デジタル関係制度改革検討会 デジタル法制ワーキンググループ(第4回)
概要
- 日時:2024年5月24日(金)15時00分から17時00分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 官報電子化について
- 法制執務の見直しに関する調査研究について
- 法制事務のデジタル化・法令等データ利活用促進に向けた取組、デジタル法制審査の今後の方針(案)について
- 質疑応答・意見交換
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/54KB)
- 資料1 デジタル法制ワーキンググループ構成員(PDF/76KB)
- 資料2 官報電子化について(内閣府提出)(PDF/773KB)
- 資料3 法制執務の見直しに関する調査研究について(総務省提出)(PDF/6,320KB)
- 資料4 法制事務のデジタル化・法令等データ利活用促進に向けた取組、デジタル法制審査の今後の方針(案)(PDF/4,813KB)
- 議事録(PDF/512KB)
関連政策
議事録
事務局(中野): では、時間となりましたので、「デジタル法制ワーキンググループ」第4回会合を開会いたします。
本日も進行を務めさせていただきますデジタル庁の中野でございます。よろしくお願い申し上げます。
なお、今回の会合より、堀口構成員の後任として宮坂構成員にご出席をいただいております。
宮坂さん、入ってらっしゃると思いますので、一言ご挨拶をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
宮坂構成員: ご紹介ありがとうございます。今回から、デジタル法制ワーキンググループの構成員として参加させていただくことになりました、FRAIM株式会社でCTOをしている宮坂と申します。
簡単にですけれども、弊社は「文書作成を再発明する」という企業ビジョンを掲げていまして、具体的には、契約書をはじめとしたプロフェッショナル性が必要とされる文書の作成支援を行うエディタサービスの開発・提供をしている会社になります。
私自身の話になりますけれども、専門文書に対するエディタ開発や機械学習、深層学習の領域という開発に長らく携わってきております。その中でも、法制執務に関する開発経験は特に長いものになっておりまして、昨年度は、デジタル庁様の法制事務デジタル化のPoC案件において、受託者側の全体管理責任者として、主に技術側を見ていたのですけれども、そちらの調査研究や開発を中心として取り組ませていただきました。
このようなそうそうたる皆様の中に参画させていただくことは大変恐縮ではあるのですけれども、微力ながら貢献できればと考えておりますので、何とぞこれからよろしくお願いいたします。
事務局(中野): 宮坂さん、本日からも引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
本日の議事は、画面に今投影させていただいているとおりでございます。また、議事録作成のために本日の会議の模様を録画させていただいておりますことをあらかじめご容赦いただければと存じます。
なお、渡部構成員は本日はご欠席と伺っております。
では、早速、議事(1)に移らせていただきます。「官報電子化について」、内閣府官報電子化検討室から10分程度でご報告いただければと存じます。
内閣府の田中さん、よろしくお願いいたします。
田中補佐: 内閣府の官報電子化検討室の田中と申します。本日はよろしくお願いします。
皆様、大変ご知見のある構成員の方々に日頃からご指導いただきまして、誠にありがとうございます。
官報の電子化につきましては、昨年12月に法律が成立したところでございますけれども、これに至るにはデジタル臨調における議論を含めて、そういった推進力があって成立したのかなと考えております。まず、簡単ですけれども、そうした経緯についておさらいをさせていただきます。
官報電子化の経緯でございます。まず令和4年の春に、デジタル臨調に対して経済界から、官報の原本が慣習で紙媒体とされており、データの再利用等ができないといった要望がございまして、これを受けて6月に一括見直しプランにおいて、年内に課題の洗い出しを行うという方針を決定いたしました。
ここでは、立法措置の要否が課題になっていたわけでございますけれども、やはり官報は法令の公布の手段ということもありまして立法措置が必要だという法制的な議論がございまして、12月に、いよいよ法律をつくるといった方針を立てました。
そこで、内閣府のほうで法案の準備の体制を構築いたしまして、令和5年3月から、デジタル臨調の構成員でもありました宍戸先生を座長とする有識者会議において、非常に短期間の中で取りまとめをいただいて、その方針に従って法律を立案いたしまして、10月の末に法案を閣議決定して、12月に成立した、そういった流れになっております。
したがって、いずれにいたしましても、デジタル臨調で方針をまとめていただいた、そうしたご議論の中でこういった法律ができたのかなと考えております。
次に、法律のポイントについてご説明させていただきます。資料では、官報の発行に関する法律で規定している重要なポイントについて、4点に絞って記載しております。特に、法制執務のデジタル化ということに関連する点として、まず①の官報の発行方法ですけれども、法律の中では官報の掲載事項を規定した上で、掲載事項の電子データに電子署名等の真正性を担保するための措置を講じた上で、公衆が閲覧可能なウェブサイトに掲載することで官報を発行する、そういったことを法律で規定しております。
実は、官報そのものについてはこの法律の中で定義を置いていないということが特徴でして、その代わりどういったものを官報で扱うかということを法律の中で規定してございます。その法律の規定の読み方といたしましては、官報掲載事項を記録した電磁的記録と言われるものが官報であって、発行主体である内閣府のサーバーに記録されているものと国民がウェブサイトからダウンロードしたものについて、同一の情報を記録した電磁的記録については同一のものとして取り扱うということとしており、これが同一の情報だということをどうやって担保するのかというと、※印で書いております電子署名等に係る電子証明書により真正性を担保することで、したがって、同一の情報を記録している電磁的記録については同一のものだという前提に立った上で、官報というのは発行主体である内閣府のサーバーに保管されているものも、国民がウェブサイトからダウンロードしたものも真正な官報として扱うといった立てつけになってございます。
この官報の発行時点ということですと、次の矢印ですけれども、ウェブサイトにアップロードされた時点ということで、通常は今8時半に官報を発行しておりまして、この運用については今後も引き続き続けるのかなと考えておりますけれども、例えば特別号外として今年の1月1日に災害の関係で特定非常災害対策本部を設置したときとか、そういった特別な場合にも発行するといったことになります。
特に、②の部分で、法制執務に関係する法令ということについて申し上げますと、ご案内のとおり、今まで紙の官報に掲載されている法令が正本という位置づけだったのですけれども、先ほど申し上げましたとおり、官報というのが官報掲載事項を記録した電磁的記録であると。したがいまして、法令の正本というのは、まさに発行された官報に載っている法令のデータが正本であるといった立てつけになってございます。したがって、正本の法令のデータを引き続き正本として様々な形で利活用できるといったことが、今後、正本データの利活用を進めていく上での理論的な基礎を築いたのではないかと考えております。
また、法令の公布の時点につきまして、法令を掲載した官報がアップロードされた時点であることについても法律で規定しております。そもそも、法令の公布を官報をもって行うということについては長らく成文法の根拠がなかったわけですけれども、今回の法律では法令の公布を官報をもって行うということを成文法として規定するとともに、法令の公布がいつ行われたのかといったことについても明文の規定を置いておりまして、法令を掲載した官報がアップロードされた時点をもって法令を公布したことになる、つまり、法令が施行するための前提要件が満たされたことになります。
実際上の利便性といたしましては、今までは公布された時点はいつなのかということが必ずしも時刻が明確でなかったわけですけれども、例えば特別号外みたいな例外的な事態も含めて、官報が発行された時点すなわち公布された時点については、今後ウェブサイトに掲載することとしておりますので、そういった意味でも、公布日施行の場合ですといつ適用されることになるのかということが明確になるかなと考えております。
また、補足的ですけれども、③でインターネットを利用することができない方への配慮ということで、書面を交付したり、あるいはどこか施設に行って官報を閲覧するといった措置も規定しておりますけれども、いずれにいたしましても、官報がいつ発行されたのかということについてはウェブサイトにアップロードされた時点ということですので、その時点をもって、ある種周知の擬制と申しますか、全ての国民に法令が適用される前提要件が満たされたことになると、そういった理論的な位置づけを与えたということになるかと考えております。
また、④の長期公開ですけれども、今インターネット版官報が90日間公開することになっておりまして、これはまさにデジタル臨調の方針に基づく取組を進めていく中で、従来30日だったものを90日に延ばしたといった経緯もございましたけれども、当面はこれを90日間続けることを予定しながらも、一部法令とか、あるいは広く公開すべき情報については永続的にウェブサイトで公開するといった立てつけになっております。
また、当該期間の経過後については、官報デジタルデータを国立公文書館に移管するということを法律上措置しております。実は、今まで発行された官報は、発行された後、公文書館に移管されることがなかった。これなぜかと申しますと、公文書管理法上、官報が行政文書の適用除外に法律上なっている関係で、通常の我々がつくる行政文書が公文書館に移管されるのに対して、官報というのは今まで除外されていたわけですけれども、この官報の発行に関する法律の中で、いわば公文書管理法に対する特別の定めといたしまして官報を移管するといったことを規定いたしまして、公文書管理法に基づいて国立公文書館がこれを永久に保存するといったことを法的措置として位置づけております。
最後に、法施行後の取組でございます。まず、下の「官報電子化の基本的考え方」、点線枠組みのところにございますとおり、有識者会議で一定の考え方を整理していただいておりまして、まずは官報の電子化のための法整備を行うということで、今回実施いたしました。
そして、基盤的業務に万全を期すということで、官報は法令の公布の手段ですので、安定的に発行することが何よりも大事ですので、そういった基盤的業務に万全を期した上で、2つ目のポツ、今後、システム更改に合わせて利便性の向上に対する取組を順次進めていくことが重要だと考えております。
上の緑線で囲っているところですけれども、特にポイントになる部分といたしましては、まず電子署名が基盤となりますけれども、こういった技術についてもどんどん新たな技術が進歩していくということがありますので、そういった技術の進歩に応じて新たな技術を導入していくといったことや、プライバシー情報が官報の中に含まれておりますので、例えば破産公告は破綻者の氏名とか住所といった情報が含まれておりますので、そういった情報が拡散しないように、今は期間を限定したり、画像化みたいな措置をしているのですけれども、より有効な手法はないのかということを引き続き情報収集しながら順次導入していくことになりますし、長期保存につきましても、PDFで保存するというところを含めて、今後、様々な媒体に応じてやっていくと考えております。
②につきましては、特にこのワーキンググループで議論していただいておりますとおり、機械可読なデータということが何よりも重要かと考えておりまして、機械可読なデータで提供する官報が正本だという理論的な位置づけを今回法律でいたしましたので、あとは実行上、準備が整いましたら、そういったものを導入しながら法令データのベースレジストリの整備にも貢献したいと考えております。
駆け足でございましたけれども、説明は以上でございます。
事務局(中野): 田中さん、ありがとうございました。
まさに、明治以来、紙で発行されてきた官報が電子化されるという非常に象徴的な取組ということでございます。
こちらの議事につきまして、質疑応答、意見交換の時間を15分から20分程度設けたいと思っております。ご質問、ご意見がある方は挙手をお願いいたします。
まず、藤原先生、お願いいたします。
藤原構成員: 藤原でございます。今日はどうもありがとうございました。
大変よい取組だなと思って個人的にはわくわくしているのですけれども、1つだけコメントというか、今後、短期的や長期的な課題になると思うのでご意見を申し上げようと思います。
今も表示されている技術革新を踏まえたというところで、プライバシー情報の拡散等の防止というのがあって、これはかなりポイントというか、難しい問題だと理解しているのですけれども、個人的には、恐らく同じものを出している限り、それを完全に拡散を防止するのは難しいかなと思っていて、本当は例えば住所とか氏名を出さないで人とかを特定するやり方とか、出すものを変えるとか、そういうことを考えたほうがいいのかなと思って、それで、官報ではなくて、元になっている法律のほうを変えなければいけない話は、話が大きくなり過ぎている面はあると思うのですけれども、恐らくそうしないと完全に防止するというのは難しいのかなと思っているので、1点ご意見として申し上げさせていただきました。
以上です。
事務局(中野): ありがとうございます。
引き続きまして、角田先生、お願いいたします。
角田構成員: こんにちは。
私からは1点、官報のデータを国立公文書館に移管するというか、データ自体はどちらかのサーバーに置いておけばよいわけですけれども、その権限が移り変わるタイミングはどのようにお考えなのかということを教えていただけるとありがたいです。
事務局(中野): ありがとうございます。
では、安野さん、よろしくお願いいたします。
安野構成員: ありがとうございました。
1点は、藤原先生がお話ししたところと同じ部分ではあるのですけれども、プライバシー情報の拡散の防止というところで、エンジニア的な観点からすると、画像化というのはちょっと大変にはなりつつも、根本的にプライバシー情報の拡散に資するかどうかは怪しいなと思っております。ここに関しては、先ほど藤原先生がおっしゃっていたように、そもそもの開示をする方法を変えるとか、あるいは、例えば破産者マップを作るみたいな問題のある使われ方をしたときに、それを防ぐような措置を講じていく、使われ方のほうに規制をかけていくというやり方のほうがいいのではないかなと思っていまして、そこの意見でございます。
あと1個、質問としては、ウェブサイト上に掲示するということだったと思うのですけれども、そのウェブサイトをホスティングしているサーバーをどこに置くとか、そこの冗長性をどうするみたいな話というのは、何か議論があれば教えていただきたいです。まだこれから決めるというところであれば、それはそれで全く問題ないです。
事務局(中野): ありがとうございました。
では、それぞれ今ご質問、ご意見等をいただきましたけれども、田中さん、いかがでしょうか。
田中補佐: 皆様から貴重なご意見とご質問をいただきまして、ありがとうございます。
まずは、幾つかまとめて、プライバシーに関して申し上げます。2人の先生から、そもそも開示する情報を見直すというご指摘をいただいたところで、それにつきましては、例えば、帰化の告示に住所が載っている点等について、国会審議でも話題になりました。この点については、住所を載せないと特定の人を同定できないかという事情もあり、実際に同じ名前の方が官報に載っているケースもあり、難しい問題ではないかと考えております。他方、掲載事項の見直し自体は制度所管省庁のほうで検討して進めていくことかと思いますが、内閣府としても、官報の発行主体として、そういったところと相談していきたいというふうに考えております。
また、一部の言ってしまえば悪い使い方をする人に対する措置につきましては、ご案内のとおり、法制度としては個人情報保護委員会の勧告・命令といった措置があるかと承知してございますが、実行上も様々な取組を進めていきたいと考えております。
特に画像化につきましては、先ほどご指摘いただいたとおり、必ずしもこれが十分ということではございませんけれども、例えば、それによって通常のウェブブラウザで検索したときに表示されないとか、例えば破産者の名前を入れても出てこないとか、そういったところにも貢献している部分があり、あとは情報の加工、目的外利用というところを一定程度抑制するという側面もあるかと考えております。ただ、先ほど申し上げたとおり、引き続き新しい技術を導入していくということかと考えております。
また、角田先生からご質問をいただいた公文書館の移管の話ですけれども、実はまだ詳細なオペレーションは決まっていないのですけれども、法律の立てつけとしましては、内閣総理大臣が官報を発行した後、発行するときに使用する、言ってみれば内閣府のサーバーを官報ファイルと法律上呼んでいるのですけれども、その官報ファイルに記録されているデータを公文書館に移管するというふうになっておりますので、そこに入っているデータを一定の媒体に入れ替えるか、あるいはシステムを使って公文書館のサーバーに移転することで、移転したことをもって管理者ということについては公文書館になるのかなと考えております。
こちらの移管の方法をよりシステマティックにやるのか、あるいは当面は媒体でやるのか、どれぐらいの頻度でやるのかというところは、公文書館のオペレーションの部分もありますので、今まさに調整しているところでございます。
最後、サーバーの冗長化の話ですけれども、官報の発行に関する法律では、前提として官報の発行主体は内閣総理大臣ということで内閣府ですけれども、今まで「インターネット版官報」の配信を国立印刷局が行ってきて、これは全く滞りなく行ってきたということがありまして、引き続きその基盤を一定程度活用したいと考えております。印刷局の「インターネット版官報」の配信につきましては、東京と埼玉の2拠点制になっておりまして、そういった意味でも冗長化ということがされているのかなと。つまり、片方ができなくても、瞬時に入れ替えて、東京が駄目なら埼玉で配信するということで、データを同期していると聞いておりますので、そういった意味で冗長化をしているのかなと考えております。
また、ご指摘のような冗長化とは違うのですけれども、仮に全くシステムが落ちた場合については、例えば大災害で落ちた場合には書面で官報を出すという措置も法律上盛り込んでおりますので、これは電子を冗長化することではないですけれども、官報の発行という制度を見れば一定程度冗長化しているのかなと考えております。
以上でございます。
事務局(中野): ありがとうございました。
今のご説明も含めまして、さらにご質問、ご意見がございましたら挙手をお願いできればと思います。
続きまして、米田先生、お願いいたします。
米田構成員: 米田です。
1つはジャストアイデアという感じなのですけれども、好ましくない方法で使う目的でデータを取りに来るという問題については、先ほどモグラたたき的に押さえていくというものはあったのですが、取った人についての情報、誰が見に来たかということをきちんと登録させることを挟むというのは一つの方法かなと思いました。今、国会図書館のデジタルアーカイブなんかを見るときも、会員にならないと見られない、個人情報を提供しないと得られないという形になっているので、現在もマスクしている部分についてなどは、そういうワンクッションを置くというのも一つの方法かなと思ったので、そういったものもご検討いただければと思いました。
それから、先ほど少し話題になっていたのですが、時期の問題というのがあって、データ自体、これは官報のところだけではなくて、その前の法令自体を編集するプロセスのエディタを入れるという部分も出てくると思うのですが、そのスケジュール感が十分に共有されていないと思われる部分もあるので、その辺りを今後検討されると思いますが、より早い段階で目標を定めて作業できるようにしていったほうがいいかなと思います。我々が意見を出すときも困ることがあるので、よろしくお願いします。
事務局(中野): 米田先生、ありがとうございます。
引き続きまして、八木田先生、いかがでございますでしょうか。
八木田構成員: ありがとうございます。八木田でございます。
今回いただきましたスライドの3ページ目のところで、長期公開というところがあるかと思います。これを拝見するに、恐らく官報のファイルが1つあったときに、一部の法令その他内閣府令で定める事項については永続的にウェブサイトに公開する一方で、一部はプライバシーに配慮すべき事項であるから公開期間を制限するということがあり得るのかなというふうに理解しております。
そうすると、これはちょっと技術的な視点になるのですけれども、官報自体を保持しておくデータ構造として、この部分はずっと公開するのだ、こっちの部分は公開期間を制限するのだといったタグ付けが、官報のファイルごとではなくて、官報ファイル内の各段落か分かりませんが、実態と対応するような形で持っておかないと、例えばプライバシーに配慮すべき事項の部分だけをマスキングしたPDFを改めて人手で作成するといったことが発生してしまうかなと思いましたので、こういった点も含めて、今後、技術視点でどういったデータ構造にすべきかというところをよく検討をしていただくと、結果的に人手での間違いが減るとか工数が減っていくことにつながっていくかなという意見でございます。ありがとうございます。
事務局(中野): 八木田先生、ありがとうございました。
では、田中さん、お二人からのご質問、ご意見につきましてご回答をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
田中補佐 まず、米田先生からご提案いただいたプライバシーの関係で、情報を登録させればある程度防止できるということについては、抑止効果にはなると考えております。そういった案も含めて、有識者会議の取りまとめの検討に当たって、プライバシーに関係する措置の具体的な方法について検討をしたところでして、引き続き検討を進めていくということで考えております。
1点、逆の方向で懸念として挙がったのが、官報は今まで何も登録せずに自由に見られたということからすれば、会員制にすることによって、ユーザーがダウンロードするときに情報を登録させることになった場合、登録の手間がある程度かかるということで、そういう意味でのユーザーに与える影響を、慎重に見極めていきたいと考えております。
また、仮に実行する場合には、そうやって集めた情報を行政側がどういうふうに管理していくのかということも論点になるかなと考えております。いずれにせよ、そうしたアイデアについては、引き続き研究が必要かと考えております。
最後にご質問いただいた長期公開のデータ構造ということについては、ご指摘のように、官報の1つのファイルの中を90日公開しない事項と公開する事項というふうに分割するという形になるわけですけれども、ファイルを作った時点で、90日で閉じる事項についてはあらかじめ掲載事項ごとにコードを割り振っていて、そのコードで管理しております。さらに申し上げますと、90日間で閉じる事項が全て画像化の対象になるという関係で対応しておりまして、90日以上公開する事項はPDFファイルの中でテキストになっている状態でファイルを構成することにしております。
そのときに、コードをどのぐらいの密度で設定するのかということが一つ論点になりますので、例えば、今まで法律だったら法律という一つのコードしかなかったので、画一的にどっちかにするしかなかったのですけれども、それを例えば告示の中でもう少し細かく設定するとか、コードの振り分けを細かくすることで、例えば一部の同じような類型の公示であっても、一部のものは90日以降公開して、他方のものは個人情報が載っているので90日で閉じるといった、コードの振り分けを柔軟にしたいと考えております。
また、コードの設定については、今まさに全省庁に対して、どの事項を90日か永続かのどっちに振るのかということを照会しておりますので、そういったコードの振り分けについて今後十分に管理していきたいなと考えております。
事務局(中野): ありがとうございます。
今のご説明も含めまして、追加でご質問、ご意見等がある方はいらっしゃいますでしょうか。
八木田先生からチャットもいただきまして、米田先生、八木田先生もいいねのマークも押していただいたと先ほど拝見しましたけれども、それでは、こちらにつきましてご質問、ご意見をいただくというのはこれまでとさせていただければと思います。
官報の電子化のスケジュールについて、米田先生からもご指摘がありましたけれども、法律自体は施行期日が1年6月以内ということになってございますが、田中補佐からもご説明がありましたけれども、技術中立的な条文にしていただいているということで、施行後も新たな技術を導入していていく、そして、後ほどご説明させていただきます法制事務のデジタル化の取組とも連携していくという取組になっていくというところですので、またスケジュール等々については改めてご説明をさせていただければと存じます。
田中さん、ありがとうございました。
続きまして、議事(2)に移らせていただきます。「法制執務の見直しに関する調査研究について」、総務省行政管理局から25分程度でご説明いただければと存じます。
それでは、行政管理局の方々、よろしくお願いいたします。
高原主査: 総務省行政管理局の高原と申します。
画面の共有をさせていただければと存じます。
本日は、このような場で報告の機会をいただきありがとうございます。法制執務のデジタル化の関係では、総務省行政管理局は、デジタル臨調の時代から、行政機関の運営の調整を担うという立場から、システム外のフローも含めまして業務面の見直しを特に中心にデジタル庁と連携させていただき、法制事務のデジタル化に取り組ませていただいてきたところでございます。
今回は、行政管理局から、アスコエパートナーズ様、ぎょうせい様にお願いして調査いただいた調査研究の内容を両者様から報告いただくような形で対応させていただければと考えております。
前提としまして、総務省に向けて取りまとめていただいた報告内容を紹介させていただくものでございまして、この報告を踏まえて今後政府としてどうしていくかというところはこれからまさしくデジタル庁と検討してまいりますところがあることをあらかじめご了承いただければと思います。
こちらの背景・課題のところは先ほどの内容と同じでございますので割愛させていただきます。
調査研究の内容、主に業務面の内容ですけれども、特に法令のうち構造データにしづらい表や図、様式といったもの、また、データ更新をしていく上でなかなか機械では扱いづらい改正規定の問題、この辺りについて、データ構造やその辺りにお詳しいアスコエパートナーズ様、また、法令集の出版社ということで、法令の内容面あるいは法令データの扱いにお詳しいぎょうせい様に、今回調査研究を実施いただいたところでございます。
このような調査研究を行うに当たりまして、我々は3つほど観点を設定した上で取り組ませていただいております。1つ目が視認性ということで、人間が見たときに物理的に見やすいかということもあるのですけれども、法令でございますので、その意味が正確に紛れなく国民に対して通じるものとなっているかという点も重要だと認識しております。
また、作業性と書いておりまして、法令改正を行う際などに、資料作成の作業を行う工数や作業難易度、こちらは特に行政官にとっての課題になってくるかなといったところですけれども、視点として置かせていただいております。また、改正法令を反映した法令データを更新する、あるいは法令データを提供していくということで、デジタルの点も当然必要になってきますので、データ整備事業者、あるいはデータを利活用する事業者ということもあろうかと思いますけれども、そういった観点からも作業性を評価しております。
ちょっと重なるところもあるのですけれども、機械可読性ということで、法令データを利活用しやすいものとなっているかどうか、あるいはそのメルクマールとして改正法令の機械生成あるいは法令データへの機械反映が可能なものとなっているかといった観点で検討させていただいております。
内容のほうですけれども、アスコエパートナーズの小根森様、ぎょうせいの出口様のほうから報告させていただければと思いますので、ここからはアスコエパートナーズの小根森様にお願いできればと思います。
小根森氏: アスコエパートナーズの小根森でございます。
私のほうから、法令構造の構造データ化についてご報告を申し上げたいと思います。
まず5ページになりますが、この調査研究内容の概要につきましては、本日はお時間の都合上割愛させていただきます。ご覧いただければと思っております。
続いて、6ページになります。今回の調査研究におきまして、特に表の課題について抽出をいたしまして、それを類型化した上で、どういうふうにしていけるかといったところの検討を行いました。
この一覧は、データの二次利用といったところも観点として持っておりましたので、細かいご提案等も含まれております。詳細につきましては、後ほど行政管理局のほうから詳細な報告書を公開するということでございますので、そこをご確認いただければと思います(※行政管理局の調査研究(総務省) に公開)。
本日の報告の内容につきましては、まず、表記ルールの見直しについては3点、ご提案申し上げたいと思っております。
まず1点ですけれども、課題の類型の趣旨といたしましては、例えば多対1、こういったものの関係性を示す場合に、現在、表の中ですと「{}」とか罫線を使って表現をしているところが見受けられます。こういったところは、視認性としては意味は理解できるのですけれども、機械可読性としては関係性の理解が難しいといったところが考えられます。
そのため、見直し案といたしまして、例えば記号は使用しないとか、同じ値が入るところは欄の結合で表現をする、もしくは省略せずに全ての欄に値を記入するといったところをご提案させていただいております。
続いて2番目ですが、表中の値に省略表現が用いられているケースになります。例えば、内容によりましては、「同右」という形で省略表現が指し示す情報の方向を定めているケースもあるのですけれども、例えば官報では「同右」になっていても、e-Govの法令検索とかデジタルの場合、横書きになったときに、その「右」が指し示す方向がちゃんと当たっているのかどうかといった観点が出てまいりますので、これに関する見直し案としましては、表中の「同右」、「同上」、あるいは「〃」、こういったものは原則は使用せず、欄の結合で表現するか、文言を省略せずに明記をするほうが望ましいのではないかというところをご提案させていただいております。ただ、省略をしないことで表記が煩雑になる可能性もありますので、そこら辺は要検討かなといったところでございます。
3点目ですけれども、法案作成時の表の引用表記になります。こちらは、絵で切り取って表現をするという形になろうかと思いますけれども、こちらにつきましては、そもそも作業性の観点からも結構負担が多いと伺っております。なおかつ、視認性としてもなかなか読みづらいといったところもありますし、機械可読性から考えてもこういったところはデータ利活用が非常に困難であるといったところが課題の類型として挙げられました。
それに対しまして改善案としましては、例えば①引用箇所を表の項・欄、いわゆる行・列で指定して引用する。もしくは、そういった方法が難しい場合には、引用の前で改行を行う。こういった手法をご提案させていただいております。これによりまして、特に作業性の部分につきましては大きな改善が期待できるのではないかと考えております。
続きまして、表のXMLスキーマの見直し案の検討についてご報告いたします。今回、検討の対象とさせていただきましたのは、法令標準XMLスキーマ及びe-LAWS DTDになります。
検討の方針といたしましては、現在の法令標準XMLスキーマが既に法令データに適用されている関係もありますので、このタイミングでスキーマを大きく変更することは法令データ自体にもかなりの大きな影響があると考えまして、現在のスキーマにつきましては根本的な変更は行わずに部分的な再定義を試みる方針で検討を行っております。
また、検討したXMLスキーマの見直し案につきましては、表記ルール見直しの結果も踏まえましてプロトデータを作成して、実証・評価を行ったところでございます。
12ページは参考として載せております。今、e-LAWS DTDで定義されております表に関する要素、属性になります。こちらは説明を割愛させていただきます。
続いて、13ページになりますけれども、XMLスキーマの見直し例を今回2つほどご提案させていただいております。
まず1つ目は、表の結合の処理になります。課題の類型といたしまして、表を作られるときに、表を結合して行列を結合する形で表現されているケースが結構多く見受けられます。視認性としては、結合の意味合いはもちろん人は理解できるのですけれども、機械可読の場合ですと、そのデータを取得した際にどのような意味合いがあるのかといったところはすぐには理解ができないところも考えられますので、今回見直し案といたしまして、XMLスキーマの結合を表す属性に表中に記載された値がデータ上どのように関係するのかを示すための「値」を定義する試みを試しております。
例えば、“TableColumn”要素に“spantype”属性を追加しまして、その値としてfillとfirst、そこに書いてありますように、fillにつきましては結合したセル全てに同じデータが入る、firstにつきましては結合したセルについて最初のセルにデータが入る。こういった対応を付与していくことで、より結合されたデータの意味合いを理解しやすくするような試みを試してみました。
これはプロトタイプデータを作りまして評価を行いましたが、視認性に関しましては基本的に官報に近しい表示が可能になるというところと、機械可読性に関しては結合されたデータの意味合いが理解しやすくなる。また、作業性に関しましても、法令を作成される段階では恐らくほぼ影響はないのですけれども、ただ、いろいろな属性、値を追加するといったところがありますので、データ整備の事業者様にとっては若干負荷になるだろうなといったところが評価として挙げられました。
続きまして、階層構造の処理のところです。こちらの場合ですと、表中の中で、恐らく作成された方は、例えば字下げをすることで階層を表現されているところがあると思うのですけれども、実際の法令XMLデータの中ですと、その辺りが異なる階層構造を持たずに同じ階層のままで表現されているところがありますので、場合によっては階層がないもの、同じフラットな状態でデータを取得される可能性があると考えております。
そのため、これをより明確にするために見直し案といたしまして、今回、順番にルールを持たない”UnOrderedList”要素を追加して、”UnOrderedList”要素と“List”要素を用いて表現するといった試みを行いました。
これによりまして、下のほうにありますように、視認性につきましては官報に近しい表示が当然できるのですけれども、機械可読性の面ではデータの階層構造がより明確になってくる。作業性については、法令案の作成段階では作業負荷にはならないのですけれども、こちらもやはり新たな要素や属性を追加していくことになりますので、データ整備の段階で若干負荷になるといった評価をいただいたところでございます。
16ページになりますけれども、今回の調査の中で、構造化が困難な事例も挙げさせていただいております。一例といたしまして、1つのセルに斜線が複数ある場合、項目を斜線で区切って表現している例になります。
この場合ですと、官報上、いわゆる人が見た場合には視認性として意味は理解できるのですけれども、機械可読の面ですとこの斜線の分割をどういうふうに理解するのかは非常に難しいところがあります。
例えば、法令の表につきましては、恐らく非常に正確な情報であると同時に最新の情報であると考えられますので、また今後の表のデータを中心としたデータ化も必要になってくる、いわゆるデータファーストの文脈も必要になってくるのかなといったところを踏まえますと、法令データを整備する段階では恐らく対応は難しいのではないかというところで、法令の立案段階において、そもそも表を分割する、あるいは正規化された表で作る、そういった抜本的な見直しが必要ではないかといったところを提案させていただいております。
17ページになります。これまでは表の話だったのですけれども、ここのパートにつきまして、図と様式の課題類型及び検討結果の概要を記しております。
まず、図につきましては、画像データとなっている類型を整理しましたけれども、その中には画像データでしか表現できない、そもそも構造化が困難と思われるものが多く見受けられました。様式につきましては、様式自体の構造化を検討するのではなくて、行政手続のオンライン化の進展に伴いまして、例えばフォーム化、電子申請のフォームなどの支障となりそうなものについて類型化を行っております。
これにつきまして見直しの方向性ですけれども、まず図及び様式につきましては、単に表を「図」としている場合、あるいは構造化が可能なものにつきましては構造化を図るべきだと考えられますが、画像データ以上に構造化することが困難なもの、例えばイラストといったものはそもそも画像のほうがいいだろうといったところもあると思います。
一方で、法令立案段階の作業性とかデータ利活用の観点から、一部の改正の対象等になり得る図及び様式についてはテキストデータあるいはメタデータを付与する、あるいはIDを付与する、そういったところを検討していくことで、より図・様式をうまく利活用することができるといったことが考えられるのではないかなと考えております。
続きまして、改定規定の見直しについてご説明いたします。
出口氏: 続きまして、改正規定の見直しに係る調査研究についてご報告を申し上げます。
今回、冒頭ご説明がありましたとおり、改正法令の作成に当たりまして、改正法令の作成、また改正法令から現行法令への溶け込みの作業に関しまして、システム化の課題となる改正手法上の課題についての類型化を行っております。
これは、さきにご説明がありましたとおり、今後見越されている官報の電子化や、また、法制事務システムの機能の開発等を見据えまして、主に今回は府省令・規則の改正対照表、いわゆる新旧対照表の標準化に向けた見直し案を検討させていただいたものになっております。
実施方法としましては、直近5年程度に公布されました法令の中から、我々データ整備を行っている事業者のほうで、改正対照表を基にして、改正法令の溶け込みデータをうまくつくれなかったものは一体どういった原因があったのかについて類型化を行いました。
また、その中から、改正規定のうち特に府省令・規則の改正対照表につきましては、府省ごとで表記パターンが違っているといったこともございましたので、その比較分析を行った上で、標準化に向けた見直し項目(論点)を整理したと調査内容になってございます。
その中で出てまいりました課題としましては、今表示させていただいているとおりでございます。主に事象についてご説明させていただきます。
法令でよくあることではございますけれども、複数の施行日が設定されている場合に改正対照表の場合、施行日の分別がなかなか難しいといった問題、溶け込ませを行っていく順番の判断が難しい、調整規定の適用・官報正誤の反映を行う場合における他法への影響、また、官報正誤の対象箇所がどこなのかという捉え方が難しい、改正規定がそもそも溶け込まない、また、表のとおりに改正を行うと改正規定は溶け込むが、実際に作られた方の意図どおりに溶け込んでいるのかどうか疑義があるといったことが出ていることが分かっております。
繰り返しになりますが、ここで申し上げております「改正対照表」とは、従来よりこれは一般的には「新旧対照表」と呼称していることでございますが、「新旧対照表」と申しますと、法案の5点セットの中に含まれる「新旧対照表」と混同いたしますので、今回ここで調査しておりますのは、府省令・規則の改正案として官報で公布される新旧対照表のことを「改正対照表」と呼んでおり、こちらの調査分析を行ったところのご説明でございます。
この中で、まず各省庁のマニュアル等を貸与させていただきまして、それぞれどういった傾向があるのかといった分析を行いました。比較分析の指標としましては、表の左にございますとおり、まず本文の書き方の傾向、改正対照表の配置の問題と、これは表の掲載の仕方になりますけれども、改正対照表の配置、また、配字とか改正対象以外の箇所をどのように表しているか、また、改正箇所を表す傍線の付し方・改正の表し方がどういった分類になっているかという調査を行いました。
これに関しましては、当然のことながら、どの省庁、どのマニュアルが優れているとか、優れていないということではございませんで、幾つかのパターンがあるなということを法令改正のデータ製作を行っている者として把握しておりましたので、この際、どういった傾向があるのかというところと、そこから何か効率化につながるような提案ができないかといった意味で内容の精査を行わせていただいたものでございます。
この中から、改正対照表の作成方法の提案としまして、主な項目としてここに掲げております18点がございますけれども、特にこの中で黄色にした項目をご説明します。いわゆる2段ロケット、多段ロケット方式について、複数の施行日がある場合の表記の方法、また、そもそもの改正対象字句を示す方法につきまして主にご説明を差し上げたいと考えております。
まず、多段ロケット方式の採否でございます。現状の各府省の改正対照表に関しましては、左の表にございますとおり、2段ロケット方式を取れるようになっているということでございますが、例えば第一・第二表というような形で改正期日ごとに表を分けるといった方法を取っているもの、また、別建ての省令とすることを原則として例外的に2段ロケット方式を用いているパターン、2段ロケット方式を取る場合には改正対照表方式ではなく改め文方式を用いる、また、原則として多段階施行は行わないといったような形で、各省によっての取組の仕方が違うといったことになっております。
こちらに関しまして私どもからの提案としましては、2段ロケット方式に関しては改正対照表で行うことができることにするものの、②としまして、改め文方式で行っているものと同様に施行期日ごとに条建てとすることで、条を変えることで、第何条は4月1日から、第何条は10月1日からという形で、明らかに施行期日の違いを分かるような形の表記を提案させていただいたものになっております。
また、これは改正対照表の中で改正対象となる字句の示し方でございます。現状の各府省等の差異の状況が左の表でございますけれども、ここは、傍線、二重傍線、破線囲みを用いるというところが多い、一般的な例でございます。
幾つかの省庁の中では、破線囲みがなくて傍線と二重傍線を用いるといったパターンを採用されている省庁がございます。また、傍線のみで表すというふうにしている省庁もあります。
こちらに関しましては、私ども法令データ整備を行っている者の一意見としまして、二重傍線、破線、実線といろいろな線がありますと、機械的に改正箇所を特定して法令更新を行おうとする際に、どうしても機械の可読性が下がってしまうということで、できればいろいろなパターンを使わないのが望ましいのではないかという作成方法の見直し案として書かせていただいたものになっております。
①から⑤という形で幾つか表記の方法等を書かせいただいておりますけれども、二重傍線、破線囲みは用いずに、二重傍線で示されている全部改正や繰り上げ下げに関しましては、例えば傍線を条の全部に引くことで、普通の傍線で全ての情報を整理していくことを提案したものになっております。
また、一部改正の一部改正というもので、こちらも法案をおつくりになられる方にとっては釈迦に説法ではございますけれども、一部改正が行われた法令に関しまして、それをさらに一部改正を行うといった、いわゆる一部改正の一部改正といったものになっております。
これらに関しましては、一部改正法令に関しては、一部改正府省令のうち改正対照表方式による改正規定部分に係る一部改正については改め文方式で行い、表の全部改正という形で改正対照表と改め文をかけ合わせて使うといった事例があります。ここに関しましては、私どもからの今回の見直しの提案としましては、一部の一部改正に関しては基本的には改め文方式で改正をするのが最もよいのではないかということのご提案でございます。表の全部改正または表の一部改正といった方法を取っていくことで、3点の提案をさせていただいたものになっております。
あくまでも今回ご紹介差し上げましたのは一例ではございますが、今後、冒頭ございましたとおり、視認性、作業性、機械可読性といった点で、改正対照表は、官報によりますと一般国民にとっては非常に視認性が高いものだ、優れたものだと認識しておる一方で、その中で確実に誤りがなく改正が捉えられるようになることの改善、また、今後、法令正本がデータ化されるということで、それを機械的にも正しく読み取れることができる、かつ、実際におつくりになられる官庁の皆様の作業性の効率が高まる、こういったことで18点の項目のご提案を今回差し上げたものになっております。
以上で、改正規定の調査報告に関しましての報告とさせていただきます。
高原主査: 総務省でございます。
今回の報告は、繰り返しになりますが、総務省行政管理局からアスコエパートナーズ様、ぎょうせい様に実施していただいたものでして、例えば視認性について紛れなく表現できているかといったことについては、例えば法令の所管官庁や内閣法制局様と相談も必要になるかと思いますし、システム上、機械可読であることは実証しておるのですけれども、実際の実運用の中に落ち込むかというところについては、当然デジタル庁様や国立印刷局様との検証も必要かなと思っています。また、システムに対して適用することになると、開発スケジュールとかリソースの相談もあるかなと思っておりますので、この調査研究を踏まえまして、今後引き続き法制事務のデジタル化に向けて、デジタル庁様としっかり相談しながら進めさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
一旦、司会にお戻しさせていただきます。
事務局(中野): 総務省の皆様、そして、アスコエパートナーズ様、ぎょうせい様、ありがとうございました。
それでは、こちらの議事につきまして質疑応答、意見交換の時間を25分程度、16時20分前後まで設けたいと思います。ご質問、ご意見のある方は挙手をお願いできればと存じます。
では、角田先生、お願いいたします。
角田構成員: とても詳しく検討していただき、特に法改正について今まで私も不安に感じていたところも含めていろいろ検討されているということで、とてもいい方向で進みつつあると思いながら伺っておりました。一点、少々広く関わることですが、法令スキーマの見直しで、例えば13ページのところでfillとかfirstという話ですとか、その後の斜め線の話、この辺のお話しを伺っていると、表というのは、もともと文章の形で書かれていない、もちろん、表中には文字が入っていますけれども、表全体として行間を読むかのように意味を読み取る必要があって、ニュアンスを読み手にくみ取ってもらうことを前提に書かれている、言葉が隠されて書かれているようなものですので、そうなると、実際にそこに本当に意図されていることは何なのかということが重要になると思います。今回、「正規化」という言葉も使われていますけれども、まさに内部データのレベルでの正規化を考えていただきたいです。
ですから、見える部分の見せ方について、例えば斜めにするとか、セルを結合するとか、省略をするとか、しないとか、そういう見え方の部分の話と、実際に本当にそこにはどういうデータの値が意図されているのかという、データの意味、セマンティクスの部分の話は明確に切り分けて欲しいと思います。ソフトウエアの開発でも、データ構造のモデル、見え方のビュー、そしてアルゴリズムのようなコントロールの三者を分ける考え方がありますが、それと同じように、例えば官報なら、その印刷物としての見せ方、あるいはウェブページで表示するなら、その見せ方の話としての表の話と、その表の持つ意味の話は分けて、意味の話、つまりモデルの話の中で正規化を検討していただきたいと思いました。
例えば表中の斜め線についても、正規化して考えれば、例えば、リレーショナルデータベースのイメージの表として、その1レコード分をタップルとして数学的に内部表現できますので、そうなれば数学的に厳密に議論できますし、そういったものをベースにきちんと正規化したものをまず設計としておいて、その上でXMLスキーマの表の部分の提案とか改良という話に進んだ方がよろしいかと思います。この点だけは全てに関わる、機械可読性に関わる話ですので、表現のほうから入っていってしまうと、いろいろな表現のパターンによって、まさに正規化がなされないままですと、多様な解釈とかバージョンが出てきてしまうので、まず本当の意味での正規化を考えていただきたいと思いました。
ほかの点は結構頑張って調査や検討いただいていますし、私はこの分野は以前から研究対象にしているので、今回は研究会のように非常に興味深く聞かせていただいたのですが、この表のお話だけはこだわらないと、後から痛い目を見る可能性を考えて、発言させていただきました。
以上です。
事務局(中野): 角田先生、非常に専門的なご指摘をありがとうございます。
ひとまず今挙手いただいている方々からご意見等をいただければと思いますので、宮坂構成員、お願いいたします。
宮坂構成員: 宮坂です。
ご説明をいただき、ありがとうございました。大変勉強になりました。
私から、コメント1件と質問を1件させていただきますと幸いです。
まずコメントですけれども、表の件があるのですけれども、ここについて、実際、昨年度、デジタル庁のPoCで様々な実際の改正業務をやっている方々の話を聞いて思ったことですけれども、表の体裁をつくること自体の苦労といいますか、それこそページまたぎの線の表現といったところが、ワードではなかなかうまくいかなくて一太郎だとできる、だから一太郎を使うみたいな形で、ただ、若手は一太郎に慣れていないとか、そういったところでの苦労の話をよく聞きました。
そういった意味では、もちろん機械可読性は間違いなく重要な観点だと思うのですけれども、操作性という観点において、現場の編集ソフトとの関係性とか、作業者が苦労しているポイントがどこなのかみたいなところを、表の部分の見直しをかけるいいチャンスかなとも思いましたので、そういったところも観点として含まれると非常に喜ぶ方が多いのではないかなと思った次第になります。こちらはコメントになります。
1点質問です。改正対照表についてです。こちらについても、昨年度のPoCの中でも、当時、あのときは「新旧対照表」と呼んでいましたけれども、自動出力みたいなことを考えるときに、府省令のことを考えたときにやはり問題になるかなと思ったのが、ルールが統一されていないという点だと考えました。
ですので、システム的に自動出力するという観点においてもルールの統一が非常に重要で、そういった観点からも、我々はここまで調査できなかったのですけれども、こういうふうに実際の府省庁による差分を分類するというのは非常に有意義な取組だと感じましたし、大変勉強になりました。
質問は、実際にこれをルール統一を図っていくときに、やはり府省庁はそれぞれのこだわりもあるのではないかと思うわけですけれども、そういった中で実際に府省庁に案内して運用に回していくことを踏まえたときに、もし現時点で障壁みたいなものが何か見えているものがあれば教えていただけますと幸いです。
以上になります。
事務局(中野): 宮坂さん、ありがとうございました。
引き続きまして、米田先生、お願いいたします。
米田構成員: 米田です。
似たようなところに関わると思うのですけれども、僕は頭が単純なので、この報告を見たときに、これは誰向けにできているのかが分からなくて、ここで挙げられている様々なトピックは、ユーザーというか、実際に入力する、起案する方向けに、こういうルールで書いてくださいというふうに求める部分と、この部分は機械的に処理できますよというふうに仕様的に、これからつくるシステムというか、今後、所管庁で使うシステムの中の仕様にする部分と、それから、出てきた見栄えの部分、アウトプットされたものがどう見えるかというところの一般ユーザー側に資する部分と、混在しているように見えて、今ここに書かれている提案のようなものは、次の例えば発注の仕様にかかってくる、これだけはできなければいけないぞという部分と、あと、省庁横断で全員にこれでやってくださいというふうに強制するというか、協力をお願いするものになるのかというところの仕分けがされるとありがたいというか、分かりやすくなるのではないかと思いましたので、今後、そういった方向の報告というか、追加の情報等をいただけるとありがたいかなと思いました。
結局、どうやっても全員の要望を聞くことはできないので、皆さん一部は従ってもらわなければいけない。ただ、その部分はこれだけ支援がついていて楽になりました、こっちのほうが便利だよねというものが最終的にできればいいはずなので、そういったことを目指して我々も検討したいと思うし、皆さんもご協力いただければと思っているところです。
以上です。
事務局(中野): 貴重なご意見をありがとうございます。
総務省の方々、今それぞれのご質疑、ご質問の点はいかがでございますでしょうか。
高原主査: まず総務省のほうからお答えさせていただいて、その後、補足があればということで説明させていただければと思います。
まず、角田先生からいただきました、ちゃんと正規化をしてから表を考えるべきではないかというところ、表示から入らずに、正規化をしてからデータを考えたほうがよいのではないかというところは、まさしくご指摘のとおりだと思っておりまして、その辺も慎重に検討させていただければと思っております。ありがとうございます。
宮坂構成員からいただきました、まず現場のほうの苦労しているポイントとか編集ソフトも見据えながらというところ、ありがとうございます。まさしく昨年度取り組まれておられた宮坂構成員の実感を踏まえたご指摘で、大変勉強になるなと思いながら伺わせていただいた次第でございます。
改正対照表を府省庁に案内して運用に回していく上での障壁というところですけれども、聞いておるところでいくと、例えば改正対照表でやっているものが全てではないということで、改め文のほうがよいものもあったりする、そういったときに使い分けをどうするのかといったところで、例えば改め文のほうが簡潔に速やかにできるものについては改め文にするというところですけれども、その辺りの使い分けをどこまで許容していくのかとか、あるいは、自分たちのやり方を変えることについてご理解いただく必要があるかなと思いますので、そういったところは特にポイントになってくるかなと思っております。
米田先生からいただきました、これは誰向けの報告書なのかというところですけれども、報告書のつくりが分かりづらくて申し訳ございません。一義的には事業者様から総務省に対する報告をいただいた内容をまとめたもので、これから特に、先ほど申し上げたようにデジタル庁様、国立印刷局様とシステム要件に関するディスカッションを行ったり、あるいは各省や内閣法制局様に法令の所管官庁あるいは審査官庁としてご意見を伺っていくというフェーズもあるかと思いますし、あるいは国民の皆様向けにデータ利活用の方針として示していくこともフェーズとしては考えられるかなと思いますので、そのフェーズ、フェーズに応じて適切な説明をしっかりできるように引き続き取り組ませていただきたいと思っております。
補足等はいかがでしょうか。
小根森氏: アスコエパートナーズの小根森でございます。コメントをありがとうございます。
角田先生がおっしゃっていただいたように、見え方と実際のデータを切り分けて考えるべきというのは、まさに我々が調査研究をやっているときにも内部でも議論になったところでございますので、いただいたコメントを含めて我々のほうでもいろいろ検討を進めていきたいと思っています。ありがとうございます。
出口氏: ぎょうせいの出口でございます。
宮坂先生から頂戴しましたコメントのところ、まさにソフトの問題とか操作性というところは、米田先生のご質問にもありましたけれども、我々も今回、できる限り実際に法をつくられている方々にとって、より作業効率性が高まる方法はどうかということを総務省様とディスカッションさせていただいた、そういう観点のものは一応含めてやれたかなと考えております。
この先どのように進めていくかというところに関しては、高原様からあったとおりでございまして、私どもとしては、皆様の作業の効率化と、一般ユーザーの方たちの機械の可読性というか、データの見え方を両立していくにはどうしていくのだということを、これから各省庁の皆様とご相談しながらこの提案を有意義に使っていただけるようにしていきたいなと思ったところでございます。
米田先生、宮坂先生、角田先生、いろいろコメントをいただきまして誠にありがとうございました。
事務局(中野): ありがとうございます。
私もコメントとなってしまいますが、資料の3ページの視認性、作業性、機械可読性というのは、場合によっては一部トレードオフになり得るところがあると思いますし、我々は表で見たほうが分かりやすいというのが機械が可読できないということについて、最新のAI技術を使ってもなかなか法令の表は可読できない場合があるというのは私もご指摘いただいたことがありますし、今後開発していく中で、例えばシステムで対応するのはどこまでできるかという問題もありますし、今後、標準化が必要としてどの部分を標準化するのかというのがあります。
他方で、そもそも今もう公布されている法令における表は、今の公布された形で規定されているものになりますから、それをどう考えるかという問題もあろうかと思いまして、進め方について難しい点が様々あるかなと思いますけれども、実態調査、そして提案も含めてやっていただいて、誠にありがとうございます。
この議題につきまして、今の総務省の方々のご説明も踏まえまして、追加のご質問、ご意見等はあられますでしょうか。
では、安野先生、お願いいたします。
安野構成員: ありがとうございます。
1点簡単な質問で、19ページ、20ページで、機械的な溶け込みが行えなかったものが何件ぐらいあるのかということを示していただいていて、この数字は非常に面白いなと思っております。
機械的な溶け込みができなかった、例えば照会が発生した原因を20ページに出していただいているのですけれども、これはどういうものが何件ぐらいあったかみたいなことが分かると、今後のシステム開発等をやっていくに当たって、どこを優先的に対応したほうがよくて、どこはそんなに件数がないから対応しなくてもいいねという優先順位づけができるような気がしております。そういう意味で、20ページのところは実数を集計されておられるのかというのを1個お聞きしたい。集計されておられなかった場合も、ここは結構多くて、ここは少なかったよみたいなものがあればお伺いできるとうれしいです。
事務局(中野): ありがとうございます。
総務省様、いかがでございますでしょうか。
出口氏: 安野先生、ありがとうございました。
まさに今回ここでご報告させていただいたのはサマリーになっておりますけれども、当然のことながらどういった場合だったのかというパターン分けのほうは実数の数字は持ってございます。ですので、また折りを見てそういったところを報告させていただきながら、今ご指摘いただきましたとおり、その中で一番クリティカルな部分というか、どこから手をつけていくのだという優先づけの参考にさせていただければと思っております。
ご指摘いただきましてありがとうございます。
事務局(中野): ありがとうございます。また会議の後にでも、ご提供いただける情報がありましたらよろしくお願いいたします。
それ以外で何かご質問、ご意見等はあられますでしょうか。
では、ひとまずこの議題はここまでとさせていただきまして、総務省様、残っていただいて恐縮ですが、次の私からご説明させていただく議事(3)の後でもご質問は戻っていただくことも可能ですので、もし何かありましたらその質疑応答の時間でよろしくお願いいたします。
続きまして、議事(3)「法制事務のデジタル化・法令等データ利活用促進に向けた取組、デジタル法制審査の今後の方針(案)について」ということで、まず私からご説明させていただければと存じます。
画面を共有させていただきます。
まず、「法制事務のデジタル化・法令等データ利活用促進に向けた取組」について、こちらはこれまでの検討経緯でございます。本日、5月24日に第4回ワーキングを開催させていただいておりますけれども、こちらでいただいたご議論も踏まえまして、5月27日、来週のデジタル関係制度改革検討会でも本日の議題の内容をご説明させていただき、ご議論いただければと感じております。
次に、まず、法令データのデジタル正本の提供体制という2022年6月のデジタル臨調の資料でございますけれども、前回のワーキングで米田先生から、現在どこまで我々の取組が進んでいるのか、現在の絵がどうなっているのか整理してほしいという極めて貴重なご指摘をいただいております。
これに関しまして、2022年6月以降、様々進展、状況変化があったと考えておりまして、まずもって大規模現行モデル(LLM)を用いた生成AIの製品が次々に発表されまして、これは定量データでなく言語を対象としているということで、法令分野への応用、法令データとの組合せをご提案されている民間企業の方々がいらっしゃいますし、その下に書いてあります法令APIハッカソンというところにおきましても、まさに法令データと既存の例えば住宅、建築関係のデータを組み合わせて審査を自動化するというような、八木田構成員にご指摘いただきましたけれども、我々のデジタル法制ロードマップで言うところのフェーズ5に近いようなアイデアみたいなものも出てきているという、状況が大きく変わってきているところでございます。
もう一つは、まさにデジタル正本という観点で申しますと、e-Gov法令検索の「法令」データというものが、整備フローを変更いたしまして、極めて信頼性が高いデータベースに、かつリアルタイムに更新されるデータベースになってきておりまして、こちらは告示においてベースレジストリとしても指定をさせていただいているという状況がございます。
また、本日、内閣府からご説明をいただきましたけれども、官報の発行に関する法律が成立いたしまして、官報による法令公布を法律として明文化するとともに、まさに正本たる官報、法令データを含む官報の内容が、紙媒体ではなくウェブサイトで行えるということで、まさにデジタル化されたということがございます。
そして、これは今国会で審議いただいておりますけれども、ベースレジストリに関する法案を提出されておりまして、国によるデータベースの整備とかデータ連携の促進、データベースやシステムの整備を効果的に行うための体制強化についても規定をしているところになります。
そこで、法令データのベースレジストリ(デジタル正本)の整備・提供に向けてということでございます。公布法令自体が、実際に正本がデジタル化されているというところに若干話が変わってきておりますので、「法令データのベースレジストリ」と書かせていただきました。
法令につきましては、まさに今ご説明したとおり、官報が電子化されまして、ウェブに掲載される電子版が官報の正本になってくる、デジタル正本になってくる。
溶け込み条文につきましても、法律は原則として公布と同日に更新・公開させていただいているということでございますし、過去の事件とか改正経緯等を扱う際も参照できるように、過去時点分も、一部でございますけれども、e-Gov法令検索、法令APIを機能向上することで対応していきたいと考えているところでございます。
そして、何より、先ほど米田先生からもスケジュールを示す必要があるというご指摘をいただきましたけれども、電子化された官報とe-LAWS/e-Gov法令検索の連携をしていくということ、デジタル技術を用いてチェックや再利用がしやすいデータ形式による官報原稿・法律案原稿の入稿、一貫した法令データの管理を、これをもって目指していくという状況に今ございます。
こちらは図解させていただいたものでございますけれども、これまでの法令データ整備は、左側の紙を中心に様々なデータベースがあって、場合によっては紙に手書きで修正をして、それぞれ別々のデータがそごを来さないようにして国会に提出させていただき、官報に掲載させていただく、こういうワークフローになっているわけでございますけれども、4ページにありますような、まだ1つのデータベースでぐるぐる回るというところには至っておりませんが、今後、法令案データをこのエディタを使って電子的に条文内容に集中して編集をしていく。これは国会に提出させていく際は引き続き印刷物ということになりますけれども、これを再利用しまして公布法令のデータをつくって、そのままそれが電子官報で公布される。それを再利用・溶け込ませを行いまして、これはもちろんデジタルの支援を受けてやるわけですけれども、溶け込み条文がつくられて、これがe-Gov法令検索で公開され、法令APIを通じて民間サービス・さらなる高度なサービスの創出を促進していく、電子官報はまだ法律自体は施行されておりませんけれども、こういう絵に近づいているのではないかと考えているところでございます。
加えまして、そもそも告示データというものが載っていないという点を以前からご指摘いただいておりますけれども、こちらにも取り組んでいきたいと考えておりまして、現状と課題でございますけれども、告示につきましては法律、政令、省令等と異なりまして、最新の正確なデータを提供する統一的なデータベースが不存在という状況がございます。告示を検索する際に、類似のPDFが複数ヒットしたり、最新のものがどれか分からないといった課題がある、これにより法令を含むルールの全体像の把握が困難といったご指摘もいただいております。
代表的な告示としまして、例えば学習指導要領のような全国の学校の教育課程の基準を定めているようなものとか、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示といった法律の実態的な内容について規定をしているようなものとか、電波法施行規則に規定する申請書及び添付書類の様式その他申請に関し必要な事項を定める告示といったもの、手続的な部分を定めている告示、こういったものがございます。また、先ほども内閣府からご説明いただきました官報の電子化についての検討におきましても、法規的性質を有する告示が存在するという指摘がなされております。
他方で、告示には法令標準XMLスキーマのような構造化されたフォーマットが不存在ということでございまして、これは宮坂構成員にもやっていただきました昨年度の調査・実証事業では、民間法令データベースにおきまして約65%については法令標準XMLスキーマでの構造化が見込まれることを確認いただきましたけれども、それ以外の告示については対応ができないという状況になってございます。
そこで、こちらが今後の方針でございます。まずもって今年度の調査・実証事業において以下の検討を実施したいということでございまして、告示等のXMLスキーマを検討していくということ、そして、告示等を含む官報入稿原稿のXMLデータを編集・連携するエディタ機能のプロトタイプを開発する、そして、告示等データ管理方策を検討していく、こういった内容を今検討しているところでございます。
これらの取組、そして、官報電子化の取組も踏まえまして、デジタル庁、法務省と関係省庁が連携して、まずもって整備を行う対象が、告示というのもそもそも改め文一部改正方式で改正されているところですので、どこまでを対象にするかというのは直近の官報だけを見ていても分からないところがありますので、整備を行う対象範囲、そして、公開するデータ形式等について整理しまして、何より我々はリソースも限りがありますので体制等を整備した上で、2026年度中を目途で告示のベースレジストリの提供開始を目指す、こういった方向で取組を進められればと考えているところでございます。
こちらは、今までお話しさせていただいた内容をまとめさせていただいておりまして、法制事務デジタル化及び法令データの利活用促進に向けて、法制事務の業務フローの見直し、先ほど米田先生からもご指摘がありましたけれども、仕様で対応する部分と業務フローを見直す部分がそれぞれあろうかと思いますので、業務フローを見直すべきところを見直しつつ、法令編集機能や法令APIを改善する。前回、米田先生からご指摘がありましたけれども、ナレッジが失われていくのではないかというところがありますから、法制事務ナレッジ共有ツールの開発を行う。これはワーキングの構成員の皆様から前回ご指摘をいただきましたけれども、優先順位をつけて順次開発・実装を行う。そして、中期的課題についても調査実証を行うということ。そして、法制事務支援ツールのプロトタイピング、法令データを利活用したサービスの開発促進を実施するということを書いております。
ここについては先ほどのページの絵を書いておりまして、データ中心のワークフローへのシフトを指向しますし、中長期的なビジョン・効果を見据えた取組をする。場当たり的ではない取組をやっていく。他方で、やはり優先順位をつけて小さく作り、早期に利便性を向上するということも目指す必要があろうかと思っておりますので、これを一つの方針とさせていただきまして、今後1年間の取組を進めさせていただいてはどうかと考えておりまして、こちらをお示しさせていただいているものでございます。
続きまして、デジタル法制審査の今後の方向性につきましてもご説明させていただきます。
デジタル法制審査につきましては、新規法令のデジタル原則への適合性を確認するということで、2022年の臨時国会以降、7項目のアナログ規制及びフロッピーディスク等の記録媒体を指定する規制に関係し得る条項のデジタル原則適合性を確認してきております。
こちらは、デジタル社会形成基本法の改正が昨年の通常国会で成立いたしましたけれども、これ及び重点計画の改定によりまして国の方針とも位置づけております。
昨年からは情報システムの整備が見込まれる行政手続を定める規定も新たに確認を開始しておりまして、ただ、条文上のアナログ規制をチェックするだけではなく、制度やシステムとも関係する運用面でのデジタル化もこの取組を通じて促進したいということで、こういう新たな取組を実施しているところでございます。
加えまして、ただ点検するだけではなくて、アナログ規制点検ツールα版というのを国の方々、地方自治体の方々も使っていただけるようにしておりまして、アナログ規制が点検しやすいように支援をしているという取組もしているところでございます。
そこで、デジタル法制審査の現在及び今後の取組の方向性でございますけれども、現在、現行法令約1万条項のアナログ規制の見直しにつきましては、本年6月までに完了を予定しております。また、このアナログ規制見直しに向けて、様々技術検証の実施も進められているところとなります。
加えまして、これまでデジタル法制審査で点検した法案のうち一部は施行済みとなっておりまして、必要な下位法令等の整備が進められてございます。
少しスライドを飛ばしましたけれども、13ページにございますとおり、これまで93法案、142条項について点検しておりまして、今、通常国会分というのも点検を進め、公表できるように準備をしているという状況にございます。
そこで、これらの今までのアナログ規制見直し等に関する実際の見直し状況、そして、その施行後の運用等を確認させていただきまして、今後の対応方針といたしましては、政策の企画・立案段階から業務設計、情報システムの整備・運用に係る検討が行われるようにデジタル法制審査の機能等を強化いたしまして、また、政府情報システムのプロジェクトにおける予算要求段階、執行段階といった各フェーズに応じたレビューを通じて制度・業務・システムの整合性を確保していく。
各府省庁は、この一括法を踏まえまして、指針に基づいて、テクノロジーマップ・技術カタログを適切に活用しまして点検を実施するとともに、法令等の立案段階からデジタル原則に適合した運用を見据えた、条文だけではなく業務・システムの設計が行われるように点検を実施しまして、デジタル庁にその結果を提出する。
デジタル庁は、これまでのアナログ規制の見直しとか、そのための技術実証の結果等を踏まえて、各府省庁、地方自治体に対する支援が必要であると本ワーキングでも繰り返しご指摘いただいておりますので、地方自治体を含めまして業務・システムを含む法令の運用面でのさらなるデジタル化の促進、そして、今、アナログ規制点検ツールの機能を向上させるべく改良しておりまして、こちらの開発・展開等を行いまして、さらなる支援を行う。そして、点検結果を公表して、適切に執行段階においてデジタル化が進むように促進をしていきたい。こういった内容で考えているところでございます。
以上、駆け足ではございましたけれども、私からのご説明とさせていただきまして、議事(3)につきまして、質疑応答、意見交換の時間を25分程度設けさせていただければと存じております。
それでは、ご質問、ご意見等があられます方、よろしくお願いいたします。
八木田先生、お願いいたします。
八木田構成員: ありがとうございます。八木田でございます。
非常に分かりやすくまとめていただき、本当にありがとうございます。
私から1点だけコメントをさせていただければと思っておりまして、この資料で言うと8ページと9ページの告示のところです。
これは非常に重要な取組かなと考えております。私の所属する会社では法律版のグーグルのようなサービスを提供している関係もあって、多くの法律事務所さんや企業法務のお客様から法にまつわる情報に関するリサーチについて、どういったニーズがあるのかという観点でお話を伺う機会があります。
端的に申しますと、告示を何らかの形で見られるようにしてほしいというニーズが非常に強くあります。8ページにもあるのですが、実質的に告示を見ないと事業の適法性の検討ができないみたいな事例が多々あると伺っております。
例えば、昔はやったコンプガチャというのがあるかと思うのですけれども、新しくゲームを作るにあたって具体的に何がコンプガチャに該当するのだろうというふうに検討しようとすると、景品表示法の中身を見ていっても、結局、こういった制限云々は告示によって行うとするなどと書いてあって、実際に告示を見るとカード合わせという概念が出てきて、その中にこういう景品類の提供はしてはならないということが書いてある。告示まで読まないと、本当に今やろうとしている事業が適法なのかそうではないのかというのが分からないということがあるということで、告示はできれば全てデータベース化されているとよろしいのかなと思っております。
私、一個人、要は法治国家における一市民みたいな目線で申し上げると、全てではないのかもしれませんが、少なくともこういった告示の一部が何らかの法的な規定、いわゆる法規的性質を有すると伺っておりますので、その意味でも告示が全てデータベース化されているとよいかなと思っております。ただ、ここで幾つか書いていただいているように、最新のデータを提供する統一的なデータベースは現状不存在ということで、もしかすると、一部から、ここがすごく優先度が高いので、まずはここからデータベース化を進めて、徐々に追加していくという形でもよろしいかと思うのですが、いずれにせよ告示データがちゃんとベースレジストリの形に整備されていくという取組は、一市民としても非常にすばらしいことかなと思っておりますというコメントになります。ありがとうございます。
事務局(中野): ありがとうございました。
非常に心強い応援のご指摘をありがとうございます。
まず一通りご意見、ご質問をいただければと思いまして、宮坂構成員、お願いいたします。
宮坂構成員: ご説明いただきありがとうございました。本取組については大変楽しみにしております。
私から質問を2点だけさせていただきます。
まず1つ目の質問ですけれども、今回まさに前回のPoCの中でも実施して、その続きとなるような今回の告示等のXMLスキーマの検討について、昨年からの追加分というか差分みたいなところが分かればありがたいなと思っております。
まさに、先ほど中野様からも少し内閣府様の説明の後に触れていただいたように、官報の電子化における、例えば告示に関する閲覧期間の話といったものもあると思うのですけれども、もしそういったところとの関連性みたいなところも何かご検討しているところがあればご教授いただけたらうれしいなと思っております。これが1点目になります。
2点目になります。資料の中に記載していた、優先順位をつけて小さく作り、早期に利便性を向上というのは非常に重要な方針だと思いますし、まさに民間企業でサービスをつくるときも常に意識しているような内容になっております。
そういった中で、もしかしたら、まだプロジェクトの早期段階ですので、今聞く話ではないのかもしれないのですけれども、法制事務の業務フローの見直しとか法令編集機能の開発といったところも取り組んでいく中で、現時点でどの辺りを優先的な開発項目として捉えているのかなというところがもしあれば教えていただきたいなと思っています。
あと、法令編集機能という観点においては、例えばエディタを開発するという話になると非常に複雑で時間がかかるというところも理解しているのですけれども、そういった中で、もし早期に利便性を向上させるような工夫とか、そういったところで何か考えられていることがあればご教示いただけたら幸いです。
以上になります。
事務局(中野): ありがとうございました。
続きまして、藤原先生、お願いいたします。
藤原構成員: 藤原です。どうもありがとうございます。
先ほど八木田さんがおっしゃったことと似たような話ですが,まさに我々が仕事をしていると告示を見たいときはよくあるので、うれしいなと思っているのですけれども、一つ思ったことがあって、感想みたいなコメントですけれども、一般的には告示というのは法規性があるのとないのがあると言われていて、全部やろうとすると、すごく多い上に、実はあまりベースレジストリに載せる必要がないようなものもありそうな気がしているのですけれども、まだ決まっていないという理解なのですが、その辺りはある程度取捨選択する方向性なのか、それとも取りあえず載せてから考えるのか、その辺はどうお考えになっているのかなと、ちょっと気になりました。
以上です。
事務局(中野): ありがとうございます。
3人の先生方からのご意見、ご質問につきまして、この段階で1回コメントと申しますか、お答えさせていただければと思います。
まず、八木田先生、藤原先生、宮坂先生、告示データ整備することは非常に有益であるというご指摘をいただいたと認識しておりまして、また、一国民としても法規範性があるものを含まれるというものを整備するのは大変有意義であるというご指摘をいただきまして、誠にありがとうございます。
こちらは、まず一部からやるのか、取捨選択するのか、こちらをご指摘いただきまして、こちらはまずもって今日の官報電子化の説明にもありましたけれども、まだ官報法は施行されていない状況です。他方で、法律の条文を見ますと、公布等事項とそれ以外の区分がされていますので、これがどういう運用になるのかというところも踏まえまして、検討したいと思います。また、体制等を整備した上でと書かせていただきましたのは、もちろんどんな組織でもそうですけれども、リソースに限界がありますので、有効なもの、そして、そもそも我々は法令等データを整備しているということになりますから、法規範性の有無も、これは一つのアイデアでしかありませんけれども、考える必要があるかもしれませんし、この辺はまずはどういう選択範囲になるかというのは分かりませんけれども、官報電子化の流れもありますので、こういった動きも見つつ、一定の基準をもって取捨選択をしないと、適当に載せてしまうとなると、国民の方々も何でこれは載っていたり載っていなかったりするのだろうと混乱してしまうところもあろうかと思いますので、ベースレジストリとして整備するということであれば、一定の基準をつくった上で整備を開始したいと考えております。
他方で、その基準というのは今まだ検討中の状況にあるということになります。いずれにしても、こちらは貴重なご意見、貴重な応援をいただいたということで、着実に進められればと考えております。
もう一つ、宮坂構成員から、昨年度の追加の内容と優先順位として現在考えているものというご質問をいただきました。今まさに事業者の方を含めて検討を詰めているところが実態といいますか、現状になります。
他方で、告示に関しましては、我々仕様書上書かせていただいておりますのは、官報入稿原稿のXMLデータを編集・連携するエディタ等機能のプロトタイプをつくるというところとか、告示等を含む官報入稿原稿のXML連携に関する国立印刷局等との連携の実証・実装計画とか、あと告示等データの管理の方策といったところを検討課題として挙げておりますので、こういう検討も踏まえた上でXMLスキーマをどうしていくかというのを考えていくというところを、こちらは昨年ももちろん一部射程にあったと思いますけれども、官報も電子化されますし、国立印刷局様のシステム開発も別途実証をやっていると認識しておりますけれども、こういう検討が進んでいくという段階になりますので、そこで深掘りをしていきたいということになっております。
優先順位につきましては、まさに昨年のPoCでもいろいろご議論いただきましたけれども、まずもって優先順位をつけて小さく作り、早期に利便性を向上と書いておりますけれども、前回のワーキングでもご説明させていただきましたが、一部技術的に課題があるもの、難度が高いもの、そして、ニーズがそれほど昨年度のPoCで認められなかったものにつきましては我々もリソースが枯渇してくると大変なことになってきますので、そこはまさに優先順位をつけて、どれからやっていこうかというのを今検討しているところとなります。そこはまた追って本ワーキングでもご報告させていただければと存じますし、この点につきましてまたコメント等をいただければ大変ありがたく存じます。
以上、ひとまず私からのご回答、コメントとなります。もちろん、今のご回答が不十分なところがありましたら重ねてご質問等をいただければと思いますけれども、ひとまず挙手をいただいております角田先生、お願いいたします。
角田構成員: 私からは2点、1つはコメントで、もう1つは質問です。
1点目は、告示の話で、今日は皆さんにも告示の問題を注目していただけましたし、私は以前より告示の話をさせていただいていましたので、皆さんの関心を集められたことがとてもうれしいです。
何年も前から告示や様式について研究していた私からすると、この告示の内部のデータベースをつくるときには、表でなくても、表と同じ考え方の部分があって、普通の法律のような形で条文あるいは項立てで書かれることもありますが、私が調べさせてもらった告示の形式の中には、様式で枠線がないような中の空欄を埋め込んだ形で告示として多数提示されている機関もありました。
そうなってくると、表形式になっているものの、その中身をどういうふうに設計しておくかとか、どういうふうに標準化するのかという話は、先ほどの表の話と同じで、表示のスキーマみたいなもののさらに大前提となるようなデータ構造というのは皆さんで共有して、一番細かく記述し切ってしまった表の基本要素というのはそんなに難しい形式ではないはずですので、まずはそのような標準となる正規化の検討が必要だと思います。それをどのように見やすくまとめるかといったビューの設計は結構手間がかかるかもしれませんし、操作性などを考えたら様々な工夫が必要かもしれませんが、大本となる基本データの構造は設計できそうだと思いますので、そういうところを設計してから進めないと、告知のスキーマ設計を始めたら全部表ばかりで、また先送りということになりかねませんし、急にブレーキがかかってしまうかもしれませんので、ここも気をつけておかなくてはいけないのかなと思いましてコメントさせていただきました。
もう一点は質問ですが、先ほど官報のときにも質問させていただいたことと同様なのですけれども、ベースレジストリの中で管理していたものをもし国立公文書館に移してしまう、あるいはアーカイブ化していくときに、何をもってどのタイミングでアーカイブするのか、移管するのかのようなところが、単なる管理とか物理的データが移動するということではなくて、移動するトリガーはどのような法律やルールなのか、といった点について質問させていただきたいです。それは行政官の方々の運用任せにして、見ている側、ユーザー側、国民の側からすると、全く気にしないでも大丈夫であるということであれば、さほど明確に決めておく必要はないのかもしれないのですけれども、そうではないとすると、その辺がどういうふうに決まっていくのか、決めてあるのか、あるいはタイミングなど、そういったところを質問させていただければ、と思いました。
以上です。
事務局(中野): 貴重なご指摘、ご質問をありがとうございます。
続きまして、米田先生、お願いいたします。
米田構成員: ありがとうございます。
まず私のリクエストというか、今どの辺まで来たのかという全体像を知りたくて発言したことに対して非常に忠実に答えていただいてというか、まとめていただいてありがとうございます。
これを見る限り、この2年間の間に、国としてというか、達成した法令のデータをきちんと整備して国民に提供するということは、もう革命的な変化というか進歩したと評価していいと思います。この後、さらにこれを徹底するというフェーズに入るのだなということを非常に実感したところです。そのことを力強く外に向かってもアピールを是非していただきたい。ここまでできるようになった。少なくとも、e-Gov法令検索がリアルタイムに使えるようになったというのは画期的なことだと僕は思っていて、それを官庁の中だけではなくて、使えるようなったよというだけではなくて、国民全員がそれを信頼して使えるようになったということですので、そのことを大きくアピールしていただきたいと思います。
それから、幾つか質問とアイデアなのですけれども、1つは、法規範性の話をどう分類するかというのは、僕は素人なのでうかつな発言かもしれませんが、まさにAIみたいなもので分類できるのではないのか、基準をつくる手がかりにならないかと思ったりしますので、その辺りを関係業者の方、技術者の方にご協力をいただけるとありがたいと思います。。
法規範性というのは、我々、法社会学とか法哲学とか、実定法でもそうかもしれませんけれども、結構重要なポイントというか、判断が抽象的になりがちだけれども、みんな関心を持っているところですので、そこにそういった機械的な支援があってうまく仕分けができてつくっていけるということになると、法規範性の意味そのものもはっきりしてくるという研究上の評価もあるので、ぜひそういったことを積極的に取り組んでいただきたいということがあります。
もう一つは、角田先生が最後におっしゃいましたけれども、保管の部分への連携がどうなるのか。これまでの告示については、ばらばらに存在して、入るものが入るし、入らないものは入らないという感じになっているみたいなのですけれども、これもどう保管するのか、見えるようにしていくのかということが、今のところ、告示のデータの部分と、これまでやっている法令の部分と、別々のデータベースをつくるというイメージなのか、1個なのか、当然1個であるべきだと思うのですけれども、そのときの法令XMLスキーマにするという標準化の方法が統一的にできるのかどうかというところをぜひ目指してほしいということ。
あと、これは恐らくこのワーキンググループの中でしか言えないと思うのですけれども、正直、事務局を含めてデジタル庁の体制そのものの中で、今、大きな変化が起こるときに、まさに体制をと少しおっしゃいましたけれども、これについてはよくよく国全体として資源を投入していただきたいということですね。
この間の一括法で改正するものも、もう膨大なアナログな作業があったとのことで、すごく大変な負担だったと思うのですね。あれ1回で終わりになるということは多分あり得なくて、何回か波は必ずやってくるので、それに向けて陣容の拡充といったものも視野に入れていただきたい。この時期に、一気にやっておかないと将来に禍根を残すレベルで進まない部分として残ってしまうところが多分あるというぐらい大きな波だと僕は思っているので、ぜひそういった意見があったということは広く上にお伝えいただきたいと思います。
例としては、韓国の法制処がデータベースをつくるときに、非常に不景気で、国際機関から支援を受けてやるときに、失業者対策で法学部出身の人をいっぱい雇ってデータベースを一気につくったというような、一気に国費を投下してやる価値があるというか、そこでやらないともうできないというぐらいのものだと思いますので、そういった意見があったということをお伝えいただきたいと思います。
以上です。
事務局(中野): ありがとうございます。
上に伝えてほしいという大変心強いご指摘に関しましては、まさに私の上司も今この会議に出席しておりますので伝わったのではないかというところではございますけれども、上司にもお伝えさせていただきます。
その上で、角田先生からのコメントでございますけれども、告示を作る際に、画像のようなものが大量に入っている場合がございます。特に様式とか表のところでございますが、こちらはデータの構造化が必要だというのはご指摘のとおりですし、我々、この点は今日も総務省の調査でご指摘をいただきましたけれども、何分、専門的な知識が足りていないところが多々あろうかと思いますので、角田先生にもまさにご指導いただければと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
その次に、告示をベースレジストリにしていくというときに、これについてどういうふうに国立印刷局なり国会図書館には移動していくのかという点でございます。この点、国の告示は、基本的には官報に載っていますので、官報のデータとしては、先ほど内閣からも説明がありましたとおり、国立公文書館で保存することになってございますが、溶け込み条文のデータと申しますと、これはXMLデータ全量を我々は随時、世の中に公開して取得できるようにしているわけですけれども、こちらにつきまして国立公文書館や国会図書館において取り扱っていただいているのかというのは、大変恐縮でございますが、私はこの場でお答えできないところがございまして、少し調べさせていただこうと思います。
次に、全体像についてご説明させていただきましたけれども、米田先生の革命的であり、これをアピールしてほしいという点は、対外的にもアピールさせていただきたいと思って、ウェブページ等も昨年の調査・実証の内容を含めて掲載させていただこうと思っておりまして、これまで法令APIハッカソンとか法令×デジタルのイベントをさせていただきまして、かなり多数の方にもご参加いただいております。官報の電子化もそうですけれども、昔、教科書で、紙で慣習法で公布をやっているというのが、法律もできて電子化もされているというのは知らなかったといった指摘を受けることもあり、まだまだ確かに知られていないところがありますので、これはアピールしたいと思いますし、何より有識者の方々にアピールいただくというのは我々がアピールするよりもよほど波及力がありますので、この点についてもご支援いただければと存じます。
あと、法規範性の話でございますけれども、AIとかでできるかというところは、我々も今まであまりアイデアとして抱けていなかったものでありますので、どこまでできるのかというのを確認してみたいと思います。
あと、どのように保管していくのかというときに、1つのデータベースなのか、2つに分かれてしまうのかというのは、告示に関してどういったデータがあるのか、どういったものを対象とするかというところを今後検討した上で最終的に決定していくということでございますけれども、現時点ではもちろん先生ご指摘のとおり、例えばe-Gov法令検索とe-Gov告示検索みたいに分かれることがないように、可能であれば1つにできればというのは我々は考えているところでございます。これは検討を進める中で、最終的に方向性を決めていきたいと思います。
最後、4つ目でございます。先ほど少し先取りで言ってしまいましたけれども、まさにこの告示の取組を実際にやっていくとなると、洗い出してみると相当な業務量が発生するというのが既に我々も分かっているところでございまして、さらにこのシステム開発も同時並行でやっている。まさに日々、e-Gov法令検索のデータベースも更新していくということをやっているわけですので、もちろんリソースに限りがありますから優先順位をつけざるを得ませんけれども、体制確保も図ることができればと考えているところでございます。誠に貴重なご指摘をありがとうございます。
それでは、足らざるところがあろうかと思いますので、追加でご質問等をいただければと思います。安野先生、お願いいたします。
安野構成員: ありがとうございます。
私からは1点コメント、1点リクエストみたいな形で言わせていただければと思います。
まず1点目のコメントのところで言うと、皆さんもおっしゃられていましたが、この数年間、何が起きたかというまとめを見ると、本当にいろいろなことが進んでいると思っておりまして、すごい進捗だなと改めて今日も感じました。
一方で、今までが別に遅かったという意味ではないのですけれども、今後本格的になっていくところとして、プロトタイピング、ツール作成、システム開発というところが来るのだろうなと思っております。
2点目のリクエストというところで言うと、ここの進め方というところで、ぜひプロトタイピングというところで事前に仕様を決め切ってしまうと難しいみたいなところがあると思うのですけれども、何を言っているかというと、仕様をがちがちに決めた形の開発と、いわゆる民間でやられているようなプロトタイピング、イテレーションを回しながら開発していくというものの間の悪いところに入らないといいなと思っています。
ちゃんと仕様を決めていく形だと、プランがあって、そこから実際にこれくらいできたね、なので達成度が分かりやすいとか、差分が分かりやすいみたいなところはありつつ、プロトタイピングという側面を押し出すと、計画から違っていても全く問題ないよねということで、何と言葉にするのがいいのか、ぬるっと進んでいきやすい形にもなるなと。
2つで、1つはプロトタイピングしながら進めていったほうが実際に使えるものができやすいと思うので、現場の開発している人とかユーザーに近い人に権限を渡しながら、裁量をなるべく与えてあげたいなという思いが一つあります。
2つ目は、だからといって振り返りというプロセスがなくていいということではないと思っていて、最初にこう思っていたけれども、ここが違ったのでこういうふうに仮説を修正しましたというような学びがきちんと残されてアウトプットされる。その2つを担保していただく形だと、すごくいいなと思っています。リクエストでございました。
事務局(中野): 貴重なご指摘をありがとうございます。すごく進捗をしているという応援の言葉もありましたし、一方で、私ごときが安野さんのような本格的なシステムの開発をされている方と同じ解像度であるとは思いませんけれども、ご指摘のところは非常によく分かるというのが正直な感想ではございます。
今回のシステム開発も年度末に成果物をまとめて納品いただくということではなくて、期間を区切って、一定の区切り、例えば今年度でいいますと6月末とか、そこまでにできたものをひとまずワンサイクルとして振り返った上でまた次のサイクルに取組を見直しながら行うというような進め方をやっておりまして、あまり国では数の少ない開発の仕方ではないかと私自身が見る限り思っています。
今いただいたご指摘もおっしゃるとおりでして、実際にプロトタイプをつくってみたフィードバックをそこに反映していくようなサイクルをつくりつつ、「ぬるっと」というお言葉でしたけれども、気づくと、期限がずるずるずるずる遅れていくと何もできないということがないように、安野構成員と別途お話しさせていただきたい、お時間をぜひいただけたらと思いましたけれども、そこは我々自身もある意味試行錯誤をやっているところがございますので、またご意見をいただければと思います。貴重なご指摘をありがとうございます。
時間も過ぎてしまいましたので、米田先生が手を挙げられたように一瞬見えましたけれども、大丈夫でしょうか。
米田構成員: 今、安野さんがおっしゃってくださった悪いパターンならないようにというのは、いつかの時点までにこの完成形でやるというのを決める、つまり、支援システムをここまでつくって、人でここまでやるのだということを仕分けしてやらなければいけない時期が必ず来るので、その具体的なものを提供するスケジュール感を意識しながらやらなければいけないということは改めて確認したいと思います。
角田先生がおっしゃった、さっき中野さんからもお話がありましたように、僕は保存の問題をすごく心配をしていて、これまで紙で持っていたものを全部デジタルで持つようになると、やり方も習慣も担当する人も変わってしまうということになるので、その辺の連絡関係をはっきりさせてほしいということ。
さらに、自治体にたいへんな影響がある法令改正がいっぱいあると思うので、そこも意識をして情報提供なり、先ほどのアナログ規制点検ツールα版というのを提供していると言っていましたけれども、ああいうものも自治体にどんどん提供できるような形で進めていただければと思ったことを最後に、たまたま一段落がつくような報告をいただいたので、改めて伝えたいと思います。ありがとうございます。
事務局(中野): 貴重なご指摘、ありがとうございます。開発の期限、保存の問題、自治体との関係、いずれも大変重要な点で、我々も意識しておりますが、足らざるところがあろうかと思いますので、引き続きご指摘等をいただければと存じます。
それでは、お時間を過ぎてしまいまして大変申し訳ございません。以上をもちまして、本日の議事は終了でございますので、本日の議事は、ご異議がなければ議事録を作成し、皆様にもご確認いただいた上で、公開資料につきましても全て公開させていただくということを考えております。
最後に、蓮井審議官、ご挨拶をいただければと存じます。
蓮井審議官: 改めまして、デジタル庁の蓮井でございます。
本日は、関係府省庁にもご参加をいただきました。構成員の先生方から、法制事務のデジタル化等についてのこれまでの取組状況を我々からご説明させていただいたことに対しまして、また、今後の取組方針につきましても、様々なご提案、闊達なご議論、さらには強いご期待をいただいたと、改めてご礼申し上げます。
引き続き、前回の本ワーキングでのご指摘も踏まえまして、業務フローも見直しながら優先順位をつけて開発・実証を行い、早期に利便性を向上させることを目指してまいりたいと思いますが、その際、本日ご議論いただいた電子官報との連携、さらには総務省の調査研究についてもしっかり参考にさせていただければと思っております。
また、告示データのベースレジストリの実現については、引き続き高いご期待をいただきましてありがとうございます。
これまで整備の対象としてきたデータを大きく拡充することになります。先ほど来、体制も含めてご議論をいただいたところでございますけれども、その体制に見合った整備対象データの範囲を整理しながら、着実に検討を進めてまいりたいと思っております。
さらに、いろいろ体制についてのご指摘を頂きましたが、しっかり受け止めさせていただきまして、どこも人員不足ではございますけれども、こちらの分野でもしっかりと人を充てるべく我々も尽力したいと思っております。構成員の皆様方にも引き続きのご支援をいただければと思っております。
また、政策の企画・立案段階から、業務設計、情報システムの整備・運用に係る検討を行えるようにということで、デジタル法制審査の話でございますけれども、これにつきましても、私どもは、特に今後重点計画の策定に向けまして、制度だけを改正するのではなく、さらにシステムに寄せるわけではなく、BPRの観点を踏まえて制度と業務とシステムを一体としてしっかり検討しなければいけないという問題意識を強く持ってございまして、こういった観点からもデジタル法制審査を一層運用の強化をしてまいりたいということでございます。
以上、簡単ではございますけれども、引き続き先生方のご指導をいただければと思っております。今後ともよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
事務局(中野): ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして第4回ワーキンググループを閉会します。本日はご参加いただきましてありがとうございました。引き続き、何とぞよろしくお願いいたします。