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デジタル交通社会のありかたに関する研究会(第4回)

概要

  • 日時:令和4年5月27日(金)10時から12時まで

  • 場所:デジタル庁20階 会議室(オンライン併用)

  • 議事次第:

  1. 開会
  2. ご発表、討議
    「自律移動ロボット・3次元空間情報基盤に関するアーキテクチャ設計の検討状況」
     IPA DADC 齊藤様
  3. 今後のとりまとめについて
  4. 閉会

会議動画

会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。

資料

関連政策

議事録

村上統括官: よろしくお願いします。

いよいよ終盤戦のまとめに近づいてきたのですが、お願いしているとおり、これまでの官民ITS構想・ロードマップがどちらかといえば技術のサプライサイドから制度とテクノロジーのタイムロードをきちんと書いていくという形で、今回はそれを使う暮らしの側の線表も上に載せて描いて1枚の絵に起こすということを目指していきたいということなのですが、終盤に当たってぜひ御検討を賜れればと思うのは、確かに上まで広げてこの移動手段ができたこと、誰がどう使うかという絵を描くのもいいのですけれども、この上半分と下半分が本当にリンクしておるのかというところが大変難しい。それはお役所が思い込んで上と下であれも欲しいと絵を描いたら、それはないよりははるかにいいと思うのですけれども、あったら動くかというと、そういうものでもないでしょうというところ。小さなことでもいいのですけれども、上側で暮らしぶりの変化で起こるべきことと下側で整理すべきいよいよ実装に近づいてきた、当たり前のように事実上レベル4に近い車はもう世の中に実は走っておりますという状況の中で、リンクさせるフックになるような物事というのは一体何なのだろうかということを上手に探して、それがささいなことであっても、逆に言うと、今回これをベースに作成するロードマップの一つのキーファクターになる可能性があるのではないかと思っています。

あとは、途中でデフォルメした例で御紹介しましたけれども、バス会社、タクシー会社それぞれ2社あって、4社とも経営が苦しいのだけれども、運んでいない事業がそこに残っていると。人口減少下でバスの本数は減らさなくてはいけない状況下で需給を調整しろと言っても、供給側からでは調整できないので、みんなでデジタルインフラをシェアして、供給のほうが需要に合わせて迎えに行くという社会に転じなければいけないのだけれども、その投資をシェアする仕組みができないので、理屈は分かっているし技術もあるのだけれども投資が動かないと。そこの現実の運用まで含めた投資が動かないので、やるべき理屈は分かっているのだけれども物事が動かない。この辺が交通に限らずデジタル田園都市全般でも議論になってまいりますので、今回、基本方針というものを6月に出すのですけれども、12月の総合戦略に向けてと今後のデジ田の交付金を各地域にどう使っていただくのだという中でも、いろいろな地域の実践をデジ田のコンテクストの中でやっていくことも一つの場所としては考えられると思いますので、ぜひ上と下をどうリンクするか、そこをつなぐ鍵となるような投資のビジネスモデルをどう組み上げていくか、その辺を少し意識した上でいろいろな視点から御議論を賜れればと思いますので、本日もぜひよろしくお願いいたします。

以上です。どうもありがとうございました。

石田座長: では、今日もよろしくお願いをいたします。

いつものとおりなのですけれども、Teamsのチャットで発表中でも構いませんので、どんどん投稿していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

続きまして、IPA DADCの齊藤様よりプレゼンをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

齊藤構成員: それでは、IPAのDADCで検討している自律移動ロボット・3次元空間情報について紹介しておきます。

ここで検討しているのはSociety5.0、いわゆるデジタル社会というところに向けて、将来どういう社会になるかというところを想定しながら、アーキテクチャを含めて、それぞれのこれからいわゆる開発や実際の社会実装が進む中で、例えば今まで言われている協調領域というところを決めるのであれば、そのところをきちんと決めて実装に反映していかなければいけないというところで、どちらかというと見取図をつくりながらアジャイル的なSociety5.0のつくり方をやるために、アーキテクチャ設計を全体でビジョンの下にやっていきましょうというところが、DADCが進めているところです。

DADCは御存じのように、中立透明な組織で、いわゆる産官学一体になってある意味では有識者を集めながら将来を想定してどんなことをやるのかを決めていくという組織で、その中で考えているところで、今、自律移動ロボットと契約・決済のような話があるのですけれども、その中身の今回は自律移動ロボットのところの紹介です。

ここにありますSociety5.0のアーキテクチャの必要性というところは、Society5.0は何回も言われているように人間中心で各個人が最適な体験を得られるとか、脱炭素、少子高齢化といったいわゆる時代の課題に対する対応を可能にしていく中で、例えば人の判断をデータやAIが代替していくときにどうなるかとか、人とマシンが共存するときにどうなるかとか、ある意味ではユーザーエクスペリエンス、「コト」が中心になったときにどうなるかを想定したアーキテクチャを含めて、それぞれのところがばらばらに取り組んできた従来のやり方の延長線上ではなくて、将来のビジョンを含めたアーキテクチャの中で逐次開発を進めていければいいなということでやっていく内容です。ここには書いていないのですけれども、この背景にはデータ駆動型、データドリブンという話がもう一つあって、Society5.0というのはデータドリブン型の社会になる。これはいわゆる三現主義、現場、現物、現実をデータでつかまえながら改善していくというサイクルもここに入れながら考えていこうということで、我々としてはアーキテクチャ、その中にデータをきちんと考える形でスタートしております。

アーキテクチャの設計における主なポイントを3つ挙げています。基本的には一番上にあるステークホルダーの共感やユースケースの事業性の両立という観点で、顧客や社会目線でビジョンやユースケースを具体化して必要機能を規定することを想定してやっていくと。2つ目は協調領域や競争領域といういわゆる経済発展やイノベーションが必要なためのそういう領域を協調領域として決めて、必要機能の視点の割当てに対してはレイヤーやモジュール構造を規定していくことを想定していきましょうと。3つ目に安全性や信頼性の確保とイノベーションの促進の両立を図るために、いわゆる社会実装や普及に向けたインセンティブやエンフォースメントも具体化が必要だということで、そういうことも想定しながら進めていこうということでやっております。具体例としてそこに中間報告書が書いてありますが、興味のある方はリンクしてもらえば詳細な内容を記載していますので、お願いします。

なぜ我々がビジョンやユースケースを想定するかという話は、サイバー空間やフィジカル空間がこれから高度に融合して、人間中心で社会的な課題解決と経済発展を同時に実現するような将来ビジョンは、逆に言うと、あるべき姿を想定しながらそこに向けて逐次取組を追加していくようなことが必要ではないかと。何となくサグラダファミリア的なのですけれども、何年もかかるところは最初にアーキテクチャを決めてその中で逐次実行していこう、それも逐次修正しながらやっていこうというのが一つです。だからビジョンが必要だと。右側にありますけれども、我々が想定しているのはロボット、デジタルで効率アップ、見える化といった単なるそういうものだけではなくて、先ほど申し上げたデータドリブン型で社会課題を解決しながら富を創出、人間の生活を豊かにしていく、そういうところを実現していくための動きが必要だと。EBPMの話も含めてそういうことも想定しながらアーキテクチャを考えなければいけないということで進めております。

その中の設計のイメージなのですけれども、我々としては今は縦、横、ガバナンスということで、先日の白坂先生のところで紹介がありましたが、基本的には縦の連携は、データ流通やCPSの信頼性を確保して変化への対応を柔軟にしていくようなレイヤー構造や、官民、省庁がそれぞれ開発するのではなくて、共通のレイヤーを設けて社会全体のコストを抑制していく、そういうことを考えていくというので縦の連携を想定しようと。横連携というのは、いろいろなサービスが民間でも出てくると思います。官の中でもいろいろなサービスが出てくると思いますけれども、サービスの相互運用性を確保してモジュール化されたサービスの連携ができるように、そんなアーキテクチャを考えていきましょうと。これは実際には利用者がいろいろ選択できるような多様性も提供されるということで、こういうアーキテクチャを想定していこうということで進めております。それと、こういうデジタル社会のCPSの世界、サイバーとフィジカルの融合された世界では、今までにない新たなリスクが発生する中に新たなガバナンスの仕組みが必要になりますので、この辺もイノベーションをある意味で活性化していくような、そんなことを想定しながらガバナンスも変えていかなければいけないということで、ここもアーキテクチャ設計の範疇に含めながら進めております。

現在、我々がどういう立ち位置かというと、司令塔のデジタル庁の下で、自律移動ロボットアーキテクチャについては主催省、経産省のところで産業に関わるルール整備や民間企業向けのシステムの開発や導入を支援していくことをNEDOも含めてやっていく、経産省と各省庁が連携する中に我々DADCに有識者の検討会を設置し、アーキテクチャ設計をオールジャパンの形でやっていこうとしているところでございます。優秀な人間がいつもそろっているわけではなくて、民間や教育機関から逐次参加してもらいながら、ある意味では日本社会の共通インフラをみんなで一緒に考えようぜという場所で、中立透明ということをうたっている内容でございます。

こうした中で、自律移動ロボットにより実現される社会を紹介しますと、基本的には自律移動ロボットでデジタル完結と自動化・全体最適化が進む社会システムを構築して、現在言われているデジタル田園都市国家構想の実現に向けて、人々が時間・場所の制約から解放されて価値ある活動に注力できるような形にするとか、新しい資本主義の実現に向けてエコシステム全体で成長して利益が適切に分配される社会を実現していく。そうした中で、社会課題解決や産業発展につなげるということで、下にありますように、例えば具体化にはいつでもどこでも「コト」「モノ」が享受できるような話とか、産業の魅力向上や活性化ができるようなところとか、収益の向上・共有ができる、こういうところを実現するためのアーキテクチャを考えていこうということで進めております。その一番下にあります社会・利用者・事業者の課題解決・便益向上という観点では、現在言われている少子高齢化や過疎化、労働力不足、災害の激甚化、インフラ老朽化ほか、産業界の国際競争力低下に対応したところを、カーボンニュートラルも含めて、そういうところに対応しながら考えていこうということで、ここを想定した形でアーキテクチャをつくっているというのが現在でございます。

我々の取組の紹介なのですけれども、基本的には我々のところは、ここで議論している住民視点で生活サービスをどうするか、コミュニティーをどうするかというよりは、ある意味ではインフラとして例えば今の自律移動ロボットが使われたときにどういう使われ方があるのだろうということを、ここにありますように、左からインフラ/公共の分野や第一次産業、第二次産業、第三次産業のところで、その利用シーンとしては運搬や調査、作業を想定しながら、ここで使われる場合にはどういうインフラが必要なのだろうみたいな話を考えて、それぞれユースケースの下に利用シーンの中でアーキテクチャを想定して、それをある意味では抽象化しながら協調領域を見つけていこうということで進めている内容でございます。この上に実際にここでやっている住民起点でのいろいろコミュニティーをつくって、そのデータを活用しながらいいサービスを提供していく、いいまちづくりをしていくというのは、どちらかというとこの上に乗っかる実際のデータ活用の世界に今のEBPM的なものが乗っかってくるイメージで、我々はどちらかというとその下の「モノ」を動かすところを具体的に考えて、その利用シーンでのアーキテクチャ、インフラとしてのアーキテクチャをどうするかを検討しているというのが現在でございます。

ここでは災害対応に関する課題ということで、そこに向けた具体的な内容でどういうことを考えて進めているかを紹介します。基本的には東日本大震災でもあったように、平時、有事、災害時、いろいろな平時ではないことを想定した災害時のインフラ、「モノ」の供給も含めたインフラシステムを考える必要がある。我々国としては、国民の命を守る、生活を守るためには、今、民間で進めているいろいろな社会実装に向けた商業的なインフラづくりに加えて、それを連携させた形で災害時にはこのようにしなければいけないということを想定した、いわゆる被災者目線でのインフラとしてどうあるべきか、それを連携させて生活、国民の命をどう守るかという観点で、ここは国が進めるべき内容かなと思いながら、災害というところを最初に想定しながら進めていると。

基本的には災害のときに、ここにありますようにライフラインの断絶や情報の不足、避難所生活での不安・不便がいろいろなところで言われている。その中に詳細がありますけれども、例えばライフラインの断絶では、首都直下地震では発災後の1週間で食料約3400万食が不足するとか飲料水が不足するみたいな話が盛り込まれて、こういった救援物資の供給体制に課題があるよというところに向けて、ここのライフラインを途絶えさせない仕組みをどうしたらいいのだろうと。空路やロボットの活用によってそれをつくり上げるにはどうしたらいいのかを考えているものですというのが一番左の話です。

その後、右側には情報の不足があって、基本的には災害時には正確な情報の把握が難しくて、いわゆる初動対応も含めた対応策が現状なかなかできていないと。そこを今もロボットを使いながら、ロボットだけに限らないのですけれども、基本的には被災地の情報を集めて正確・迅速に判断ができるような仕組みを考えなければいけない。これは民間単独でやる話ではなくて、そういうインフラを連携させた形で、デジタルインフラを連携させた形で情報を集める仕組みも考えたほうがいいよねということで真ん中を考えている。

最終的に、被災者の視点では避難所生活ということで、十分なケアが行えない、ストレスも感じる、不安も感じるというところを何とか緩和するような仕組みをどうしたらいいかと。こういう視点で、例えば住民視点で考えたときに何を準備したらいいのだろうというのを想定しながら考えているというのが今の話です。課題を被災者視点で捉えてシステムアーキテクチャを考えていきましょうと。これが今の流通ルートのあるレイヤーのところにきちんとつながる形でできてくれば、社会インフラとして活用できるのではないかということを想定してやっております。

現在各所で進んでいる話、具体的な既存の取組がありますけれども、これは災害時に必要な情報収集・意思決定・運行管理等のタスクを一括管理や支援するソリューションの提供が進んでいるという内容で、ドローンの空撮画像やAIによる画像処理といったところが進んでいるということで、ここにあるいろいろなユースケース、初動対応から情報収集に向けて、サービス提供者が各所でそれぞれやっているような話、機体メーカーも含めてそこにメーカー、ベンダー側を記載していますけれども、そこで進んでいるところを連携しながら、トータルとしてアーキテクチャを協調領域、こういうところをどうしようかということで、ある意味ではさっきのアジャイルではないですけれども、具体的なテーマで進んでいるところと連携しながら、最終的に目指すアーキテクチャのところの協調領域、各メーカーがやる競争領域的な話と協調領域的なところを考えていこうという取組を進めております。

災害対応に関するTo-Beのユースケースということで、今、災害のときに大体こんな流れになるねということで、そのときに何が必要かを整理したような内容です。これが全てではないのでこれだけだと思ってほしくはないのですけれども、こういうことで想定しているという内容です。まず、地震発生のときに、例えば運搬ではロボットの集中管理、調査では情報の一元管理、作業では危険な救援作業を人にさせないということで、そこにありますような形で、例えば運搬では災害対応に最優先で充当させるような仕組みを置かなければいけないので、ロボットを集中管制下に置くような、そんな仕組みが要るのではないかとか、調査のところでは全ての情報をステークホルダーで共有できるような、そんな仕掛けも要るのではないかとか、作業ではAIで最適化された自動的な作業の実施が必要なのではないかとか、そんなことを想定しながらまず対応していく。数時間後には支援の物資供給や被害情報の収集が始まって、さらには数日後には早期の復興や迅速な被害額の査定という話もあるので、そこに向けてどういうことを想定したらいいのだろうと。また、避難所の支援や周辺の整備ではどんなことを考慮しなければいけないかという話を考えて、こういうユースケースの下に具体的なアーキテクチャを考えていきましょうということを進めています。

もう一つ、我々がつくり上げるアーキテクチャというところで、ここは災害の話をしていますけれども、基本的にはいろいろな課題やユースケースから社会的価値、これは少子高齢化や災害・感染症、生活の質といった観点の社会的価値、それと経済価値、これは収益の増加や安全性向上、労務費削減、設備費の削減といった経済価値という視点で、アウトカムを整理しながら、今回つくり上げる自律移動ロボット・デジタルシステムの活用によって、そのほかのあらゆる手段も組み合わせた形でのアウトカムの指標を改善する方法を具体化する、そういったことをやっていく必要があるということで、こういうところも想定しながら取り組んで、KPIなども含めて改善をどうしていくかも含めて検討している状況でございます。

そうした中で、我々がこれまで検討してきたユースケース分析から得られる示唆という観点でまとめております。基本的には迅速かつ適切に多様なニーズに応えながら効率よく事業を運営するためには、モビリティを多業種で利用できるようなマルチドメインの形や、モビリティやインフラ、データを共同で利用するようなマルチパーパスの形、様々なモビリティを連携させてミッションを遂行するマルチモーダルの形をシステムとしてはできるようにしていくのがいいのではないかということを挙げています。具体的にまだこれからなのですけれども、システムとしてつくり上げる国が考えるアーキテクチャの中にこういうものを想定して協調領域を考えていけば、そのときに民間がやっているところをあるところで連携させる形ができていくのではないかということで、こういうマルチモデルによるサービス運用をできる形の協調領域を想定していくということで進めております。

ここはデジタルアーキテクチャですね。我々が想定するアーキテクチャの中を抽象化して大きく捉えると、上から安全をマネジメントするシステムとか、運行をマネジメントするシステムとか、IoTのインフラ、個別のもの、運行マネジメントでいろいろミッションを実行するときに情報や取引を仲介するシステムとか、サービスを提供するシステムで、それを介して利用者が移動ロボットの便益を得るような形にしていくということを捉えていまして、これは何となく複数それぞれのシステムのところに書いてあるのは、このレイヤー構造の中にモジュールが存在するということで、1つではないよ、複数連携するような形になるよということで、奥行きのところの幅はモジュール構造を示しております。それに今回紹介する空間情報の話が加わって、安全や運行と連携しながら、空間情報を使って、ここではドローンを想定していますけれども、それをうまく運行させるような仕掛けをどうしようということで、空間情報の話をさせてもらいます。

これは空間情報を流通させるシステムの概要で、3次元空間情報基盤と言っていますけれども、基本的にはデジタル完結・自動化・全体最適化を目指すという中に、自律移動ロボット・システムが異なる種類の空間情報を簡易的に統合・検索している、ある意味ではデジタル化、いわゆる離散化してデジタルの領域で取り込んで軽量で高速処理ができるような仕組みをつくって、さらに異なる基準に基づいた空間情報でも一意的に位置を特定できるような3次元空間IDを検索キーにしながら、基本的にはいろいろな鮮度の高い空間情報を高速に自動的に結合できたり、簡単に検索できるような、そんな技術開発や標準化をやっていきましょうということをやっています。

ボクセルというものが中に含まれているのですけれども、ここは空間としてはそういう箱の中に情報が埋め込まれて、基本的にはドローンが飛ぶときに、あるボクセルのサイズに合わせて、この領域に「モノ」があるとそこにIDがくっついてどういうものかという話と、そこはぶつかるので飛行ができない、飛行不可の領域をつくって、右側でいくと飛行可の領域を決めながら飛行させていくということを考えた空間情報のデジタル化を図っていこうと。これによって高速にいろいろな処理ができて、いろいろな連携がやりやすいということで、リアルタイム性を担保するためにこういうことをやっているというのが一つです。あとはいろいろな地図情報をIDでリンクさせて、いろいろな人たちがそれぞれつくった情報を連携させるような基盤をもう一つつくりたいということでやっている内容です。

空間情報の具体的なイメージなのですけれども、例えば左側、これは気象データです。気象データから下に行くと、風速5m/s以上のエリアを抽出して、ここはドローンは危ないねというところを抜き出しながら、真ん中に建設データ、これはPLATEAUのデータなのですけれども、そことひもづけて、ここには建物があるねと。そこを空間情報として重ね合わせながら、ドローンの飛べるエリアをきちんと規定していこうという話をやっております。また、ここのボクセルの中はサイズがいろいろ変えられるという中に、例えば大きいところで50メートルピッチでボクセルサイズをつくっても、中に子ボクセルを設けて、いろいろな情報がある意味で小さいサイズでも求めるようにしているということで、こんな空間情報の世界をつくっていこうということで検討しているところです。

これは3次元空間情報の基盤の基本的な考え方で、現在、有識者の人たちと、アーキテクチャを利用する中にこういうものがいいのではないか、分散型の基盤システムのアーキテクチャがいいのではないかということで考えている設計の方針を示しています。これはデータ提供からデータ活用までのレイヤーを整理して、機能をモジュール化しながら、インターフェースやモビリティのIDや空間のIDを標準化することと、異なる者が運用する多数のシステムで構成される分散型の基盤を構築して、膨大な空間情報を効率的に流通・活用できるようにしていく、こういうインフラを考えている。例えば平時には利用者や社会のニーズを踏まえた最適なモビリティの運行を行うMaaS、ひいてはスマートシティのような話を、ここのデータを活用しながら計画していくような話にもつなげたいし、災害時には多数のモビリティが協調して対応することでタイムリーな被害状況の把握、その共有とか、物資の配送などの実現につなげるような、そういう空間情報のシステムを想定した基盤を考えていきましょうと。

特に右側に協調領域の機能とありますけれども、ここも重なって見えるところは、いろいろな公的機関かどこかのメーカー、ベンダーが対応するにしても、それがモジュール的に共通的に扱えるような協調領域を設けて、そこのカタログをつくったり、データカタログやシステムカタログをつくったり、そこに向けたライブラリーやツールの共通ソフトウエアをつくり上げるとかルールをつくり上げる、これを協調領域として我々がきちんと整理していって、このアーキテクチャの下でいろいろなものが連携できる形を実現していこうということで進めております。

最後のページで、こういうことをやりながら、現在どういうことを想定しているかというと、2021年度はドローンを中心に我々はアーキテクチャを設計してきました。2022年度からは地上のモビリティのアーキテクチャ設計も今から進めていこうとしております。また、土地系のベースレジストリや3Dの都市モデル(PLATEAU)や地理院タイル、ビルOS、次世代取引基盤等の関連分野との連携も継続的に進めていきながら、基本的には2024年の末までには空間IDの標準化を終えて、2025年には地方都市郊外での本格運用、そして、2030年度は都市部での本格運用を目指して、ユースケースにありますように、産業向けのユースケースから一般消費者向けのユースケース、こういうものを浸透させる施策を展開するとか、設計・開発は、真ん中にありますように、最初に設計・検証をしながら、ミッションも含めた実証・研究をして、その後、実装した中にアーキテクチャのメンテナンスをしていく、そんなことを考えながらやろうとしています。

以上で私の説明は終わります。

石田座長: ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に関しての質問や私はこんなことを考えていますみたいな、何でも結構ですが、いかがでしょうか。

村瀬構成員: どうもありがとうございました。大変参考になりました。

4ページの2番目の協調領域と競争領域のところなのですが、例えばこれはどのように考えていったらいいかというと、17ページに全体のアーキテクチャみたいなものが書いてあって、ここにうっすら線が引いてあるのですが、安全マネジメントするシステム自体を政府というか国でやってしまうという意味なのか、それとも安全マネジメントの中に先ほどおっしゃっていたこういうモジュールがいっぱいあって、そこの幾つかを共通化していくのか、どのように競争を考えていったらいいのかというのが一つで、どういうものが一番いいか。

前回、葛巻様からもあったように、各社で始まっているわけですね。僕らもやりたいところがあって、コンペティターの皆さんもやりたいところがあって、先行投資も進んでいく中で、大きな力である程度は強制的にやっていかないとこういうものはできないような感じがするのですけれども、そう考えていればいいのですかね?。

齊藤構成員: これは有識者のところできちんと決めるべき話だと思うのですが、私自身は安全はある意味ではヨーロッパで進めている設計のところからきちんとしていくという話と、ITも含めて今度は自動化された世界はみんなつながるわけですね。IoTの世界にみんな入るわけです。これはそれぞれ勝手にではなくて、一つの面として安全、トラストみたいなところは、本来国がここはこうするのだと決めていかないと駄目ですね。その上で、逆に言うとある意味では民間は第三者機関で、例えば公的な、鉄道や電力は公益企業ではないですか。そういうところでみんなでやったほうがいいのだねといったらそういう機関に投げて、例えば認定や認証みたいな機関ですけれども、そういうものは別出ししていくようなところを、本来はあるべき姿を想定して決めていくのがこれからの話だと思っているのです。

民間で、安全の話で、ある意味では思い思いにつくっていて、安全やトラストみたいな話は凸凹があるのですね。本来はそれはそろえるべきなのです。だから、ここで言っている安全マネジメントのシステムは、単にシステムがあるだけではなくて中に埋め込むもの、そこのつくり方ややり方みたいなところのフレームワークとか、ある意味ではソフトウエアのある部分のアーキテクチャみたいな話も規定してそこを実装していくようなことをやらないと、私は最終的に今のAIで全部つながるロボットで動くような世界が、インフラが出来上がったときにえらいことになると。だから、今、進めているときは実害はないのでいいけれどもという話なのですけれども、最終的にはそこを目指そうぜと。だから、今のシステムの次の時代に、今、経験を積んでアジャイル的に何かやりますね。次のときには例えばバージョンアップみたいなところにこういうものを逐次埋め込んでいって、だんだんシステムとしての品質を高めていく。そういうものをやっていくことが必要だなと私は思っているのです。本当は有識者のところでそのようにしましょうと言うのが本来の筋で、私がこうすると言うのはおかしいのですが、そういう意味が一つなのです。
 
もう一つ、災害対応の話をしているのですけれども、実を言うと東日本大震災でぼろぼろになっていたのですね。みんなインフラ視点で考えて、結局インフラではこれだ、前提条件はこれだというインフラをつくったら、前提条件を始めたらぼろぼろになってしまった。本当は被災者の立場で何が起こったときに最悪のケースはこうだなというのを全体的に捉えてこういうものを決めていく必要があるので、そこは逆に言うと国が入って、ある意味では東日本大震災の被災者、ここでいったら住民視点で、これは絶対に安全・安心の世界だと必要だなというのは考えなければ駄目で、ここはモビリティの話だけしかしていませんけれども、実際にさっきの被災のところは、想定は電気やドローンが飛べるインフラがあるよという前提なのです。でも、本当はこれはないかもしれないのです。そのときにどうするのだというのは想定しなければいけなくて、逆に言うと、ここのインフラだってほかも含めて考えようぜという、災害対応や危機管理みたいなところが指令を出さないといろいろなインフラが連携できないですね。そういう動きになって全体をつくり上げるのだろうと私は思います。

日本はいろいろな経験値があって、これまでシステムを勝手につくってきたら、制御の世界も情報の世界も結局ずたずたになりました。改善活動は得意だから、アジャイルは日本は得意なのです。ただ、ビジョンがしっかりしていないから方向がばらばらになって、結果的に出来上がったものがきれいになっていない。だから、私はここをDADCで、まずは方向性を決めて、アーキテクチャを決めて、あとはアジャイル的に改善を繰り返していけば、それが日本全体でいい方向に行くのではないのと最初に申し上げた。そのときの必須条件は三現主義、現場、現物、現実が分かるようなデータをどのように捉えるかがまずあって、それでみんなが改善できるところでファクトをつかまえながらこうですよと言えば、多分みんな説得できますね。それがこのベースに必要だなという話を最初にデータというもので申し上げたと。そんな意味です。

村瀬構成員: ありがとうございます。

ぜひ我々ロボットデリバリー協会というものがあるのですけれども、そこで御講演いただきたいです。各社の思いを一つにするために。

石田座長: どうぞ。

白坂構成員: まさに今、センター長がおっしゃった安全のところですが、私は前回システム・オブ・システムズという話をしましたが、そこで難しい話だったので出さなかったのですけれども、安全について考えるときに、今まで我々がやってきた考え方を根本的に変えないといけないところがあります。我々はシステムの安全性を設計するときには、あらゆるユースケースを考える。特にモビリティは難しいのですけれども、でも、自動車業界は自動運転のユースケースをさんざん考えて、それをどんなときでも安全にするのだということでやってきた。でも、つながる社会、システム・オブ・システムズは何かというと、つなぐためのインターフェースが標準化されるのです。何が起きるかというと、将来何がつながるか分からなくなるのです。ですから、今までは設計時にあらかじめ全部考えるというのが前提だったのが、これからは何がつながるか分からないもの、つまりあらかじめすべてのユースケースを考えられない仕組みの安全をどう担保するかを考えなければいけない。

ですから、あそこで言ったシステムというのは、齊藤センター長のおっしゃったとおりで、ITとかそういうシステムだけの話ではなくて仕組みと捉えてください。つまり、全然想定していないものがつながりました。しかも、新たにつながったものを作った組織ともともとあるものをつくっていた組織は別の組織です。ここで何か問題が起きましたと。これをどうやって対処し、どうやって早く改善し、どうやって早く次に安全に動けるようにするかを考えなければいけなくなってきたのです。このあらかじめ想定することが本質的にできないようなものの安全性をどうやって社会として担保していくか。これは研究の分野でもまだほとんど進んでいないのですけれども、でも、何らかの形を仕組みとしてつくっていかないといけなくなってきている。

ですから、安全システムと書いてあるのですけれども、あそこはあそこですごく大きな難しい問題で、これは協調してやるしかないのです。しかも、これは同一分野だけではなくて、先ほどの齊藤センター長が言っていたマルチモーダルに出ていますけれども、違う分野がつながるのです。マルチモーダルでつながるのです。しかも、それがつながっているのが、常時つながっているのではなく、あるパーパスのときに一時的につながるのです。これがシステム・オブ・システムの特徴なので、ずっとつながっているのだったらつなげる前にというものが要るのですけれども、あるときはこっちとつながる、あるときはこっちとつながるという同一システムがマルチパーパス、マルチモーダル、マルチドメインという、まさにこれなので、これの安全をどうやるかみたいなことを考える。ですから、つなげられるよという仕組みを考えるとともに安全を担保すると考えたときに、業界横断でどこを協調すると我々はいいのだろうみたいなことを議論しなければいけない。すごく難しいところであり、これからつながる社会、Society5.0を我々が目指したときに考慮しなければいけないところなのです。

村瀬構成員: そういうところが共通の部分、共創の部分ですね。一番そこがコストもかかるし、頭も要るので、そうでないと中国や米国に負けてしまうところなのかもしれないですね。

桃田構成員: 村瀬さんがおっしゃるように、アメリカや中国との関係ですね。つながることの安全担保は極めてそうだし、実際、自動運転のレベル4の車はアメリカのもので進んでいたものが、中国のものが主流になっているということで、今、御提示のページ20の基盤システムアーキテクチャみたいなことでも国際標準化、事実上のデファクトが基盤になるときに、アメリカのGAFA、中国のBATと経済安全保障の視点からガバメントクラウドを含めてどう連携しますかというのが今々どういう議論になっていくのか、どこまでが日本独自の基準としてやろうと今々議論しているのかを知りたい人は多いかと思います。

齊藤構成員: 危機管理の話になってくると、どこまでやるかという話はあまりオープンにする話ではない。経済安保も含めて半導体のところまで最後は入ってきます。チップのところに必ず最後はトラストや安全みたいなところが入ってくるのですね。そこは今、日本にはないし、いろいろ動いているのだけれども、今さら何をやっているのという否定的な意見がありますが、本当に将来を考えたときに、今でなくても最終的にはこういう姿だよねというのはみんなで共有していかなければいけない。ここは別次元の話だと僕は思います。

桃田構成員: 一部は協調せざるを得ない部分もあるということですね。

石田座長: 宮代さん。

宮代構成員: すごくスケールの大きいところから急にまたミクロなところに落としてしまって申し訳ないのですけれども、この20ページにあるように、安全のお話で2点ほど御意見をいただきたいところがありまして、一つは災害時の備えと一緒で、防災訓練のように年に1回やっているだけで全然機能しないこともあるのだろうとなると、平常時からその仕組みをどう実装して使って評価して理解してもらうかというポイントが非常に重要になると思うので、小さい単位でもまさに切り出していって、モジュールで切り出していって、実装度合いをどんどん増やしていって、平常時に何で使えるかと。例えばエネルギーの話も、電源が切れてしまうかもしれないとなったら移動電源をどれぐらい持っておけば何時間ぐらいカバーできる、世帯数が何戸ぐらい助かるのだみたいなことが見えていないと、どこにどう重点的にやるかの知恵も出ないわけですね。そうすると、日頃からどれぐらいの構えを持って例えば移動電源としての活用をしておくかみたいなことをユースケースで考えないといけないのではないかと。特に地方の都市に行くと、何を何個そろえなさいと言われても実は使えませんみたいなことがよく起きるので、モビリティも含めてそういう防災の考え方も入れ込んだ気がつかないで実践していますみたいなものをどうするかみたいな仕組みは、そこを連携させることが必要なのではないかと思っていたので、そこを伺いたいと。

安全、トラストに関して思っていたのは、少しずつ基準が一律ではないのかもしれない。例えば道路環境、社会環境、自然環境にもよると思うのですけれども、都市内においての安全やトラストの考え方と地方で顔が見えていて大体知っていますねみたいな社会における情報のトラストは、現場感としても違っている気もする。それを共通化して言語化するようなところと、実践としてどれぐらい地方ごとの裁量みたいなものを入れられるのか入れられないのかみたいなところについて、何か御示唆をいただければと。今、大体現場ではそういう話で苦労するものですから。

齊藤構成員: 大体、共通はないですね。それぞれの人たちは違うから。だから、私はローカルで分散系でそれぞれのところで、ここでも議論があったコミュニティーでどうするかというところのカスタマイズではないですけれども、そこの要求をちゃんと設けるというのは、今後アーキテクチャ設計でも必要だと考えています。だから、あまりトップダウンでこれでやれみたいな話ではなくて、ある意味では自由に変えられる、自由に追加できる、そのためのツールや仕掛けをきちんと考えるのがそもそものスタイルだと考えています。
 
これは多分グローバルでも同じなのです。日本人と違うカルチャーを持っている人たちが例えば我々のいろいろな自動運転の車、ドローンみたいなことをインフラとして持ったときに、その使い方みたいな話はそれぞれ違いますね。でも、そこで「モノ」として共通の部分はちゃんと押さえましょうと。あと、住民がさっきのハピネスではないけれども、そういうところを考えるような、そういうデータレイヤーはもうちょっとあって、それはそれぞれの地域にそういうものを活用しながらEBPM的な政策を展開していくみたいな話が多分正しくて、レイヤー構造をきちんと考えてここから先はそれぞれだよねというのを、あまり今は分解能はないのですけれども、考えていくべきだと思います。
 
最初の話の平時と有事は、基本的にはあまり分けると、この話も防衛のところで使っているのだけれども、それは防衛のところで回収するのではなくて全体として回収している。だから、平時のときも併せて有事のときにも使えるような形で考えていかないと、逆にそれがアドオンしたコストみたいになると、防災対応で新たにみたいな話になると、またその準備ができていないと駄目なので増やさなければと。ところが、実際には使えるではないかというのを、領域的支援を持っていると。これはほかにも転用できるねと。だから、まずはデジタルシステムとしての話がありますけれども、次は実際的なフィジカルなところの設備や装置をどうするかみたいな話が、この先にあるCPS、サイバーフィジカルシステムのトータルシステム、社会システムとしての設計みたいな話が本来あるべきだと思います。ここは実際にメーカーの話と国側、いわゆる有事、災害対応、東日本大震災のようなときに、本当に今の数で足りるのかみたいな話は検証しながら、足りなかったら何となく優遇策でもってそういう対応をしていかないと、結局また地震が起きる確率は高いですね。あのときにも被災者がえらく苦労して、我々はもう二度と東日本大震災のようなことは起こさないという、そこに向けて何をするか。その文面でそういうものを考えていくべきだと私は思います。この話は個人的な意見です。

石田座長: 山本さん、どうぞ。

山本構成員: 今、拝見しているこの図、非常に分かりやすいのですけれども、コメントした後に少し御質問さしあげたいと思います。この一番下のデータが非常に重要で、齊藤センター長が言われたとおり一番上のアプリケーション、ここのところの目的をしっかり課題認識をして、それを使うデータをそろえると。村上統括官が初めに言われましたように、これとデータとをどのようにつけるのだというように、このデータがしっかり国としてそろっているかどうかが非常に重要ではないかと。例えば3D地図もダイナミックマップ基盤さんがやられていますし、モビリティ情報は私はトヨタさんにお世話になっていました。ここの部分をいかに、災害のお話が出ましたけれども、有事の際は皆さん協力してくれるのです。今、ITS Japanでも「通れた道マップ」をつくるために皆さん提供してくださいと。平時の場合は、モビリティ会社各社がすごいコストをつくって自分たちの設計を変えて出している。こういうものを平時も出して俺らの資産をただで出すのかというところは若干あると。この辺をしっかり国として整備できるかが一つ大きな課題になると思うのですけれども、この部分は何か議論、ソリューションはありますでしょうか。

齊藤構成員: まだそれはないですけれども、基本的にはこれはトータルのアーキテクチャの中に必要なものをみんなに提供してもらって、何がしかのインセンティブやエンフォースメントとありましたけれども、それを返すみたいなモデルがないと難しいのですね。各社、自分のところで使うだけでそれにお金をかけるだけでいいのですかと。そうしたら、どこかに使ってもらって逆に言ったら何がしかのフィーをもらう、補助をもらうとか、どうせ地図をつくって維持補修しているのだったらプラスアルファしたらいいのではないかというのがこの発想です。そこでデータを出して、これは競争領域ではなくて協調領域だから、そのデータを使ったほかの企業が何をするわけではなくて、上に上がってそういう地図基盤をつくりながら、極論をするとスマートシティのそういう空間をどうしたらいいかというのを今の道路地図、それと交通情報も含めながら考えていくと、そういうものは計画できるなと。そんな話があって、それは逆に言うと、無条件に使うのか、それともある制約条件の中で契約の中で使うのかというのは、この中で決めていかなければいけない。
 
だから、ここに書いてあったらみんな誰でも自由に使えると思ったら大間違いで、アクセス権ですね。どういう人たちがそれを使えるかみたいなことを規定しないと、逆に下のほうは改ざんの話も出ますね。だから、トラスト的な話、セキュリティーの話もきちんと担保して、逆に言ったらあなたはこういう地図を提供してください、維持メンテしたらこういう仕掛けの中でちゃんとそれが変わった情報を捉えて、それを使う形に例えば上の領域別のほうもリフレッシュしますと。それが逆に言ったら、ある契約の中できちんとやるみたいな話をお互いに結ばないと、いいかげんなものを投げてくしゃくしゃになるみたいな、その下の人たちがこういう地図だよみたいな話をしても、本当にそれは大丈夫なのというのは、今度はトラスト的な話で出てくるのです。それは契約の中できちんと決めていく話だから、これは簡単に書いていますけれども、結構実現するのは難しいのです。

山本構成員: その契約の中に、恐らく使われて便益が出たらその分フィードバックがあるよみたいな、そういうものも考えていくと。

齊藤構成員: そういうものを考えていって、お互いにウィン・ウィン、メリットがある形にしていかないと、何かあったらそこに反映してあげるみたいな戻る形がないと、このモデルは出すだけで取られるだけで何のメリットがあるのだみたいな話になりますから、そこは併せて考えなければ駄目だと思います。そんな話をしています。

石田座長: どうぞ。

アドバイザー伊藤氏: 今、山本専務がおっしゃった話と絡むのですけれども、こういうシステムを設計しようとすると冗長性、拡張性、発展性を想像した上で設計できるかなり有能なシステムアーキテクトが必要かと思われます。一方、企業の皆さんとお話をするとすぐにリソースが足りないという話が出てきます。日本語でいうと人工という意味なのでしょうが、人工を剝がしてシステム設計に人を出したくても、今、儲かっているところにその人を張りつけているので、社会に必要だとしても会社から出すのは難しいという話になるのだろうと想像しています。そのことについてどういうやり方がありうるのでしょうか。

齊藤構成員: 今は声をかけて、必要なメンバーを週2日とか3日とか、それで集めている。これが一つ。また、ここに専任のソフトウエア開発もあるからそういう人間を採ってくる話がある。もう一つは学術界との連携ですね。そこを併せてやって、この領域をインフラとしてつくり上げるために皆さん集まってくれ、週2日でもいいからと。そこを我々のところでまとめながら全体のオーガナイズをして、それぞれにミッションを与えてまとめていくというのが今のやり方です。

だから、おっしゃるように、DADCに人をリクルートして集めるというのは非常に難しくて、出向者、優秀な人は忙しいので出向者でその知見をもらうと。こっちにはまとめる人間がいて、それを含めてみんなで議論しながらやって共創の場、戦いではなくて共に創造する空間をつくって、みんなでビジョンを共有しながらつくり上げていくというのが今のDADCの立ち位置なのです。

ドローンも空間情報も結構それが回ってきて、いろいろな有識者の人たち、学術界の先生方も面白がって参加しているので、だんだん規模も大きくなって活性化するようになっていますから、これを民間の人たちにもっと広めて、これを使いながら自分たちの事業がもっとよくなる、それを考えようという話をすると、多分参加してくれるのです。これはみんなにメリットがあります。今まで縦でやっていたら、横も全部つながるほうがよほどいいですね。DXそのものは、今のDXは単独の企業のDXはあり得ないではないですか。業界としてのDXみたいな、インフラも含めたDXみたいなものをしないと、結局それはグローバルでの競争力、日本の中での産業界の競争力は出てこないし、各企業もそんなことを一々やっていたら大変だから、そんなことは協力するよと必ずなってくるはずなのです。その説得力がある意味ではDADCやIPA、経産省もそうですけれども、あるかないかで、一つ一つ積み上げて実績をつくっていってそれを示していけば、だんだん集まって高く太くなるのではないかと思います。そんな活動を今、やっているのです。まだまだですけれどもね。ぜひ参加してもらいたいです。

アドバイザー伊藤氏: ありがとうございます。御協力できるのであれば、もちろんです。

葛巻構成員: データは何に使われるか分からないという話はそのとおりだと思って、データは結局二次利用というか、そもそも自分たちが取っていたデータをほかの人が何かに使えるようにしていくことのほうが、今はどちらかというと大事なのではないかと思います。最初からこのデータが信頼性かあるかどうかという話をし出すと、それはそんな目的のために取っているものではないので出せませんという話になりがちなのですね。そういうデータということを知りながら曖昧なところがあるけれども使っていくという形のほうが、まずデータ活用は進むのではないかと正直思っています。本当に国防みたいなところの重要なところはかっちり最初からやっていかなければいけないのだと思いますが、そうすると、それのためのデータを取るという形になっていって、結局データはコストが上がると。だから、いかに他のために使っていたデータを転用するかを進めたほうが早いのではないかという気がしております。

齊藤構成員: そのとおりだと思います。さっきの信頼できるというのは、誰が出したデータか分からないから、例えば署名も何もないデータが来てもこれは当てにならない。そこにちゃんとした作成者がいてデータがあれば、そこに返っていくわけです。フィードバックです。だから、必ずしも正確なデータをくれではなくて、とにかくデータをくれと。実際には調べてみたら違いましたというと、さっきの修正してあげますよというのを上のレイヤーから下に戻す。だから、例えばドローンで飛ばして画像で見ると違うねというのであったら、その修正情報は返してあげたほうがいいですね。まずは飛ばして、最初の計画するときはそういうところは飛べないので、こういう運航計画をつくりましょうとした後に、実際に飛んでみたら変なものがありましたと。それは反映してあげなければいけないので、それは返しましょうという話をやろうとしているのです。

だから、リフレッシュを含めて全体でうまく回していく仕掛けを、上と下のレイヤーではつくりましょうと。そのときのトラストは、逆に言ったら署名もない誰かよく分からない人がつくって、それを勝手に使うようになったら大変だからというところで、信頼できないデータはという話をしただけで、中身の話ではないです。

葛巻構成員: 返してやるのとオープンにしていくという形で、業界のデータをそろえていくのが非常に重要なのではないかと思うのです。最初は業界の中でもばらばらで、みんなが勝手にデータを取ってきたものを業界でそろえていく。その中には国際的に見ても共有化しておかないと後々自分たちが不利になるデータもあるでしょうし、データフォーマットもあるでしょうし、自分たちだけでやってしまえばいいものもあるでしょう。そのように各業界をなるべくそろえていくというのが協調という意味なのではないかと思います。

齊藤構成員: それは業界の協調で、そこは業界の意思が出てくるとやりやすいのです。我々も民と官の間にというのは、民間の発意でみたいな話、意思としてそういうものをやりたいというとできるのだけれども、やりたくない人たちで業界で共通にしましょうと言っても、おまえ、何を言っているのだとなる。

葛巻構成員: そこでルールだけつくっておいて、そこで競争させて、データをたくさん売れるようにしていくというのは、活用促進として機能すると思います。

石田座長: 下世話な質問なのですけれども、データを持っている人というのは、国は今でも圧倒的ですね。国土地理院もそうですし、気象庁もそうですし、国だけではなくて、都市計画法で都市計画基礎調査をやりなさいということで都市のことも分かって、そういう人たちはどの程度熱心に参加しているのですか。

齊藤構成員: 国土地理院、国交省はみんな参加しています。そこのレイヤーでは。

瀧島参事官: 例えば国交省の方で、デジタル庁と併任があり、一緒のチームで議論して、彼らはPLATEAUのデータも持っていまして、むしろそれを使ってほしいと。

石田座長: そういう意味で、膨大なデータを持っているわけですね。それが必ずしも国交省の中でさえも連結して使えていないという悲しい現実があるのですけれども、そういうところはこういう齊藤さんのセンターのお力を得てスムーズに使うようにする。そういうことを先導してやることはすごく大事だと思うのです。

齊藤構成員: そうですね。省庁の中の縦割りは我々にも少し大変なのですよ。こういうところでアーキテクチャを決めてみんなで一緒にやりましょうとやれば、その辺も同じ方向に、そのためのデジタル庁ですね。

石田座長: それと、話題が替わってしまうのですが、災害時にアナログかも分からないのだけれども、本当にデジタルだけで大丈夫と。その辺の話で非常に印象的な話としては、3.11の直後に、相馬市の立谷さんという非常に有能な有名な市長さんのお話を聞いたことがあって、発災後5分後には災害対策本部を立ち上げたと。それから半年ぐらいにわたって本当にデータを、何をしたか、どういう情報があったかをきちんとリポートされていて、すごいアーカイブをつくられたのですけれども、立谷さんがおっしゃっていたのは、パソコンの何とかシステムは電気がなかったので当たり前だけれども全然役に立たない。何がよかったかというと、紙の地図と白板と白板に議論したことを書いてあったものを記録するデジカメ、この3つが最大だとおっしゃっていて、そういう視点をどう入れるか。

あと、これは面白いなと思ったのですが、災害は初動が非常に大事なのですけれども、本部長に当たる人がすぐ来られないことがままあると。そうすると、山梨中央病院だったと思うのですけれども、その先生方が始められたのですが、ファーストミッションボックス、紙なのですけれども、最初に開けた人が本部長ですよと。本部長として最初に何をやりなさい、これをやりなさい、あれをやりなさいというのがカードになっているのです。アメリカのFEMAなどでも使っている方法らしいのです。極めてアナログなのだけれども、こういうものとデジタルとの融合はどのように考えていくのかと。

齊藤構成員: 考えるというのは、それは被災者の視点で考えていったら、電源がないときにどうしよう、そのケースはこのように考えるみたいな話は必ず出るはずです。みんなインフラから考えるからデジタルでみたいになるのだけれども、そんなことをやらなくてもそういうことを考えなくてはと。だから、今回住民起点でというのは、別にデジタルに特化せず住民起点でどうしましょうと。それで例えばさっきのAIとロボットとの共存みたいな話と同じように、デジタルとの共存の世界もあれば、逆にいわゆる被災者のどういうケースで何をするかという訓練も出てくるのですね。だから、デジタルでやったときに本当に止まってしまったらどうするというのは、止まったことを想定した訓練をやっていなければ駄目なのです。これをデジタル社会でもデジタルで全部完結して終わりだという話にするのか。そうではないと。災害があったときに、被災者のところでどういうケースのときにはこういうことをやらなければいけないというのは、どちらかというと反対側からきちんと考えて、ここはデジタルのシステムでやるけれども、あとはアナログのシステムでつくりましょうみたいな話は、反対から考えておかなければいけない話なのです。

私はDADCでDがついているからアーキテクチャの話をしますけれども、今のユースケースの延長線というのは、そっちからここまでは使えるけれどもここは使えないよということをやらないと、何でもかんでもおまえがやるのか、私がやるのかって、それは無理なのですね。そういう視点がここの中にちゃんと入って、アーキテクチャの中に入っていかないと、震災みたいに原子力発電所も数キロメートルまでは考えていましたけれどもそれ以外は想定していませんみたいな話になるから、逆に何かあったときのケースは、大体こんなことが起きたときにどうするというのは想定しなければ駄目ですね。それがアーキテクチャ設計の本質的な話だと私は思います。

石田座長: ファーストミッションボックスは災害訓練をやるたびにリバイスされていくのですね。字が小さいとか、置き場所が分からなかったとか。そういうものは結構大事かなと。本当によくできたものだなと。

石田座長: 須田先生、どうぞ。

須田構成員: 先ほどから非常に面白い話をいっぱい聞かせていただきました。ありがとうございました。

私から感想を幾つかとコメントをお話しするのですけれども、一つはマルチドメインとマルチモーダルと、そういうことでうまく使っていくというのが非常に重要だと思っているのです。ただ、これはドローンという非常に新しいツールだからこういうことがすんなり検討できるのではないかと思っていて、なかなか地上の今までの全く新しいものではなくて既にある程度確立されているものをやっていくというと、先ほどから出てきているようないろいろな既得権やしがらみがあってなかなかうまくいかないのではないかということなので、そこに対してうまくやっていく方法はどんなことを考えられているのかをお聞きしたいというのが1点です。

私の感想ですけれども、既に話に出ていますが、災害のときは非常に重要なのだけれども、災害だけのシステムはいざというときに使えないという話がよくありますね。そう思うので、日常の話とどのようにうまく連携していくのかと。そこら辺についても重要ではないかと思っているところでございます。

石田座長: 最初の問題は齊藤さんではなくて、お答えになりたい方がおられたらお願いしたいと思いますけれどもね。

齊藤構成員: 最初の問題はなかなか、既得権の話をどうするかというのは、デジ庁のマターですね。

瀧島参事官: 共通している問題ですね。これに限らずあらゆるシステムを新しくつくるときはどこから手をつけるのかというのは、方法論は結構難しいと思います。そういう意味では、デジ庁でほかでやっているDXも同じようにちょっと新しいところから書いていてみて、ほかのものもいくように全体のアーキテクチャを立ててとか、いろいろなトライを我々もしているという感じです。

齊藤構成員: さっきの災害のところはそういう意味ではいい例だと思うのです。そこをどうするかを最初に決めて、このようにやりましょうと。そのときにマルチドメイン、マルチモーダルという話を連携させる話でやろうとすると、うまく連携するためにはシステムとしてはこういうものをつくらなければ駄目だという話があって、現状動かしているああいう運行管理みたいな話があるところはそこに何か埋め込むものがあるし、ないところはこれからそのようにつくっていくみたいな話になってくると思うのです。その辺はなかなか戦略、戦術が要ると思います。

2つ目の話はそのとおりですね。だから、平時、有事というのはあまり境界線を設けないで、それが活用できるものにしていこうと。デバイスみたいな話は特殊になるかもしれないけれども、いろいろなデータ活用みたいな話は同じようになるはずで、例えばデータを収集するところは同じようになるはずなので、平時、有事、特別に災害のときだけみたいな話ではなくて、通常から取って、それは平常のときに通常のときにも活用しながら、災害のときにもそれを同じように使っていく。違う形になると思いますけれどもね。それはそのとおりだと思います。この辺は皆さんと一緒に本当は考えていきたいのですけれどもね。

石田座長: 南雲さん、お願いします。

南雲構成員: 大変面白いお話を本当にありがとうございました。
 
テクノロジーの議論もさることながら、政策決定や政治的な意思決定のところのレイヤーをどうにかしないと解決しないというところに行き着いているなと思いまして、これはデジ庁の範囲内なのか範囲外なのか分かりませんけれども、そこはアーキテクチャの中でもまさに人間が頭を使ってみんなで集合知をつくっていくという意思決定の仕方という議論をどこかでやらなければいけないかなと思いましたけれども、皆さん、その辺はいかがでしょう。どういう感触で考えていらっしゃるかお聞きできればと思いました。

石田座長: どうですか。

齊藤構成員: そのとおりですよ。

石田座長: そのとおりだけれどもね。

齊藤構成員: そのとおり、私も感じているのですけれども、ここではあまりコメントを言わないように。

石田座長: そのとおりなのですけれども、具体的になると難しくなっていきますね。

齊藤構成員: でも、これはしっかりと提案していきますよ。私はもうそれは民間発意でもいいし、こうするべきだというのは提案していきたいなと。リーダー、デシジョンする人がいないと決まらない。通常BPRがデスマーチになるような、決める人がいないと幾らやってもぐるぐる回ってしまうので、デシジョンメーカー、誰が決めるというのを確保しないと。

石田座長: 瀧島さん。

瀧島参事官: 住民起点にしていくとか、データでみんなでダッシュボード化していく、やっていくとか、今回の研究会でもいろいろなコメントはありますけれども、何を起点にみんな判断するのかという目線をそろえていくのが第一歩なのではないかと思っております。全てを全部いきなり決めろとしてもなかなか決めることはできない。

山本構成員: 今の南雲さんのコメントで、何を決めるべきかといったときに、我々はずっと1回目、2回目、3回目、4回目で話をしている中でユースケース、お客様目線、ペインポイントというものが出てきますね。何をやるのだというようなところも決めて、まずはペインポイントから、最終的に総花的にいろいろやるのだけれども、ここはアプリケーションのところでアジャイルでどんどん加えていけばいいのだろうと。

まず、今回はここの部分をやっていくということで、そういうものが国土審議会の計画部会で同じような議論がされているわけですね。災害をやりましょう、医療をやりましょう、交通をやりましょう、介護をやりましょうと。では、それはどのような考え方で来ているかというと、まず、我々は少子化を止めなければいけない、だから、地方に女性を送らなければいけない、地方の子育てを育てなければいけない、これは甲田さんがいろいろやられているところですね。このような全体の方針の中で、トランスポーテーションとしてはここのところをまずユースケースとして取り上げて、災害を取り上げて、これを取り上げてというところを、これは誰が決めるのですかね。こういうところをまず決めないと、ユースケースがないとアーキテクチャはただの絵に描いた餅になるし、この下の部分はいいのですけれども、上の部分をさらにどんどん国民目線で加えていくというところを決めていく。この辺が要るのではないかと。

南雲構成員: 1点気になっているのは、白坂先生がおっしゃっていた想定外のつながりが加速度的に増えていくといったときに、責任の所在がだんだんぼやけていくというところだと思うのです。だから、リスクの追求の仕方やリスクシェアのやり方がまだ方程式化されていないというところで、みんな誰の責任なりどういう意思決定をするのかというところが尻込みする原因になっていると思うのです。だから、こういう時代でマルチドメイン、マルチパーパスと全部つながったときに、想定外のリスクが起こったときに、全員でリスクを取るのか分かりませんけれども、そういう一つの方程式をつくらないことにはアーキテクチャが生きてこない気がしたという私の感想です。

石田座長: そのとおりですね。そのとおりですけれども、いきなりそこに攻め込んでいっても非常に難しいなと。

白坂構成員:** まさにそのとおりで、なかなか簡単ではないところでございます。ですから、DADCも経産省さんもそういった新しくいろいろなものが動的につながる時代の安全のガバナンスをどうするかというのは、それはそれで別のワーキングを立てています。それは実はこういうモビリティに限らないのですね。あらゆる分野で起きてくることなので、それはどこかで仕組みとしてやらなければいけない。
 
南雲さんはもうお分かりだと思っているのですけれども、今の法律の在り方や罰則規定の在り方すら変えていかないともうできなくなっていくので、それはそれで法学の先生方とか、そちらの方々にも入っていただきながらやらざるを得ないので、それはそれでパラレルでやっていかないといけない。それが終わらないとこっちができないとなると全く先に進まないので、山本委員がおっしゃったみたいに、ユースケースを決めてある範囲から詰めていくということを決めていくのと、そういった共通的に必要なものは共通的に必要なものでやっていくみたいな、分けていかないといけないかとは思っています。実際にそのようにやっているのだと認識しています。

石田座長: MaaSへの支援事業とか、スマートシティへの支援事業とか、いろいろ始めてもう4~5年経過しているわけですね。全部が全部というわけでもなく、むしろ身になったものは少ないぐらいの状況なのですけれども、それでもそういったものができてきているわけですね。そういう意味ではユースケースといえるかどうか分からないけれども、実例があるわけですから、キーワードであるトラストとインセンティブをさらにその中でうまく設計する、見える化する、そんなアプローチも十分あると思うのです。

白坂構成員: 今、石田座長がおっしゃったとおりだと思っていまして、これはうまくいっているとか、動き始めたところをちゃんと例えばDADCがやっているようなイメージで分析をするのもすごく重要だと思っています。ですから、私は前回一部ですけれども、中身まではいっていないのですが、やらせていただいたのですが、いろいろなところで実証事業が始まったり、本当にいろいろな活動が日本中たくさん、これがそこの場での実証だけで終わってしまうとすごくもったいないのです。

石田座長: でも、それがほとんど。それをどうするか。

白坂構成員: ですから、それを共通的な目線で分析し、それを横展開できるように考えみたいなことがまさにアーキテクチャの役割の一つだと思っていますので、そういうことがやれる機会みたいなものをちゃんと設けていけば、もっと地方でやられているもの、いろいろな地域でやられているものが役立つところがたくさん出てくるのではないかと思っています。

南雲構成員: うまくいっていなかったかもしれないケースという意味で、これは言語化しておいたほうがいいのではないかと思っているのが、スーパーシティを選ぶのに戦略特区を使って、住民がリスクを取ってもいいというような住民合意があれば、国の規制を乗り越えてその自治体だけでいろいろなことができるよということを考えたわけですね。スーパーシティというのは5つの領域でデジタルソリューションを同時実装するという条件なので、当然このアーキテクチャの議論とパラレルになってきているということだと思うのです。実態は何だったかというと、各自治体から提案されたものの中には、リスクテークとして本当に意味がある深い提案があったかというと、なかなかなかったということで、各自治体が再提出を求められたりということがあったわけです。だから、そのときは言語化されていなかったのでしょうけれども、5つの領域をつなげるようなアーキテクチャで何が起こるか分からないということに対して住民がリスクを取るというところまでの認識がなかなか至らなかった、そういう枠組みも発想もきれいに整理できなかったということではないかと思うのです。

今回、2つの自治体がスーパーシティに選ばれましたと。大阪府・大阪市とつくばということなのですけれども、これがまさに今、話題になっているマルチでの世界でのリスクが同時に発生する世界に突き進んでいるわけですね。だから、ユースケースについてはまずここからかなと私は思ったりしていますけれども、どうでしょう。

石田座長: ありがとうございます。
すみません。大事な議論なので続けたいのですが、ほかにも大事な議論がございまして、ここぐらいにさせてもらわざるを得ないということでございます。

2番目は何かというと、骨子の準備をしていただきましたので、その説明が大体今のことも含めてどうなのとか、ここはいいね、も含めて御議論いただければと思います。

これの御説明を瀧島さん、お願いします。

瀧島参事官: 今まで官民ITS構想・ロードマップという形でやってきたところから、今回「デジタル交通社会推進戦略」ということで、少し衣替えをしてやりたいということでございます。

冒頭に村上が申し上げたとおり、完成版がいきなりできるわけではなくて、2022年の5月、6月のスナップショットで、これ自体もディベートしながら進んでいく一里塚ということかと思っています。

内容を簡単に御紹介すると、「はじめに」のところで経緯を述べております。官民ITS構想・ロードマップの下で自動運転を進めていくのだということで取り組んできたと。社会実装のところについては、今、南雲さんからもあったように、幾つかのところでスーパーシティの形でできていたりとか、境町さんの事例のようにやっているところもあるということでございますけれども、我々の原点に返って、暮らしのシーンで一人一人がどのように暮らしていくのかというところで、需要サイドとサービスの供給サイドと、この上半身と下半身をどう一体化していくのかということを念頭に置きたいということでございます。

これまでの取組ということで、今、申し上げたとおり、技術面での実験、実装というものはやっていったけれども、継続的に住民へサービスを届けられるケースはまだまだそこまで多くない。

なぜうまくいかなかったのかということでいうと、結局最後はビジネスモデルとして成立していかないといけないということで、供給側の論理で人口拡大、経済成長期ではどんどん投資が進んでいったわけでございますけれども、必ずしもそうではない状況の中では、ある程度の協調領域を設けながらやっていかないといけないのではないか、特に住民目線でやっていかないといけないのではないかということでございます。モビリティということで、モビリティは基盤となるものであり、その上にサービスが乗っかる話でございまして、人流だけではなく今日のドローンも含めた物流も含めてトータルで考えたいということであります。

その次の3のところですけれども、住民一人一人の暮らし目線から考えるアプローチということで、最初のほうから御議論をいただきましたが、社会全体の目線で、サービス目線で、カスタマー目線で、G to B to C、G to G to Cというところを意識してと。先ほども議論がありましたけれども、デジタルだけではなく社会システム全体の法制度の話なども含んだものが必要なのですよということで、最後に様々な取組がばらばらで動くのではなく、時間軸を合わせていつどのタイミングでサービスが国民の皆様にお届けできるようになっていくのかというところを意識したいということでございます。

Ⅱ章からが御発表いただいた内容を踏まえてということでございますけれども、一人一人の暮らし目線で考えて課題解決するとはどういうことなのだろうかと。国内外の事例を南雲さんなどからもコメントいただきつつでございましたが、御紹介をさせていただいています。

海外の事例でいうと、海外はすごい、日本は駄目だみたいなことではないですけれども、海外でうまくいっている事例は「住民中心」でまさに民主主義的な論理の中で決めているケース、まさにみんながこうしていきたいのだということで決まっているということがあるねということで、スウェーデンのようなケース等々を御紹介いただいたと。

日本で実際にやっていくことを考えたときに示唆として得られることは何だろうということでいうと、ペインポイント、本当に困っているこの人のことを解決しようというところがポイントだねということで、これは境町でも同じだと思いますけれども、そういうところから始めようと。また、最初に始めるときは単位を小さく考えて、そこからやっていくということだねという話、データを活用して見える化することで皆さんの合意を取っていきたいねというお話、解決に向けたプロセスも住民も含めたステークホルダーみんなでやっていこうよという話、共助の境界線、協調領域について、抽象的なことも含めて在り方を考える必要がありますねということです。

次の(2)のところですけれども、国内でも境町のように実装を始めていっているケースがある。これを拡張していくにはどうしたらいいのかと。先ほど白坂先生からもコメントをいただきましたけれども、では、境町で何をしているのということで、自動運転車両を活用してバスで町内を運行しているわけでありますけれども、住民目線でサービスを提供している、極めて速いスピードでやりましたということでございまして、この学びという意味では、ペインポイントが始まりだと。さらにモビリティというのは、ベースとしての提供する人間の欲求に対する価値がありますけれども、その上に医療や教育、何かのためのモビリティというところもありますので、困り事解決を起点として取り組む。あとは携帯電話のビッグデータを使いながら、どこからどこに人間が移動しているのかなということを見ながら、可視化して納得感を醸成してきたという話でございます。コストは課題だが、まち全体でどう稼ぐのだという仕組みを考えるところが大事という話でございました。

Ⅲ章がどう実践していったらいいのかということで、甲田様、石丸様に御発表いただいた内容、皆様にコメントしていただいた内容をまとめたものです。

一人一人の暮らし目線で取り組むとしたときにどう住民の声を反映してビジネスモデルにしていっているかということで、甲田さんの御発表のエッセンスということでいうと、デジタル、アナログ両輪でと。これも先ほども話がありましたけれども、デジタルだけの話では全部うまくいかない、アナログも含めた設計だねということだったのかと思います。住民起点で考えるということは、数年単位でやって地域の担い手、その間に入る人も一緒にやっていかないと駄目だよねということでございました。特に子育てと仕事の両立において、塾などの送迎とか、モビリティの需要はそういうところにもあるねというところでございます。

得られる示唆として、出てこない人、我慢している方々に参加してもらいたくなる、このサイレントマジョリティーを取り込んでいくような仕掛けをコミュニティーとしてやっていくことが必要だと。デジタルをデジタルとして感じさせないUI・UX的なところも社会の受容性としては大事だねというお話、デジタルとアナログの融合だねというお話でございました。子育て世代の困り事に注目をしているという話でございます。

石丸様からの御発表については、コストをダウンするということだったり、アップサイドをどう取っていくのかということでお話をいただいていたと思っております。地域のニーズに対応するためのタッチポイントの一つということでモビリティを捉えることもできるねという話。あとは、より広域な経済圏という視点もあるねと。社会実装を住民とともにやっていく中で、自動運転の実証をしていたのだけれども、オンデマンドのモビリティの提供に切り替わっていったということで、住民起点でいろいろな議論をしていったということでございます。
 
得られる示唆としては、その人々、地域にどう役立つのかというナラティブみたいなものもちゃんとやっていかないといけないねという話であるとか、実証するというのと社会実験と実装を分けていくのが大事だと。住民のWillを酌み取らないと、その場所での実証実験はできるのだけれども、継続性は担保できないということで、日本中で実証実験を今やっているねというお話も先ほどありましたが、継続して横展開していくためには、急がば回れではないですけれども、住民のwillも大事だねということでございます。
 
その後、こういう今までの優れた事例であったり、うまくいかなかった例であったりを含めて横展開していく仕組みづくりをどう考えたらいいのかということで、今日の齊藤委員も含めて御発表いただいたということだと思います。

1つ目は、目指す何をゴールにしていくのかということは、各地域それぞれで決めていくことでしょうと。それは一人一人の暮らしのペインポイントを起点としているので、当然何が一つのゴールと中央政府が一つのゴールを描くというのはなかなか難しいのではないかと思っております。では、何もしないかというよりは、みんながいろいろな選択肢を持てるように、そういう基盤をつくるところが政府の役割なのではないかと思っています。

次のページに行っていただいて、目的設定の重要性、意思決定を支援する指標の重要性ということでございますけれども、では、ほおっておいてそういう議論が進んで何かのゴールにたどり着くわけでもないということでありまして、南雲様に御発表いただいたウェルビーイング指標みたいな形で、地域で対話をして何をゴールにするのだということを規定しやすい、そういうものを提示していくのがすごく重要なことだと思いますし、数値にして計測、公表していくことで住民の参加、みんなでこういうことをよくしていくのだよということもやりやすくなっていくのではないかというのが2番目の話でございます。

3番目の話として「取組にあたってのアーキテクチャ思考」ということで、設定した目的全体を俯瞰しなければいけない、システムアプローチで考える、意味軸、時間軸、空間軸というお話もありましたけれども、目的、ゴールをちゃんと決めなければいけないと。その上で手段と仕組みを分けて考えましょうということで、分野を横断したシステム・オブ・システムズとして効果を最大限発揮するために、協調領域・競争領域について分けて再設計していくことが大事なのだよという今日のお話にもつながっているかと思っております。

④で協調領域の考え方ということでございまして、これも繰り返しになりますけれども、市場の縮小期、市場というかマーケット全体、特に地方を含めて縮小期はそれぞれがばらばらに投資を行っても最終的には投資回収ができなくなってしまうおそれが高いということでございますので、採算が見込めないという中ですくい上げられない需要、小さな需要が残ってしまっているというのが、これはモビリティに限らず、冒頭に村上からもありましたけれども、あちこちで起きている現状なのではないかと。では、供給を需要に合わせる、需要に合わせて供給をつくっていくためにはデジタル基盤が必要となっていくでしょうと。協調領域として必要となってくるものには共同で投資をする共助のビジネスモデルが必要になってくるであろうということでございます。モビリティ分野における環境の変化の例ということで、人口増加から人口減少している、需要が供給に合わせていくところから供給が需要に合わせていくことになる。もう少し細かくいうと、乗客がバス停で時刻表どおりに来るバスを待つところから迎えの車が乗客の都合に合わせていくことになるのでしょうし、供給者側の指示で物流が動く世界から需要動向に合わせて自動的に物が動く世界になっていくのでしょうということが起こっていくものであると。

(2)で「社会実装を実現できている取組の構造化」というところでございますけれども、これも繰り返しですが、ペインポイントを取組の起点に置いて皆様で同意できる目的設定をしていく。何を目指すのかを最初に決めていくということで、指標を設けながらやり取りをしながら物事を進めましょうということでございます。

ペインポイントはモビリティだけでは解決できないので、モビリティがタッチポイントだと認識して、その上のサービスを含めてビジネスモデル、ユースケース、いろいろな言い方がありますけれども、そういうものを考える必要があるということでございます。あとは同じようなところも結構書いてありますけれども、「仕組み」をメンテナンスする人が必要であるということや、その次にあるマーケットだけでは解決できない共通の課題ということで、先ほどの規制の緩和なのか、規制をつくるのか、制度をどう見直すのか、制度の在り方をどうするのかとか、データの標準化をどうしていくのかというところは国の役割として残っていくものであろうということでございます。川端さんからも前回ありましたけれども、こういったどうしたらうまくいくのというロジックをちゃんと積み上げた上で、それをナラティブとして伝えていくことも国の役割だろうということかと思っています。

最後にⅤ章のところで「デジタル交通社会の将来像実現に向けた現在の官民の取組と課題」ということでまとめております。

ここは今、ありたい姿に向けて、道路交通の分野に限らず「歩くから飛ぶ」までの全てのマルチモードを対象にして、暮らしのシーン一人一人の需要サイドと連鎖した取組の整理が必要なのですけれども、今、官民でいろいろなことをやっておりますので、ありたい姿と現在何をやっているのかということを2022年の段階でお示しをしたいと思っていまして、目的としては、次の5ページのところですけれども、やりたいこととしては一人一人のペインポイントの解消で、メカニズムとしてはそのために必要な環境整備を行っていくということでございまして、6ページを見ていただくと、いろいろな各まちというか地域というのがいいのか、目的があって、それに向けて共通基盤があって、手段としていろいろなことがありますよということでございます。

「各取組について、現状の整理」ということで、真ん中下のところでございますけれども、今、誰が何をやっているのか一旦整理をしてみようということで、現在の取組の分類ということで、6ページの下にお示しした図のような形で、手段としては本当にいろいろなことがいろいろな目的のためになされていますということで、7ページを見ていただき、自動運転ということでいうと、目的としては「安全・安心な日常生活」「自由に時間を使える」「個々のニーズにあった利便性が高い生活」、この辺が目的のレイヤーにある。ルールとしては道交法があったりとか、実証実験に係る基準緩和の手続があったり、その下のデータ標準のレイヤーでいうと、交通管制システムからのデータをどうやって出していくのかというお話だったり、道路交通ビッグデータ活用みたいな話があったり、あとは地理系のデータをどう出していくのかという話があったり、その下のインフラ・アセットというところでいうと、先ほどもあったサイバーセキュリティーの評価手法であったり、そういったことが検討されると。一番下の手段というところで、自動運転の移動サービスがなされるとか、自家用自動運転車が走るとか、そういうことが検討されているということであります。

ここの課題認識として、自動運転の社会実装に向けて、産業競争力の強化の視点の議論とともに、デマンドサイドの議論とどう連鎖していくのかということは、まさに今回議論をずっとしているところでございますけれども、ここの取組の具体化が今後さらに必要になっていくのではないかということでございます。例えば2025年40か所での無人自動運転移動サービス実現ということが書かれていますけれども、これがどういう意味づけを持ってどうそこに向けて議論していくことが必要かということもそうですし、その裏側で結局こういったものを提供する産業の競争力も必要となってきますので、そうしたものとの関係性を明確にしていきたいということでございます。

「②MaaS」ということで、同様に仕組み・メカニズムを分類して、課題認識としては、社会システムが既存のサプライサイド有利になっていると言われる現状に対して、どういったデータ連携基盤やアーキテクチャの整備をして継続して取り組むことが必要なのかを検討していくということでございまして、以下「物流」「自動配送ロボ」「空飛ぶ車」等々についても、それぞれがどういう目的の下にどういう仕組み・メカニズムの下、どういう手段で実現しようとしているのかということはプロットをして、今、それぞれどういうことがなされているのかは見えるようにしたいということでございます。

最後ですけれども、「今後、あるべき姿の検討に向けて」ということで、いろいろな取組がそれぞれ連携しやすくなることが必要で、必ずしも全部整理し切るということよりも、それぞれがどういうことをやっているのかをもう少し見える化して連携しやすくなっていくとよいかと。取組の構造化に当たっては、移動モードの話なのか、サービスの話なのか、技術の話なのか、制度の話なのか、若干混在しがちであった項目の整理も少しずつしていけるといいのかなと思っています。

以上でございます。

石田座長: ありがとうございました。

今の時点でのスナップショットということですけれども、発射台ですのですごく大事な文書だと思うのですが、ぜひ御忌憚のない御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。

どうぞ。

山本構成員: 前回、石田先生が「デジタル交通社会」という題でいこうとおっしゃったのですけれども、2点御提案さしあげたいのは「デジタルを活用した未来の交通社会戦略」とか、「デジタル交通社会」というと、何となくデジタルのためにデジタル交通をつくるのかと捉えられてしまうのではないかと思います。私どもが今まで検討してきたのは、御説明いただいたようにユースケース、目的、今日の齊藤先生のお話もそうですし、デジタルを活用した、デジタルがあまり前面に出るのではないほうがいいのではないかと。デジタルトランスフォーメーションというのは、デジタルという強力なドライバーを使ってトランスフォーメーションを起こすと。それが一つです。

あとは「ITS」という言葉は何らかの形で残したほうがいいのではないかと思います。例えば「デジタルを活用した交通社会推進戦略」の後に、サブタイトルとして今ある「官民ITS構想・ロードマップ」と。なぜかといいますと、ITSというのは、御存じでしょうが、1994年にITS世界会議を横浜でやったのですが、そこで日本がITSというものを世界に発信したのですね。世界の中ではITS AmericaもあればITS Indonesiaもあれば、非常にITSというものが現時点では認識されている。そういうものがなくなってしまうのはいいのかという話と、EU、ECを見ていますと、確実にロードマップ、シナリオをつくっているのですね。今、瀧島参事官が言われたような、最終的には我々はこれをソリューションに落としていく、こういうところを充塡してサービスをやっていくよという話なのですけれども、このシナリオという話がサブタイトルみたいなものに入って、それが官民ITS構想・ロードマップかと思います。2つ御意見をさしあげたいと思います。決してITS JapanのITSがというわけではないです。

石田座長: ありがとうございます。

宮代さん、どうぞ。

宮代構成員: ありがとうございます。

作成いただいている項目というか言葉はまさにそのとおりなのだろうと思いながら、中身の捉え方や切り口、解析の仕方も重要かと思いまして、例えば今のまさに官民ITS構想・ロードマップでこれまでやってきたことの中で、当然今後も生かさなければいけないことと、まさにその中でもこれがコアだねみたいなものがあれば、やってきた中の延長線上に住民目線を入れることでうまくいくものもある。もう一つは、ここで足りないものもあるかもしれなくて、それを検証する上で住民目線からの振り返りということがあって初めて、まさにITSのある意味でいい伝統を引き継いで発展していくシナリオになるのだろうと感じておりましたので、恐らく現状整理の中の切り口というところはもう少し踏み込んだ議論というか、ある種、皆さんにどんどん意見を出していただくようなのかなと。

同じような話が実はMaaSもあるなと思っているときに、さっき石田先生からいっぱい実証事例があるねと。その中で住民目線でというのもあれば、もちろん企業自体あるいは事業者のやりたいモデルをつくって、どう住民が参加するかというのもあったと思うのですけれども、それをレビューしながら、うまくいっていることあるいはうまくいかなかったことを含めて、何がその先につながっていくのだろうというところに落とさないと、そのために先ほどの既にある事例をユースケースに解析する手法が必要なのかというのは感じております。恐らく自動運転も、私は詳しくないのですけれども、そういう視点でかなりいろいろなことがあるのだろうと思います。

他方で、住民目線というときに2点申し上げたくて、一つはまさに住民目線でこれまでカバーできなかったことやケアが薄かったところがすくえるようになる、そのためにデジタルの力を活用して、データを可視化して、そこでサービスを提供するということはあるのですけれども、同時に全体の交通、移動を総和で見ていくと、いいかどうかは別としても、地方に行けば自動車中心社会というものは起こってしまいます。そうすると、総和の中で例えば1割、2割をすくうことの価値をきちんと定義していかないと、住民目線の価値はなかなか地元に伝わらなかったり、交通事業者さんからも納得感が得られなかったりすることはあるのではないかと思って、住民目線がどういう価値を生むのか、そこにどういうオポチュニティーがあるのか、新しいサービサーが入ることが事業者さんのプラスになるのだよというシナリオまでMaaSの世界とつくれるといいなと思います。

もう一つは、今度は住民目線から見たときに、例えば事業者の安全運行に関してとか定時運行に関して培ってきた価値は、ここはもう少し柔軟にやっていったほうがいいねということも出てくるのではないかと。住民目線でやったときの事業者目線へのフィードバックみたいなことが、打ち筋として何か方向性が出せればいいかなと思っております。

最後に、現場でやっていますと、担い手をどう育てて確保していくかという話が必ず出ると思っております。まさにバスやタクシーのドライバーさんも高齢化して、地方によっては平均年齢70歳の自治体、タクシー会社さんも出てきているのが実情ですので、その方が、前にも話に出ましたけれども、いかに長く運転してサービスを提供できるかも重要になると思います。それから、運転スキルがある住民の方や福祉事業などで移送をやっている方々を、まさにサービスネットワークの中に入っていただいて、それが全体として回るかみたいな、地方ごとですけれども、そこのネットワークも必要になってくるのかと。何となく日本のMaaS、地方は特にそういう総和の中でMaaSが出来上がっていくのかと思っていまして、そうすると、担い手をどういう人に担ってもらうのか、その中での安全、トラストをどう確保するのかといったことが、それをアーキテクチャという中に盛り込んでちゃんとデジタルで可視化していく世界観が要るのではないかと、この発展される中での方向性としてコメントさせていただければと思います。

石田座長: ありがとうございます。

桃田さん、どうぞ。

桃田構成員: 先回御提示いただいたものより当然ですけれども具体性が増して、とてもよくなったと思います。ただし、今回合同発表ではなくて、御指摘のように、名前、副タイトルをどうするにしても、戦略とうたっているからには足腰が弱く感じます。デジタル交通社会の全体図として、社会の中に人がいて、その上に自動車産業を含めて多様な産業があるという図式なのですけれども、これまでの議論は自動運転のCASE、MaaSなど、自動車関連産業の技術革新によって今まで築かれてきたもの、その立ち位置は変わらないはずなのです。それが本来の下半身で足腰であると思っています。

その上で、職業柄もありますけれども、自動車産業と周辺産業の声を今々いろいろな方に会って、この1週間、2週間、いろいろな方とかなり膝詰めで話してきました。役員の人たち、幹部、中堅、若手のエンジニア、大手、中堅、いろいろなサプライヤー、販売店さんのいろいろな方、物流業者、自動車業者、いろいろな人と話してどう思うと。これもオープンになっていた話だし、そうすると大体同じことですね。とにかく一番は、世の中は今、カーボンニュートラルですと。業界もそう言っているでしょうと。それは規制もあるから、欧州の状況もあると。ただし、自動運転やシェアリングや地域社会のDXのような話だと、正直、ほとんどの方が言うのはコンサバです。なぜならば、100年に1度の自動車産業の変革でいろいろなことをやりました、実証試験をやりましたが、多くの方が言うのは、結局変われないのですと。要するに、自動車の産業構造自体を変えるのは本当に難しいとか、社会を変えることやみんなを動かすことは本当に難しいと実感しているのですと。だから、デジタル庁にも大きな期待をしていますということを言うわけです。

だから、結局みんな迷いがあってコンサバなのは、あと、若いエンジニアがみんなよく言ったのは、言われればやりますと。目標を示してくれれば俺らは今までやった実績があると。いつでもレディー・ツー・ゴーなのに、言ってくれないから、やろうと思うと頭をたたかれるから、だから、これを整理してくださいと。今日、いろいろなシステムでアーキテクチャというお話があるにしても、機は熟していてみんなやろうと思っているのですと。だから、すごく抽象論ですみませんけれども、みんなにやる気を持ってもらうような国としての覚悟みたいなもの、支えますと。そのぐらいの何かしら表現方法はいろいろあるにしても、やれば、今日議論に出てきたようなアーキテクチャ等々のいろいろなことを踏まえて、今ある人たちがそんなに大きく変えなくても計画的にトライアル&エラーで始めてくれるような気がするのです。SIP-adusにしても、MaaSにしても、ずっとやってきたのですから、だから、やり方次第、見せ方次第、こちらの気持ち次第のような気もいろいろな方に聞くと思いますが、葛巻さん、どうですか。

葛巻構成員: 私の意見としては、石田先生もデジタルにこだわりたいという話もございましたし、今回はデータ活用、データ連携が一つの大きなテーマではないかという気がしていまして、自動運転は手段なので、今回の中でデータ活用を民間も含めてもっとやりたいという話に変えていかなければいけないのですね。そのときに、一つはお金の使い方で、今まではどちらかというとハード的なものをすぐつくりましょうということで、新たなデータを生み出すのだみたいな話になるのですけれども、今ある民間のデータをもっと使っていろいろなサービスをやってみて、その後で先ほど話があった信頼性とか、いろいろな課題が出てくると思いますので、そういうものを解決していくということが必要で、それを1年とか2年だけでは駄目で、5年レベルでそういうことをやっていかないと身になっていかない。試験的にやるだけでは駄目なのではないかという気もします。そういう意味では、機は熟しているというのは、おっしゃるとおりで、いろいろやりたいなと思っていることはたくさんできるのではないかという気はします。

石田座長: 私は別にデジタルにこだわっているわけではなくて、どちらかというと交通社会にこだわりがあります。

どうぞ。

齊藤構成員: 交通、トランスポーテーションという一つの手段ですね。ツールであって、デジ庁が進めようとしているのは生活からという話はあるのだけれども、今の社会の中で交通、トランスポーテーションがどういうところに使われているかみたいな話がまず一つあるのです。これまでのMaaSというのはどちらかというと移動手段のMaaSで、今の移動を変えますというのだけれども、それではビジネスが成立しない。だから、逆に言ったら、デジ庁は生活のシーンから想定して、何のためにそれを使うのだっけというところからそれを連携しましょうみたいな、例えばサービスをする人たちが、医療だったら医療から移動するときにトランスポーテーションを要するのだったら、そのシーンを想定してうまく連携する仕掛けをデジタルでつくれたらいいのではないかというのがそもそものスタートラインに思うのです。

先ほど言われたITSの話は、そうはいったって交通という軸をインフラとしてどう考えるのと。その中に、今のいろいろな生活シーンや、当然物流だと産業競争力の話になると自動車工業会以外にも物を運ぶところに物流システムがあって、そこの効率アップという話は、トランスポーテーションの中では日本の競争力を高めるというのは非常に重要な位置づけですね。交通渋滞をなくすみたいな話も含めてね。だから、今、社会における交通というものはどこに使われていて、それに対してどういうインフラをつくるかという話と、もう一つはそれを使った先のいろいろなサービスとどう連携するかという話をきちんと整理していかないと、何となく全体像が描けないなと私は思います。

だから、ドローンの話で我々はユースケースを想定しているのだけれども、結局ドローンはいろいろな分野で今の社会でどう使うのだろうという話をユースケースで拾い出しているのですね。恐らく交通システムを今、やっているところ、As-Isでもいいのだけれども、どこに使われていて、それは何が課題があるのだみたいな、そこに対してどう解決するか、自動運転も含めた次のITSでどう解決するかという全体のシステムを考えるのがこの話につながるのではないかと思いますけれども、ITSでそんな議論をしていたのですか。どうなのでしょう。

山本構成員: ITS Japanでは同じような公共の価値と個人の価値、シニアの方及び女性の方、どのような社会があるかを見て、そこの中で我々は何が要るのだろうといったときに、移動の中で安全に移動してもらわなければいけない及び環境に優しい移動をしなければいけない、災害に役立つ移動をしなければいけない、このような大きなカテゴリーからユースケースを決めていって、このようなところをみんなでやりましょうよ、そこの中でITS Japanはこのようにやりましょうというようになっています。

御質問からすると、ITSというのは「Intelligent Transport Systems」なのですね。言われたとおりトランスポーテーション、それをインテリジェントに活用するという、誰も広辞苑に載っているような道路交通社会なんて考えていないのですよ。ですから、そういう意味でいくと、非常にITSというのはこの戦略というか、このシナリオを支える現状のものをいかに活用していくかというところに合っているのかなと。

齊藤構成員: だから、これまでの村上さんたちがよく言うのは、インフラから考えてそれを使いましょうというと駄目だから、反対から考えるとトータルでつくれるねと。その中にITSで今までやっていたものをはめ込んでいくのが今回のお話ですね。だから、逆に言ったら、どういうところにトランスポーテーションを活用するのかといういろいろなシーン、人の生活や仕事の中で使うみたいな話があれば、そういうものを想定して、そこをどのようにしていくのかというのが、今、やらなければいけない、やりたいことなのではないかと思うのです。

パーツでいうといろいろあるのだけれども、そうはいったって、カスタマージャーニーではないけれども、実際に自分が生活するときにインカムをちゃんともらおうとすると、逆に言うと企業で働かなければいけない。そこで勝てるような企業にしなくてはといったら、当然物流の話も出てくるのです。リモートでないとしたら自分の通勤手段もあれば、そういうところにどのような「モノ」「コト」をやらなければいけないかとか、生活でいうと、例えば日頃の生活をする話、いわゆる食品も含めたそういう生活手段をどうするかという話と、ヘルスケアのような話もあれば、最終的には社会をこうするという教育みたいなところにも、こういうものは例えばどのようにはめ込んでいくのかみたいな話があってしかるべきですね。そんなイメージで社会から見たときのトランスポーテーション、インフラをどのように考えるのだろうというのが、住民起点でとか、事業者の起点でとか、先ほど申し上げた被災者があったときの起点でどうしたらいいのだろうかといろいろなシーンを想定しながらつくり上げていくというのが今回の話なのではないかと思うのです。そうですね。

石田座長: 全く同感です。まとめていただいて助かります。

桃田構成員: 最初の課題設定、ペインポイント、お困り事と言っていることに関して、永平寺町MaaS会議をやっているとか、そういう実際の中でも感じるのですけれども、困っていますかと言うと、ほとんどの人は困っていないと言うのですね。自家用車で普通にやっているしと。ですから、大体日常生活の中で交通の話をすると、公共交通会議の中で路線バスをなくすのはどうするのですかというのだけれども、その人のそこで使っているn数が少ないからやりましょうみたいな話で、とにかくあまりペインポイントにならないことが多いです。限界集落ですら今のままでいいかなと。変わることに対してコンサバな場合が多いです。だから、永平寺町でもよく言っているのですけれども、可能な限りこれから変わっていく社会の変化を住民の人たちに説明してください、これから困るのですよと。だけれども、自治体としてはなかなかこれから困るのですよというのが言いにくいみたいですね。だから、こうなるからこういうものが必要というのは、将来的にペインポイントになりますよという自治体での各地域での落とし込みは、困り事、ペインポイントをある意味見える化することだと非常に強く思います。

石田座長: 甲田さん、お願いします。その次に日高さん、お願いします。

甲田構成員: ありがとうございます。

私からは2点、国が掲げる社会推進戦略というところで、まずは社会課題や社会成長のために、どの地域に暮らす誰をターゲットにこれらのデジタルトランスフォーメーションを含めたデジタル交通社会の在り方が考えられているのか、生活者に基づいたという本当にどの地域のどの問題から取り組んでいくのかを明確にもう少し掲げていくことが必要ではないかと思ったことが1点目です。

2点目は、この会議の中で情報共有されたことは割と「ドラえもん」みたいな、かなりビジョナリーな社会だったらこうなるというところに関する意見交換はあったかと思うのですけれども、それを実証では例えば5年ぐらいかけてどの地域の誰に対するどんな課題を解決するのか、どんな成長を促すのかといったマイルストーン、それから、それを実装させていくためのマイルストーンをより明確にしていくことによって、ビジョンは分かったけれどもどうやってかなえていくのか道筋が見えない。どなたかがシナリオという言葉を使われていましたけれども、そういったものが非常に必要なのではないかと思います。また、そういったロードマップ的なものは当然変わっていくものですから、どのタイミングで見直しをかけていくのかといったところも最初から想定されていくほうがうまくいくのかなと思いました。

石田座長: ありがとうございます。

続きまして、日高さん、お願いします。

日高構成員: MaaS Tech Japanの日高です。

本当にすばらしい成果だなと。私も勉強になりましたし、そういう社会にしていければと思っております。ただ、時間的にいろいろな自動運転も入れば地域の話もあればというところもあったので、フォーカスの違いだと思うのですけれども、交通、特にMaaSのところについては議論は十分にできなかったところかと思っております。

ぜひこのようにすばらしい検討を継続していっていただければと思っておりますことと、3点、1点目は関係するところで、石田先生もよく御存じですし、事務局の皆様にもお伝えいただいているかと思いますけれども、総政局さんで地域交通のリ・デザインというところで、事業スキームですとか、大きくいえば産業構造をどうしていくかという議論もされておりますし、データの話でいうと、交通分野におけるデータ連携の高度化検討会、先日引き続きそういうものも参加されておりましたので、この辺りはアーキテクチャ議論、データのところに関係してきますので、ぜひそこと連携して進められるとよいなというのが1点目です。

2点目で、MaaSの話自体がそれほど出せなかったところもあって、私の反省でもあったのですけれども、世界の中でMaaSがどのように動いていくかというところについては、宮代さんからの発表もありましたけれども、まだまだいろいろな取組がなされていて、脱炭素の話もあれば、エネルギー政策の話もあれば、地域の話もあるので、その部分はもっとレファレンスしながら、ただ、日本の特徴や現状には違いがありますので、改めてそこは議論させていただけるとよいかと思いますし、ここも動向変化が激しいので、継続してデジタル庁さんの中でも扱っていただけるとありがたいと思っております。

私は今、大阪に来ておりまして、2025年に万博があって、スーパーシティの話とか、広域でのデジタル連携というところも各地で検討がなされている中で、そこの取組とギャップがあると。ギャップがあるので今回のガイドラインを示す必要もあるかと思いますけれども、実際に動き始めているところもありますので、今後検討の機会があるのであれば、そういうところをやっているプレーヤーもゲストに呼んだりしまして、その中でうまく連携できればというところと、1番目のほかの省庁さんとの連携も含めて、車輪の再発明みたいにここで検討していたものをまたゼロからというところは日本の中で避けなければいけないところだと思いますので、座組みをうまくつくれればと思っておりますし、私は今回MaaS Tech Japanとして出ておりますが、JCoMaaSというMaaSのコンソーシアムも事務局として一生懸命やっておりますので、ぜひそういうところと連携しながら日本のデジタル交通社会の発展等々を目指していければと思っております。

石田座長: ありがとうございました。

南雲さん、お願いします。

南雲構成員: ありがとうございます。

大筋に違和感はないのですけれども、1つだけ、スマートシティ等の議論をよくやっていると、ペインポイントから始めるというのはあるのですけれども、傾向として発生するのは少子高齢化社会、特に高齢社会の延命措置みたいな話ばかりになっていってしまうのです。夢がなくなっていってしまう傾向があるような気がしていて、齊藤センター長の図の中にバックキャスティングの図がありましたけれども、あれをもう一回よく考えたほうがいいのではないかと思っていまして、僕はよくフィンランドと情報交換するのですけれども、現状のウェルビーイングから見て20年後のウェルビーイングの世界はどういうところなのだという先を見て、そこからバックキャスティングする形で、どんなテクノロジーが必要かとか、どんな企業が必要かとか、どんなデータが必要かということを見定めるということをよくやっているのです。ですから、ペインから始めると、社会的受容性の観点から誰もノーと言わないというよさがあるのだけれども、逆に水面下から水面までしか持ってこない、もしくは延命措置的なものになっていってしまって、社会の進化というか、成長というか、そこの議論が何となく出にくくなるところがあるので、あまりペインポイントから始めるだけを書くのはやめたほうがいいのではないかという気がしています。ペインポイントは書く必要があるのですけれども、ペインポイントから始めると同時に、ウェルビーイングの将来像からのバックキャスティングみたいなことも一言入れていただけるとありがたいと思います。

石田座長: ありがとうございました。

須田先生、お願いします。

須田構成員: 基本的にここで既に話題提供で議論していただいた話についてはうまくまとまっていると思います。そういうことなのですけれども、ただ、デジタルモビリティということで、必ずしもユーザーにどうやってサービスするかというだけではなくて、実際はエネルギーの話とか、今はまさにカーボンニュートラルとか、そういう話があるわけで、そういう話についてもデジタルモビリティが役に立つのだという話があると思うのです。そこら辺も触れていくことが必要かと思っています。

もう一つ、今までの官民ITS構想・ロードマップとのつながりがあまりよく見えないなというところなのです。7ページ目に課題認識というものがあるのですけれども、そこが具体的に今回の議論とどうつながっているのかをもう少しうまく説明する必要があるのではないかと思いました。

あと、これは今後どういう進め方をするのかというのは、最後にお伺いしたいなと思います。

石田座長: 最後、質問が1点、よろしくお願いいたします。

瀧島参事官: 課題については、いただいた御意見、結構広範に御意見をいただいていて、なかなか悩ましいところですけれども、1~2週間めどで作業をして、もう一度皆さんにオンラインで見ていただくということで、ドキュメントとしてはそういったもので大丈夫ということで思っております。それでもまだまだということであれば延長戦をやらざるを得ないのですけれども、そういうことかと思います。

全体のプロセスでいうと、今までのデジタル庁以前のときと意思決定の方法が変わって、IT推進本部がなくなっているので、各省に協議をかけて、各省との合意を取って、政府としての意思決定をするという立てつけで、若干差があるのですけれども、そういった形で政府全体のものとして取りまとめをしていくということかと思っています。

村上統括官: 文書は今、瀧島から説明したようなやり方で各省協議プロセスになだれ込んで、あまり儀式的なことを入れずにいきたいと思いますので、このプロセスを並行して共有しますので、皆さんにどんどん御意見をいただければと思います。

それから、これはまたうちの中で相談しますけれども、大分いろいろな基本的なコンセプトや見方はおかげさまで4回を通じて一致してきたかなということでありますが、逆にユースケースからバックキャストするといったときの例えばこんなユースケースをイメージしたらいいのではないかということの解像度は上がっておりませんので、せっかくここまで議論したのであればそっちはどうなのというところは、もう少し何かの格好で検討していただければという気もいたします。その辺を受けるか、どういう形でするのかも含めて、事務局の中でよく議論させていただきたいと思います。

個人的なコメントで、データ連携のところでしょうと、大分そこまで言っていただいたので、そこの理解を勝手に想像しますと、昔はシステムを全部統合しないとできなかった情報処理がネットとデータ連携でできるようになったことによって、欧米などではデータスペースと言ったりするようでありますけれども、社会全体を覆うような事実上のコンピューターもどきができるようになって、その結果、人の振る舞いに先んじてシステムのほうがいろいろな判断を先にできると。そのことが供給が需要に合わせなければいけない社会に不可欠になっているというような、データスペースが先にリアル社会を覆い込んでしまった上で、それをどこから使っていきますかということと、それを実際に実装する上で投資をするときのプレーヤーがどうしても今日の齊藤先生のお話にあったような協調領域に落ちてしまうものですから、誰がやるのだっけというところが描けなくて、方向は見えているのだけれども、実装が進まない。すごく抽象度を上げていってしまうと、こういうことではないかと思いました。

そういう意味では、今後考えなければいけないことのキーワードの一つは、実は実装のエリアというか、範囲ではないかと。小さいコミュニティーから始めるのか、自治体単位で始めるのか、ある種の事業者の事業セグメントで始めるのか、それとも最初から広いフォーカスで考えるのか、まずはどういうスコープで実際に協調領域と競争領域と、データが先に社会を覆うという実態を網にかけていくのかというところの実践がないので、理屈は分かるけれどもなかなか実行に入れないということかと思うので、そういったところが見えてくると何となく一挙に動くのではないかということを、4回の議論を通じて感じさせていただきました。最後の点は感想です。

いずれにしても、また今後については御相談させていただければと思います。

石田座長: ありがとうございます。

最後に私の感想を短く申し上げて終わりにさせていただければと思います。

本当に短期間、2か月しかたっていないのですけれども、皆さんから積極的に多数の意見をいただきまして、それをこういう形でまとめていただきまして、ありがとうございます。まずはお礼を申し上げたいと思います。

今日も本当に本質的な議論をいっぱいいただきまして、よかったのは、何が必要とされているかというところですね。それが今のペインポイントという話なのでしょうし、20年後のウェルビーイングという話もありますし、そこから考えようと。そういうことによってトータル性の確保とか、いろいろなことをちゃんと考えるそのためのデータという位置づけなど、インフラもいっぱいあると思いますけれども、皆さんの御意見は広いインフラというイメージですね。物的施設だけではなくてアクセプタンスの生活慣習もビジネス慣習も含めたような広い意味でのインフラという捉え方ができるのかなという感想を持ちました。

ただ、1点、タイトルに関しては山本さんをはじめいろいろな方がおっしゃったことに全く同意で、この中でもうちょっと書いていただければありがたいと思っていますのは、今、村上さんがまさにおっしゃったけれども、地域としか書いていないのですね。地域のイメージをもうちょっと膨らませないと駄目で、スマート化、DXというのは自治体の壁を取っ払っていくと思いますので、そういうことも含めた地域の伸び縮みとか、そこのガバナンスに対して何ができるかみたいな視点も今後要るかと思いましたし、住民目線、国民目線もいいのだけれども、法人も人ですね。だから、生産とかということも、これからの日本は稼ぐ力も大事ですので、その辺をこれから充実させていけばいいのかなと思いました。

ただ、今時点でのスナップショットという位置づけで皆さん同意をいただいておりますので、時間の制約の強いものですから、続くことを期待して、最初のスナップショットとしてこれを中心に、さらにちょっとだけブラッシュアップかなという気がしておりますが、そういうことで御了解いただければと思います。

それでは、ありがとうございました。