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デジタル臨時行政調査会作業部会(第12回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)8月9日(火)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. デジタル臨調の取組の現状と今後の予定について
      2. テクノロジーマップ整備に向けた技術検証・評価ワーキング・グループの開催について
      3. 目視規制、定期検査・点検規制について関係省庁からヒアリング
      4. 意見交換
    3. 閉会

資料

関連情報

議事録等

日時

令和4年(2022年)8月9日(水)10時から12時まで

場所

オンライン開催

出席者

座長

  • 小林史明  デジタル副大臣

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科 教授)
  • 稲谷龍彦 (京都大学大学院法学研究科 教授)
  • 岩村 有広(日本経済団体連合会 常務理事)
  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 菅原晶子(経済同友会常務理事・政策統括)
  • 増島雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所)

議事録

事務局(松田): それでは、時間となりましたので、第12回デジタル臨調作業部会を開催させていただきます。

今回も構成員の皆様にはオンラインでご参加いただいています。

本日の構成員の皆様のご出席状況についてですが、欠席等のご連絡はいただいておりません。ただ、菅原委員が11時半に早めに退室をされると聞いております。

また、本日の関係省庁ヒアリングの議事につきましては、関係省庁が都度入れ替わる形で参加させていただきます。

早速ですが、これより本日の議事に入らせていただきます。以降の議事進行については、安念副座長にお願いしたいと思います。

安念先生、よろしくお願いします。

安念副座長: 皆さん、おはようございます。

議事に入る前に、根本構成員の後任として本日より岩村有広構成員にご出席をいただいています。岩村常務から一言ご挨拶をいただきたいと存じます。よろしくお願いします。

岩村構成員: おはようございます。経団連常務理事の岩村です。

このたび、6月1日に退任した専務理事の根本の後を引き継いで参加いたしますので、どうぞよろしくお願いします。

デジタル臨調をめぐる動きはこれまでも把握していたところですが、デジタル臨調による一括見直しに大いに期待したいと思っています。

小林副大臣をはじめ、デジタル臨調事務局の皆様、これまで様々ご尽力いただいたと思いますけれども、経団連としても各要望の実現に向けて引き続き協力させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

安念副座長: 岩村さん、どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

それでは、早速議事に入ります。第12回の議事は3つ大きな固まりがありまして、第1が「デジタル臨調の取組の現状と今後の予定について」、第2が「テクノロジーマップ整備に向けた技術検証・評価ワーキング・グループの開催について」、第3が「目視規制、定期検査・点検規制」の関係でございますが、この固まりがさらに3つありまして「①罹災証明書の交付に係る被害状況調査」「②社会福祉施設の実地指導」「③建築物の空気環境に係る定期測定・点検」について、担当省庁のヒアリングを予定しています。

それでは、まずは松田参事官より「デジタル臨調の取組の現状と今後の予定について」、ご説明をお願いします。

事務局(松田): それでは、最初に3ページです。これが6月3日の一括見直しプランで、3年間で全体を点検し、見直しをしていくということで定まっているスケジュールになります。これに沿って今後具体化をしていくことになりますが、その詳細の案を整理しています。1ページに戻っていただければと思います。

「デジタル臨調の取組の現状と今後の予定」というところでます。少し細かいところもありますけれども、簡単にご説明させていただきます。1が「法令の見直し」というところで、一括見直しプラン別表に掲載をさせていただいております5,000のうちの残りの1,000条項と、実は各府省から追加でこれも点検したほうがいいのではないかというのが2,000個来ています。これについて、現在見直しの方針について各府省と調整をしておりますけれど、その結果を踏まえて8月下旬から9月上旬頃を目途に各省庁へもともとの4,000も含めて見直しの工程表の作成作業を依頼することを考えています。3つ目の○のところですけれど、その上で見直し工程表を作成し、各府省において作成してもらって、9月末までに事務局に提出をしていただく。その上で各府省との調整、作業部会での検討を踏まえて、年内に見直し工程表をフィックスしたいと考えています。上記のほか、法改正が必要な内容について精査をしております。内閣法制局からは、一括見直しプランについてかなり幹部も含めて関心を持っていただいており、随時我々はご説明をしています。そういう意味では、今、各府省から法改正が必要なものはどれなのか、解釈でいけるものはどれなのかといったところの整理をしつつ、法制局とも少しやり取りを開始しているといった状況になります。

2が「通知・通達等の見直し」というところであります。先行7項目に該当すると思われる通知・通達について、現在リストアップをしております。たたき台はできたのですが、これも精査をしており、その上で秋には各府省にこのリストを展開して、年内に点検対象のリストを確定させる。並行して、急いで令和4年中にも見直しが可能なものについては選定を行っており、早くできるものは早く処理するということです。当該通知・通達等についても、本年秋頃を目途に各府省へ見直しの依頼を行う、リストとともに見直しの依頼を行っていくということを考えています。

次のページをお願いします。3がこれら全体を支える「テクノロジーマップの作成」ということです。本日の作業部会においても、テクノロジーマップ整備に向けた検討の枠組み、体制をご提案してご議論いただくことを考えています。そのご議論の上で、作業部会の下に何らかのこのテクノロジーマップを整備するチームをつくっていくということで、そこでテクノロジーマップや技術カタログの試行版をつくっていただいて、作業部会に報告いただく。併せて、技術的実証に係る情報の周知、規制の見直しに活用可能な技術等の提案、さらには官民のある種の連携をするためのコンソーシアムといったところもつくり込んでいきたいと思っています。

4の「法令等のデジタル原則適合性確認の体制・プロセスの構築」の部分です。令和4年度内に詳細設計を行うことになっており、現在デジタル庁において検討を実施しています。令和5年夏にデジタル原則に係る具体的な指針を策定し、令和6年常会提出法案のうちから試行的に確認プロセスを組み込んでいくということを考えています。これについても早めに整理をして、また作業部会でもご議論いただければと思っています。

5がこうしたことを踏まえた「年内の作業部会における検討内容」ということです。1つ目の○のところですけれども、各省庁が見直し工程表の素案を提出する9月末までの作業部会、まさに今日もそうですが、8月、9月においては、1,000と2,000のところの精査について、個別の規制の見直しに係る各府省庁からのヒアリング等を進めたいと思っています。その後、9月末に工程表が出た後には、その工程表の素案について、本当にそのスケジュールでいいのか、もう少し前倒せないのか、内容についてもう少し深掘りできないかといったことも含めて、工程表の素案について検討していただくことに加えて、通知・通達の見直しに係るヒアリングや主要な経済界要望、これは手続のデジタル完結の部分が大きな課題になっておりますが、ここへの対応、デジタル法制、テクノロジーマップの整備等に関する報告と議論を随時行わせていただいて、方向性を年末に向けて固めていければと考えてございます。

顔が見えなくて恐縮ですが、私からは以上です。何かご質問、ご意見があればよろしくお願いいたします。

安念副座長: 皆さん、ご意見、ご質問があれば伺いたいのですが、まず私から1つ伺いたいのは、最初の法令の見直しの件です。2,000の追加というのは、担当省庁のほうから首を差し出してきたのだから、これは規制改革の歴史の中で画期的なことだと思うのです。つまり、彼ら自身がもう紙の仕事に嫌気が差しているから自主的にこういう動きになったのだと思っていて、これは我々がデジ庁でやっている作業がいかに有意義なものであるかを裏書するものだと思います。

その上で、法改正が要るのか、解釈でいくのか、これは役人の一種のアートの世界になるのだけれども、随分デジ庁のほうで経験値が蓄積されているので、大体の相場観としてこれならば解釈でいけそうというところを示して、むしろ法改正それ自体は非常に手間のかかることですので、そこまでいかないものは大体こんなところだということをこちらから示すのも一案かと思うのですが、そういうことはできないものでしょうか。

事務局(松田): ありがとうございます。

そういう意味では、結論においては安念先生の言っていただいたことはできると思いますし、事実上、そのように工夫しているところもあります。我々はいろいろな省庁から話を聞くものですから、大体その各府省の担当省庁に仁義を切った上でということが基本ですが、ほかの省庁さんだとこういうやり方でやっているとか、これぐらいのことは解釈で整理しているといったところは、我々はある種、横でつないでいくことで各府省にアドバイスしたり、支援したりというところは、実は法制面も技術面も結構できてきているところがあるので、これはしっかりやらせていただきたいと思っています。

我々も2,000のところは大変ありがたい、かつ他方で点検対象も増えるのでまたしっかりやらなければいけないなというところです。各府省のモチベーションもあるかもしれませんが、類型化とフェーズということで切って、ある種、テクノロジーで代替できるというのを一個一個の要望があるやなしやに関わらず全部洗い出すことでいろいろお付き合いいただいて、積極的に出していただいている面もあるのかと思っています。ありがとうございます。

安念副座長: 私が思いつくようなことは当然松田さんのほうで考えているに違いないのですが、とても勇気づけられました。ありがとうございます。

ほかの皆様からどうぞご意見、ご質問をお出しください。よろしくお願いいたします。落合先生、どうぞ。

落合構成員: ありがとうございます。

非常に前向きに規制改革を進めていただいておりまして、また個別の検討項目ごとに作業部会でもフォローアップできるといいと思っています。

デジタル臨調の取組の中では行革という部分があったと思いますが、こちらの行革の関係はこれからの進め方はどうなりそうかを教えていただけませんでしょうか。

安念副座長: 松田さん、いかがでしょう。

事務局(松田): ありがとうございます。

これは渡邉参事官からも何か補足があればと思いますが、我々が今、聞いている範囲だと、行革についても6月の一括見直しプランでアジャイルガバナンス、EBPM等々、いろいろな具体策を書いています。これについて一個一個、例えば行政事業レビューをしっかりデータベース化して予算等々の検討の中でも使っていこうですとか、アジャイルガバナンスといったことを各府省で現実化するための支援や枠組みをつくっていこうということで、今、動いていると理解をしています。必要があれば、特に規制と関係する部分もあると思いますので、その進捗なりをまた行革のチームからご報告いただくこともあろうかと思います。

渡邉参事官、補足等々はありますでしょうか。

事務局(渡邉): 松田参事官からのご説明のように、アジャイルワーキングの関係については、現在、行革事務局を中心に具体化に向けた作業をしております。それ以外にも、例えば民間人材の登用の面で、昨日人事院勧告が出ましたけれども、その報告の中でも民間人材の採用円滑化に向けた取組を人事院で検討していただいたりということもありますので、秋のデジ臨で報告できるものについては、またその中で報告させていただきたいと思っています。

安念副座長: 落合先生、今のご説明でよろしいでしょうか。

落合構成員: ありがとうございます。大丈夫です。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、また後ほどご意見等はお寄せいただければよろしいと思いますが、時間の都合がありますので、先に進ませていただきます。

続いて、須賀参事官より「テクノロジーマップ整備に向けた技術検証・評価ワーキング・グループの開催について」をご説明いただきます。よろしくお願いいたします。

事務局(須賀): 皆様、おはようございます。

今回はテクノロジーマップあるいはカタログをつくる体制整備にめどが立ちましたので、こういった形で進めさせていただきたいというご報告をさせていただこうと思います。

1枚目ですけれども、これまでご議論いただいたことを振り返りますと、1つ目に、規制の見直しを各省横断的にスピーディーに広げていこうとしたときに、その障壁の一つは技術的な検証でありました。例えば今まで人がやっていた安全確認の作業をデジタル技術で代替するということになりますと、代替を認める前に技術の性能について確かな実証が必要であり、各省でばらばらに別々の対象物について検証を行うのではなく、より容易に検証できる環境を横串で整備する必要があるのではないかというのが問題意識でした。

規制所管省庁の垣根を越えて、テクノロジーベースで似た規制は一括的に改革していくということを実現しようとしますと、ある特定の規制対応に活用可能な技術は、実はそのほかの規制の対応や類似の業務プロセスにも応用できる可能性が高いことが分かってきました。例としては、小林副大臣に視察に行っていただいたドローンによる鉄塔点検でございますけれども、鉄塔以外の構造物の点検にも当然このテクノロジーは応用が可能であり、その外延や応用可能性あるいは難しさ、そういったことを専門的に議論していただくような場が必要ではないかと考えています。

次のページです。今、先行的に検討しているアナログ規制7項目を縦に置き、実際に規制遵守にあたり人間が果たしている機能は3つか4つに抽象化できるのでそれを横串に置いたときに、規制の見直しに適用可能な技術はかなり共通化、大くくり化ができそうだということをまずマップでお示しをさせていただきました。テクノロジーマップに出てくるカメラ、センサー、ドローン、リアルタイム監視といったテクノロジーについて、それぞれこういった企業がこういった技術をお持ちですというカタログも示していく。

次のページに、このテクノロジーマップの提供価値を整理したのですが、まずは何といっても規制所管の省庁に対して、同類型の規制のデジタル化の方向性も踏まえた上で、どういった技術が活用可能で、その技術の成熟度がどの程度で、どういった検証を追加的にする必要があるのかといったことを横並びで見ていただくことができるかと思っております。

デジタル技術をお持ちの事業者に関しては、その技術を活用して、今までアンロックされていなかったビジネス機会を把握していただき、市場の参入をしていただく。あるいはこのカタログに載っているということで確かな営業ツールとして活用していただく、そういったことになっていけばいいなと思っております。

規制を実際に遵守される規制対象事業者の皆様に関しても、既に当然最先端のご検討をされている事業者さんも多いですが、ご自身が対象となっている規制にどういった技術の活用の余地があって、お隣は何をしていて、その技術にアクセスするにはどなたにアプローチをすればいいかということが容易に把握できるようなものになっていけばと思っております。

いろいろな有識者に伺ったときにここの価値が結構大きいのではないかとおっしゃっていただいたのが、実は規制と関係はないけれども同様のプロセスを社内で構築されて製品の安全を確保されたりしている企業は多いので、最新の技術に基づいてDXに取り組まれるときの参考情報にもなるのではないかと。そういった高みを目指したいと思っております。

次のページ、関連する記述として一括見直しプランにもマップとカタログを整備するということを書いてありますし、臨調の場でも南場構成員からこれが大事だということをおっしゃっていただいています。

次のページからが具体的な進め方ですが、この臨調の作業部会の下に技術検証・評価ワーキング・グループを設置させていただけないかと思っています。WGで横断的に規制見直しに活用可能な技術を整理し、マップやカタログを取りまとめて作業部会に報告をしていただくという形です。その左側に「コンソーシアム」と書いていますが、新しい技術をお持ちの方々がマップやカタログに対して具体的に提案をしていただくルートを正式に設けておきたいと思っております。コンソーシアムを経由せずにアプローチしていただいても構わないのですが、ルートを可視化しておけるとアクセスがたやすくなるかと思いますので、コンソーシアムのような場もご用意して、盛り込むべき技術の情報を提案・提供いただければと思っています。技術検証・評価WGと略称していますが、正式名称はテクノロジーマップ整備に向けた技術検証・評価ワーキング・グループという名前にさせていただけないかと思っています。このWGで規制所管の各省庁ともやり取りをして、具体的な技術の要求スペックの確認などしていきたいと思っています。

次のページですが、WGの具体的な検討事項としまして、技術の把握、ほかの規制分野への応用、スケールの話をしっかりしていただく。テクノロジーマップとカタログも、先ほどのスライドでお見せしたような静的な表ではなくて、仕様あるいは利活用の在り方そのものもイノベーションフレンドリーなものになっていけばと思いますので、こういった形で情報を出したほうがいいのではないかというところからご議論いただければと思っています。

委員は、国内外でレグテックと呼ばれているエリアに非常に近いので、その動向に詳しい方や、個別の技術をなるべく横に広く見ていただけるような専門家の皆様で構成させていただき、議題によっては、関係省庁や研究開発法人などの関連団体にもオブザーバーご参加をお願いしていけないかと思っております。デジタル臨調本体、作業部会にも、このお話に造詣の深い方がいらっしゃいますので、可能であればオブザーバー参加をしていただけたらありがたいと思っております。

スケジュールですが、この後、委員の候補の先生方に具体的にお願いをして、9月には第1回が開催できないか、その後、月1回ぐらいの頻度で開催できたらと思っています。

次のページですが、既に有識者にご相談する中で非常に面白いご指摘をいただいていますので、可能性をお示しするため幾つかコメントを貼らせていただきました。例えば、テクノロジーマップは、ただマップにすることを目的にするのではなくて、技術リポジトリを先につくって、ドキュメンテーションした後に、表紙の目次、リンク集のような形でどんどん自動生成されて変わっていくようなものにしたらどうか。

当面、カタログの内容については、技術検証の結果や活用の成功例、こうやったらうまくいったということを簡単に解説記事をつける、実際に動く様子の動画や画像をつける、最小限のサンプルコードも出していただく、それから具体的に参考文献があればつけていただく、こういった構成でつくっていくと面白いのではないか。

それから、テクノロジーマップやカタログが自然発生的にどんどん発展していく方がいいので、多様なユーザーからプルリクを受け取る形で投稿・編集がしやすいようなドキュメント管理システムがそもそも要るのではないか、手伝いましょうかとおっしゃってくださっている方がいらっしゃいました。

また、例えば講習のデジタル完結については、基本的に既に商用システムがあってそれを調達すればいいわけですが、調達するときにどれがいいか分からないので機能を比較検証したいというニーズが、技術検証と言われているものの中に混在するようなところがありまして、そこは少し広く取って議論すればいいのではないのということもおっしゃっていただいています。

次から3ページはイメージですので、お手元で見ていただければと思うのですが、テクノロジーマップの見せ方としていろいろなパターンがありそうです。複数のビューがあったほうがいいかと思っておりますが、希望としては、テクノロジーの応用可能性が領域として確認できるようなものになっていけばと思っています。

次のページはカタログについてですが、EdTechのライブラリーは結構動画が載って面白いEdTech企業の紹介になっておりますし、先ほどの有識者コメントを踏まえて技術リポジトリ的に構成していくとすると、マイクロソフトやAWSのディレクトリも参考になりそうです。WGにおいて、どういったアウトプットにするのかを検討していただけたらと思っています。

最後になりますが、コンソーシアムです。技術のご提案は、大企業、中堅中小企業でディープテックをお持ちの企業などにもぜひご参加いただきたいのですが、それに加えて、スタートアップの方々にも気軽に技術提案していただける環境をつくっていきたいと思っています。経産省さんがスタートアップ新市場創出タスクフォースの中にサポートコミュニティとして団体をたくさん集めていらっしゃいまして、その方々にも協力をお願いしてきたところです。いろいろな団体の方にも入っていただいて大きな動きにしていけたらと思っています。

以上でございます。

安念副座長: 須賀参事官、どうもありがとうございました。

ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。

上野山さん、どうぞお願いします。

上野山構成員: ありがとうございます。

感想とコメント2点というところですが、まずテクノロジーマップというアプローチは非常によいなと思います。なぜかというと、様々な法令や規制があるわけですが、個別具体で見ると異なる規制として今は捉えられているわけですが、技術観点で見ると抽象化して汎用化すると同一事象として捉えられるものがかなりあるということで極めて有効だと思いますし、かつ今回横断的な規制改革という趣旨ならではの醍醐味そのものだということで、非常に面白いなとまず前提で思っています。

それに当たって、これを進めていく観点で2点が非常に重要になってくるだろうと思ったことをお伝えさせていただきますと、このテクノロジーマップ/カタログが自動で展開されて運用可能な形にする、これは非常に良いと思うのですが、このマップ/カタログの設計図となるまさに8ページ、9ページ、10ページあたりにある縦軸と横軸の抽象化の仕方であるとか、特に最後の評価関数の定義というか、これをテクノロジーに置き換えたときに、この品質、このコストあるいはこの最後に当てる物差しのセットの定義、ここがもう本当に一番大事になってくるかと思います。ですから、このテクノロジーマップの設計図の決め方は、比較的初めのほうにきちんと決めていく必要があるのだろうと思っているというのが1点目です。まさに今、やられているところだと思います。2点目は、前から言っている話に近しいですけれど、そのときのこの物差しの当て方のときに、ややもすると精度100云々みたいな話になってしまうわけですけれども、そこと比較するのではなくて、現状、人がやっているとするときの精度はこれぐらいだみたいな、踏み込みづらい話もあるかもしれませんが、現状のオペレーションとの比較においてよりよくなるというところに物差しを置くこと自体が非常に重要になってくると思います。この2個を押さえながら、ぜひこれが進んでいくといいなと思いました。

私からは以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

須賀さん、何かコメントはありますか。

事務局(須賀): おっしゃるとおり、この抽象化の議論が面白く、どう抽象化するかで横展開ができる範囲もおのずと決まる気もしていますので、しっかり検討していきたいと思いますし、皆様のご協力も賜れればと思います。

安念副座長: ありがとうございました。

では、稲谷、菅原、岩村、各先生の順でご発言をいただきましょう。お願いいたします。

稲谷構成員: よろしくお願いします。

私も大変意欲的ですごくいい試みだなと思いました。私も実は上野山さんとほぼ同じことを法律っぽい観点から思ったところがありまして、この部会でも何度か問題になったと思うのですが、規制を置き換えていくときにポイントとなるのは、その規制で達成しようと思っていた目的や公益みたいなものとの関係での費用便益計算をやった場合に、こっちのほうがいいと言えるというところだと思います。したがって、増島先生が何回かおっしゃっていたように押印マシーンを作りましたみたいになったら困るという話を入れておくのも、ここのテクノロジーマップをつくっていくときのとても重要なポイントだと思います。また、後から見たら、そうなっていたというケースもあり得ると思うのです。やっている間は、気がつかないというのもしばしばありますので。ですから、テクノロジーマップ自体を動態的に展開していくためのプロセス、そのときにその規制の価値みたいなものを深掘りしていくような、まさにそこは面白いとおっしゃっていましたが、そこのプロセスがきちんと組み込まれる形にすると非常に前向きに進んでいくのだろうと思います。

その抽象化をする際に、今回のこれは案だというご指摘だったので、これで決まっているわけではないというのは重々承知しているのですが、少し視点として、今回のマップの中で出てきているのはどちらかというと抽象化の中でもいわゆる行為類型に着目しているものが多いようにも思うのです。ですから、今も申し上げたように、目的の部分でもさらえるような形のマトリックスをご用意いただくと、費用便益分析みたいなものをやるときにも非常にやりやすいのではないかと思ったところです。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。やっぱり抽象化はみんな燃えちゃいますね。それは当然です。

菅原さん、いかがですか。

菅原構成員: ありがとうございます。

先生方と違う視点で質問します。もともとこのテクノロジーマップ/カタログをつくる目的としては、先ほどの3ページの説明にもあったように様々なステークホルダーから見てメリットがあるということはよく理解していますが、全国の現場の方々の使い勝手がいいなどの重要性は高いと思うのです。例えば業者探しやテクノロジー探しや、検証する手間や時間のロスを防いで導入のスピードアップを高めていくことが重要だと思います。一方、そうであるが故に、マップやカタログに掲載されているものを現場の方々が何の検証もせずに安心して取り入れていくことも重要となり、国のお墨つきなどが必要となります。イメージとして、7ページにあるような自然に発展し続けて投稿・編集しやすいウィキペディアのようなものを考えているのか。これにより技術をどんどんアップデートするなどスピード感を持つ反面、これで本当に正しく安心して使えるものになるのかという逆の側面もあると思います。そのため、例えばこういうワーキングの中に定例の審査委員会などチェック機能を盛り込むことによって、むしろユーザーが安心して使いこなせるようになるのではないかと思います。

そういう意味では、コンソーシアムは技術的なものだけではなく、例えば地方自治体の現場の人に意見を聞く場、ヒアリングの機会も必要ではないか。

最後に、先生方の意見と重なりますが、抽象化のところの視点ですが、私も目的でさらえるのが非常に重要と思いますので、意見として加えさせていただきます。

安念副座長: どうもありがとうございました。

菅原さんのおっしゃるのは、このマップをつくるときの根本的な哲学の問題ですね。つまり、安心していいのですよというカタログなのか、それともこれはあくまで提案なので、あまりいい言葉ではないけれども、自己責任で使ってくださいねというマップなのか、これは結構考え方として分かれるのではないかという気はします。もし前者のように安心ですよとなると、これも言葉は悪いけれども、どこかに検閲官を置かなければならないことにどうしてもなってしまう。それはそれで一つの考え方だと思います。

岩村さん、お願いします。

岩村構成員: ありがとうございます。

感想とコメントと質問が計3点ございます。今、ご提案のあったテクノロジーマップは、規制改革の手法としてかなり進んでいるのではないかと思っています。15~16年前、規制改革を担当していましたけれども、その頃に比べると進化しているなと。これは感想です。

それから、コメントです。今、問題提起がありましたが、ここに書かれた情報がどの程度信頼できるか、どのように担保していくかということも含めて、実際に参加されるであろう方々の声を聞くのもある程度重要かと思っています。そういう意味で、私どもとしてもデジタル臨調事務局にお願いし、会員企業への説明会といったものを開催させていただき、こうした取組の周知や参加の呼びかけなどを行ってまいります。問題提起されたように、どのようなものをつくっていくかなど、参加される方の声を聞いていただくのも重要かと思います。また、スタートアップを積極的に巻き込むこともぜひご期待申し上げたいと思っています。

1点質問です。このテクノロジーマップが先行して孤立しても意味がないので、いわゆる技術検証・評価ワーキングと規制所管省庁との横の連携が重要かと思いますが、テクノロジーマップに関する各省の連携をどのように考えればいいのか。もし今、何かアイデアがあれば教えていただきたいと思います。例えば各省に担当者や窓口を置くなど、そういうところも含めて、お考えのことがあれば教えてください。よろしくお願いします。

安念副座長: では、増島先生、落合先生とご発言を伺ってから、須賀参事官からご回答なりコメントなりをいただきたいと存じます。
増島先生、お願いします。

増島構成員: どうもありがとうございました。

まず1点、僕は何かの委員に関わると、必ずそのプロジェクトをマーケティングしまして、制度マーケティングをして、いろいろな人を巻き込んでなんとか成功に持っていくという、ここをコミットするというのを自分の中で課しているのですけれども、今回のこの一括見直しのも制度マーケティングを始めていまして、いろいろ興味がありますという人たちから話を聞いている、今、こういうことをやっています。スタートアップの人たちでテクノロジーを採用してほしいみたいな人たちは興味を持つのは何となく分かっていたのですけれども、最近話していると結構面白い現象が起こっていまして、いわゆる大きな会社の人たちがこのルール変更で新たにできたところにオープンイノベーションの出口を求めるみたいな、このような目線を持たれている方がいらっしゃいまして、ルール変更の部分そのものにエンゲージしたいみたいな、こういう人たちが結構大企業の中にいることが分かりました。このプロセスにいろいろ関与してくれると、ルールの変更の部分でいろいろ知見をもらえたりとか、応援をしてもらったりできるので、その結果、その中では彼らが応援しているこんなスタートアップの技術はどうですかとか、いろいろやってくれるということも含めての応援だと思うのですけれども、プロセスの中に巻き込む人として、大企業の方でオープンイノベーションなどにコミットしている人たち、最近でいうと猫もしゃくしもCVCみたいな感じになっているのでいろいろな会社がいらっしゃると思いますけれども、このルール投資に対する意義みたいなものを結構広くマーケティングしていくと、資金的な余裕がある、まだ投資余力のある大企業がこのデジタル規制改革に巻き込まれていく、こういう契機になるのではないかということを最近発見したというのがまず共有事項の1つです。

2点目が、これは一括見直しのところに書いていただいたのですけれども、採用の部分は、例えば自治体であれば、ルールをどう変えていこうかという話とどんなテクノロジーが使えるのかという話が同時並行で走っていくのだと思うのですけれども、そのときに必ずアナログのほうがこうではないか、デジタルだとこういうエラーが発生するではないかという話になるのは目に見えているので、先ほどの話にもあったのですけれども、チェックをどのようにしていくのかも含めて少しやってあげる。要するに、現状維持バイアスがかからないような形のチェックをちゃんとしてもらうような仕組みも提示してあげるということかと思いました。具体的に言えば、このアナログのものであなた方はできていると言っているかもしれないけれどもそもそも見られているのですかみたいな、ちゃんとそういう選択肢を入れると、デジタルのほうはそれが全部記録されているということなので、デジタル側にちゃんと正しく軍配が上がるという話になります。全部見られている中でのエラー率という話をしたときに、デジタルのエラー率はそんなに顕著に大きいのですかというチェックリストになっているのが公正なチェックリストなので、現状維持バイアスがどうしてもかかってしまうところを補正するような形のチェックリストが大事だと思っていますというのが2点目です。

3点目、先ほどのテクノロジーカタログの部分で、ここに載っているもののお墨つきみたいな議論が出てきた部分について、ここは違和感を持ちます。テクノロジーはそれぞれ仕組みなのでアーキテクチャーがありますという話なので、目的に応じて合うもの合わないものが必ずありますので、目的がずれているものについて安心ですというのはおかしいと思うのです。先ほど目的ごとに整理をしてくださいという話もありましたけれども、目的の中でもそれぞれの採用する側に事情があって、その事情との関係で、こっちはうまくいかないけれどもこっちはうまくいくみたいなことがいっぱいあるのです。これがテクノロジーのいろいろなプロダクトが存在していることの理由なので、ここに挙がっているものはユニバーサルに何でも使えるという、その目的に関しては何でも使えるという、こういうテクノロジーはないのではないかと思っています。その意味では、これを使えば安心ですみたいなナラティブは、不誠実なので避けたほうがいいと思いまして、他方で、それをどのように採用に持っていきますかというと、どういうところで採用されていますかということの事例というか、採用実績がちゃんと開示されているということなのだと思うのです。そうすると、こことうちがやっている具体的な悩みどころが一緒だみたいな話になると、それが採用されることもあるでしょうし、デファクトでここの分野だとこれを採用しておけばほかも採用しているから無難だねという意思決定もあると思うのですけれども、そういうものも含めてトラストだと我々は思っていますので、採用のところの安心・安全みたいな話をここにあまり強く入れ込まないほうがいいのと、どちらかというとディスクロージャーとデファクトによってトラストを確保するというほうが僕はテックらしいなと、こういう感じがいたしましたというのが3点目です。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。トラストワージネスの意味なのですね。ここは難しい。
落合先生、お待たせしました。

落合構成員: ありがとうございます。

増島先生が最後に議論された点からです。信頼性の担保をどういう形で行っていくのかは、なかなか一律にはどうしても難しいこともあります。例えば何かのプロセスを見た場合でも、手続、規制としては似ているのだけれども違う意味合いを持っているような場合であったり、要求される精度が実際には違うということもあります。

その意味では、なかなか一律にこれは使って大丈夫というのは難しいところがあるのだろうというのはおっしゃるとおりかと思います。一方で、何もないと選ぶほうも分からないという菅原委員のご指摘もそうですし、もしくは安心して選んでいただけないということもあるのかと思います。このため、実績などを一緒にディスクロージャーさせていくことや、もしくは例えばデータを使うような場合にPマーク、ISMS、情報銀行認定などの各種資格を取っていることを表示できるようにする項目を、任意でもいいと思いますのでつくることもあります。

さらに、実際の利用状況が分かるようにして、最終的に判断する方がほかの事例で使われているかなども比較検討して、今回の場面で利用に足るような技術かどうかを評価していただくことがあるとは思います。手がかりになるような情報の開示をしっかり行っていくのが大事だと思います。また、その際に、それこそデジ庁の取組の中でもいろいろ行われていますし、先程の行革にも関わってくると思いますが、調達改革などでも公取で議論させていただきましたが、例えば国や都道府県などがサポートを行うような支援の枠組みの整備は、デジタル化自体にあたり議論となることもあると思います。テクノロジーマップにおいても必ずしも分かりやすいシステムの技術だけではないものや、センサー類など器具、システムの取扱いのサポートを要するものもあると思います。支援できる体制としてどういうものをつくっていけるのかをご検討いただけると、ユーザー側にとっては導入をしやすくなるのではないかと思いました。

第2点としては、見ていただく相手としまして、企業で利用していただくことも有用ではないかというお話があったと思いますが、自治体との関係でもさらに工夫すべき点があり、実際に規制改革のデジタル基盤ワーキングなどでも議論になっておりましたが、なかなか自治体の認知がなく、導入を進めてくれないことがあります。自治体向けのプロモーション、アピールは非常に重要と思っております。

細かいかもしれませんが、3点目が、英語での発信もぜひ進めていただけるといいと思っております。このテクノロジーを日本の中で利用できるようにして、それに着目していただいて海外にも展開できるようにするきっかけにしていくことも大事だと思います。そもそも今回のデジタル臨調の取組自体、牧島大臣、小林副大臣が海外に行かれた際に評価をされているとも伺っておりますので、継続してディスクロージャーすることによって海外からの日本のこの分野において、先進的な取り組みがあることをお伝えできるほうが、国内企業にとってもその分チャンスも広がってくると思いますし、よりプラスになるのではないかと思います。
いろいろ申し上げましたが、以上です。

安念副座長: 須賀参事官、あまり時間もないのだけれども、網羅的である必要はありませんから、何かご回答やコメントがあれば。先生方のご意見は私の伺った限りでは極めてサポーティブであったと伺いました。

事務局(須賀): 極めてサポーティブに、重要なことをしっかりご指摘いただけてありがたいと改めて思いました。

現状維持バイアスのところは、結構思い込みでこれしかないと思っているところはあるなとお話を伺っていて思います。例えば、設備の劣化診断をするときに、錆や亀裂を見つけなければいけない、亀裂は何ミリのものまで検知できないといけない、ということではなくて、そもそも構造物が壊れなければいいのですね、壊れないうちに劣化していることを判断できればいいのですねと、規制の趣旨、保護法益まで立ち返る作業を意識的にやっていく必要があると思っております。それをやらないと、ちゃんと検査をしているのに手法が違うので検査不正だと騒がれるというようなことが起きますので、その辺りを意識して取り組んでいきたいと思います。

マップの信頼性、トラストワージネスの話ですが、このマップをどのように説明して出していくかということは非常に大事だと改めて思いました。実績が開示されることで事例として蓄積されていくと有用ということが分かりましたので、上手に条件づけをしながらディスクロージャーのツールとしても機能していくようにできればと思います。
現場で自治体というご指摘をたくさんいただいて、自治体のところ、しっかり掘り切れていなかったので、連携をする体制を考えたいと思います。

各省連携のお話もご指摘をいただきましたけれども、この話は結構オープンに各省には聞いていただいたほうがいいなと思っていますので、オブザーバー参加もお時間が許せばぜひお願いしますと各省にお声がけしていきますし、各省が独法などで技術検証を担う組織をお持ちだったりしますので、そういったところにもオブザーバー参加をお願いし、将来的には技術検証もご一緒させていただくような形ができないかと思っています。

支援員のところは、お医者さんが製薬会社のMRさんから新しい薬の情報を常にアップデートされるみたいに、各社が技術をこのマップに載っていますと言って売り込んでいただく営業活動が広がっていくと、私たちがリソースを割き切れないところまで浸透していくかと思っていたのですが、それも含めて足りないところがあれば、特に自治体さんかもしれませんが、しっかり手を打っていきたいと思いました。

英語の発信もタイミングを見てですけれども、この話はまさに、グローバルなレグテックの市場に日本の企業がテクノロジーを持って打って出ていく足掛かりになりうるもので、日本企業の得意分野のはずであるというご指摘も結構いただいていますので、そういった可能性も意識していけたらと思います。

取り急ぎですが、以上です。

安念副座長: 商売の機会を広げないとね。センサーは日本で最後に残っている半導体の聖域だな。大いに売り込まないと。どうもありがとうございました。

それでは、後半部分はヒアリングでございます。ヒアリングの議事進行については、担当の渡邉参事官にお願いをしたいと存じます。

渡邉さん、どうぞよろしくお願いいたします。

事務局(渡邉): 目視、検査・点検を担当しております渡邉と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、各省ヒアリングの1点目でございますけれども、まずは「罹災証明書の交付に係る被害状況調査」についてです。

内閣府防災担当の藤井企画官からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

藤井企画官: 内閣府防災担当で被害認定・罹災証明の関係を担当しております企画官の藤井でございます。よろしくお願いします。

資料をご用意しておりますけれども、まず、被害認定調査・罹災証明書の関係の制度概要についてご説明をしたいと思います。今般の災害、今まさにこの8月3日からの大雨が続いており、各地で被害が発生しておりますが、特に被害が出たときに住家ですね。人が住んでいます住宅についての被害を調査して、その被害状況を認定し、その後の被災者への支援につなげていくメルクマールというか、基準となる証明書を発行するのがこの被害認定調査・罹災証明書の発行です。根拠としましては、その上のところの括弧にありますように災害対策基本法第90条の2第1項に、市町村長がこの被害認定の調査を実施して、その被害の程度を証明する書面、罹災証明書と言っておりますが、これを交付しなければならないという定めがあります。

この罹災証明書に基づきまして、その下の※のところにありますように、例えば給付ということで被災者が生活再建をするための支援金の給付あるいは全国から集まります義援金の配分といったこと、あるいは融資でいいますと住宅金融支援機構の災害復興住宅融資などを受けられるとか、減免・猶予は税の減免、保険料、公共料金、例えば下水道の料金、水道料金といったものの減免とか、そういったものがあります。現物給付といたしまして、災害救助法に基づく応急仮設住宅、これは住宅を失った方々に対しまして仮設住宅を供与するというものですが、そういったものの供与、あるいは住宅を応急修理するというものにこの公費で支援するというものがありますが、そういったところが行われるということです。

一番下に、左から順番に手続になっておりまして、まずは被災者から市町村へ申請が行われます。罹災証明の発行の申請をしてもらうと。それに基づきまして被害認定調査、これは市町村が行いますが、現場に赴くあるいは写真などを活用して被害の程度を認定していくということです。そこにありますように、全壊、大規模半壊、中規模半壊等々段階がございまして、これは現場の状況などを見まして判定して、最後は罹災証明書を発行するということになっております。

次ページ、重複いたしますけれども、そういった中で我々のほうで真ん中にありますように被害認定の基準の運用指針というものをお示ししております。基本的には市町村の事務ではあるのですけれども、いろいろと技術的なところもありますので、国のほうである程度の基準というか指針をお示しして、それに基づいてやっていただいているというのが実際です。

次のページに具体的な認定のフローがございますけれども、これは地震の場合、木造・プレハブの調査を例に取りますと、左側の第1次調査、右側の第2次調査と段階がありますが、1次調査は基本的に外観を確認して、それによって先ほどの全壊、大規模半壊、中規模半壊などの判定をするということでして、一見して全壊だというものについては全壊で、傾斜や部位による判定というものが下にありますが、部位による判定ですと、外観を見て屋根が15%、壁が75%、基礎が10%ということで、その割合においてどのぐらいそれぞれが損傷しているかを足し合わせまして、右側の50%以上ですと全壊、その下、10%刻みごとにいろいろな状況を認定していくということです。右側の第2次調査に参りますと、外観だけですと正確なところが分からない場合について、内部に立ち入ってそれぞれ特に部位別構成比のところが異なってくるのですが、柱や床、外壁、内壁など、そういった構成部位に応じてそれぞれの被害状況を確認して、それを積算して判定するということになっています。

5ページですが、こちらは水害による場合ということでして、水害の場合は水につかりますので、浸水深ということに着目した判定をすることを可能としています。ただし、内水氾濫ですと水が上がって下がるだけですので、外力が働いて部位の損傷が起こりませんので、これは堤防が決壊などして外力が働くということを前提としてそういった判定も行っているというものです。

次のページですけれども、この住家の被害認定の調査を迅速・効率化するということで、例えば一番左、写真を活用した判定の実施ということで航空写真を活用したり、真ん中、先ほど申しましたが、浸水深による判定を可能としたり、一番右側ですが、土砂の堆積の状況によって全壊だろうというものについては全壊判定するということが行われています。

最後ですけれども、航空写真等を活用した被害認定調査の例で、これまで過去に東日本大震災において津波で流出したかどうかというのも航空写真でもって判定したり、30年の西日本豪雨についても、これも航空写真を活用して全壊と判定できるものについては全壊という判定を行っているもの。2番目として、自己判定方式を活用した事例というものがございまして、先ほどの被害区分で一番下の準半壊に至らない(一部損壊)ですね。そういったところについてはあまり細かく判断しなくてもいいので、所有者の写真などを基に判定をするということで罹災証明書を発行するということをしています。

最後、参考ですけれども、今の内閣府での取組としまして、この罹災証明書の発行を迅速に行うことにつなげていくために、オンラインの申請、コンビニ交付による罹災証明書の発行というものを、マイナンバーカードと連携したような形でシステム化を図っているところです。

内閣府からは以上です。

事務局(渡邉): ありがとうございました。

今の説明について、ご意見やご質問等がございましたらお願いいたします。

上野山構成員: 上野山でございます。ご説明ありがとうございました。

素朴に、より具体的な理解をさせていただきたいという意味での質問になるのですけれども、実際に事故が起きたときに見に行かれる方は、普段は何をされている方なのでしょう。それ専門におられるのかとかを含めてお伺いしたいと。有事は来たら大変ですけれども、毎日来ているわけではないので、どんな感じなのだろうというのが1点目です。

2点目は、こういった作業をテクノロジーでエンパワーメントしていくという観点において、いろいろな事故がどれくらいの規模で起こっていて、どれぐらいのひどさで起こってみたいな、そういうここ数年でのデータがもしあれば、どういうところにボリュームが偏っているのかとかは見られたりするデータはあったりするのでしょうか。この2点をお伺いできればと思います。

藤井企画官: 1点目ですけれども、基本的には市町村の職員が行きます。先ほどおっしゃったように、普段はこういったことを専門にやっている方が市町村に必ずしもいるわけではないのですが、多くは固定資産税の関係の職員が充てられることが多いです。というのも、住家について固定資産税評価とかなり似たようなことをやりますので、そういったところになじみのある職員が充てられることが多いですし、それで足りない場合には、全国から総務省さんの調整を通じて応援職員などを送っていただいて、そういった方とチームを組んでやっていただくとか、そういうことをやっております。その前提といたしまして、先ほど我々のところで指針を示しているということを申し上げましたけれども、災害が起こりますと、いち早く被災市町村に対しまして県を通じて研修会を実施させていただいています。そういったことで、この被害認定のやり方、必要な体制、そういったものについてご理解をいただいた上で現場に臨んでいただいているということです。

2点目のどのぐらいのボリュームの災害が起こっているかということですが、これは様々だということでしか言いようがなくて、大きな災害から小さな災害までありまして、数十軒しか被災していないというものもあります。そういったものでも罹災証明書の発行が必要であれば、それは市町村においてやっていただくというか、これは市町村の自治事務ですので、やってもらうことになります。大きなものといいますと、東日本大震災クラスの何万棟、何十万棟という住宅被害が生じるものもありますけれども、そういったものがまれだといえばまれなのですが、ここ数年ですと水害被害がかなり各地で発生しておりまして、1自治体当たり数千軒程度、そういった規模での罹災証明書発行が行われているというのがボリューム感かといったところです。

上野山構成員: 比較的大きな事故が起きたときは、そもそも自分がそこに行くとか全く思っていなかった方まで行くような、そういうオペレーションという感じなのですか。

藤井企画官: そこはそのようになります。基本的には我々は先ほどご説明しました判定方法における要は被害事実を積み重ねて何十%みたいな判定をするに当たってのその事実の確認方法、いわゆる証拠方法は特に限っていないので、現地に行かれるか、写真でもってやるのか、あるいはドローンを飛ばしてやるのか、まずいろいろな方法があろうかと思いますけれども、そういったところで正確な事実を確認した上で判定をしていただければと思っています。

上野山構成員: ありがとうございます。

事務局(渡邉): 続いて、稲谷先生、お願いいたします。

稲谷構成員: 稲谷と申します。よろしくお願いします。ご説明ありがとうございました。

私からは2点あるのですけれども、一点目は実は上野山さんの今のご質問に若干関係をするのかという気もするのですが、第2次調査というのはどのぐらいの頻度でまずやらなければいけなくなるのかというのと、第1次調査と第2次調査、第1次調査というのは外観とかである程度写真とかを使ってできそうな感じがするのですけれども、そこで出たものから結構ずれるから第2次調査をやるという話なのか、それとも特に申出があったときだけ第2次調査をやるという話なのか、第2次調査で現状を結局調べているものが具体的にどういうものがあるのか、その辺りが一点目のご質問になります。

もう一点は、こちらは市町村ですか、地方自治体がやっていくという話になっている気がしますので、どのぐらい地方自治体においてこういった技術を積極的に使っていこうというトレンドがあるのかみたいなあたりですね。その2点について少しお伺いできればと思います。

辻野参事官補佐: 担当参事官補佐の辻野と申します。

第1次調査については、先ほど説明したとおり外観等から調査をしまして、その調査結果を受けて再申請があった場合に第2次調査に行くというのが基本的なオペレーションになります。中には第2次調査から行う自治体もゼロではないのですけれども、それは自治体の方針によって任せているというのが実態です。第1次調査から第2次調査に行く割合は実は我々のほうではそこは調べていないのですけれども、自治体から話を聞く感触だと、10%から20%ぐらいの被災者の方が第2次調査に行くことが多いかと。これは感触ですけれども、持っています。

2点目のお話ですが、自治体がやる場合、どのくらいこうした技術を活用したいと思っているかということでいうと、我々が先ほど参考のところで説明したクラウド型被災者支援システムというシステムの説明会などを行ったときに、全自治体の約4割が参加したりだとか、今、募集をかけたところ、思ったよりも声が上がったりとか、相談、質問が非常に出てきていたりするので、自治体の方々も結構デジタル化には興味は持っているけれども、まだよく分からなくて足を踏み込めないという感じがいろいろなところで見てとれるかと思っています。具体的な数字は持っていないのですが、大体所感としてはそういったところになります。

稲谷構成員: ありがとうございます。

そうしますと、まず技術的なところで割と前向きだということが分かったのは非常に安心したのですけれども、もう一点、再申請になる方は、1回目の申請で外観で認定されたものでは納得がいかなくてもう一回申請される方が10%から20%はいらっしゃるという感じなのですか。その場合は主たる理由みたいなものは、どういうことが例えば言われたりする感じなのですか。

辻野参事官補佐: 実態としては不満を持った方が再申請することが多いと思います。再申請してくる方の多くはこれぐらいの割合なわけがないだろうとか、外から見ても全然被害はないけれども、実は中のほうで壁にひびが入っていたりだとか、天井が崩落していたりだとか、結構被害があるから中まで見てくれだとか、そういった方々がいらっしゃいます。

稲谷構成員: ありがとうございます。

そうしますと、中の被害が住んでいる方の目に見えているので例えば不満だとおっしゃるケースだったりすると、それも結構画像などを使ったりできそうな気もするのです。つまり、写真を撮ってもらってとか、あるいは構造物の重要部分なのだとご本人がおっしゃるのだったら図面か何かと一緒に送っていただくとか、そういうやり方をすると現地に行くオペレーションを減らすことができるように思ったりもするのですけれども、そういった辺りについてはいかがなのでしょうか。

辻野参事官補佐: 可能性としてはあると思います。ただ、調査事項が多いので、どこまでのことができるかといった検証が我々のほうではできていないので、それがすぐにできるとお答えは今の段階ではできないかというところです。

稲谷構成員: なるほど。分かりました。

そうすると、そういったところについてある程度技術的なものが整ってくると、さらにある意味ではご本人の申請やデータに基づいてやっていくみたいな、そういう方向に進んでいく可能性があるということでよろしいのですか。

辻野参事官補佐: そうですね。

稲谷構成員: 分かりました。ありがとうございます。

事務局(渡邉): ありがとうございました。

続いて、落合先生、お願いいたします。

落合構成員: ありがとうございます。

私からは3点ほどです。1点目が、前提としてテクノロジーを利用することや、また、合理的に行政職員が見に行かないことにする対応として、例えば自己判定方式の活用事例などもあり、前向きに取り組んでいただいていると感じました。技術の利用については特に制限は設けられていないというお話もされていたのは良かったと思います。先ほどの自己判定方式についても一定の場合、準半壊に至らないような判定の場合にはということなども、全ての判定を完全に自動化できるわけではないけれども、一定の場合だけでも対応できるようにすることで、実際の被災者の方にとって少しでも早く救済される方が出てきてプラスになると思いました。デジタル臨調でも全部いきなり自動判定をしてくださいとか、全部技術代替をしてくださいというわけでは全くないと考えています。そういった意味では部分的に利用していくところから、例えばAI、様々な写真などを利用可能であることはさらに明確に出していただくこともいいように思っています。自治体の方なども含めて考えた場合に、中央省庁で解釈や整理を示していることは利用に当たってプラスになると思いますので、例えば手引などにも最新技術、AIなども含めて書いていただくことはいかがでしょうか。

2点目としては、こういった取組を進めていくに当たって予算確保も必要ということで、デジタル臨調の中では規制改革と併せて行政改革や予算化も進めているところです。テクノロジーマップも先ほど議論をしておりました。そういう中で技術検証予算などの確保についても検討中と聞いていますので、そういった部分はデジタル臨調と連携していただけるといいと思っておりますが、いかがでしょうか。

3点目としては、先ほどの自己判定の場合のご紹介がございました。それに比べると合理的に例えば業務を実施できるような民間事業者と連携するといった方法で代替できるようにしていくこともあるのではないでしょうか。自分自身で対応していただくよりも、第三者で一定の知見がある方や、もしくは何らかの立場がある方に対応していただくことにすれば、民間の事業者も一定程度活用することもできるのではないかとも思います。こういった部分も行政と民間で連携して行っていくことがデジタル原則の中には含まれていると思っております。民間でもできるようなところはできる限り民間の力も活用していくというのが人口減少社会の中で必要でもあると思いますので、ぜひ集中改革期間の間に取り組んでいただければと思っております。

長くなりましたが、3点でございます。

藤井企画官: 落合先生、ありがとうございます。

1点目につきましては、我々もデジタルあるいは技術の活用で効率的に調査を行っていただくことができるのであれば、それはどんどん広げていきたいと思っていまして、先ほどの指針にそういったことをさらに明記していくことも考えていきたいと思いますし、参考資料として「災害に係る住家被害認定業務実施体制の手引き」というものも我々は作成していまして、この中で先進的な取組などといったものも調査した上で横展開を図っていきたいと考えています。

2点目につきましては、確かに例えばAIによる自動判定とか、そういったところまで行くために一体幾らかかるのだろうというのが我々の中でも議論をしたときに全然見当がつかないなというところもございましたので、今後デジタル庁さんなどともいろいろお話をさせていただきながら、そこら辺については我々のほうの認識を考えてみたいと思います。

3点目につきましては、民間との連携ということでは、実は先ほどはご説明いたしませんでしたが、保険会社さんは保険の支払いをするときに現地に入って調査を独自にされるのです。そういったところの調査結果などもこちらの被害認定のほうに活用できないかと。先ほど申しましたように、結局事実を確認する手段というか、それは多ければ多いほどいいと我々も思っていますので、そういったところの連携を進めていく意味でも保険会社さんの調査結果を活用することができないかというのは、実は今年度の我々の予算で確保しておりまして、調査として実施していくことを考えています。そういったところの成果も見ながら、全国で業務の効率化、デジタル技術の活用というものにつなげていければと考えております。

以上でございます。

落合構成員: いずれもありがとうございます。承知いたしました。

事務局(渡邉): 続いて、増島先生、お願いいたします。

増島構成員: ありがとうございました。

このプロセス、まさに拝見していたら、僕は保険会社さんの仕事を結構いっぱいやっているのですけれども、まさに保険会社さんの損害調査業務そのものみたいなところがありまして、彼らはテクノロジーを使いながら相当やっているみたいなところで、今まで保険会社さんで独自にやるみたいな話だったのですけれども、同じことが2つ別でやられているみたいな話であるとあまりにももったいないというのと、保険会社さんはこういうときにいかに早く払うかが勝負みたいなところで、ここで早く払った保険会社さんは高い評価を得られて、次の保険も得られてというサイクルになりますので、特に損害が発生したときの保険会社さんは早く支払う競争みたいなものをみんなでやっているみたいなところがあるので、ここの部分がすごくスムーズになることについてはとても大きな関心を持たれているだろうと感じます。保険会社さんは何社も存在をしていますけれども、ぜひ先ほどおっしゃっていただいたような保険会社さんと組んでいただいて進めるみたいなものがもっと活用されるといいなと思っていますし、他方で保険会社さんは実は支払いの調査の部分はコスト以外の何物でもないみたいなところもあって、テクノロジーはあるのだけれども、早くしていかないとみんなの評価を得られないしみたいなところで悩んでいる部分でもあったりするので、彼らの課題を解決しつつ各自治体さんなりのニーズを満たすような座組をぜひ考えていただくと、これはすごく面白いことになる。特に保険会社さんは今はこういうものを自動で払えるようなことをしたいということなので、デジタル化のニーズはすごく高いみたいな話なので、ここは完全に組める相手みたいに見えていると思いますので、ぜひそういう流れになっていただけるとありがたいと感じた次第です。

以上です。ありがとうございました。

事務局(渡邉): 内閣府さん、もしコメントがあればお願いいたします。

辻野参事官補佐: 保険会社の業務とうまく組めれば、先ほどの同じような調査を2回やる必要もないですねとか、いろいろなところでコストの解決が図られるというのはおっしゃるとおりだと思いますし、できる限り進めていきたいと考えております。そのために調査を行っていくわけですけれども、一方で、保険会社さんのとにかく早く保険金を出してあげなければという目的と、我々のほうで公的支援の根拠にするという目的が違っていたりだとか、保険に入っている方は早く被害認定調査がされるのかという公平性の問題とか、幾つかの問題をどう解決するかという部分もございますので、その辺りも考えながらできる限り前向きに進めていきたいと思っています。

増島構成員: ありがとうございました。

このプロセス、まさに拝見していたら、僕は保険会社の仕事をたくさんさせていただいているのですけれども、まさに保険会社の損害調査業務そのものみたいなところがあります。彼らはテクノロジーを使いながら様々な取組みをやっていて、これまでは保険会社が独自にやるみたいな話だったのですけれども、同じ目的を果たすものが別でやられているのはあまりにももったいないというのと、保険会社はこういうときにいかに早く払うかが勝負なので、ここで早く払った保険会社は高い評価を得られて、次の保険も得られてというサイクルになります。特に損害が発生したときの保険会社は早く支払う競争みたいなものをみんなでやる、これが健全な保険の支払い実務でありますので、ここの部分がすごくスムーズになることについてはとても大きな関心を持たれるだろうと感じます。保険会社は何社も存在していますけれども、ぜひ先ほどおっしゃっていただいたような保険会社と組んでいただいて進めるようなアプローチがもっと進むといいなと思っています。他方で保険会社にとって、実は支払いの調査の部分はコスト以外の何物でもないみたいなところもあって、テクノロジーはあるのだけれども、早くしていかないとみんなの評価を得られないしみたいなところで悩んでいる部分でもあったりするので、彼らの課題を解決しつつ各自治体さんなりのニーズを満たすような座組をぜひ考えていただくと、これはすごく面白いことになる。特に保険会社は今はこういうものを自動で払えるようなことをしたいということなので、デジタル化のニーズはすごく高いので、ここは完全に組める相手と見えているはずですから、ぜひそういう流れになっていただけるとありがたいと感じた次第です。

以上です。ありがとうございました。

黒木特別自立支援指導官: それでは、説明させていただきます。まず、該当の法令ですけれども、障害者の日常生活を総合支援するための法律ということで、ここの(報告等)というところで、第10条でして、ここで「市町村等は、自立支援給付に関して必要があると認めるときは」という、長くはなりますけれども、「これらを使用する者若しくはこれらの者であった者に対し、報告若しくは文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは当該自立支援給付対象サービス等の事業を行う事業所若しくは施設に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる」ということで、これが実地指導の条文でございまして、下のほうに書きましたけれども、「自立支援給付を行う市町村等が、適正に給付を行うために自立支援給付対象サービス等を行う者若しくはこれらを使用する者若しくはこれらの者であった者に対し、必要に応じ報告の徴収または立入検査等を行うことができるための規定」です。

この規定に基づきまして、通知としまして、私どもの障害福祉サービス事業者等の指導監査についてというものを平成26年の1月23日に出しております。ここの根拠である先ほど言いました第10条第1項の規定により「市町村又は都道府県知事が指定障害福祉サービス事業者等に対して行う質問等について基本的事項を定め、サービス等の質の確保及び給付の適正化を図ることを目的とする」ということで、そこでまた指導指針というものがありまして、実地指導の方法等ということで「実地指導の確認項目等」ということで「実地指導は、別紙『主眼事項及び着眼点等』に基づき、関係書類を閲覧し、関係者からの面談方式で行う。また、別紙『主眼事項及び着眼点等』における下線を付した項目以外の項目は、特段の事情がない限り確認を行わないものとするとともに、『標準確認文書』で確認することを原則とする」としております。

次に、現状といたしましては、障害福祉サービス事業者等の事業所を対象に定期的に実施している実地指導については、自立支援給付に関する文書の提出等及び質問等に対して、指定基準遵守状況や適正な報酬請求の確認を行うことで、自立支援給付対象サービス等の質の確保及び自立支援給付の適正化を図ることを目的としています。

これまで指導監査の実施につきましては、先ほどの通知にありましたとおり、全工程を実地でなければ標準確認文書等を確認することができないとしていましたけれども、老健局における介護保険サービス事業者や老人福祉施設において定期的に実施している指導監査については、一部オンラインによって行うことが可能となっております。
それを受けまして、老健局の取組を参考にして、今後はオンライン化を取り入れている自治体や障害福祉サービス事業者等の実態把握をする必要があります。把握した上で把握した先行した取組事例を参考に指導監査におけるオンラインの活用方法を検討する必要があります。

また、実地指導で確認している標準確認文書等の中には、実地でなくても確認できる内容があれば、自治体や事業者等の関係者からの意見を聞いてオンラインによる確認の有効性を検証する必要があります。

結論といたしまして、フェーズ2に進めるための対応案ということで、実地指導で確認する標準確認文書等につきましては、訪問時間の短縮や訪問人数の減少といった事務効率化の選択肢の一つになるかの検証のためにオンライン化の実態を把握し、及び関係者からの意見を聴取した上で、一部オンライン化の可能性について可否を検討したいと思っています。

以上でございます。

事務局(渡邉): ありがとうございました。

それでは、構成員の皆様、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。

安念先生、お願いいたします。

安念副座長: ご説明いただいてありがとうございました。

事実の確認だけ1点教えていただきたいところがあります。4ページの「3現状」というところです。ここの2ポツ目で、老健局における介護保険サービス事業者や老人福祉施設における指導監査については、一部オンラインによって行うことが可能となっているという記述がありますが、具体的には何をオンラインで行っておられるのでしょうか。

黒木特別自立支援指導官: 次の「また」というところに書いていますけれども、実地でなくても確認できる内容であればオンライン可能ですよと老健局の通知で示しておりまして、それで私どもは、そこは通知だけの話ですので、実際に自治体はどのようなことをやっているのかというのはそこまで具体的には分からないものですから、調査した上である程度具体的なことを示したいなと考えています。

安念副座長: 想像ですけれども、やはり文書ですか。文書をデジタル化したもの。

黒木特別自立支援指導官: 基本は私も確認文書という言葉を書きましたけれども、例えば指定の関係でいけば指定の申請書類などでもこういったものが要るという必須のものがありますから、それをこちらで確認しなければいけないもので、認定とかそういうことが必要のない普通の標準的な市町村にも提出しているようなものだったら、そのまま出せばいいわけですから、私もそういった文書ではないかとは思っています。

安念副座長: ありがとうございました。

私も想像はそうなのですが、もしこれからデジタル化を拡大していくとなると、例えば施設や設備の物理的な状態の確認であるとか、あるいは入所しておられる方からの事情の聴取であるとか、そういうところまで自治体でやっておられることがあるのか、あるいはそういう可能性があるのかということについて、今、お答えいただく必要はありませんけれども、可能であればお調べいただけたらと思いましたので、その点はお願いできればと存じます。
以上です。

黒木特別自立支援指導官: 貴重なご意見をありがとうございました。参考にさせていただきたいと思います。

事務局(渡邉): 事務局渡邉ですけれども、今日は厚労省の老健局さんにもご同席いただいているかと思いますが、今の安念先生のオンライン化のご質問について、もし何か補足でコメントをいただけることがあればお願いしたいと思います。

厚生労働省: ありがとうございます。老健局介護保険指導室のミウラと申します。よろしくお願いいたします。

老健局の介護保険の内容につきましては、先ほどの監査の全工程のうち、3つに分けて指導を考えております。1つは介護サービスの実施状況の指導、それから、最低基準等の運営体制の指導、それから、報酬請求事務の指導に関してです。これらにつきまして、例えば先ほどお話が出ましたような設備の基準状況であったり、入所者の利用者さんへの聴取であるとか、そういった介護サービスの実施状況の指導につきましては、なかなかデジタル化は難しいのではないかと思っていまして、それ以外の部分につきまして、一部オンライン化できるところにつきましてはオンラインにしてもいいですと。ただし、セキュリティーの問題であるとか、例えばオンラインにするための設備の問題が介護保険施設等に過度の負担にならないように、行政側と介護保険施設側と双方話し合った上でのオンライン化を認めているという取組です。

老健局からは以上です。

安念副座長: 安念です。

課題の所在が見えてきたと思いました。ありがとうございます。

事務局(渡邉): ほかにご意見、ご質問等はございませんでしょうか。

落合先生、お願いいたします。

落合構成員: ご説明ありがとうございます。また、今後フェーズを進めていく方向で議論していただいておりまして、ありがとうございます。

その際に、安念先生もおっしゃっていただいた部分とも重なりますが、できるだけ広い範囲でデジタル技術を利用できる可能性を見ていっていただければと思います。その中で、先ほどご説明にもあった実施状況の指導などは、もしかすると見せたくない虐待の場面とかを見つけることができることもあるでしょうから、そこはある意味でオンラインで完結しないで適切に現地を見に行くことも必要だとは思います。一方で、かなり様々な事項をオンラインに移行したり、もしくは例えば自治体等によって十分人数が確保できず、十分に巡回できないことがあるのであれば、むしろオンラインを利用することによって実際に指導する回数を増やすといった考え方もあり得るのだとは思います。もちろん現地調査が必要なところは確実にある領域だとは思いますが、一方でデジタル化をできるだけ広い範囲で活用ということも、ぜひご検討いただければと思っています。

黒木特別自立支援指導官: ありがとうございました。ご意見を参考にさせていただきたいと思います。

落合構成員: ありがとうございます。

事務局(渡邉): ほかにご意見、ご質問等はございませんでしょうか。

よろしければ、一旦ここで質疑応答を終了させていただきたいと思います。追加のご意見、ご質問等があれば、事務局にお寄せいただければと思います。

また、構成員の皆様からいただいたご意見を踏まえまして、厚労省の皆様には追加のご検討をお願いする場合もございますので、引き続きご協力をお願いしたいと思います。

それでは、2点目のパートを終了させていただきます。厚生労働省の皆様、ありがとうございました。

それでは、ヒアリングの3点目でございますけれども、「建築物の空気環境に係る定期測定・点検」についてです。

それでは、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課の高宮課長から、ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

高宮課長: 厚生労働省生活衛生課長の高宮と申します。よろしくお願いします。

私からは「建築物の空気環境に係る定期測定・点検」について説明をしたいと思います。資料を1枚めくっていただいて、2枚目からになります。該当する法律、建築物における衛生的環境の確保に関する法律ですが、内容は後ろのほうの概要資料で説明をしますので、条文の抜粋は説明を省略します。2枚目と3枚目が法律、政令、それから省令について該当部分を抜粋したものになっています。

4枚目、今回の建築物の空気環境の定期測定・点検の規制の趣旨・背景になります。「歴史的経緯・背景」については、建築物の大規模化、高層化が進むという中で、国民の生活環境に占める建築物の室内環境のウエートが増加していると。ビルを利用する人たちの健康保持・環境衛生の確保に対する配慮が薄く、不十分な温度調整に起因する冷房病、不十分な清掃などに起因する浮遊粉じんの増加などの健康事故が発生して、社会的にもその対応が必要であったということです。昭和41年に公害審議会から、空気調和などの管理基準を策定すべきという答申が出されています。この答申も踏まえて、昭和45年に建築物の衛生的環境の確保に関する法律が成立している状況です。

「規制の趣旨」については、下のほうの四角で囲んだところです。①で、空気環境について、十分な換気が行われなければ、粉じんやホルムアルデヒド等による汚染、一酸化炭素や二酸化炭素による健康への悪影響、あるいは空気感染やエアロゾル感染を起こす感染症の感染拡大のおそれということ、②で、適正な温度、湿度が確保されなければ、利用者に過度のストレスがかかり健康への悪影響の懸念ということ、③で、冷却塔、加湿器、空気調和設備等の維持管理が適切に行われなければ、レジオネラ属菌をはじめとする微生物が増殖して、健康被害が発生ということです。一番下の○で、このような健康被害が発生しないよう、建築物衛生法において、室内環境、空気調和設備等の衛生面の維持管理のために、定期測定、定期検査等により状況確認をして、その結果に基づく清掃等の措置を講じなければならないとしているものです。

5枚目が、建築物衛生法の構造についてまとめた資料になります。まずは法律で特定建築物、建築物のうち、多数の方が使用、利用、その維持管理について、衛生管理上、特に配慮が必要な延べ床面積3,000平米以上の建築物について規定をしています。その特定建築物の維持管理の権限者に、建築物環境衛生管理基準に従って維持管理することを義務づけております。この建築物環境衛生管理基準については、政令で細部を定めていて、さらにその細部、検査項目、測定頻度などについては省令で定めているという構造になっています。

6枚目、定期測定・定期点検ということで空気環境の調整に関する基準になります。一番左の浮遊粉じんとか、一酸化炭素、二酸化炭素などについて管理基準、水準を定めた上で、真ん中の測定頻度、2か月以内に1回測定ということを省令で規定しています。また、測定機器については右側に書いてあるとおり、こちらも省令で規定をしております。

7枚目、空気調和設備に関する基準になります。こちらについては、左側の2つ目の列、冷却塔、冷却水、加湿装置の点検、それから、その下の排水受けの点検について、1か月以内ごとに1回点検ということを、これも省令で規定をしています。

最後の8枚目、現状のフェーズ、フェーズを進めるための課題について、今後の進め方を整理しているものになります。現状のフェーズについては、省令で月1回測定・点検と規定をしているので、フェーズ1に該当するものです。こちらについて、科学的エビデンスの収集、関係団体・関係機関と調整を行って、フェーズ1から目指すフェーズに向けて検討を進めていくことを考えています。その際の課題としては、衛生水準の低下、健康被害を防ぐことができるのか。それから、月1回みたいな定期的な測定ではなくて、自動測定技術で測定をした場合の精度の管理、測定値の真正性が継続して担保できるのかということが課題だと思っています。それから、その自動測定技術の測定機器の供給体制、あるいは費用が適切かということが確認する点かと思っています。

令和4年度から研究事業を行っています。IoTを活用した建築物衛生管理手法の検証のための研究を令和4~5年度で実施をしているところです。建築環境の専門家、建築工学の専門家、産業保健の専門家、あるいは空調機器のメーカーですとか、計測器のメーカーの方にも入っていただいて、今、研究事業を行っています。内容はその下の左側の四角で書いてある自動測定技術の調査、文献調査あるいは情報収集、専門家、企業にヒアリングやアンケート、自動測定技術の開発動向や導入例のアンケートやヒアリングをいたします。あとは特定建築物の管理技術者に対して、自動測定技術に関する認識あるいはニーズについてアンケート調査を行おうと考えています。それから、真ん中の四角で実際に様々な建築物で自動測定と既存方法による測定のデータの比較検証を行いたいと考えています。自動測定の技術の連続測定のデータ精度・測定位置・代表性等に関する比較を行いたいということです。その上で、その下の四角で既存方法による測定と自動測定の長短、それから、自動測定が既存方法による測定と同等以上の精度を確保するために必要なセンサーの精度、較正頻度、劣化の状況、測定位置、測定間隔、データ処理と解析方法などを研究したいということです。

その研究結果を基にして、関係団体・関係機関との検討会で検討していって、デジタル技術の活用による規制目的の達成を目指したいと考えています。この分野、建築物の衛生関係の関係団体、実際にビルメンテナンスを行っている事業者の団体は幾つかございます。それから、ビルの協会、オーナー、建築物の環境衛生に関する試験や教育を行っている団体だけでなく、都道府県や政令市といった自治体等も関係しますので、これらの関係者と検討したいと考えています。

私からの説明は以上になります。

事務局(渡邉): ありがとうございました。

それでは、構成員の皆様、ご意見、ご質問があればお願いいたします。

増島先生、お願いいたします。

増島構成員: ご説明をいただきまして、どうもありがとうございます。

我々は民間事業者でいくと、いわゆるビルメンのビジネスをやられていらっしゃる方は、この法律をベースに必要なチェックなどをされているのかと思いながらお伺いしたところでございます。今回のビルのメンテナンスみたいな分野は、BEMSとかいろいろやられていらっしゃるいろいろな業者さんがここに入ってきているというのは承知をしていますが、規制のデジタル化のルールの入り方としては、基本的にはプラントメンテナンスのところを経産省さんなどがやっていらっしゃると思いますけれども、ああいうものに比較的近いのかという感じがしていました。プラントも定期的にこれを見ろ、あれを見ろとか書いてあったものに対して、これを自動化してセンサーを入れて、ちゃんとできているという人については、何か月に1回とかそういう話ではない形で全体をやっていいだとか、もしくは立入検査が来るみたいな話が免除されるとか、割とそのような形でテクノロジーを入れていって自動化していくことにインセンティブをかけるような仕組みを入れていくことで、望ましい規制体系もしくは公務員側の業務が減るような形の仕掛けを入れていこうという発想もありました。また、データを取っていくことで、そのデータを活用して逆に今までよりもずっとよい状態をつくる。プラントだと保険とかと絡んでいったわけですけれども、そういうフェーズに持っていこうという構えで経産省さんもやられていたように見えますので、全体的にはそのようなものになっていくといいなという感じがしたということです。まだ実証でどのようなことをやっていくかはご検討の中だと思いますけれども、もし参考になるところがあれば参考にしていただければと思いました。ありがとうございます。

高宮課長: 今、ご指摘いただいたように、経産省のプラント点検とか、ほかのところでどのようなやり方をやっているかというのも参考にさせていただきながら、研究、検討を進めたいと思います。ありがとうございます。

事務局(渡邉): 続きまして、岩村構成員、お願いいたします。

岩村構成員: この問題については、私どもも2019年度から要望を寄せてきたところです。具体的には、測定機器のIoT化や点検のリモート化、デジタルツインを活用した記入のシミュレーションです。数値測定や点検を効率化するサービス、これはスタートアップも含めて複数存在するということで、実際に活用が始まっているという話も聞いています。定期点検よりもむしろ常時のモニタリングができればそれはそれで結構だと思います。ご説明にもありましたが、ぜひやっていただきたいと思っている案件です。

その中で、令和4年、5年、6年と工程が出ていますけれども、ここをもうちょっと縮めるとか、そういったことが可能かどうか、というところはいかがでございましょうか。教えていただければと思います。

高宮課長: ありがとうございます。

今、これまでも要望いただいたということと、スタートアップなどがあるのだというご指摘をいただきました。我々もこの研究事業の中で専門家あるいは企業にヒアリングで今の自動測定技術などの開発動向、導入例などをお聞きしたいと思っていますので、こういう企業、スタートアップがあるよというものがもしございましたら、また事務局を通じて教えていただければと思います。

検討の年度ですけれども、研究事業は始めたばかりの状況でございます。研究事業を進めていく中で並行して関係団体・関係機関との検討がもし行えるような状況でしたら、並行して検討も行うということを考えたいと思います。まずは研究事業を本当に立ち上げたばかりですので、今の段階でもう少し前倒しできますとは言い難いですので、今後考えたいと思います。

岩村構成員: 分かりました。ありがとうございます。ご協力できるところはご協力させていただきますので、よろしくお願いいたします。

事務局(渡邉): 続いて、落合先生、お願いいたします。

落合構成員: ありがとうございます。

私も1つあります。これから研究を進めていただくということで、前向きな取組をしていただいていると思っています。その中で計測の手法について、同じように測らないと同一の目的が達成できないわけでは必ずしもないに伺いました。別のものを測定することによって一定の安全性を確保するといったことも、議論される場合がほかの分野ではあるように思っています。しかし、そこはどういう技術が実際にあるのかは事業者からの提案もあってではあると思いますが、もともと設定されていた計測項目に必ずしもとらわれず、必要な情報が得られれば代替できるという形で、そういう可能性にもつなげるような視点も、もし提案等があればぜひ検討していただればと思いますが、いかがでしょうか。

高宮課長: どのような技術があるのかも含めて調査していこうと思っていますので、おっしゃったようなこのような技術あるいはこのような項目というものが研究事業あるいは関係者と検討する中で出てくれば、そういうものも見直しの中で取り入れていきたいと考えています。

落合構成員: ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

事務局(渡邉): 続いて、稲谷先生、お願いいたします。

稲谷構成員: 稲谷でございます。ありがとうございました。

私のほうも少し関係があるのかと思ったのですけれども、空気環境の調整のほうですか、こちらの基準の中には例えば「居室の温度を外気より低くする場合には、その差を著しくしないこと」みたいなすごく定性的な概念が入っていたりするところもあって、健康の増進や健康維持という観点から何が指標になるべきなのかということを、割と客観的な指標としてつかまえられるようにしていくことを目指されるということが、落合先生がおっしゃったようにあると、よりいい方向に行くのだろうと思ったというのが1点目。

もう一点は、こちらはイメージが私はあまり湧かなかったので、ぜひ教えていただきたいのですけれども、この空気調和設備の基準の方ですが、この規制を残しつつデジタル化するとするならば、これは機器の汚れ具合とかを調べるイメージなのでしょうか。細菌の発生自体を抑えるとかという話になってくると、IoTなどを使ってモニタリングするのもそうなのですけれども、機器自体をそういうものがあまり生じない方向にしていくみたいなことも対応策としてありそうな気もするところです。こちらの方について、将来のデジタル化とかITを使って、あるいは高性能な機器を使って健康増進のためにうまく使っていくみたいな話だとすると、どういったことをイメージされているのかを、現段階でも結構ですので、簡単にご教示いただければと思いました。

事務局(渡邉): 厚労省さん、すぐお答えが難しいようでしたら、改めてということもありますが。

高宮課長: 今、検討しているのは、この測定の技術について、汚れあるいはカビ、細菌の状況がどうなっているかを、デジタルを活用した形で測定できるのかできないのかというところを調査、研究したいということを考えています。指摘を受けたのは、そもそもの設備自体は汚染されないような設備みたいなものが考えられないのか、今はないのかという指摘だったと思います。またそれはデジタルとは別の観点での検討になるのではないかと思います。

厚生労働省: 今の先生のご指摘については、そもそも菌が湧かないような設備にするというのは考えられないのかということだと認識したのですけれども、空気中の空気と触れるような部分でもありますので、冷却水などはどうしても雑菌が湧いてしまうものです。そうすると、材質を抗菌性のものにするのかという話になってしまいますが、そういうものができるかどうかは今の段階では何とも申し上げられないのかと思います。

稲谷構成員: ありがとうございます。

仮に清潔さを保つための規制を残していくのだとすると、今ご指摘のあったような、抗菌みたいなものも使っていって、デジタル技術との合わせ技で基準をクリアできるようにするというやり方もあってもいいような気がしたというだけの話です。すみません。

事務局(渡邉): ありがとうございました。

ほかにご意見、ご質問等がございませんでしたら、ここで一旦質疑応答を終了させていただきたいと思います。追加のご意見、ご質問があれば、事務局にお寄せいただければと思います。

また、今日、構成員の皆様からいただいたご意見を踏まえまして、追加のご検討をお願いする場合もございますので、厚生労働省の皆様におかれましては、引き続きご協力をお願いいたします。

それでは、3点目のパートを終了させていただきます。厚生労働省の皆様、ありがとうございました。それでは、ここで安念先生に議事進行をお返しさせていただきます。

安念副座長: 渡邉参事官、ありがとうございました。

さっき増島先生が大企業のことをおっしゃっていました。スタートアップは大変結構なのですが、私も実は全く同感でして、やっぱり日本は大企業社会なのですね。いいことだとは思わないのだけれども、大企業が圧倒的に人材の集積があるのです。だから、その中でスタートアップ的志を持ちながら、鬱勃たる志を持ちながら半分くすぶっているみたいな人はいっぱいいて、そういう人にも活躍の場というか、志を伸べる場を与えたほうが全ての人にとって幸福だと思うのです。ただ、そういう人は公に募集をかけて、あなたはくすぶっていますかと言ったって来やしないので、これは人的に一本釣りしていくしか手がないのです。これは面白い人はいませんかと手繰り寄せていくと、なかなか面白い人が出てくることは十分あるだろうと思います。というのを増島先生のお話をさっき伺っていてつくづく感じたところでございます。

最後に、小林副大臣から一言お願いをしたいと存じます。

小林座長: 今日も委員の皆さん、そして事務局の皆さん、ありがとうございました。

議論していただいたテクノロジーマップのところは非常に重要だと思っていまして、相当皆さんの知見を入れていただき、うまく抽象化して汎用化できるようなものに仕上げていきたいと思っています。ここは皆さん燃えるところだとおっしゃっていただいたのですが、引き続きしっかり燃えていただいて、知見を注入していただきたいと思っています。

行革をどうするのかという議論があったのですが、それはとても重要でして、もともとこれを始めた私なりの思いは、この国の20年間の成長が停滞した部分の総括は、制度論とリソース論と特にこの国と地方のガバナンス論というこの3つをおろそかにしてきたからだと思っています。いろいろな正論は述べられるのですが、では、それは誰がどうやってやるのだっけという議論はいつも詰まらないまま、浮遊した議論がどこかに行くということだったと思っています。そういう意味でいくと、このデジタル臨調というのは、ちゃんとそのリソースがここに用意されて、このスタッフがそろった時点でもう勝ったと私は思っていますし、実際にそういう議論がこれまでも行われてきたと思っています。そういう意味では、規制改革も大事なのですけれども、行政改革でこの国を動かしているこの霞が関をどうやっていいものにしていくのかというのは臨調の議論の中で決して忘れることのないように、これからも議論を進めていきたいと思っております。そのためにも、今日の議論の中にあったようにテクノロジーを活用して、なるべく役所の仕事がトランスフォーメーションできるようにということだと思っていますので、この規制改革がこっち側の行政改革にもつながっているということも、接続しながら議論を進めていけたらと思っております。

いずれにしろ夏前に一旦報告が取りまとまったので一息ついたところでしたけれども、ここからいよいよ具体的にこのテクノロジーマップの整備をし、そして、来年に向けて法改正があり、できるところから政令、省令の改正ということで、結果が出てくるのはこれからだと思っています。そういう意味では、増島さんからも言っていただきましたが、多くの皆さんにこの役割を、マーケティングをしっかりして、たくさんの人に参画をしてもらえるようにすることがすごく重要だと思っていますし、安念さんからもおっしゃっていただいたように、その中でチャンスがあると思っていただいて、大企業の一つの研究とか一つの個人がやっている取組みたいなものがスピンアウトして新しい事業に立ち上がってくるということができると理想的だなと、このように思っております。

というわけで、いよいよここからが本番だということを皆さんと共有して、締めのご挨拶にさせていただきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、事務局より次回の作業部会の開催についてご説明をお願いします。

事務局(松田): 次回の作業部会につきましては、8月30日火曜日10時より開催させていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

なお、本日の議事につきましては、公開になじまないものはないと考えておりますので、後ほど議事録を作成し、皆様にご確認をいただいた上で、公開をさせていただきたいと思います。

また、本日の資料につきましては、特段のご異議がないようでございましたら、全てデジタル臨調のホームページにて公開をさせていただきたいと思います。

本日はご参加いただき、ありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。

次回13回は8月30日ということでございますので、次回はまた小林座長の下で開催できることを確信いたしまして、今回はこれで終了とさせていただきます。どうも皆さん、お疲れさまでございました。