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電子委任状法施行状況検討会(第4回)

電子委任状の普及の促進に関する法律(平成29年法律第64号)について、施行後5年が経過したことから、同法附則第4条の規定に基づき、施行状況の点検及び今後の方向性の検討を行うため、電子委任状法施行状況検討会を開催します。

概要

  • 日時:令和5年11月7日(火)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
    3. 検討結果の取りまとめに向けた意見交換
    4. 閉会

開催案内

資料

関連政策

議事録

日時

令和5年11月7日(水)10時00分から12時00分まで

場所

オンライン

出席者

  • 上原哲太郎(立命館大学情報理工学部教授)
  • 濱口総志(慶應義塾大学SFC研究所 上席所員)
  • 宮内宏(宮内・水町IT法律事務所、弁護士)
  • 山口利恵(東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授)
  • 板倉景子(株式会社メドレー コーポレートデザイン部 Head of Security)
  • 笠井玲子(株式会社ローソン インキュベーションカンパニーデジタルソリューション推進部 マネジャー)

議事録

デジタル庁 當波:
それでは定刻になりましたので電子委任状法施行状況検討会第4回を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。

私は事務局を務めますデジタル庁の當波です。よろしくお願いいたします。

議事に先立ちまして、本日の資料を確認させていただきます。委員の皆様の手元に、議事次第と資料1を配布しております。この資料につきましてはデジタル庁のウェブサイトの方にも掲載しておりますので、傍聴の方はご確認ください。
それでは、これ以降の議事進行を上原座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

上原座長:
本日もお集まりいただきましてありがとうございます。本日は、検討結果取りまとめに向けて、意見交換の会とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

早速ですが、議事の1について事務局からご説明をよろしくお願いいたします。

デジタル庁 當波:
それでは議事1について資料1施行状況報告書の骨子に沿って説明させていただきます。
流れといたしましては、本日ご議論いただきたい点の説明、施行状況報告書の目次案の説明、電子委任状の課題及び対応の方向性の整理を行った内容について、その概要、電子契約における電子委任状利用の課題及び対応の方向性、電子申請における電子委任状利用の課題及び対応の方向性、その他の課題及び対応の方向性について、に分けて説明を行います。

まず、本日ご議論いただきたい点とその背景といたしましては、前回の検討会でお示しました施行状況報告書の目次(案)に合わせて、第1回から第3回においてご意見を頂きました電子委任状の課題及びその対応について整理を行わせていただきました。これは、これまでに頂いたご意見を、課題とその課題に対する対応に分類した上でそれぞれの対応付けを行ったものになります。

本日ご議論をいただきたい点としましては、この課題を解決するための、課題に対する対応が適切な対応となっているのか、対応が課題を解決するためのものになっているのか、課題に対してより適切な対応が考えられないかという点、今まで皆様から多数の課題、対応いただいているところで、特に優先度高く実施すべき課題とその対応はどの点であるか、また今までの議論以外にその他に解決すべき課題が残っていたらその点についても今回触れていただきたいと思います。

施行状況報告書の目次(案)です。

施行状況報告書の全体の流れといたしましては、最初に検討の背景について説明を行った後、電子委任状の施行状況として電子委任状法第5条に係る認定の状況について、電子委任状の利用場面と利用状況について、国等の責務に係る取組について、それぞれ報告書としていきたいと思います。

また3.課題の整理と対応の方向性について、においては電子契約・電子申請また共通するその他の課題についてそれぞれ課題と課題への対応の方向性に分けて報告書を書いております。

電子委任状の課題及び対応の方向性の整理を行ったものです。

電子契約・電子申請、その他の課題、それぞれについて2、3個ずつ、皆様のご意見、課題の分類を行っております。この課題及び対応の分類については、今回のご意見を踏まえて再整理を行う予定です。

まず、電子契約における電子委任状の普及に関する課題についてご説明をさせていただきます。

電子契約一般における電子委任状の普及に関する課題としては、使いやすさに関するご意見、電子契約自体の阻害要因に関するご意見、電子委任状を利用するに至る利用経緯を把握すべきというご意見、BtoBでの利用場面とそのメリットを示すべきというご意見、電子委任状を電子社員証のような形で利用できるのではないかというご意見、はんこと異なり手触り感がない電子署名を普及させるには何かしらの対応が必要なのではないか、というご意見を頂いております。

この課題に対する対応といたしましては、電子委任状や電子契約サービスを利用している企業へのヒアリングやアンケート調査を通して、電子契約が抱える課題について相互運用性やUX、制度設計、デジタルを前提としたプロセスの改善等のポイントに分けて整理を行い、政府による広報活動、ガイドラインの整備等、必要な施策を検討するという内容を対応案として記載しております。

また、電子社員証、手触り感に関する課題に関しましては、この後ご説明しますガイドラインの策定・整備の取組において電子委任状の電子社員証としての利用や電子契約の利用、企業内の役職者の署名としての利用等、実務での利用方法についても念頭に置いた検討及びそのガイドラインの記載を実施すべきと考えるという案をお示ししております。

手触り感に関する課題につきましては、1番、2番の取組や特にガイドラインの策定の取組を通じて課題に対応したいと考えております。

また、電子契約一般における電子委任状の普及に関する課題について、関連する課題を以下に記載しております。

ガイドライン等の資料に関する課題です。

これまでに頂いたご意見から、電子契約における電子委任状のユースケースが整理されていないというご意見、電子契約におけるリスクを踏まえた使い分けが行われていないのではないかというご意見、電子契約・電子署名に関する企業間の共通認識が作られていないのではないか、というご意見を頂いております。

この課題の対応としましては、電子署名・電子委任・電子契約の手続きに関する具体的な例を含むとともに、目的に応じたセキュリティを担保した適切なサービスの選択において参考とできるガイドライン等の整備を実施すべきという案をご用意しております。

ガイドラインの整備にあたりましては、デジタル庁がガイドラインを整備する方法、業界団体と協力してガイドラインの整備を実施しデジタル庁ウェブサイトにおいて公開をする方法等、様々な方法が考えられますが、それぞれにおいて行える点、示せる点等の利点欠点を踏まえた上で方法を選択すべきという点について追加で記載しております。

また、トラストの高い取引を実施する分野を対象としたガイドラインを整備することによって、それらの分野の普及をドライバーとした他の分野への普及効果が期待できるといった内容についても引き続き検討を実施すべきという点について記載しております。

不適切な代理人・署名代行に関する課題です。

代理人による署名と署名代行の違いが認識されていないのではないかというご意見、電子署名の署名代行行為にはパスワード共有等の点においてデジタル特有のリスクが存在するのではないか、というご意見を頂いております。

この課題に対する対応としまして、代行署名の課題につきましては、デジタル特有のリスクがあることに鑑みまして、代表者の電子署名がどのように扱われているのか、その実態を踏まえつつ代理人による署名との差異について整理を行った上で先ほどのガイドラインの取組に反映する必要があると考えております。

また、デジタル特有のリスクについては、この後ご説明します社内規程のモデルとなるようなひな形に関する取組、先ほどのガイドラインの整備の取組を通じまして、パスワードやICカードを共有するリスクについて周知を図る必要があると考えております。

法人内部の規程に関する課題です。

電子署名に関する、印章管理規程に相当する規程の整備が進んでおらず、その理解も進んでいないのではないかというご意見、印章において事実上行われてきた押印代行等の曖昧な管理や業務プロセスをデジタル化する上でのハードルが存在するのではないか、というご意見を頂いております。

これにつきましては、印章管理規程に相当する電子署名取扱規程を整備する上で、社内規程の整備に繋がるひな型やガイドラインを作成し、必要に応じて先ほどのガイドラインの取組の方に反映する必要があると考えております。

業務プロセスのデジタル化における課題につきましては、先ほどのガイドラインの整備によって一定の解決が期待できると考えております。

電子契約における電子委任状利用の課題につきましては以上となります。

ここで、上原座長にお返ししまして、電子契約における課題についてご議論をいただきたいと思います。

上原座長:
電子契約の部分について、ご意見のある委員の方は目の前にあります名札を立てていただいてお知らせください、私から指名いたします。

ご意見ございませんでしょうか。宮内委員、よろしくお願いいたします。

宮内委員:
宮内でございます。
全体として色々な対応が書かれている中で、やはりひな形とかガイドライン、こういうものを作っていくというのは非常に重要なポイントの一つになってこようかと思います。

ガイドラインとかひな形には非常に難しい点がございまして、はっきりして欲しいっていう要望ももちろん読む側からあるんですけども、あまりはっきり書いてしまうと、今度は盲目的って言うと言いすぎですけど、単にそれを写すだけで、自分が何も考えずにやってしまうということが起こってしまうんですね。

会社も多様なら契約も多様でありますし、単にこれでいいんだと使われてしまうと困るっていう面もあろうかと思います。特に、使い分けのところなんかは単に書かれている通り使い分けるんじゃなくて、やはりそれぞれの実情に合わせて使い分けしてもらわなきゃいけないということがあるので、こういうところを上手にやってくっていうところをやはりうまく盛り込んでいきたいというふうに思っております。

私は以上です。

上原座長:
ありがとうございました。続きまして板倉委員よろしくお願いいたします。

板倉委員:
今お聞きしていて、対応のところ、やっぱりガイドラインが必要っていうところが、課題でも出てくる話かなと思っています。

どちらかという整理の仕方の話かもしれないんですけども、ガイドラインにも盛り込むポイントは何なのかっていうところの整理を、追加の現状調査も必要となると思うんですけれども、もう少しカテゴリーを整理していく必要性があるのかなと。

例えば、相互運用性に関する課題というところで言うと、もう少し深掘りできるところがあるかなと、引き続きその辺りを対応していけるといいのかなと思います。

上原座長:
ありがとうございました。他にございますでしょうか。

笠井委員よろしくお願いいたします。

笠井委員:
ご説明ありがとうございます。意見としては、特段相違はございません。

一点なんですけれども、7ページ目、ガイドラインの整備というところなんですけれども、先ほど板倉さんがおっしゃったように、誰向けのガイドラインなのかという点はしっかりと明記した方がいいかなと思っております。

私としては、企業の普及ということなので、電子委任状や電子署名全般を利用する利用者側に向けてということだと思うんですけれども、他方、契約のやり方っていうのは機密情報みたいなところもございますので、どういうような会議体で実態を聞く、みたいなところについては非常に慎重に検討する必要があります。

具体的には、デジタル庁が業界団体と協力してとありますが、プラットフォーマーの業界団体と話をすると、この見えている範囲しか分からなかったり、逆に利用者からヒアリングをしたいとしたら公開の場ではちょっと難しいところもあったりしますので、この辺りどういうやり方があったらいいのかということは慎重に検討すべきかなと思います。

上原座長:
どうもありがとうございます。濱口委員、よろしくお願いいたします。

濱口委員:
同じく7ページ目になります。
これまでガイドラインという話があったと思うんですけれども、課題に対する対応のところの3番で、不動産、金融機関、大企業、官公庁等、トラストの高い取引を実施する分野を対象とした方がいいんじゃないかというような方向性が示されているわけですが、あまねくBtoBを対象としたガイドラインとしてしまいますと、なかなかこういった取引に対してこういうサービスを使うべきだ、こういう電子委任状を使うべきだっていうような書き方をするのは非常に難しくなると思います。

これまでの議論でも、やはり電子委任状というのはしっかりとした本人確認に基づいた電子署名であったり、その電子署名を使う電子契約サービスと相性が良いのではないかという意見があった通り、やはり高い信頼性が求められる領域をまずは対象に加えてガイドラインを整備していくことによって、他の分野への波及を目指していく、まさにこの3番に書いてあることが良いのではないかと個人的には思っております。

以上です。

上原座長:
どうもありがとうございました。一通りご意見を頂いたかと思いますが、更にございますでしょうか。
なければ、私から少しコメントさせていただきたいと思います。

恐らく、そもそも電子契約そのものの普及というものが、一時よりは加速しているように思いますし、個人的に耳にしているところで言いますと、比較的契約が大きい業界におきましては、印紙税というのは非常に大きなインセンティブが存在するということがあり、進んでいるのかなという一方で、そこに電子委任状というものが、適切にどれだけの使われ方をするケースがあるのかというのは私もよく分かってはいないんですけれども、あまり盛り込めていないのかなというのが現状になっているのかなと思うので、そもそも導入に係る点で何が阻害要因となっているのか、特に使いやすさですとかハードルみたいなところについては、この際きれいに整備をしていただくのが一番大事なのかなというふうに思っております。

特に、相互運用性に関してはかなりな懸念かなと思っておりまして、場合によっては特定のサービスで寡占状態が生じてそこでトラブルが起きた場合に逃げ道がなくなるみたいな問題が起きるということもございますので、相互運用性に関して一定の規律みたいものがある状況を作れる方がいいんじゃないかみたいな議論があればいいのかなと思っています。

ユースケースとして、本人確認の方は制度みたいなものを高く求めるユースケースが比較的相性がいいのではないかというご認識・ご意見が、先ほど濱口さんからもございましたけれども、裾野を広げるという意味では色んなタイプのものがあっても良いのかなと思いますので、少し幅広に議論が出来ればよいのかなと感じたというのが、私個人のコメントにさせていただいて、この議論を締めくくれたらと思います。

付け加えますと、宮内委員から出ましたガイドラインを作るということによって、ガイドラインの書きぶりによってはいわばマニュアルや、言い方が悪いかもしれませんが金科玉条みたいにして使ってしまうと不思議な歪みが生じる。特定のサービスが、我々はガイドラインに沿っているけど他社は沿っていないので有効ではないというようなマーケティングに使うっていうケースが別のところでも生じたことがございますので、書きぶりは幅を持たせておかないと、あるいはそこで揺らぎが生じてしまったような解釈を生かした見解をどこかで出してしまわないと変に偏った解釈をされるということが危惧されますので、出してしまったら終わりではなくて少しフォローが必要だなというふうに感じました。

今ざっくりまとめさせていただきましたけれど、さらにご意見ございますでしょうか。

笠井委員お願いいたします。

笠井委員:
9ページの法人の内部規程のところなんですけれども、規程の整備というのは私も非常に重要だと思っていて、そこがないがために機密が難しい、各企業としても悩みどころではないかなと思っております。一点、この下に加えるかどうかは検討だと思うんですけれど、皆さんからも従前から意見が出ているように、やっぱりデジタルには手触り感がないので非常に課題もリスクも見えにくいというところについては、どう対応すればよいのかなというのが私も考えているところです。

例えば、アナログの印章を頂く場合に比べて人の手を介さないとかそういうところについてはもう少し分かり易くして、だからこそこういう規程が必要なのであるという必要性については表現していただけると、企業もはっと気付くケースがあるのではないかなと思います。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。

宮内委員:
代行署名の話を、実はいろんなところでパスワードやカードを渡してやってもらってしまうというケースがあるというふうに聞いております。私が色々人から聞いている話だと、はんこだと総務に預けておいて社長がやっていないのに、電子署名の方はどうなるんだと、皆さんも聞いてらっしゃると思います。こういうところの整理というのを、代理人が委任状に基づいてやるのとをしっかり整理して、これは駄目これは良し、こういうふうにやればこれと同じ効果ができるよ、と、ガイドラインの話になるかもしれませんが、しっかりガイドしていって駄目なものは駄目とちゃんと示していく必要があるというふうに思っております。

上原座長:
ありがとうございます。
確かに署名の代行、代行署名というものがどこまで許されるのかという議論というのが恐らく出てくると思いますし、もしかしたらガイドラインでこのケースはと、いうのを細かく分解しなくてはいけない話になってくるのか、それともここはまだ市場に任せたほうがいいのかみたいなところがやや悩ましいところですね。

特に、クラウド型の契約サービスにおきましては、結局認証がパスワードという比較的分かりやすいものになっていて、これが比較的使い回されやすい土壌というのがあるというのがございます。ただ、いわゆるネットワーク全体のパスワードというものの保護、大きく言うと不正アクセス禁止法でそもそもそこがきっちり守られていることがネットワークの秩序に繋がるみたいな整理もされているところを根本から覆すみたいな使われ方はどうなんだというようなところから始めるのが本当はいいのかなというふうに思っておりますし、場合によっては、各サービス事業者さんに、ITの世界で言いますと、認証と認可をちゃんと分けるということをサービスのデザインにきっちりしてくださいね、みたいなことをお願いするということも、必要になってくるのかなと感じております。

宮内委員:
まさにおっしゃる通りでございまして、いわゆる、会社で社長のはんこを総務部長が持っていて、それを社長の指示があった時だけ押すということは普通に行われていると思います。これを否定することはできません。これ自体は別に違法でも何でもない、会社の意思、社長の意思に基づく押印ですから。これを、そういう制御の下でシステマティックにできればいいと思っています。他の人に署名を押させるなということは思わないです。これをどういうふうに制御していくか、これから先色々と検討していく必要があろうかと思います。

一つあり得る方法としては、リモート署名、鍵を預けておいてそれを認証に基づいて署名を行う。これを社長以外の総務部長が言ってきてもサーバーは署名をするとか、そういうのをどう制御するかっていう問題はもちろん色々と議論があると思いますが、例えばそんなような方法でシステマティックに誰が実際には署名行為をしたのか、これは社内の問題ですが、ちゃんと社長の意思に基づいているのかとか、そういうことをやるような方法は色々と検討していっても良いのかなと思います。今回のガイドラインで、どこに入るかは別の問題としまして、色々そういう方法があるので方向性としては示していくとよいのかなと思います。

上原座長:
ありがとうございます。

板倉委員:
他のところでも出てきたように、結局このガイドラインの対象というところは主にトラストの高い取引になると思いますので、そもそもパスワードだけでやらせているということ自体がよろしくないだろうと思っています。セキュリティ対策をする上でユーザビリティが損なわれるとまた移行へのハードルというところに繋がってしまうので、パスワードレス認証だったり、ユーザビリティも高いやり方を、本人確認のどこまでやるのかというところと併せて考える必要があると思います。

上原座長:
ありがとうございます。私も一つ付け加えさせていただきますと、先ほど少し口にしました認証と認可は違うよというような件と、そもそも今社会で実際の押印という行為が行われていることっていうことの対応が付けづらいというのが一番の問題なのかなと思いますので、これはガイドラインの中に書くのか、ガイドラインのさらに付録みたいなものを書くのか分かりませんけれど、例えば、実際の職務として行う押印の代行という行為に相当するのは、別の方がログインをしてその人に押させていいんだよという指示を正当な方が行うという一番分かりやすいシステムデザインになってることなのだよということを認めた上で署名代行というものを認めるみたいな、一番対応が付けやすいという意味で分かりやすく社会が納得していただけるやり方であり、少し超えるところになったところに電子委任状というものの出番があるのだというところを上手く整理ができると話がしやすくなるのかなというふうに感じました。

もしガイドラインに解説がさらに必要になるのであれば、そもそも電子署名法で使われている電子署名というものが意外とちゃんと理解されていないという思いがございまして、電子署名とはいったい何をするものなのかを分かりやすくリテラシーとして持っていただかないと、何でこれが認められているのかというところに腹落ちがしないではないかという気もしてますんで、この電子委任状というのは電子署名法を紹介する話なので、少しチュートリアルみたいなものが世の中で必要になってくるのかなという気もいたしております。

笠井委員:
上原先生のお話に同感でして、私も色々な方に、と言っても数名ですけれども、今回の大任を頂いてお話しても何か単語までも行き着かないというか、でもこういうところに困ってるんだよね、みたいな意見だけ色々来るんですけれども、こういう法律ありますよと言っても知らないとか、そういうことが正直多いです。

多分、電子署名とか電子証明書とか委任状とか、その言葉にたどり着く手前で、代理の場合はどうなんだろうとか、そういう検索をしたときに引っかかるのは大体プラットフォーマーのサイトみたいなところでして、そこのところが本当に説明が足りうるのか、やっぱりどういうステップがあるんだよっていうのが全体像が政府側から出ていないっていうのは利用者側としては、できるようであればやっぱり政府側からこういうステップがこういうところにリスクがあって確定はできないけれどもこういうケースがあるよというところは出していただけると、利用する側はその中で制度があるんだって理解をしてくるかなと思いますので、実態はそういうような状況でしたというのはここでお伝えしたいと思います。

上原座長:
ありがとうございます。確かに今ネット上の情報が圧倒的に、いわゆるこの種のサービスを行っておられる業者さんの方が圧倒しているというところ、それだけを信じていいのかという、市場の反応に繋がる可能性はあるかなと感じております。

どうぞ、濱口委員。

濱口委員:
ガイドラインの中で、こういうときにはこういうことをしなくちゃいけない、こういうデジタルの手続きにこのようなリスクがあるというような内容が含まれるとは思うんですが、ガイドライン自体、最後はですね、ポジティブな内容にしていただきたいと思いまして、リスクのある取引、紙の分野でも非常に信頼性の高い確認をしているような業務であったとしても、こうすれば、デジタル化ができますよ、どんな社内のプロセスであっても、こうすればデジタル化ができるんだというようなポジティブな内容で最後締めくくっていただきたいと思います。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。他ございませんでしたら、この電子契約における電子委任状の関係についてはですね、ご意見を頂いたということで、以上で締めさせていただきたいと思います。

それでは、続きの部分につきまして事務局からご説明をよろしくお願いいたします。

デジタル庁 當波:
まず今の電子契約のところ、委員の皆様から頂いたご意見について、コメントさせていただきたいと思います。

3.1(2)のガイドラインに関する点について多数の意見を頂きましたが、基本的には最後に上原先生及び笠井委員よりあるとご意見を頂きました、そもそも電子署名という単語というところから理解されていないというところであったり、プラットフォーマーの示す利用方法が、今、電子署名、電子契約を行い始めようとするユーザーが検索したときにまず目にするものであるという点について、まず選択肢を整理した上で示してあげるという点が重要であると考えております。

今までも第1回から第3回において整理しております課題の部分について多数ご意見が出ておりますが最終的にはそれを解決するようなものになるべきだと考えております。

また、署名の代行であったり、法人内部の規程に関する課題についてもご意見を頂きました。

そちらについても、基本的にはこのリスクを回避するためのもの、トラストが高い取引を行いたいときにはちゃんとこうすべきだよというところ、そもそも社内規程を示すことによって今まで紙の取引を行っていた事業者が電子に移行する上で、とりあえずこれを見て参考にしようという何かを作ることができればいいと考えております。

他にも多数ご意見を頂いておりますが時間の都合もありますので後で改めて必要であれば委員の皆様に確認していただきたいと思います。

以上です。

電子申請における電子委任状利用の課題について説明させていただきます。

電子申請における電子委任状利用の課題については、まず代理人による電子申請の普及に関する課題、電子申請のガイドライン等に関する課題、システム側の課題の3つを整理しております。

まず代理人による電子申請の普及に関する課題につきましては、利便性について委任行為がデジタルで簡便にできる環境が整っていないのではないかというご意見、申請者のICカード・パスワード等を他者に共有する形での隠れ委任・隠れ代理とも呼べるような申請が行われている実態があるのではないか、代理申請の機能の知名度自体が低い状態にあるのではないか、というご意見を頂いております。

この課題に対する対応、考え方といたしましては、代理申請機能の利便性と隠れ委任の課題は表裏一体であり、デジタルにおける簡便な委任行為の実現をすることにより隠れ委任は減少するものと考えられます。

この後説明いたしますガイドライン整備の取組を通じまして、デジタル完結を前提とした電子委任状、代理申請機能の導入を推進すべき取組を行うべきではないかと考えております。

また、隠れ委任の課題につきましては、利便性向上のための取組だけではなく、パスワードを共有する等の行為の危険性に関する広報等を行うべきではないかと考えております。

代理申請のガイドライン等に関する課題につきましては、まず代理申請をデジタル化する際の資料の取得に関する点について、手続きごとに必要な委任者へお願いをする人の本人確認、代理人、代わりに申請を行う人の本人確認、この委任者と代理人の紐づけ、また士業の資格確認のレベルや方法について、代理申請機能の導入の参考とできる資料が不足しているのではないかというご意見、電子委任状のレベルの整理に関する課題として、特定電子委任状以外の電子委任状、紙の委任状をスキャンしたもの、電子署名が行われていないもの、独自のもの等がある中、どのようなケースケースにおいて特定電子委任状が利用されるべきか、それ以外の電子委任状でも良いのか整理が行われてないのではないかというご意見を頂いております。

この課題に対する対応といたしましては、まず資料の不足に関する課題につきましては、手続きごとの委任者の本人確認、代理人の本人確認、委任者と代理人の紐付けの方法、士業の本人確認等のレベルや方法について、まず、現在実施されている形態や紙の手続きにおける形態の調査を実施し、実態を把握及び整理を行った上で将来的なガイドライン等の整備を検討すべきと考えております。

ガイドライン等の整備におきましては、代理を業として行う士業、申請の受付側である行政機関、地方公共団体等の関係者を交えた検討を実施すべきと考えております。

電子委任状のレベルの整理の課題につきましては、先ほどの実態の把握、ガイドライン等の整備の取組の中において、利用の実態に応じて整理すべきと考えております。

最後にシステム側の課題です。

まず、システムごとのばらつきに関する課題につきまして、一部のシステムにおいて特定電子委任状以外の電子委任状が利用されている、手続ごとに異なる資格の確認方法が用いられる等の問題があるのではないかというご意見、地方公共団体のシステムに関する課題として電子的な代理申請について地方公共団体の取組状況にばらつきがあるのではないか、機能の導入のための参考とできる資料が不足しているのではないかというご意見を頂いております。

この課題に対する対応といたしましては、電子申請における電子委任状について、電子委任状のセキュリティレベルや仕組みについて基準を提示する等必要な信頼性のレベルに応じた電子委任状を用いる環境整備が必要ではないか、またその成果を先ほどのガイドライン整備の取組に反映すべきではないかと考えております。

地方公共団体システムにおける電子委任状や代理申請機能の利用については、先ほどのガイドライン整備等の取組を通じまして、各地方団体間のばらつきを解消する取組が必要ではないかと考えます。

代理人申請における電子委任状利用の課題については以上です。

上原先生、お願いいたします。

上原座長:
ありがとうございます。それでは電子申請における電子委任状利用の課題について、ご意見ある委員の方は同じく名札を立てていただければと思います。

板倉委員、よろしくお願いいたします。

板倉委員:
3つ課題があるかと思うんですけれど、課題自体の依存関係がやっぱりあると思っていて、例えば1番の普及に関する課題というのは、2番のガイドラインだったりシステム側の課題っていうところが解決されないとなかなか前に進めないのかなと思っていて、そういう意味だと2番3番は優先度が高いのかと思っています。

それ以外の観点でも、例えばガイドラインに含まれるかもしれないですけれど、電子署名について分かりづらい、そもそも何なのかっていうことだったりとか、利便性を解説するための手段をもう少し分解する必要性があるのかなと思っています。

もう一つシステム側の課題のところでバラつきを解消する取組っていうところを今後やっていく上で、既存システムからの移行っていう観点もあるかと思って、移行しやすいステップというか取組を考えていく必要性があるなと感じています。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。他の委員の皆様、ご意見ございますでしょうか。

宮内委員、よろしくお願いいたします。

宮内委員:
11ページのところで、課題に対する対応、現在のいろんな形態は調べてみた方がいいんじゃないかということが言われているんですけども、実際、地方公共団体とかで、例えば、住民票を取ろうとするときの委任状っていうのは認印を押してるって感じですよね。

認印を押してもしょうがないっていうことが常々言われてきている中で、重装備な委任状を出せと言われても多分出さないということを考えると、やはりかなりこの辺のメリハリって重要だと思っていて、そういう中でどういうものが使われるだろう、どういうところに特定電子委任状を使っていけばいいかっていうのを明確にするというのはすごく重要な課題だというふうに思っています。むしろ問題なのは、従来から割と簡易にやってきてしまったような手続きっていうのが本当にそれでいいのかってことが、逆に実はあろうかと思うんですね。急にそれを厳しくすることもできないんで、その辺りやっぱり実態をある程度把握した上で整理していくっていうのが重要なのかなと思っております。

私からは以上です。

上原座長:
ありがとうございます。そこは自治体の業務に関してどこまでガイドラインで何か縛りみたいなのができるかという問題も絡んでいるかとは思いますけども、一方で、自治体をフィールドにしておりますと、実際の手続きの中にはやや過剰な確認みたいなものを求めるケースも少なからずあるという気もいたしております。

先ほどの押印もなんですけども、本当にその代行でやっていただいたということさえ確認できれば良いっていうものにも、いわば押印を求めてきたっていうなところもあって、極端には、隣に本人がおられるときに代行の方が来たっていうようなケースに関してもはんこを求めたりしちゃうわけです。それはちょっとやりすぎじゃないかというふうなところがあったりするので少し実態を見て決めていくことになるのかな、また逆に言うとこちらで決めすぎることはできないのかなという感じもしてはおります。

他ございますでしょうか。濱口委員、よろしくお願いいたします。

濱口委員:
先ほど、板倉委員からも、課題に対して依存関係があると、特にガイドラインを示すことで解決される課題が多いのではないかというご意見があったんですが、11ページ、実態を把握整理した上で、将来的なガイドライン等の整備を検討するべきではないかと書かれているように、まずやはりその実態を調査しなければならないという点、かつ、これは電子委任状法施行状況検討会というスコープですけれども、同じページの課題アに書かれている士業の資格確認等についてはおそらくスコープ外であって、委任状の検討だけではガイドラインの策定というのはできない状況、他の検討を巻き込んでいかなきゃいけない状況、かつ、隠れ委任の問題であったりだとか、パスワードの共有のリスクに関しては周知していかなければならないという状況両方を考えますと、一つのガイドライン対策を作って時間をかけて示すというよりは、部分部分で段階的に示していくようなことも考えなければならないのかなと思います。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。笠井委員、よろしくお願いいたします。

笠井委員:
ありがとうございます。先ほど上原先生がおっしゃったように、ガイドラインのところ、やっぱり実態が、これは駄目だとかこれでは足りないみたいなことではなく、利用される側が気付けるようなガイドラインがやっぱりいいのかなと。

決めすぎるということはもちろんできないのかなというところで、例えば、隠れ委任って言葉、私はここで初めて知りまして、実態はそういうことが起こっていたりするのかなとか思うことを否定するのではなく、レベルがあって、このレベルだとこうだということを示すとか、もう少し緩やかなというかこれで決められているっていうふうなところではなく、気づきが与えられるようなところが必要なのではないかなと全般的に思いました。

上原座長:
ありがとうございます。他、ございますでしょうか。

デジタル庁 楠統括官:
役所がなかなか厳しく決めすぎることがあるという上原座長のご発言もありまして、これは結構大事な話だと思っていて、おそらくこれって契約書の文言とかもそうなんですけど、火傷するほど定義って重くなっていくんですよね。

目の前でチェックして本人がいれば確かにはんこ押す必要ないよという気がするんですけれども、委任のはんこがない状態で後で窓口の人が勝手にやっていることを監査なり検証できるかっていうと難しかったりして、過去に何かしら内部不正とかがあった場合、それをどうやったとか検知するためにこういう手続きを追加している団体もあるのかなという。やはり民法の世界って基本問題がある度に穴を塞いでいくという形でルール形成されてきたのに対して、デジタルになって急にシステム設計開発提供者の責任が重くなったりだとか、その責任を事業者だけで追えない部分で、ガイドラインでしてほしいというプレッシャーが広まっていて、手触りがない抽象的にどうあるべきというとこで考えるとやっぱりどんどん重くなってしまいがちなので、上原座長も言われていたように決め切りすぎないってことが大事っていう話と繋がっていると思うんですけれども。

手続きのデジタル化の観点で言っても、対面であればできる前年度住民税の証明とかが今でもマイナンバーカードで取れないみたいな、何が正しいのかって本当に難しいなと思いながら一連の議論を聞かせていただいていました。

上原座長:
一般論としては、やはり新しい制度が入るとまずきっちりルールを決めましょう、ルール通りに運用しましょうということになってから、現場でこれではやりにくいっていうのから少しずつ規律がいわゆる運用上何とかしてしまいましょうみたいな弓が出る、どこかの段階で事故が起きて、またより戻しが起きて、という繰り返しをやっている。

ただ、そのデジタルの世界というのはどうしてもシステムに閉じてしまうという、人がやる手続きであれば運用上何とかしましょうみたいなことが現場でできても、デジタルの世界ではできない、だからゆえに、国が決めすぎるとそこからがんじがらめになって動けなくなりやすいという性質もあるんだろうと思います。

ただ電子契約と違いまして、電子申請に関して、やはり官が相手、当事者になる以上、失敗というものがあることが非常にやはり公の方は恐れる性質からややコンサバなシステムを作りやすいという性質があり、結果的にユーザビリティが下がって、使われないということがよく起きるわけなので、このバランスを見るためにも、特に民間、このガイドラインというのは国や主なユーザー、読者にもなるであろう地方公共団体に関して、こういうやり方もあるんだこれでも大丈夫なんだというような気づきが与えられるような、というのはまさに笠井委員が少しおっしゃったところかなと思います、そういうような少し幅がある書きぶり、あるいは気づきを促す作りができればなというふうに思います。

宮内委員:
今、楠統括官がおっしゃった通りで、地方公共団体でどこまで確認するか、制度って難しいと思うんですが、恐らくリスクベースですよね。これを確認しなければこういうリスクが生じるんだと、こんな申請をなりすましてやる人はまずいないよねっていうことをちゃんと確認するかどうかですね。

逆に、地方公共団体と民間の契約はかなりしっかりと整理したものでやっていただきたいと思うんですね。後で、これは裁判になりますから。やはり裁判になった場合の真正の成立もちゃんと推定されるようなことをやらなきゃいけない、リスクに沿ったメリハリが非常に重要になってきて、先ほどのガイドラインにもあったメリハリのある使い分けを、ちゃんとみんなができるような情報を与えることが重要だというふうに思っています。

上原座長:
濱口委員、どうぞ。

濱口委員:
申し上げるべきかすごく悩んでいることなんですけど、先ほど火傷があるたび厳しくなっていくという発言だったりとか、リスクに応じた対応が必要だっていうところがあるんですけど、やはりその小さな火傷をどうやって受け入れていくのかというところが非常に重要だと思うんですね。どうしても電子申請等で障害だとか、何か事故が発生すると大きなニュースになったりして、その小さな火傷が受け入れられなくてどんどん過剰に保護していくようなところに向かっていくというのが、非常に経済的には大きな損失だと個人的には思っています。

それに対してどうやって立ち向かっていけるのかっていう、非常に難しい課題だとは思うんです。何とか市場、あるいは国民に対しても、そういった目線っていうんですか、過剰な保護っていうのは経済的にはすごく大きな損失に繋がるんだよと。

生命保険ですと、僕に例えば2兆円の生命保険をかけるというのは無意味な行為ですので、リスクに合った正しい対策をとっていくっていうところを知らしめていく活動が必要じゃないかなと思います。

上原座長:
ありがとうございます。これに関して一言申し上げると、一般的にデジタルにしたときのリスクというものを国民が受容していただくためにも、大きいことを言うと、いわゆる情報系の教育ってのがもう少し社会的な教育になっていく必要があるんだろうと思っています。今、高校2年生までは、一度はプログラミングをしたことがあることになっているという教育カリキュラムになっていて、でもこの人たちが社会人に出る頃に、プログラミングというのはこんなにあっという間に落とし穴が待っているものであって、ヒューマンエラーというものを潰していくというのがシステム、つまりそのコンピュータは間違いないのではなくて、プログラムを書いている人たちが膨大にやる作業の中にやっぱりどこかに間違いが入り込んでしまう余地があってシステムトラブルを受けるという、この手の常識、社会常識的になってくれば少しは緩和するのかなというふうに個人的には期待しているんですけども、ただちょっと時間がかかると。実態として、皆さんが情報システムによく慣れ親しんでくるということが、なるほど世の中ってのはシステムが止まることもあるし時々不具合が起きることもあるっていう、常識に繋がっていくのかなと。

ただ、それが社会制度上受け入れられない領域っていうのはやはりあるわけで、金融とか、あるいは行政手続なんだと思うんですけれども、行政手続の中でもやはり色々なレベルがある中で取り返しがつかないようなことが起きないようには頑張ります、そのためには相応のコスト等がかかって、それが使いにくさにもしかしたら繋がってるかもしれません、みたいなところはご理解いただけるようになるのではないかというのは期待しています。

他ありますでしょうか。

特になければ、電子申請における電子委任状の課題についての部分についての議論は一度締めさせていただきます。

議事の残りの部分について、事務局からコメントがあればコメント頂いた上で残りの部分をご説明いただきたいと思います。

デジタル庁 當波:
今の電子申請における電子委任状の課題について事務局よりコメントさせていただきたいと思います。

まず、電子申請について、一部は電子委任状法の定義で、法人の代表者等、法人の代表者と個人事業主が誰かにお願いをする、委任をするっていう定義の外にはなってしまうんですけれども、国民一般の市民が行う手続きにつきましては、マイナンバーカードの普及ですとか、手軽に厳重な本人確認きちんとした認証ができる手段が普及しておりますので、代理人の本人確認、紐づけのようなところをきちんとできていれば、手軽に厳重な方法をとることができるという考え方もあるのだと思います。

だからこそ各例のようなICカードであったりID・パスワードの貸し借りは問題である、実は特有のリスクがあるのだというところについては改めて整理を行わなければならないと考えております。

先ほど、一般国民の手続きについて申し上げましたが、事業者や法人の代表者が行う手続につきましては、マイナンバーカードを利用して行うもので良いのかという点も含めまして、今後整理が必要なのであると考えております。

またこちらのガイドライン等とその示し方につきましては、まず示せる部分、示せない部分等、様々あるかと思いますがまずはその考え方を提示する、困っている地方自治体、導入を行いたいけれども考え方がわからないと、考え方の整理がどこかにあると嬉しいと考えられている地方自治体であったり、申請を受け付ける側の方々について、助けるような何かを作れたらと考えております。

一例としましては、昨年度、デジタル庁におきましてデジタル改革に向けたマルチステークホルダーモデルというものを開催しておりまして、この提言を受けて「処分通知等のデジタル化に係る基本的な考え方」という、地方自治体であったりこういった処分通知を行う側について、参考にできるようなドキュメントの策定を行っております。

このような形での考え方をお示しすることによって、今頂きましたご意見への対応ができるのではないかと考えております。

電子申請に関するコメントは以上です。

それでは、その他の課題について説明させていただきたいと思います。

まず、電子委任状の普及に関する課題につきまして、システム対応の課題、官民で電子委任状に対応していないシステムが多く存在するのではないかというご意見、手軽な委任に関するご意見、これは特定電子委任状はその認定認証事業者等の厳格な電子署名に基づいて行われており、いわゆる実印のようなものを利用する場面が想定されていたが、これ以外の手軽な委任行為に対するニーズ、用途を、現状のものではカバーできていないのじゃないかという点、また、他の利用場面に関するご意見として、電子申請や契約の締結以外の場面においても法人の本人確認等の場面に電子委任状が活用できるのではないかという意見を頂いております。

この課題に対する対応について、電子委任状に対応するシステムの拡充の取組につきましては、先ほどの3.1、3.2電子契約・電子申請におけるガイドライン整備等の取組と並行して、行政機関に対する電子委任状対応の働きかけが必要と考えます。

より簡便に利用できる電子委任状のニーズ、現在用いられている電子申請、電子契約以外での電子委任状利用につきましては、引き続き、利用者や検証者側における利用シーンの調査を継続して実施すべきと考えます。

認定電子委任状取扱事業者に関する課題につきましては、法人の代表者の情報をオンラインで確認したことを第三者に示す仕組みがなく電子委任状の発行自体がデジタル完結できていないのではないか、という課題を受けております。

こちらにつきましてはデジタル庁内の他の取組を踏まえまして、引き続き検討を実施してまいりたいと考えております。

電子委任状の対象に関する課題につきましては、電子申請のところで申し上げましたが、電子委任状法における電子委任状の定義においては、個人が委任者、お願いする側になる委任状というものが定義の外になってしまっているという課題がございます。

こちらの課題に対する対応につきましては、電子委任状法上の定義であります法人の代表者等が委任者となる電子委任状に限定せず、個人が委任者となる委任状も電子委任状の普及に向けた取組に含めることで、個人が委任者となる代理申請や、BtoCでの委任行為を含め、デジタル環境における委任行為の普及が進むものと考えております。

その他の課題については、以上となります。

上原座長:
ありがとうございます。ただいまの事務局からのご説明、その他の電子委任状に関する課題についてご意見ある委員の方は頂きたいと思います。いかがでしょう。

濱口委員お願いいたします。

濱口委員:
13ページ目のイなんですけれども、色々な委任行為に対するニーズをカバーできていないのではないかというところですけれども、例えばこれに対する対応として、手軽な委任行為に使える委任状っていうのを作っていくというのが考えられるんですけれども、基準を軽くすることも考えられますし、今の基準で利便性を向上していくような施策も考えられると思います。

そもそもここに書かれている通り、利用シーンを調査していくっていうところがあるんですけれども、どのようなケースにおいて手軽な委任行為というニーズがあるのかっていうところをそもそも調べていく必要があるのではないかなと。

14ページ目、デジタル完結に向けた課題で、第三者に示す仕組みがないと書かれているんですけども、これが非常に重要な要素になっておりまして、自身で例えば法人の代表者が自分が正しい法人代表である、だけではなくて情報が第三者が検証可能であること、ある時点でその情報が正しいことを第三者が検証可能であることっていうのが、デジタル完結には非常に重要になってきますので、例えば情報に対して、発信元の証明が可能な何らかの施策を打っていただくというようなことが必要になるのではないかなと思います。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。他ございますでしょうか。宮内委員よろしくお願いいたします。

宮内委員:
今、濱口委員がおっしゃったんですけれど、第三者に示す仕組みがないというところなんですけども、結構難しい点がありまして、例えば法人のデータの提供システムを法務局で出していますけど、あれを見たからといって、単なるPDFがダウンロードできるだけなんで、なかなか本当に確認したと言えるかというと難しい面も実はあるんですね。例えばこういうところに、デジタル署名を何らかの形で付けるなり何かの方法をとれば、結構プラスになるんじゃないかと思っています。

ここからはほぼ余談に属するんですけども、難しいのは、現在、登記簿謄本に代表者の住所が普通は書かれているんですけども、代表者の住所を書かない場合があるんですね。DVの被害者等については書かなくてもよいというような制度が去年の9月から動いているんです。そうすると、名前教えてくださいと言って、今ここにいる人が本当に宮内宏かっていうのは、同姓同名の場合にどうなるかという問題がありまして、どこまで確認すべきかってアプリケーションやユースケースによって全然違うんですけど困るケースがあるみたいなんですよ。そういうところを含めて、第三者にしっかり示せるような何らかの方法が、もうちょっと整備されるといいなとは思っています。この会議の目的には反するかもしれないんですけれども、そういうところを思っているところです。

もう一つは、個人が委任者となる委任状はぜひやっていくべきだと思っています。元々、電子委任状法の生い立ちから見ると、本来個人は違うかもしれませんが、やはり広く使うことによって国民生活に非常に役に立つということで、うまくやっていくことが重要だと思っています。

私のような士業につきましては、個人から委任を受けて色々な手続きやあるいは交渉事なんかも行いますし、訴訟委任状を頂いて訴訟の依頼を頂くこともありますので、上手く利用できると色々と広がりが出てくるんじゃないかというふうに思っている次第です。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。他、ございますでしょうか。

では、事務局の方。

デジタル庁 杦浦参事官:
事務局の立場で今後どういうガイドラインを作っていくのかなっていうところを想像しながら、皆様のご議論を聞いておりましたけども、電子委任状を考えるにあたっては、まず電子署名というのが我々の生活の中ではんこを押すのと同じぐらい手軽なものになっているのかどうか、そこもちょっと振り返りつつ、その上で電子委任状のあり方っていうのを考えるのかなと思っておりました。

その際、ガイドラインの対象としては、主に初心者向けというか、チュートリアル的なものを目指すのか、あるいはある程度使ってはいるけども、まだもう少し広げていくというか、そういうところにハードルを感じているところの方が先に使っていただけるようなものにするのか、そこは少し工夫が必要なのかなと思いました。

特に初心者向け、前者の方に関しては、やはりそもそも電子委任状を使うことのメリットというか、意義というか、あるいは使わないことによるリスク・デメリットっていうのが、まだあまり認識がないんだろうなというところが正直なところでして、そこをどううまく整理できるかっていうのは一つ我々の任務として重要なのかなと思いました。

会社の中でやっている業務のプロセス、押印代行みたいな話がありましたけども、ある意味いい加減な社内ガバナンスが良くないようなところの問題とか、あるいはそもそも行政手続きのあり方の問題に起因するようなところもあるかと思いますので、そういったところの電子委任状そのものの課題なのか社内ガバナンスとか行政の手続きそのものの課題なのか、少し気をつけて整理をしながら、ガイドライン、書くのかあるいはあえて書かないのかの選別、かえって手続きの焼け太りみたいなのが一番良くないと思いますので、あえてガイドライン化しないところっていうのも、我々も一定の覚悟を決めていく必要があるのかなと思いました。

また、システムデザインでどこまでカバーできるかっていう問題も出てくるかと思いますので、人が介在することによって生まれる柔軟さといい加減さを、ある程度システムデザインで標準的に統一的にリスクが低減されるような形で守っていけるようになれば、より手軽なところ、最後に宮内先生がおっしゃったように、個人のレベルでも使えるような、最終的にやっぱり電子署名がだんだん普通のものになって、はんこ押さなくてもマイナンバーカードをかざすのと同じだよみたいな感じになってくれば、電子委任使ってここの業務お願いしますっていうのが、企業だけでなく個人でもやりやすくなる、そういう世界が来るのかなと思いました。

上原座長:
ありがとうございます。板倉委員。

板倉委員:
15ページの個人が委任者となる委任状についてですけど、私自身も行政手続などを行うときに紙の委任状を求められたりということがあったりして、個人の委任っていう観点においては宮内先生から話があったかなと思うんですけれども、家族だったり成年後見人であったり法定代理についてどこまで委任状っていうところを求めるのか。もっと家族っていうことを簡便に確認できればそれでいいんじゃないかみたいなことがあると思いますので、そもそもどういう行為に対して何を目的として委任状を求めるのかっていうところを委任状の普及とあわせて整理していく必要があるなと思います。

上原座長:
ありがとうございます。笠井委員よろしくお願いします。

笠井委員:
15ページの法定代理のところ、私も賛成なんですけれども、私もそこまで知見があるわけではないですが、家族こそ委任行為が便利でもあり危険なケースもあるみたいなこともあるので、この辺りは慎重な議論が必要かなと思っております。

一つ、ちょっと悪いケースもあるかもしれないんですけど、有益かなと思ったのは、やはり今、色々な方がいらっしゃって例えば手続きに行けないとか、本当に物理的に行けないっていうダイバーシティとかの観点からも、もしかしたら効果があるのかなみたいなふうに考えたことがありました。

今、本来であれば、手続きが面倒、量が多いというところからっていうことで委任という行為が一つにできたらなと思っているんですけど、もう一つは法人であっても個人であってもその方がデジタルができないとか、何かしらの理由でそういうことができないみたいなケースに有用なのかなというのはずっと考えていたところで、こういう観点も、もし今後の議論の中で検討いただきたいなと。

もう一つは、どうしても電子契約・電子委任状のメリットで、印紙の話になってくるのが、それでいいのかなみたいなところは思うところでございまして、こちらの方が簡単で安全であるっていうところをいかに表現していくのかは永遠の課題、社会情勢によっても違うとは思うんですけれども、ずっと問題ではありつつも少しでも利用者側の気付きになればというふうに感じております。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。他、ございますでしょうか。では宮内委員。

宮内委員:
今、笠井委員から、印紙だけじゃないよというのは、私もかねがね宣伝してるところですけども、実際には紙とはんこでやるのに比べて、事務処理、あるいは書類の管理のメリットは大きくて、実は印紙ってマイナーなメリットのように私は感じています。

まさに笠井委員がおっしゃったように、こういう点をもう少し広く知らしめていくっていうのは非常に重要なポイントで、その中でもやっぱり委任状をうまく使うという方にうまく繋げたいんですけども、事務処理の色々な手間というのが非常に効率化されて、その結果コストダウンと、スピードアップっていうところに非常に大きなメリットがあるんだってことを、委任状に関してもうまく説明できればいいかなというふうに思います。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。

デジタル庁 楠統括官:
事務処理の点は、特に法人において非常に重要なポイントだと思うんですけれども、今事務処理において立会人型電子契約サービスが実際数としてはいっぱい出ている状況でちょっと心配していることがあって、基本的に契約が多くの場合非対称じゃないですか。片方が立場が上で片方が立場が弱くて。だから、とても立場が強くて自分の普段使っているプラットフォームに契約を集約できる人にとっては、一覧性もあって非常に便利なのだけれども、私もライターとかやっていた頃には出版社ごとに異なるプラットフォームで電子契約とかいっぱいやってましたし、実は立場の弱い人たちにとっては、全く契約を一元管理できず、事務処理はむしろバラバラになるみたいな問題があって、どこかで電子署名とか電子委任状とかある種、プラットフォームニュートラルにデータを管理しうるようなものというのをachieveしていくみたいなことを考えるときに、ちゃんと契約において、立場が弱い人たちもデジタル化の恩恵を受けられるような仕組みっていうのはしっかり考えていく必要があるのかなということを思った次第です。

電子申請との関係でいうと、やはりデジタルデバイド対応というのがなし崩し的に進んでしまって、第1回で私もお話させていただいたように、ある種、マイナポイントと公金受取口座の誤登録問題というのは、代理人をあたかも本人のようにデジタル推進委員が対応するというシステム設計そのものに問題があったと私は思っているので、ちゃんと士業による代理だとか、その他の諸々がちゃんと代理人が責任を負う形で記録に残るようにされているようにシステムに機能がないからできないんだということではなくて、代理人が介在しうる手続きにおいてはちゃんと代理人を記録するようにシステムを作るべきであるぐらいのことをひょっとすると言うべきなのかもしれないなということを、一連の紐付け問題の反省も含め思ったりします。

上原座長:
ありがとうございます。おっしゃる通りで、プラットフォーマーがいくつかに多分収斂していく中、とはいえ一つにはならないであろう中で、弱い立場の方が非常につらい思いをしかねないっていうのは非常に重い課題でして、そのためにもガイドラインの中で、先ほども少し出てきていましたけれども、相互運用性とか少なくとも契約上あるいは電子委任状そのものを売ったらエクスポートするときのフォーマットはこれを最低限出しなさいみたいなことをやってあげないと、おそらく良くはならないと思いますし、普及の阻害要因にもなりかねないというふうに思います。何らか相互運用に関するところを、この中では強制はできないんでしょうけれども、少なくとも業界全体を大きくしていくためには必要なことなんだっていうことを事業者に伝えていくことも必要なのかというふうに思いました。

先ほどの代理のお話、上手くいかなかったから事故が起きたのかっていうのもあるんですけど、一方で、やっぱり人による代行の代理っていうのは、目に見える話で手触りがあるので比較的受け入れられやすい上で、ところが電子委任状による代行っていうのが本当に正しく行われているかっていうのは、まさにここも手触り感の問題でどうしても最後まで残ってしまうので、リテラシーがある程度上がっていかないと、特に気軽な代行っていうものに対するハードルって中々無くならないだろうというふうに危惧する。そういう意味でも、何度も出ておりますけれども、チュートリアルみたいな資料で、そもそも代行とはどういうことなんだ、画面の背景になってる技術としての電子署名というものはどういう技術であるかっていうのを、少しわかりやすく伝えるということっていうのがやっぱり普及の鍵に感じた次第です。

以上です。

これで一通りご意見頂いたかなと思いますが、何ございますでしょうか。

デジタル庁 楠統括官:
宮内委員がDVにおける法人登記の話をされてまして、これは割とホットな話題だと思っていて、というのは経営者などから、ネットで参照できる登記の内容から住所を落としてくれというような要望が何年前からあり、一方で紙と電子でここに差をつけるのかみたいな議論が最近あったんですよね。

諸外国調べても住所まで書いている例って少なくて、本来2005年の個人情報保護法を完全施行のタイミングで登記簿のあり方をもっと見直すべきだったんじゃないのと。私の知り合いの経営者も結構みんな自分のプライバシーを守るために登記用の別のマンションを借りているそうです。やっぱり何かプライバシーの考えが昭和で止まってしまっているなというふうに思う。これを例えばマイナンバーにするだけで、そこから容易には住所は分からないわけですし、DV被害者に限らず、そこの紐付けのあり方って考えていく必要があるし、この話はセットで行政機関は住基ネットたたいて簡単にマイナンバーから住所を見ることができるけれども、例えば弁護士の方が、この人が確かにこの人であるということを対面並びに非対面でどうやって確認できるのかっていうところ、併せて整備をしていかないとただ登記簿から住所を取りましょうっていうことが通り辛いっていうのがあると、ここのところは何か大事な問題提起を頂いたなという。

宮内委員:
例えば、これで正しいですかって聞いたら答えるとかそういうプロトコルも危険はあるんですけどあり得るところですし、いろんな方法があるべきだと思います。

私どもの商売ってのは、実は結構恨みを買いやすい商売で、弁護士法人になりますと代表者はやはり住所が登記簿に書かれて、だからしないって人が結構いたりすることが大きな問題だという実感としても思ってるんです。よろしくお願いします。

上原座長:
そもそも電子署名に使われる電子証明書というものは、結果的に何らかの個人識別子に対する署名を与える、それと公開鍵・秘密鍵との対応を与えるものでしかないっていうのがあってその関係で、何らかの個人識別子が必要になる。

そのときに電子証明書そのものに書いてあるかどうかは別として、名前や住所みたいなものを個人識別として使ってるっていう実情が、デジタルの時代に少し合っていない。特に、日本のように比較的小さな国、つまり人の移動があるがゆえに身体的なリスクが及ぶリスクが広い国土を持つ国に比べてずいぶん高いという国においては、皆さんやはり住所を表に晒すことにかなりリスクを感じておられる中で、それに対する代替を提供できるのかという課題があるのかなという気はします。

マイナンバーはマイナンバーで普遍性が高い、変更がなかなかできないものなので、一度出てしまうとなかなか大騒ぎになってしまうということもありリスクも高いので、中間的なものとしてJPKIのシリアルナンバーみたいなものもあるわけですけども、これはこれで利用ができるというわけでもないということで、結局また何か別のIdentifier、しかも状況によっては捨てられるようなものであるかあるいはオンラインでの問い合わせシステムみたいなもの、何らかの証明書やそれぞれについたシリアル番号について問い合わせしたら応答があるみたいな仕組みっていうのを軽く作るということがだんだん求められてくるのかもしれません。

電子委任状にしろ、そもそもの電子契約にしても、一応制度としては固まっているんですけど、システムとしてテクニカルに解決するべきなんだろうけれども提供できなかったミッシングピースがどっかに転がっていて、それが普及の上でブレークスルーになる可能性があったのに今まで見過ごされてきたというのが、もしかしたらあるのかもしれない。

そこに報告書の中で少し触れられれば、次のステップで整備しましょうみたいな企業が出てくるのかなというふうに感じた次第です。

濱口委員:
楠統括官がおっしゃった、電子契約を使用しての契約だと、つり合いが取れないことが多いので強い方のプラットフォームを使用せざるを得ないという話、私も電子署名とかの活動に出させていただいている立場で、AATLの証明書を使おうとしているんですけれども、AATL証明書を使って電子契約を出来たことは一度もないんです。やっぱり相手からこのサービスで契約してください、そのサービス、プラットフォームで電子契約・電子署名をしているわけで、AATL証明書は社内手続であったりをこれでやって、社内にいなくても社外からデジタル署名ができますというような形で使っているんですけれども、ジャストアイディアなんですけども、例えばいろんな契約プラットフォームで、署名者側に、署名機能の選択の自由っていうものが保証されていれば、例えば立会人型署名サービス・電子契約サービスにおいても、自分で最後は選択をして署名して返すことができれば、ある程度平等な社会の仕組みっていうのは、出来上がるんじゃないかなと思います。

以上です。

上原座長:
ありがとうございます。

国としては、そういうインターオペラビリティという意味でもJPKIがいいはずなんですが、という気はするのですが。

デジタル庁 楠統括官:
これが難しくて、JPKIはJPKIで今度は証明書シリアルナンバーをプラットフォーム事業者しか持てないので署名した文書を手元に置いておけない。このままで良いのかというところを含めて、住基のトラウマで識別子を守るというような法体系ができてしまって、先ほどご指摘頂いたようなインターオペラビリティの問題とか、立場が弱い方が選べる環境をどう作っていくかという、新しい需要に対してどう答えていいのかっていうことを、技術的にどんなことができるのかということをご指導頂きながら、色々考えていく必要があるのかなと。

逆に言うと私は、JPKI自体は本人確認に用いて契約においては民間の証明書を使った方が、ポータビリティに関して言えば実現しやすいのではないかなというのが今の法律の下での知見ではあったりはして、結構真面目に考えないと、逆に言うと使ってもらうのであれば、署名した文書を手元に置いておけるように制度を見直していく必要があるし、いやそれはプライバシー上許容できないということであれば、民間との上手い関係をちょっと考えていく必要あるのかなというふうに。

上原座長:
それは私も賛成で、少なくとも署名のための電子証明書という意味で、民の事業がこれだけある中で、民の事業のサポートというか本人確認のプラットフォームとしてのJPKIを上手く使っていただいた上で、証明書するものが民間のものを活用するっていうのが、多分今のシステムがこれだけ広がっている中で一番システムへ与えるインパクトも小さいままプラットフォームが使える唯一の方法であるような気がします。そのときに立会人型署名を行っているプラットフォームの方々によそから持ち込まれた証明書をどう受け入れていただくのかっていうことだけをお願いをし、インターオペラビリティという意味では少し緩和ができるだろうか。

板倉委員:
今皆さんのお話をお聞きしてて、課題がたくさん整理されてるのでどこからやればいいのかと優先度が悩ましいなと考えながらでございます。

今この整理の観点としては、電子委任状を利用する普及するにおける課題っていうことでの整理になっているんですけれども、その中で多分、今の現状の代理申請だったり代理署名だったり、他人における委任の課題、さっきおっしゃっていただいた事務処理みたいな話に対する打ち手っていうところは、やっぱり一番利用者にとってはわかりやすい課題解決になるかなと思って、そういった観点でも整理ができるといいかなと思いました。

上原座長:
ありがとうございます。
確かに課題がかなり積み上がっていることは、課題があるからこそ普及に色々と阻害要因があるという現実を反映しているのかもしれませんが、ちょっとまとめていくのは大変かもしれませんが、事務局の方、頑張っていただきたいと思います。

その他の課題についてございませんでしたら、一度事務局にお返しします。

デジタル庁 當波:
事務局から、電子委任状に関する課題についてのコメントをさせていただきます。

委員の皆様、事務局側との間で活発に議論いただいて、今ここであまり特筆して触れるべきところがないのですが、一点プラットフォーマーのところ、相互運用性に関するところについてコメントさせていただければと思います。

楠統括官からも事例をお示しいただきました通り、多数の電子契約サービス使っている、困っている人が本当に多数いるのであれば、実態を調査して示すことによって、今後の取組に繋げることができるのだと考えております。

また、もしこれが阻害要因であるならば、取り除かれることによってより普及するのであると、プラットフォーマー側にもそういったご理解をいただく材料としてもそういった現状の把握っていう調査というものが必要であろうと考えます。

今までのガイドラインですとか現状の整理ですとか、パッシブな、現状を踏まえた取組についてコメントを色々と記載しておりました。

現在、プラットフォーマーみたいなところに対する取組としては今かなり積極的に何かを返していくということだと思っています。そちらについては先ほど申し上げました通り、現状把握した上でパッシブなところの整理も行った上で引き続き検討していくということになろうかと思います。

その他の課題については以上です。

また、本日都合によりご欠席の山口委員より検討会についてのメモを頂いておりますので読み上げさせていただきます。

「既に指摘させていただきましたデジタル化における業務プロセスの明確化や隠れ委任に関する項目についていただきましてありがとうございます。すでに反映しているところで冗長なのですが重ねてお願いがございます。セキュリティを重視するあまり、デジタル化によって実態に合わないような複雑なプロセスはパスワード共有とは別のセキュリティリスクを引き起こすことになるため、よく実態を捉えた上でガイドライン等の作成を含める仕組みの構築を行うべきと考えます。また、不動産取引や金融取引などトラストの高いシステムについては、今の現状の仕組み、つまり電子署名法に基づく様々なデジタル取引の上で活用しやすい事例と考えますのでここでの活用をぜひご検討いただければと考えます。一方で官公庁への電子取引などにおいては何もかもデジタル化するのは難しいところもあるのではと予想されますので、ユースケースの実態調査の整理はぜひとも取組んでいただきたいと考えます。」

以上であります。

上原座長:
ありがとうございます。その他の課題につきましてもご議論いただき、またご欠席の山口委員からもご意見頂きましたが、最後に改めて資料全体についてご意見や漏らしたようなところがございましたら、お聞きしたいと思いますがございますでしょうか。

それでは、一点だけ私からよろしいですか。

ざっと見回してみて、今日いくつかご議論いただいた中で、如何に手軽な委任みたいなものができたとして、第三者、いわゆる後からそれが本当に委任に基づくものかを確認できるようにする必要があるかというご発言がちょっと引っかかっておりまして、見直した時にこの手の事務手続きで一番ネックになるのは、重さっていうお話だと思うんですね。

これは契約に関してもそうですし、申請に関してはもしかしたら自治体側でもあるかと思うんですけどプラットフォーマー側が意外と監査っていうものに対して鈍感であることが、監査するためにこういう情報くださいと言って慌てられてることがたまにあったりするわけです。普及のためには、それを呼び込むために利用者、特に電子契約に関してはそれぞれ当事者の中から監査の要求が出てきた時にちゃんと受けられるような仕組みにしておかないと、より多くの方々は含めませんよっていうことをどこかにうまく書き込んでいただいて、特に電子契約そのものももちろん使うわけですけど、電子委任みたいにさらにワンクッション入ると確かだと、本当に委任されたかどうかっていうのを監査をやるんだっていう話が入ってくるというふうに思うので、上手くどこかに一言入れていただくとまた阻害要因が一つ減るのかというふうに感じました。
他ございますでしょうか。どうぞ。

笠井委員:
座長にも監査に触れていただいて、私も第1回目で監査の方のヒアリングのとき、2回目のところで正直ちょっとうまくご質問ができなかった経緯があって非常に心苦しく思ってたんですけれども、やっぱり最初の契約のところと後で見るっていうところで、そのときに足りうるのかっていうのは、鶏が先か卵が先かみたいな話もあったんですけれども、結局最後に契約書を引っ張り出すっていうのは企業の中では監査のタイミングでございますので、そこが引っ張り出しやすい、確認しやすいとかそういうところでも事務手続きの効率化みたいなところにも繋がるかと思います。

あの契約のところでつまずいてるという入口のところとある意味チェックの出口というか、両方ですね私もすっかり第1回のことを言ったのを忘れてしまったり、だからここに確かに記載がなかったので触れていただいてありがとうございます。

上原座長:
監査というものを理由に電子契約というものを導入しないという選択をされるケースがありそうな気がしてしまうので、是非よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

もしよろしければ、以上で議論いただいたということで事務局にお返ししたいと思います。

委員の皆様、本日は活発なご議論本当にありがとうございました。実は第4回にして初めて対面で皆さんにご意見頂きましたけど、やはり対面の方が議論が活発になるということで、非常に多くのご意見が頂けたかと思います。本日のご意見を踏まえた報告書案というのを作ることになるわけですけれども、ちょっと現状まだ完成していないということもありますので取り纏めの状況を踏まえまして、第5回を開催するかどうかについては少し事務局と相談させていただいた上でお諮りしたいと思いますので、今回少し預からせていただきたいと思います。

それでは事務局にお返しいたします。

デジタル庁 當波:
皆さん活発なご議論いただきありがとうございました。本日の議事録につきましては後日委員の皆様にご確認いただいた後、デジタル庁のウェブサイトにて公表させていただきます。

また次回の検討会の開催の有無含めまして、座長と相談の上改めてご案内いたします。

委員の皆様におかれましては引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

以上をもちまして電子委任状法施行状況検討会第4回を終了いたします。

ありがとうございました。

以上