったところの支援をどうしていくかが鍵になると思っています。

1ページですが、私が申し上げたように、この法律の趣旨は、外国人旅行者に対する接遇を充実したホテル・旅館を増やしていこうということです。

右下ですが、登録施設数を見ていただきますと、実はそんなに多くのホテル・旅館が登録していただいているわけではないと、そんな現状です。

次のページですが、2ポツ目、今回、そういったホテル整備法の中の登録ホテル・旅館が定める料金とか、宿泊約款をなぜ公示しなければならないのかを申し上げますと、それは2点に尽きます。
1つが消費者保護、2つ目が、消費者保護にも絡みますが、トラブルを未然に防止するため、以上の2点の理由から、3行目にありますように、玄関またはフロント、客室に料金・宿泊約款を備え置いて、掲示しなければならないと定められているところです。

次のページですが、こちらが具体的な根拠になります。根拠としては、まず、法律で届出義務があり、同条第3項において、日本語と外国語でちゃんと記載しなさい。そして、定められた場所に備え置いて掲示しなければいけないと定めています。それが具体的に省令で定められており、玄関またはフロント、そして、客室で料金や宿泊約款をしっかり掲示しなければならないとなっています。

下段に参りまして、制度の現状を調べてみますと、登録ホテル・旅館の大多数が冊子とか看板等を使用しているのですけれども、法令上、デジタル技術を活用した手段を用いることを排除しているわけではないので、2ポツ目に書いてありますように、客室にあるテレビの画面で掲示するといった措置をしているところもあり、我々としては、それもちゃんと客室において公示を行っているものと取り扱わせていただいているところです。

ただ、デジタル技術を活用した公示のためには、一定のシステムを導入する必要があり、そうした対応をやっていただいている施設は一部にとどまっているという現状です。

次のページです。今回のPHASEのどこに当てはまるかということですが、そちらはデジタル原則に適合する手段を可とすると。私がご説明したとおりです。この理由も、実際、既に運用上、デジタル原則に適合する手段も取られていますし、テレビ画面とか、そういったところでやっている例も存在します。

次のページ、今後進めていく上での論点ですが、法律上はデジタル化をしていただいたら良いと思っているのですけれども、やはり一定のシステムが必要だということで、まず、1ポツ目の線を引いてあるところですが、大多数の事業者はこういったことをまだやられていないので、新たにデジタル対応するための設備やシステムを導入するための負担が生じるというのが一つの課題かと思います。

また、そもそもデジタルデバイス環境がない。これは両面ありますが、機器がないのと同様に、例えば、島嶼部とかに行くと、Wi-Fi環境がないところもありますので、そうしたところに対する対応も課題になってくると思います。

今後の進め方の方針ですが、デジタル対応していない施設や利用者に配慮した上で、我々としてはぜひデジタル完結を基本とする制度改正を検討していきたいと考えています。以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。増島構成員、お願いいたします。

増島構成員: なかなか古い法律があるということで、いろいろ皆様も対応にご配慮されているのだなと理解しました。

1点、我々、デジタルという観点で物事を考えたときに、場所の概念というのがどのぐらい重要なのかという話をいつもさせていただいています。掲示なので、もともと紙でやる予定だったので、どこに掲示するのですかという問いが来ていたということだと思うのですけれども、デジタル、インターネットになると、どこどこにというのがあまり意味がなくなっている。そこがデジタルの本質の重要な一つなのではないかという感じがしています。

QRコードが置いてあり、端末を当てるとインターネットで見られますという状態でもいいよと言ってあげたらいいのではないか。施設で一々iPadを用意してくださいみたいな話をすると、お金がかかりますと言われてしまうのは明らかなので、そこをもっとアクセスを良くするという意味で、まさにQRコードなどを置いて、見られますよという状態でも良いと言ってあげたら、もっと進む感じがします。

もちろん、ネットがない人用にフロントに1個置いてくださいぐらいのことはあるのかもしれないですが、この辺りはどのように検討されますか。

観光庁: 本当に今おっしゃった点は非常に大事な論点だと思いますが、この法律の趣旨として消費者保護ということを最初に申し上げました。今の消費者がホテル・旅館にチェックインしてから、実際にお部屋で過ごしていただく。その動線があると思いますが、そういった流れも、このコロナ禍で非接触型チェックインとか、そういったものも最近は流行っていますし、例えば、事前にホテルに来る前からチェックインを済ませて、直接お部屋に行かれるという場合も増えていると聞きます。

そういった実態も踏まえながら、法律の趣旨である消費者保護、トラブルを未然に防止することとどのように折り合いをつけていくかをしっかり考えていきたいと思います。

事務局(大澤): 安念副座長、お願いします。

安念副座長: 私の全くの無知に基づくと思うのですが、私は、国際観光ホテルは本当の一流どころと思っていたのです。当然、言われなくても、テレビなりでデジタル対応している業者さんなのではないかなと思っていました。

仮にそうだとすると、デジタル化の問題は、高級ホテルほど宿泊される高齢者が多いですから、宿泊者がデジタルに慣れていなくて、うまく利用できない方にむしろ問題があるのではないかと思い込んでいたのですが、現状は必ずしもそういうことではないのでしょうか。

観光庁: まず、大前提のところで、施設の基準というのがあるのですが、左側の箱書きのところに書いてありますが、ホテルの主な基準というところで、一定水準以上の客室を持っているということで基準客室というものが書いてあります。15室以上とか、いろいろ書いてありますけれども、簡単にいうと、超高級ホテルだけではなくて、実はいろいろなホテルの方が登録されているということなので、今回、こんな問題が起きていると。

今、先生がおっしゃっていただいたように、多分、両方問題がありまして、そもそもホテル側がそういったデジタルに対応できない。いわゆるパパママ経営者的なところもあるというのと同様に、やはりお客様も、これは多分、我々の分野だけではない共通の課題だと思いますけれども、高齢者を中心としてデジタル対応ができない。この両面があると思っています。

安念副座長: ありがとうございました。

事務局(大澤): 稲谷構成員、お願いします。

稲谷構成員: 外国人の先生とかをお招きするときにも、割と英語のサイトとか宿泊サイト、Booking.comとかトリバゴとかを使って予約してこられる方が結構いると思うのです。

そうすると、最初の増島先生のあまり場所は関係ないという話とも関係するのかもしれませんが、例えば、そういったサイトで予約する際に、予約の確認メールと一緒にここで規定されているものが送られてくるみたいな。もちろん民間事業者とどう協力するかという問題は起きるわけですが、非接触式でチェックインされるというお話もされていたと思いますので、フロントに行かずにそのままということも今後進んでくることを考えると、そういうやり方も、消費者保護とか利用される方への周知という観点からは一つ選択肢に入る可能性はあるかと思いました。そういった点は、どのようにお考えでしょうか。

観光庁: おっしゃっていただいたとおりでして、消費者保護の観点と、そうした今後の予約のやり方も変わってくるということを、うまく折り合いをつけたいなと思っていいます。

今おっしゃっていただいたように、OTAとか、そういった予約が増えているとともに、やはり旅館さんとかホテルさんに聞いてみると、自社でのホームページからの予約を増やしたいという動きもあるので、そのようなときも、当然、今おっしゃっていただいたように、自社からでもメールで送ればいいという話もあると思いますので、じっくり実態を踏まえながら、我々も時代に合った対応をしていきたいと思っています。

事務局(大澤): 落合構成員、お願いします。

落合構成員: 前向きに進めていただいており、ありがとうございます。今回議論させていただいている内容で一番大事な点は、必ず見てもらう機会をつくったことを担保する点が最大のポイントなのかなと思います。そこはOTA経由なのか、ホテルの自社サイトから直接なのかということにかかわらずということだと思っています。

サイトの場合には、そちら経由で約款を送れるようにしておいて、ホテルのほうは、予約してもらうときには必ず送るとか、そういう方法で必ずそのプロセスを入れることによって、例えば、少なくともウェブから流入する方々については、必ず皆さんに見てもらっているという状況をつくることもできると考えられます。

一方、ウェブではない方法で予約を取ることがあるのであれば、そういった人に対しては、恐らく接触なしでチェックインされるという感じにはならないと思います。そういう方は、それこそ入り口にタブレットや機器を備え付けておいて、例えば、フロントの方が見ますかというような声をかけて、必要だったらここで見られますよとすることがあると思います。要らないですと言われれば、部屋にあって見ていないのと同じだと思いますので、そういう方法をとれば、今、部屋に置いておいて、見ているか、見ていないか分からないというよりは、少なくとも具体的に見る機会を確保したという意味で、今よりプラスになる部分もあると思います。

こういった幾つか流入経路もあると思うのですけれども、具体的に機会を保証するということは、必ずしも紙でなくてもできると思います。デジタルデバイドに対応するというのは、フロントの人が助けることでフォローできるのではないかと考えます。そういった方法も踏まえて、また、デジタルにすることが義務と言うわけではないと思いますので、これはできる事業者にまずやっていってもらうということだと思います。そういった視点も考えて、選択的には、そういうことができる事業者は実施してもらえるように柔軟に解釈できるようにしていただくことはできないでしょうか。ぜひこういった視点でご検討いただけると良いと思っております。

観光庁: 大変貴重なご示唆をありがとうございます。本当に皆様がおっしゃるように、多分、この法律ができた時代、昭和20年代、そこからちゃんとしっかり見直していないという我々行政の責もあるとは思うのですが、その時代は当然ネットもないし、旅行会社経由の予約もまだあまりなかったのかなとか、多分、昔だったら、飛び込みで入るとか、電話とか、そういったものが多かった時代の残っている部分もあると思いますので、今、先生方がおっしゃったように、今の時代に合わせたやり方で、その上でちゃんと消費者保護を図る。その観点で進めたいと思います。

我々も、当然、デジタル化、特にDXのトランスフォーメーションが宿泊産業の生産性向上のためにも必要不可欠だと考えていますので、しっかり前向きに取り組んでいきたいと思います。ありがとうございます。

落合構成員: よろしくお願いいたします。

事務局(大澤): そのほか、ご質問等はありますか。よろしければ、このセッションはここで終了させていただきます。本日の議論を踏まえて、作業部会として追加の検討依頼の連絡を差し上げる可能性もございますので、その場合には、対応方、どうぞよろしくお願いいたします。続いて、次のセッションに移ります。次のセッションは公示送達制度のデジタル化です。このセッションでは、最初に法務省から先行事例をご紹介いただき、続いて、総務省から行政手続法における公示送達制度についてご説明いただいた上で、最後にまとめて質疑応答という運びにさせていただきます。それでは、まずは、座長であります小林副大臣から、本日のヒアリングの趣旨につきましてご発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

小林デジタル副大臣: 今日は、法務省の皆さん、総務省の皆さん、ご協力ありがとうございます。
各省、この案件以外でも事務局からいろいろ調整をさせていただいていますが、時代が進む中で、昔つくった法律がどうしても現代の社会情勢や技術の進展に合わなくなってきている。もしくは、当時よりはもっと合理化できるという状況になっていると思います。

この機会に我々は一括法という形で出していきたいと思っていますので、なるべく皆さんの負担を少なくしながら、現代に合った法制度に一緒に変えていきたいという思いでこの場を用意しています。
クローズドで行っているのは、本音でいろいろ課題を教えていただきながら、どうしたら一緒に乗り越えられるのかということを考えていきたいと思っていますので、ぜひ様々な課題を共有いただきつつ、ノウハウも共有いただけたらと思っていますので、よろしくお願いします。

事務局(大澤): ありがとうございました。それでは、法務省民事局の内野民事法制管理官から、先行事例のご説明をお願いします。

法務省民事局: ただいまご紹介にあずかりました、法務省民事局で民事法制管理官をしております内野です。本日は、現在、国会に提出させていただいております民事訴訟法等の一部を改正する法律案のうち、公示送達に関する部分についてご説明させていただきます。

ご説明に当たり「公示送達に関する改正案の概要」と題する資料を用意しました。
まず、ここの「民事訴訟手続のIT化に関する検討の経緯」という箇所です。一連のこのような時系列を経ていますが、令和4年3月8日に関連の法案を閣議決定させていただいて、現在、国会提出中という状況です。したがって、本日ご説明の内容は、この法律案の内容のうちの公示送達に関する部分について、ご紹介申し上げるという立てつけになります。

次に、まず、公示送達に関する現行法の規律の確認からさせていただきます。民事訴訟法においては、裁判の当事者に対して裁判書類を送達する、渡すということが必要です。まさにこれは手続保障のためにされていることですけれども、当事者の所在が分からない場合には送達できないということになってしまいますと、裁判手続を行っていけないということになってしまいますので、この点について、公示送達という方法をとることができることとなっております。

この枠囲みに書かせていただいておりますけれども、具体的には、裁判所が書類を保管しまして、いつでも当事者に対してこれを交付する旨を裁判所の掲示板に掲示する方法で行うとされております。この具体的な掲示内容というのは、裁判所の運用に委ねられているのが現状ですが、実務上、事件番号、事件名、当事者の氏名、送達する書類の一覧、こういったものが掲示されているという状況にあります。

ですが、このような方法によると、結局、裁判所の掲示場まで実際に行かないと、掲示を確認できないこととなってしまいます。そのため、当事者の利便性を向上するとともに、公示送達を実質化するという観点から、インターネットを利用した方法の導入が検討されてきました。

一方、インターネットによる方法だけに一本化してしまうと、インターネットの利用になじみのない方を想定しますと、観念的に公示送達に気づく機会がないということになってしまうということがあります。そのため、今までどおり裁判所に行けば見られるという環境については、維持する必要があると考えられたところです。

これらの考慮を踏まえて、この改正法案では、公示送達の方法について、インターネット上の公示と裁判所における公示の双方をとることとしています。

具体的な内容は、お示しの「改正法案の内容」というところですが、まず、①としていますが、最高裁判所規則で定める方法、これは具体的にはホームページへの掲載を想定しておりますけれども、こういったところで公示する。具体的な内容は、今後、最高裁において検討されることになっております。

これをやるとともに、②としまして、現行法と同様の掲示、又は裁判所内に端末を用意しまして、来た方はそこで端末で見られるという措置をとるという形になっています。

なお、法制審議会で出てきた意見の中では、こういったインターネットを活用した形での公示送達の構想について、導入には賛成を示しつつも、事実上の問題としまして、インターネット上でこういった情報を公示するという点を捉えまして、ホームページへの掲載に当たっては、掲載する情報を先ほど申し上げましたような運用でされているよりも絞るべきであるという意見も出たところです。

一方で、掲載する情報を限定しすぎますと、例えば、ホームページを見ても事件が分からない、実際に公示送達に気づかないということになりかねませんので、この辺りのバランスが難しいところだと考えております。
したがって、どのような情報を公示するかということについては、まさに手続保障ということを念頭に置きつつ、裁判所の運用に委ねられているというところがありまして、この点については、引き続きの検討課題ということになろうかなと考えております。冒頭のご説明ですが、以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。続いて、総務省行政管理局調査法制課の水野課長からご発表をお願いします。

総務省行政管理局: 総務省行政管理局で調査法制課長をしております水野です。私からは「行政手続法における聴聞の公示送達」についてご説明します。

今回、オンライン実施が望ましいと考えられるとのご指摘をいただいていますが、まず結論から申し上げますと、私どもとしても、インターネットによる掲示を進めていきたいと考えており、その実現に当たっての論点について、鋭意検討を開始したところです。

以下、簡潔に行政手続法における公示送達をご説明しますと、資料1ページですが、行政手続法第15条3項において規定されているというところです。

2ページ目ですが、行政庁は、許認可の取消しなどの不利益処分を行おうとする場合には、不利益処分の名宛て人となるべき者に対して、聴聞などにより防御権を行使する機会を付与する必要があるため、名宛て人となるべき方の所在が判明しない場合の方法として、公示事項を事務所の掲示板に掲示をする方法、いわゆる公示送達としたものです。

公示される事項ですが、その方の氏名、聴聞の期日・場所、聴聞に関する事務を所掌する組織の名称・所在地、また、行政庁がこれらの所定の書面をいつでもその方に交付をする旨を事務所の掲示板に掲示することによって、2週間を経過したときに聴聞の通知が到達したものとみなし、不利益処分の手続を進めることが可能となるというものです。

3ページ、現状のPHASEですが、法令等により書面による掲示が義務づけられているということで、PHASE1-①に該当するものと認識していますが、これは私どもとしても、PHASEをさらに進めていきたいと検討しているところです。

また、デジタル庁所管のいわゆるデジタル手続法がございまして、そのコンメンタールを拝見したところ、書面で公示が行われた事項につきまして、各府省のホームページに掲載することによって幅広く情報提供を行うことは、改めて法整備を行うことなく実施することが可能と書いてあり、そのように整理されているものと承知をしているところですが、もちろん、デジタル原則全体の中で統一的な方針が示されるのであれば、私どもとしましても、当然、それは必要だということになろうかと思っています。

4ページです。論点としては、行政手続法における公示送達については、国の行政庁が行う不利益処分だけではありませんで、地方公共団体が法律などに基づき行う不利益処分も対象となるものでして、住民にとって身近な様々な手続があり得るところです。

このため、インターネットにおいて不利益処分の名宛て人となるべき方の氏名が掲示されると、それ自体、センシティブな情報となる可能性も考えられるので、掲載の範囲については、個人の権利利益の保護のために行政庁に裁量の余地を残しておくべきではないかといった論点が考えられるところです。

これに関連して、官報に破産者の方の個人情報が掲載されて、公表されるということがありますが、これを自分のウェブサイトに違法に掲載した事業者がいらっしゃいまして、その方に対して、個人情報保護委員会が個人情報保護法に基づきまして、そのウェブサイトの停止などの命令を行った事案があると承知しているところです。

まず、こうした論点は、各府省の現状を踏まえつつ、今後、当局から各府省に対して考え方を示すことを念頭に検討を進めてまいりたいと考えています。以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。ただいまの2つの発表について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。根本構成員、よろしくお願いします。

根本構成員: どうしても公示送達のような手続を取らなければいけないという事例が発生することは重々理解するのですが、この公示送達によって、実際に現れた方というのはどれぐらいおられるのでしょうか。それが1点目。

2点目ですが、現在の公示送達のような形で公開している情報をネット上で行うことについて、法務省も総務省も躊躇があるようなご説明でした。その躊躇の要因がよく理解できない。既に公開されているものを公開することについて、なぜ躊躇しなければいけないのかよく分かりません。

それから、総務省が最後におっしゃった個人情報保護云々については、取扱いのパスが明らかに異なる事案であったと理解をしております。行政庁が行う個人情報の取扱いとそれを転記する形のものとは明らかに取扱いが異なるというのが私の理解でして、それを事例として挙げるのは、今回の検討の過程ではよろしくないのではないかという印象を持ちました。以上です。

事務局(大澤): 法務省様、総務省様の順番でお願いします。

法務省民事局: 法務省です。ご指摘ありがとうございます。まず、現行の公示送達でどのぐらい人が現れているのかという部分ですけれども、この辺りは、残念ながら、これぐらい年間に現れていますという部分の数字は持ち合わせていないという状況です。訴訟にどのような経緯でもって現れるかという部分については、様々な状況があり得るということで、裁判所におかれても、こういった部分の数字は持っていないと考えられるところです。

ですが、これまでの議論では、公示送達を見たのだけれども、これはどういうことなのだということで窓口に現れたといったような事例聞いたことはございますので、全く公示送達というものが観念的な存在になってしまっていて、実際上に意味がないものというような評価は現状ではなかなかしにくいところなのかなと考えています。

次に、現行でも公示されている内容をインターネットだとなぜ躊躇するのか。これは法制審議会でも、こういった観点の下、なぜ駄目なのだといったところは、議場の雰囲気としては表れている部分があろうかと今感じているところです。

ただ、インターネットが、まさに事実上の問題として、現在よりも実質的に掲示されている内容を広く知らしめ得るという実際上の力といいますか、インターネットの力といった部分について率直に捉えたところ、これまでは実際上はそんなに広く見られていないのではないかという現行との比較の問題で、プライバシー性との関係で多少の躊躇を覚えるといったような意見が法制審議会の中では出されたところでございます。

ですが、ご指摘のとおり、これまで公示されていた内容ですが、内容が内容ですから、今申し上げたようなこれまでの議論の経緯の中で現れた指摘との関係で、こういったものを果たしてどの程度絞るべきか。先ほど現行法で公示されている情報の内容をご紹介申し上げましたが、これを基礎にどの程度限定し得るか、しなくても良いのかというのが、これからまさにバランスの問題として議論されていくところなのかなと感じております。ご説明は以上です。

総務省行政管理局: 総務省行政管理局です。先ほどの根本構成員からのお話について、ご回答させていただきます。まず、行政手続法に基づく公示送達がどれだけ行われているのかということですが、こちらは、私どもとしても正確な数字は把握できていないところですが、まず、許認可などを取り消す場合に聴聞の対象となるということで、最初に許認可を打っているということで、その時点では所在が分かっていたということもあるので、実際にはそれほど使われていないのではないかと考えているところでして、私どもが各省なりに聞いてみたところ、それほど各省でも把握されていないというのが実情です。

ただ、こちらの手続については、行政庁が不利益処分を打つときに、最低限の防御の機会を与えるという、いわば手続保障的な観点で設けられているものでして、行政手続法上も行政庁の透明性の確保ですとか、適正性の確保ですとか、個人の権利利益を保護するということを目的としていますので、手続保障的にこのような公示送達の仕組みは必要ではないかと考えている次第です。

それから、ネット上で行うことに躊躇があるのではないかということですが、必ずしも躊躇があるというわけではありませんで、法律上、既に公示されることとなっていますので、このようなものについて、本人の所在が判明しない場合でありますので、仕方がないとも考えられるところでありますので、私どもとしては、インターネットの掲示は進めてまいりたいと考えています。

限界的な事例として、思わぬところで個人の権利利益を不当に侵害するようなセンシティブな情報になり得る場合があるのではないかというところはちょっと心配をしているところです。

それから、先ほどの破産者情報の個人情報保護との関係ですが、氏名を公示することは行政手続法に基づく行為ですので、ホームページに公表することも、私どもとしては、行政機関の所掌事務に基づく行為ですので、特段の問題はないと考えていますが、これらの情報を取得した側において、個人情報保護法違反の行為を誘発しかねない。そういった問題については、現に破産者情報で発生していますので、これを防ぐ手段が何か考えられるのではないかと思っておりまして、私どもも素人ですから、例えば、デジタル的にコピーができないようにするとか、そういった自律的な面でもデジタル庁にはご助言をいただきたいと考えているところです。

根本構成員: ありがとうございました。両省のお話は、感覚的には個人的によく分かる部分もありますが、一部どうしても公開したくない部分が心理的に残るのであれば、マイナポータル、あるいは法人向けのポータルのようなもので解決可能であろうと思います。

最後の総務省さんのコメントについては、そうした個人情報の不適正利用を防ぐために個人情報保護法があり、個人情報保護委員会があるのではないか、と申し上げたいと思います。総務省がカバーしなければいけないという法体系にはなっていないと理解しています。以上です。

事務局(大澤): 増島構成員、お願いします。

増島構成員: ありがとうございます。法務省さんに教えていただきたくて、我々、この掲示の問題というのは、現行法というのは、法律に「裁判所の掲示場に掲示し」と書いてあることによって、裁判所に行かないと見られない状態にできていますと。こう書いてあることによって、何か知る権利的なもの、もしくは適正手続的なものとプライバシーというのが、法律によってバランシングされているのであるという理解をされていらっしゃるのかどうなのかというところを教えていただきです。

先ほど経団連さんの話もありましたが、インターネットで開示するようにすると、我々はアーキテクチャーによる規制と言っていますが、アクセスを法律で制限することによってバランスをとっているのだとすると、それをウェブサイトに出すというと、そのバランシングのポイントが変わってくるという話になると思うので、多分、それがいいのかどうかという議論が審議会とかでなされるということだと思います。さきほど、こうしたものは事実上の問題と強調されていたのですが、これはむしろ法律上の権利調整の問題、まさに法令文言により知る権利なりとプライバシーなりを権利調整するという問題なのではないかと感じていましたので、そういう議論が審議会でなされていたかどうかというのを教えていただきたいというのが1つです。

もう一つ、総務省さんの部分に関しては、法令で開示ができるという話であれば、法令に基づく開示ということなので、個情法上は何の問題もないですよねという形になりそうに見えました。

一部センシティブなものがあるかもしれないという話に関しては、それは個情法上、要配慮個人情報というカテゴリーが存在して、これについて気をつけろと書いてあるわけでありまして、他方で法令による開示である場合には実は要配慮個人情報であっても開示できるという形で、プライバシーとのバランシングというのは、もう既に個情法によって図られているのではないかと思うのです。そこにさらに別の要素を独自に考慮する必要があるのでしょうか。

例えば、電気通信事業法とか、別の業法体系で何か別の義務を行政に課しましょうとか、そういうロジックがあるのであれば、そういうことを検討しなければいけないということはあるのですが、どうもこの公示送達の話というのは、そういうことではなさそうな気がしていたので。法令解釈の問題として教えていただきたいのですが、業法的にプラスをするとか、省として何か別の構成を考えるとか、そのような業的な観点を考慮をしなければいけない法律としてこの行政手続法というのをご覧いただいているのかどうかというところを教えていただけないしょうか。

法務省民事局: まず、法務省からでございます。掲示場に掲示するということ自体が、知る権利とのバランシングに基づいて考慮されているのかというご指摘でした。非常に核心的なご指摘だと思うのですが、手元に資料がありませんで、具体的に厳密なお答えができるか不安ではありますが、現行法の裁判所の掲示場に掲示するという方法は、古くは明治時代から採用された公示送達の方法ということです。

したがって、いわゆる手続保障として何をし得るかという観点から、裁判手続ですので、裁判所で掲示するという方法が取られたと外形的に理解するのが妥当なところではないかと感じておるところです。

したがって、例えば、訴状の公示送達の局面などを考えると、被告が訴訟が係属しているということを知るという観点からは、確かに知る権利との関係性はうかがえるところではありますが、掲示場に掲示すること自体、例えば、明治時代から一つのバランシングとして観念されていたかというと、それはかなり疑問があるのではないか。むしろ手続保障の在り方として、裁判手続ですので、裁判所の掲示場で掲示する方法しか観念されなかったので、これが採用されてきたというところなのではないかなと感じています。

増島構成員: なるほど。ありがとうございます。

事務局(大澤): 総務省様、お願いします。

総務省行政管理局: 個人情報保護法上、何か問題があるのではないかということですが、私どもとしては、むしろ法律上、手続法上の問題というよりは運用上の問題ではないかと考えているところでして、個人情報保護法との関係ですが、個人情報保護委員会の所掌かと思っていまして、考えられる論点として、私どもがこの場で提示させていただいたことでして、有識者の先生方のご意見も伺いたいという趣旨でご紹介したということです。

特に問題ないと、懸念には及ばないということでしたら、もちろん、私どもは、それに従いたいと考えています。

増島構成員: ありがとうございました。

事務局(大澤): 稲谷構成員、お願いします。

稲谷構成員: 私は手続法のデジタル化に大変関心を持っていますので、大変興味深く拝聴させていただいた次第です。

もう既に根本構成員とか増島構成員がおっしゃられたこととも重なっておりますし、恐らく法務省さんのご発表の方でもあったと思うのですが、手続保障を貫徹するというのが制度を考えていく上での基本的な原理になるかなと思います。つまり、一人一人に確実に手続を保障してあげる、しかも、可能な限り広く保障するというところがスタート地点にあるとすると、本人のプライバシーを保護するためにかえって手続が保障されない、今日のお話ですと、結局訴訟が提起されたことを本人が知らないままでした、というのは本末転倒になるのではないかと思います。そういう意味では、むしろ周知していくというのは、本来の公示という観点からは趣旨にかなう話ですので、進めていっていただくという話が、本来の筋かなと思いました。

それとは別に、恐らく破産者マップのような問題は、増島先生のお言葉にもありましたが、結果的にそうなっているだけという考え方もできるかもしれませんが、ある種既存の制度において、デフォルトでプライバシーと知る権利のバランシングが行われていて、そこをあえて崩すような話を、インターネットを悪用してやる人が出てくるという話なのだとすると、それはデフォルトのプライバシーの保護を侵害している、少なくとも既存のバランスをあえて破壊していることになりますので、それが社会問題を引き起こすというのであれば、それはそれで別途、規制の問題として考えていくというのが恐らく筋になるのであろうと思います。

もう一点は、これは根本構成員からもあった話ですが、長い目で見ると、やはり最終的にはマイナンバーとか、マイナポータルとか、法人IDみたいなものを工夫して、あなたに何かが起きていますよということを確実に知らせる方法に切り替えていくほうが、様々な問題を解決する上では良いのかなと思いました。
以上について、何かお考えがあれば、お答えをお聞かせ願えればと思います。

法務省民事局: ご指摘を拝聴させていただいたところで、特段考えがあるわけでもありませんが、インターネットを利用した公示送達の中で何を公示すべきかというのは、今後の検討課題ということになっておりますので、本日いただいたような、先生にご指摘いただいたようなところも踏まえて、どうあるべきかは今後とも考えていきたいと思います。

稲谷構成員: ありがとうございます。

総務省行政管理局: 総務省行政管理局です。ご指摘いただきありがとうございます。私どもとしても、冒頭で申し上げたとおり、インターネットによる掲示は積極的に進めたいと考えており、そのための論点について鋭意検討を開始したと申し上げたところですが、その中の検討した過程において破産者情報のような事案があったので、こういったものについても、どうしたものかということで私どもも検討していたというところでして、今回、そうした観点でご紹介を私どもからさせていただいた次第ですが、手続保障の観点から、そこを気にすると本末転倒になるのではないかというようなご指摘もいただいて、まさにそういうことも十分考えられるということがよく理解できましたので、今後とも引き続きご指導のほどよろしくお願いします。

稲谷構成員: どうもありがとうございました。

事務局(大澤): 落合構成員、お願いします。

落合構成員: ご説明ありがとうございます。各先生方が議論されていた点について、意見を述べます。まず、行政手続法の中で公示送達が定められているかと思います。行政処分や、それに対する不服申立ての手続を考えたときに、コンメンタールなどを拝見すると、行政手続法の15条3項自体も民事訴訟法にある程度準じたと形で整備されているとされております。さらに、行政事件訴訟法については、そもそも民事訴訟の準用自体を行っているという関係性にあると思います。法体系全般として見た場合には、基本的に民事訴訟法に沿って整備されており、一方で、行政手続における特殊性を考慮していくということが適切なのではないかと思われます。

その際に、総務省からもご指摘いただいた非公開というのは、公開を原則とする民事裁判とは若干異なる部分があると思います。そういった点もあって、行政事件訴訟法15条3項の中では送達のときに掲示する事項なども限定して書かれていると思います。こうした点においては、民事訴訟に比べて若干限定できるような情報があれば、限定してその内容を公示していくことが考えられます。

これが全体的な立てつけと考えておりますが、もう一点、個人情報保護法の観点についてです。個人情報保護法については、基本的に法令に基づく提供の場合ということであれば、第三者提供等についても、同意取得の例外に該当して同意なく提供できるとなると考えられます。形式的な法令の適合性という意味では、基本的には適法ということになるのだと考えられます。
一方で、それだけで良いかというと、プライバシー権の侵害になってくる可能性があるのではないかという点もあると思います。個人情報保護法自体よりは、実質的にどのようにプライバシーを確保するかという議論が重要だと思います。

それに対する対策としては、個人情報保護法の中では、4月に施行後の改正法においては、19条において不適正利用というのが書かれております。ガイドラインなどで言いますと、裁判所の公示している文書を集めて、破産者マップのことなどを特に念頭に置かれていますが、こういったものは不適正利用として、規制の対象として追加して行っているということです。この部分について、行政手続の場合も、念のため明示的に個人情報保護委員会に書いておいていただくことが対策として考えられます。

これによって、情報を収集し、まとめてデータベースとして提供した者については、少なくとも個人情報保護法に違反している状態にするということをまず行っていくべきなのだろうと思います。民事訴訟法の送達の話もそうだと思いますが、先程の整理でも不十分であれば、むしろ個人情報保護委員会において、訴訟であったり、行政処分等の情報というのは要配慮個人情報なのだと位置づけていくということすらあり得ると考えます。

そうすると、取得自体、原則、同意に基づいてという形にしていくとか、より保護を強化していくというのは個人情報保護法側で行っていくということになります。行政手続との関係でも、掲示できる情報について、できる限り最小限にしたのかという2点で配慮していくことによって、ある程度論点としてはクリアできるかなと思いますが、いかがでしょうか。
各法令のコンメンタールとかガイドラインの内容も少し引用したので、お答えいただける範囲でお願いいたします。

事務局(大澤): 総務省様、お願いします。

総務省行政管理局: 総務省行政管理局です。いろいろご指摘いただき、ありがとうございます。民訴法との関係ですが、私どもの行政手続法も民訴法を参考にして立案したということとなっています。民訴法の趣旨についてお答えする立場ではありませんが、裁判は公開が原則ということでして、裁判を受ける権利というものも法律上保障されているということもありますので、私どもとしては、訴訟手続については、法律で具体化する必要もあったのかなと推測しているところです。

行政手続法における公示送達については、非公開が原則である行政手続の一部として行われるというものでありまして、行政庁は、国、地方を問わず広く適用されるというところもありまして、その辺をよく考慮していく必要があるのかなと思っていますので、今後、デジタル原則全体を議論する中で、引き続きご指導いただければと思います。

プライバシーとの関係ですが、おっしゃるとおりでして、既に個人情報保護法のほうで不適正利用の禁止などの規定が盛り込まれていることは、私どもも承知しているところでして、そちらのほうで十分な対応できているということも十分考えられると理解できているという次第です。

落合構成員: 前者の裁判を受ける権利との関係ですと、行政手続についても、例えば、適正手続の適用は直接適用まではないと思いますが、それを実質的に行政手続でも及ぼすべきではないかというのは、憲法などの関係でも議論されているところだと思います。当然、行政手続は権利を考えなくていいという状況ではないと思いますので、そういった視点も含めてご検討いただければと思ってます。

事務局(大澤): 本日最後のセッションは、こちらで終了とさせていただければと思います。法務省の内野管理官、総務省の水野課長におかれては、ご多用の中、ご出席いただき、誠にありがとうございました。本日の議論も踏まえ、作業部会として追加の検討依頼のご連絡を差し上げる可能性もございますので、その際には、対応方、よろしくお願いいたします。それでは、ここで安念副座長へ議事進行をお返しします。よろしくお願いします。

安念副座長: 皆さん、今日も闊達にご議論いただき、ありがとうございました。議事については、以上とさせていただきます。

最後に、小林副大臣より一言頂きたいと存じます。

小林デジタル副大臣: まずは、構成員の皆さん、ありがとうございました。

最後の公示送達のところは、結構面白い論点だと思っていまして、先ほどご指摘もあったとおり、裁判所に出しているという、ある種、やり方で公開の範囲が限定されていたところがあって、これが技術的に可能になったからインターネットに載せると、今度は非常にインパクトが出てしまう。これをどうするかということは、この臨調でも議論しなければいけない非常に本質的なテーマだと思っています。法務省からもかなり本音でその辺りもお話しいただけたので、我々もそういう論点があるということに気づかせていただいたと思います。

そういう意味でも、ぜひ今後も各省の皆さんから本音ベースでいろいろ課題をお聞きしながら、今日、たくさん構成員からご提案いただいたような、こういう事例があるのではないかということもひねり出しつつ、課題を一緒に乗り越えていけたらと思います。引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。

安念副座長: 副大臣、ありがとうございました。それにしても、破産者も既に失踪宣告もがっつりとデジタル版の官報に載ってしまっていますよね。そういう事実もありますよね。

最後に、事務局より、次回の作業部会の開催についてご説明いただきます。

事務局(大澤): 次回作業部会については、3月18日、今週金曜日の午前10時から開催となりますので、よろしくお願いします。なお、本日の議事については、公開になじまない内容はないと考えられますので、後ほど議事録を作成しまして、皆様にご確認いただいた上で公開させていただきます。また、本日の資料については、特段ご異議がないようでしたら、全てデジタル臨調のウェブサイトにて公開させていただきます。

安念副座長: ありがとうございました。それでは、皆さん、どうもお疲れさまでした。これで第5回の会議を終わります。ありがとうございました。