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地域幸福度(Well-Being)指標の活用促進に関する検討会(第8回)

概要

  • 日時:2025年3月17日(月)16時00分から18時00分
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 地域幸福度(Well-Being)指標の活用促進について
      2. 地域幸福度(Well-Being)指標の次なるフェーズに向けて
      3. 地域幸福度(Well-Being)指標の活用促進について
    3. 意見交換

資料

参考資料

議事録

司会(小林): 定刻となりましたので、これより第8回地域幸福度指標の活用促進に関する検討会を開催いたします。

本日採択団体の皆さまに傍聴いただいておりますが、採択団体の皆さまは傍聴のみとなりますので、音声が入らないよう、カメラとマイクはオフとしていただきますようお願いいたします。

ここから先の議事進行は座長の前野様にお願いしたいと思います。前野先生、よろしくお願いいたします。

前野座長: はい。ありがとうございます。

最初、私から挨拶ということですけれど、今日もぜひ活発なご議論をしていただければと思います。議事が詰まっておりますので、ぜひよろしくお願いします。

では、まずデジタル庁さんの発表ですよね。よろしくお願いします。

鈴木(デジタル庁): では、デジタル庁から説明させていただきます。

(p.3)日本地図のページからご説明させていただきます。

本年度も3月になって参りましたけれども、デジ田交付金の採択団体以外にも指標の活用が広がっている状況でございます。

(p.4)つづきまして、本年度から始めましたファシリテーター紹介・派遣事業とその他支援施策についてご説明をさせていただきたいと思います。

自治体の皆さまと地域の皆さまにも指標の活用を広げていくということで、ファシリテーター紹介・派遣事業を10月からスタートさせております。

ファシリテーターは102名を養成いたしましたけれども、10月から2月までの4か月間で6団体7回の実施をすることができました。また今後のお申込みも多くの団体からいただいておりますので、引き続き指標の活用、ワークショップをしながら活用の裾野を広げてまいりたいと考えております。

資料の右側でございますけれども、自治体アンケート調査支援システムにつきましては、LGWANからも接続できるようになり、オンライン、紙のアンケートともに自治体の方でプリセットされた50問の標準アンケートを実施できるという形でスタートさせております。

こちらも10月からスタートしておりまして、現在約50団体がご活用いただいているという状況でございます。多くの団体の皆さまで問題なく活用を進めていただいておりまして、データの反映が進んでいるところでございます。こちらも無償でご利用いただけるものでございますので、引き続き多くの団体の皆さまに使っていただけるように進めて参りたいと考えております。

右側の2段目のボックスでございますが、動画の公開や問い合わせ窓口の運用もして参りました。Appendixにも資料をつけておりますけれども、本検討会の先生方にもご協力をいただきまして、指標紹介動画をYouTubeにて配信をさせていただいております。今、多くの方に見ていただけているかと思いますが、更にこの動画を活用して、いろいろな所で指標がどんなものなのか、どのように計測していったらよいのかといったことをお知らせさせていただければと考えております。

3つ目のボックスですけれども、デジタル化横展開推進協議会の中にWell-Beingコミュニティがございます。7つのうちの1つのコミュニティとして活動をしておりますが、指標のファシリテーターの皆さまが協議会にもご参加いただいておりますので、コミュニティと連携をしながら、デジタル庁の職員向けにワークショップを開催いただきました。デジタル庁の職員21名が参加をいたしまして、非常に指標の理解が深まったとともに、デジタル庁のウェルビーイングの取組ということで、愛着を持ってPR等にも各職員がしてくださるような形になって、良い結果に繋がったと考えているところでございます。

(p.5)つづきまして、指標の利活用促進に向けたデータ公開の在り方について、今回ご議論いただきたいと考えておりますけれども、これまでも本検討会で調査結果の公開をしていくべきだと先生方からご意見いただいていると認識しております。自治体の総合計画や総合戦略で指標の活用が進むなど、自治体においては指標の活用が非常に進んできているかと考えております。左下に地域幸福度指標を活用した自治体の総合計画等をいくつか挙げさせていただいております。このように各団体の総合計画に指標が掲載され、継続的に使われるという形になってきております。

また、データの提供依頼につきまして、右側のグラフでございますが、昨年度は4件でしたが、本年度は12件とデータの提供依頼が増えてきております。こういったことを踏まえまして、大学や公的機関の学術研究目的での個票データの2次的利用であるとか、民間の団体の方に指標の利活用を促進するという活動を次年度以降展開して参りたいと考えております。アカデミアの皆さまに利用促進をしていただくために、データアーカイブにデータを寄託するなどについても検討して参りたいと考えております。

その際、この指標は検討当初からランキングに使わないということを大切に進めておりますので、引き続きこのランキングについてどのように提言を設けていくのか、提供データの整理、ルールの明確化ということを進めながら、公開に向けて進めて参りたいと考えておりますが、本日、この点についてご議論いただき、ご示唆いただければと考えております。

(p.7)Appendixの所には、本検討会の先生方のお写真も掲載させていただいております。ご協力いただきましてありがとうございました。またデジタル庁ニュースで、様々、情報共有させていただいております。

(p.2)最後に最初のページに戻りますけれども、本日ご議論いただきたいポイントでございますが、指標を扱える人材の育成ということで、今までも自治体の職員含め、キャパシティビルディングについてはご意見を頂戴しているところですが、このあたりどのように人材を育成していくのか、また指標活用団体の支援はどうあるべきなのか。3点目でございますが、今ほど申し上げましたデータ公開の在り方について。4点目、この後説明がございますがリファレンスロジックツリーを活用したロジックツリーの作成支援についてご議論いただければと考えております。

以上、私からの説明でございます。ありがとうございます。

前野座長: ありがとうございました。

ご質問などあるかもしれませんが、最後にまとめて行いますので、この後、南雲さん、またデジタル庁、自治体の発表と続きます。それでは南雲さん、発表をお願いします。

南雲委員: はい。よろしくお願いいたします。

私からは資料を2つに分けて、大きく4点についてお話をさせていただければと思っています。

まずは、1つ目の資料ですけれども、次なるフェーズに向けてということで、この活動も前野先生と内田先生と始めてから6年目、デジタル庁さんと組んで3年経つというところに来ているので、少し進化ということで皆さまと議論をさせていただければと思っています。
(資料3 p.3)最初は、Well-Beingの指標ということで、一番上に主観的幸福感、カントリルラダーの質問を入れている訳ですけれども、これを自治体単位の平均値で取って、24の因子、主観と客観で説明するというモデルになっています。ただ、あまり空間都市という要素が入っていない、いわゆる個人のアンケートの結果の平均値というところの域を出ていないところがあるので、ここにどうやって地域の空間の概念を入れられるのかというのを問題意識として持っています。

同様に、地球環境のウェルビーイングとの両立というところもあまり視野に入っていなくて、個人としてのウェルビーイングが高くなるけれど地球のウェルビーイングが下がっていくというところが、打ち取りにくい構造というところもあるので、これをどうするのかということを1つの課題として考えています。

(p.4)少し図解すると分かり易いのですが、この左側の玉ねぎの図みたいなものがもともとの概念と理解していますが、真ん中に自分が居て、外側に環境がある。内田先生はこれを「場」という風におっしゃることがありますが、これを我々が指標化する時には、右側にありますけれどもウェルビーイングの総合指標ということで、カントリルラダーと生活満足度と協調的幸福感というものを0から10で測った上で、なぜそうなのかということを24の因子で見ている、というやり方、基本的な構図としている。World Happiness Reportの構図とよく似ている。道具立てとしては、指標を説明するときに相関係数が取れるようなものも今回加えているということで、活用がどんどん進んでいる段階に来ている。

(p.5)ところが、もう少し視野を広くしてみると、玉ねぎの図を横に引っ張っているような図ですけれども、いわゆる個人としては幸せだけれども、例えば地方創生の文脈で考えると、人がどんどん流出している状況というのをどう考えるべきなのか。もしくは地方創生がいろいろなことをやっているということが、市民のウェルビーイングに繋がっていくということをどう評価すべきなのか。さらに外側の緑色の所を見ていただくと、足元では市民の幸福度が高くなっているけれども、気候温暖化が加速しているという事で、一種の生態系としてのウェルビーイングと人のウェルビーイングというところがあまりうまく繋がっている状況になっていない。

狙いとしては、一個人のウェルビーイングと地域社会、地方創生に代表されるような政策がうまく整合しているような世界観。もしくは脱炭素、地球環境のウェルビーイングというのと個人のウェルビーイングがうまく整合しているような状況、これをうまく表すような指標化というのはできないかということを考えているということです。

(p.7)最初に地域社会のところについて考えたものについてお話させていただければと思います。これはこの囲んだところ見ていただくと書いてあるのですが、わかりにくいと思うので、なるべくシンプルにしたいということだけこのページでは言わせていただいて、(p.8)でき上がりはこのようなロジックツリーになっていくというイメージです。

一番上を見ていただくと地域における総幸福量の空間効率という言い方をしていますけれども、成り立ちを見ていただくと分かり易いかと思います。左の方から今使っている主観的幸福感、いわゆるカントリルラダー、それに健康寿命をかけると、イギリスで良く言っているWELLBYと言っている平均寿命を掛けたものに似ていますけれども、健幸量という言われ方を石川さんたちは確かされていたと思いますけれども、それに地域の人口を掛けると体積という形で地域の総幸福量の大きさが出てくる。それだと大都市の方が幸福量が多いという形になってしまうので、面積で割ってあげる、ノーマライズしてあげると面積当たりのどれだけの幸せの量を持っている空間なのかというのが見えてくるということです。

その面積の時も、自然環境は非常に多くて都市部は狭いところだと、非常に損をしてしまうので、加重地面積で割ってあげるとフェアなのではないかと考えているということです。

これを政策の方から見ていくと、主観的幸福度を高める0から10の尺度を高めるという選択肢のほかに、いわゆる健康まちづくり政策というのはどこのまちでもやっていますけれども、健康寿命を長くするという政策、もしくは人口を増やしていく、もしくは減るのを止めていくというようなドライバー。さらには、一番右の方に寄っていきますとコンパクトシティみたいな土地の凝縮度を上げていくということによって、この空間という資本を投下することによって得られる幸せの総量というのを上手くアジャストできるというような政策のドライバーがもっと増えてくるという事だと思います。それで、こういう形にして政策を頑張ってやると幸せの数字が変わるというようにすることができないだろうかという事を考えています。

もう1つ、変わるということの観点でいうと、主観的幸福度、0から10の尺度というのは、実はあまり政策を打っても毎年毎年動かないのではないかという懸念をちょっと持っていまして、イースタリン・パラドックスというのがよく話題になっていますけれども、あれと同じように、あまり変わらない数字が載っていると政策を打っている方からするとあまり効果は出ないというので、やる気が出ないという事になり兼ねないと思っていまして、それを打破するモデルとしてこういうのはどうかというプロトタイプを考えているということです。

(p.9)実際に全てデータを取って、どのようになるかということは、こういう形でプロットしていますけれど、これは縦軸が市民の幸福の度合い、修正WELLBYと言っていますけれども、幸福度の平均値×健康寿命です。横軸はその地域の空間でどれだけの幸せを出しているかという事で、縦が個人、横が地域という形になっているのですが、これもこのような形で見えていて、いわゆる単純に0から10の尺度で測った幸福度で出てくる世界観と少し違った配置みたいなものが見えてくるということはわかっています。

(p.10)レベルもこういう形で、今日はちょっと時間がないのでこれを説明できませんけれども、縦軸が個人、横軸が地域と言ったときに、どんな形のまちになっているのかというのも分類することができるということです。

(p.12)同様に、ほぼ今のモデルの横展開に近い形になりますけれども、環境との共生をどうして見ていったら良いのだろうかということです。

これもできるだけシンプルにということで、複雑にしないモデルを考えていますけれども。

(p.14)先にこのページから行くと、分母が先ほどの可住地面積ではなくて、カーボンフットプリント、 CO 2の排出量で割ってみると、どれだけの環境を犠牲にして、その見返りとして幸せを生み出しているのかということが1つの指標で示すことができるということです。

なので、CO2の排出量、分母を減らしていけば幸せは増えるし、そうでなければ先ほどと同じで、幸福度の高さを変えるのか、健康寿命を伸ばすのか、それとも人口を増やすのかという形で政策を打つことができるということです。

(p.13)ちなみにこのカーボンフットプリント、CO2の排出量というのは、本来であればエコロジカルフットプリントを使いたいわけですけれども、これが自治体単位ではデータがまだない、基礎自治体単位ではないということなので、カーボンフットプリントはエコロジカルフットプリントの約7割のデータということなので、まずここからかと思っています。

(p.14)ちなみにこのカーボンフットプリントのところは、民間の企業とも相談していますけれども、衛星データで一定のCO2の排出量をかなりタイムリーに計算できるということが分かっているので、いわゆるオープンデータで年に1回出てくるものではない形で、機動的にこれを示すという世界観も待っていると理解していただければと思っています。

(p.15)これも同じようにプロットすることができるということです。

(p.16)同じように分類もできるということです。

(p.17)ここからちょっと複雑になるので聞き流していただければと思いますけれども

(p.18)地域の総幸福量と環境の共生の両方を統合した1つの散布図を作ることももちろん可能だということなので、空間効率良く幸せを生むということと、環境効率よく幸せを生むということの両立をしているまちはどういうまちなのか、ということも視野に入れることができるということです。

(p.20)ここまで来ると、ちょっとエクストラになりますけれども、いわゆる都心部分と郊外の住宅地というと、やはりCO2の排出量はかなり違ってきますし、CO2を排出するものの都心は産業部門、郊外は民生部門という形でちょっと癖があります。

(p.21)よく考えてみると、これは都市雇用圏で示されるように、この資料の左下を見ていただくと分かり易いのですけれど、両方が合わさって一つの生活圏を作っているということなので、合わせて見ないと本当はいけないのだろうと思います。なので、広域で見たときに人々が郊外から都市に通って仕事をしてまた郊外に帰るという、生態系全体でどれだけの幸せを空間で生み出しているかということと、自然との共生ということもデータとしてとることができるということで、(p.22)いろいろと分析をしてみると5パターンくらいのまちがあるということも分かってきますけれども、今日は時間が無いので、ここまでにしますけれども、データは全部計算が終わっているという形で、最後のAppendixの方にもっと細かいデータが入っています。これが1点目です。

これを試行的にやっていって、使える段階でデビューさせたいと考えています。

(p.24)2つ目です。今、Well-Beingの指標を使って総合計画とか、まち・ひと・しごと創生総合戦略みたいな形で、政策のデザインに使うという自治体は着実に増えていると。これが先行分野で、今度は評価のポイントの方に向かい始めています。

(p.25)モニタリング評価、これをどうやっていこうかということで、これはちょっと皆さまに頭出しだけだと思っていただければと思いますけれども、政策の評価にどうこのWell-Being指標を使っていくのかといった時に、国全体として世界幸福度評価で見るような、何番とか何点とかということになるかと思いますけれど、その下、2番目のレベルとしてセミマクロということで国の政策単位、3番目にさらに細かいレベルということで、自治体全体としての幸福度、さらにブレイクダウンして自治体の中の政策とか事業レベルまで、4段階くらいあるだろうと思っています。一番下の4段階目はいわゆるロジックモデルという形で評価されることが普通でしょうし、政策評価シートというものもあると思いますけれども、そういったもので行われると思います。今後、そのデータを使っていく事によって、政策評価シートとの関係性を評価することが必要になってくると思いますけれども、もう少し入口の所で、このデータをどうやってEBPM的に使っていくのか、あまり複雑にすると、評価が低いところはあまり違和感出さないとやってしまうと、評価としては使えなくなってしまうということで、アッパーバイヤスが掛かってしまうということです。なので、そうではなく、かつ、誰でもわかりやすいというような形で、難しいからやめたとならない。要するにこれならやってみたいという正のピア効果を生むような形になんとか持っていけないかということを考えています。

(p.26)今回の我々のデータを使ってやれたものを一つだけ紹介したいと思いますけれども、0から10のいわゆる幸福度の高さに対して、何が非常に相関性であり、因果関係や強い因子なのかということを見てみると、6つあるということが分かっています。それが公共空間、多様性と寛容性、教育機会の豊かさ、地域の行政の信頼、事故・犯罪、雇用・所得。6つあります。なので、World Happiness Reportも6の因子で説明していますけれども、大体こちらも6つだったということです。

これを2グループに分けて、この表で言うところの横軸X軸の生活基盤、これが無いと生活が成り立たないというフロアのところで地域行政、事故・犯罪と雇用・所得。逆に縦軸は自分らしく、こうプラスになっていくという観点でいくと、公共空間との相性、多様性・寛容性、それから学びの豊かさだということが分かっています。

この2つのグループに分けた上で、都市のウェルビーイングのスコアをマッピングしてみると、こういう形で綺麗な相関を示すようなものができます。

右のグラフを見ていただきたいのですけれども、オレンジになっている所が生活基盤因子のグループの自分らしさの因子もあまり高くないところです。ここにオレンジ色の点がいっぱい付いていますけれども、ここに実は消滅可能性都市が集中しているということがわかってきます。

逆サイド、右上を見てみると、黄色い点がありますけれども、これは生活基盤も強く、自分らしさも強いというところですけれども、これはブラックホール型、人がどんどん集まってくるところというのが集中しています。

真ん中にブルーの点がありますけれども、これは自立持続可能性自治体と言われるところが集中しているということで、これで評価をするというよりも、可視化ができたという段階だと思いますけれども、我々のデータが政策を見る上でも使える可能性があるということを示唆しているということだと思います。

(p.27)実はこの軸ですけれども、内田先生とか前野先生におかれては「あれか」という感じだと思いますけれども、いわゆるイングルハートの文化マップに出てくる縦軸・横軸とほぼ同期を取れているような形になっています。横は、生きていくためにどのくらい働かなくてはいけないかという生存の軸で、縦は自分らしく生きているのかという、伝統的な文化からどのように解放されるかというのとほぼ同じ。マズローの発展系だとか言われていますけれども、斜め上、右上に行けば行くほど、それなりに幸せが高いという所が集中しているということになりますけれども、ほぼほぼこれと同じことを改めてやってみたら辿り着いたという感じだと思います。

(p.28)これはあくまでも参考で、評価をしているものではないのですけれども、SDGs未来都市をはめてみました。そうすると右側のグラフを見ていただくと、やはり古くからやっている所というのは政策効果が出ているのか、かなり右上に集中しているということがわかってきます。新しく採択された所は左下の方に集まっているということなので、もしかしたらSDGs未来都市くらい、都市のトリプルポートラインを上手くカバーしているようなものだと、しかも3年に1度見直しをするようなものというのは、これでうまく可視化、評価に近い所まで一歩行けるのかと思っています。

(p.29)地域循環共生圏は、それがまだ見て取れないと思います。

(p.30)あとはスマートシティ・インスティテュートが毎年スマートシティの成熟度のアンケートを取っていますけれども、これで右の図を見ていただきますと、実証段階、社会実装段階が上の方に来ています。やはり古くからやっていて、かなりやっているところというのは、幸福度との相関性はそれなりに高いというのが見て取れます。

(p.31)デジ田も取ってみたのですが、これは別にこういうこともできるというところの入口なので、評価するつもりは毛頭ないのですけれども、あまり相関が見て取れない。

(p.32)地方創生もあまり取れないという形になっているかと思います。

(p.33)このような形で我々のデータを使って政策がどうなることがいいのかというPDCAを回していくというところに辿り着くというところの入口に今差しかかっているので、有識者の皆さまのご意見を伺えればと思います。

(p.34)3番目は、年に1回ぐらい、主観も客観も少しずつ指標の進化をさせているのですけれども、これで少し提言をしたいと思っています。

(p.36)1つは、これを見ていただくと良いかと思いますが、ちょっとややこしいのですけれども、左下の灰色の長方形が今デジタル庁さんと一緒にやっている全国の調査、標準までのところです。その図の上にA区、A市でもいいのですけれども、独自設問となります。これが51問の質問にその市とか区が聞きたい個別の質問を載せているというパターンです。

それ以外に B とか Cのように自分たちは改めてサンプルを取るためにデータを取っているという人が増えてきているということです。今こういう状況になっているのですけれども、その上にピンク、さらに上のレイヤーを作ろうと思っていまして、これはスマートシティ・インスティテュートとしての独自調査をセカンドレイヤーとして実施したいと。どういうものをここで聞こうかと思っているかというと、OECDのBetter Life Indexとか、ギャラップ社がやっているthrivingの割合の指標の質問とか、内閣府さんがやっている世論調査とか、いろんな、非常に関連がある、近い質問があるものと接点を増やしたいということで、それを今回、全国調査を来年度やる時に併せて独自調査として我々が横でやってみようということを考えています。
そうすることによって、国際的なところ、もしくは国内の重要な調査とのクロス分析の可能性が出てくるということで、ちょっと試しにやってみようということです。上手くいったらこれを全国調査に入れ込むということも1つのアイディアとして出てくるかもしれないということを考えているということです。

(p.37)どんなものなのかということですけれども、この一番上の赤く囲っている所は属性データを増やそうということで、これは研究に使えるようにということで、普通によくあるアンケートにあるものを加えているということです。そこから下ですが、文化・芸術は今も入っていますけれども、今の質問というのは将来生まれてくる世代の為に良い環境や文化を残したいということになっているのですけれども、残したいというデザイアビリティの質問になっているので、そうではなくて今どうなのか、満足しているのかという質問を足してみたいと思っているところです。

2番目は時間のゆとりということですけれども、これも国民生活に関する世論調査には入っていて、時間貧困というのはとても重要な問題になっているということもあるので、これは聞いてみたいと思っているということです。そこから下、ライフバリエーション、これはOECDの主観的ウェルビーイングのガイドラインに入っているライフバリエーション。

(p.38)次のページに行って、感情、それから意義・目的という、いわゆるコアになっている質問についても併せて聞いてみようかということです。

3番目、その次ですが、心の豊かさということで、国民生活における世論調査に入っている今後の生活において心の豊かさやゆとりのある生活に重きを置きたいのか、それとも物質的な生活を豊かにすることに重きを置きたいのかというところも非常によく使われている質問だと思いますので、これを足すということです。

それから、重要度を今聞いていないので、どの因子が重要だと思いますかということは相関分析をやる中で、潜在的にこれが重要だと思っているのではないかということだけを分析しているのですけれども、改めて聞いてみるというのもやってみようかと思っています。
あと最後、自由記述という形で書いてもらったものを今回取り入れてみようかと思っているということです。

(p.39)今回、ギャラップ社の質問とOECD の質問を入れているということは、これは鈴木寛先生と実は個別に相談させていただいたのですけれども、Thriving指標という形で出ているものを我々のデータでもやってみようということで、言葉を合わせるということを考えています。今のものだとギャラップ社と言葉が一致していないので、若干違う数字になってしまうということです。今お見せしているのはギャラップ社とは違う我々の今の質問の言葉でやるとこういうものができるということです。

(p.40)実際にギャラップ社がやっているものとか、ウェルビーイング学会とかGlobal Wellbeing Initiativeがこれをやっているので、これと付け合わせができるような世界を我々のデータともやれる余地があるということだと思います。

(p.41)客観指標も毎年アップデートしていますけれども、これもダッシュボードを変えるときのお金の問題があるのでなかなか頻繁にはできないのですけれども、今回やるチャンスかと思っています。

(p.42)第5回の検討会で主観と客観の相関性の分析を皆さまにご報告申し上げたのを覚えていらっしゃるかと思います。その時にあまり政策効果に向かない、つまり測っても政策が昔と全く動かないという数字が8つあります。それがこの右側にある水色のゾーンということです。これは今回あっても相関性も上がらないし、政策効果も得られないので、除いても良いかと思っているものです。

(p.43)それ以外に何を足そうかと思っているかということですけれども、今ので言うと、この自己効力感の所が主観と客観を取ると逆相関をしてしまうという問題がありまして、自分のことを好ましく思うという主観のアンケートと投票率の客観というので、ちょっとやはり世界観が遠いです。これを解消する手段は無いのかということで、こんなことをやると後でお話させて頂こうと思っています。

(p.44)もう1つは、これは確か広井先生と石川さんからご指摘があって、色々と苦労をした所ですけれど、自然環境と個人のウェルビーイングのところであまり相関が強く出ないというところをどうしようかということで、自然環境を測るところの指標が実はオープンデータにはあまりなかったというところで、あるものは他にないのかということで探してみたところ、多少出てきたので、これを加えてみたいということを考えているということです。

(p.45)これはガイドブックの形式で見ていただくと、この因子のタイプ、例えば、医療・福祉が一番左上にありますけれども、測定主旨、何のために測っているのかということはもともと定義しているものですけれども、それに足したり引いたりするというものをその右側に書いているということです。これらは削除するものです。

(p.46)この赤くなっているのが、今回足してみようということですけれども、子ども食堂というものを子育てに入れてみたらどうかとか、それからデジタル生活もGIGAスクール構想が第2弾に入っているということもあって需要が増えているのでこれを足してみたらどうかと。

(p.46)それから自然景観のところも、これはいろんな自治体さんからこういうものがあるよという提言を受けているのですが、歴史的風土100選とか歴史の道百選とか、重要文化的景観、ユネスコ・ジオパーク、日本100名山等々。環境政策も色々なものが、環境省さんがやられているものが指標として使えるということが分かってきたので、これを入れてみようというところを考えています。

(p.47)それから自己効力感のところですが、これも本当にど真ん中というのがなかなかないのですけれども、自己肯定感を下げる要因、自己肯定感をまっすぐ縦に測っていくというよりも、これ逆方向で負の方向になるものは何なのか?ということで、KPI化することも可能かと思っておりまして、社会減、人口の社会減とか、中退率とか失業率とか離婚率みたいものを入れてみたらどうかということを考えているということです。
その他、カルチャー指数についてもいろいろなものがあるので、これを足していくということを考えています。

(p.49)ここから最後の、この分野での提言になりますけれども、グローバルレイヤーのセカンド、グローバルのセカンドレイヤーをスマートシティ・インスティテュートとして出していくということですけれども、これを見ていただくと、上にWorld Happiness Reportとか、UN-Habitat、OECD、European Commission、World Values Survey、Gallupと、いろいろな質問があります。それから国内でも内閣府がやられているものとか総務省がやられているものがありますけれども、こういったものと今繋がっていないという世界観をなんとか乗り越えられないのかということを考えていまして、

(p.50)1つこういった形で、地域幸福度指標を1つのコアデータ源とするところで、他のところとの共有なり連携をしていく。それを支えるインフラをコモンズ的に作っていく。ルールメイキングもそうでしょうし、分析・評価手法のライブラリーであるとか、それから政策のユースケース。AIも出てきているのでアルゴリズム、それから教育研修プログラムということを次のステップとして整えていくという形にすると、より汎用性のある、いろいろな所とも比べることもできれば、クロス集計などもできる世界が待っているのかと思っています。これは1つのビジョンとして提言したいと思います。
ここまでが1つです。あと、もう1つ、ご報告をさせていただくことがあります。

(資料4)前回ご報告申し上げています今までのこの指標の展開に関するものです。前回こういう形で示していますけれど。

(p.3)OASIS研修の伸びです。かなりの団体数、受講者が増えているということです。令和7年度の終わりまでには 40 団体、修了者が673人という形で、ちょっと予想を上回るスピードでやっている。あと下のグリーンのところを見ていただくと、赤いアスタリスクや星印がついていますけれども、2回目、3回目という形で自治体の中でキャパシティビルディングにこれを活用される事例も増えているということです。

(p.4)1日だけにこれを絞った形でやっているところも着実に増えていまして、いろいろな、変わったところでいうと横浜市議会がやられたりとか、これは議長の声掛けで議員さん全員参加だったのですけれども、こういうものが出てきたりとか、日本ガス協会さんとか、この後発表いただく黒部市の福祉協議会とか、いろいろなところがご参加をされているようなケースが増えてきています。

(p.5)大学でも、私のやっている所しか入っていませんけれども、これからきっと増えていくだろうという期待も込めて、今、受講生はこのような感じです。それからカードゲーム、コレクティブインパクトゲームもすごい勢いで受講された方が増えていると。

(p.6)この資料のような感じです。自治体シンクタンク研究交流会、右下になっていますけれども、こういうものもあれば、それから左は高校生です。高校生向けにやったもの、それから真ん中の下は別府市で大学生と市の職員も一緒になってやった研修です。

(p.8)その他、かなりハイエンドの方で言うと、文科省のCOI-NEXT、これは慶応大学と鎌倉市。それから2番目、横浜市立大学と横浜市でこのデータを使いながらやっているということです。鎌倉市の方では同じウェルビーイングの研究者の広島叡啓大学の安井先生とか法政大学の高尾先生が論文を書かれたりしています。それから、右の上のSIPの方でも産総研と東京大学という形でこれも論文が出てきます。
下に行っていただくと、世銀でセッションを行ったり、日立東大ラボ、これは内田先生も登壇されたりしています。アジア・スマートシティ会議でもジョンズ・ホプキンズ大学と韓国の延世大学を呼んでセッションやる形で、都市とウェルビーイングというのをやっています。

(p.9)その他、メディアでもいろいろなものが出てきているということです。
このような形で、これもパッと見ていただくだけですけれども。真ん中に日本ウェルビーイング推進協会で前野先生にご登壇いただいているということですけれども、こういう形で草の根的な形で活動が進んでいたり、それからCEATECにも出展したり。このような形で進んでいるということです。

(p.10)海外関係でもいろいろな雑誌に出てみたり、毎年やらせていただいているバルセロナとかサウジアラビアとか、といったところでも出ています。国連も含めていろいろな活動が我々のものが世界にも広がりを見せ始めているということです。

(p.11)デジタル化横展開推進協議会の方でも7チーム、最大の集団という形で、このような形で動いていまして、先ほど鈴木さんからご発表いただいたデジタル庁でのワークショップもその一環としてやりました。
私からはここまですけども、今回は自治体で二つ案件があるので、黒部市さんと立命館 APUのお2方から3分ずつ、事例のご紹介をしていただければと思います。
宜しくお願いします。

立命館アジア太平洋大学(栗山): ありがとうございます。立命館アジア太平洋大学の栗山と申します。

先ほど南雲先生からご紹介いただきました別府市でのOASISの実施事例についてご紹介させていただきます。

(資料5)別府市では、まち・ひと・しごと創生法に基づく次期総合戦略の策定を今年度行っておりまして、令和7年度からの総合戦略にWell-Being指標を活用するということを行っております。特に、次世代を担う若年層の声をどうやって総合戦略に反映させるのかという課題があるのと、やはり別府市もかなり人口減少ですとか、高齢化が進んでいる都市であると言えますので、将来に向けて魅力ある別府市というものをデータに基づいて策定するというような課題がございます。活動といたしましては、昨年の7月から12月まで約6ヶ月間の期間で実施をしております。スマートシティ・インスティテュートの南雲先生のご協力を得まして、全6回のワークショップを開催いたしました。

参加者は、私ども立命館アジア太平洋大学と別府大学の学生 12 名と、別府市中堅若手職員、同じく 12 名が参加をいたしまして、合計 24 名でチームを組んで検討を進めていったというものでございます。

私ども APU の学生の中には留学生も入っておりまして、ベトナムですとかバングラデシュ、またパキスタンの学生が、この別府市の課題について考えるというようなことを行っております。

この地域幸福度指標を用いまして、別府市の強み弱みを分析するとともに、将来の別府市のあるべき姿ということをそれぞれ6個のチームに分かれまして、最終的には別府市長、副市長に向けてまちづくりビジョンとして、施策とともに提案するということを行いました。

得られた成果でございますが、このWell-Being指標を用いまして、客観データ、主観データに基づき別府市がどういう強みを有しているのか、或いは課題がどこにあるのかといったものが可視化できたというものがございます。

さらには、最終的に全体のウェルビーイングを高めるためにはどういう政策をとるべきかということが、かなり多面的に検討ができまして、そうした政策マップができたというものもございます。あと、大学生・大学院生といった若年層の学生が参加しておりまして、必ずしもこの別府市の出身ではなく、大学への進学とともにこの別府市やってきた層が大半でございますが、そうした層対象に、この別府市の地域課題がどういうものがあって、またそれが将来、自分がどういう形で関わっていくのかといったような関心の形成、また自分ゴト化の促進といったようなところで成果を得られたものと考えております。

簡単ではございますが、このような形でWell-Being指標を活用したという事例でございました。

南雲委員: ありがとうございました。では、小柴さんお願いいたします。

黒部市社会福祉協議会(小柴): 富山県の黒部市社会福祉協議会の小柴と申します。よろしくお願いいたします。

(資料6)私たちは自治体と社会福祉協議会の連携を目指して、地域幸福度の活用モデルについて研究なり実践を進めております。

(p.1)これはまだ完成したものではないので、現在、実験と検討をしているというところでございます。地域幸福度指標を活用したまちづくり、このデータ活用と市民参加というのがキーワードです。

もちろん地域幸福度指標を見ながら政策立案していくということと、私たちはどちらかというと右側、今この領域から展開しておりますけれども、市民が参画をして住民主体の街づくりを、動かしていくというところにフォーカスをして、社会福祉協議会が中心になりまして、地域福祉活動計画に反映をさせたり、それが評価軸としてLWC指標を活用したりしております。

そして、このLWCIの調査ですけれども、社会福祉協議会が中心になって広く市民の皆さんに調査を行ったり、市民と一緒にこの集まったデータを見てまちづくりを、データを見ながら考えていくというようなことでありますとか、先ほどご照会のありました高校生向けの福祉教育プログラムの中でウェルビーイング・ワークショップというものを開催して参りました。

その中に今、行政とも連携をしながら、今後一緒にこのLWCIの活用でありますとか、専門職研修、ウェルビーイング推進を図っていきたいと考えております。

(p.2)実際に社会福祉協議会は地域に根差しておりますので、様々な団体と連携をしていたり、いろいろなイベント、事業などもやっておりますので、そういった中で広く声を集めて、特に高齢者の方などは回答しやすいようにサポートしたり、紙ベースで取ってデータ代理打ち込みをしたりしまして、613、声を集めて、アンケートを集めております。

(p.3)実際こういった会議の場などでお時間取っていただいて、集めたりもしております。

(p.4)そして実際に、ワークショップという形で、年に1度、南雲さんにもお越しいただいて、このウェルビーイングというのはどういうことなのかということを学びつつ、黒部で集まったデータを見ながら、自分たちのまちづくりをみんなで考えていくというようなワークショップを開催しております。

(p.5)この中で、参加者は市民という形でいろいろな方々にご参加いただきまして、実際にワークショップやっております。

(p.6)これはもうみんなが1市民ということで、この中には本当に市民の方もいっぱいいらっしゃいます。企業の方、専門職、そして行政職員、議員さん、市長も本当に仕事というか、時間があったら来るという形で必ず来ていただいて、ここはもうフラットに市民という、一人一人市民という感覚で参加をして、一緒にデータを見ながらまちづくりを考えております。

(p.7)一方で、今年初めて桜井高校という地元の高校と連携をしたプログラムを開催しました。

2年生のクラスで開催しましたけれども、(p.8)高校生も地域課題解決のプログラムなども実際に授業としてやっていたりするのですけれども、漠然とした黒部のまちはどうなのかとか、地域課題から考えるというのは非常に難しい中で、このLWC指標のデータを見ながら、自分たちのまちを見て、いろいろな気付きや課題意識が生まれ、こうやることがまたさらに高校生にとったら、今後の授業にかなり結びついてくる部分もありますし、今後自分たちが市外に出るときでも、こういった指標を見ながら自分が行くまちのことを考えるとか、そういったことにもなるのかということで、先生たちも非常に期待しておりますし、黒部におりますWell-Beingファシリテーターの方もご協力いただきながら、今後もこことも連携をして、福祉教育という側面でデータ活用を進めていきたいと考えております。

以上でございます。

南雲委員: ありがとうございました。以上です。

村上統括官: 後半を全部議論にあてたいと思いますので、もう少しお話を聞いていただければと思います。

(資料2)ビジョンという話をこの中でしますが、ウェルビーイングと、予め都市経営的に設定されるビジョンみたいなものがどういう関係にあるのかということを共通して議論していただければと思います。

南雲先生の話の前半とか半分くらいは、実は同じ論点だと思っています。それとは別に、指標の入れ替えの議論もありますので、自由討議の際には混ざってしまいますが、いずれの論点についてもご発言をお願いできればと思います。

(p.3)ロジックツリーですが、こういう形でやってみよう、というふうに始めて、結局今年交付金のTYPE2/3をとった自治体はほぼ全てに作っていただきました。そのうち10自治体ぐらいは伴走させていただいて、結論から言うと、大変いいものが思っていたよりもできました。

(p.7)実際どういう作業になっていったかということを、復習も含めて簡単に申し上げます。通常ロジックツリーは左から右にいくのが、この図の描き方の場合多いと思いますが、今回は右から左も合わせて使わせていただいたところが特徴です。

(p.9)第5水準までを政策分野とゴールとアウトカムとアウトプットと個別の事業というふうに設定し、

(p.11)骨格の作業は置いておいて、まずは趣旨を確認し、どの分野とテーマでやるかということを決めてもらい、たたき台を作る、熟議する、仕上げをすると。伴走させていただいた自治体では概ね約2,3時間コースのブレストを3回実施しており、しかも3回ともどの自治体においても同じようなことが話題になりましたので、その辺りのご報告も兼ねて、レビューしたいと思います。

(p.12)まずチーム編成ですが、今回は部局横断的に全関係者を集めるのは困難なので、数人のコアメンバーに白坂研の先生方にも伴走メンバーとして入っていただくという形を、伴走した自治体についてはとりました。

(p.13)この人たちの間で趣旨はよく確認をしていただき、どの分野でやるのか、何をするのかという、まずツリーとは何だという勉強をしていただきました。

(p.14)そのうえで、防災、モビリティ、医療・介護といった、いずれかの分野を選定し、当該テーマに関連して事業一覧を用意いただくと、自治体によっては1分野当たり百数十事業出てきてしまいますが、どの自治体においても、実は事業の粒度がバラバラということがわかりました。「ウェルビーイング推進事業」という大分類のところもあれば、「ウェルビーイング人材育成事業」という中分類のところもあり、4回ワークショップを実施するという「ウェルビーイング・ワークショップ事業」という具体もありました。この時点でそもそも役所が整理している事業一覧というのは、いかにバラバラかということが分かり、まずこれを整理するというのが、1回目のミーティングまでに出てくる話でした。あまりにもたくさん出てくるようであれば、第6水準ができるというケースが結構あったのですけど、1回、カテゴリー名称で第5水準に置いたうえで、もう1回整理をしてみたらどうかとやっております。

(p.15)この時点では、まだ第5水準にリファレンスから引いてきた既存の第1~第3水準をただ当てはめただけなので、今度は左右を行き来し見てみましょうとしています。
実はここが1つポイントでございます。アウトプットが第4水準、アウトカムが第3水準というふうに申し上げていたのですけれども、どうも第4水準というのはパーソナルインパクト、第3水準とはグループとかコミュニティのインパクトじゃないかという議論に途中でなりました。これは能美市さんから最初の気づきをいただいていたところです。

具体的には、個人の側から見て、徒歩圏内医療機関整備率がどうなったとか、移動手段がこう増えたとか、というのがアウトプット的なパーソナルインパクトであり、その結果、我が町の移動の自由は良くなったと思いますがどうですかというのがグループインパクト。それは単純に、個人のライドシェアに何回乗ったとか、そういうことを単純にシグマしたのではない、非連続な何かがグループインパクトにはあるのですけれど、とにかくそこはよく分からないまま、こういうふうに観念をして置いてみるという作業すると、なんとなくたたき台ができる。その辺が、1回目のブレストで辿り着くところでした。

(p.16)その次に熟議段階と書いていますけれど、そうすると何となく、上から下まで繋がったような図が描けるのですが、どうも今ひとつしっくりこないよねという話になり、出てくるのが②の部分でございます。

そこで絞り込みをしてみてとコメントをしています。健康・医療で作ってみたけれど、施策もたくさんあり、線もたくさん引いてしまうし、何だかよく分からないとなっている状況に、でも、もともとうちの町は、例えば○○記念病院が手がけて、もとの公民館のネットワークを使って、健康生活環境を整えようという、このプロジェクトをベースに建て直そうって話だったら、もうそこに絞り込んでやったらいいじゃないですかというような形で、思い切って全体を絞っちゃっていいですよという、触媒のような一滴を2回目のブレストのときに放り込むと、それを境に一挙に整理が進むというのが、伴走自治体ではいずれも発生しました。

その結果、こういうことだったのですかというのが見えてきました。

(p.17)後程、2自治体ほど事例を紹介してもらいますけれども、なるほどという感じになって、そこまで辿り着いて、3回目のミーティングをやると、こういう発見がありましたとか、次どうするかが悩みですけれど、とりあえずどういう事を我が町はやろうとしていたのか、総合計画とはまた別のすっきりした整理が頭に入りました、とこういう感じになっていまして、それにKPIつけるという話をしているところです。

(p.18)今回は、これを一部のコアパーソン中心にやってもらいましたので、他部局や市民などに輪を広げてやってもいいし、KPIを付与し、政策効果の検証としてツリーを掘り下げていく方法もあります。この作業をやると、実は組織論が必要だという結論が結構な数の自治体で出ていまして、やはり横串だと部署を作らないとダメだという話になるときもあります。

それから今南雲さんからバージョンアップの紹介がありましたけど、OASIS研修の中でも、このツリーとはまた別の手法ではありますけれども、政策立案研修にこの手法は使えますので、研修のネタにしてもらったら良いかと思っております。

ただ、これには共通の弱点があります。このような作業が初めての方とそうではない方とがいらっしゃると思いますが、産総研の皆さんと一緒に、

(p.20)今、ISO/TC314にWG4でWell-beingというのを作りまして、ウェルビーイングマネージメントのISO標準というのを作ろうとしています。

(p.21)根っこで課題になっているのは、実は市長さんというマクロのデザイナーがいて、下水道整備率を上げたい、公共交通を充実したい、とそれぞれの部局長というミクロのデザイナーに話を投げて、実際にサービスを受託事業者担当や公社が提供すると、市民がそれ良くなったねという話になって、水道整備率が上がって何が上がって、ミクロの細いほうのPDCAは回っていますが、その結果、うちの町は暮らしやすくなったのかとか、うちの町の学びやすさは本当に向上したのかとか、移動の自由についての不満足感は解消しましたかとか、実はマクロのオブザーブに返ってきていないのです。

実際、タクシー待ちが30分のままでも、ビジョンとともに納得感のあるコミュニケーションができていれば、うちの場合はもうこれで移動が十分良くなりましたとかと言ってくれるところもあれば、東京でタクシーが30分待ちとかいったら何考えているのだ、とかという話になります。

市民団体や評論家や市議会など色々な人がいますが、皆、ミクロの個別事業の評論に徹しちゃっていまして、その結果、うちの町の暮らしやすさはどうかという、実はさっきの第4水準から第3水準のところをグループインパクトという話に置き換えてみると、スッキリするという話をしたと思うのですけど、ここが実は抜けていると。

(p.22)ISOの方でご提案されているフレームワークがちょっと最後にひっくり返っていると思ってもらっていいと思いますけど、サービスでこういう事業をやっていて、メンバーABCといのはペルソナですね。

インジケータを仮置きしてみると、メンバーに対するパーソナルインパクトに対して、インデックスがあって、アウトカムがあって、その下にδとかΣとか書いてありますけど、コミュニティベースとかグループベースで、どうだというアウトカムがある。

(p.23)メルボルンだとこういうことではないかという議論をやってもらっています。

(p.24)最後のスライドですが、Well-Being指標の分析から始まって、重要分野について関係するロジックツリーを作ってもらうと。

そうすると、先ほどの一滴の触媒を落とすと、やっぱりうちの町で大事な事業はこれで、これに関連するところに力入れればいいのだ、ということが見えてきますので、後は、選択した事業を実施し、その結果、何人がライドシェアに乗った、何人が百歳体操に来てくれた、何人がどの事業を利用したというパーソナルインパクトがとれるのですけど、実はこれがそのまま予算配分のためのミクロの事業KPIの計測にしかなっていないとか。これがものづくりなら売上利益率にいっちゃって、その結果、市民は満足しているのですかとか、幸せになっているのですかとか、ものづくりに例えれば、ものづくりの商品を使った人はそれで幸せになりましたか、満足度は上がっていますかと、そこに返ってきていない。

さっき、第4と第3の間というのは、単純に足し上げればいいというものじゃないと示しましたが、一体何が違うのだと。グループインパクトというのはいいけれど、そのグループとは一体誰のことを言っているの、どこを目指すと言っているの、というのが、実はビジョンと言ってしまえば、口幅ったいのですが、要するにどういうまちづくりを目指しているのかということになります。

偶然、日経で先週、流山市長が「母親するなら流山」と言って大変成功収められましたけれど、ビジョンのないまちづくりは意味がないと書かれていました。どういう価値観のもとに糾合していくのですか、というコンセンサスを作るというプロセスがたぶん必要で、そもそもそれがないまちは幸せになりようがないのではないかと。

ある程度こういうグループでこっちに行くというビジョンに対してのコンセンサス、逆に言えば、だからウェルビーイングを使ったワークショップに意味があるのだろうと思う。その要素をどう入れていくか。そうすると、必ずここに取捨選択が伴うので、誰かが決めなければいけないのですけど、これはたぶん経営判断みたいなものだよねと。じゃあ一体それは誰がするのですかと。今のまちづくりの中にそれをする機能は入っているのですかと。

こういう部分を表彰するとか、アシストするための努力として、南雲さんから冒頭の方でご説明のあった、セカンダリーインデックスみたいな議論が出てきて、地方創生という価値観を捨てたらどうなりますかとか、脱炭素というビジョンの要素を乗せるとどうなりますかとか。たぶん、国際的に見てもそういう二次的な指標が出てきているのは、こういう新しい価値観への統合・融合を促すための二次的な指標について整理が必要だからじゃないか、どうもそういうことになっているのではないですかね。

この辺りから先は、白坂研のメンバーや先生ともまた議論しなければと思っているのですけれど、今回のロジックツリーの手法を書き物として洗練していく部分というのは、白坂研のメンバーの皆さんにも相当習熟していただいて、これはこう書いたほうがいいよとか、変えたほうがいいよというのは、相当アシストしていただいて、今日も境町が最後に急にクオリティを上げたのでびっくりしたら、どうも山崎先生が一生懸命書いてくれたらしいということが後で分かったのですけど。

ただし、それでも途中で、いやいや、あなたの町は元々これやろうとしていたのでしょうとか、ここを大事だよね、とかいうビジョンの一滴を零すような部分というのが、僭越ですけど、僕なんか30年間そんなことばっかり行政判断の中でやってきましたので、比較的こう見ていると、こういうことなんじゃないのですかってアドバイスしやすいのですけど、じゃあ誰がそれをやるのかとか、市役所内部から内発的にそういう判断ができるのかとか、ちょっとそういうピースをどうメソドロジーとして埋めていくのかということを考えないと、マクロのオブザーブであったり、本当にまちづくりとしての満足度であったりというところの議論が完結しないのではないかと、やっぱり見えてきた気がしておりまして、その辺をどういうふうに考えるかということについて、結論だけ言えば分かりきった話かも知らないのですけれど、教えていただけると嬉しいなと思っています。

このビジョンの話は、今日は自治体の皆さんには初めてしているので、そこの部分を特に意識していただく必要はないのですけれども、この後2つの自治体の方から、こんなプロセスを経て、こんなロジックツリーができましたというのをご紹介いただけると思うので、こんな感じのものができたのですね、といったところを聞いていただいた上で、南雲先生の話と一緒に、いろいろな観点からご議論をいただければと思います。

以上でございます。ありがとうございます。

前野座長: ありがとうございます。

こちらも自治体の事例が2つあるのですね。三島市と多気町の方だと思いますが、三島市からお願いします。

三島市(木本): 三島市のデジタル戦略課の課長の杉山と私、木本です。どうぞよろしくお願いします。

それでは資料共有させていただきます。

(資料8)三島市の説明をさせていただきます。

(p.3)三島市は、今回モビリティの分野でロジックツリーを作成いたしました。

三島市は、もともとロジックツリーを作るという文化が浸透しておりませんので、ロジックツリーって何ですかという立ち位置からのスタートになります。このような状況でのスタートでしたので、最初にデジタル庁さんからモビリティを推奨されておりましたけれども、関係部署にお声掛けをしたときは、どの部署もすんなりとやる気にはなってくれなかったというのが正直な最初になります。

ただ、決め手になったのが、幸福度指標の調査結果でして、1年前にスマートシティ・インスティテュートの南雲代表理事に講師になっていただいて、地域幸福度指標を学ぶOASIS研修を各課の課長が受講させていただいておりました。その時の経験で、このマトリックスについて課長さん達が理解をしてくれていて、移動・交通の分野が客観的に平均の50は超えているけれども、主観的の部分で50に達していないので、市民に施策が十分伝わっていないから部局越えて話しませんかというお話にしたら、課長さん達も一年前勉強したということで、共感を持っていただいて、最終的に各課の課長さんの合意を得られて、モビリティをやろうかと、落ち着いたところになります。

最初関係した部署ですけれども、総合計画を策定する政策企画課や公共交通や地域交通計画を策定している部署の4課で1回目は集まっているのですけども、後のページでご説明いたしますが、モビリティに関連する施策は4課では留まらないということに改めて気づいて、最終的に、福祉の部署も入って、7課で取り組んだ形になります。
デジタル庁さんから村上統括官と、あと慶応大学の猪股先生がアドバイザーとして三島をフォローしていただいた形になります。

取り組みの経過ですけども、11月から2月までの4カ月間取り組んだわけですが、最初の11月は、何から手をつけていいか分からない状況で、政策企画課が担当している行政評価から、モビリティについての施策一覧を抜き出してみようということになりました。これが1回目の会議に使った資料なのですけれども、その時に改めて我々も見てみると、担当課しか事業名が分からない、事業名だけでは担当課しか何をしているか分からないと、それ以外の部署では中身がわからないということで、赤字で中身をちょっと追加するというような作業も発生しました。

このような状況で、第1回目のミーティングをアドバイザーの方も含めてやったところ、やっぱりハード事業しかほとんどないということで、これ以上の広がりがないと。あと公共交通を必要とする高齢者や子育ての視点がないとまずいよねということで、新たに作り直すということになりまして、12月は、新たに長寿政策課と介護保険課、こども未来課の3課の課長や課長補佐にも参加をいただいて、2回目の会議に臨もうということになりました。

2回目の会議では、対象者をイメージしたほうが作りやすいだろうということで、対象者をイメージしながら、やっている施策や今後やろうと考えている施策を書き出そうということなりまして、こちら2回目の時の資料なのですけど、4.5水準という独自の領域を作って、こういった方をイメージして施策を考えたところです。

2回目の会議では、結果、第5水準が28個できたのですが、次の会議までに、ここを15個程度に減らしましょうと、優先的に考えるものを15個程度に減らしましょうということと、実際に実行できる部署があるのかどうか。あと、猪俣先生の方から第4水準は市民体験がどう変わるのかを意識した記載方法の方がいいのではですかという助言を頂きましたので、それをもとに反映させていただきました。

第3回目の会議は、このような状況で資料ができておりまして、担当課が明確になったことと、こちらの部分の主語を「市民が」とか「市民は」とかにして、書けるような形になります。

最後は、第1水準・第2水準をもう1回三島で使っているような言葉にして、これを提出した形となっております。

実施してみて、気づいた発見とか課題や今後の展望については、課長の杉山の方からお話をさ
せていきたいと思います。

三島市(杉山): それでは、私から実施してみて新たな気づき、それから新たな発見・課題を報告させていただきます。

改めて、傾聴、それから対話が大事であるということを認識しました。普段、他課の職員がどのようなことを考えながら職務をやっていることを対話する機会がなかなか少なかったので、今回のロジックツリー作成において、それぞれの職員がどういう風に考えているのかをしっかり言語化していただいて、聞けたことが非常に良い経験になりました。

また、他の職員からは、自分たちが行っている施策の目的が紐づいていくと、他の部署で行っている施策と関連しているということが、このロジックツリーでよく分かったということがあります。

それから、課題発見になりますが、自分が考えていることとして、まずやるべきことは、目指す未来像を話し合う機会と目指す未来像に対して現状とどの程度ギャップがあるのかを認識する時間が必要かなと思います。

あと、これを政策立案に使うということではありますが、今自治体の置かれている状況でいくと、やはり立案だけではやっぱり仕事がどんどん増えていってしまうので、できればやめることの方策として、このツリーが使えないかというふうに考えています。こちらは幸福度指標に関しても、やめるための指標として何か使えないかなということは常日頃考えています。
それから、目的を同じくする他課と連携することや事業をまとめることなどによって、より効果的・効率的に施策が進めることができるのではないかと思いました。
今後の活用とか展望についてですが、ロジックツリーについては政策の目的・目標と実際の取り組み内容を確認できる良いツールなので、今後の政策立案に活用できればと考えています。
どう活用していくのかというところはまだ、案はないのですが、これから考えていきたいと考えております。

それから、各職員がどんな意見を持っているかというのはしっかり耳を傾けて、対話を続けられるような組織風土づくりが大事かなと思っています。その辺をできればやっていきたいと思っています。

あと、これはちょっと自分の思いがありますが、市長とか副市長、それから教育長、部長レベルでの経営層の中でしっかり解決すべき真の課題を炙り出して、部を超えて、真に重要な取り組みが何かを探して、課長以下の階層に腹落ちさせるような仕組みが作れたらいいなというふうに思っています。

三島市は以上になります。

前野座長: ありがとうございました。それでは多気町お願いします。

多気町(三井): 多気町役場の三井と申します。私の方も資料を共有させていただきます。

(資料9)それでは三重県多気町です。改めましてよろしくお願いいたします。

多気町も、村上統括官のお話にありましたように、デジタル庁の伴走支援をいただいて、ロジックツリーを作成させていただいております。

作成の経緯というか目的としましては、多気町では、結構モビリティに関する実証実験なんかもたくさんしている中で、やっぱり他の施策との関連づけをもっと明確にして、庁内における横の連携を強化していきたいといったところがあって、作成をすることとさせていただきました。

実施体制としましては、統括として多気町の副町長です。あと参画部署としましては、企画調整課、こちらは公共交通とかまちづくりを担っております。そしてこども課、こちらは子育て支援・保育などを担当している部署です。あと、健康福祉課は、高齢者福祉支援・健康増進等をやっています。町民環境課は脱炭素関係とか環境の仕事をされている部署です。そして教育課、こちらはスクールバスとかです。あと最後はデジタル戦略室。私はデジタル戦略室を担当しておりまして、デジ田交付金を活用して、デジタル地域通貨とか地域ポイントアプリなんかも開発させていただいている部署でございます。

このロジックツリーを作るにあたりまして、副町長の方から、主たる担当者みたいなところを決めていただきまして、デジタル戦略室の室長が副で担当して、私、係長ですけども、私が主担当をするといった流れになっています。

会議の回数は、全体会議を5回ぐらいしていますし、あと作業部会が4回、あとワークショップ1回、個別ヒアリング1回といったところになります。

(p.2)こちらが、タイムスケジュールとやってきた内容、あと一緒に参加していただいたメンバーという形になります。

もともとデジタル庁に伴走支援いただいていますけども、それ以外に、コンサルさんと慶應義塾大学の山崎先生にもアドバイザーとして入っていただきまして、それでツリーの作成を進めました。

まず11月中旬に、キックオフミーティングをして、その後ツリー担当者の選定、これが私になりますけども。そして個別ヒアリングとか、全体ワークショップを経て、1月上旬にはたたき台を一旦作っています。その後、また意見交換とか作業を繰り返して、あと1月下旬にはデジ庁さんに一旦たたき台を共有させていただいて、そこで改めてフィードバックもいただいて、最終的にフィードバックを踏まえた意見交換や作業というのを多気町とアドバイザーと実施して、そして作業の完了報告をデジタル庁にしたという形になります。

ワークショップの内容としましては、町民を巻き込んだものではなくて、役場の庁舎内、先ほど1ページ目にあった関連する部署を集めて、付箋に各施策を貼っていくというものをしました。

あと、その上の個別ヒアリングにつきましても、各部署をなかなか一同に長時間拘束するのが難しかったものですから、各部署に対して、個別にヒアリングも実施して、作業を進めたということになります。

(p.3)こちらが、たたき台のロジックツリーになります。先ほどのワークショップの時に、各部署で付箋に色を分けて、施策をべたべた貼っていくわけですけども、こちら画面の左下にありますように、企画調整課であればピンク色、健康福祉課であれば黄色みたいな形で、課ごとに込みやすく色を分けて、ワークショップで出た施策をこのロジックツリーに当てはめて、色もわかりやすく着色したというようなところになります。

この時点ではまだたたき台でしたので、第1水準のところもまだ決定していないとか、結構第3水準と第4水準がまだちょっと混在しているというか、分かりにくいみたいなところがありました。

ただ、こうやって色をつけて可視化すると、当然その上位に向かうに従って色がまざり合って、関連している部署が増えていくといったところで、一目で可視化できる、いろいろな政策のゴールに向かっていろいろな課が混ざり合って実現していくことができるというようなものに一目で分かりますので、こういった色付けはとても良かったのかなと思っています。

あと、第1水準のところも、多気町のまち・ひと・しごと総合戦略なども意識しながら、本当に町のポリシーというか、町として、村上統括官のビジョンの話ではありませんけども、そこを意識してどうするかみたいなところも話し合っています。

ただ、こういったたたき台を作って、その後、またデジタル庁さんと意見交換とフィードバックいただいたのですけど、また改めていろんな修正をしています。

(p.4)こちらも村上統括官の話にもありましたけども、第3水準と第4水準のところですね。第4水準は、パーソナルインパクトというふうに仰っていましたけども、個人にとってのよい効果で、第3水準はグループインパクトと言っていましたけども、町全体にとっての良い効果みたいな形で、こういうふうに第3水準と第4水準を考えると、作業が進めやすいというようなアドバイスもいただきまして、そういったところで、第3水準と第4水準の区分をより分かりやすく修正しました。

あとは、改めてやはりモビリティをテーマに今回作っていたのですけども、たたき台のときは、モビリティを軸にしていたのですけども、いろいろなことがごちゃごちゃになっていましたので、そこをもう一度改めてモビリティを基軸にして見直したというところです。

最後、私の思いなんかも入っているのですけども、デジ田事業等で、今回デジタル地域通貨や地域ポイントアプリでデータを収集できる仕組みを作っていますので、データの収集とか分析による効果もちょっと意識した形で作り変えて、各関係部署の意見も取り入れながら、最終的にこのような形になったということです。

課題としましては、このでき上がったロジックツリーが、まだまだ今回一緒に作り上げた関係部署は当然把握しているのですけども、当然それ以外の参画されなかった部署にはきっちと共有できていませんので、もっと広く共有しなくてはいけないということと、あとは分野もモビリティに限らず、あらゆる分野でこういったことを作っていって、その分野ごとのロジックツリーを改めてまた俯瞰していかなくちゃいけないのかなというふうに考えております。
もう1つは、KPIの方がまだまだ落とし込めていないので、Well-Being指標のところでKPIが取れる部分もあれば、改めてKPIをきちっと測らなくちゃいけないところも数多くありまので、そういういったところをどうしていくかも課題です。

あとは、このロジックツリーが完成したことによって、キープロジェクトというか、力を入れていく分野みたいなところがぼんやり見えてきますので、そことそうじゃないところ、メリハリをつけて事業を進めていくみたいなそういうところも今後していけたらいいなというふうに考えております。以上です。

前野座長: 多気町さん、ありがとうございました。非常に多様な、しかも情報量の多い発表をして頂いたので、有識者の皆さんもどれに何をコメントするかというのが難しいかもしれませんし、あと残り40分しかありませんので、いろいろな問いかけをまとめるというところまでいかないかもしれませんが、有識者の皆さんからコメント、あるいは質問頂けますでしょうか。

井上委員: いろいろと発表をいただきましてありがとうございました。私の関心として、皆さんからもご意見は聞けたらと思っているところがあるのですが、今回ロジックツリーを作って検討していくときに、ISOのマネジメントサイクルのプロセスにも準拠できそうだという話をしています。そのときに大事になるのが、このまちにとってのウェルビーイングをどう定義するか、明文化するかということです。わがまちにとってのウェルビーイングをどういうプロセスで明文化していくのか、このあたりについてアイディアがある方は、ぜひご意見をいただければと思っています。

村上統括官: 前野先生、今日は時間も限られているので、先生方のご意見を一通り伺ってから、まとめてお答えするという形でいかがでしょうか?

前野座長: はい、わかりました。それでは、ご質問・ご意見のある方はよろしくお願いします。

それでは太田さんお願いします。

太田委員: 横断的な提案なのですが、市民の参加や認知というものは、全国レベルじゃなくて、どこかの地域でみた方がいいのではないかと思います。例えばヨーロッパ中心に今世界で広がっている「15分都市」というものはかなり認知度が高いですし、自然の分野でいうと、グリーンインフラという概念は、日本での認知度は2割ぐらいだと言われています。ウェルビーイング指標を使って、ビジョンとか、計画を作っていくということについて、どれぐらいの方が知っているのかということをきちんと見ていく必要があると思います。

古賀委員: 東京大学の古賀です。三島市と多気町のご報告で、ロジックツリーの作成を元に横の繋がりが発生しているとのことでしたが、とても素晴らしいなと思いました。

1点質問なのですが、デジタル庁からの最初の発表のなかで、調査データの公開のあり方について、ランキングで見せてしまうのを避けてきたということをおっしゃっていたと思うのですが、多くの市町村で活用されているなかで、市町村内で他の自治体と比較するという形で指標を活用している自治体がどれぐらいあるのか。これが1つめの質問です。

2点目は、提案になるのですが、研究等への利用促進に向けた2次利用のルールというものを今後検討していきたいということでしたが、手引きやガイドラインなどを作成してそれを公開するという方法がいいのかなと思いました。具体的には、基本的な調査情報(対象地域とか、収集方法、収集時期、対象者数など)のほかに、すでにやられた研究があれば、例えば2次変数の作成のコードをシェアするとか、同じデータを使った研究者による研究会を設ける、また研究全体の図を作ってみるなど、いろいろやり方はあるかなと思いました。

関委員: 非常に盛りだくさんで、とても勉強になりました。まず、ISOとつなげていくという話はすごくいいと思います。チャレンジングな目標でありますけど、そういうことをやっていくと、より多くの人が参加しやすくなるのかなと思いました。

ランキングに関しては、こうやって多くの人が使えるようになっていくと防ぎようはない、認めていかざるをえないと思います。それよりも重要なのは、より良い使い方をどんどん広めていくということなのかなと思います。仮にランキング付けで使われたとしても、「それはあくまで一部の見方だよね」ということが多くの人に伝わればそれでいい話だと思います。どこかのタイミングでデータを自由にオープンにする必要があると思います。

黒部市の事例ですが、市民参加が進んでいて本当にすごいなと感じました。黒部社協は、以前からデータ活用などに積極的に取り組んでおられて、社協のなかでも大分特殊な団体だと認識しております。社協がこういうポジションを担えるといいなと思いつつも、おそらく他の地域では他のプレイヤーが入ってくるということが現実解なのかなと思います。そういう意味で、そうしたプレイヤーにどういう能力が求められるのか、端的に言うのは難しいかもしれないのですが、お伺いできればなと思います。

笹尾委員: 非常に興味深い発表をありがとうございました。複数の地域があるとき、例えば東京の幸福度は高く、東北の幸福度が低い、ただ東京の電力は福島から供給されているといった場合にそれらの関係性をどうとらえるのか。一つの都市の幸福度だけを考えていくと、そういった経済的に関連のある地域との関連性を見落としてしまう可能性もあるかなと思っています。経済的に関連のある複数の地域をまとめてどうやって幸福度を高めていくとよいかということを考えるための新たなプログラムの設計を考えてもらえると嬉しいなと思いました。
また、個人的には今後はもっと個票を活用していける可能性があるかなと思っています。個票を活用することによって、例えば幸福度の低い属性の方にフォーカスを当てて、そういった人向けの個別の施策を打っていく、さらにはその施策の効果を1年後に確認することも可能になろうかと思います。個票の活用については結構ハードルが高いとは思いますが、是非ご検討いただければと思います。

内田委員: 多岐にわたる発表で、盛りだくさんの内容でしたので、意見をうまくまとめられるかどうかわからないのですが、全体的に思ったこととして、特に前半のお話とそれぞれの地域の取り組みというものを考えたときに、やはり全体のマップとして見る場合には、鳥の目でウェルビーイングを把握する、一方で特定の地域でウェルビーイングを考える場合には蟻の目でみるなど、それぞれの温度差であるとか、ディレクションをちゃんと示す必要があるところに来たのではないかと思いました。全体を見渡す議論をする場合には、ある程度抽象化し、3つぐらいの要素が重要ですよねといった話になると思います。ところが、全体として3つが必要だと言われても、自分たちの地域に照らしてみるとそんなことは関係ないみたいなことも当然あると思います。しかし、政策を担当する方々は、全体議論のなかででてきた3つの要素を無視して政策を打ち出していますとは言いづらい。そこをどのように理解をし、切り分けて考えるのか。全体をみたときに見えることと、個別に見たときに見えることの違いと共通点は何なのか、それをこの会議の場やマニュアルなどを通じてはっきりと伝えないとミスリードが起きるのではないかと思います。

一つのやり方としては南雲さんが作ってくださったいろんな軸の分析があったと思うのですけど、全部を放り込む統計にすると都市部のデータが引っ張っている部分が非常に強いと思います。特に人口を入れるとそうなってしまう。いわゆる外れ値的な東京とか大都市を除いたときのデータはどう見えるのかというものを、別々に見せる必要もあるかなと思いました。
というのも、日本の現状を考えると、きれいな正規分布になっておらず、東京などの大都市が外れ値的に存在しているという状態なので、それを一緒に入れてしまうと、うまく分析・評価できないということが起きてしまう可能性があります。例えば全体のマップとは別に、人口何万人以上とそれ以下の都市をそれぞれ分けてマップで出すとか、さきほど申し上げた全体の話と個別の話をつなぐ1つのデータの見せ方としてあり得るかなと思いました。

小泉委員:  いまのお三方のご意見とほぼ同じような感想を持っていました。今日の南雲さんの発表はすごく面白かったです。すごく勉強になったのですが、例えば空間効率の話ですが、結局、幸福度と健康寿命と人口をかけて総幸福量を計算し、それを可住地面積で割るということは幸福度×健康寿命に人口密度をかけるということであり、人口密度が高い地域ほど総幸福量が大きくなるということになります。

国交省が出している指標のなかで財政支出を人口密度で割った数字の分布をとっているものがあります。こうすると人口密度が高い方が下がっていきます。基本的にはそれはある意味当然で、それだけ効率が良くなるということかと思いますが、ただ逆に、人口密度が極めて高いエリアではむしろ反転しており、実際はU字カーブになっています。ヨーロッパや北米などでは、日本ほど人口密度の高い土地がないので、人口密度に対する受け止め方が地域・民族によって大分違うという前提があるのですが、それにしても、やはり人口密度が高すぎると様々な効果が逓減するということがあり得るということで、我々が横浜市で行った研究でも人口密度が高すぎる地区ではwellbeingも低減していました。

例えば、人口密度ではなく、1人当たり財政支出みたいなものみたいなもので割ってみる方がわかりやすいのではないかと思いました。お金をどのくらいかけて、それがウェルビーイングに繋がっているのかという数字を出してみると、お金のかけ方が悪くて意外とウェルビーイングに繋がってないみたいなことはわかると思います。もちろん、その原因が何なのかまではわかりませんが。いずれにせよ、人口密度が高ければ高いほど良いというものでもないので、その点は注意した方がよいかなと思いました。

それから笹尾さんのおっしゃられていたように、指標によってはどの単位でみればよいかという問題があって、そもそも自治体単位でよいのか、スケールの問題があるので、ちょっと難しさがあるなと思って聞いておりました。カーボンフットプリントの方も同じような問題があるのかなと思ってみておりました。

自治体の皆さまの発表については、どちらも非常にポジティブな取り組みをしておられるなという印象を持ちました。今後、どうやって実践的な取り組みにつなげていくのかということをぜひご検討いただいて、新しい情報を教えていただければと思います。
それから、オープンデータに関してですが、今年うちの学生が卒論でこのデータを使って研究しました。どこかで論文を出すのでは+ないかと思いますが、内々に本人と指導教員の同意を得て、関係者の皆さまに共有したいと思います。いずれにせよ、オープンデータ化は我々研究者にとっては非常に意味があると改めて思ったところです。

石川委員: メッセージの方にいいたことを4点ほど書かせていただきましたが、

  1. OECDの主観的ウェルビーイング測定ガイドラインの改訂
    →今年の10月6日に万博の場で改訂版が発表されます。こちらに合わせていただけると素晴らしいかなと思いました

  2. 自然資本の充実について
    →国連環境計画(UNEP)で、九州大学の馬奈木先生がリードされて新国府指標を作られております。その関係で、自然資本について市町村別に馬奈木先生がデータをまとめられていたと思うので、もしかしたら検討されたのかもですが、参考まで。

  3. 他地域との関連について
    →オランダが、地域内のウェルビーイングのみならず、ある地域が他の地域のウェルビーイングにどういう影響を与えているのか、さらには空間軸のみならず時間軸を伸ばして、将来世代のウェルビーイングにどういう影響があるかをみています。地域、他地域、将来世代という3つの視点からウェルビーイングを捉えるのは、国連の方でもいまBeyond GDPの枠組みとして採用を検討しているみたいなので、ご参考まで。

  4. カントリルラダーの限界について
    →いまのカントリルラダーは、ある時点における主観的ウェルビーイングをみていますが、トレンドを見るのにはあまり適していません。

このうち4点目についてお話したいと思います。

カントリルラダーというものは、一時点におけるウェルビーイングをみているものなのですが、例えば2024年と2025年の2時点を比較してトレンドをみるのには適していないと言われています。それは、まさに南雲さんがおっしゃられていたイースタリンのパラドックスとも関連するのですが、例えば、24年に10点満点で7点、25年も7点だった場合に、両方とも7点なので、変化がないように見えるのですが、改めて評価すると昨年は7点って言ったけど、今年の基準で見ると5点だったなみたいなことがあるわけです。そうすると今年の基準でみると去年は5点、今年は7点ということで伸びているということになります。このように評価軸が変わってしまうと問題があるので、トレンドをみるときには、このカントリルラダーを使うのはちょっと修正をかける必要があると言われています。ギャラップ社の調査でも、その修正をかける質問項目1問加えるということを昨年からやり始めています。カントリルラダーでトレンドを見る場合には、評価軸の変化に対して補正をかけてあげるという方法があるので、これからグローバルな指標に合わせていくという話であれば、取り入れていただければなと思います。南雲さんには別途詳しくご説明します。

太田委員: さっき内田さんがおっしゃった全体の優先度と個人のズレという話とか、小泉さんおっしゃった空間的効率の問題などを考えたときに、提案なのですが、自然保護とか、伝染病対策等において順応的ガバナンスというものが実践されています。順応的ガバナンスの専門家のアドバイスをいただくのがよいのではないかと思います。

鈴木寛委員: 本当に今日勉強になりました。時間もないので端的に南雲さんにお願いというか提案なのですけど、指標の改定の中でこども食堂が入っているのはとてもいいなと思いましたと。加えてともに食べる「共食」みたいなものも取れたらいいのかなと思いました。それは2つ理由があって、一つは高齢者の孤立・孤独対策みたいなことのソリューションにもなる、或いは関連が深いということと、もう一つこどもの方で申し上げるとこども食堂だと対象者が少なくてなかなか数字が出てこない可能性があるかなと。

OECDのPISA2022では、日本の最大の問題は、15歳のこどものなかで、家族からのサポートを受けていると思っているこどもの比率が極端に低い。これがなぜかといろいろ考えているのですが、1つは家族とともに過ごす時間・チャンスが他国に比べて圧倒的に少ないということがあるのではないかという仮説をもっておりまして、最近はいろんな経営者の会とかに行くと、とにかく15歳以上のこどものいる従業員には、ウィークデーに週1回でも2回でも家に帰ってご飯を食べさせてあげてくださいとか、或いはこどもといる時間を意図的に増やしてください、というような話をしています。やはりつながりという意味で非常に重要なポイントだと思うのです。共食はつながりを増やす方法の1例ではありますが、家族や地域のつながりの時間を増やすということを計測する指標ができたらいいのではないかと思っています。

これに対する政策にはお金があまり要らないものもあって、例えば渋谷区では水曜日の午後は教員に授業を持たせないようにしたそうです。そうすると午後丸々研修できたり、いろんなことに時間を使えたりするようになる。こういうことを商工会議者とかコミュニティスクールに働きかけるのも一案かと思います。

私はいろんなところで、夜ご飯一緒に食べていますかと聞いているのですが、東京だとほぼ絶望的ですけど、地方に行くと割りと食べているケースがあります。先ほど流山の話が出ましたけど、子育てするならうちだ、みたいなビジョンを掲げたときには、案外こういう取り組みが、関連してくる可能性があるなと思ったので提案させていただきます。

前野座長: ありがとうございます。提案ですが、Slackかフェイスブックかなんかでグループを作って、この会議と会議の間にも議論できるようにするとか、あるいは個別の委員間で議論をできるようにするとかして進めませんかね。その方が言いっぱなしで、答える時間も足りなくて、終わってしまうということがなくていいのかなと思います。

関委員: さきほどのこども食堂の話なのですが、むすびえさんがオープンデータ化を進めるプロジェクトを進めています。是非、これを機会にご検討いただければと思います。

南雲委員: 笹尾さんのおっしゃられていたように、空間をどこまでの単位にするのかというのは本当に悩ましい問題です。今回都市雇用圏という形で中心都市と近郊都市をまとめたエコシステム全体でウェルビーイングを計測し、中心と近郊でどう違うかと見えるようにするということに試しにやってみました。これは一つの方法かなと思っています。

また、東京都が外れ値というのは内田先生のおっしゃる通りなので、これは別扱いにした方がよいと思います。

空間効率や環境効率の分母をどうするかということも本当に悩ましくて、だから今回はプロトタイプという形でお示ししたのですが、小泉先生のおっしゃる通り、これはリニアではなく2次関数みたいになっているというところがポイントで、それを入れ込んだものにどうするのかということと、分母を何にするのかという両面で検討の余地が大いにあるということで認識しております。アドバイスどうもありがとうございました。

前野座長: それでは、最後に村上さんコメントをお願いします。

村上統括官: まず1点目。今日は指標の入れ替えについてお諮りしておりますが、議論する時間がなかったので、資料をみて気になる点があれば、事務局までご連絡ください。特にないようでしたら、南雲さんと事務局で相談して固めていきたいと思います。

2点目。エリア内比較はいくつかの自治体で事例がありますが、そんなに多くはないです。調べたうえで古賀先生にご報告します。

3点目。データの2次利用については、研究用とそれ以外の事業用に分けて考えます。それ以外の事業用(一般向け)には個票は出しません、それ以外のデータについては、誓約書をいただいたうえでご提供するという方向で調整していますので、また報告させていただきます。研究者向けの2次利用については、東京大学の研究用データベースに寄託するということで話をしつつありますが、南雲さんから紹介があったようなセカンダリーな指標の研究も含めて、もう少し仕組みをよく考えて進めた方がいいのではという話になっておりますので、次回の検討会等で議論できればと思っております。

皆さんからいただいたご指摘は大きく3階層に分けられるかなと思いました。自分がよく言っていることですが、ビジョンとか、新しい価値観みたいなところをどうやって誰がセットするのかというところを、今後よく研究する必要がある。これが1層目。

2層目は、それを支えるという意味で南雲さんから色々なお話がありましたが、この指標の応用指標みたいなものをどう作っていくかという点と、それを語るときにエリアの範囲をどう考えるかということについてご議論が大きいと思います。

最後にそれを仮にクリアできたとして、ファシリテーションする人材育成をどのようにしていくか。大ざっぱに言うとこの3階層について、ご指摘を多くいただいたように思います。
これらについては議論を深めた上で、来年度もご相談をしていきます。なお、それに備えて、場合によっては有識者会議に入っていただく先生を少し増やせないかということも含めて、座長とよくご相談をさせていただいた上で、皆さんにお諮りしたいと思います。

前野座長: ありがとうございます。自治体の皆さんから何かありますでしょうか。なければ、総括として私からコメントさせていただきます。

もともとデジタル庁というのは、デジタルであらゆるものをつないでいくってことですから、政策についてミクロからマクロまで繋いでいくということがかなりできてきたのだと思います。南雲さんが全国に駆け回っていただいた成果もあり、また全国からデータが集まってきたことで、ミクロ、マクロの議論がいくらでも出てくるようになってきました。非常にいい意味で、課題いうか、やるべきことが見えてきたというかと思います。これからはマクロな視点で、そもそも何をやるか、何を統合するのかなど、難しい複合的な課題について、デジタルの力やみんなの知恵を使い、また首長のリーダーシップから担当者のそれぞれのリーダーシップまで、上がやればいい、下はその指示に従うということではなくて、みんなが力を合わせてやっていかなければいけないというこの非常に現代の縮図のような会だったと思っています。
私からの提案ですが、この議論は2時間の枠のなかではやはり無理だと思います。これだけ素晴らしい先生方が集まっているので、1回ごとに議論が途切れてしまうことにならないよう、皆さんからの意見を蓄積できるような仕組みを作っていただくことをご検討いただきたいと思います。本日は熱心なご議論ありがとうございました。

司会(小林): 本日は貴重なご意見をいただきまして誠にありがとうございました。前野座長からご提案いただきました継続的な議論の場の設定につきましては、事務局にて検討させていただきます。以上をもちまして検討会を終了させていただきます。皆さま、ありがとうございました。

以上