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こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチーム(第2回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)1月21日(金)8時50分から9時30分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. こどもに関する各種データの連携による支援実証事業について
      2. 内閣府研究会における検討状況について
      3. 先行事例の紹介について
      4. 意見交換
    3. 閉会

会議動画

会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。

資料

参考資料

関連政策

関連情報

議事概要

日時

令和4年(2022年)1月21日(金)8時50分から9時30分まで

場所

オンライン会議

出席者

  • 小林史明(デジタル副大臣)
  • 赤池誠章(内閣府副大臣)
  • 佐藤英道(厚生労働副大臣)
  • 池田佳隆(文部科学副大臣)
  • 山田太郎(デジタル大臣政務官)
  • ほか関係省庁(デジタル庁、内閣官房、内閣府、個人情報保護委員会事務局、厚生労働省、文部科学省)の担当官

議事概要

(1)こどもに関する各種データの連携による支援実証事業について

資料1に基づきデジタル庁より、こどもに関する各種データの連携による支援実証事業について以下のような説明があった。

  • こども政策の新たな推進体制に関する基本方針やデジタル社会の実現に向けた重点計画において、こども分野のデータ連携及びプッシュ型の支援が位置づけられている。
  • 本事業の目的は、教育、福祉、医療等の多様な関係機関のデータを活用して、真に支援が必要なこどもの発見、ニーズに応じた支援を行う取組に繋げていこうとするもの。
  • 国が一元的にこどもの情報を管理するデータベースの構築は想定しておらず、各機関が保有する様々な情報を分散管理することを前提として、自治体内の分野を超えた連携や関係機関間での連携の実証をするもの。
  • 現状、こどもに関するアーキテクチャとしては、様々な部局が色々な情報を保有しているため、そのような情報をうまく活用していく。また、それらのデータを全て網羅的に利用するのではなく、今夏に予定されている論点整理までに、実証事業を行う中でデータ連携に必要なデータ項目の絞り込みを行ってまいりたい。
  • 自治体におけるデータ連携を実現するシステムや体制の在り方について、①包括的に把握する部署を作るパターン、②部署を統合せずにデータ連携をするパターンを検証するため、参加自治体を公募した上で、来年度に実証事業を行っていく。

(2)内閣府研究会における検討状況について

資料2に基づき内閣府より、内閣府研究会における検討状況について以下のような説明があった後、併せて自治体の先行事例について紹介があった。

  • 内閣府では、基本的に貧困を抱えるこどもをアウトリーチ型で支援する観点で、データ連携に関する研究会を令和3年4月から開催しており、現時点で結論が出たものではないが、報告させていただくもの。
  • 主な論点として、例えば
    ①データ項目について、収集方法は、既存データを活用するのか、新たに独自のデータを収集するのか。データの性質は、客観的データに限るのか、主観的なデータも活用していくのか。
    ②データの活用からアウトリーチ支援までの流れ。
    ③データを活用する組織体制をどのようにするのか。
    ④個人情報保護との関係において、法的な手当として求められるものは何か。
    ⑤推進方策として、自治体への支援をどのようにするのか。
    などが挙がっている。
  • 既存データを活用するとした場合、全国の自治体ではどのようなデータを保有しているのかアンケートをとったので、目安として報告する。
  • 法令等に基づき、自治体で保有することが想定されるデータについて、厚生労働省や文部科学省に協力いただき、整理を進めている。
  • データ項目に関する議論の中で研究会委員から出された意見として、「生活保護の利用状況、就学援助の利用状況、給食費・教材費の支払状況の3項目だけでも支援対象となるこどもをかなり見つけることができる。」、「制度の利用を人に知られたくない家庭や、面倒に感じて申請しない家庭があることは認識すべき。」、「学習成績等の情報は、学校外へ情報共有することは相当な抵抗感がある。」、「データの活用は命に関わるようなことからスタートし、段階的に進めていくべき。」、「データ閲覧できる人はスクールソーシャルワーカー等の守秘義務のある専門家に限る等運用面とセットで検討すべき。」、「学習習慣は、経済的な貧困と強い相関関係があるが、学校で把握は難しい。」等の問題提起があった。
  • データ連携に関する研究会委員の主な意見として、「統一的にデータ連携を行う基本項目と、任意でデータ連携するオプション項目とに分けて整理をしてはどうか。」、「基礎自治体内で把握できる義務教育段階のデータ連携から始めて、その効果を見ながら未就学段階や高校進学後との連携や、他自治体との連携等についても段階的に進めていくべき。」、「データの取得について、転居時のデータ連携や経年比較を考えると、客観的なデータ活用が望ましいが、現場職員の主観的評価も何らかの形で活用すべき。」、「現場職員の負担への配慮や業務システムとの連携等についても検討すべき。」や「データの保存期間、削除依頼や開示請求への対応等についても検討すべき。」という意見が挙げられている。
  • 自治体のデータ活用の先行事例をまとめると、データ活用の流れは、第一段階として、一次スクリーニングを主にデジタル処理で行い、要支援者を自動的に判別し、次段階において、アナログな作業で絞り込みを行う。その後、支援方針の検討、支援への接続という流れが基本的な形であると考えている。

(3)先行事例の紹介について

デジタル庁、厚生労働省及び文部科学省から、資料3に基づき自治体等の先行事例について紹介があった。

(4)意見交換

赤池内閣府副大臣
  • 教育、福祉等の情報は、国民の究極の個人情報であり、できるだけ知られたくないという側面も持っている。個人情報保護法令との整合性は元より、国民の意識に沿った検討が必要。箕面市の事例からも、客観的なデータによって生活困窮者から始めることであれば理解を得やすいのではないかと考える。
  • 連携したデータの保有主体やデータにアクセスできる範囲についても慎重に検討すべきであるとともに、自治体が保有していたデータが、移動することによって支援が途切れない等、その先も配慮する事が重要である。
  • 学校、福祉等の現場に対する配慮や負担に対し、今回の試みが支援に繋がるというメッセージを出すことが大事である。
  • データ連携について、こども、家庭、学校、福祉の現場を始めとした国民の理解が大前提であるが、現在進行形の課題でもあるため、実現可能なことからどれだけ早期に進めていくかということが必要である。
  • 内閣府の研究会には、デジタル庁を中心とした令和3年度補正予算を活用した実証事業の検討状況や情報についてもしっかりと共有し、有識者や現場の意見を伺いつつ、連携を密に進めていきたい。
  • 内閣府としては、新たな仕組みを実際にこどもや家庭の支援に具体的に繋げていくことは、現場の支援にも繋がるため、システムの具体的な活用方策等について、支援の現場を所管する厚生労働省、文部科学省、そしてデジタル庁含め内閣全体として更なる検討を進めていきたい。
  • 本国会に提出を予定しているこども家庭庁設置法や、別途検討されているこども基本法の議論の中でも、今日のプロジェクトチームの議論は大変重要な論点の一つであると認識しているため、今後も一体となって進めて参りたい。
佐藤厚生労働副大臣
  • 令和2年度の児童虐待相談対応件数は20万件を超え、虐待を防止する、又は、実際に虐待が疑われるケースについて、一時保護などの対応を的確に行い、アセスメントを通じて、その必要性を判断することが求められている。
  • 児童相談所の体制強化を行っているが、経験年数の浅い職員割合が増加するとともに、事案について家庭の問題が複雑化しているため、質の向上と業務の効率化が求められている。
  • 厚生労働省では、AIを活用した判定システムの整備やSNSでの相談体制の構築等について早期に実施する必要があると認識しており、設計に向けて自治体等からヒアリングを行っている。
  • AIを活用したシステムの期待される効果は、特に経験の浅い職員に対して、AIによるサポートを行うことで一時保護対応の判断の質の向上が図られる。また、通告から記録までの業務時間の短縮等、関連業務を含めた業務の効率化図られる。
  • 一方、AIの判断とベテラン職員の感覚に違いがあるのではないかという点や、AIによる分析のためには、過去のデータの解析が必要であるため、十分な蓄積や質の確保が必要である点、データの標準化や導入及び運用に相当の費用を要する点が課題として挙げられている。
  • AIを活用した一時保護の緊急性を判断するツールについては、令和3年度補正予算に計上している。
  • 厚生労働省では、虐待の恐れがある事案への対応だけでなく、虐待防止にも力を入れており、こどもや家庭がより相談しやすくなるように各自治体等がSNSで相談に対応する仕組みを新たに構築するため、現在、システム開発を行っており、運用経費等を令和3年度補正予算に計上している。
  • 児童虐待の防止に当たっては、デジタルツールにより業務の効率化などを図っていくことが重要であり、引き続き、先進的な取組を行っている自治体の例も踏まえながら、取組を前に進めてまいりたい。
池田文部科学副大臣
  • 貧困や虐待等の課題に対して、こどもや家庭の困難の状況を把握し、必要な支援が確実に届くようにすることが重要であり、各自治体において教育部局と福祉部局の連携を一層高める必要がある。
  • 教育部局に係るデータは、しっかりと学校や教育委員会で活用できるようにしていき、具体的なアクションや支援につなげていくことが重要である。
  • 文部科学省では、学校や教育委員会でデータを有効活用できるような環境整備に向けて、活用するデータについて共通する項目や考え方の抽出のための検討を行うとともに、異なるシステム間でデータを相互に連携できるよう、教育データの標準化等を進めている。
  • 学習履歴等の教育データを政府が一元管理するのではないかという心配の声があるが、国が一元的に管理するのではなく、データを相互に連携できるようにしていくことで、実際の支援を行う各自治体における活用を促進できるのではないかと考えている。
  • 文部科学省では引き続き、教育部局と福祉部局の連携を見据えながら、学校や教育委員会におけるデータ利活用を促進するため、好事例の収集、横展開や、データ活用環境の整備を進めてまいりたい。
小林デジタル副大臣
  • 本プロジェクトは、政府にデジタル庁ができ、デジタル庁が各府省と一緒に進めていくプロジェクトとして象徴的なもの。
  • デジタル庁の一番のミッションは、主役である国民や社会を担う皆様と向き合う各府省や自治体、現場が本来の力を発揮できるようにシステム面からサポートするとともに、デジタル分野の司令塔として、各府省だけで行っていては部分最適になりがちな所を、大きな方向性に向かって共有しながら一緒に進んでいくことであり、このプロジェクトで実現すると思っている。
  • 国で一元的にこどもの情報を管理するのではないかや、データベースを構築するのではないかという懸念の声もあるが、そのようなことは決して考えていない。
  • 本日紹介いただいたような自治体での事例を作っていきながら、全国の自治体への展開に向けた必要なやり方を検討していくために、令和3年度補正予算にこどもに関する各種データの連携による支援実証事業を計上した。
  • 施策を進める上で重要なことは、「何のためのデータ連携なのか」という目的を明確化することであり、検討を進めるために、各府省から自治体等における先行事例について紹介いただいた。
  • 大阪府箕面市では、「生活困窮判定」、「学力判定」や「非認知能力判定」の3つの要素で総合判定した結果、学校等でも認識されていないノーマーク状態の支援対象者が25%を占めており、今まで見つけられなかった困窮者を見つけることができた。
  • 三重県では、AIの解析、予測が特に経験の浅い児童相談所職員の判断の手助けになっている。
  • 文部科学省から紹介のあった大阪市では、体調や家庭環境の変化、児童生徒の入力した「心の天気」等の生活状況や学習状況に関するデータを連携させ、問題の早期発見に活かしている。
  • こどものデータ連携は、不適切なデータ利活用のためにこども達を選別する手段であってはならず、個人情報の保護に配慮の上、様々な部局や機関に散らばっているデータを連携することによって、1つの部局や機関だけでは見落としがちなSOSを発見するとともに、こどもへの支援に当たる自治体や関係機関の職員の判断をサポートするための手段として位置付けられなければならない。
  • ユースケースや必要なデータ項目について、内閣府の研究会での検討状況も踏まえ、調査研究事業をできる限り本年度内に開始し、本年5月から6月頃に予定される論点整理の前に、一定の方向性を提示することを目指したいと考えている。
  • 自治体におけるデータ連携の実証については、まず自治体公募を本年度内に行った上で、データ項目も踏まえ、事業を開始したい。
  • 実施に当たっては、データ連携が真に支援を必要とするこどもや家庭への実際の支援やアクションにつながるよう、こども政策に取り組んでいる各府省との連携を緊密に図ってまいりたい。

以上