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デジタル臨時行政調査会作業部会(第2回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)2月22日(火)10時から12時まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 規制の見直しに活用可能なデジタル技術を提供する企業や先行的な規制の見直しを行った関係省庁からヒアリング
      2. 意見交換
    3. 閉会

資料

関連情報

議事録等

日時

令和4年(2022年)2月22日(火)10時から12時まで

場所

オンライン会議

出席者

座長

  • 小林 史明(デジタル副大臣)

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科教授)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
  • 上野山勝也(株式会社PKSHA Technology代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 根本勝則(日本経済団体連合会専務理事)
  • 増島 雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所)

議事録

須賀参事官: それでは、お時間となりましたので、第2回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開会させていただきます。よろしくお願いいたします。
本日、構成員の皆様にはオンラインで御参加いただいております。菅原構成員におかれましては、所用により御欠席、また、上野山構成員におかれましては、途中での御退席を予定しております。
まずは、本作業部会の座長であります小林デジタル副大臣から、第2回作業部会の開催に先立ちまして、御挨拶を賜りたいと思います。お願いいたします。

小林デジタル副大臣: 皆さん、おはようございます。作業部会に参加いただいている委員の皆さん、そして、今日は国交省の皆さんも参加いただいていますし、また、各民間企業の皆さんにも参加いただいています。

このデジタル臨調の作業部会ですが、デジタル臨時行政調査会で取りまとめたデジタル原則を基に、各省庁と法令をチェックし、どこまでそれをデジタル原則に沿った形で反映できるかということを議論し、そして、共に直していく場になっています。

今、具体的に各省庁と事務局のメンバーで話し合っていただいていますが、これからより具体的に進めていくために、2つポイントがあると思います。

1つは、今、アナログな手段に限定している、いわゆるアナログ規制がどこまでデジタル化、自動化可能なのか。つまり、今ある技術がどこまで進展していて、社会実装できるのかということとほぼ同義だと思います。それを私たち自身も知る必要があるし、各省庁の皆さんにも知っていただいて、これだけ民間の技術が進展しているのであれば、ルールを変更できると感じていただけると思っておりますので、それをみんなで把握することだと思います。

2点目は、そのような技術が民間にあったとして、それを実装していくためには、分野によっては安全点検など技術を実証する必要があります。技術の実証のために3年かかると言っていては、改革に大変時間もかかってしまいますから、どれだけ短時間で技術実証を行っていって、この改革の中に埋め込んでいけるか。そして、社会で点検とか、対面をオンラインでやるということになりますので、実装可能かということを各省庁が判断し、各自治体が実用化できるようにしなければいけないということだと思います。

そのためには、できればカタログのようになっていたらいいという我々のイメージがあるわけですが、実は国交省が既にカタログ化を先行してやられているということでしたので、今日は国交省を中心に、我々がやりたいと思っていることをやられていて、どのようなノウハウがあるのか、どのようなやり方をすればスピーディーに可能なのかということを教えていただき、そして、関連する企業の皆さんから現在の技術の動向を教えていただく。今日は経産省から推薦いただいた電気通信系の技術についても教えていただいて、先ほど申した2点のポイントを我々の中でしっかりイメージして、各省庁との議論に生かしていただきたいと思っていますので、今日はどうぞよろしくお願いします。

安念副座長: 副大臣、どうもありがとうございました。

副座長の安念でございます。司会役をさせていただきます。

早速、議事に入りますが、本日の議事といたしましては、国土交通省道路局及び先端技術を保有する企業といたしまして、国際航業株式会社、株式会社フォトンラボ、株式会社長大、グリッドスカイウェイ有限責任事業組合の4社からヒアリングさせていただくことを予定しております。

早速ですが、まずは国土交通省道路局国道・技術課技術企画室長の若尾将徳様より御発表いただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

若尾室長: 国土交通省道路局技術企画室長の若尾です。

私のほうからは「道路インフラメンテナンスへの新技術の導入促進」ということで、道路構造物の点検について、新技術の導入を促進しておりますので、その件について御説明させていただきます。

資料に沿って説明させていただきます。1ページ目を御覧いただければと思います。

1ページ目は、我々、道路構造物の法定点検を実施しておりますが、その背景ということでして、平成24年12月に、皆様も御記憶があるかと思いますが、高速道路の中央自動車道で笹子トンネルの天井板が落下いたしまして、これによってたくさんの死者が出るという痛ましい事故が起こりました。

これに基づいて、我々道路局としては、道路構造物の点検をしっかりやっていかなければいけないということで、平成25年6月に法改正により点検基準の法定化をしております。

ちょっと飛ばしますけれども、それによって、平成26年から5年に1回の定期点検の1巡目が始まりまして、現在、令和元年から2巡目を行っていまして、2巡目の3年目ということになっております。

次のページが基準の法体系ですが、下の「法令点検に係る基準の体系」というところで、先ほど言いましたように、政令のほうに維持、点検、措置を講ずることを規定しておりまして、省令のほうに、5年に1回近接目視を基本として実施するということになっております。また、告示のほうで健全性の診断結果を4段階に区分するということになっておりますが、ほかの法体系と同様、ここには最低限の規定を制定しておりまして、実際にどのように点検していくかということは、定期点検要領という技術的助言を道路局のほうから出させていただいております。

3ページ目です。

先ほど申したとおり、1巡目は平成26年から平成30年まで点検を実施しておりましたが、近接目視を基本ということでしておりましたが、やはり今はいろいろな技術が進展している中で、近接目視を補完・代替、充実できるような技術も活用していくべきではないかということが議論となりました。

そういった中、有識者の委員会も経て、どう対応するかというところになりまして、先ほど申しました定期点検要領について改正していこうということで、2巡目の前に、右側の中段の四角に書いてある【法令運用上の留意事項】のところで「定期点検を行う者は、近接目視により把握するか、または、自らの近接目視によるときと同等の健全性の診断を行うことができる情報が得られると判断した方法により把握しなければならない」と、赤字に書いてあるところを追加して、近接目視以外の方法でも把握できるという形にしました。

ただ「自らの近接目視によるときと同等の健全性の診断を行うことができる」という、そこをなかなか点検者が個別で判断していくのは難しいという声もありまして、それを体系的に判断できるように「新技術利用のガイドライン」と「点検支援技術性能カタログ」を作成いたしました。

では、具体的にそういう新技術でどのようなものがあるかというのが4ページ目です。上側が従来やっていた点検で、下側は点検支援技術を用いた点検です。

一番左側は、画像計測するようなところ、目視では非常に見にくい場所とかをドローンによって撮影するといったところとか、センサーを活用したモニタリング、あとは、これもトンネル内の画像計測、あるいは非破壊検査ということで、レーザーなどによって損傷を確認するという技術を活用していくということです。

先ほどの下で、点検に新技術を活用するために参考とできるようなガイドラインを作成しております。このガイドラインについては、点検業務発注者、自治体とか我々国交省などの道路管理者となります。受注者というのはコンサルタントなどになるのですが、その人たちに委託契約で点検業務という業務の中でやっていただいているわけですが、その業務を委託するに当たって、どういったプロセスで点検新技術を導入していくかというプロセスを例示したものであります。

また後ほど説明しますが、カタログを取りまとめておりますので、カタログの使い方みたいなものも受発注者間でどう確認するかということをこのガイドラインに示しております。

次の6ページ目が点検支援技術性能カタログです。

この性能カタログについては、平成31年2月に策定しておりまして、策定した当時は16技術しかなかったのですが、毎年改定をしておりまして、令和2年には80技術となりまして、現段階で131技術がこのカタログに登載されております。このカタログを参照することによって、点検について新技術の活用を推進していくということになっております。

このカタログについては、下に書いてある4項目に分かれておりまして、右側にあるように、画像計測、これはドローンとかレーザースキャンで計測していく技術で、橋梁34技術、トンネル16技術。非破壊検査、これは電磁波とかレーダーで内部の損傷を把握していく技術ですが、橋梁19技術、トンネル13技術。計測・モニタリングは、変位とか、そういったものをセンサーによってモニタリングしていく技術ですが、橋梁38技術、トンネル8技術。データ収集・通信、これは橋梁、トンネルと共通しておりますが、3技術という技術項目となっております。

これらの技術について、性能カタログに拡充させていっている手順ですけれども、まず、どういった技術を公募対象にするかということを検討いたしまして、その後、技術公募という形で公募いたします。そして、公募に来た技術についてフィールドテストを行い、フィールドテストの検証を踏まえて、性能カタログを拡充していく、性能カタログに掲載していくという流れになっております。

以上が橋梁の流れで、トンネルも全く同じような状況になっておりますので、これについては説明を省かせていただきます。

非常に簡単ですが、以上が道路局からの新技術導入促進についての御説明です。

安念副座長: 若尾室長、どうもありがとうございました。

最初に、議論の前提となる質問を1つさせていただきたいのですが、今の御説明だと、点検支援技術性能カタログ、まさにこれは副大臣がおっしゃっていたカタログですけれども、これに掲載される「定期点検の効率化・高度化を実現する」という文字列を拝見いたしました。トンネル等のインフラ施設の目視点検を、カタログに掲載されている技術を用いることで完全に無人化することができるものでしょうか。

若尾室長: ありがとうございます。

技術として全て代替できるような性能を持つことができれば、可能だと考えております。ただ、現在としては、例えば、橋梁については、様々な橋種・形式があるということと、トンネルについても、例えば、ジェットファンみたいなものの裏側とか、まだまだ今の技術では、目視でやらないと細部まで確認できないところがありますので、そういったところは、今後の技術革新によって目視と同等な技術で判断できるとなれば、そういったことが可能になるかと思います。

そのような新技術を今やっているフィールドテストなどで確認しながら、どれぐらいしっかりとした精度が出ているかということを確認して、カタログに載せていくということをやっているということでございます。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、ただいまの御発表について、委員の方から御意見、御質問等がありましたら、どうぞお願いいたします。

落合先生、どうぞ。

落合構成員: 御説明ありがとうございます。落合と申します。

以前、規制改革の成長戦略ワーキングでもこのテーマを取り上げて、国交省に率先して進めていただいたことにまず感謝を申し上げます。

質問は端的に2点でして、1つは、こういった技術を使えるようにするために、通知などによる規定がある場合が多いと思うのですけれども、どういった記載をするという工夫をされたことで、使えるようになっているかということです。

2点目は、このカタログの書き方、掲載の仕方なのですが、どういう技術が使えるか、なかなか分かりにくいという自治体などのお声もあって、こういうものをまとめていただいていると思います。その際に、ほかの省庁さんでも整備されたりするときに、こういう点は気をつけたほうがいいのではないかと思われる点がありましたらお教えください。この2点をお願いいたします。

安念副座長: 若尾室長、いかがでしょうか。

若尾室長: まず、1点目については、3ページ目の右側中段の括弧の中です。先ほどもちょっと説明しましたが、もともと定期点検については、左側の1巡目の上の省令で「近接目視により、五年に一回の頻度で行うことを基本とする」と書いてありますが、道路管理者からは、近接目視以外で新しい技術を用いると書いてあるのに、使うのはなかなか難しいという御意見を頂いておりまして、2巡目のときに、この省令はそのままにして、道路管理者が定期点検を行うために参考としている定期点検要領の留意事項のところで「近接目視により把握するか、自らの近接目視によるときと同等の健全性の診断を行うことができる情報が得られると判断した方法」、これがイコール新技術を使ってやる方法ということで、この要領を改正することによって各道路管理者が新技術を使えるようにしたということです。

2点目のカタログを作るに際して気をつけたほうがいいことですけれども、そこについては、1つは、しっかりとある一定の基準で性能を確保しないと、いろいろな民間から開発された方々がこれに応募してきますので、恣意的に選ばないような形で一定の基準というものを持ってやっていく。例えば、我々ですと、ひび割れの0.2ミリとか、そういったところまで確認する必要がありますので、それがしっかり見えているかどうかみたいなところを確認するという公平性を担保したやり方でやっていくべきなのかなと思っております。

安念副座長: ありがとうございました。
落合先生、よろしいですか。

落合構成員: はい。ありがとうございます。

安念副座長: あとお一方ぐらいいかがでしょう。増島先生、小林副大臣、どうぞその順でお願いいたします。

増島構成員: どうもありがとうございます。増島です。

まさにこの技術水準の話なのですが、インクリメンタルな技術については、多分、今まではこうだったけれども、もっといい数字が出たものは採用ですねみたいな話になるのですが、そうではなくて全然違うすごい価値を提供しているけれども、ほかのところの数字がよくないという、こういうものは採用されないことになるのだろうかという点を教えていただきたいです。すなわち「同等」といったときに、既存の価値体系で実現できているものとの関係で優れている劣っているという比較をされていることは分かるわけですが、それとは別軸で、今までなかったとてもすごい価値が出ているというものはきちんと評価されているのか。例えば目視点検という観点から、今まで誰もアプローチできなかったすごい価値をそこで実現しているが、例えば、画像が粗いとか、何でもいいのですけれども、今までのものとは何かが劣っているという状態になったとき、そういうものに対してこの基準はどう対処するのでしょうか。既存の価値体系にただ当てはめてそれとの比較で劣っているということで、単に落とすのでしょうか。

安念副座長: 若尾室長、いかがでしょう。

若尾室長: 今、我々が点検支援技術として求めているのは、道路構造物の安全をいかに担保するかということのために用いている点検です。最初に申し上げたように、非常に痛ましい事故があって、ああいうことを二度と起こさないためには、見落としを排除するような点検をしないといけないということがありますので、点検をやるに当たって一定の性能を満たすようなことは義務づけておりますが、その性能を満たした上で、今、言われたように、斬新な取組とか、そういうものが認められるものにおいては掲載していくということは考えておりますが、やはり基本性能を満たすべきものが認められない場合はなかなか難しいと考えております。

増島構成員: 別の価値を提供しているとしても、既存の基準を単純に当てはめて落としていくということですね。分かりました。

安念副座長: 副大臣、お待たせしました。

小林副大臣: ありがとうございます。
この技術の継承について国交省にもう少し伺います。

1点目は、公募のときのやり方です。どのように広く告知をしているのかというやり方をぜひ知れればと思っています。我々としても、これを機に新しい技術を持ったスタートアップであったり、既存の企業のチャンスを作るということもやりたいと思っていまして、どのように公募を行い、どのような成果があったのかというのを教えていただきたい。

2点目は、そうはいっても、この技術を認証していくためにどうしても費用がかかるのだと思うのですが、その費用はどのように賄っているのか。我々としても、場合によっては各省にそういった予算をつけていくことも必要なのかなと思っていまして、どういった費用がかかっていて、どのように捻出されているのかということをお教えいただければと思います。お願いします。

安念副座長: 若尾室長、お願いいたします。

若尾室長: 公募については、道路局のほうから記者発表をして、広く皆様方に分かるように公募しております。予算については、これは国費、国の道路局の予算のほうでやらせていただいております。

小林副大臣: ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございました。

またさら問いがありましたら、どうぞ事務局のほうまでお寄せください。皆さん、ありがとうございました。時間のこともありますので、議事を続けさせていただきたいと存じます。

続いて、国際航業株式会社インフラマネジメント事業部インフラマネジメント部東日本道路マネジメントグループ道路計画担当部長の平山貴司様より御発表いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

平山氏: 国際航業株式会社、平山です。御説明させていただきます。

では、国際航業の御説明をいたします。「トンネル走行型計測技術の開発」の御説明です。

内容としては、1点目は「はじめに」というところと、2番目はハードの開発について御説明いたします。3点目はソフトの開発について御説明いたします。最後、従来技術と新技術の活用検討につきまして御説明させていただきます。

まず初めに、トンネル点検の背景につきまして、先ほど来、お話がありました笹子トンネル天井板の崩落事故から、平成26年に近接目視を5年に1回必ず実施というところが法律化されたというところです。

ただし、全国のトンネル約1.1万か所におきまして、5年に1回の点検を実施するというところで、工期の短縮、コスト縮減、労働環境の改善等々の課題があるという現状です。

トンネル点検につきましては、現状、写真1に示しますとおり、片側交互規制での作業となり、かつ、点検時におきましては、高所作業車を使い近接目視点検を実施するというところです。点検の内容としましては、ひび割れや、このようなコンクリートの浮きに対しまして近接目視を行いまして、天井の展開図、スケッチ図を作っていくという作業となります。人力作業となっています。

これに関して、弊社とては、走行型の計測技術、点検ロボットを開発しています。先ほど来、御紹介がありましたが、国土交通省で定められております点検支援技術性能カタログに、当社も走行型近赤外線撮影による三次元解析システムを掲載させていただいている状況です。

これまで、平成10年、ハイビジョンカメラで挑戦してきました。平成20年代に入りますと、今度は可視光のCCDカメラで挑戦してきました。きれいなトンネルでは撮影できるのですが、汚いトンネルではなかなかきれいな画像が撮影できていないという状況でした。

このようにきれいなトンネルであれば、きれいな画像が撮影できるのですが、弊社としては、暗くすすけたトンネルでも画像撮影できないかというところに着目しまして、近赤外エリアセンサーを採用してロボットを開発したというところです。

近赤外線につきましては、可視光よりも波長が大きいというところでして、例えば、リンゴであれば、可視光では分からないのですが、近赤外線であると腐ったようなものが分かる。あるいは電球であれば、本来、可視光であれば見えないのですが、近赤外線で見ると中のものが見えるという、特徴の違いが確認できるというところを生かしたところです。

採用するに当たりまして、コンクリート片をすすけた状態にしたものを用意しまして、背面にひび割れがある状態の試験体を作りました。これを近赤外線カメラで撮影してみて、室内試験を行ったところです。デジカメ画像では見えていないというところです。

これに対して、普通の可視光の波長ではひび割れは確認できませんが、近赤外の波長ではひび割れが確認できるという室内試験結果を得られました。波長についても、850ぐらいがちょうどいいという確認を行いまして、ロボットを開発したという経緯です。

ロボットにつきましては、4トントラックに実装させまして、このようにLEDと近赤外のカメラを搭載していまして、特許も取得している状況です。

カメラにつきましては、中央部に8台並べて設置してございます。近赤外のLEDの照明等も周りに配置していまして、上向きのカメラにつきましては、特に大容量の近赤外LEDカメラを設置しています。

実際の計測画像につきまして動画で流します。走行型で行いますので、時速60キロまでのスピードでトンネル壁面の画像撮影を行うという状況です。近赤外線ですので、光等は人間の目では見えないということで、トラックで走っているだけといった状況で撮影が可能です。

現在、全国16トンネルの実績を確保しています。国土交通省のトンネルを中心に、自治体のトンネルも何件か実績を保有している状況です。

続きまして、ソフトウエアの開発です。

画像解析につきましては、先ほどの近赤外で撮影した画像の3Dモデルの作成まで自動化しています。このように撮影した画像のカメラの位置を自動で設定しまして、三次元モデルを作成するというSfM解析を用いています。したがいまして、撮影した画像から自動で三次元モデルをこのように作成するものを開発しています。

さらに、三次元画像から平面展開をするということになりますので、三次元モデルから二次元モデルへの展開のほうも自動化を図りました。

以上の流れをもちまして、ソフトウエアを開発し、このような平面展開したシームレスな画像を取得できるというところです。

実際の3Dモデルの拡大写真です。動画で映しておりますが、どのような角度からも、トンネル内部からも、トンネル外観からも、それぞれ画像を確認できるというところです。

また、画像を切り出すことで、どの位置に変状があるか、ひび割れがあるか等々も確認ができるというところです。このように画像を切り出し拡大していくことで、現地におきまして、点検時にチョークが引いてある0.3ミリのひび割れが確認されるのがお分かりになるかと思います。このように、0.3ミリのひび割れが画像上で確認できるという精度を保有しています。

以上、これまでこのように人力でスケッチ図を作って、変状展開図を作っておりましたが、このような画像データを合成することによりまして、ビジュアル的にもより分かりやすく、かつ、精度の高い点検結果が得られると考えています。

手前どもは近赤外線カメラを開発しましたが、過去のハイビジョンカメラとの比較をやっております。0.3ミリのひび割れを拡大すると、近赤外のほうが暗いトンネルでも認識可能です。可視光ですと、明るいトンネルでもちょっとピンボケ感があるのかなと現在は確認している状況です。

以上までがソフトウエアの御説明でした。

最後に、従来技術と新技術の活用の比較です。検討概要としまして、比較項目はコストと点検日数を考えました。

従来ですと、このように高所作業車を使って近接目視を行い、スケッチをするというものに対しまして、このように走行型のロボットを活用し、画像データを取ることでスケッチを短縮するというところです。

まず、コスト比較です。上の段が1トンネル500メートルのものだけをやった場合の比較、下につきましては、10トンネルをまとめて従来型と新技術を比較した結果です。

この表が示すとおり、1トンネルだけですとコストのメリットはあまり出てきませんが、10トンネルぐらいのスケールメリットがあれば、30%ぐらいのコストダウンが可能であろうと考えています。現地の点検作業を50%効率化できるであろうと考えています。

出典につきましては、研究プロジェクトが実施されておりまして、これは産官学で行っているプロジェクトの資料の抜粋です。

最後に、点検日数の比較です。

例えば、AトンネルからFトンネルの6トンネルを従来点検、あるいは新技術を使った点検で、日数の比較をしてみました。従来トンネルでは16日かかっておりましたが、新技術を代替として活用することで、おおむね8日で終わるというところで、低減率は50%を見込めるのではないかと考えています。

ただし、やはり1キロ未満のトンネルですと、現在人力でやっているのと変わらず、1キロ以上の長大なトンネルになってくると、特にメリットが出てくるという試算をした例です。

駆け足でしたが、御説明は以上です。

安念副座長: 平山部長、どうもありがとうございました。
 
れでは、今の御発表につきまして、御意見、御質問等がございましたら、どうぞ。上野山さん、どうぞお願いします。

上野山構成員: ありがとうございます。

2点ほど、細かい各論で恐縮ですが、0.3ミリの分解能というのはすごいなと思ったのですけれども、これは時速何キロぐらいで走って、実際、これは0.3ミリの空間分解能を持っているということでいいのですかということが1個です。

2個目は、これはこれまで5年に1回の近接目視ということで、危険か、危険でないかをさばいているのだと思うのですけれども、そこの閾値のロジックというのはそもそもどこにあるのか。それは基本的に画像だけでやっているのですかという、すみません、各論ぽいのですけれども、お願いします。

安念副座長: 平山部長、いかがでしょうか。

平山氏: 御質問ありがとうございます。

まず、0.3ミリにつきましては、基本的には60キロまでの走行速度で実証できています。ただし、1ピクセルというものは0.3ミリ以上ございます。したがいまして、スケールをコンクリート面に貼りまして、そのスケールの幅を参考に算出しているものです。

以上が0.3ミリの根拠です。

また、閾値につきましては、国土交通省のほうで定める点検要領のほうで、例えば、ひび割れが何ミリ以上であれば要対策等々の閾値がありますので、それを参考に点検では活用している状況です。

安念副座長: よろしいですか。

上野山構成員: はい。ありがとうございます。

安念副座長: もうお一方ぐらいいかがでしょう。増島先生、どうぞ。

増島構成員: ありがとうございます。ちょっと教えていただきたかったのは、もしかすると聞き漏らしたかもしれないのですけれども、まずは画像を撮ります。そして展開図というか、マップを描きますという話があるのですけれども、マップの作成まで自動で行っているということでよろしいのでしょうか。つまり、画像を見てここにひびがあるぞというのは、人がオフィスでモニターで見るという作業が入るのでしょうか。

平山氏: 御質問ありがとうございます。

今、投影してございますこのひび割れにつきましては、AIを活用していまして、ひび割れの自動抽出にチャレンジしています。ただし、残念ながら、今のところ、抽出率50%から60%ですので、さらに教師データで深層学習させることを継続しています。

以上です。

増島構成員: ありがとうございます。

我々、目視というテーマでやっていることとの関係で、もしこれを学習して自動で作れるようになりましたという話になるとすると、人がわざわざ映像を見て図を描く必要もないし、しかもAIのほうがよくできれば、人よりも機械のほうがクラックはよく見えるに違いないという感じがするのですけれども、そうなったときでも、手順としては、画像を人が見て検証といいますか、答え合わせをしないと、この技術というのは目視と同等と認められないことになるのか、それとも、そこのプロセスも要らなくなるのでしょうか。

これは国交省さんの所管なのかもしれないのですけれども、御社は多分ここをずっとやっていらっしゃると思うので、どのような見通しなのかというのを教えていただければと思います。

安念副座長: 平山部長、いかがですか。今の点は我々としても決定的に重要なところだと思うのですが、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

平山氏: 残念ながら、全てロボット化は難しいと考えています。というのは、コンクリート片が落下する、しないということに関しましては、最終的には近接でたたいてみないと分からない部分は省けないと思っております。

ただし、ひび割れの形状につきましては、今後、AIでかなりの精度で抽出できると認識しておりますので、スクリーニングにおいては非常に有効な技術だと認識しています。歯がゆい答えで申し訳ありません。

増島構成員: ありがとうございます。

そうすると、最後に再点検を人がやるけれども、そこの効率がすごくよくなって、人が全部見るのに比べて10倍ぐらい効率がいいと、こんな感じになるみたいな出来上がりでしょうか。

平山氏: ストーリーはそうです。

増島構成員: ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございました。

ほかにもう一方ぐらいいかがでしょうか。

稲谷構成員: 稲谷です。大変興味深い御説明をありがとうございました。

私のほうは、増島先生の御質問とも重なるところがあるのですが、すすけているクラックの例が出ていたと思うのですけれども、ああいうもは、そもそも人間が現場に行ってそんなに確実に認識できるものなのですか。赤外線などを使うことによって、人間が見えないレベルのものを見ているということをおっしゃっていたような気がしたので、ひょっとすると、ひび割れを確認するという観点からいくと、こちらのほうがむしろ結構有望なのではないのかなと思ったりもしたのですけれども、その辺りについて御教授いただけないでしょうか。

安念副座長: 平山部長、いかがでしょう。私もそう思っていたのですけれども、どんなものなのでしょうか。

平山氏: 質問ありがとうございます。

私どもは近赤外線を活用しておりますが、やはり人間の目の近接目視が一番確かです。可視光よりはすすけたところにマッチしているのではないかということに着目しまして、開発したのが経緯でございます。

安念副座長: ありがとうございました。

なお、ほかにも御質問等がありましたら、先ほど申しましたように、どうぞ事務局までお寄せいただければ幸いです。

平山部長、本当にどうもありがとうございました。

平山氏: ありがとうございました。

安念副座長: よろしいですか。それでは、議事を続けさせていただきます。

株式会社フォトンラボ代表取締役社長の木暮繁様及びレーザー打音事業部最高技術責任者の錦野将元様より御発表いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

錦野氏: おはようございます。フォトンラボの錦野と申します。よろしくお願いします。

発表資料は出ているでしょうか。

では、フォトンラボのレーザー打音事業部、錦野より報告させていただきます。

「インフラ点検のデジタル管理に向けたレーザー打音計測技術」ということで紹介させていただきます。

本テーマに関しましては、内閣府のSIPプロジェクトや、国交省の新道路技術に関する道路点検の質を改善するという形のプロジェクトでも開発を行っているところです。最初の説明や1つ前のところでもあったと思うので、少し重なるところがあるかもしれませんが、お付き合いください。

第1回のデジタル臨時行政調査会の作業部会の資料より、現在、デジタル原則の適合性に併せて、目視・実地検査の類型化をしているという作業資料を見させていただいて、それに沿った形で紹介するのが御理解していただきやすいかなということで、少しその資料から頂いております。

先ほどもあったとおり、法令(道路トンネルの点検要領)により、トンネルの点検というのは、近接目視という一言で点検することになっています。この中では、先ほどもあったとおり、画像の計測と一緒である近接目視とともに、その次に内部の欠陥を検査する打音検査というのが入っています。最後、悪い部分はたたき落としするという、この3つをセットにして近接目視と言っていますが、3つ入っています。

その中で、国研を中心として、レーザー技術の応用によって、PHASE2の情報収集の遠隔化ということを目的として、SIPの第1期のインフラ維持管理・更新・マネジメント技術の中で、人でやっている近接目視、見ること、ハンマーでたたいて音を聞くこと、たたき落とすことを、それぞれレーザーで遠隔でできないかということで技術開発を行いました。

我々フォトンラボでは、この2番目の打音検査に関して、レーザーでたたいてレーザーで見るという技術開発を行っています。

本技術はどのようなものかというと、表面の微振動をレーザーで計測するという技術です。分かりやすいところでいうと、もともと打音検査というのは、スイカをたたいて音の違いを聞くというのと一緒で、ハンマーでたたいて、中に欠陥があると音が違うという形で聞き分けています。

例として良いものがなかったので、今、自販機で買ってきたのですけれども、ペットボトルをたたいたときの中が詰まっているときの音と、空だと当然音が違うというのと同様に、コンクリートの内部が浮いていたり、ひび割れがあったり、内部に空洞があったときの音の違いを聞き分けています。

これに対してレーザーによる打音というのは、レーザーでたたく。どういうことかというと、今、右に動画が動いていると思うのですけれども、レーザーをコンクリートの表面に照射して、レーザーのエネルギーを吸収させたときに少し爆発的な現象が起きます。これによって表面を振動させる。振動させた結果を別のレーザー、ここで言うところの赤い矢印で爆発的な現象を起こさせて、緑のレーザーで検出する。

どういうことかというと、中にクラック・空洞があった場合、その表面の部分というのは太鼓の膜のように振動します。その様子、表面が振動すると右側のように振動するわけなのですけれども、そこに非常に質のいいレーザーを照射すると、振動することによって、光の周波数、波長に変調が起きます。この変調を検出することによって、基本的にハンマーで聞いている音の違いの原因になる振動の違いをレーザーで検出するという方法がレーザーによる打音方法です。

レーザーによる打音計測でどういうデータが取れるかということなのですが、これは周波数に直しているのですけれども、横軸を周波数、縦軸をその強度にするのですが、音が違うような打音異常がある部分に関しては、この図では周波数は4,000ヘルツ弱のところにピークが立つような、「音が鳴った」というような振動の信号が出てきます。
 このような形のものを、右側で、これはトンネルの表面の画像に対して何点か順番に計測していき、打音異常があったところを赤、正常部分を緑でマッピングするという形で、画像と重ね合わせることができます。

繰り返しになりますが、1つの振動励起レーザーで表面を振動させて、その様子を振動計測レーザーで解析して、耳で聴いた音の違いというのをデジタル化、定量化、数値に直せるという形で、最終的に悪いところをマッピングするという形です。

このようなレーザー打音法はどこまで使えるのかという話なのですが、当然、エックス線で人間の体を見るようなレントゲンとか、そういうものを使うと、トンネル覆工は50センチあるのですけれども、奥まで見たり、そういうことができるのですが、基本的に人間の打音法というのがどれぐらいの深さを検査しているかというと5センチ程度で、表面からぽろぽろ落ちてくるというような落下物ものの検査に対して使うものが打音検査になります。それとちょうど置き換えるという意味では、5センチぐらいの深さの浮きであったり、剥離であったりするものの検知に適しているというところです。

これまでにトンネル検査用ということで開発してきた装置というのが、4トントラックに積んで、レーザーが出ていくような装置ができています。これらの装置に関しては、類型化のところにもあったと思うのですけれども、技術カタログによる代替手段の適用範囲、条件、実施効果の明確化ということを国交省で進めており、国交省の点検支援技術の性能カタログの非破壊検査というところで、トンネル、橋梁のコンクリート部分に使えるという形でカタログで登録されています。

資料の、PHASE1からPHASE2、情報の遠隔化というのがあるのですけれども、PHASE2は同時に人による評価というのがあります。要するに、我々の作った機械がどれほど信頼に値するかという話です。診断支援に活用するための課題というのは、我々の装置の計測結果がどれほどのものかというのを評価する必要があります。

そのために、実際にトンネル等の各種ひび割れに近い供試体を用いて検証することで定量的な、どういうひび割れをどういう形で評価するかというのが分かります。一例を出しますが、こういう四角いブロックにひび割れを入れるような形の供試体を作って表面からたたきました。その場合に、これは1センチずつますを切って、レーザー打音で計測した結果と検査員の方2名にたたいていただいた結果を比較している。要するに、この供試体に対してどのような判定をしているかということを比較して、そのデータ、我々の装置の正確性、どれぐらい信憑性があるかというのを比較しています。

これを見てもらって、検査員2名で赤と黄色に分かれているのは、赤の部分は2名とも欠陥と言ったところであり、黄色の部分は2名中1名の方が欠陥と言ったところです。人が判断している限り、こういう形で曖昧さが残ります。当然、検査なので、危険寄りに寄るので、こういう場合は1名の方でも欠陥と判定した部分が欠陥エリアになります。

一方、レーザー打音というのは、今、緑と赤でしか表示していないですけれども、黄色の部分も含めて、基本的には2名の検査員とも欠陥と判定する部分を欠陥として判定しています。このような供試体での試験とともに、実際のトンネルでも点検の比較をしています。

これもトンネルの画像に、後ろにケーブルが通っていて、目地と呼ばれる約10メートルずつでトンネルを接続部分のよく剥落が起こりやすい箇所で、後ろにチョーキングの跡があります。その部分に関して、どのような結果が取れるかという形で検証しています。各種それぞれいろいろな欠陥によって、打音異常の信号が取れており、そこに対する比較を行っているというところです。

今、赤と緑でお示ししたとおり、今のところ、幾つか信号が取れているのですけれども、表示は異常か、異常でないかだけです。今後、これをより高度化するためには、ここの黄色に書いてあるとおり、AI等の技術の進歩に関しましても、現在、SIPの第2期で研究開発を進めています。ここで取られた信号というのは、横軸が時間で、縦軸が振動といったときに、その表面のレーザー打音による振動、要するに、欠陥による振動が大きかったり、小さかったり、なかったりという区別ができます。このようなデータを多数取って、教師データとすることで機械学習を行います。、実際の点検要領の区分というのは、簡潔に区分すると正常、異常(小)、異常(中)、異常(大)の4段階に分かれています。異常(中)、異常(大)と書いたのですけれども、異常(大)というのは即対応、異常(中)も基本的に即対応、現在のトンネルでは基本的には3と4は対応されているので、経過観察する異常(小)というものだけが残っています。

そのため、教師データとする場合に、実トンネルで見ようと思うと、実は異常(小)までのものしかありません。なので、今後、より予防とか予知のためには異常(大)の欠陥が必要なのですが、これはもう供試体でしかできないという話になります。

このような形で、現在、レーザー打音に関する技術開発、それぞれ人との評価を進めています。

では、実際、これをどのように運用するかということなのですが、PHASE3です。これをデジタルデータとしてどう自動化・無人化に持っていくのかというと、1つ前の発表でもあったとおり、走行型の画像を撮るシステムが幾つかもう走っています。これが走ることによって覆工面の写真に置き直すことができます。

先ほどちょっと質問があったと思うのですが、幾つか技術がありますけれども、基本的にAIで80~90%程度のひび割れは抽出できます。そこから幾つか、これは青いところが漏水箇所、緑の場所がひび割れとか、そういう箇所ですが、そこからひび割れでより危険な箇所を推定することによって、レーザー打音検査をする。

そういうことで結果を作り、保存するのですが、ここで残念なところが、最終的に人の手が必要なのかと言われると、画像を撮って、打音検査をして、ひび割れとか内部の欠陥検査までできるのですけれども、最後の近接目視でいうたたき落としというのが実はレーザーではなかなかできないということです。

原子力発電所の廃炉処理のような形で、高出力レーザーでコンクリートを切り落とすような技術開発も進められているのですけれども、実検査で考えると、人が見に行ってハンマーでたたき落とすほうが早いということになって、ここに対する技術開発というのが少し残っているという状態です。

では、今、取ったデータというのはどうなっているかというところを紹介させていただくと、これも1つ前のデジタル管理という意味で考えると、例ですけれども、現在は点検結果というのは、トンネル台帳という紙の形でトンネルがあって、そこにひび割れの線を描いて、どういうひび割れかということに関して、写真を撮って残しています。

今、実際に紹介させていただいたとおり、覆工画像、トンネル全面の写真を撮って、ひび割れも抽出する。そこに打音結果も出せるということで、このような紙のトンネル台帳からデジタルにするに当たって、現在、トンネルデジタル台帳を目指したプラットフォームを提案・構築中です。

このようなトンネルの画像に対して、青い部分は漏水検知箇所です。赤の部分はひび割れとか、そういうものがありますので、そういうところから撮った画像に合わせていって、クリックしていくことで、それぞれの覆工画像の詳細であったり、そこに打音検査を重ね合わせることによって、紙の台帳からデジタル台帳というものに進んでいく形というのが将来的なロボット化点検の理想像であると考えています。

最終、現在、どれぐらいのところまで進んでいるのかということに関して、この資料から紹介させていただくと、点検のための新技術というのは、笹子トンネルの事故からの教訓もあり、それぞれ幾つか新技術というのが開発されています。

ただ、新技術というのは、ロボットを使っており、代替技術というのは非常に高価であるので、今すぐ人と置き換えることは簡単にいきません。特にコスト面と書いているのですけれども、要するに、画像計測で0.3ミリを撮れたり、打音検査を3センチ間隔で取ったとしても、全部を見てしまって細か過ぎて、コスト面で割に合わない。

今だと割に合わないだけなのですけれども、例えば、判断の自動化とか、無人化をすることによって、デジタルデータを蓄積して、今後の予知・予防とか、そういうものにつなげることで、より安全・安心な社会実現につながるような手続や、そういう規制であったり、管理方法を構築することによって、コスト面だけではなくて、人手不足も解決するのではないかという形で貢献できればいいなということで、フォトンラボをはじめとして、研究開発をしているところです。

ただ、一方、デジタル管理という意味でいうと、まだいろいろなものが決まっていない。例えば、先ほどの紙に押印した完成品が点検結果なのですけれども、デジタルになったときに電子証明だけでいいのか。その画像がいつ更新されたかとか、そういうものに関しての決まりがなかったり、一方、トンネルの画像データは大容量で、0.3ミリを見ようと思うとだんだん大容量になるのですけれども、そこまで要るのか。実際、画像自身は検査を依頼した国や地方自治体に納品されるわけなのですけれども、画像を撮った人の権利というのもあるはずです。

あとは、一般にデータを公開する場合、日本全国で先ほどのようなデータベースを作った場合、公共のものだから公開していいのか、駄目なのか、多分、そういう形の決まりというのが今後必要になってくるのかなと。

最後、これは上2つとは別なのですけれども、山奥のトンネルでやってデジタルで管理しようと思うと、いろいろな電波が届いていないのです。当然、トンネルの中だと電波が届かないので、最終的にはその後転送すればいいのだと思いますが、リアルタイムでどうこうというところにすると、少しそういう難しいところがあるということで、デジタルですることによって、当然、いい話もありますし、進めていただきたいと考えますけれども、同時に検討しないといけないことも幾つかあるということで、検討いただけるとありがたいと思っております。

以上、駆け足でしたが、発表を終了させていただきます。ありがとうございました。

安念副座長: 錦野様、どうもありがとうございました。

お一方ぐらい、何か御質問、御意見等はありませんか。
増島先生、どうぞ。

増島構成員: どうもありがとうございました。非常に勉強になりました。

2点だけお伺いさせてください。

まず、これはレーザーでやりますというソリューションなのですけれども、これは打音と書いてあるから、打音に相当するものを物理で叩くという方法に替えて行おうと考えたから、レーザーになっているという理解でいいのでしょうか。

何を質問しているかというと、内側にある欠陥を探そうというのが本質的な話だとすれば、先ほどおっしゃったように、例えば、エックス線を当てることによって、それが分かるということがあり得るのであるとすると、本質は中が分かればいいということだと、それを打音という方法で実現しなくても別のテクノロジーによるアプローチがあり得るのではないかということが素人目にはありそうにも見えるのですけれども、ここについては、どう考えたらいいのかというのが1点。

もう一点は、おっしゃっていただいたデジタルのところでいろいろ考えなければいけない話というのは、なぜアナログのときには考えなくていいと考えているのかという部分がよく分からなかったので、教えていただければと思います。

錦野氏: 最初の1点目ですが、レーザー打音の根本のところと言ってもいいかもしれないですけれども、基本的には、現在、近接目視ということで、たたく打音検査が法規制で決まっているので、点検として置き換えるためにはと書いているのですが、原理的に同一であるべきだという理由があって、レーザーでたたいて見る方法というのが最初に導入されています。

言われたとおり、ひびを見るためだけだったらば、エックス線でもいいのではないかという話なのですけれども、エックス線で見ようと思うと、例えば、レントゲンを想像していただいたら分かるとおり、フィルム部分を置く裏側が必要になります。

トンネルの裏側は見られないので、そういうものに対しては、例えば、正面からレーダー波を入れて反射波で見たりするのですが、先ほど紹介したように、それはトンネルのコンクリートの50センチの深さが20センチになっているかとか、10センチになっているかというのを見るのに使うのですけれども、そうすると、50センチとか20センチの分解能があっても、打音検査をしている5センチぐらい、要するに、車に当たったり、歩行者に当たったり、そういう危険性を見るものに対して、ちょうど表面から5センチから10センチのものを見るというのは、ちょうどこの打音検査というのが適しているのです。

超音波計測みたいなものでひびを見たりするのですが、それも超音波、レーザーでも何でもいいのですけれども、振動検出器を表面につけないといけないのです。そうするときに、リモートセンシングという形で実施することが少し難しい。

そのため、現在、法規制でやっている近接目視というのをロボット技術に置き換えるという意味で、レーザーを当ててレーザーで見るというところからスタートしていて、レーザーを当てることによって超音波とかも出ているので、当然、高度な技術もありますし、中性子などのビームを使うことで、中の水分とか、そういうものを検出したりすることもできるのですが、それを使ったから点検になるかというと、またちょっと違っていて、点検要領のほうでそうなっていないので、そこには使えない話となっています。

増島構成員: ということが起こるということですね。ありがとうございます。

木暮氏: では、2つ目の質問は木暮のほうから説明させていただきましょうか。

安念副座長: お願いします。

木暮氏: フォトンラボ代表の木暮です。

今の御質問ですが、最大の問題は、インフラの場合、事故が起こると裁判が起こるわけです。今まで紙などで保存していた図面ですと、それを改ざんすると証拠が残るのですけれども、デジタルのデータは改ざんの証拠が残らないという部分があります。そのために電子署名法とか、タイムスタンプというのがデジタルの世界では使われているのですが、現在、インフラのデータの管理に関しては、この2つが必要条件とされていません。

ただし、もう既に裁判がいろいろな形で起こっている医療業界などですと電子カルテ、あるいは国税庁などですと領収書をデジタルで取っておく。あるいは特許庁の先使用権は、全てタイムスタンプが押されて改ざんされていないことを証明しているのですが、紙だった場合には証拠が物理的に残っているのですが、デジタルではそれが残らないということで、いろいろな問題としてまだルール化できていないというところです。

実際、タイムスタンプに関しては法律がないのです。省令で決まっているということで、これはもう日本国のJISに決まって世界標準になっている日本の優れた技術なのですが、この裏づけはビットコインなどで使われるブロックチェーンの技術なのですけれども、法律で裏づけられていません。ですから、厚生労働省とかが省令で指導しているだけなのです。

ですから、逆にデジタル庁さんは、全てのデータに関しての証明を統一的にしていただくように、例えば、タイムスタンプをちゃんと法制化するとか、日本の技術ですから、世界標準になった事例というのはあまりないので、逆に日本が誇れる技術なので、ぜひデジタル庁さんでその辺をまとめていただくと、実際、インフラを含めて、デジタルを扱って、いろいろな産業でデータを使っていくというところで大きな推進剤になるのではないかと思っております。

安念副座長: 大変な宿題を頂きました。木暮社長、錦野様、本当にどうもありがとうございました。

引き続き議事を進めさせていただきます。株式会社長大構造事業本部技術統括部主任技師の有井賢次様より御発表をお願いしたいと存じます。有井様、よろしくお願いいたします。

有井氏: 株式会社長大の有井と申します。よろしくお願いいたします。

それでは「振動画像によるケーブル張力計測技術のご紹介」をさせていただきます。

本日は、国土交通省様により取りまとめられました点検支援技術性能カタログに掲載させていただいております技術の御紹介になります。

ここにお示ししております写真は、広島県福山市の芦田川にかかっております斜張橋という形式の橋梁です。中央にあります主塔と呼ばれる構造から斜めにケーブルを張り渡して、主桁を支える構造となっております。この斜張橋のケーブルは、橋梁にとって非常に重要な部材でして、損傷を放置すれば落橋にもつながる重要な点検対象となっております。

このケーブルには常に大きな引っ張り力、すなわち張力が作用しておりまして、この張力の確認は、現在、特別な場合に実施する点検項目でして、定期点検では外観目視のみが実施されておりますが、場合によっては、道路管理者の判断によって5年に一度の定期点検と一緒のタイミングで実施されるということもあります。

このケーブル張力の点検方法ですが、ケーブルに近接して計測機器を直接設置する方法であるために、日常的または災害時の迅速かつ安全な張力の把握は難しい状況です。

そこで、我々の取組といたしまして、DXによる計測作業の省力化、作業の安全性の向上、日常的な張力管理、災害時の迅速な張力把握を可能とする技術の開発に取り組んでおります。

これまでの張力計測の流れを左側に示しております。上段の写真で示しておりますように、加速度計を設置後、ケーブルを人力で揺らします。そうしますと、設置した加速度計から、中段に示しますような波形データを得ることができます。これが加速度時刻歴波形というものになります。

この波形データに対してある解析を実施いたしますと、下段に示しますようなケーブルの卓越振動数と呼ばれる値を取り出すことができます。その卓越振動数を用いて、中央の赤枠内に示します張力算定式に入力し、ケーブルの張力を推定いたします。この推定した張力が、設計時の張力と比較して大きな変動がないかを確認し、関連性を判定しております。

これに対して、本技術の流れを右側に示しております。本技術では、上段に示しておりますように、ケーブルに近接することなく、遠方よりデジタルカメラを用いてケーブルの揺れを撮影します。その撮影画像を解析し、中段に示しますような変位波形を抽出いたします。その後の振動数抽出、張力算出、安全性判定の流れは従来技術と同様です。

本技術の原理を簡単に御説明いたします。

左側に示します画像は、デジタルカメラで撮影した画像におけるケーブルとその背景の境界部分を拡大して示したものです。図中の青い点は振動計測を行いたい任意の着目点で、その周りの黄色い四角の範囲は着目する範囲を示しております。

一方、右側の写真は、その着目点が次の時刻において、ある位置に移動した様子を示しております。解析では、この着目範囲の輝度値の分布が次の時刻の画像内に最も相関が高い範囲を観察し、移動した距離を求めます。この解析を連続して行うことにより、次々に着目点のトラッキングを行います。この方法を用いて、さきのスライドで御説明したような波形を得ることができます。このような技術をデジタル画像相関法と申しまして、物体解析の基本的な方法の一つとなっています。

次に、この技術を用いて、実橋での検証を行った結果を御説明いたします。

これは先ほどお示ししました斜張橋を模式的に示したものです。この斜張橋ケーブルに対して、従来方法である加速度計を用いた計測と画像計測との比較を行いました。

この図は斜張橋の断面図を示しております。この橋梁は、中央分離帯を挟んで上下2車線ずつ合計4車線と、その外側にそれぞれ歩道が設置されています。中央の赤く示しているものがケーブルになりますが、本橋では、この中央分離帯の位置において、橋桁をケーブルでつり上げて支えている構造となっております。加速度計はこのケーブルに設置し、画像計測用のカメラはケーブルから9メートル程度離れた歩道上に設置しました。

これがその計測の状況です。左側の写真は、ケーブルに加速度計をテープで固定した様子を示しております。一方、右側の写真は、歩道上にカメラを設置して実際に撮影している状況です。

この図は計測を行う位置を模式的に示したものです。左側の図はケーブル振動形状の代表的なものを模式的に示したものです。実際のケーブルは、このように幾つもの種類の振動が混ざった形で振動します。この振動の形をできるだけ考慮して、より計測しやすいケーブルの位置を考え、加速度計を設置すると同時に、カメラで撮影を行う範囲を決定いたしました。右の図の赤枠で示す範囲がそれに相当します。

こちらの下段に示します写真は、実際に画像計測を用いて撮影された画像になります。左側が2K画像、右側が4K画像で、4K画像のほうがより解像度の高いものになります。それぞれの画像の解像度において、幾つかの着目位置と着目範囲の大きさによる計測精度の違いの検証を行いました。

左側のグラフは加速度計測で得られた波形です。また、右側には、計測結果を用いず、机上の方法によって求まるケーブル張力と振動数の関係式及びその式より求めた振動数を表に示しております。このような加速度波形や関係式より求まる結果と画像計測との比較検証を行いました。

こちらのグラフは、計測した波形データを、ある解析法を用いて周波数ごとに分解したものを示しております。左側が加速度計測の結果、右側が画像計測の結果です。

左側の加速度計測のグラフで確認できる山の数に対し、右側の画像計測のグラフにおける山の数は少なくなっています。これは画像計測のほうが、加速度計測に比べて、小さい振動、これを高次の振動といいますが、この高次の振動を計測しにくいことを示しています。しかしながら、横軸の山の位置、すなわち振動数ですが、振動数は加速度計測の結果とほぼ同じ値を示しており、これまでに用いられてきた加速度計側法と同等の値が取得できることを示しています。

こちらは加速度計測と画像計測との結果を比較したグラフで、左側が2K画像、右側が4K画像のものです。2Kにおけるいずれの画像の場合でも、加速度計測と同等の振動数の抽出を行うことができることを示しております。したがいまして、先に御説明いたしましたケーブル張力の推定精度についても、加速度計測と同等の結果が得られることになります。

少し動画を御覧いただきますが、こちらの動画は画像によるケーブル振動抽出結果を可視化したものです。黄色いラインは振動しているケーブルの様子で、少し誇張して示しておりますが、このように橋の上を自動車が通過する際、ケーブルが振動する様子が御理解いただけると思います。

画像計測を行いますと、ケーブル張力を求めることができるだけでなく、このような実際に揺れている様子を目で確認することができ、数値だけではなかなか理解できない橋の様子を目で見て確認できる点や、記録画像を用いて何度でも解析の見直しを行うことができる点も、この技術を用いる大きなメリットの一つであると考えています。

こちらは現在検証中の技術でありますが、ある斜張橋の交通監視用のカメラ映像から、ケーブルに着目して振動数を解析した結果になります。このように既に橋梁に設置されているカメラ画像を活用し、橋梁の状態把握が可能となるのではないかと考えております。

最後に、本技術の今後の展望をまとめます。

1つ目は、先ほど御紹介しましたように、既に橋梁に設置されている交通監視用カメラなどの映像を活用した橋梁状態の監視。

2つ目は、今回の御紹介はケーブルに特化したものですが、今後、橋全体を撮影した画像を活用し、橋の日常的または災害時の状態把握といった観点で本技術の実用性の検証を試みたいと考えております。

御紹介内容は以上です。ありがとうございました。

安念副座長: どうもありがとうございました。

なお、株式会社長大さんの説明資料の一部のページについてですが、ページに記載される関係企業との調整状況の兼ね合いから、非公開とさせていただきたく存じますので、御了承ください。

では、今の御発表について、何か御意見、御質問がありましたら、どうぞ。

落合構成員:* よろしいでしょうか。

須賀参事官: 落合先生、お願いします。

落合構成員: 落合と申します。御説明ありがとうございます。

今回お伺いした内容というのは、橋梁の点検について利用されているということだと思います。物理的な原理を考えた場合に、ある程度動きがあるようなものが対象で、静的で止まっているものですと、この解析方法は使えないのであろうと思われます。もう少し適用範囲を広くしていくことができ、その際にあらためて学習等は必要になると思いますが、応用することが可能になるという見通しでよろしいでしょうか。

有井氏: そうですね。この技術は、御指摘のとおり、動いているもののトラッキングという技術ですので、振動数の異変だとか、あるいは短い振動でなくても、橋梁が少し位置変動したり、変位が発生する劣化、そういった変位するものに対してはトラッキングができる技術だと考えております。

ですので、今回はケーブルの張力測定という技術ですが、これを応用していくことによって、先ほど申しました変位監視ができるのではないかと考えております。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

ほかにどなたか。

小林副大臣: なぜこれを開発するに至ったのかというきっかけとして、国交省から公募があったから開発を始めたのか、何かこれで代替できるのではないかと思って自ら取りかかられたのか。また、どれぐらいコスト削減効果がありそうだとか、効果がありそうだと思われているのか教えてください。

有井氏: 実は当社は比較的長大橋といいますか、海をわたるような大きい橋の点検を業務でよく実施しておりまして、この技術ではないのですけれども、同様に点検カタログに記載されておりますケーブルを点検するロボットがあります。そういった意味で、もともと斜張橋のケーブルには非常に着目して技術開発をしていたという経緯の中で、振動数、張力の効率的な監視という意味でこの技術をやり始めたということで、点検カタログのほうに応募させていただいたということです。

コストの縮減効果という意味では、今行われている点検方法は加速度計によるもので、それと比較して、それほど劇的に効率化、あるいはコスト縮減が図られているというものではありませんが、先ほど動画でお示ししたように、例えば、複数のケーブルを一気に計測できるとか、そもそももう既についているカメラを利用した日常的な監視ができるという意味では、一本一本に加速度計を取りつけて計測を行うような従来方法よりもかなり効率化が図れるというか、質的向上、あるいは作業の安全性の向上といった意味ではかなりアドバンテージがあるのではないかと考えております。

小林副大臣: ありがとうございます。

安念副座長: よろしいですか。ありがとうございました。

有井主任、どうもありがとうございました。さすがにボスポラス海峡にまで橋をかけられた会社さんだなと思って、大変感心して伺っておりました。

先ほど申しましたように、資料については一部非公開とさせていただきますので、その点を御了承いただきたいと存じます。

続いて、グリッドスカイウェイ有限責任事業組合、CEOの紙本斉士様、及びマネジャーの齋藤亮平様より御発表いただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

齋藤氏: それでは、グリッドスカイウェイの齋藤のほうから発表させていただきます。

今日は貴重な機会を頂きまして、誠にありがとうございます。

では、早速、パワーポイントのほうを映させていただきます。皆様、御覧いただけていますでしょうか。

では、パワーポイントに基づいてお話をさせていただきます。

私どもグリッドスカイウェイ有限責任事業組合は、右上にマークがございますとおり、東京電力、中国電力の電力2社と、NTT DATA、日立製作所のシステムベンダー2社による事業組合になっております。この4社によって、電気事業におけるドローン活用について取組を進めているところです。

では、電力事業でどのようにドローンを使っていきたいかというところの御説明です。

私どもは、災害への迅速対応、作業員の高齢化・要員減への対応、生産性の向上を目的に、以下の4つのユースケース、ポンチ絵ですが、こういったことから、山間部の人が少ない場所からドローンを使っていきたいと思っております。

1つ目が送電設備の巡視です。こちらについては、山の中の鉄塔を皆さんも御覧いただいたことがあると思うのですが、こちらの鉄塔及び電線について、巡視をしていくものです。

右上②の送電設備の点検、こちらは同じ鉄塔の鋼材までも点検するものす。

3つ目の変電所でございますが、皆様の御自宅の近くにあるような小さなものに加えて、東京ドーム4個分、5個分みたいに非常に広大な変電所もございまして、そういったところを巡視するために使いたいというものです。

最後の4番目が配電線です。こちらは皆様の御自宅の近くに電柱という形で立っているものです。

1つ御説明ですが、私どもは「巡視」と「点検」という言葉を使い分けておりまして、巡視というのは、人間でいうと学校の健康診断みたいな簡単な検査です。点検については、人間ドックに入って詳しく調べるということでして、早くさっと見る形とゆっくりじっくり見るという形で、送電線の設備の「巡視」と「点検」という言葉を使い分けています。

特に巡視とか、それから、広域災害が発生したときには、現在はヘリコプターを使って空から一挙に見るという方法を取っておりますが、後ほども御報告するとおり、ヘリコプターは電力各社でも1社数台程度しか管理できないというところがありますので、そういった意味でもドローンを活用していきたいという思いが強くあります。

続きまして「2.ドローンの導⼊効果の算定例」です。

先ほど御説明したような送電鉄塔の点検について、左側は、人が2人いて、山を登って、さらに鉄塔を登って点検するパターンです。右側は、近くまで人が1人で車で行って、その後はドローンを自動操縦して点検するというものです。

下側のところを御覧いただきますと、緑色の徒歩部分、それから、ピンク色の昇塔という言い方をしていますが、これは鉄塔を登る作業になります。この辺りがぐっと圧縮されることによって、5倍程度生産性が上がると私どもは見込んでおります。

続いて、具体的なドローンの設備点検システムの操作の実例です。

iPadのようなタブレットを準備しまして、ドローンについては、自動操縦で見たい設備まで自動的に接近していきます。その後、タブレットで私はここをよく見たいというところを押していただくと、そこに焦点が合って、さらにズームしていくことができます。

こちらの実例は、鉄塔は全体的にこういう構造になっていまして、碍子という瀬戸物があります。漏電を防ぐものですが、ここのひび割れがあるか、ないかというのをここまでズームで拡大できるという実際の実例です。

続きまして、今御紹介したところは、リアルタイムで作業員がその場で見るイメージですが、ドローンは機体の中にSDカードというものを持っておりまして、後で撮影画像をじっくり見ることもできます。

そのときに大事になってくるのが、御覧いただくとおり、鉄塔1基、1基は非常に似ておりますので、再生したときにどの鉄塔をどの方向から見ているかというのが分からなくなってしまいます。それを防ぐために、どの設備を、どの角度から、いつ撮影した映像かが直感的に判別できるシステムを構築しております。

こちらが点検用カメラの高解像度映像でして、ハイビジョン以上の画質です。こちらが撮影しているときと連動しているのですが、ドローンがどこを飛んでいて、なおかつ、ちょっと見にくいのですが、機体がどちらの向きを見ているのかというところも分かる形です。この図でいくと、若竹線No.2という鉄塔を南側から見ていたのだなということが後からでも分かるというところです。

こういったアーカイブが作れますと、AI診断にかけるということも可能になってくると思っています。

続いて、こちらがAI診断の私どもの出資会社の一つである東京電力の実例です。

鉄塔は今、東京電力では平均年齢が大体43歳で、最高齢が115歳というところです。さびがどんどん進んでいく前に、それを直していく作業が必要です。そのためには、鉄塔の静止画像をどんどん撮っていきまして、こちらのようにそれを1枚の写真につなぎ合わせます。その後、背景を切り出して、切り取ってしまって、鉄塔だけを浮き彫りにいたします。その後、私どもの作業員の知見をAI化しまして、鉄塔のさびが強いところは赤く浮き出るようなAIを作って、取組を進めているところです。

送電線のほうも鉄塔と同じような仕組みを作っておりまして、こういう正常な電線と、ここがちょっと切れているのですが、こういった人の目でも見落としかねないところをAIのほうで自動的に抽出するということにも取り組んでいるところです。

続いて、自動操縦システムというところにお話を変えさせていただきます。

今のドローンは、プロポという手動操縦装置を用いて、操縦者から目に見える範囲だけで飛ばすことが多いのが現状です。これを「目視内飛行」という言い方をしておりますが、目視内飛行ですと、どうしてもドローンの飛べる範囲が限られてしまいますので、潜在能力を最高限度に引き出せないのではないかと思っております。

簡単に申し上げますと、こちらまで飛んでいきたいというところです。2018年11月から航空法の見張り規制を一部緩和していただいておりまして、今までパイロットの目に見えないところまで飛ばす場合には、この辺りに補助者を置いて操縦者の視界をサポートしなさいという規制がありましたが、ある一定の安全要件を満たした場合には、これを不要にするということで規制を緩和していただいております。

そこまですると、こういった先まで飛べるようになりますが、当然、パイロットから目に見えないところまで飛んでいきますので、手動での操縦はできなくなります。そこで、私どもが必要だと思っているのが、こういった自動操縦システムというものでございます。こういった送電線とか、送電鉄塔のここをこの順番で飛んでほしいというのをあらかじめ指定しますと、そこを自動的にたどってくれるというものです。

この自動操縦システムですが、今御覧いただいたようなiPadが1枚あれば、完成するというものではありません。

まず最初に大事なのが、どこを飛ばすかというのをドローンに事前に指定してあげるためには、人工物や樹木と当たらない航路を指定してあげる必要があります。これは少し見にくいのですが、こちらにあるのがレーザー測量で鉄塔が浮かび上がっている絵です。この下前面に出ているのは、少し波がありますが、樹木です。あらかじめレーザー測量をして、人工物にも樹木にも当たらない場所をドローンの航路、空の道として指定してあげるというのがまず1個目に必要になります。

2つ目に必要なのが上空のLTE、携帯電波です。機体と地上の間を常時接続して監視・制御する必要があります。先ほど御覧いただいたような手動装置ですと、1キロ、2キロしか電波が飛ばないのですが、携帯電話であればどこまででも飛ぶということで、これが必要になります。

3つ目、4つ目が運航管理でして、ほかの有人機、ヘリコプターやドローンがどこにいるのか。それから、空の安全な道、これが青いところで、私どもが確認して浮き彫りにしているところですが、ここからドローンが逸れて飛んでいないかということを監視する必要も出てまいります。

「8.業務実装に向けた課題」です。

以下のような課題については、関係各省の皆様にいろいろと御相談させていただいております。誠にありがとうございます。こういったことが解決されてくると、さらにドローンの適用範囲が広がって、経済性も確保されるということで御紹介です。

1つが上空携帯電波の確認です。地上でどこが携帯電話が通じるか、通じないかというのは、各携帯電話会社様からホームページで公開されておりますが、上空のどこに電波が飛んでいるかということについては、現在、公開されておりません。そのため、自分自身で飛ばして、携帯電話の電波が入るのか、入らないのかというのを確認している状況です。

2番目は、高度150メートル以上の携帯電波利用です。高度150メートル以下については、総務省様のほうで規制を緩和いただきまして、この絵でいくところのドローン利用希望者と携帯電話事業者様、この2つだけのやり取りで上空電波を使うことを認めていただく制度が今できています。一方、高度150メートル以上については、総務省様の処理期間が入りまして、大体プラス2か月程度かかってくるというところです。

3つ目が、長距離目視外飛行に対応した機体というところで、政府のプロジェクトによって、国産の小型空撮機体が既に昨年末に登場しております。続いて、より長距離飛べる機体についても、できれば国産のものが出てきますと、私どもがいろいろなやり取りをさせていただくときに、国産メーカーさんのほうがレスポンスも早いですし、細かいところまでニュアンスを伝えられるというところもありまして、こういった中型機体の登場を待ち望んでいるところです。

4つ目は、飛行位置精度の向上というところです。現在、皆様のスマートフォンにも入っているGPSをドローンにも積んで、自分の位置を把握しておりますが、最大10メートルの誤差があると言われております。こういった誤差も踏まえて、ドローンをどこを飛ばすかということを指定してあげているのですが、これが準天頂衛星「みちびき」のようなものの受信アンテナがドローンでも搭載できるぐらい小さく安くなれば、さらにセンチメートル級で飛ばすことができますので、より近くから撮影することが可能となるということで、この問題を感じております。

すみません。お時間を超過しました。最後の「9.空の産業革命へ向けた取り組み」というところで、私どもグリッドスカイウェイは、電力設備の点検を皮切りに全国共通の航路プラットフォーム、先ほど御報告したような自動操縦システムの運用に必要な様々な要素の構築を目指して、空の産業革命に貢献してまいりたいと思っております。

ポイントの1つとしては、前段で御報告したとおり、非常に広域な災害が起きてしまうと、今はヘリコプターを飛ばしておりますが、数機しかありませんので、どうしても順番待ちが発生してしまいます。ドローンを使うことによって、面的な同時多発災害に対しても、しっかりとその状況を早期に把握して、どこからどのように対応していけばよいかということが把握できると思っております。

また、こういった航路プラットフォームを作った後には、これを様々な産業の皆様と共用することもできると思っておりますので、ここの事例では、インフラ点検のほかに物流様とか、災害対応ということも含めて、ドローン産業の発展の起爆剤になれればということを思っております。

最後、ポイントの2は、こういった航路を共用することができれば、ドローンの運航費用全体が低減すると思っています。そうすれば、インフラ点検や物流のドローン化が進む。ドローン化、イコール、電化だと私どもは思っておりますので、これがカーボンニュートラルにも貢献できるのではないかということを思っております。

お時間を超過してすみませんでした。よろしくお願いいたします。

安念副座長: 齋藤マネジャー、どうもありがとうございました。

今、御提供いただいております資料につきましても、先ほどと同様、関係企業との調整状況の兼ね合いがありまして、非公開とさせていただきたいと存じますので、御了承いただきたいと存じます。

それでは、ただいまのプレゼンに対しまして、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。落合先生、どうぞ。

落合構成員: 御説明ありがとうございます。

ドローンの利用ということは非常に有望だと思っております。ドローンを利用できるようにするために、制度側で改善したほうがいいということもお答えいただいたように思っていました。特におっしゃっていただいたのは、電波法の実用化試験局の免許交付手続、特に150メートル以上というところだったと思いますが、よく言われるものとして航空法のほうもあるとは思うのですけれども、目視外飛行等についても、そちらのほうで法改正もされているので、もう課題は解決しているということでいいのでしょうか。

また、自動操縦での飛行ということで、多数のドローンが飛ぶようになったときを考えると、前に管制に関することも規制改革会議で議論したことがありまして、そういった点もさらに整備が必要なのかといったところを教えていただきたいと思います。

もう一つは、ドローンで空撮した写真をデータベースとして整備していって、皆さんで利用できるようにしていくといったことも考えられるかとは思いますが、こういった点で今後議論を進めていったほうがいいのではないかとお気づきのところが何かあれば、教えていただければと思いました。

以上です。

齋藤氏: 御質問ありがとうございます。

まず、航空法の150メートル以上ですが、こちらについては、一昨年の年末にリスク評価に基づく対策を行った申請を航空局様に聞き入れていただきまして、既に150メートル以上の自動操縦飛行、レベル3飛行という言い方をしますが、許可を頂けるようになっておりますし、制度自体も変更していただいております。

また、御指摘いただいたとおり、今後、空を飛ばしていくに当たっては、数が増えれば増えるほど運航管理システムというのが必要になってくると思っておりまして、この辺りも、今、国交省様や経済産業省様、内閣官房様を中心に、どういう制度にすべきかということを御議論いただいております。私どもも民間の立場の中で、このような制度ができればということは御提言できればなと思っております。

それから、もう一つの御指摘のドローンデータベースの整備ですが、こちらは私個人の素案ではありますが、災害対応で飛ばしたときの撮影映像というのは、電力設備だけが映っているものではないと思っております。当然、道路ですとか、周りのいろいろなインフラも映っておると思います。いろいろな事業者さんが自分の設備だけを見たいということで数多くのドローンが飛行して空が混雑するよりも、誰か代表で見てまとめて、共有することがもしできれば、いろいろ課題はあると思うのですが、空の混雑緩和にもつながりますし、災害を早く把握することにもつながるのではないかと思っております。

安念副座長: ありがとうございました。ごもっともですね。

増島先生、お願いいたします。

増島構成員: ありがとうございます。

2点教えていただきたいです。1つは、先ほどの課題の1個目の携帯電話の電波のところなのですけれども、電波というのは指向性があって、携帯電話会社も、なるべく効率的にと考えると、多分、電波は下に吹こうとしているのではないか思いまして、それを、彼らが空用に上に電波を吹いているのか、もしくは空に向けた電波の吹き具合を人に見せて、「このぐらい電波が出ていますよ」ということを公に言えるような状態にそもそもなっているのかどうかというのがよく分からなくて、ここを教えていただきたいというのが1点。

あと、今、日本のルールなりに従ってやられていたり、日本にあるものをベースに精緻化するみたいな方向に進んでいるようにお見受けするのですが、世界で戦おうと思ったときに、こういうものは多分できませんよねという話なのかどうなのか。やられていらっしゃることがすばらしいだけに、どれだけこれで稼げるのかという観点から教えていただき、トータルで見て新しいもののほうが上だというときに、どのように対応されることになるのか教えていただきたいと思いました。

安念副座長: 齋藤さん、いかがでしょう。

齋藤氏: まず、上空の携帯電波ですが、増島先生の御指摘のとおり、下に向いて電波を吹いているという御説明を頂いています。ただ、だからといって上空に全く電波が届いていないわけではないので、そこを私どもが自分で確認しながら、ここは飛べるのだ、ここは飛べないのだというのを確認しているのが現状です。

増島構成員: アシュアランスはなかなかできないということなのですかね。携帯電話会社としては、電波は下に吹くように設計していているので、別に上のものをキャッチしていただいてもいいけれども、自分たちが保証する水準のサービスを提供していますよとは言えないみたいな感じなのでしょうか。

齋藤氏: これは私の推測ですが、上に向けてわざわざ電波を吹くほどの需要がまだないということもあるのではないかと思っております。

紙本氏: グリッドスカイウェイの紙本ですけれども、携帯電話会社の一社に確認したところ上空LTEの感度については、お金を出せば、シミュレーションして推定の感度の確認はしていただけるという状況になっています。ただ、それは電波の感度を保証するものではなくて、あくまでもシミュレーションでつながりそうですよというぐらいのもので、費用もかかってしまうというのが今の実態です。

安念副座長: ありがとうございました。費用がかかるのですね。

あと、世界で稼ぐという点についてはいかがですか。

増島構成員: 過適応なのかどうかという感じがするのですが、どこまでのものなのか。規制がこうなってしまっているので、なかなかここまでしないといけないとか、そういう話なのかどうなのかというのがよく分からなったのです。

齋藤氏: ちょっと風呂敷を広げさせていただきますと、1つ、送電線の周りは基本的にヘリコプターが近づいてこないという特性があります。これはヘリコプターが送電線、送電鉄塔にぶつかって墜落してしまったという痛ましい事例がありますので、そういったことがあるので、有人機と無人機、ドローンを比較的簡単にすみ分けができるというところがあります。

これはバーチャルにドローンの道を設定しようとすると、有人機、特にヘリコプターの皆様は有視界飛行、自分の目で見て操縦されていますので、そんなものは分からないよというお話になりかねない。これは私どもの勝手な思いですが、鉄塔、送電線の上はドローンが通る道だよねということが共有できるようになれば、スムーズに有人機と無人機の空のすみ分けということにつながるのではないかということを期待しております。

それから、世界に向けてというところですが、そういった特性を生かしながら、電力供給システムとドローンによる電気の点検システムを組み合わせることができれば、それは一つの手だと思っておりますし、構築した空の道をほかの産業の皆様にも共有する。電気事業者としては、今後、ドローンが普及して、鉄塔とか送電線にぶつかってしまうことも懸念しているところでして、今の変化を前向きに捉えて、ちゃんと進むべき道をみんなと共用しようという思いでこういった事業を進めているところです。

安念副座長: ありがとうございました。

稲谷先生、時間の関係もありますので、簡潔にお願いできれば幸いです。

稲谷構成員: 端的お伺いしたいのは、診断品質の向上というお話についてです。先ほど、人が見落としてしまうものを見つけられるというご趣旨のお話があったと思うのですが、そうすると、今、飛行計画に関しては、人が策定してやるみたいな話になっていましたけれども、プラットフォームやデータがどんどん充実してくると、例えば、送電線の管理に関しては、ひょっとすると、もう全部AIに任せることもあり得るのかなと考えました。

例えば、この部分は、最近見ていないから見に行こうというような形で、飛行ルートをAIが決めて巡回して、危ないところだけを見つけて人に連絡して、直しに行くといった未来像というものは、今の技術の発展の速度からいうと、結構描けるものなのかどうなのか。つまり、完全に完結するような形で提供できるものにつながっていく可能性があるのかという点について、お伺いさせていただければと思います。

齋藤氏: 現時点ではまだ実証中というのが正直なところです。ただ、一方で、これができれば、今、人の目によって、Aさんはさびがないと判定して、Bさんはさびていると判定するということが起こりがちなものが収れんされてきますので、同じ基準で同じように設備更新できる。その正確さがどんどん増していくということを私どもは期待しているところです。

安念副座長: そうでしょうね。大体鉄塔に登れる人もどんどんいなくなりますからね。

齋藤氏: ありがとうございます。本当にそうです。

安念副座長: 事務局、フォトンラボさんから何か御回答を頂くのでしょうか。

須賀参事官: 先ほど落合先生からチャットで頂戴しました追加の質問について、ありがたいことに戻って御回答いただけるということなので、よろしければ。

安念副座長: フォトンラボさん、恐れ入ります。御説明いただけますでしょうか。

落合構成員: 一度読み上げたほうがよろしいですか。

安念副座長: そうですね。では、落合先生、お願いします。

落合構成員: ロボットのコストに関する課題を御指摘いただいておりましたが、今後の利用範囲拡大による量産化ですとか、生産技術の高度化などの要因により、今後、低下の可能性があるのではないかとも考えておりますが、見通しについてお教えいただけないでしょうかというのが1点目です。

2点目が、エックス線を利用する場合について、無人航空機・無人車などで通行止めにして実施する場合においても、やはり安全上の問題が生じることになりますでしょうかという、これらの2項目になります。

安念副座長: 錦野さんからですかね。

錦野氏: はい。戻ってきました。

頂いた御質問に対して、急遽資料を用意しましたが、検査と装置という2つのコストが考えられると思います。

検査に関しては、現在、ロボット化というところでいうと、当然、ロボットなので、速度を速めようとは思うのですが、やはりそこはロボットを使っているので、きめ細やかな点検が可能ということもあるので、10倍とか100倍になることはないのですが、ある程度2倍から4倍というのは当然狙っていきたいところです。

コストで見ると、やはり人の費用というのは非常に安くやっているというか、変な言い方なのですけれども、1日の作業量の費用で見ると、そう簡単にロボットが回していくという費用には到底行かないのですが、先ほど最初の発表にもあったと思うのですが、なるべく長い距離、大きい面積を測ることでコストを3分の2に進めていくという形が目標で、人と共存するロボット化点検という意味では、多分、そういうものが近未来的なところの目標になると思います。

一方、装置だけで見た場合は、当然、小型化であったり、最後に発表いただいていたようなドローンに搭載することによって、小さくなったりということは当然あると思うのですけれども、日本の産業というか、機械開発のところでいうと、小さくすると高くできるみたいなところがあって、産業構造的に、小さく便利にできたから高く売れるだろうというところもあるので、そこのコストというのは、生産費用と売る場合というのはまた違うのではないかなと思うところです。

これが開発のコストと速度についての見通し、目標と言ってもいいですが。

もう一方、エックス線とか中性子とかを使ったときに規制はどうなるかという話なのですが、中性子だと原子力規制庁のほうのRI規制法があるので、エネルギーにもよるのですけれども、そういう規制の範囲で、屋外で使えるような形にはなっていないので、どう安全を担保して使うかという意味でいえば、ある程度の規制がかかる。

一方、低エネルギーだとかからないのですけれども、それでトンネルの裏側まできっちり見えるのかというと、またちょっと違う話になると思うので、病院に置かれているような放射線技師とか、そういう規制が当然あるし、必要になってくる。要するに、点検の人はコンクリート点検士みたいな技術を持っているのですけれども、そういうものを使うことによって、また違う資格みたいなものが必要になってくるのではないかなと思います。

以上です。

落合構成員: ありがとうございます。資格、規制の問題は理解しましたけれども、安全性のほうは特に問題はないのでしょうか。

錦野氏: 安全性に関しては、ないわけではないのですが、結局、規制イコール安全性の問題で、当たってはいけないとか、当たり過ぎてはいけないとか、そういう話になってくるのですが、基本的にはやってすごく劣化が進むとか、そういうことはないと思うので、インフラ構造物に対する点検ということに関しては、大丈夫ではないかなと勝手ながら想像しています。

落合構成員: ありがとうございます。

安念副座長: フォトンラボさん、本当にありがとうございました。

最後に、小林副大臣より一言頂ければ幸いです。

小林副大臣: 今日の作業部会第2回に参加いただいた委員の皆さん、民間企業の皆さん、国交省の皆さん、本当に御協力ありがとうございました。

冒頭も申し上げましたが、これから各省庁と議論・調整をしていく上で、今ある技術でどこまで可能なのかという見当をつけるという意味では、非常によく分かりましたし、むしろ人の目では見られないものが見られるようになったということが、可能性として非常に大きく感じられました。

そういう点では、先ほど議論の中にもありましたが、人ではできない部分、よりできた部分をどう評価していくのかということは考えなければいけないポイントだと思いました。

もう一点は、そういった新しい技術をどうやって認めて実装可能にしていくのかという点では、国交省の皆さんが先行的にやってきたカタログ方式が非常に有効であるし、これがあることによって、民間企業の皆さんが新しいチャレンジや投資を行うモチベーションになっているということを感じさせていただいたので、非常に有効な手段だということがよく分かりました。

我々としては、コストが同じだったとしても、安念先生もおっしゃっていただいていましたが、これから人口が減る、担い手が減る中でインフラをどう維持していくかということを考えると、コストが同じであろうと、人を代替できるならば、こうした技術を採用することに物凄く価値が出てくるというのが今の日本の状況だと思っています。

そして、それは恐らく世界中でも同じことが起こると思っていますので、海外に展開できる新たな成長産業を生み出す、そういう可能性が、規制改革にあるということも実感できたところです。

とても有意義な会になりましたし、正直、事務局は非常に興奮して、面白いという話で大変盛り上がっておりました。民間の皆さんと行政が一緒に課題設定して、新しいチャレンジをし、規制改革をし、新たな産業を生み出すという、規制改革から新しい姿が生まれるのではないかという可能性を感じられました。とてもいい会だったと思います。引き続き御協力をよろしくお願いします。ありがとうございました。

安念副座長: 副大臣、ありがとうございました。

御指摘、ごもっともです。送電線の鉄塔というのは120メートルもあったりするのですよね。これに登れる人が誰もいなくなってしまったら、コストは無限大になってしまいます。だんだん我々はそういう世界に入りつつあります。

本当にありがとうございました。国交省をはじめ、それから、プレゼンターの皆様、御協力いただきまして大変ありがとうございました。本当にいろいろなことを教えていただきました。極めて充実した会議になったと思います。

最後に、事務局より、次回の作業部会の開催についてお知らせを願います。

須賀参事官: 次回の作業部会、第3回につきましては、本日16時より開催させていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

なお、本日の議事につきましては、今のところ、公開になじまない資料は、御指摘のあった資料の幾つか以外はないものと思慮されますので、後ほど議事録を作成しまして、皆様に御確認いただいた上で公開とさせていただければと思います。

また、本日の資料は、特段の御異議がないようでしたら、デジタル庁のホームページにて公開をさせていただきたいと思います。

本日は、御参加、どうもありがとうございました。

安念副座長: どうもありがとうございました。それでは、また午後4時にお目にかかりましょう。