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データ戦略推進ワーキンググループ(第4回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)9月6日(火)13時00分から15時00分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. データ戦略の推進状況
      2. 世界で進むデータ駆動社会への戦略的取組
      3. データ戦略の今後の推進
    3. 意見交換
    4. 閉会

開催案内

資料

参考資料

関連政策

議事録

日時

令和4年(2022年)9月6日(火)13時00分から15時00分まで

場所

オンライン会議

出席者

  • 大串正樹(デジタル副大臣)
  • 尾﨑正直(デジタル大臣政務官)
  • 森昌文(内閣総理大臣補佐官(主査))
  • 砂金信一郎(LINE株式会社執行役員AIカンパニーカンパニーCEO)
  • 遠藤信博(一般社団法人日本経済団体連合会副会長・サイバーセキュリティ委員長/日本電気株式会社特別顧問)※欠席
  • 太田直樹(株式会社New Stories代表取締役)
  • 越塚登(東京大学大学院教授)
  • 後藤厚宏(情報セキュリティ大学院大学学長)
  • 齊藤裕(独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンターセンター長)
  • 下山紗代子(一般社団法人リンクデータ代表理事/インフォ・ラウンジ株式会社取締役)
  • 庄司昌彦(武蔵大学教授)
  • 手塚悟(慶應義塾大学教授)
  • 富岡秀夫(一般社団法人新経済連盟政策企画部長)
  • 村井純(慶應義塾大学教授)
  • 渡部俊也(東京大学未来ビジョン研究センター教授)※欠席
  • 浅沼尚(デジタル庁デジタル監)
  • 赤石浩一(デジタル庁デジタル審議官)
  • 江崎浩(デジタル庁CA)※欠席
  • 藤本真樹(デジタル庁CTO)※欠席
  • 平本健二(デジタル庁データ戦略統括)
  • 楠正憲(デジタル庁統括官(デジタル社会共通機能担当))
  • 村上敬亮(デジタル庁統括官(国民向けサービス担当))
  • 成田達治(内閣官房デジタル市場競争本部事務局次長)
  • 松尾 泰樹(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局長)
  • 坂本修一(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)
  • 田中茂明(内閣府知的財産戦略推進事務局長)
  • 山澄克(個人情報保護委員会事務局審議官)
  • 鈴木信也(総務省大臣官房総括審議官(情報通信担当))
  • 森田正信(文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官)
  • 野原諭(経済産業省商務情報政策局長)

議事概要

三島参事官: 定刻となりましたので、ただいまから第4回「データ戦略推進ワーキンググループ」を開催いたします。
本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

本日司会を務めますデジタル庁参事官の三島でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、ワーキンググループの開催に先立ちまして、大串デジタル副大臣よりご挨拶をいただきます。
大串副大臣、よろしくお願いいたします。

大串デジタル副大臣: 本日は、「データ戦略推進ワーキンググループ」の第4回の会議に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。このたびデジタル副大臣を拝命いたしました大串正樹でございます。河野大臣、そして尾﨑政務官とともに、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

よりよい行政サービスの提供や国民の皆様の生活を便利にするデジタル化をしっかりと進めてまいりたいと思いますし、また、それを分かりやすくお伝えするというのも大切な仕事だと考えておりますので、また皆様に期待したいところでもございます。

先週、デジタル庁設置からちょうど1年がたったところでもございますが、この間、国民生活を支える公共サービス提供とインフラ整備を着実に推進してきたところでもございます。今後、社会全体としてデータの活用をさらに推進するためには、デジタル基盤の整備、殊にデータの整備、標準となるデータの作成などの取組を計画的に進めることが重要であると考えております。

昨年6月に包括的データ戦略を策定したところでありまして、1年数か月たつことから、デジタル庁あるいは各府省庁の取組状況を踏まえて、同戦略を改定することを視野に入れて、このワーキンググループを進めていただきたいと考えております。

本日は、御参加いただいております構成員の皆様からも忌憚のないご意見を賜れればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、尾﨑デジタル大臣政務官よりご挨拶をいただきます。
尾﨑政務官、よろしくお願いいたします。

尾﨑デジタル大臣政務官: 本日は、御多忙の折、「データ戦略推進ワーキンググループ」第4回会合に御参加をいただきまして、私からも心から感謝を申し上げます。

このたびデジタル大臣政務官を拝命することとなりました尾﨑正直でございます。河野大臣と大串副大臣に御指導をいただきながら、政務三役として頑張らせていただきたいと思います。またどうぞよろしくお願いいたします。

私は、前職は高知県で知事を3期12年やらせていただいておりました。地方において様々な課題と向き合ってきたわけであります。包括的データ戦略の取組を進めていく中において、地域地域における隠れていた課題、さらには個人個人に潜在していた課題がいわゆる見える化されることによって、それが新たな課題解決、新たな産業創出につながっていく、そういうよき流れをつくっていくことができればなと、大変期待をさせていただいているところです。

今日、各省庁のそれぞれのお取組も御発表いただくこととなっていると承知しておりますけれども、ぜひ、この意義深い取組に私も参加をさせていただきながら、取り組んでいかせていただきたいと思います。

構成員の皆様の積極的なご議論を御期待申し上げるところです。また御指導よろしくお願いいたします。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、本ワーキンググループの構成員のご紹介ですが、時間の制約もございますので、失礼ながら名簿の配付をもちましてご紹介に代えさせていただきたく存じます。

なお、本日は遠藤委員及び渡部構成員がご欠席されます。
また、今回より本ワーキンググループの主査が森昌文内閣総理大臣補佐官となっておりますので、一言頂戴したいと思います。
森補佐官、よろしくお願いいたします。

森内閣総理大臣補佐官: ただいまご紹介いただきました総理補佐官を拝命しております森でございます。

私自身は科学技術イノベーション政策担当ということで、各省庁の様々な技術開発・イノベーションに関わる政策を総括させていただいているところでございます。

今日、第4回のこのワーキンググループに御参加をいただきまして、皆様方には厚く御礼を申し上げる次第でございます。

デジタル庁ができてからの1年間、世界におけるデータ関連のルール策定あるいは実装の取組がどんどん進んできております。日本も追いついていかねばならないという状況にございます。包括的データ戦略自体はデジタル社会形成のための設計図ではございますが、その実装に関しては、各府省が協力をして、一丸となって推進していくことが必要でございます。

そのため、このワーキンググループを司令塔として、デジタル社会形成に向けた各府省の協力体制を推進するとともに、包括的データ戦略の改定、あるいは新しい資本主義などの計画に各府省の政策をしっかりと位置づけていけるよう、検討を進めていただければという思う次第でございます。

皆様におかれましては、それぞれの知見を生かしたご意見をいただきまして、政府の取組を後押しいただけるようお願いいたしまして、冒頭のご挨拶、お願いという形にさせていただければと思います。
よろしくお願いいたします。

三島参事官: ありがとうございました。
なお、大串副大臣におかれましては、こちらで御退席されます。

(大串デジタル副大臣退室)

三島参事官: 本日は、オンラインでの会議開催となります。
構成員の皆様及びご説明を要請されている皆様におかれましては、カメラオン、マイクはミュートにしていただき、ご発言されるときのみマイクのミュートを解除していただくようお願いいたします。

また、本ワーキンググループは、今回よりTeamsライブイベントを用いて公開することとなりましたので、ご了承くださいますようお願いいたします。

それでは、早速議事に移らせていただきます。議事「1. データ戦略の推進状況」について、資料1に基づき事務局よりご説明し、個別の取組については各府省よりご説明をお願いいたします。

まず、デジタル庁平本データ戦略統括より、包括的データ戦略の概要と1年間の振り返りについてご説明いたします。
それでは、よろしくお願いします。

平本データ戦略統括: 先ほど来1年間という話がございますけれども、データ戦略は昨年6月につくってから1年ちょっと経っておりますし、デジタル庁ができてから1年でございますので、それまでデータ戦略でどのようなことをやってきたかということで、次のページをお願いいたします。

デジタル庁の1年の報告の中にも入れさせていただきましたけれども、この1年間でかなりデータが使いやすい環境が整備されたと思っておりまして、タイトルにございますように「誰もがデータの恩恵を受けるように」ということで、まだ目に見えるところまではたどり着いていないと思うのですけれども、左側にあります1年の成果というところで「データ取扱いルールを策定し、社会の基盤となるデータを整備・公開」と書いてありますように、各種ガイドラインとか、論点となっているトラストなどの議題の報告書をつくったり、アジャイルEBPMとか、そういうものについても検討をしてまいりまして、そうしたルールづくり。

それと社会の基盤となるデータとしては、右側の図にございますけれども、85モデルと書いてありますが、データのひな形を法人とか施設、制度でつくりまして、85モデルあると大体社会の様々なものが表記できるということで、データモデルをつくらせていただくとともに、それを実際に適用するために、2プロジェクトと書いてありますけれども、今、アドレスや制度をはじめとしたベース・レジストリの整備を進めておりまして、それまでも文字とか法人とかベース・レジストリはあったのですが、それにさらに加えて2プロジェクトやらせていただきました。

実際のところモデルがあってデータがあったところで、どのように各分野に展開するかというところがございますので、4分野&1プロジェクトと書いてございますけれども、政府内での活用、自治体での活用、教育・防災での活用、こういう各分野での活用、それとデジタル田園都市国家構想の中でもデータの基本設計を使っていこうとか基盤を使っていこうという形で、今、推進をしているところでございます。

次のページに行っていただきまして、昨年12月に今後の方向性ということで示させていただきましたのでおさらい的なところもございますけれども、説明させていただければと思います。

まず、左側にございますけれども、データ戦略のアーキテクチャーということで、今回のデータ戦略はアーキテクチャーを使って様々な検討をしておりまして、論点を明確にするという面で、左側にございますように戦略・政策、組織、ルール、ツール、データ、利活用環境、インフラというように、それぞれのレイヤーごとに課題を分析して、推進をしているところでございます。

個別の話については後ほど説明させていただきますけれども、真ん中にございますように、これらを通じて我々はSociety5.0を目指しているところでございますけれども、現実空間とサイバー空間が高度に融合したシステムによって、新たな価値を創出する人間中心の社会をつくりたいと思っておりまして、そのために後ほどご説明させていただくような様々な取組をやってきたところでございます。

概要になりますけれども、個別の取組は後ほどございますので、以上でございます。

三島参事官: 続いて、個別の取組についてご説明させていただきます。
取組については、本データ戦略ワーキンググループの下にあるサブワーキンググループの取組内容と、各府省の取組内容を資料としております。サブワーキンググループでの取組内容は、6ページ目のEBPM推進、7ページ目のトラストを確保したDX推進サブワーキンググループ、10ページ目のプラットフォームにおけるデータ取扱いルールの実装ガイダンスとなります。

それでは、事務局より全体像を説明した後、デジタル庁に関連した取組についてご説明いたします。なお、進行の都合上、説明に用いるスライドが資料のページ順とはなっておりません。画面右下のページ番号にてご確認いただければ幸いです。
それでは、よろしくお願いいたします。

平本データ戦略統括: 再び資料に基づいてご説明させていただきます。
先ほど申し上げましたように、データが使いやすい環境にということで、基礎的なところ、基盤づくりに非常に強く取り組んでまいりまして、概要を2ページにわたって書かせていただきましたけれども、組織・サービスに関しましては、中央政府だけではなくて、地方行政への戦略、それと社会全体でどのようにデータを使っていくのかというところを検討させていただいております。

ルールに関しては、ここに個別書かせていただいていますけれども、トラスト、知的財産、システム整備、データ整備、個人情報保護という形で、各分野にわたってデータを使うためのルール類は様々なものがございますので、こういうものを検討させていただいております。

6ページに行っていただきまして、連携基盤についても、一言で連携基盤と言うと簡単なのですけれども、データをそれぞれ交換するための基盤もあれば、お金を払ってデータを取引する場合もあるでしょう。そのようなデータ取引市場がどうあるべきか、また情報を保管する情報銀行がどうあるべきか、あとは実際にこれを使って準公共分野でどのようにデータを使いこなすのか、このような取組、それと地理空間の取組やスマートシティの取組を進めているところでございます。

データについては、先ほど来ありますような基盤づくりということで、相互運用性のフレームワークをつくり、基本的なデータの整備を進めてまいりました。

インフラについては、5Gやデータセンターなどの基盤を整備するとともに、研究開発のプラットフォームなどもやっているところでございます。

人材やセキュリティ、国際展開なども、これに合わせて推進しているところでございます。
デジタル庁の取組についてサマライズして説明させていただきます。

7ページに行っていただきまして、まず我々のほうで、先ほど来出ていますトラストということで、トラストを確保したDX推進サブワーキンググループで検討を進めてきたところでございまして、今年7月に報告書として取りまとめさせていただきまして、トラストを確保するためには、左下にございますけれども、行政のデジタル完結に必要な取組ということで、デジタルの中で完結するためにはどのようなガイドラインとかが必要かという検討、それとマルチステークホルダーモデルと右側の図に書いてございますけれども、各参加者に対してどのような心配事があるのか、どのような対策を取ればいいのかというところを検討させていただきました。

あと、これが国際的にも通用しなければなりませんので、そういう意味で国際的なルール形成というところをやらせていただきました。

11ページに行っていただきまして、政府相互運用性フレームワークということで、GIFと書いてありますけれども、要するにデータのひな形やルールづくりをやってきたところでございまして、左側にGIF、データモデルと書いてありますけれども、分野としてはスマートシティ・デジタル田園都市、防災、教育、自治体、府省庁と書いてありますが、例えばスマートシティ・デジタル田園都市でいえば、今後プロジェクトをやるときにはGIFに準拠したデータをつくっていく。標準的なデータモデルを使うことによって、プロジェクトを進みやすくするとともに、相互運用ができる、アプリケーションが交換できるような世界をつくっていくというものです。

それと同じように、防災でも我々はデータ設計をご一緒させていただいているところでございまして、防災のためのデータをどのようにやるかを検討しております。

教育についても、後ほど文科省さんからもご説明がありますけれども、教育データ標準に反映ということで、一緒にやらせていただいております。

自治体に関しては、自治体システム標準化が進んでおりますので、この仕様に反映するなどをやっております。

府省庁に関しても、今、システム構築において標準ガイドラインに組み込むなど、そういう形でやらせていただいております。

12ページに行っていただきまして、データ連携基盤ということで、データを連携するためには様々なカタログとかデータを交換するためのツール類が必要ですけれども、行政機関の間でどのようにすべきか、地域ごとにどのようにすべきか、真ん中にエリアデータ基盤と書いてございますけれども、それと不特定多数とか産業界の連携基盤はどうあるべきか、こういうそれぞれの分野ごとの連携基盤を考えるとともに、下に書いてありますけれども、分野横断でデータをどのように交換するかということで、DATA-EX、ここにCADDEと書いてありますけれども、こういうものをどうするべきかという話です。

それと、右側に書いてありますけれども、GAIA-XやWAGRI、既存のサービスのEAIとどのようにつなぐのかを検討させていただいているところでございます。

18ページに行っていただきまして、防災の分野でございますけれども、先ほども活用について説明させていただきましたが、今、次期総合防災情報システムの検討をしているところでございます。ここで様々な機関が出す情報を交換しなければなりませんので、左下にございますけれども、そのための災害対応基本共有情報としてデータ標準をつくっておりまして、そこを今、一緒にやらせていただくとともに、次期の総合防災情報システムで情報が交換しやすいような環境をつくっていきたいと考えております。

23ページに行っていただきまして、スマートシティに関しましては、リファレンス・アーキテクチャーをつくるところから始まりまして、スーパーシティやデジタル田園都市をやっておりますけれども、24ページで、大体2025年までに100の自治体でスマートシティを実現するということで、それのためにきちんとしたデータをつくっていくことを推進しております。

25ページに行っていただきまして、デジタル田園都市の図でございます。それぞれの都市で様々なデータ基盤をつくっていくわけですけれども、それのために政府相互運用性フレームワーク(GIF)ということで、データのひな形、設計図を提供するということでございます。

26ページに行っていただきまして、さらに設計図を使って、真ん中の青いところになりますけれども、データを交換するための連携基盤についても、データ連携のコアとなる部品としてデータ仲介機能のブローカーの提供を行うなどして、構築を支援しているところでございます。

27ページに行っていただきまして、ベース・レジストリということで、何かと注目されておりますけれども、社会の基本的な登録されたデータということで、みんなで共有できるものができないかということで検討を進めてきたところでございます。左側にありますようにアドレスということで、アドレスのベース・レジストリについては今年4月から試行運用という形で、町字情報、霞か関3丁目とかいうところまでのレベルですけれども、情報を集約・公開しているというところに来ております。

制度につきましてはサービスを開始しておりまして、順次、各自治体も含めた形で支援制度、様々な補助金とかがありますけれども、こういう情報を集めているところでございまして、拡充するということを、今、やっているところでございます

事業者につきましては、法人情報は提供中でございまして、今後、個人事業主や事業所も含めた形で展開を進めていこうと準備しているところでございます。

その他にも文字とか不動産とかいろいろな検討をしておりまして、運用の安定化とかの課題はございますけれども、順調に進んでいるところでございます。

28ページに行っていただきまして、オープンデータでございますけれども、ここについては次のページにありますデータカタログサイトの刷新ということも含めて、今、総合的に強化をしようとしているところでございます。

29ページに行っていただきまして、データカタログサイトでございますけれども、カタログということで、みんなからデータを探しやすい環境づくりを目指しているところでございます。

43ページに行っていただきまして、セキュリティも非常に重要になりますので、ゼロトラストということで、それのアーキテクチャーの適用方針を発表させていただきまして、外部・内部を問わず脅威が存在していることを前提として、デジタルアイデンティティーを使ってどのような安全な環境をつくるかという方針を出させていただいております。

44ページに行っていただきまして、我が国で提唱しているDFFTでございますけれども、トラストのある自由なデータ流通を目指すために、国際的な連携も図りながら推進しているところでございまして、G7の日本議長年が2023年にありますので、こういうところに向けてDFFTの具体化を進めているところでございます。
デジタル庁の取組については以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、総務省の取組について、鈴木大臣官房総括審議官よりご説明いただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

鈴木総括審議官: 総務省でございます。
総務省に関連する個別の取組につきまして、ポイントを絞ってご説明させていただきたいと思います。

まず、お手元の資料の8ページからでございます。トラストサービスに関する取組につきまして、総務省では、デジタル庁による取組の下でタイムスタンプに係る制度運用やeシールの検討などの取組を行っております。

下の赤いところでございますが、タイムスタンプについては、昨年、令和3年4月より総務大臣による国の認定制度を開始しておりまして、令和4年度税制改正で電子帳簿等保存制度の中に位置づけたところでございます。

eシールにつきましては、青い部分でございますが、デジタル庁の取りまとめた報告書を踏まえまして、今後、eシールの信頼性評価等に係る取組を実施予定でございます。

続きまして、13ページは情報銀行についてでございます。
情報銀行の認定状況・検討状況について、真ん中のところですが、これまで計7社を認定してございまして、今後も拡大の見込みでございます。

今後は、情報銀行と地方公共団体等とのデータ連携に係る調査事業、健康・医療分野における要配慮個人情報の取扱いについて、検討会におきまして議論を進めていく予定としてございます。
続きまして、お手元の資料の30ページをご覧いただきたいと思います。デジタル田園都市国家インフラ整備計画、今年3月に策定した計画でございます。
こちらにつきましては、(1)光ファイバー整備、(2)5G整備、(3)データセンター/海底ケーブル、(4)Beyond5Gについて、それぞれ今後の方針、具体的施策などをまとめたものでございます。

まず左から、光ファイバー整備については、2027年度末までに世帯カバー率99.9%、真ん中の5G整備の人口カバー率については、2023年度末全国95%、25年度末全国97%、30年度末全国・各都道府県99%という目標を定めております。

右側のデータセンター/海底ケーブル、Beyond5Gについてもそれぞれ方針を策定したところでございまして、詳細についてはこの後ご説明させていただきます。

続いて、31ページをご覧いただきたいと思います。光ファイバー・5G等のデジタルインフラ整備のために、地方自治体・通信事業者・社会実装関係者等で、ニーズとインフラ整備のマッチングを行う場として、今年7月までに全ての地方ブロックにおいて地域協議会を設置済みでございますので、これから地域協議会でのマッチング等を進めていきたいと考えてございます。

駆け足で恐縮です。続いて、32ページをご覧いただきたいと思います。先ほどの整備計画の中のBeyond5Gについてでございますが、今年6月30日に審議会の中間答申をまとめたところでございまして、主な課題認識、上の部分ですが、熾烈な国際競争、情報通信の消費電力が増大していくこと、国家戦略としてのデジタル化といったことを背景として課題認識をし、左の真ん中のところでございますが、研究開発戦略として、世界市場のゲームチェンジを目指したネットワークの姿を明確化し、強みのある技術を重点分野として絞り、集中投資を行うことによる開発の加速化が必要としております。

具体的には、①オール光ネットワーク技術、②非地上系ネットワーク技術、③セキュアな仮想化・統合ネットワーク技術、これらについて右側の社会実装戦略、知財・標準化戦略、海外展開戦略と一体で推進することとし、目標としましては、下にございますような標準必須特許10%、国際市場30%の確保、通信ネットワーク全体の電力使用効率を2倍、そして陸海空を含め国土100%をカバーという目標を掲げているところでございます。

続いて、33ページをご覧いただきたいと思います。データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業についてでございます。

デジタルインフラを設置する際の支援を行いまして、地方分散とネットワークの強靱化を推進するものでございまして、データセンターにつきましては今年5月に公募を実施し、7か所の拠点整備に向けた支援に着手しております。具体的には右下の表に記載がございます。

それから、デジタル田園都市スーパーハイウェイ、海底ケーブルにつきましては、左下の図の点線部分でございますけれども、ミッシングリンクとなっております日本海側ルートの整備に向けた公募を準備中でございます。

総務省の取組について、駆け足で恐縮ですが以上でございます。よろしくお願いいたします。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、内閣官房デジタル市場競争本部の取組について、成田事務局次長よりご説明いただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

成田次長: 今、ご紹介いただきました成田でございます。よろしくお願いいたします。

9ページでございます。TrustedWebという取組を進めさせていただいております。これはちょうど2年ぐらい前から協議会を設立いたしまして取り組んできているものでございますが、目的の一番上にございますように、これだけデジタル領域で様々な社会経済活動が行われている中で、トラストの部分が不足しているのではないか、欠落しているのではないかということで、トラストの仕組みを新しくつくっていく、付加していくべきではないかというゴール感を持って取り組んでいるものでございます。

この紙には書いてございませんけれども、課題として、プライバシーの問題であったり、フェイクニュースの問題であったり、一方で産業界はなかなか営業秘密を保てないということでデータを使えていないとか、様々な課題がデジタル空間であるわけですけれども、大きく言うと3つの課題に集約されると思っておりまして、1点目はデータそのものが信頼できるのか。2点目として、データをやり取りする相手が本当にその人なのかということも含めて信頼できるのか。3点目として、やり取りするデータ、渡してしまったデータの取扱いがどうなのか、これらについてのトラストを新しくそれが担保されるような形の仕組みをつくっていく必要があるではないかという問題意識がございます。

具体的なトラストの仕組みとして、今、議論をいただいておりますのが、上のほうに赤字でトラストの仕組みと書いてあるところで、ポイントは大きく3つございますけれども、特定サービスに過度に依存しない形で、1点目として、ユーザー自身が自ら自分に関連するデータをコントロールできるようにする。2点目として、データのやり取りにおける合意形成の仕組みを取り入れて、その合意の履行のトレースができるようにする。3点目として、検証できる領域を拡大することによってトラストの向上を目指すということで、右側に3つの青と黄色の丸があると思いますけれども、今のインターネットあるいはウェブの空間は一番左の丸、検証できる領域、黄色い部分が非常に小さいがゆえにいろいろな問題が起きているのではないかということで、TrustedWebとしては一番右の丸、黄色い検証できる領域を広げることによって、トラストのレベルを向上していこうといったコンセプトの下に、アプローチとしては、インターネット、ウェブの上に重ね合わせるオーバーレイのアプローチでトラストのデジタルインフラをつくっていこうということで、日本政府が進めておりますDFFTのトラストの部分の1つの取組としてやっているところでございます。

こちらにつきましては2年前から議論を本格化いたしまして、去年の春にホワイトペーパーVer1.0、そして2か月前、7月にVer2.0を取りまとめていただいております。黄色い帯のところに書いてございます。昨年、3つのユースケースを検討したり、プロトタイプをつくりながら、課題を抽出しつつ、アーキテクチャーを描いた格好にしております。紙面の関係でアーキテクチャー自体は描いてございませんけれども、6つのコンポーネントから成るアーキテクチャーでインフラを整備していこうということでございます。

具体的にどう進めていくかが一番下の部分でございます。左側に「様々なサービスが」とありますけれども、今、例えばデータのコントロールであればDIDであったり検証可能性であればVCといったテクノロジーもございます。それに限りませんけれども、様々なソリューションが提供されつつある中で、少しずつそういうサービスが提供されていく。そうするとミドルウエア的なものが形成されていって、その中でミドルウエアにおいて共通化すべきAPI、データモデル、プロトコルがだんだんと見えてくるのではないか。そういうものの相互運用性を高め、あるいは標準化につなげていって、その標準化された部分がデジタルインフラとして、すなわちTrustedWebとして形成されていくのではないか、そんな道筋を描いているところであります。

そういうことで、今後の取組として3つございますけれども、1点目はホワイトペーパーの7月の発表と同時に、ユースケースの提案を民間の方々からいただきまして、13件選定をさせていただこうと思っております。こちらはデジタル庁さんと連携させていただきながらやっておりますけれども、サプライチェーンや補助金の申請、ヘルスケアとか、正式な公表は来週にはできると思っておりますけれども、次はユースケースで具体の議論を進めて、またアーキテクチャーの検討にフィードバックを返すといったことを進めてまいります。

2点目として、海外との連携は非常に重要でございます。これは日本だけでできる話ではございませんので、EUのデジタルIDウォレットもそうでありますし、そのほか関係する団体との連携をさらに深めていきたいと考えてございます。

3点目は、様々なエンジニア、あるいはビジネス、アカデミアの方々のコミュニティーをさらに広げ、深めていきたいということで、こういう取組でさらに前に進めていきたいと考えてございます。
私のほうからは以上でございます。ありがとうございました。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、内閣府知的財産戦略推進事務局の田中事務局長、よろしくお願いいたします。

田中局長: プラットフォームにおけるデータ取扱いルールの実装ガイダンスについてご説明します。
10ページでございます。この取組は、先ほど3ページ目で包括的データ戦略の説明がありましたが、そのアーキテクチャーの中でいきますと、連携基盤、プラットフォーム政策の一環としてやっているものでございます。このワーキンググループも、データ取扱いルール実装サブワーキンググループでご議論いただいた結果を踏まえて、緑の枠囲みの1つ目の矢羽根にありますが、プラットフォームにおけるデータ取扱いルールの実装ガイダンスver1.0として、デジタル庁と知的財産戦略推進事務局の連名で今年3月にガイダンスを公表してございます。

その必要性と意義でございますけれども、プラットフォームをつくってデータ流通をさせていく場合に何が障害点になるかということの1つとして、データのバリューチェーンに参画しているステークホルダーの方々が持っている様々な懸念・不安があります。これを払拭するためのルールがありませんと、プラットフォームに対する信頼性が生まれなくて、データが流れていかない。そのためのルールをどうつくっていくか。このルールは、そのプラットフォームの扱っているデータの特性、あるいは取引自身の特性に応じてかなり違ったルールになってまいりますので、共通的な検討の視点と検討のプロセスを明らかにするために、このガイダンスをつくったものでございます。

したがって、現実のルールは、このガイダンスを参照いただきながら、個別のプラットフォームごとに特性を踏まえたものをつくっていただくことになります。ガイダンスはあくまでそれをつくるための手順、視点を明らかにしたものでございます。

その中身を簡単に説明させていただきます。
左側にありますけれども、まずはバリューチェーンにあるステークホルダーを特定して、その懸念・不安事項を明らかにすること。
次に扱われている取引あるいはデータのリスクの程度に応じて、どのような対応方針をするかの概定をする。

それに基づいて具体的なルール設計をして、実行しながらアジャイルにつくり替えていただくということでございますけれども、対応方針を「低減」と決めた場合、それぞれのステークホルダーのデータのコントローラビリティーをどう確保するかを主眼に議論してまいりました。

コントローラビリティー確保手段の例として、右側のような表で概括したようなことをまとめております。被観測者を含めた上流関与者の様々な懸念・不安への対処状況を表明した上でデータを出してもらって、それをデータ利用者に踏まえていただいて、どのようなデータ管理をするかをきちんとコミットしていただく。データ利用者が第三者にデータを提供する場合には第三者にもそれをコミットしていただく。そのためにプロセスルールを実装したり、あるいはスマートコントラクトを使ってそれを実行管理する、あるいはプラットフォームを介したデータ流通に参加する人の資格認証までしていくという、重たさの違ったいろいろな例をご提示して、実情に応じてこれを選択していただく、ということでございます。

今後でございますが、上の緑の枠囲みの2つ目の矢羽根にありますように、デジタル社会の実現に向けた重点計画、包括的データ戦略、知的財産推進計画に基づきまして、準公共等の各分野のプラットフォーム、それから先ほどご説明のありましたデジタル田園都市国家構想のスマートシティのプロジェクトにおいてこのガイダンスを参照して、具体的なルールの実装をデジタル庁及び担当省庁において進めていただくことになっておるところでございます。
以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、厚生労働省の取組について、岸本政策統括官よりご説明いただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

岸本政策統括官: 厚生労働省でございます。
厚生労働省からは、個別の取組といたしまして、データヘルス改革の進捗状況と、今年閣議決定されました骨太の方針に明記されました医療DXの推進、この2点についてご報告を申し上げます。

まず、資料の14ページでございますが、データヘルス改革につきましては、令和3年6月に、2025年度までを見通しましたデータヘルス改革に関する工程表を策定いたしまして、これにのっとって各分野の取組を進めているところでございます。
特に全国で医療情報を確認できる仕組み、電子処方箋の仕組み、自分自身の保健医療情報を活用できる仕組みの3点につきましては、令和2年7月に厚労省としての改革プランを策定しまして、それに基づいて令和4年度までの2年間で集中的に実行してくということで、今、2年度目でございます。

まず、(1)の全国で医療情報を確認できる仕組みでございますが、令和3年にオンライン資格確認システムの運用が始まりまして、これまでのところ特定健診等情報、薬剤情報の確認ができるようなっております。これに加えまして、レセプトに含まれる他の診療情報につきましても確認できるよう準備を進めておりまして、令和4年9月11日からさらに拡大して運用を開始する予定でございます。

(2)電子処方箋の仕組みでございますが、今年の通常国会で法改正を行いまして電子処方箋の仕組みを創設いたしまして、これもオンライン資格確認システムを基盤としまして、来年1月の運用開始を目指してシステム開発を行っているところでございます。また、この10月から運用開始に向けたモデル事業を開始したいと考えております。

(3)自身の保健医療情報を活用できる仕組みでございますが、PCやスマホを通じて国民一人一人がマイナポータルを通じて自身の保健医療情報を閲覧できる仕組みを順次拡大しているところでございます。

最近で申しますと、今年6月からがん検診、骨粗鬆症検診、歯周疾患検診、肝炎ウイルス検診といった自治体検診情報が閲覧可能になっております。今後、9月には診療情報、来年1月には電子処方箋情報が閲覧できるように準備をしているところでございます。

また、パーソナル・ヘルス・レコードにつきましては、国民がニーズに応じて幅広く民間サービスを活用できるようになることも重要と考えておりまして、これについては安心できるPHRサービスの利活用の促進に向けたガイドラインを策定したところでございます。

引き続き、データヘルス改革の工程表にのっとって取組を進めてまいりたいと思います。

次に、15ページをご覧ください。これから進めるものとして、医療DXでございます。今年の骨太方針で、総理を本部長といたします医療DX推進本部(仮称)を新たに設置し、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXの取組を進めることが示されたところでございます。同日閣議決定されました重点計画にも同じように記載をされてございます。

今年夏に厚労省の組織改編もこれに対応して行いまして、医療DXを推進する体制を整備しているところでございます。今後、関係方面と連携して取組を進めてまいりたいと考えております。

自身の情報のフル活用を通じて、自分自身の健康の維持・増進、データに基づく質の高い医療の提供、創薬・治療法開発の加速化といったことを実現するべく、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、文部科学省の取組について、森田大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官よりご説明いただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

森田総括審議官: 文部科学省でございます。
文部科学省からは、2点ご報告いたします。
16ページ、教育データ利活用ロードマップでございます。本年1月、4省庁で策定いたしました教育データ利活用ロードマップに基づいて、真ん中にございますように、教育DXについて3段階で進めております。

まず、第1段階、学校教育の電子化に集中的に取り組んでおります。GIGAスクール構想による端末整備、デジタル教科書の普及促進、これらを進めております。

同時に、第2段階、第3段階についてもできるところから着手しております。
第2段階は、教育指導・教育行政へのICT・データのフル活用でございます。具体的にはスライドの下の部分にございます教育データの標準化・ルールづくり、それから基盤的ツールの開発・活用を既に相当進めております。教育データの標準化については、恐縮ですが先に17ページをご覧いただきたいと思いますが、教育データの相互流通性確保のため、GIFの中で、赤枠の学校の部分について、文部科学省において、第1版として学習指導要領コード、学校コード、第2版として「主体情報」を中心に既に公表いたしました。内容情報を今後さらに充実させるとともに、活動情報も加えた第3版を公表するべく、取組を進めているところでございます。

16ページに戻っていただきまして、基盤的ツールについては、全国の学校で活用可能な児童・生徒の学習アセスメントシステムとして、コンピューター上で行うテスト(CBT)のシステムでありますMEXCBT、学校や教育委員会に対して行います各種調査をクラウド上で行うことによって、現場の負担の軽減、調査の迅速化を進めるEduSurveyを既に相当進めているところでございます。

これらの成果としてのデータを分析・活用し、現場に還元し、新たな知見を持って教育の新たな価値を創出していく、こういう第3段階に向けた取組を進めているところでございます。

もう一点は36ページでございます。データ戦略ではインフラのレイヤーに属するものでございますが、SINETで結合し、AI・スパコン・研究ビックデータによる研究DXプラットフォームの開発でございます。

AI・データ駆動型研究開発については、材料科学分野など既に飛躍的イノベーション創出が進み始めておりますけれども、さらにこれを一部の動きから全体の動きに発展させていく取組を進めております。

真ん中にございますように、研究DXの中核となるAI・スパコン・研究ビッグデータをSINETでつないで、研究DXプラットフォームの開発を加速いたします。具体的には下の部分でございますが、理研のAIPセンターにおける最先端AI技術、「富岳」をはじめとする最先端スパコン、国立情報学研究所(NII)を中心としたデータの共有基盤、これらをSINETで超高速・大容量で結びますとともに、右側にありますように量子技術と数理科学を活用して高度化を図って、これらを結集した研究DXプラットフォームの開発を現在加速させて取り組んでいるところでございます。
文部科学省からは以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、農林水産省の取組について、山田技術会議研究総務官及び信夫大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官よりご説明いただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

山田研究総務官: 研究総務官の山田でございます。
19ページをご覧ください。農業データ連携基盤(WAGRI)は、農業の担い手がデータを使って生産性の向上や経営改善に挑戦できる環境を生み出すために、内閣府SIPにおいて構築されました。データの連携・共有・提供機能を有するデータプラットフォームであり、2019年4月より農研機構が運営を行っております。

利用者の拡大が課題であり、これまでの取組として生育予測プログラムや病害虫の画像判定プログラムなどのニーズが高いコンテンツの開発を進めるとともに、農機メーカーやICTベンダーを集めたフォーラムの開催など情報発信を強化してきました。利用者は2019年の24社から、現時点で72社まで増加しており、WAGRIを活用した農業用のアプリケーションの開発も進んでいるところです。引き続き、利用者の声をお聴きしながらコンテンツの充実を図るなど、利用の拡大に努めてまいります。

また、オープンAPIの取組ですが、トラクター等の農業機械から得られる位置情報や作業時間等のデータの連携を可能とするために、データ形式の標準化を行うとともに、メーカー等が保持するデータを外部と共有するためのオープンAPIを整備しました。これによって異なるメーカーの農機のデータを一元的に閲覧・分析することが可能になっております。引き続き、米の乾燥調製施設や園芸ハウス等から得られるデータについても標準化やオープンAPIの整備を進めてまいります。

信夫審議官: 続きまして、農林水産省共通申請サービス(eMAFF)についてご説明いたします。資料は20ページです。

eMAFFは、農林漁業者の行政手続に係る手間暇を省力化し、経営に集中してもらうため、農林水産省所管の法令や補助金・交付金に係る3,000を超える手続をオンライン化するものです。

地方自治体で完結する手続も対象とした共同基盤として開発し、LGWAN対応もしています。
特に重視しているのが申請者の利便性で、民間で業務の進捗管理でよく使用されているSaaSを採用し、統一感のあるUI/UXを提供するとともに、高齢者が多いことも考慮して、代理申請機能も実装しました。

資料の右側にありますように、政府方針を踏まえまして、ワンストップ、gBizIDを活用したシングルサインオン、手続がオンラインで完結できるデジタルファースト、ワンスオンリーも実現しております。

また、制度担当者が必ず現行業務のBPRを行った上で自ら申請画面を構築する仕様としておりまして、開発の手間とコストを削減しております。

本日現在、約2,850手続のオンライン実装を終え、今年度中に全ての手続の実装を目指しています。

あわせて、eMAFFのデータベースに蓄積されるデータを効果的な政策立案に活用するため、データサイエンティストの育成やBIツールの活用などにも力を入れております。

21ページ目でございますけれども、eMAFFの導入と併せて実施している取組をご紹介いたします。

まず、業務の抜本見直しです。先ほども触れましたが、制度担当者はBPRを行った上でeMAFFで手続のオンライン実装を行いますけれども、申請項目などの見直しはオンライン化後も随時行い、画面に反映させていきます。

また、データの円滑な活用に資さない文字列での入力やPDF等の提出を減らすため、数値やプルダウン、ラジオボタンなど選択式入力フォームでの入力画面の構築を推進しています。

次に、農林水産省地理情報共通管理システム(eMAFF地図)です。eMAFFとの連携やデジタル地図の技術を活用いたしまして、これまで関係機関で別々に取り扱われていた農地データを統合し、現地確認、データ管理などに係る事務負担の軽減や、共通の地図を基にした地域での農地利用の話合い等に活用するものです。現在、各種台帳や不動産登記簿情報、それから筆ポリゴンなどのデータのひもづけ等の作業を鋭意進めているところでございます。

最後に、日本政策金融公庫との連携です。令和3年6月に包括的連携協定を締結し、手始めに災害時などに必要な資金を緊急に融資する農林漁業セーフティネット資金の申請等をeMAFFでできるようにいたしました。申請者の利便性を高めながら、他の資金にもeMAFF利用を広げていきます。
農林水産省からの説明は以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、国土交通省の取組について、佐藤大臣官房技術審議官よりご説明いただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

佐藤技術審議官: 国土交通省技術審議官の佐藤です。
22ページ目になりますけれども、国土交通データプラットフォームの構築に関する取組を説明します。

国土交通データプラットフォームは、国交省が所管する各種インフラデータと民間等のデータを連携させることで、国土交通省の施策の高度化や産官学の連携によるイノベーションの創出につながることを目的としています。

国交省がどのようなデータを保有しているか、利用者が調べたいエリアにおいてどのようなデータが公開されているか、地図上で一括して表示・検索・ダウンロードを可能とするものです。

このデータプラットフォームは、2020年4月に試行的に一般公開を開始し、順次データ連携や機能拡充を進めているところです。
具体的な事例をお示ししたいと思います。

次のビデオをお願いいたします。データプラットフォーム上でエリア・施設を選択することで、閲覧したいデータへアクセスができます。東京の港湾施設を選択すると、データが格納されている施設、例えばコンテナ、クレーンといった施設の位置が表示され、諸元の閲覧ができます。

次は、静岡で橋梁を選択した場合ですが、赤が国管理、青が静岡県管理の橋梁が表示され、その諸元だけでなく、点検結果などにもアクセスできます。

道路交通について、道路ごとに交通量に応じて色分けし、さらに3次元都市モデルを重ねて確認することも可能です。交通から建物立地、例えば出入口の検討などに生かすことなどが考えられます。

工事現場や施設管理で得られた3次元点群データを表示できるほか、工事の設計で得られた構造物の3次元モデルを確認することも可能となっております。

最後に、データプラットフォームの活用事例として、荒川下流部の3Dハザードマップの事例を紹介します。こちらは浸水データと3次元都市モデルを組み合わせることで、洪水が発生した際に、どの高さまで浸水するのか、リアルに確認ができます。これにより、そもそも自分のいるところは安全なのか、いざというときの避難経路の確認など、防災意識の向上に役立てることができるようになります。

このようなデータを公開することで、国のほうではなかなか思いつかないような検討、例えば日照条件のよい建物を抽出し太陽光発電の営業に使うとか、建物データと物流データを組み合わせドローン物流の検討をする、観光地における建物・施設データと人流データを組み合わせて観光のマーケティングの基礎情報とするようなことが考えられます。

このように、国交省といたしましては、保有するデータのオープン化を一層進めるとともに、ユーザーが使いやすいように、ユーザーの意見を聴く場を通じて、データへのアクセス性が一層向上されるよう、引き続き取組を進めてまいります。
以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、経済産業省の取組について、野原商務情報政策局長より説明いただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

野原局長: 野原でございます。
それでは、ご説明申し上げます。
経産省からは3項目ございます。

1つはデータセンターでございまして、34ページでございます。この施策は、デジタル化でデータが非常に飛躍的に増えると、今後10年で処理するための計算能力としては1,000倍が必要になるという試算もございます。データ量が増えることでデータセンターが必要になります。また、現在、マーケットベースでいきますと6割が東京圏、2割が関西圏に集中しておりまして、日本のデータセンターの8割が東京・大阪周辺にある状況にございます。そういうことから、レジリエンスの観点から分散させる必要がありまして、地方に拠点となるデータセンターを整備したいということで取り組んでいる施策でございます。

先ほど総務省さんからご説明がありました。総務省と経産省で共同で取り組んでいる施策でございまして、総務省はデータセンターの設備投資や海底ケーブルの敷設等、経産省は全く新規の地方の拠点データセンターを整備するために必要となる電力や通信のインフラや拠点の用地の整備について主に予算を計上して、施策を講じているところでございます。(3)のところに、経産省の分のこれまでに講じている予算、500億円余りが書いてございまして、総務省も500億円ありますので、両省合わせて1000億円の対策になってございます。

一体的に施策を展開する必要がありますので、(1)にありますように、村井先生に座長をお願いいたしまして、アカデミア・企業関係者・関係省庁が参加し、経産省、総務省が事務局で、デジタル庁、文科省、国交省、環境省にもオブザーバー参加いただいています有識者会議で、基本的な考え方、それから重視すべきポイントを整理して提示いただいているということでございます。その方針に従いまして両省で施策を展開しております。

(2)にありますように、経産省関係の全く新規の地方拠点データセンターの整備につきましては、関心を持たれている誘致に熱心な自治体と意見交換を重ねまして、うちの自治体は誘致したいということを公表したいというご希望があります自治体をリストにいたしまして、全国で78地点、経産省のホームページで民間のデータセンター事業者の方々の投資の参考になるように公表しているところでございます。

構想の具体化に向けて自治体のフィージビリティースタディーについても支援をしておりまして、左の一番下の青い丸になりますけれども、1次公募で5自治体、今、2次公募中でございます。この先に具体的に工事に着工する案件が今後出てくることを期待しているという段階でございます。

35ページが2件目でございまして、デジタルアーキテクチャ・デザインセンターにおけるアーキテクチャー設計についてでございます。IPAにデジタルアーキテクチャ・デザインセンターがございます。齊藤さんにセンター長をお願いしておりますけれども、これまでのつながらない日本のITという長年の構造的な課題を解決するために、35ページの一番下の箱で囲ってありますけれども、データ連携で事業性が高まるユースケースを検討・創出すること。それから、標準的なアーキテクチャー、データモデル、通信プロトコル、認証方式、オープンライブラリー等を整備・公表することで、標準的なアーキテクチャーに基づいて、多数の主体が担うデータが自律・分散・協調的に相互運用可能となるようなデータ連携基盤、デジタルインフラを構築・普及していくことを目指している取組でございます。

上の囲みの青い部分でありますが、IPAのデジタルアーキテクチャ・デザインセンターは、デジタル庁から具体的な依頼を受けまして、関係省庁が参加し、民間企業や教育機関とも連携してアーキテクチャーの設計に取り組んでいるということでありまして、最初のケースとして2つのケース、モビリティーの分野と企業間取引についてのアーキテクチャーの設計について報告・公表しているとこでございますが、このアーキテクチャーを基に、経産省、デジタル庁におきまして、データ連携基盤の実証・研究開発事業に着手しているという段階にございます。これが2点目でございます。

3点目が45ページでございまして、先ほどデジタル庁からご説明がありましたDFFTの関係でございます。DFFTの具体的な制度化に向けまして、企業と専門家の方に入っていただきまして、データの越境移転に関する研究会を経済産業省で開催し、報告書をまとめて、続けてまだ検討しているところでございます。

グローバルにビジネス展開されている日本企業が実際に直面している現実のデータの越境移転に関する障壁、実態の把握から出発をいたしまして、課題を整理しているところでございます。上の青い囲みにありますように、各国で国内の規制当局間でデジタルサイロ、それぞれ違う規制がありまして、規制が重複しているとか、多層的に規制の要件が定められていることで法的な透明性あるいは頻繁に変更されることによる法的な安定性の問題、各企業が自分で各国の制度を調べなければいけないという調査コストがかかっているという問題、規制当局がデータの第三国移転に関するビジネス実態を十分理解していないような規制が次々と導入されるという問題、データの取扱いについてデータ移転をしていいという認証を得るために多大なコストがかかる等々、実態を把握するといろいろな課題が出てきております。

まとめますと、45ページの右にありますように優先的な課題、まず取り組むべきこととしては透明性の確保であるとか、あるいは相互運用性ということで、ある技術、標準あるいは認証を得れば、それぞれの国でルールは違っても移転ができるという仕組みを何かつくれないか。この辺が課題として出てきているところでございます。

G7サミット広島に向けまして、今、我々が予算を確保して、OECDに提供して、各国の企業のデータ越境移転の実態調査を実施いただいている。日本企業については我々が調べましたけれども、各国の企業について調べていただいているところでございます。来年1月から日本がG7の議長国になりますので、G7サミット広島に向けまして、DFFTの具体化にデジタル庁と一緒に取り組んでまいりたいと考えております。
経産省からは以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
その他、時間の都合上、資料掲載のみとさせていただいたものもございますので、お含みおきください。

続きまして、議事「2. 世界で進むデータ駆動社会への戦略的取り組み」について、資料2に基づいてデジタル庁よりご説明いたします。

平本データ戦略統括: 資料2に基づいて、世界の取組を説明させていただきます。

ただいま各府省からご報告いただきましたように、国内でも相当進んでいるのですけれども、世界各国も取組を進めているところでございまして、まずはその関係でございますけれども、データの価値が飛躍的に増大する中で、産業政策、競争政策でデータをどうやって使っていくのかが各国ともに重要になってきていまる。ここで主に3か国を取り上げさせていただきましたけれども、米国は主に産業として重視しているという側面がありますし、欧州では欧州全域におけるデジタルシングルマーケットを実現しようと、国境横断のサービスをつくろうとし、中国はデータを使った国家運営とか産業展開ということで進めているという形で、それぞれ大きなグループがあるわけですけれども、それぞれの信頼性や規制に対する考え方に差異があります。こうした中で、どのようなデータ流通をつくっていくのかが世界的にも問題になっております。

次のページに行っていただきまして、今の3か国の主な取組でございますけれども、1番目のハイフンが法律的な話、2番目のハイフンが戦略的な話、3番目のハイフンが最近のトピックという形で書かせていただきました。アメリカ、欧州、中国を見ても、ここ数年の間に非常に多くの法律を整備してきているところでございます。

戦略についてはそれぞれ差異がございまして、米国などでは政府の戦略はやっていますが、民間に関しては自由にいろいろな活動ができるようになっており、ヨーロッパはEuropeanStrategyforDataという形で、ヨーロッパ全域でどのようなデータスペースをつくっていくのか、データ主権に関してどのように考えるのかというように、戦略と法律を組み合わせた形で戦略的に進めているところでございます。中国に関しましては、「第14次5カ年計画」でデジタル政策を非常に強く打ち出しておりまして、データ活用とか、データのエレメント市場と言われている市場取引にデータを回すにはどうしたらいいかということも検討し、デジタルシルクロードとも言われていますけれども、海外ビジネス展開という面でも、今、力を入れているところでございます。

次のページに行っていただきまして、トータルで見てこの1年間で諸外国のデータやデジタルに関する取組は非常に力強く推進されておりまして、様々なガイドラインなどを法律とともに提供しております。

1点目としては、先ほど申し上げましたように、データの価値が飛躍的に増大しているということで、法案の整備や新規技術、メタバースやweb3なども含めて力を入れています。

2番目のハイフンになりますけれども、データに関する安全保障上の議論ということで、フェイクニュースの議論、地理空間情報をどのように活用するかという議論、それと一般のデータの保全の話も含めて、データに関する安全上の配慮が問題になっています。

3番目に、基本的にはデータを流通させなければなりませんので、そういう点で相互運用性の確保というところ、それとデータ基盤はどうあるべきか、また、各国で非常に問題になっているのはデータ人材の確保ということで、民間でもデータ人材が不足していますし、行政でもデータ人材が不足しているということで、そこの育成をどうするかというところが世界で非常に注目されているところでございます。

次のページは、参考に世界のデータ戦略を掲載しておりますけれども、世界では戦略、法律、人材、体制がバランスよく推進されているということでございます。

また、国際的な枠組みについても、皆様ご案内のようにG7やG20の場で、先ほど来出ておりますDFFTという形で信頼性のある自由なデータ流通について検討されているところでございます。それ以外でも各国間の取組という形で推進されているところでございます。

もう少し具体的には次のページ以降に書いてございますけれども、データ関連の法律、データスペース、データ連携基盤、地理空間、運用、人材、ここら辺が各国で結構力を入れているところでございます。

8ページ目でございますけれども、データ関連の法律整備ということで、例えばEUの事例でございますけれども、個人情報のGDPRというところからデータ共有やデータ活用をどうするかという話、それと競争のための制度はどうあるべきか、一番下のデジタルサービス法では、コンテンツに対する責任というものも含めて、ラインナップとして法律をつくっておりまして、施行年や公表年を見ていただけると分かるのですけれども、ここ1~2年の間に非常に多くの法律を出してきているということが特徴的なところでございます。

次のページがデータスペースの推進でございます。よく日本でもGAIA-XとかFIWAREとかいろいろな民間のコンソーシアムの取組が注目されているところでございますけれども、データの技術的なプラットフォームだけではなくて、その上でどのような制度を整備したらいいのか、国際的な国境を越えたデータ流通の枠組みをどうするかということで、データスペースの議論が今、進んでいるところでございます。

左下にございますけれども、EuropeanCommissionが推奨するデータスペース、GAIA-Xという民間中心となって推進しているデータスペースが連携するような形で、モビリティーやヘルス、エネルギーという分野について、国境を越えたデータを交換するフレームワークというか、データスペースについてどうするかという検討が進んでいるところでございます。

次のページでございますけれども、EUのプラットフォーム面から見ると、先ほど来、相互運用性とかが出ておりますけれども、下に書いてありますように、人材からフレームワーク、あと基本的なデータをそろえようというところの上に、データのプラットフォームとして灰色の部分がありますけれども、まずはEU全体のプラットフォームという形でeInvoicingやeIDAS、OOTSなど様々なツール群を提供するとともに、このようなものがオープンソースで提供されたりしていますので、GAIA-XやIDSAと書いてありますけれども、民間のプラットフォームと連携して、データが流通できる環境づくりをしています。その上に、先ほど申し上げましたように各法律を適用した形のデータスペースをつくって、行政が中心の社会共通基盤のプラットフォームと民間のプラットフォームという形で両輪が進んでいるところでございます。

次のページでございますけれども、地理空間データについても今、推進が進んでいるところでございまして、先ほど国交省さんから3Dデータとかがございましたけれども、国連、EU、米国も最近フレームワークというかアーキテクチャー構造で地理空間データについて考えようという検討を始めたところでございまして、日本も地理空間の基本計画を先日出したばかりでございますけれども、世界も地理空間データをどうやって使っていくかという形で戦略的な取組が始まっているところでございます。

次のページでございますけれども、我々は今、ベース・レジストリとかオープンデータも含めてデータの整備を進めているところでございますけれども、各国を見ますとベース・レジストリの法律をつくる、運用機関をつくるという形でベース・レジストリが安定的に供給されて、皆さんが安心してワンスオンリーとかサービス構築ができるような枠組みをつくっているところでございます。

最後の13ページでございますけれども、データ人材・体制の強化ということで、先ほど申し上げましたように世界各国が力を入れているところでございますけれども、特に行政のデータ人材が必要ではないかということで、全職員に対するリテラシー教育を強化し、右側に細かく書いてありますけれども、英国政府でいうとDatajobやIToperationsjobなど様々な形でデジタル人材を定義しておりまして、これでスキルセットを定義するとともにデータのトレーニングコースをつくるという形で人材育成を充実させているところでございまして、今、官民一体となってデータ人材の育成が進んでいるところでございます。
海外の話については以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
引き続き、議事「3. データ戦略の今後の推進について」、資料3に基づいてご説明いたします。

平本データ戦略統括: 引き続きまして、資料3で説明させていただきます。
主な今後の課題ということで、先ほど来、各府省の様々な今年度の取組を紹介していただきましたけれども、ああいう形で非常に成果が集まってきているというか、いいものが出てきているところがございますので、そういう意味で世界でも非常に速くデータ戦略が進んでいるところでございますけれども、これらの相互連携や協力関係を含めて今後進めていく必要があると思っておりアーキテクチャーでも説明させていただいておりますが、各分野の取組を強化していきたいと思っております。

次のページが主なポイントとして我々が考えているところでございまして、今日ご議論いただきたい主な論点でもございますけれども、前のページのように、全体としても今までの取組を加速するところでございますが、今後のワーキンググループでは、それぞれの準公共分野のデータプラットフォームやデータ連携の基盤をつくっておりますので、これをそれぞれのところでどのように効率化していくかというところもありますし、準公共分野間の連携も含めた形で、データ連携を国内全体でどのように進めたらいいのかというところを検討していく必要があると思っております。

2番目のポツでございますけれども、ベース・レジストリやオープンデータの拡充ということで、データそのものが安定的に、しかも大量に多様なものを供給していくものが必要ですので、どのような形でやると品質のよいデータが供給できるのか。それと安定的に運用するための運用体制はどうあるのかということも論点として考えております。

3番目が、先ほど来出てきておりますDFFTをどうやって具体化していくのかというところの検討です。

4番目でございますけれども、データスペースがポリシーの面とテクニカルな面の両方の在り方と、どのような形で国際連携を取っていくのか。今もヨーロッパやアメリカと話したりしておりますけれども、アジア展開という話も含めて、国際連携の在り方は今後どういう方向でいくのかを議論していきたいと思っております。

次のページはデータ戦略推進ワーキングのスケジュール(案)でございます。本日、全体像を説明させていただいたわけでございますけれども、ここまでできているということを踏まえて、今、説明させていただいた論点の検討を第5、6回に分けて、我々のほうでも状況を整理させていただきますけれども、それを基にどのような方向性に向かえばいいのかという話、第7回にそれをどのように整理して推進したらいいのかという骨子を説明させていただきまして、第8回でデータ戦略の取りまとめという形で、ちょうどこの時期にG7サミットもございますけれども、こういうところにも適宜、我々の成果を反映していただくとともに、6月に包括的データ戦略改定と書いてありますけれども、国内の取組が進んできたということ、それと海外の取組も相当進んでおります。これを反映した上で、前のページにございましたような論点をきちんと整理した上で、包括的データ戦略という形で取りまとめを進めさせていただければと思っております。
以上で、私から今後の推進についての資料の説明を終わらせていただきます。

三島参事官: ありがとうございました。
それでは、意見交換に入りたいと思いますが、それに先立ちまして、今回より一部の構成員が変更となっておりますので紹介させていただきます。

一般社団法人新経済連盟のデジタル政策担当の部長が、佐藤創一様から富岡秀夫様に変更となりました。
富岡様、一言ご挨拶を頂戴できますでしょうか。

富岡構成員: 新経済連盟の富岡と申します。
今回からこのワーキンググループへ参加させていただきますが、経済界の声を伝えながら、国全体の戦略としてよりよいものになるように貢献していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

三島参事官: ありがとうございました。
次に、情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンターセンター長の齊藤裕様を追加しております。
齊藤様、一言ご挨拶を頂戴できますでしょうか。

齊藤構成員: 齊藤です。皆さん、どうぞよろしくお願いします。
現在、デジタルアーキテクチャー・デザインセンターで、具体的には政府システムをやっていますけれども、自律移動ロボットとか企業間取引をやっています。デジタル庁で今進めているデータ戦略の中のいわゆるトラストのような話とか、IoTの世界になってくるとゼロトラストというところが絡んできて、非常に連携が深まらないといけないなと改めて感じています。

いろいろな意見を聴きたいと思いますので、私も申し上げたいと思います。皆さん、よろしくお願いします。
以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、本日ご欠席の遠藤構成員よりご意見を賜っておりまして、お手元に参考2として配付しております。

ご意見としては、価値創造基盤としてのデータプラットフォームという観点から、日本のデータ戦略の骨子を取りまとめるべき。データ推進のリアルタイム性の確保、国力強化という観点から、日本全体のデータ連携、DFFTの整備、国際連携や国際標準における日本のリーダーシップなどの観点からのご意見をいただいておりますので、ご参照いただければと思います。

それでは、ご発言のある方は、チャットでその旨を事務局までお知らせいただければと思います。私から御指名させていただきます。なお、時間も限られておりますので、大変恐れ入りますが、お一人3分程度でのご発言をお願いいたします。
太田構成員、お願いいたします。

太田構成員: ありがとうございます。太田です。
包括的ということで、データ戦略は地道に5年、10年かけてやることだと思いますので、しっかりしたフレームワークがあって、進捗も非常に分かりやすくまとまっておりました。

私は、最後に提示いただいた論点の中で、1番、2番、4番に関わるところで発言したいのですけれども、最後に説明いただいた海外の戦略で欧州、米国、中国とありました。それに対して日本の特徴は何かということなのですけれども、以前議論した話としては、1つトラストというのがキーワードで挙がっていたかと思います。これはGDPRであったりCBPRであったり、いろいろな地域のルールとやり取りしている地の利が日本にありますので、トラストは日本の強みになるでしょうし、今日の報告にありましたように、結構中身も詰まってきたなと思います。

ただ、もう一つぐらい特徴が、ルール面だけではなくてもう少しユースケースに近いところでできるのではないかと思っていまして、具体的にはデジ田でも今、取り上げられているウェルビーイングです。データはスマートシティ、まちづくりに使われるわけで、スマートシティ100か所、デジタル田園は1,000団体を目指していますけれども、そこでデータが使われるのは何のためかというところの議論で、サステーナビリティーも含めてですけれども、やはりウェルビーイングがあるのではないかということで、今、指標も検討されております。

そういうところで使われるデータがベース・レジストリあるいはオープンデータという形できちんとこうあるというところが今回検討されるといいかなと思っているのですが、具体的に見ていくと足りない部分があるのです。これは可能性という意味ですけれども、eMAFF地図は農業だけではなくて景観や生物多様性みたいなものに発展していくと思いますし、あるいは国交省の中にあった水文水質も今は雨量と水位しかないのです。ヨーロッパなんかへ行くと、山と海はつながっているということで、実際の水質でリン酸とか窒素とかを見ていったりするので、全ての基になる地域空間データがウェルビーイング、サステーナビリティーにつながる、そのためのデータがしっかり整備されているというところを少し深掘り検討して、せっかくデジ田がそれで動いているので、うまく連携できないかというところを次回あるいは次々回に横断的かつ選択的な深掘りで検討できれば、戦略という意味ではさらに特徴が出るのではないかと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、村井構成員、お願いいたします。

村井構成員: ありがとうございます。
各府省にて非常に広がりの出た話になり、そこからデータ連携という話になったと思うのです。この部分を実現するのは大変難しいので、データが連携するということも重要なのですけれども、各分野や部門が持っているデータの相互運用性が保たれることが重要だと思います。そうだとすると、どこのデータとどこのデータが連携して使えるのかという利用側の問題になるのですけれども、提供する側としては、標準に即しているとか、フォーマットが共通しているとか、例えば日時の表現や場所の表現の国際性も考える、この辺りがデータの世界は非常に難しいのですけれども、まずはそういった意味での連携は使う側と提供する側の両方で考えなければいけない。この相互運用性を考えなければいけないのです。

それを評価したりチェックしたりするアクションが必要だと思うのです。準公共分野の非常に大きな価値は、それぞれの役所や自治体が持っているデータを共通に使ってこそ高まる分野です。そのことがきちんとできているのかということを判断できるのは、データを使ってサービスをする事業者、データを見ているアカデミズム、個人でそういうものを見ている人だと思うのですけれども、その人たちのフィードバックが非常に迅速にリアルタイムに得られて、それを受け入れて処理できる体制が必要ではないかと思います。

もう一つは、オープンデータの説明をデジタル庁からしていただいたのですけれども、Digitalbydefault、或いはデジタルファーストと言われますが、基本的にはオープンデータは最初の調達の段階から、要するに税金を使ってやる仕事をきちんとオープンにしていこうというところから始まっていると思います。調達に関することでデジタル庁は一歩進んだ立場を持っているので、調達からのOpenDatabydefault、この考え方を具体的に進められる体制が必要だと思います。

最後に、データのアクセシビリティーです。今のデータ連携で、各省庁から共通で出すというときに、もう少し強くデータのアクセシビリティーを言わないと、このタイミングを逸すると言う場面がなくなるのではないか。基本的なルールの確立が必要だと思いますし、インクルーシブにどんな人でも、あるいは高齢社会に対応してデータを見やすくする、使いやすくするようなことがとても重要です。

例えば先ほど文科省のご説明で、今、電子教科書だとか、全ての電子化ということになっていると思うのですけれども、電子教科書と電子出版とのアクセシビリティーの標準化が、同じ出版社ではないから、出版の性質が違うから、縦にずれているのです。このようなことも全体としてデータのアクセシビリティーということで、本日ご説明いただいた全てのデータの表現が、基本的な考え方は世界中に沢山のお手本がありますので、目が不自由な人、耳が不自由な人、高齢者、特に高齢者の部分は日本がリードを取れるところだとは思いますが、そういった意味でのデータアクセシビリティーの共通の基本的なルールを徹底すること、これもぜひ進めるべきだと思います。
以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、越塚構成員、お願いいたします。

越塚構成員: ありがとうございます。
ご説明ありがとうございました。

各省庁の皆様の取組が非常に広がっているのを感じましたし、その取組にまず敬意を表したいと思います。
このようなリッチな取組を聞けば聞くほど感じるのは、これらをどう連携させるかというところが最大限に最も重要なのかなと思います。なので、申し上げたいことは一言、連携ということです。

今日もいろいろなデータ基盤のお話、取組をご説明いただきましたが、それ以外にも政府が絡んでいない民間の取組もそれ以上にたくさんございまして、そのような山のようなデータ基盤がばらばらにならないように、先ほど資料1の12ページ目でも出していただいていますけれども、ここにいろいろなことの連携が全て書き込まれているわけではないと思いますが、そういった連携をやっていくことはとても重要だと思います。

先ほど村井先生からもインターオペラビリティーということで、連携といっても政策レベル、コンセプトレベルのこともあれば、ルールの話もあれば、セマンティクスな話もあれば、フォーマットの話もあれば、実際に交換する基盤のシステムという話、いろいろなレイヤーに多岐にわたるわけですけれども、とにかく国内でこれだけの取組があるわけですから、ばらばらにならないように連携ということだけで1つのプロジェクトがあってもよいと思いますので、この連携は進めていくべきだと思います。

2つ目は、国際化、DFFTは、来年G7があるということで、遠藤構成員からも国際標準化委員会といった御提案がありましたけれども、国内でもこれだけ熟してきましたので、海外と話をして連携していくことも非常に重要だと思います。それはG7の場も活用することも重要だと思います。特に私はアジアと連携していくことが我が国の立ち位置からするととても重要なことだと思います。

3つ目は教育でございまして、先ほど少しご紹介もあって、確かに国内で今、例えばデータサイエンスという名前の下で、データという名前がはいった人材育成の事業はたくさんあるのでデータをやっているようなのですけれども、実質的にはそこはAIや統計人材の育成であることが多くて、データの分野がメインではない感じがします。

オープンデータに限って言うと、政府のほうでもやっていただいて、オープンデータの人材育成があったのですけれども、データの分野、今日まさにデータ戦略推進ワーキングの中でやっていることを中心に、例えばルール、技術、プラットフォームみたいなことも全部含めた人材育成は手薄です。こういったデータ関係の取組になるとお会いする人が大体いつも一緒ということもそれを反映しているのかなと思いますけれども、そこは必要かなと思います。

4つ目に、デジ田やスマートシティで地方でもデータをやろうという機運や取組が大分あるので、地方自治体とどう連携していくのか。特に農業や水産業のようなところは地方が現場になっていて、そこにデータがあったりもしますので、そういったことをどう連携するかということが4つ目です。

最後、5つ目は技術の研究のことでお話しさせていただくと、秘密計算とか準同型暗号とか秘密分散とか、秘密やプライバシーを担保しながらのデータの交換や流通のさせ方は極めて重要だと思っています。これをデータ連携とか流通の枠組みにどう入れていくかというところ、まだやることがありますので、その辺り推進が重要と思っております。
以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、後藤構成員、お願いいたします。

後藤構成員: 後藤でございます。
まず、本日、各省庁のデータ連携、プラットフォームに関する取組が非常に幅広く活発になってきていることを改めて勉強して、非常によかったな、いい方向だなと思っているところでございます。もちろん既に構成員の方から次なる宿題も出ておりますが、これは相当期待できるなと思っているとこでございます。

将来、期待できるようになると、気になってくるのはデジタル社会全体としてのレジリエンスの確保でございます。例えば昨今では、サプライチェーン関係では半導体も含めて効率化重視一辺倒でつくってきた。これまではそれはよかったのだけれども、コロナパンデミックや国際情勢の悪化で破綻を起こしてしまった。

そういうことを踏まえてかもしれませんけれども、ウクライナ政府がデータ大使館、いわゆる電子政府の中身を海外に置いてレジリエンスを確保する取組をしているという報道がありました。ここまで考えるかどうかは別としまして、データの利活用に係る価値創造が大きくなるにつれて、デジタル社会としてのレジリエンスをどう確保していくのかという準備を早め早めにしておくことが必要だと思います。

今日のお話の中では、総務省さんと経産省さんからあったBeyond5Gとかデータセンターに関わるインフラレベルのレジリエンス確保は大分たくましくなってきたなと思うのですが、それを活用できる上位層のデータ利用の仕組み、運用の仕組みがそう簡単ではないわけで、そこに関して早め早めに取組を始めていくべきなのではないかと思っています。データ連携が大きくなってからではなかなか入れ込めないので、現在、成長途中でレジリエンス確保の仕組みをしっかり入れていただきたいなと。

この中には社会全体におけるトリアージみたいな話も必要かもしれませんし、社会全体での縮退運転、いざというときは、社会全体が我慢しなければいけない部分と生き延びるためのものを選ばなければいけない。こういう判断は簡単ではないはずです。こういうことに関して、少しずつでも今のうちに取組を始めておくことが大事なのではないかと思っております。最後の今後の取組の中に、レジリエンス確保についてぜひ一言入れていただければなと思ったところでございます。
以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、下山構成員、お願いいたします。

下山構成員: ありがとうございます。
今回、各府省の皆様からお取組の内容の共有があったので、データの具体的なユースケースがかなり並んできたと思うのです。インフラとしてのデータの重要性をこの場で再認識することが皆さんでできたと思いますので、一構成員として改めてお礼を申し上げます。

私のほうからは、10年ほどオープンデータの推進や公的機関のデータ利活用推進に関わってきた者として、2点申し上げたいと思います。

まず、1点目なのですけれども、先ほど来いろいろな構成員の方からおっしゃっていただいているオープンデータについては、そろそろ強めに義務化すべきではないかと思っているのです。例えばデジタル田園都市国家構想の枠組みの中でデータの公開を義務づけるとか、もう少し強制的な力が必要になっている段階だと感じています。というのも、このスピードだとまだまだ質も量も確保ができない状態で、例えば今、自治体では70%ほどオープンデータの取組が進んでいるのですけれども、結局、中を開けると、例えばある県では3分の2くらいが取りあえず言われたから1件出したという状態であったりするのです。それでも取組率としては上がってきている状態です。実質的なところを見ると、量が全然足りていないところがあるのです。

そういった中で、デジタル田園都市もそうですし、スマートシティ、必要なのはスマートな合意形成ができる状態だと感じているのです。先ほど後藤構成員からもあったように、これから様々なものをトリアージして決めなければいけない時代において、判断や意思決定のためにデータが必須になってくるわけです。そういった中で、村井先生からもあったようにOpenbydefaultの原則に基づくと、税金が投入されているデータは原則公開なので、今、それが入手できていない状態がおかしいわけなのです。特に公開しても問題のないデータを公開していない状態は、国民の知る権利を侵害している状態と言ってもいい状況だと思うのです。そのくらい少し強い言い方をして進めていかなければいけない段階だと感じています。

特にオープンデータができないことで、恐らく様々な機関での庁内でのデータ整備もできていない状態があるからこそ、ここにコストがかかるからといって取り組めない状況があるわけです。特にデータの重要性を理解している職員の方々、今、こちらの会議に参加されている府省の方々もすごく理解されて動いていらっしゃると思うのですけれども、それ以外の方々にももっと重要性を理解していただくためには、ある程度の強制力を働かせなければいけないだろうと。データを整備する業務が増えるのではなくて、データを使わないことで無駄な業務が減らない状況があるということに早く気づいていただきたいと思っているのです。こちらが1点目です。

2点目は人材育成についてです。各国の取組を参考にしつつ、DFFTで日本がリードするためにどのような人材が必要かを考えていく必要があると感じています。特にトラストの確保の取組で、これまでデータ提供者や取引相手の身元保証に重点が置かれてきたところだと思うのですけれども、データ自体の品質保証や精度保証も必要であろうと。これは私も業務で民間側でビジネスデータの検証とかに携わっている分、多少のポジショントークが入ってしまうのですけれども、データ自体の品質保証、ルールの遵守ができているかの確認であったり、そういった専門職も今後検討していくべきではないかと考えています。
私のほうからは以上になります。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、庄司構成員、お願いいたします。

庄司構成員: ありがとうございます。
私のほうからは短く、たしか平本さんのご説明の最後に今後の検討事項というページがあったと思いますけれども、そこにぜひ加えていただきたいことを1つ申し上げたいと思います。

それはデジタル庁さん中心につくっていらっしゃる様々なルールの実装です。たくさんルールをつくって、非常にレベルの高いというか、緻密ないろいろなガイドラインとかがつくられているわけですけれども、これをどう実装していくのかという部分がかなり重要だと思います。

その意味で、今日、各府省からの取組をたくさんご紹介いただいたわけですけれども、そういったところに、今日ご説明していただいたようなものがきちんと実装されているのだ、各府省の連携が取れているのだということ、あるいは民間の取組に対してもそうですけれども、どれくらいのペースでやればいいのか分かりませんけれども、そこがなるべく早く実装されて、稼働しているのです、運用実績があるのですという状態にしていくこともかなり重要だと思いますので、運用体制という項目が挙がっていますけれども、実装というところをぜひ加えていただければと思います。それがちゃんと動けばユースケースとして説明できることになると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、富岡構成員、お願いいたします。

富岡構成員: 私のほうから2点ございます。
1点目、ベース・レジストリは新経済連盟として非常に関心を持っている分野でございます。取組を進めていただいていることに大変感謝申し上げます。

例えば不動産関連のベース・レジストリの整備・連携について、不動産は売り手と買い手の情報の非対称性が大きい、いわゆるレモンマーケットだということで、デジタル化が効力を特に発揮する分野と考えられるため、これまで我々は具体的に要望してまいりました。

5月に改正宅建業法が施行され、部屋探しから契約まで全てオンラインでできるようになったことに加え、3月に国交省から不動産IDのガイドラインが示されたということで、まさにこれから大きな変革が期待されるのかなと思っています。

他方、不動産IDについては、ガイドラインは示されたのですけれども、あとは関係者でよしなにやってくださいという状態のようにも見える面がございます。

先ほど庄司先生から実装が大事というご発言がございましたけれども、まさにベース・レジストリについても、映していただいている資料に「これまで実施したこと」、「2022年度以降に出現する効果」とありますが、これまで実施したことがどれだけ実装あるいは具体的に使われているのか、稼働しているのかということのレビューもしていただき、何かうまくいっていないことがあるのであれば、そこのボトルネックを洗い出していただきたいと思っております。

2点目は、web3あるいはWeb3.0のお話でございます。6月の閣議決定で、重点計画も含めWeb3.0について盛り込まれたことは非常に画期的だと受け止めております。

web3はゲームチェンジャーだという声もある一方で、過大に評価されているという声もあり、デジタル庁でまず調査研究から始めると理解しております。したがって、web3についてはこのワーキングとは別の場での議論・検討が中心になってくるとは思うのですけれども、データ戦略を検討する際に、一応視界には入れておくべきテーマではないかと思います。つまり、せっかくこの取組でいろいろとすばらしい仕組みができていくのに、web3が本格展開したときにむしろレガシーな仕組みとして邪魔になる、といったことにならないようにという観点から、視界に入れておくことが必要なのではないかと思いました。
以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、手塚構成員、お願いいたします。

手塚構成員: 手塚でございます。
まず、全体の内容を見まして、各省庁の取組を含めて多岐にわたり、それをこういう形でお示しいただいて、私の知らない部分もあったりすることもあり、今日のワーキンググループは非常にありがたいなとまず思っております。

そういう中で、私が取り組んできたのはトラストのところでございまして、資料1の7ページでも先ほどデジタル庁さんのほうからお話しいただきましてありがたかったのですが、非常に活発に議論してきました。その中で、いろいろな方面の方がいらっしゃる中で、このトラストというテーマについて様々な視点から議論があったと認識しておりまして、その中で特にデータ戦略という視点から見ますと、先ほど世界の状況で各国のデータ戦略があったわけでございますけれども、太田構成員からもお話があったように、我が国のデータ戦略は何が特徴なのだという点では、私はトラストが最も重要なデータ戦略の特徴となるのではないかと思っています。これはまさにDFFTのTの部分と完全に連動すると考えられると思っています。

そういう中で、アーキテクチャーとしてのトラストをしっかりと基盤として整備していくことが最も重要で、トラストのところをどのように整備していくのかはまだまだこれからやっていかなければいけないことだと思っております。

その中で、特にインターオペラビリティーという言葉も先ほど出たのですが、当然インターオペラビリティーがなければつながらないわけで、つながっただけでは駄目で、そこにトラストというものが入ってきて、それもワンポリシーではなくて、そこがアシュアランス、保証ということから階層化されていくというところまで入ってくるとトラストという概念になり、それがアプリケーションの世界につながっていくということで、トラストという概念は、そういう意味ではミドルウエアの基盤としては最も重要な概念に今後なっていくのではないかと思っています。

データにおいても、ローデータを相手に渡すのではなく、ベリファイ、必ず検証つきのデータをどのように流通させるか。受け取ったほうが必ずデータを正しいかどうかと見るわけです。そこの検証を簡単にといいますか、瞬時にできるような仕掛けまで入れた社会インフラにデータ流通をしていくことが非常に大事ではないかと考えております。

そういうことから、トラストのワーキングでも様々なご議論をさせてもらって、勉強もさせていただき、さらに今後のデータ戦略の中のトラストというものをどのように確保するか。さらに、それがDFFT、国際相互連携というところで我が国がイニシアチブを取っていくという点でも最も重要なことになるのかなと思っておりますので、ぜひそういう点で、このデータ戦略推進ワーキンググループでさらに絞りをさせていただければと思っている次第です。
以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
齊藤構成員、よろしくお願いいたします。

齊藤構成員: どうもありがとうございます。
いろいろ皆さんのお話を聞いて、大変興味が湧きました。
私は各省庁の方々が随分されているところを眺めながら、どう連携させるのがいいのかみたいな話があったので、コメントさせてもらいます。

今、DADCで検討している中で、システムを眺めて、どこが協調領域かいうような話はしているのです。基本的にはアーキテクチャーをきちんとデザインして、その中に(協調領域として)はめ込んでいくアプローチが必要になります。今回、デジタル庁のほうにまとまってこういうワーキングができて、各省庁の方が参加されている中で、1つアーキテクチャー、ひな形をつくって、そこで皆さんがはめ込みながら、ここが協調領域だよねという話を決めたらいいのではないかと思いました。

その中で、今お話のあったようなトラストの領域とか、セキュリティとか、アジャイルガバナンスの話、認定・認証の話は(どの分野にも共通の領域ですので)、逆に言うと、もう規定された形で、本来皆さんが統一的に対応したらいいはずなのです。先ほど知財の田中局長のほうから、ガイダンスを参照しながら、それぞれでやったらいいというようなやり方を少し紹介されましたけれども、同じ話がアーキテクチャーの協調領域の部分にもできてくるのではないかと思いますので、そういうアプローチをして整理されたらいいのではないかというコメントが1つです。

もう一つ、データスペースの概念に係る話をされておられました。ヨーロッパがデータスペースをつくっているのは、GAFAのような1社で独占するのではなくて、そこに協調領域をつくりながら、いろいろなデータを活用して、みんなで共通基盤を利用しながら、いわゆる垂直統合的なモデルではなくて、水平分散の世界の中で、オープンイノベーションを図っていこうという形が1つあります。

データの中身というのは、先ほどの話にもありましたけれども現場・現物・現実のことが分かるようなデータをそろえていかなければいけないし、ある意味では、プロファイリングできるようにしないと、先ほどこの中でもあったようなEBPMの話は実現できないと思います。そういう整理をするために何をしたらいいかということも考えたらいいのではないかと思います。

もう一つ、データの話で、強制的に取ったらいいのではないかみたいな話がありましたけれども、公的な機関が民営化する中で、本来、公の立場であれば公として共通に使えるようなデータがあるのに、わざわざ民営化したために使えなくなっているような話があるのは不合理ではないかと思います。

逆に言うと、いわゆる政策の中で本来EBPMの中に必要な例えば物流とか人流のようなデータを、公的機関が利用して、災害対応などの政策に展開できるように、そうしたデータは強制力を持って活用できるようにすることも必要なのではないかと感じています。

最後に、データスペースの考え方の先に、私は制御の世界で鉄鋼の制御システムをやってきたのですけれども、そうした制御システムの領域と同様に、最終的には機械化・自動化の世界に入っていきます。そして最後は最適化です。いろいろな意味で、サイバーフィジカルシステムで、例えば今、我々がやっている自律移動ロボットがインフラとして活用され始めるとか、契約、決済のところで、デジタル完結の中でアルゴリズムを使って高速にいろいろな処理ができるようになっていく時代が、恐らく日本の最終的な競争力につながっていくように思います。ある意味では機械化・自動化も想定しながら、今回のデータスペースの領域を、データをどのようにつくり上げていくのか、仕組みをつくり上げていくのかというのが必要になると思いますので、そういうことも考慮に加えていけばよろしいのではないかと思います。
以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
ご発言を希望されている皆様からは一通りお言葉をいただいたと思うのですけれども、追加でご発言のご希望がございましたら、その旨、お知らせください。よろしゅうございますか。

平本データ戦略統括: デジタル庁でございますけれども、ご意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
皆様が共通的におっしゃっているのが、トラストが強みだということで、トラストの他にももう一つぐらいないかというご意見から始まって、ここを軸に進めたらどうだというご意見を頂戴いたしましたけれども、ここも幅のある話ですので、今、海外と話しても、トラストの一部ではございますけれども、データマネジメントというところを一緒にできないかとか、日本は強いのではないかという形で、そこを一緒にやれないかというご相談も受けております。

あと、レビューや評価の仕組みも先ほどお話をいただきましたけれども、ここら辺もデータマネジメントに関連して、今、データのマチュリティーという形で、どのようにマチュリティーを高めていくのかということで、ゼロイチで、できている、できていないではなくて、段階的にステップを踏んで、トラストの仕組みとかマネジメントの仕組みをつくるところはどうしたらいいのか。ここも我々は今、議論を始めたところでございますので、そういうところで進めていければと思っております。

データ基盤がいろいろ出てきた中で、連携を広げるべき、あと民間の基盤も一緒にできないかという話などもございましたし、齊藤構成員からアーキテクチャーの議論などもありましたので、そこら辺は今回の議論を踏まえて幅広く取組をさせていただきたいのと、データのアクセシビリティーやレジリエンス、人材の話、まだまだ多々詰めなければいけないことがございますので、先ほどの4ページにあります今後の主な検討事項、前のページのその他の部分で加速する部分と併せて、事務局のほうで再度整理させていただければと思っております。
以上でございます。

三島参事官: ほかにどなたかご発言などはございませんでしょうか。

赤石デジタル審議官: デジタル審議官の赤石です。
今、最後に齊藤構成員が言われたことが極めて重要で、これだけの様々なプロジェクトをいろいろとくっつけようとしているのですけれども、どうやってアーキテクチャーで並べて、共通部分を抽出して、日本全体で整合的なデータ戦略を進めるか。これは齊藤構成員がやっているところだと思うのですけれども、大規模な会社が合併したときに、数百もあるシステムをどのようにエンタープライズアーキテクチャーをつくっていくかというのと全く同じことだと思います。データ戦略の一番重要なところはまさにそういうところで、だからベース・レジストリを共通化していったり、トラストについての仕組みを埋め込んでいってみたり、その中で必要なデータについてはある程度強制的に出させたり、皆が使うアルゴリズムについては、1つのツールとしてエンタープライズアーキテクチャーに埋め込んでいったり、こういう設計をしっかりすることが極めて重要です。

物すごく分かりやすい例で言えば、国土交通省にやっていただいている国土交通データプラットフォームは地図の上にオーバーレイしているわけですけれども、地図は日本中どこでも一緒なわけですから、その上に全部オーバーレイすることを考えていくとか、そういうことを考えていくことが極めて重要だと思いますので、これからも常に全体的な視点を持って、皆さんにもご意見をいただきたいし、我々も検討していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

三島参事官: ありがとうございました。
少し早めではございますけれども、最後に、本ワーキンググループの主査である森内閣総理大臣補佐官より一言いただきたいと思います。
森補佐官、よろしくお願いいたします。

森内閣総理大臣補佐官: 森でございます。
長時間のオンラインでの会議にもかかわりもせず、活発なご議論をいただきまして、ありがとうございます。

私自身は各省庁を束ねていく立場で、これからの作業あるいは検討につきまして、今後進めていくところでのコメントあるいはポイントを少しお話しさせていただければと思います。

本日、各府省からの報告を聞きまして、包括的データ戦略に基づいてさらに取組を進め、一定の成果を上げてきていることを私も確認ができたと思っております。

一方で、データをめぐる動きは非常に速うございますので、国内外の環境の変化を踏まえて新たな課題を整理し、包括的データ戦略を推進し、方向性を整理することが重要ではないかと思っております。

本日、デジタル庁から今後の課題の素案が示されておりますが、各府省におかれましては、今後、包括的データ戦略の改定に向けまして、デジタル庁と協力をしていただきながら、その課題の具体化と対応の方向性を整理していただければということをお願いしたいと思います。

また、主な検討事項とされております準公共分野につきまして、国民生活に非常に密接に関連しております。また、国による関与も非常に大きいところがございます。他の民間分野への波及効果も大きい分野でございますので、各分野の具体的な取組の詳細な説明とともに、今後、各分野とどのように連携していくのかといった点につきましても説明を考えていただければと思う次第でございます。

DFFTやデータスペースなど国際協調についてもご議論いただきたいと考えておりますので、デジタル庁及び各府省においても検討を進めて、深めていただければと思います。

また、サブワーキンググループにつきまして、本日報告があったとおりでございますが、取りまとめが行われるなどの成果を出して、一区切りがついたものもあると考えております。一度、このタイミングで整理をすることが適当だと思われます。デジタル庁中心にその整理をしていただければと思います。

構成員の皆様におかれましては、引き続き幅広い知見や専門知識によって、包括的データ戦略の改定に向けまして、なお一層のご尽力を賜れればということをお願いいたしまして、終わりのご挨拶とさせていただきます。
今日はありがとうございました。

三島参事官: ありがとうございました。
本日いただいたご意見は事務局のほうで整理いたしまして、次回以降の議題に反映してまいりたいと思います。引き続きデジタル庁と関係府省が連携して、データ戦略の改定を見据えた検討を進めてまいりたいと思います。本日は皆様、ありがとうございました。
本日の議事録につきましては、皆様に内容をご確認いただいた後に公表いたします。

それでは、第4回「データ戦略推進ワーキンググループ」を閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。