マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会 専門家ワーキンググループ(第2回)
概要
- 日時:令和4年(2022年)12月22日(木)17時00分から18時30分まで
- 場所:オンライン開催
- 開会
- 議事
- 検討会について
- 検討会について
- 専門家ワーキンググループについて
- 検討会における検討事項
- 今後の進め方について
- 各団体からのヒアリング
- 検討会について
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/84KB)
- 資料1 マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の開催について(PDF/33KB)
- 資料2 専門家ワーキンググループの開催について(PDF/44KB)
- 資料3 検討会における検討事項(案)(PDF/57KB)
- 資料4 第1回検討会議事概要(PDF/90KB)
- 議事概要(PDF/858KB)
議事概要
日時
令和4年(2022年)12月22日(木)17時00分から18時30分まで
場所
オンライン開催
参加者
- 村上敬亮(デジタル庁 国民向けサービスグループ統括官)
- 吉川浩民 (総務省 自治行政局長)
- 伊原和人(厚生労働省 保険局長)
- 長島公之 (日本医師会 常任理事)
- 遠藤秀樹 (日本歯科医師会 副会長)
- 森昌平(日本薬剤師会 副会長)
- 伊藤悦郎(健康保険組合連合会 常務理事)
- 岡﨑誠也(国民健康保険中央会 会長)
オブザーバー
- 安藤伸樹 (全国健康保険協会 理事長)
- 仙田康博(全国知事会 調査第二部長)
- 木村成仁 (全国市長会 社会文教部長)
- 小出太朗 (全国町村会 行政部長)
- 横尾俊彦(全国後期高齢者医療広域連合協議会 会長)
- 下仲宏卓(地方公共団体情報システム機構 個人番号センター長)
ヒアリング
※公益法人の区分の略称について
「公財」は「公益財団法人」、 「公社」は「公益社団法人」、「一社」は「一般社団法人」を示しています。
- 金井正人(全国社会福祉協議会 常務理事)
- 宮田裕司(全国社会福祉法人経営者協議会 制度・政策委員長)
- 伊藤正俊(特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 共同代表)
- 林恭子((一社) ひきこもりUX会議 代表理事)
- 小泉立志((公社)全国老人福祉施設協議会 副会長)
- 桝田和平((公社)全国老人福祉施設協議会 参与)
- 久木元司((公財)日本知的障害者福祉協会 政策委員会政策委員長)
- 七種秀樹((一社)日本介護支援専門員協会 副会長)
- 菊本圭一(特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会 代表理事)
- 橋詰正(特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会 理事)
- 吉田展章(特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会 事務局長)
- 又村あおい((一社)全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事兼事務局長)
議事(構成員等からの意見、質疑応答)
金井正人(全国社会福祉協議会常務理事)
- 国の政策として推進する以上、取得困難者に対して今までどのような対応を行ってきたのかというのを明確にする必要があると考える。
- 新聞記事で、施設に入所する高齢者らについて、施設長らがカード申請の補助をしたり代理で受け取ったりできるようにするとあったが、施設長対応は困難であり行政職員が行うべきと考える。
- 民生委員は、福祉サービスを適切に利用するための援助や行政機関の一定程度の業務には協力することができるが、任意となる各種行政サービスの申請補助、代理申請等を民生委員の通常の活動として取り扱うことは困難。民生委員は高齢化や欠員等もあり、任意で行っている行政サービスの申請等は非常に困難。民生委員としても行える業務は、行政のチラシの配布や制度の周知等、また相談があれば申請方法の情報提供等の程度と考える。
- 社会福祉協議会が行う日常生活自立支援事業においては、制度に関する基本的な周知。しかし周知しても本人が理解できるかわからないので、家族または後見人への周知かと考える。カードを既に取得しているか、申請意思があるかについても確認する必要があるが、本人が理解するか希望するかも不明。カードの申請代理は、国庫補助の要件には書いておらず、基本的には代理申請はできないと考えている。行政の窓口に同行して支援するのは可能かと考えるが、当然ながら利用料が必要になる。
- マイナンバーカードを誰が管理するのかも非常に問題になってくる。暗証番号を誰が管理するのかも非常に疑問である。
- 支援員の増員配置が必要であり、そのため、補助金の増が必要になってくると考える。
宮田裕司(全国社会福祉法人経営者協議会 制度・政策委員長)
- マイナンバーカードの取得に向けた行政による支援方策の具体化が必要。その上で福祉関係者による支援の範囲や意思確認等の具体的な方策を整理する必要がある。特に意思確認について危惧しているため、しっかりと手続きを明示していただきたい。
- マイナンバーカードを取得した後の保管が課題。今までは施設で保険証を預かるケースが多かったが、マイナンバーカードは出来れば家族に保管いただき、可能であれば、健康保険証の情報だけがあるようなサブカードを作っていただけるようなことがあれば良いと考える。
- 重度身体障害者の医療費助成制度や指定難病患者への医療費助成など、現在、煩雑な手続きが必要になっているが、マイナンバーカードで一元管理が出来るようになれば、カード取得のインセンティブになるのではないかと考える。
伊藤正俊(特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会 共同代表)
- ひきこもり当事者は、役所に出向くことが困難であることも多く、受け取り時に本人確認のために本人が役所に顔を出さなければならないという仕組みがハードルとなっている。
- カードの取得に際して、顔写真の撮影・登録、本人確認の際に顔写真の確認ということがあるが、ひきこもり当事者には顔写真へ抵抗感・恐怖心のある方が多いと考える。
- 顔写真のみならず、個人情報を誰かに見られること自体に抵抗がある方が多い。既往歴や健康状態の把握など個人情報の観点から十分な説明がないのではないか。
- ひきこもりの当事者やその家族は、これまでの経験から行政への不信感や個人情報漏洩のリスク等でマイナンバーの取得を拒む人も少なくない。そもそもひきこもる生活をしている人たちには、そこまでしてマイナンバーカードを取得したいと思えるようなメリットも感じられないではないかと考える。
- カード取得時の本人確認のために、オンライン会議やネットを使ったチャット等役所の窓口に出向かなくても行える選択肢を増やしていただきたい。
- 代理人によるカードの受け取りについて、障害や障害認定がなくても、ひきこもり状態等で窓口に出向けない人たちが多くいることも踏まえ、代理人の受け取り可能の対象枠に外出が困難なひきこもり当事者を明記していただきたい。
- 本人確認書類の選択肢を広げていただきたい。保険証をはじめ金融機関の通帳など写真付き以外のものの選択肢とするなど。
- カードに登録される個人情報は、必須事項以外は個人で選択できるような仕組みを検討していただきたい。マイナンバーカードへの顔写真の掲載も任意としていただきたい。
- 対人不安があるひきこもり当事者にとっては、人とのやり取り自体が負担になっており、また、窓口職員や電話での対応に傷つく場合も少なくない。AIロボットを活用した無人の受け取り窓口を設置するなどの検討があっても良いのではないか。窓口や電話対応で、横柄な態度をとられたり、面倒な人だというそぶりをされたりした場合、本人は相当傷つくため、そういうことがないようにしていただきたい。
- マイナンバーカードの取得ができてなかった場合も本人が必要になった時に即日発行できるシステムを検討していただきたい。
林恭子((一社) ひきこもりUX会議 代表理事)
- ひきこもりの当事者の中では、マイナンバーカードに対して否定的に考えている人が非常に多いと感じる。存在を知られたくない、自分のことを誰にも知られたくないと思っている人が多く、そのため人目につかないように自宅にこもっているという背景がある。
- マイナンバーカードはセキュリティの問題が払拭できていないのではないかと感じている人が多くおり、自分のことを知られたくない当事者にとって、個人情報の紐付けに対する恐怖感がかなり強いと考えられる。本人たちが納得できるまで、安全性について伝えていくということが最も重要。
- ひきこもりの人たちは病気になっても病院へ行こうとせず、また、本人確認が必要な場面がほぼないため、そもそも保険証やマイナンバーカードが必要だという認識があまりないだろうと考えられる。
- もし取得をするということになった場合には、やはり人と会わずに手続きができる方法というのが必要。オンラインの活用や郵送を活用した申請が必要になってくると考える。家族に代わって手続きをしてもらう可能性は非常に低い。何らかの手段を使って自分でするか、取得しないか、のいずれかである。
- ひきこもりの当事者がカードの取得をしたいと思った場合に、手続きの詳細な説明や申請書類を記入する際の補助、そして窓口の付き添いなどがあると良い。ひきこもりについて理解があり、当事者が安心して付き添ってもらえる方にサポートをしていただくことが重要。
- ひきこもりの当事者にとって、カードの安全性に対する危機感が取得への高いハードルであるため、正確な情報として安心感を伝えていくことが、最初に、かつ重要な、取り組まなければならないことではないかと考える。
小泉立志((公社)全国老人福祉施設協議会 副会長)
- マイナンバーカードの作成を本人または家族でできない方については、代理申請の拡充が必要であると考えるが、現状の特養の事務処理能力を考えると、カードの作成を施設に任されても、ご家族の意向等もあり、かなりの難題であるため、行政などに申請代行または申請の補助をしていただきたいと考えている。カードの作成をどのように進めていくか、施設職員がどこまで関わるか、どのように関わることができるのかについて、現状に配慮いただいた上で、支援がしやすい形をとっていただきたい。
- マイナンバーカード自体の管理方法が問題であり、管理体制をどのように整えておけばいいか。
- 暗証番号はどのように取り扱うのか。全員の暗証番号を知っておかないと私たちは使えないのか。より良い方法を考えていただきたい。
- カードの悪用等のトラブルについて、紛失や持ち出しなどのリスクもあり得るし、どのような取り扱いが不適切な使用に当たるのかなど、リスクについて事前に説明・指導いただきたい。
- 処方箋の方もマイナンバーカードでもらえるようになるということであるが、施設では現在処方箋を大量に薬局に持参し、薬を持ち帰るという形になっているため、今後、マイナンバーカードを持っていかないとならないのか心配である。
- 福祉関係者にあまり期待されても困るが、カードの作成の代行ぐらいか。
- カードを持つことの新たなメリットが伺えると良い。我々も支援をきちんとしたいと考えている。
枡田和平((公社)全国老人福祉施設協議会 参与)
- 1番の課題は作成する上の意思確認である。ほとんどの方が、意思確認が取れないということが想定される。
- 写真撮影の時に自治体から職員に来ていただいて直接面会して撮影するという手続きを踏んでも、本人かどうか確認する方法が非常に難しいという課題がある。
- 施設では金銭管理を含め、いろんなことを管理しており、緊急時の受診などに備えるため、施設で保険証を預かっているケースが大部分。しかしマイナンバーカードを発行してもそれを施設に預けるという考えにはなりにくいのではないか。家族は健康保険証であれば施設に預けても良いが、多機能なマイナンバーカードを施設に預けるわけにはいかないということが起こるのではないか。
- 施設向け等に健康保険証の機能のみが別のカードで使えるような形でなければ、施設の方でマイナンバーカードを預かって利用することは、不可能ではないか。
- 本人確認が難しいことや意志疎通がなかなかとれない方の対応を十分検討していただき、制度設計をお願いしたい。
久木元司((公財)日本知的障害者福祉協会 政策委員会政策委員長)
- 重度の障害者の方々のカード取得にあたって、本人の意思確認が取れるかどうかという課題があるのではないかと考えている。成年後見制度で後見人を選定していれば良いが、後見人がついてない場合は難しい。当協会では、本人の意思決定を非常に大事にしているので、ここのところが課題になってくるのではないかと捉えている。
- 取得した場合のカード管理をどうするのかということも大きな課題。施設側が管理をするということになると、非常にセンシティブな情報があるため、非常に責任が重い。この辺の課題は出てくるのではないか。
- 協会内のいくつかの施設に問い合わせたところ、1つの施設では、本人の意思の確認の取れた利用者の方々の申請手続きを施設がまとめて行ったという事例があった。この場合は、司法書士に関わっていただいたとの報告であったが、第三者を介する場合には、費用負担の問題も出てくるため、どう対応していくのかは課題。
- 重心医療は、各自治体で対応がまちまちであり、償還払いで対応している自治体もあるが、償還払いの場合は非常に手続きが煩雑。カードによって、これらの利便性が高まるのであれば、カードの有用性は浸透していくのではないか。その辺の利便性にも配慮していただくことも必要ではないかと考える。
七種秀樹((一社)日本介護支援専門員協会 副会長)
- マイナンバーカードは介護保険分野においても活用場面が広がっていることが期待されている。医療・介護双方の情報が共有され、在宅の要介護者への支援がスピーディかつタイムリーに展開していくための情報連携のツールになり得ると考えている。支援を受ける利用者にとっても利益につながるものであり、当協会も普及に協力していきたい。
- ただし介護支援専門員が、カードの申請や受け取りの手続きの支援を行うのは、介護保険業務とは別のものになるため、そのための手間・労力については配慮いただきたい。介護支援専門員は現状でも利用者の在宅生活を支えるため委託介護支援として様々な支援を展開している。手続きを代行するとなると、新規交付のみならず、在宅の場合、保険証を紛失することもあるため、再交付の手続きまで入ってくると考えられる。紛失リスクは施設よりも在宅の方が高くなるため、そういったことも踏まえながら、再交付の手続きなどの検討が必要。
- 保管・管理の問題もある。支援を行うとなると、本来業務を圧迫し、負担も増え、当然ながら、利用者への支援に影響が出てくる。
- 取得の同意取得においても環境を整える必要がある。手続き支援においては同意の確認が必要であることは容易に想定できるため、同意のあり方についても利用者と介護支援専門員双方が安心して対応できるように検討いただきたい。
- 介護支援専門員による申請や取得にあたって、手続き面の代行が義務のように位置づけられないようお願いする。依頼に対して必ず対応しなければならないという義務的な形になると、本来は自分で申請や取得手続きができる人まで依頼することが予測される。できるできないの判断は、介護支援専門員単独の基準で判断することは困難であるため、統一された基準を示し、必要とする利用者に必要な支援が提供できるよう検討いただきたい。我々としては可能な限り協力をしていきたいが、介護保険における本来業務の遂行が優先すべき役割。
- 介護支援専門員が効果的に手続き支援を行う現実的な方法として、ケアマネジメントの基本である地域社会に繋ぐという機能で、利用者の手続きなど支援を必要とするニーズと抱えている課題を基に、市町村などへ繋ぐというやり方が適切だろうと考える。
- 重要なのが市町村による出張申請受付方式の手続き支援である。各市町村に出張申請受付方式が広がり、介護支援専門員が求めに応じて市町村等と連携ができる体制を構築されることを希望する。市町村にとっても、少ない負担で構築しやすい環境が必要。市町村にも大きな負担がかかってしまうと進まないと聞いている。
- マイナンバーカードの普及にあたって、現場には介護支援専門員だけではなく、地域の機関や専門職、民生委員など、様々な方がいるため、そういった方たちが過度な負担を負うことなくお互いにできる範囲で関わっていくことが必要。家族を含む多様、かつ重層的な手続きの支援体制の構築を進めていただくようお願いする。
菊本圭一(特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会 代表理事)
- 代理申請が叶わないと、なかなか進んでいかないだろうと認識。入所施設のような多くの方が居住空間を共有しているところについて、代理申請を含めて可能にすることと、そこに行政の窓口が来て、出張申請を可能にするというように、代理申請プラス出張申請というような形で対応いただかないと、1人1人を行政窓口に連れて行くという形での手続きは進まない。
- 本人が行政の窓口に行くことが可能な方は、相談支援専門員も一緒に窓口に行くことも想定されるが、その場合に相談支援専門員が1から10まで介助することになると、相談支援専門員の労力からして現実的ではない。窓口に一緒に行ったらその後は全て行政窓口に専門職等々を置いて、障害理解をしている人たちがサポートするというような方法が必要ではないか。
- 障害者手帳との紐付けがどうなっていくかも重要。保険証と障害者手帳とマイナンバーカードを持つという煩雑さが1枚ですむこと。障害者手帳で割引になる窓口があるため、そういった場で使いやすくなっていくこと。マイナンバーカードを促進するためには、障害のある方には手帳との紐付けは必須ではないかと考えている。
- そうすると、パスワードの管理の問題が出てくるだろう。知的障害を有してる方やコミュニケーションに障害がある方々は意思疎通が図れないため本人の意思確認をどうするか課題であり、また、証明写真を撮ることが難しい方々もいらっしゃるため、パスワードではなく生体認証のようなものを使って認証ができるというような形にしていただかないと、大きな障壁になっていくのではないかと思っている。
- 紛失した時にカードがどう扱われるかということ、再発行も含め、悪用された時にリスクがある程度回避されるというような方法がないと、推進するための大きなハードルになるのではないかと考えている。
伊原和人(厚生労働省 保険局長)
- マイナンバーカードを健康保険証として使っていただくと医療情報を医者と共有できて、良い医療が受けられるため価値のあることだと思っており、他方、セキュリティなど心配な点があるということについては、粘り強く、丁寧にお話していく必要があると改めて感じた。
- マイナンバーカードが、例えば地方単独事業で行われてる医療費助成等と組み合わせられるとさらに便利になるのではないかと、ご意見をいただいた。公費負担医療についても、時間を要する作業だと思われるが、順を追って広げていけないかということは検討課題である。
- 引きこもりの方は、代理で申請してもらうことが現実的に期待できないというようなお話もあり、そういう中でどこまでオンラインで手続きができるか、技術的なテーマもあるのでデジタル庁や総務省とも相談していきたい。一度本人確認をしなければならないことを、どのように乗り越えていくかということが課題。現実に引きこもっておられる方をはじめとした方々の現状を踏まえ、どのような対応ができるかさらに考えていきたい。
- カードの管理の問題について、特別養護老人ホームとか障害者施設にお住まいの方が、健康保険証を施設に預けられていて、医療受診する時はその施設の方がそれを持って医療を受けておられるんだと思うが、マイナンバーカードとなるとその他の機能もあり、施設に預け管理できるのだろうかという点については、よく考えたい。
- 支援をされている側からのご意見として、マイナンバーカードの取得のサポートについて期待されてるけれども、一方で本来業務との関係で差し障りがあるんではないかとか、本来業務と自治体の作業の間に挟まって難しいところがあるのではないか、という事情は理解させていただくところ。我々としては、ぜひご協力をお願いしたいところもあり、やはり当事者の方の身近で当事者の信頼を得られてる支援者の方でないと、心を開いてカードを申請いただけるか難しいところもあり、どういう形で参画していただけるかは、それぞれ事情が違うとは思うが、異なる事情に応じてどういう選択肢があるのか、今後検討していく中でご相談させていただければと思う。今後、マイナンバーカードを健康保険証として利用することで様々な医療情報、薬剤情報が本来なら使えるのに、カードをお持ちでないと情報が使えないため、入所者の方の医療に良いことではない。難しいことではあるが、マイナンバーカードを取得するためにどのような知恵が出せるのか、ぜひご理解とご支援をお願いしたい。
吉川浩民(総務省 自治行政局長)
- 取得困難者対策についてのご指摘をいただいた。我々も、市町村と連携しながらどんなことができるのかということを今までも考えて実施をしてきたところであり、土日開庁とか出張申請受付とか色んな形で広げてきたところ。そうした中で、なお取得が難しい方がいらっしゃるため、そういった皆様に対して取得いただくにはどうすればいいのかを、この検討会の中でお知恵をいただきながら考えていきたい。
- 代理交付について、代理申請を可能にしてほしいというご意見があったが、申請は誰でもできることをご理解いただきたい。例えば、QRコード付きの申請書をお送りしており、それをスマホで撮って、申請を代わりにやってあげることは、どなたでもできることである。問題は、交付までに一度基本的には役所に出向いていただいて、本人確認をしていただくというところが、ハードルが高いということだと考えている。この点について、まさに代理交付ということで施設の方に取りに行っていただくということができるようになっている。その際に、写真付きの本人確認書類をお持ちでない方がいらっしゃると思うが、施設長さんの方で顔写真を撮っていただいて、証明書を作っていただければ、どなたか施設の職員の方がそれを持って役所に行っていただいて、代理で受け取ることができるという仕組みが代理交付である。この辺りを一連のものとして例えば施設の皆様にご支援いただけないかということをイメージしている。
- 司法書士の助けをいただいたというようなお話を興味深く伺った。私どもも行政書士会に申請サポート委託事業を行っており、どういう風にすればもっと活用が進むのかという点について、お知恵をいただければと思う。司法書士にお願いをされたケースも当然経費がかかると思うが、例えば市町村からそうした経費を見ることも考えられると思うため、どういう形にすればうまくいくのかお知恵をいただければと思う。
- 安全性のPRについて、ずっと課題として認識しているところあり、どういう風にすれば利用者の皆さんのご理解が進むのか、ぜひお聞きしたい。出張申請受付は、市町村に最後は個別に各家庭を回っていただくようなことも考えており、実際にそういう取り組みをされている市町村があるが、皆様のそれぞれの現場でどうやったら市町村からの出張申請受付がスムーズに行くのか、ご意見ありましたら伺いたい。
又村あおい((一社)全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事兼事務局長)
- 申請取得等の支障や、支援・配慮が必要と思われる部分について、本人は知的障害のある方であり、そのご家族も高齢化をしている状況もあり、マイナンバーカードの取得手続きはバリアだらけと言って過言ではない。
- 実態としてオンライン申請を知的障害のある本人だけで進めることは極めて困難であり、そうすると対面申請ということになるが、柔軟な対応をしてくれる市区町村も多々あるものの、実質的に代理の手続きを認めていないケースや、申請の同行、申請書の代理提出等は認めていても、パスワードの設定を本人に求めた結果、知的障害があるために、パスワードの設定を適切に行うことができずに、カードの発行を諦めたといったような事例も報告されている。新規のみならず、更新でも同様のリスクが懸念される。
- 福祉支援関係者に期待することや補助・代理交付のサポートにあたっての意見として、市区町村の窓口対応が統一されておらず、不十分な状況では福祉関係者や家族がサポートする気があっても、窓口ではねられてしまうとそこで終わってしまうことも多いため、全国の市区町村の窓口に対してどこまでのサポートが認められるのかを明確にし、その対応を徹底し、その内容を福祉関係者や家族に伝達する段取りが必要。国から出来ると言われても市町村に行くとそんな話は聞いてないということが起こり得るので、風通しをよくしていただきたい。
- オンライン申請を家族が支援することが考えられるが、家族自身が70歳代80歳代になっているケースもあるため、オンライン申請をサポートすることができない、サポートしようと思っても困るということが起こるので、本人を支援する人へのヘルプデスクが必要ではないか。
- 単身生活をしている知的障害の人に対する制度説明と申請希望時の個別サポートが必要。申請書が届いたが、コロナ禍で支援者が対面支援を避けているために、電話での説明だと中身がよくわからないので申請書が捨てられていたという事例が報告されている。
- マイナンバーカードを取得した後も、更新手続きの個別の意思確認と更新時の個別サポートが必要と考える。身寄りのない知的障害の人には、マイナンバーカードに必要な写真撮影の支援、暗証番号の管理、役所までの公的支援、交通手段の確保といったようなことをスムーズかつ自己負担なく保証されることは重要ではないか。
- 本会としては、知的障害のある人に分かりやすい説明資料が提供されたり、説明会が開催されたりということを聞いたことがない。知的障害のある人自身がマイナンバーカードとは何で、保険証との一体化がどういうことであるのかということの内容の理解がないと、カードを取得したとして、ただ保有しているだけということでは大変懸念がある。障害者の情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が成立・施行されており、法律の趣旨からも現状の説明状況には課題があると考えている。
- 重度の知的障害の人にはマル障と呼ばれる医療費を助成するための補助的な保険証が発行されているが、マイナンバーカードと健康保険証が一体化されたとしてもマル障の保険証は別途に持ち歩くことになると、保険証が1枚になるというメリットが得られない。こういった実態を踏まえた検討をお願いしたい。
村上敬亮(デジタル庁 国民向けサービスグループ統括官)
- 共通するなと思った点が3つありましたので何らかの今後の議論や頭の整理もしくは理解の共通の醸成のために自分からコメントさせていただく。
- 1つ目のキーワードは本人の意思確認かと思う。カードは申請に基づくものであり、その中で本人の意思確認をどのように認めるのか、支援するのかというところに問題の1つがあると理解した。
- 2番目として、本日お話を伺ってる方々は、皆さんカードの取得に伴走者が必要であるというところで、伴走していただいている方、もしくは伴走を必要とされている方の関係者の方々にお話を伺っている。伴走者に何を求めているのか、逆にどこまで認められているのか、という範囲をはっきりとさせて、求められる範囲、認められる範囲は、はっきりとしつつ、多重的に伴走される可能性のある方、その中でご家族に改めて何をお願いするのかといったところを整理していく必要があると思う。カードの保管・管理とパスワードの問題というところについても忘れずしっかりと検討するようにと感じた。
- 3点目のキーワードとしては、説明ということで、本日お伺いをしているような皆様のことをよく踏まえた上で、カードのメリットと皆様のご心配事項に関して、どういうメッセージを出すのかということを整理して実践する必要がある、というご指摘を頂戴したと思う。どういう説明をするとご本人に響くかというところについては、皆様からお話を伺った上で、知恵を頂戴しつつ、実践していきたい。
森昌平(日本薬剤師会 副会長)
- ひきこもりの方の場合、外部と接触が少なく情報が限られたり、偏っていることで、自分にはカードの取得は関係ない・必要ないと考えたり、取得のために外に出るハードルがあることで、諦めてしまうこともあるのではないか。丁寧な対応が必要。
- 1月末から電子処方箋の運用が開始される予定であるが、当面は処方内容(控え)を紙で渡すなどして困らないようにしている。今後もフォローして患者さんが困らないようにしていかなければならない。
遠藤秀樹(日本歯科医師会 副会長)
- 保険証はこれまで、ある意味では簡便な体制で使われてきたが、マイナンバーカードは非常に厳格な扱いをしなければいけないという課題があると感じた。
- マイナンバーカードを普及させるとともに、どうしても対応が困難な部分について、補完するようなシステムも必要なのではないか。
岡﨑誠也(国民健康保険中央会 会長)
- 本人の確認の問題と、本人に代わって施設等が預かった場合に暗証番号等をどのように管理をしていくかは切実な問題であると考える。
- マイナンバーカードの中に何の情報が入っているか、国民に正しく理解されていないのではないかと普段から思っている。かなりの人が詳細な個人情報がカードの中に入ってると考えていると思われるが、カード自体は鍵の役割であり、カードに個人情報が全て入っているわけではないので、改めて国民に丁寧に説明したほうが良いのではないか。
- 市町村の立場での意見として、マイナンバーカードの普及率を伸ばすために、大型の量販店への出張は行っているが、まだまだ手が足りず、特に個人のお宅への出張申請は、都市部ではできていないのが実情だと思われるので、今後どこまでフォローしていくのか。その場合の財政負担の問題については、総務省に考えていただかなければならない。
- どうしても紙ベースの資格証を発行しないといけない時に、どうしていくかというのは1つの課題。前回代理で意見したとおりであるが、紙ベースの証明書を発行せざるを得なくなった時に、有料化したらどうかという話が出ているようだが、反発を招くのでやめておいた方がいいというのが全国市長会の大部分の意見なので、今回も改めて申し上げておきたい。
- 今後とも総務省・デジタル庁等と中身を進めて、市町村の窓口が前面に立たないといけない部分もあるので、しっかりと我々も、関係省庁と詰めていきたいと考える。
伊藤悦郎(健康保険組合連合会 常務理事)
- スマホの中にアプリケーションとして保険証のような機能を持ったものを提供できることができるのであれば、マイナンバーと保険証の一体化の普及に少しでも役に立つのではないか。今までのやり方に限らず、そういったものを活用しながら、様々な方に、医療・介護関係のメリットを感じていただけるような仕組みを作っていただけたらありがたい。
安藤伸樹(全国健康保険協会 理事長)
- 本人確認をどうするのか、というところも非常に大事。今後しっかりと検討していかなければいけない。
伊原和人(厚生労働省 保険局長)
- 私どももまだ気づいていなかったことも含めて教えていただいた。当事者の方々に、あるいは家族の方に直接説明するということが必要じゃないかというお話もいただいた。
- マイナンバーカードはいろんな取り上げ方をされており、どういうものなのか、どういう役に立つのか実感が伴っていないことがあると思う。健康保険証として使われるようになると、こんなことが実感として良くなるんだということを伝えて、今後、全ての医療機関で基本的にカードリーダーも普及することになるため、そうしたことも踏まえながら、皆様にマイナンバーカードを取得いただき、実際に受診する時に使っていただくことに繋げていく必要があると思う。支援者の方々や当事者の方々からお話いただいたように、今まで特に、縁遠い方にどうやって、ご理解いただき実際使っていただけるか、知恵を出さないと難しいとわかりましたので改めて考えたい。
吉川浩民(総務省 自治行政局長)
- 先ほど岡崎市長から市町村の実情についてお話をいただいたが、我々もそのような認識でいる。財政負担のお話もあったが、総務省として市町村の皆様をしっかりと支援させていただきたいと思っている。
- 今日ヒアリングをさせていただきました各団体支援者の皆さんのお話は今まで聞いたこともなかったようなお話も伺ったところであり、市町村とそして各団体の皆さんを繋ぐような役割を、私どもしなければいけないということを改めて認識した。ぜひこれからしっかりと議論をさせていただきたい。
村上敬亮(デジタル庁 国民向けサービスグループ統括官)
- マイナンバーカードの申請が8,000万枚に届いているところ、さらに工夫とお互いの自助努力とご協力をいただきながら最後の1枚まで頑張らなければいけないという意を新たにさせていただいた。本日の議論を無駄にしないようにしっかりと3省庁でお話を踏まえた上で取り組んでまいる。