本文へ移動

デジタル臨時行政調査会作業部会(第1回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)2月10日(木)17時00分から18時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. デジタル原則への適合性の点検・見直し作業の方針案
      2. 今後の作業部会の進め方
      3. 法制事務のデジタル化検討チームの設置について
      4. 意見交換
    3. 閉会

資料

関連情報

議事録等

日時

令和4年(2022年)2月10日(木)17時00分から18時00分まで

場所

オンライン会議

出席者

座長

  • 小林 史明(デジタル副大臣)

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科教授)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
  • 上野山勝也(株式会社PKSHA Technology代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 菅原晶子(経済同友会常務理事・政策統括)
  • 根本勝則(日本経済団体連合会専務理事)

議事録

事務局(松田): それでは、定刻となりましたので、第1回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開催したいと思います。

デジタル庁参事官の松田でございます。よろしくお願いいたします。
まず、本作業部会の座長であります小林デジタル副大臣から、作業部会の開催に先立ちまして御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小林デジタル副大臣: 作業部会のメンバーの皆さん、今日はオンラインで参集いただき、ありがとうございます。

今日から、デジタル臨時行政調査会の具体的な改革の見直しがいよいよ始まることになります。既に事務局が非常に頑張っていただいて、約1万あるこの国の法令を確認していただいた結果、約5,000のアナログな手段を限定した条項が見つかっています。これだけの数のアナログな条項が、この国のデジタル化を阻んできた証左だと思います。大きな壁だというふうにも見えますけれども、現在でも先輩たちのおかげで非常に豊かなこの国が回っていることを考えると、この5,000を突破することができれば、この国は大きな伸び代がある、むしろ伸び代しかないのではないかと思えるような数だと私は捉えています。

この5,000を一気に見直すという取組を実現することができれば、それはすなわちこの国の社会システムの仕様を丸ごと書き換えるぐらいのインパクトがあると思っています。それは地域の皆さんの人手不足解消にもなりますし、企業の皆さんの生産性向上にもなりますし、新しいソリューション、デジタルな手法が新たな産業にもなるということだと考えています。

特に先行して行われた押印の廃止によって、企業の生産性は上がり、国民の利便性も上がり、さらにはこの2年間で押印に代わる電子契約サービスのマーケットは約2倍に成長しています。我々の取組こそがこの国の課題を解決し、そして成長産業も生み出す、そんな重要な取組であると思っています。

今日は、まずは有識者の皆さんと我々事務局で改革の方針ややり方について意識合わせを行い、今後、各省庁と協議を始めたいと思っています。

最後に、大事なポイントを共有します。今回の改革で5,000を一気に見直せるかどうかは、全ての省庁が自律的に自分たちのルールを見直すというモチベーションを持てるかどうかにかかっていると思っています。これはこれまでの規制改革のやり方とは少し変わります。そうすると我々作業部会の議論のやり方も変わると思っていまして、いかにそれぞれの省庁の改革を後押しするか、そしてサポートして前向きに取り組む方々を増やしていくかが重要になってくると思います。どちらかというと、ぶつかっていくというよりは寄り添って、そして肩を抱き寄せて、共に前に進んでいく、そんなスタンスでこの作業部会を進めていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

事務局(松田): 続きまして、各構成の皆様に一言ずつ御挨拶をいただきたいと思います。最初に、恐縮ですけれども安念先生、一言いただけますでしょうか。

安念構成員: 本当に一言だけ。中央大学法科大学院の安念と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。続きまして、稲谷構成員、よろしくお願いいたします。

稲谷構成員: 初めまして。京都大学大学院法学研究科の稲谷龍彦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。続きまして、上野山構成員、よろしくお願いいたします。

上野山構成員: PKSHA Technologyという、自然言語をソフトウエアに理解させるような技術群を主に機械学習と技術面でやっております上野山と申します。

文書や法文書のような自然言語で書かれたものとコンピューターみたいなものの相互作用とかは非常に興味のある分野ですので、いろいろと議論できればと思っております。よろしくお願いします。

事務局(松田): ありがとうございます。続きまして、落合構成員、お願いいたします。

落合構成員: 渥美坂井法律事務所の落合と申します。私は規制改革推進会議の専門委員なども兼務させていただいています。よろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。続きまして、菅原構成員、お願いいたします。

菅原構成員: 経済同友会の菅原と申します。私も規制改革推進会議ではデジタル基盤ワーキング等を兼務しておりますので、しっかりと連携ができればと思っております。よろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。根本構成員、よろしくお願いします。

根本構成員: 経団連の根本です。積年の課題ですので、全力を挙げて取り組ませていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございました。なお、増島構成員につきましては、本日は所用により欠席されております。

それでは、事務局より資料1から3に沿いまして、本作業部会の設置について御説明させていただきます。

まず、作業部会の設置についてでございます。

内閣総理大臣決裁ということでございますけれども、事前にも御説明していますので、中身のポイントだけ。

デジタル臨時行政調査会の下で、具体的なデジタル原則への適合性の確認プロセスの構築と、今ある規制についての点検・見直しを進めるというのがこの作業部会の任務となってございます。

座長としては、デジタル副大臣、構成員としては、今御参加の構成員の方にお願いしているところでございます。

運営要領でございますけれども、作業部会において配付された資料は、原則として、公表する。作業部会の議事録は、原則として、公表する。他方で、以下の場合、作業部会の決定を経て、資料もしくは議事録の一部または全部を非公表とすることができるということで、率直な意見交換または意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあると認められる場合等々、幾つかの場合に限ってこうした取扱いということを作業部会の決定を経て決めていきたいと考えてございます。

このほか、具体的な詳細、その他の部分につきましては座長が定めるということで進めさせていただければと思っております。

これにつきまして、何か確認したいこと等がありましたら、御発言をお願いいたします。

よろしければ、この内容についてはこれで御了解いただいたということで、続きまして、本作業部会の副座長の指名に移らせていただきます。

本作業部会におきましては、議事の具体的進行や各委員からの意見の実質的な総括・整理を行う役職として、先ほど御説明いたしました実施要領に基づきまして、副座長を設置したいと考えております。副座長につきまして、安念先生にお願いしたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

事務局(松田): ありがとうございます。特段の御異議がないということでございますので、安念先生を副座長として御指名させていただきたいと思います。それでは、安念先生、もしよろしければ副座長として簡潔に一言御挨拶いただいた上で、司会進行のほうをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

安念副座長: 御指名をいただきました安念でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

先ほど副大臣から、アナログの規制が取られている5,000の条項というお話がありましたが、あれは正規の法令だけの話ですね。法律、政省令だけで、ほかにもいろいろな通知・通達、さらにはひょっとすると地方公共団体の条例、独法の様々なガイドラインといったものもあって、すぐに万の単位になるだろうと思います。

考えてみると、数が多ければ多いほど横断的に一気にやるしかなくて、これを各個撃破しようなんていったら何十年かかってしまうか分かりませんので、とにかくキャタピラーで通るように横断的に対応していかなければいけないのだと思うのですが、その際つくづく思うのは、これも副大臣からお話があったのですけれども、我々が所管の省庁と対決してもしようがないのであって、結局は所管省庁に自主的にやっていただかなければいけないわけです。その場合、人間はモチベーションのないことは誰もやりませんので、こういう改革をするモチベーションを発見し補強するということが、我々がやらなければいけないことの最も重要な使命なのではないかと痛感しております。

至らぬところが多いと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、早速議事に入っていきたいと思いますが、私のほうで司会をさせていただいてよろしいですか。

事務局(松田): よろしくお願いします。

安念副座長: ありがとうございます。それでは、資料4と5に基づいて、事務局より御説明をお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。

資料4から、投影しながらかいつまんで御説明させていただきます。

「デジタル原則への適合性の点検・見直し作業の方針案」でございます。

1ページ目は確認的な部分もありますけれども、まず、我々は年末に構造改革のためのデジタル原則をデジタル臨調で御議論いただいて、決めていただいた。最終的にはそれを年末に重点計画という形で閣議決定もされていることになります。デジタル完結・自動化原則、アジャイルガバナンス原則、官民連携原則、相互運用性確保原則、共通基盤利用原則といった原則をこの政権としては閣議決定した、各省庁、この原則に沿ってまず考えていただいた上で、この見直しをデジタル臨調と一緒になって考えていくというのが基本的なスタンスかと思っています。

続きまして、2ページ目です。先ほど副大臣、安念先生の両方からありましたけれども、約5,000の条項も一部ということですが、全体像、法律・政令・省令について約1万本を洗い出したところ、7つの項目についてアナログ的な規律があるではないかということで、具体的には約5,000条項が点検対象ということで、この洗い出しが一旦終わっているということになっています。

加えまして、左側の下を見ていただければと思いますけれども、告示でこれと別途1万、法律・政令・省令の並びで1万、告示が1万、通達が約2万ということになってございます。その他、独法等が定めるガイドラインもあるかと思ってございます。これについても今、追加で点検作業を開始しているところでございます。

真ん中の作業項目で、事務局で積極的に点検している7項目についての洗い出し、法令と通知・通達に加えまして、経団連、同友会を含めて経済界の要望ということで、今回、経済界には相当力を入れて洗い出しをしていただいております。具体的な条文を含めて、課題と条文というところをやった結果、何が効果があるのかといったところもかなり出していただいております。全体で2,000件近い件数をいただいておりまして、これについても精査をしていっていることになります。

一番右の作業の状況ですけれども、先行事例、類型の当てはめについて、2月上旬に作業部会ということで、今日キックオフをして、並行して各省庁とやり取りをしながら具体化をしていきたいと思っています。

先ほど菅原構成員からもありましたけれども、実は規制改革で先行してやっていただいたものを横に広げていくというところが重要かと思っていまして、各省庁に対しても、この省でここまで改革をしている例がある、そのときにこういうテクノロジーを使っているということもよく示しながら、横に展開していくことが大事かなと思っています。

通知・通達等については今、洗い出しをしていますけれども、洗い出し作業が終わり次第、同じく点検をして、どうしたら見直しができるのかを具体化していきたいと考えています。

経済界要望についても、一個一個の一点物というよりは、類型化できるものをしっかり拾い上げていくということで考えております。今までいただいたものを分析している限りは、7割ほどは、もともとの7項目、目視や点検といったところと同じところに必要性を感じて出していただいていると認識しておりますけれども、それ以外のところ、新しい類型化の課題について精査を始めているところです。

一番下に自治体の取組の後押しと書かせていただいております。条例等で一部課題がある場合、地公体で積極的・自主的に取り組まれる取組を後押ししていくことも今回のアジェンダとして入れております。これについては別途、総務省ともよく相談しながら、ここではマニュアルの提示や先行事例を情報提供するといったことも書かせていただいていますけれども、各自治体へのサポートは何ができるかということも取組を進めていきたいと考えています。

続きまして、これから以降が類型化ということで、事前に委員の方に御説明しておりますので少しポイントを絞って説明させて頂きたいと思います。横串を通していくということで、ある程度類型化をして、各省とどこまでは行けるかというところ。その場合に技術的なものやシステムでどういう支援なり対応が必要なのかということも併せて議論していくためのある種たたき台と認識をしていただければと思います。

例えば目視・実地監査規制の現状ということで、法令により「目視」「実地」「巡視」「見張人を配置」が規定されている。もしくは、法令には「目視等」と書いてあるけれども、どこまでの代替手段が認められるか分からないので、結局目視しかできていない可能性があるものを洗い出しております。

左側から一定の基準への適合性を判定するような類型のものや、実態・動向などの調査のもの、監視をするといった類いのもの、幾つかの類型があります。これについてはフェーズ2と3に分けております。

フェーズ2につきましては、情報収集についてはデジタルによって変えていく。ただ、これについては人による評価をしていくという分類だと整理をしています。

フェーズ3につきましては、情報収集のデジタル化だけではなくて、判断についてもデジタルテクノロジーを使って精緻化、自動化、無人化をしていくことができるのではないかということで、フェーズ2、3とざっくり分けてみた上で、どこまでが規制について対応できるのかということを、これから個別の当てはめをしながら各省と調整していくことを考えています。

定期検査・点検の類型化については、法令に一律に年1回とか月1回とか日1回ということが規定されているというのが典型的なパターンです。これについてはフェーズ2と3に分けています。

第三者検査について、一番左の箱の分類です。真ん中が自主検査です。多くの場合、自主検査と第三者検査がある種セットになって規制ができている場合もありますけれども、これは分けて整理しています。一番右は調査・測定という分類です。

フェーズ2のところは、基本的にはデジタルで常時データが取れてくれば、それを使って検査周期を延長していくということにまず取り組めないかということでありまして、この分類をフェーズ2、検査周期の延長等ということで並べています。

フェーズ3は、そもそも常にデータを取って解析していれば、何らかの期間に1回検査しなければいけないという規律自体を撤廃する、もしくは常時監視しているという形に変えていくというのがフェーズ3ということで整理をさせていただいております。

「常駐・専任」規制の類型化です。大きく①と②ということで、主として物のチェックをする施設や製品の管理、品質保持などのチェックをするための常駐もしくは専任の規制が①です。

②のほうが、主として人への対応をする場合に常駐・専任を求めているということでグルーピングをしています。

その上で、常駐義務の見直しということでは、遠隔監視等々によって規制を緩和できないか。専任義務につきましても、同じく専任者の資格要件の緩和等で合理化できないかといったことがフェーズ2としています。

かなり大胆かもしれませんけれども、徹底して技術を使うことによって、そうした規制自体を撤廃する、もしくは別の形に変えていくことができないかというのがフェーズ3となっています。

続きまして、6ページ目については、公的な証明書・講習・閲覧に対面・書面を求める規制の類型化です。コロナ禍でもいろいろな公的な資格に関する講習もございますけれども、オンライン化が進んでいるものもある一方で、まだそれが十分対応できていないものもあるということですので、講習のところについては、類型というのは講習受講についてのオンライン化の部分と受講申込みのオンライン手続を可能とできるかどうかということ。例えば受講票や修了証等のデジタル発行を可能とするかどうかといったところで、業務のフローごとにどこまでがデジタル化できているのかが物によってかなり異なっているということです。

最終的にはフェーズ3ということで、デジタル完結を基本とすることが原則でありますので、できるものについてデジタルを原則にしていくということでありますけれども、どの部分の類型までできるのかを個別に当てはめながら議論していきたいと考えています。公的証明書の掲示や公的情報の閲覧・縦覧についても同じような考え方で整理をさせていただいております。

続きまして、今後の進め方です。

今日キックオフをして、規制の類型化・フェーズの基本方針を議論いただいた上で、2月、この後の会議で遠隔監視カメラ、ドローン、ロボット、AI等々を提供するような複数の企業からヒアリングをさせていただく、もしくは先行的な規制の見直しを行った関係府省庁からヒアリングをする。まさにそこは先ほど安念先生からもあったような、どういうモチベーションで、逆にどういう課題があったのかというところもしっかり聞きながらやっていくことも重要かなと改めて思っています。これをやった上で、規制の類型化・フェーズの基本方針の確定をしていくことを考えています。

3月になりましたらば、実地監査・目視、常駐・専任、定期検査、講習・掲示・縦覧・閲覧の4テーマごとに、各省庁に来ていただいて、ここを重点的に議論していくということをさせていただければと思っています。

その上で、3月下旬、作業部会で関係省庁とのヒアリングを踏まえた類型化・フェーズの見直し方針の確定ということで、類型をしっかり確定させた上で、主要な規制についてはここで、当てはめをここに持っていくのだということをできるだけ固めていければと思っています。

4月は、3月の集中開催の際に取り上げられなかった規制項目について追加で議論していただくということと、それまでには通知・通達等についても洗い出しを終えることを前提として、それについても同じく主要な項目について議論していく。

その上で、春に規制の一括見直しプランをまとめていくということを考えています。

並行して、我々はこの作業部会の大きな指針として何を出していくのかということで事務的にも動いていきたいと思っていまして、関係省庁とは年末からやり取りを始めていまして、年末、年明け含めて、先ほどお示しした類型化の案等々も示しながら、議論を開始しています。当てはめの可能性についても少し具体化をしようということで、調整を始めようとしているところです。よって、事務的に並行して調整させていただきながら、この場で決めていただいた方針をしっかり踏まえ、関係省庁と調整し、その結果を、またこの場で御議論いただければと考えています。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
それでは、今の御説明について御意見や御質問がありましたら、どうぞどなたからでも御遠慮なくおっしゃってください。
菅原さん、どうぞ。

菅原構成員: ありがとうございます。2点申し上げます。

最初に、類型案が出ていますが、類型化は非常に分かりやすいのでいい整理の仕方だなと思っています。これからヒアリング等もしながら、最終的に類型化・フェーズの方針を確定するということですが、提示されている4つの類型でもレベルに差がある感じがしますので、一度皆さんと議論して、整理する必要があると思います。

その際に、そもそも必要か否か、つまり要らないのではないかというものも出てくると思いますので、その辺も含めて類型化していく必要があると思います。例えば、最後に出ている講習・掲示などは、各省庁で直ぐにでも着手してもらってもいいのではないかというレベルのものだと思いますし、一方、常駐・専任等は、平時においてはデジタル技術での対応で十分ですが、不測の事態が起きたときにどう対応するのかという視点から見たときに、どのフェーズまでがデジタル技術を活用してやるものなのか、どこからが人の目、人が常駐してやるものなのかというように、それぞれの類型によってレベルの差があるため、その辺のウエートと、進めるに当たっても重要課題のところから着手するかどうかという手順の整理も必要と思いました。

もう一点はスケジュールですが、まず3月、春の時点のゴールとし一度整理をするということですが、第一回デジタル臨調の資料では今後3年間が集中期間という整理だったと記憶しています。まず3年間の全体プランをきちんと作成し、今どの時点まで来ているかなど、途中段階でもPDCAを回しながらプランニングする、また、そういうことを見える化しておくことが重要だと思いますので、その辺のスケジュールのつくり方も工夫して頂きたいと思います。

以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。事務局から今の段階で何かお考えがあればお願いします。

事務局(松田): ありがとうございます。両方ともとても大事な点であると我々も思っておりまして、難易度も案件によってかなり違うのではないかと。行政手続のところは相当の年数をかけてやってきた話で、まだ残っているものをさらにどうやって一気にデジタル原則を踏まえた対応に持っていくのかということは議論できるのではないかと。一方で、菅原構成員からあった常駐・専任等を含めて、対象や類型によって課題の深さの違いもあるのではないかという気はしております。

ここは今、各省庁等の意見を聞き始めているところでありますので、そういう意味では、この場でもどういう反応があるのかとか、どこに課題があるのか、より精緻化した議論ができるように事務局としても用意をしていきたいと思っています。

あと、スケジュールについても全体を3年間でということで、今日お示ししたものが春までということで、まず春までのものを書いてしまっているところがありますが、経済界からいただいた要望も詰めていって類型化していこうとすると、まず幾つかやってみられるかどうかをトライアルするのが春ぐらいまでかなと思っておりまして、さらには秋の陣ということもあるのではないかと我々は思っております。秋には新しい類型について議論していくということだと思います。

かつ、技術検証が必要なものもかなりあるのではないかと思ってまして、菅原構成員がおっしゃったように、こんなものはすぐに直せばいいという規制もあれば、しっかり技術検証した上で、ただ、技術検証を、1年とか半年とかしっかり期限を区切って技術検証していただくことがあるのではないかと思っていまして、それをよく踏まえながら全体のプランニングをしたいと思っています。

安念副座長: ありがとうございました。根本さん、どうぞ。

根本構成員: 今の点に関連した事柄を最初に申し上げて、その他、気づきの点を少し申し上げたいと思います。

安全性あるいは非常事態等々をどうするのかという議論を始めると、一番最初にそれがあるからできませんという紙が山ほど出てきて、おしまいというのがこれまでのパターンです。しかし、平時の話をしているという前提で、物理的にモノが故障したら遠隔でどうにかするなどということができるはずがありません。物理的にやるところは物理的にやる話です。極端な議論に流れがちになるので、一番最初の入り口、すなわち監視のところをまずデジタルでやりましょうということにしておかないと、一歩も前に進めない話になるのだろうと思います。恐らく対面等で5,000件を洗い出していただいたわけですが、それぞれに対して5,000の反論が出てくるという展開になるのだろうと、これまでの経験から思います。

モチベーションの観点から、政府部局内のお話ですが、デジタル化あるいは電子化することによって、アメリカのペイゴーのような制度をその中に入れるということも考えられるのではないか。ジャストアイデアの段階ですが。

先ほどの極端な話のところにちょっと戻るコメントも1つだけさせていただきたいのですけれども、技術で全部切っていって、それの検証も必要だということになると大変です。法律、規制は技術には絶対に追いつけませんので、最新のものは絶対に使えないという制度をまたつくってしまうことになります。何を達成したいのかという形の規制体系に変えていかないと、将来的には機能しない制度になってしまう。アジャイルガバナンスを入れた趣旨にも反することになってしまいますので、ぜひその方向に持っていっていただきたいと思ってございます。

あと、細かい点なのですけれども、参事官に御説明いただいた春先までの今後の進め方で、見直しプランの「検討」と書いてありますが、総理は「取りまとめ」とおっしゃっていたなと思います。きっと取りまとめは臨調でやっていただくので、作業部会は検討なのだという理解なのですが、それでいいですねという確認だけをさせてください。

菅原さんから出た御意見の中で非常に大事だと思うのは、3年間でとにかく行けるところまで行くというか、全部やるということなので、今からある程度目に見える形でスケジュール感を表しておくことが必要なのではないかと思ってございます。

大きな話、作業部会の範囲を超える話が2つございます。実は押印のところは副大臣から御指摘をいただいて、私どもも非常に助かってはいるのですが、今回アンケートをやってみて分かったことは、押印は廃止という整理はされたのですが、実際に窓口に行くとほとんど改善されていない、という問題がございます。先ほど地方自治体のお話が出ましたけれども、一番最後の規制は、地方自治体の窓口の書類の取扱要領の一文一文をチェックしないと駄目かもしれないという話があります。国民の皆さんが一番感じるのは市役所の窓口ですので、ぜひそこをやっていかなければいけないと思っております。

最後に、3年を過ぎた後のお話です。メタバースの世界をどうするのかという議論をやっておかないと、恐らくそこでの契約行為等々、実態が走ってしまうことになりますが、公的な手当てはほぼないという世界になり、ルール形成のところで日本だけが遅れてしまう、あるいはルールを押しつけられることになりかねないなということを非常に懸念しております。リアルな世界のルールのところでこれだけもめる話になっているので、次に行けるのかという心配はあるのですが、ぜひそちらも念頭に置きながら、早くやらないとどんどん置いていかれるという危機感で取り組むような形にさせていただければと思います。私からのコメントは以上です。

安念副座長: ありがとうございます。先ほどの親会とこの作業部会との役割分担みたいなことについては、根本さんの御認識でよろしいのでしょうか。

事務局(松田): 根本構成員から言っていただいたとおりでございまして、予定なのですけれども、我々の想定としては、3月下旬に作業部会でまとめていただいたものを親会にかける機会がつくれないかということで調整してございます。その後、もう一回、プランを最終的に総理の下でまとめることを想定してございますので、それはこの作業部会で案を練っていただくことを考えてございます。

安念副座長: ありがとうございます。しかし、もう2月中旬になろうというところですから、相当急がないといけませんね。落合先生、手が挙がっていたのではなかったでしょうか。

落合構成員: ありがとうございます。私も何点かコメントさせていただきます。

1つが、先ほどアジャイルガバナンスというお話があったと思うのですけれども、規制改革推進会議で以前、デジタル時代の規制改革という意見書をまとめたときに検討しておりました。当時の事務方と議論していて気づいたのが、性能規定化をするというのが法技術的には一つの方策としてあるだろうということでした。昔の平成10年代ぐらいに整備していた性能規定というのは、本当に技術基準をJISマークに落とすなどの技術的事項を法令で規定しないということだったのですけれども、人の行為や物の存在などにより果たしている事項を性能規定化するというのが、現代的に議論していく中では必要なことなのだと思います。性能規定化を進めることによって、最終的に技術が発展したときに、全部に対応できるかどうかは分からない部分は残りますが、多少なりともバッファーを持って解釈できるようにしていくということを、出来上がりの結果の中にはしっかり入れていくことが重要と考えております。

2点目は、書面・押印に加え、目視も以前規制改革推進会議の成長戦略WGでインフラ関連の検討を行っておりました。そのときに一つ要望として出てきたのが、ガイダンスや、どの技術を使ったらいいかなどというカタログがあったほうがよいということでした。そのときは国交省が中心になって対応され、道路や港湾の関係でこういう事業者が取り組んでいますよということを紹介するようなリストを作られておりました。そういう技術にアクセスしやすくする工夫があると思いますので、実際に規制を変えること自体が目的というよりは、実装をするところまで行くのが目標だと考えますので、そこまで意識するとすれば、こういうものを使ってくださいということも各省庁に自発的に取り組んでいただく中で、一緒に紹介してもらえるようになるといいように考えます。

最後に第3点ですが、ローカルルールのところが、結果が見えやすくするために一番重要なポイントと考えています。個人的な生活の中で接するのは中央省庁の窓口ではなくて、市役所や町役場でのものになってきます。省庁の規制自体を変えていくことも大事なのですが、実感できるようにするという意味では、ローカルルールのほうもどうやって進められるかということも重要です。より時間がかかると思いますので、同時にやっても結果が出るのは自治体のほうが後になると思うので、できれば早めに着手できるといいのかなと考えました。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。ローカルルールの点は、複数の委員の方から御指摘いただきました。全くそのとおりです。むしろ自治体のほうが人手不足で切羽詰まっているのだと思います。こうやってやると整備できますよと言うと、結構喜んでやってくれるのではないかという気がします。乗換えのコストが高いと思っているから、なかなか乗り換えられないというのが実情ではないかと思うので、まさにこここそハンズオンでやっていけたら、相当急速に変わる下地があるのではないかと何となくは思っています。次は稲谷先生、どうぞ。お待たせしました。

稲谷構成員: 稲谷です。よろしくお願いいたします。

私のほうからも何点かコメントと、ちょっとお尋ねもあるのですけれども、今回の改革の大きな方向性は、事前規制型の統治手法によるリスクマネジメントではなくて、むしろ企業や事業者さんの創意工夫を生かす自律分散型のリスクマネジメントに変えていくのだということがメインだと思います。そうなってくると、恐らく規制の類型化の観点からも、例えば、リスクマネジメントにおける説明責任を果たすための安全論証についての類型化を進めていくみたいなパターンも一つあるのかなと思うのです。

そのことを考えていきますとモデルケースとして、やりたい人になるべく協力してもらうというのがかなり重要なのかなと思うのです。イノベーションは逸脱行動から始まることが多くて、逸脱というのは今ある規制が非効率に見えるから何とかしたいというところがあって出てくる運動だと思うのです。

そうだとすると、そういうところに前向きな方に協力してもらって、先ほど御指摘もあったように、ゼロリスクみたいなものを求めて、天変地異に対応するみたいな話をすると絶対に回りませんので、そうではなくて合理的なリスクベースアプローチに基づいた場合の安全論証というのはこういうものですよとひな形をまずは一緒に考えて、そのひな形に乗っかっていればどんどん展開できるというタイプの類型化の在り方を考えると横展開がしやすくなるのだと思います。また、この方法ですと、創意工夫を持った事業者さんの意見をどんどん吸い上げていくというプロセスの確立にもつながりやすいと思います。例えば先ほどのアジャイルガバナンスの考え方に基づいて、既に存在する規制や類型を見直していくときにも、事業者さんのほうから、今度こういうことができるようになったので、ということを一つの端緒として、新しくやり方を変えていくような動線をつくっていけるのかなと思いますので、それは一つあってもよいのかなと思ったところです。

リスクマネジメントという観点から私が1点気になったのは、今回、人間からデジタルに代えていく規制の中で、菅原さんのほうからも、これはそもそも要るのですかという話もありますねということがあったと思うのですけれども、リスクとほぼ関係しない規制があるのかなとも思います。

例えば、被害調査、災害調査のときの目視は、リスクマネジメントという観点からは人間だけに現地調査でやらせる必要はほぼないように思いますし、はっきり言ったらドローンとかAIで識別するほうが精度も高い可能性もあるわけです。そうなってくるとこれは全く違う話というか、本来の規制、リスクマネジメントみたいな観点からいろいろかけてきた規制とも全然違う話になってくる可能性があると思います。リスクマネジメントという観点からかなり性質が違うものとしてさっさと変えていくもの、あるいはひょっとしたらなくしてしまってもいいものかもしれません。とにかくきちんと確認しなさいとだけ書いて、インセンティブを付与すればいいだけの話なので、違う規制のやり方はきっとあるのだろうと思います。

なくしていったほうがいいかもしれないものを見つける一つのやり方として、いいかどうかは分からないのですけれども、いろいろな規制の中で、率直に申し上げて、事実上形骸化しているものもかなりあるように思うので、そのようなものから始めるというのもありうると思います。例えばかなり拡張的な解釈を行うことによって、事実上守っているように見せかけているような規制はあったりすると思うのです。そういったものになってくると、それはコストが高いからやっていないことに加えて、やらなくてもリスクマネジメントに影響しないということになるのだろうと思います。そういった規制の存在が明らかになると、例えば、がちがちに安全性を求めていくみたいなやり方をやらなくてもいいのだよという証拠の一つにもなってくるでしょう。したがって、今申し上げたようなアプローチをいくつか複合させて少しずつ不要な規制を合理化していくというのは一つやり方としてあるのかなと思ったところです。

それから、先ほど皆さんからも御指摘があった中で、私が少し気になっているのは、中央省庁と、出先機関という言い方がいいのかどうかは分からないのですけれども、各都道府県にある機関との解釈権限の関係性みたいなものが複雑になっているところがあったりすると思うのです。例えば労働安全衛生法は、各管轄地域の基準について、労働基準監督署が解釈権限を持っているという形になっていると思うのですけれども、全国でばらばらになると困ってしまうので、結局は中央に持ってきて御判断を仰ぐような形になっていたりするということ伺ったことがあります。地方と中央との分権のバランスの問題もあるということは分かるのですが、よりデジタル化に沿うような形で今後運用できるように整理していくことは制度改革・組織改革の面からも一つ重要になってくるのかなと思います。

そういうものが進んでいきますと、まさに先ほどおっしゃったような地方で実際に活動されている事業者さんに変わってきたな、便利になったなという実感を持っていただけるのではないかと思ったところです。

すみません、あまりまとまりがありませんが、私のほうは以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。上野山さん、どうぞお願いしいたします。

上野山構成員: 基本、頑張りますということではあるのですけれども、幾つかコメントさせていただければなと思います。2点ほどです。

まず1個目は、類型化されていって、今後いろいろなステークホルダーを巻き込んでいって合意形成していくみたいなところの一つの武器として、フェーズ1からフェーズ2にシフトしたときの評価の物差しの定義をうまくしておくみたいなところは既に議論されているのだと思うのですけれども、非常に鍵になってくるのかなと思っています。

背景は、精度の話だけになってしまうとソフトウエアというのは基本的にある種のパターン認識というか帰納推論なので、精度が100にならないケースもあります。よって、フェーズ1と2を比べたときに、こういう理由でこっちが一定よいですねという意味においては、物差しの定義を精度だけではなくて、もう少し広い、うまい形に設計しておくところは恐らく既に議論されているのだと思いますが、そこがポイントになってくるかと思いましたというのが1個目です。
 
もう1個、先ほど各省庁を巻き込んでいくときのモチベーションの設計みたいな議論が出てきたと思うのですけれども、これも本当に御参考まででしかないのですが、本当に多くの人が働いている大企業の方々をこういったデジタル系のことで動かしていくというときに、何やかんや鍵になってくると思っているポイントを1個だけ御紹介できればと思います。少し定性的な話にはなってしまうのですが、デジタルは当然あくまで手段なわけですので、未来のデジタル社会における人とソフトウエアの役割分担とはそもそも何なのかみたいなところに対する納得感みたいな語り方は意外に重要になってくるのかなと思っています。

今回の話は、一定何かを自動化していくみたいな話になってくるわけですけれども、デジタルとかソフトウエアは別に人の仕事を代替して自動化しましょうということではなくて、逆側から見ると、オードリー・タンとかが言っている話で言うと、ソフトウエアというのはあくまで知恵の共有空間であって、それをみんなが利活用できるようにしようよみたいな言い方もありますし、自動化することによって人の仕事が空くので、人がより人らしい仕事をできるようになりますねとか、いろいろな言い方があると思うのですけれども、少し言葉があれですが、こういったところのエモいようなコンセプトみたいなものが、意外にステークホルダーが多くなってくる中で、いわゆる大企業系の方々とやるときには非常にポイントになってきたりもするので、そういうところも含めて議論できると面白いかなと思いました。

よろしくお願いいたします。

安念副座長: ありがとうございました。
 納得のための概念は本当に必要ですね。痛感いたします。それでは、もう一方ぐらい御発言いただける方がいらっしゃいましたら、どうぞお願いいたします。

落合構成員: 落合です。よろしいでしょうか。

今の人を動かすためのナラティブみたいなものとして、やはりあるのが人口減少社会もあると思っています。規制改革推進会議などでも、議論して納得していただくときにはそのテーマは必ず入れているかなと思っています。日本の中ですと人口減少のカーブもある程度見えていて、仮にこども庁をつくって増加のほうになっていくにしても、しばらくは今の基調は変わらないはずなので、今足りていても将来足りなくなることは見たら分かることは一見明らかだと思いますので、こういった点も一緒に加えていただくといいかなと思っています。以上です。

安念副座長: 誠にごもっともですが、もう少し元気の出る話はないですか。根本さん、何かお知恵はありますか。

根本構成員: 行政府の皆さんが聞いている中で言うと怒られるかもしれないですけれども、基本的には予算と定員で動く組織なのだろうと思っています。ですから、先ほどペイゴーみたいなことをと申し上げました。ちょっと財務省に理屈を引っ込めてもらって、ちゃんとやれば政策に使える予算が増えるよという隙間をつくってあげることが、恐らく中央省庁では一番効果があるお話なのだろうと単純に理解しています。

自治体に行ったときには少し違う理屈が働いて、「仕事を変えない」という理屈があるので、そこはどうしたらいいのか、私は今の時点ではアイデアがありません。以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

仕事が楽になりますということでは駄目なのですか。確実に楽になると思うのですけれども、もう少し付加価値がないといけないのかな。ほかにはいかがでしょうか。

私から事務局に確認をさせていただきたいのですけれども、各領域ともフェーズ3になると評価とか判断といった要素が濃くなってくると思うのですが、志としてはそれもできるだけ機械にやらせる。もちろん先ほどの人間との役割分担というナラティブが必要だというのは全くそのとおりなのですけれども、できるところはAIなり機械なりにやらせるのが、少なくとも目標ではある、ということは掲げておかなければいけないと思うのですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。事務局に伺ってみたいと思います。

事務局(松田): ありがとうございます。事務局としてもまさにそう思っておりまして、そういう意味ではあえてフェーズ1、2、3と書かれると、やはり3を目指さなければいけないということも含めて、そこまでできるものは当然テクノロジーの進化を活用しましてそこまで持っていきたいと思っているところです。

安念副座長: 必ずしも遠い目標ではなくて、近い将来に実現すべき目標であると認識していただけるといいのかなと思いました。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

小林デジタル副大臣: 安念副座長、よろしいですか。

安念副座長: もちろんお願いいたします。

小林デジタル副大臣: 事務局ですごく詰めた議論をしていたのですが、それぞれ専門性のある皆さんと議論をすると、いろいろな観点がさらに盛り込めてとても良いなと思いました。

特にモチベーションをつくっていくという意味でいくと、おっしゃるように中央省庁のところは、根本構成員のやり方は本当にそうなのだと思っていまして、フェーズ2や3に移ろうとすると、結果的には省庁でシステム整備もやらなければいけないものが出てくるとか、ここは稲谷構成員の専門分野だと思うのですが、事後チェック型に変えるとなると、執行体制の強化やデジタル化みたいなこともやらなければいけなくなるのです。そうすると必ず人と予算が必要になるということがついてきてしまうので、そういう意味でもペイゴー的な考え方は十分取り入れて、交渉をしていかなければならないなと思っています。

あわせて、ナラティブを共有していく必要があって、これは上野山構成員に御発言いただいたところなのだと思うのです。これをやるとみんな楽になるということもあるのですが、もの凄い大量のデータがまたデジタルの世界に入ってくることになるので、そこから新しい知恵やイノベーションが生まれるであろうということになります。先ほどの押印の廃止によって電子契約サービスの市場が約2倍になりましたということを私は必ず語るようにしているのですが、そこにまた新しいマーケットもできるということをみんなで語っていく必要があるのだと思います。

私は公務がありここで退出いたします。自律的に、自らを変革する、行政をつくる取組でもあると思ってやれたらと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。

安念副座長: ありがとうございました。何だかお忙しいところをお引き止めしまったようですけれども、今後ともひとつよろしく御指導ください。

安念副座長: ほかにはいかがでしょうか。

根本構成員: 安念先生、もう一点よろしいですか。

安念副座長: もちろんどうぞ。

根本構成員: 時間がない中で、1点だけ。

皆さん御承知のとおり、実は手続には一連の流れがありまして、私どもも規制改革をいろいろ要望させていただきますが、一部手続のみがデジタル化されるということがよくあります。一例として、最近は免許の講習をオンライン化します、デジタル化しますということにはなりましたけれども、講習がオンライン化されるだけで、講習が終わりましたという証書を持っていって、本人確認をやるのはどこでしたかという世界になっています。マイナンバーカードの存在も何もない状態がそこにあるということでございまして、何のためにやったのだろうかなと、個人的には次の免許更新はどうしようかなと思うような事態が発生するわけです。

道路占用なども掲示義務があるので、ここは占用許可をちゃんと取ってやっていますよと看板を出すのですが、申請はオンラインでやりますけれども、残念ながらそれを取りに行かなければいけない、あるいは自分でプリントアウトして物理的に掲示しなければいけないというような世界が相変わらずどうしても残るお話になっています。最後の掲示のところは誰が見ても分かるようにということがあるのかもしれないのですけれど、もう少し工夫の余地があって、一連の流れとして見なければいけないねというお話があります。

押印の話も全部それに関わっていることです。冒頭に安念先生がキャタピラーで云々ということをおっしゃっていただいたので、ぜひ線として見る、あるいは面として見るような形で、畑は隙間がないように全部耕していく姿勢で、ぜひお願いしたいなと思っております。以上です。

安念副座長: これはマストの要請ですね。この構造改革の中でもデジタル完結という、入り口から出口まで全部デジタルにしないと意味がないよね、ということは高らかに謳われておりますので、それは我々が忘れてはならない大原則なのだろうと思いました。改めてその重要性を指摘していただきました。ありがとうございました。

それでは一当たり御発言いただきましたので、手続的にと言ってはなんですけれども、先に進ませていただいてもよろしゅうございますか。

議事(3)について、また事務局から御説明をいただければと存じます。

事務局(須賀)では、議事(3)については須賀から御説明させていただきます。「法制事務のデジタル化検討チームの設置について」、資料6と7をご参照ください。

作業部会では、当面、類型と当てはめを精緻化しながら見直し方針を固めていっていただくことが最優先ではございますけれども、少し先を見通しますと、現在デジタル臨調事務局で進めているような作業を一過性のものとせずに、政府あるいは日本社会に仕組みとしてインストールをしていく必要があろうと考えております。そのときに幾つか大きな課題が見えてきていまして、まずは既存の規制についてアップデートをするということもさることながら、これから毎年出てくる新規の法令について、同じくデジタル原則の適合性をどう確保していくのかというプロセスを急いで整備しなければならない。

それから、既存の規制についても、今回の見直しで1回アップデートして終わりということではなくて、テクノロジーの進化に応じて断続的にアップデートし続ける必要があるが、それをどう仕組み化するかという問題もございます。こういったあたりについてリーガルテックの方々の御協力などを得ながら、政府の中のプロセスやシステムをしっかり構築していきたいと思っています。

それから、社会においてルールや規律として機能しているのは、先ほどからたくさん御指摘が出ているとおり、必ずしもいわゆる法令に限りません。そうしますと、国で全体像を把握・管理し切れるかというと、できないということがだんだん分かってきております。経済界の皆様に御協力いただいてアンケートをしたのは、そうしないとルール全体が可視化できないということであったわけですが、政府でルールを全部一元的に把握するということではなくて、民間の方々にも協力をしていただきたい。そうすると、どこで役割分担をして、どこまでは国がしっかり責任を持つのかということを議論しなければならないだろうと思います。
 
それから、民間の方にも御協力いただくことになりますと、ルールのマスターデータがないという問題に直面いたします。今、法令データのベースレジストリ、デジタル正本に当たるものは、国家が責任を持って法令の公布と同時に整備・提供するという義務が別にかかっているわけではないものですから、そういったものをしっかり整備できるよう、国が体制を整えていかなければいけない。それもPDFで散発的に情報が出ているのではなくて、皆様にデジタルでうまくつなげて全体を理解していただけるようなフォーマットで出していかなければならない。

それをやろうとしますと、今の業務フローのままですと、公布日までにしっかりとしたデジタルデータを整えて出すことがどうしても不可能なものですから、行政の中でBPRをしなければいけないことになります。

こういった課題についてしっかり御議論いただいて工程表をつくりまして、最終的に作業部会に御報告したいと思ってございます。

作業部会の構成員の皆様にも日程についてはしっかりお声がけをさせていただきたいと思っておりますので、任意参加ではございますけれども、御参加いただけるときにはぜひお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

安念副座長: 御説明は以上でよろしゅうございますか。今の点について、何か御意見や御質問がありましたらどうぞ。

根本構成員: 1点だけ確認です。データベースの作成というか構成をつくり上げるというのは非常に重要なことなのですけれども、ほかの分野でよく起こることは、政府でおつくりになったデータベースは民間が一切のぞくことが許されないというケースが多々発生しております。本件については、それは発生しないですねという確認だけさせていただければと思います。

安念副座長: 根本さん、それは例えばどのようなケースですか。

根本構成員: 例えば現在、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)で、大学の研究についてのデータベースを作成しておりますが、これを利活用できるのは国の機関など公的な部門のみに限定されていて、民間はのぞくことができません。さらに経産省がつくったRESAS(地域経済分析システム)には取引関係の個別データが網羅されており、データベースとして非常に大きなものがあるのです。これも地域の活性化のためにつくったデータベースなのですけれども、民間企業はデータをのぞくことができない、地方自治体の職員であればできるようなことになってございまして、実は結構制約がかかっている形になっております。

安念副座長: ありがとうございました。須賀さん、現段階で何か御意見やコメントはおありですか。

事務局(須賀): ありがとうございます。まさしくこれは公共財として国がしっかり責任を持って広く御提供するべきだという考えの下で整備したいと思っております。今、既にe-LAWSと呼ばれています法制執務業務支援システムに法令データの一部は入っていて、それがe-Govというシステムでオープンに提供されているわけですが、基本はそこに載せていくルールの質と量をしっかり拡充していくということだと思っております。

根本構成員: ありがとうございます。

安念副座長: そういうことですので、前向きに検討していただきましょう。ありがとうございました。

この点はこういうことであって、我々も積極的に参加しなければいけないということですので、よく分かりました。

次に、議事(4)に意見交換の時間がございます。随分意見を出していただきましたが、全体の進め方等について御意見がありましたら、どうぞおっしゃってください。

落合先生、どうぞ。

落合構成員: ありがとうございます。全体のということで発言いたします。インセンティブを持って各省庁にやってもらうという議論がありましたが、対応していただく省庁側でも、最終的には自発的に見直していってもらうというか、何も言われなくても必要な題材が出たら自発的に直していってもらうというのが基本的には行政の在り方として目標かと考えております。行革と言うのは、今までは自発的にやってくれなかったものを、変える必要があることが出れば素早く行ってもらえるようになるということだと考えます。各省庁側のチームなどを整理していっていただいたりとか、プロアクティブにやってもらえるようにするところも、前向きに捉えていただける省庁をモデルにして、それをしっかり横展開していくことが大事かと思います。こちらの取組でも3年間の中でさらに次の違うテーマにも早く移れるのかなと思いますので、ぜひそういった意味での行革が進むことも期待しております。

安念副座長: ありがとうございます。各省庁にも今はIT化を進める部門があるのでしょう。

事務局(松田) ありますし、今いただいた点は、まさに大臣と副大臣がデジタル庁と規制改革と行革とを全部担務している中でこのデジタル臨調を開催しておりますので、私はデジタル庁側の仕事もしていますけれども、まさに各省庁のDXをデジタル庁が一緒になってどう進めていくかという機能もありますので、そこの予算も含めてどのように考えていくのかということは、今回、規制改革だけではなかなかできない切り口でできるところがいろいろあるのかなと思います。

あと、自治体との関係でも今、デジタル庁と自治体の方々のコミュニケーションはかなり増えてきておりまして、自治体の窓口業務をどのようなやり方であれば直していけるのか、逆に国は何ができるのかみたいな議論をしているチームもありますので、そういうところとここの議論をうまく連動させていければと思っております。

安念副座長: そういうことです。ありがとうございました。ほかに、全体の進め方について何か御意見はございますでしょうか。

稲谷先生、どうぞ。

稲谷構成員: 最後に御紹介いただいたデジタル法制事務のほうの話と、例えば先ほどの見直しの話というのは、まさにデジタル上で完結するような形で、例えば一元化された法令データベースを見ながら、今これに引っかかっているのだけれども何とかならないかみたいなことを事業者側がプラットフォーム上で指摘すると、規制改革のサイクルに自動的につながって場合によっては審査に回っていく、つまりデジタル上で見直し手続自体が全部完結するようなやり方とも、将来的にはうまく組み合わせてやっていくことを念頭に置いて進めていかれると、よりアジャイルガバナンスの趣旨が活かしやすい状況に、どんどん変化する状況のインプットであるとか、現場の事業者の声がどんどん反映されて、自主的な取組が実りやすくなるみたいな状況になりやすいのかなと思った次第です。

すみません、もう既に検討されているかもしれませんが。

安念副座長: ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。

それでは、いただいた時間も尽きてきたようでございますので、本日の議事については以上とさせていただきたいと存じます。活発な御議論をいただいて、ありがとうございました。

最後に、事務局より次回の作業部会について御説明をお願いいたします。

事務局(松田): 次回の作業部会につきましては、現在、日程調整をさせていただいておりまして、早々に皆さんに御連絡をさしあげたいと思ってございます。

なお、本日の議事につきましては、公開になじまない内容はないと考えられるかと思いますので、後ほど議事録を作成し、皆さんに御確認いただいた上で公開させていただきたいと存じます。

資料につきましても、特段の御異議がないということでございましたら、全てデジタル臨調のホームページにて公開させていただきたいと考えてございます。

以上でございます。

安念副座長: 公開についての御異議はございませんね。

御異議なしと認めます。ありがとうございました。

それでは、以上で本日の会議を閉会したいと存じます。本当に終始、活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。