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電子委任状法施行状況検討会(第2回)

電子委任状の普及の促進に関する法律(平成29年法律第64号)について、施行後5年が経過したことから、同法附則第4条の規定に基づき、施行状況の点検及び今後の方向性の検討を行うため、電子委任状法施行状況検討会を開催します。

概要

  • 日時:令和5年9月27日(水)10時45分から12時15分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 電子委任状法の施行状況について
      2. 今後の普及に向けた方向性について
    3. 閉会

開催案内

資料

参考資料

関連政策

議事録

日時

令和5年9月27日(水)10時45分から12時15分まで

場所

オンライン

出席者

  • 上原哲太郎(立命館大学情報理工学部教授)
  • 濱口総志(慶應義塾大学SFC研究所 上席所員)
  • 宮内宏(宮内・水町IT法律事務所、弁護士)
  • 山口利恵(東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授)
  • 板倉景子(株式会社メドレー コーポレートデザイン部 Head of Security)
  • 笠井玲子(株式会社ローソン インキュベーションカンパニーデジタルソリューション推進部 マネジャー)

オブザーバー

  • 日本公認会計士協会
  • 日本行政書士会連合会

議事録

デジタル庁 當波:
配信の不具合が生じまして定刻より少し遅れてしまいましたが、ただいまから電子委任状法施行状況検討会の第2回を開催いたします。本日は、お忙しいところお集まりいただき誠にありがとうございます。私は事務局を務めます、デジタル庁の當波です。よろしくお願いいたします。

議事に先立ちまして、本日の資料の確認を行わせていただきます。事前にお送りしております議事次第のとおり、委員の皆様へは、議事次第、資料1から2、参考資料1から3をメールにてお送りしております。本日の資料につきましては、デジタル庁のウェブサイトにも掲載しておりますので、傍聴の方はご確認ください。また、本日の検討会のオブザーバーとして、日本行政書士会連合会、日本公認会計士協会のご参加をいただいております。よろしくお願いいたします。

それでは、これ以降の議事進行を上原座長にお願いしたいと思います。上原座長、お願いいたします。

上原座長:
第2回、皆さん、お集まりいただきまして、ありがとうございます。今日はヒヤリングを含め、1時間半の予定なんですけれども、かなり中身は多くございますので、皆さんのご協力で進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

では、最初の議事に進みたいと思います。議事1の電子委任状法の施行状況について、事務局からご報告お願いいたします。

事務局 當波:
議事1の前に、本日の参考資料2につきまして、認定電子委任状取扱事業者の営業機密に関わるものであり、非公開を前提にご提供いただきました情報であるため、開催要項に基づき非公開とさせていただきたいと考えております。上原座長にて、委員の方の同意等ご確認をお願いします。

上原座長:
こちら非公開とするという手続にさせていただきたいんですけれども、委員の皆様、よろしいでしょうか。ご異議ある方、ご意見ある方、お寄せいただければと思いますが、よろしいでしょうか。では、こちらのほうは非公開の扱いとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

では、議事1の施行状況についてに移りたいと思います。事務局からご報告お願いいたします。

事務局 當波:
それでは、資料1に沿って説明を行わせていただきます。画面の共有できておりますでしょうか。それでは、電子委任状法の施行状況についてご報告いたします。

本日ご報告する内容としては、第一回の検討会の続き、第一回の検討会において実施するとしておりましたアンケートの実施結果の報告、また、第一回において同じく実施するとしておりました地方自治体における電子委任状の利用状況の調査についてご報告いたします。

まず、アンケートの実施結果報告です。電子委任状法により認定を行っている電子委任状の取扱事業者全6社について、電子委任状の利用状況に関する事項、今後の利用拡大に関する質問として、利用普及の阻害要因や現在の利用用途以外で利活用が期待される用途、この利用拡大の阻害要因、また、制度面の要望といったものを質問しております。

こちらの結果についてご説明します。まずは電子委任状の利用状況に関する事項として、現在発行する電子委任状の利用用途としては、その全てが国税庁e-Tax、地方税eLTAX、デジタル庁GEPSで利用できる電子委任状となります。また、e-Tax、eLTAX、GEPS以外での電子委任状利用については、電子委任状取扱事業者においては、民-民でどのように利用されているか把握していないとのことでした。

時間の都合により、全てのご意見の紹介はできないのですが、今後の利用拡大に関する質問として、現在の利用用途の普及を阻害する要因としては、代表者の電子署名をそのまま利用すれば手続ができてしまうので、わざわざ電子委任状を利用してきちんとやる、そういった意義を感じてもらえていないといったご意見、また、電子委任状の受け手側もインターフェースの開発を行う必要がある。PDFの場合は問題ないかとは思うんですけれども、システムの開発に組み込む場合は、そのような開発を行う必要がある。

電子委任状、電子署名を含む電子契約全体の利用を増やすために国が行うべき取組、また、電子契約において電子委任状の普及を阻害する要因があれば、という質問項目については、現在、対応システムが少ないこと、また、電子契約においては紙の契約書の登録印・角印・割印のような商習慣の共通認識といったものがなく、どのような基準を満たせば一般に認められる契約書となるかが不明瞭である、それを明確化していただきたいというご意見がございました。

また、現在の利用用途以外で今後利活用が期待される用途については、e-TaxやeLTAXにおける委任者記録ファイル方式、事業者記録ファイル方式の対応や、第1回においてもご意見がございました肩書による代理権の確認、包括的代理権に関する整理、法人の本人確認用途、口座開設時等の本人確認用途、また、契約の権限の明確化による監査の効率化や悪用防止、コンプライアンスの遵守、そういったご意見をいただいております。

利用拡大の阻害に関する項目につきましては、電子委任状の知名度、利用価値がまだ知られていないのではないかというご意見、また、まだ電子申請が行えない、電子申請ができても委任が行えない、委任・代理の申請が行えないといったご意見がございました。

制度面の要望としては、委任行為が特定される場合は、有効期間を不要としてほしいといったご意見、肩書、包括的代理権に関する電子契約の整理や制度を用意してほしいといったご意見がございました。

続けて、電子委任状の検証者、e-Tax、eLTAX、GEPSといった政府側の受け入れシステムに行っているアンケートについてです。
現在ヒヤリングにより聞き取りを併用しつつ実施中となります。こちらについては、第3回検討会において報告予定としておりますが、システムの仕様上、電子委任状の利用統計データを収集できていない検証者、これは本人による申請と委任による申請を区別せずにデータの収集を行っているシステムが多いため、本調査においては、検討の役に立つデータが得られない可能性があります。

また、利用者からの問い合わせを受けているかといった項目についても、そういったものはシステム運用者ではなく、電子委任状の発行を行っている事業者のほうに行われていることが多いことから、そのようなご意見を得られない可能性がございます。

続けて、地方自治体における電子委任状の利用状況に関する調査の報告です。電子委任状法においては、法人の代表者の、特に電子契約における利用について定義等を行っておりますが、電子委任状の普及を促進するための基本的な指針においても、行政機関に対する電子申請等の手続における電子委任状の利用の促進を行うこととしております。この行政機関に対する電子申請における電子委任状利用については、現在、e-Tax、eLTAX等において利用いただけます。地方公共団体における電子委任状の普及状況について、今後の取組を検討するために必要な情報を得るため、アンケート・ヒヤリング調査を実施いたしました。

また、参考として地方自治体における電子委任状導入の経緯のスライドを用意しておりますので、よろしければご確認ください。

地方自治体への申請における代理としては、住民が行う申請、企業の代表者が行う申請の大きく二つに分けられます。

このうち電子委任状法においては、主に、企業の代表者が行う申請について取組を行っております。

調査の目的と内容です。調査の目的としては、地方自治体における電子委任状の利用状況を把握し、今後の電子委任状の普及に向けた議論に役立てるため、この調査を実施しております。

調査内容としては、現在、電子委任状機能が利用できると確認できた3自治体、また、このシステムを提供している情報システムベンダー1社に対して調査を行いました。また、この自治体へのヒヤリング中に判明した、もう一社について、追加で調査を行っているところでございます。こちらについては、後日ホームページの掲載資料に反映して委員の方々へもメール等でご報告を行わせていただきます。

調査の方法としては、電話、メールによる質問票への回答、ヒヤリングの実施によって実施しております。
質問内容としては、電子委任状の導入経緯、また、利用状況、住民等から利用者から意見を受けていないか、窓口担当者のその導入に関する意見がないか、国への要望がないかといったことを聞いております。

調査結果のご報告です。
導入の経緯としては、電子委任状の利用が可能なシステムへの導入が少し昔に行われたもので導入の経緯は不明であるといった自治体、システム導入時に情報システムベンダーのシステムに電子委任状機能というものが付いていて利用ができたから導入したという自治体、また、積極的に検討を行い導入した、これは障害者の家族、事業者が行う代理申請があったため導入した、といった自治体がございました。
また、利用状況については、どの自治体も導入はしてはいるもののほとんど利用がないというご報告を受けております。

利用者からの声としては、そもそも利用者数が少ないため特に意見を受けていないという自治体、行政書士会より代理申請の状況についての問い合わせを受けたという自治体、行政書士から代理申請に関する機能の実装を要望されたというベンダー、また、士業でない者が業として代理申請を行うことがないよう注意の記載を求められたというシステムベンダーがおりました。

国への要望としては、行政書士への職印の明確化であったり、電子委任状法に準拠した申請の在り方といった資料が充実すると、電子申請、代理申請が行われる手続のデジタル化の助けになるのではというご意見をいただきました。

また、代理申請・電子委任状の仕組みを導入する際、各種申請ごとの法律に適合するような電子委任状のフォーマットや標準的なフローといったものを示されると良いというご意見、委任関係の確認や本人確認について、申請者・代理人ともにアカウント登録を実施し、申請者による委任申請・代理人承認を必要とするような手続、代理人が委任状を作成し、委任者が承認するだけで足るような手続、また、行政書士であることが確認できれば委任関係を確認できなくても良いという手続、そういったより簡易・便利な機能を利用できる部分の整理が実施されると良いというご意見を受けました。

地方自治体における電子委任状利用の状況と課題の整理です。
代理申請・電子委任状機能自体は、多くの情報システムベンダーの地方自治体向けシステムに搭載されているため、多数の自治体で利用可能な状態にあります。紙の申請の電子化に当たり、どの手続で、どのような代理人の本人確認、どのような委任関係の確認を実施すべきかの基準、参考が不足しており、一部のわずかな手続においてのみ利用可能な状態となっております。

また、一部の申請でしか利用ができない代理申請・電子委任状機能の知名度は低く、ほとんど利用されていません。また、行政書士より、代理申請を行うための機能の実装を求められている自治体が多数存在しました。

電子委任状法においては、基本指針において行政機関に対する電子申請等の手続における電子委任状の利用を推進しておりますが、電子委任状法第2条における電子委任状の定義では、このうち企業の代表者が行う申請のみを対象としております。しかし、地方自治体のシステムにおける代理申請・電子委任状機能は、企業の代表者が行う申請と住民が行う申請が機能的には区別されていないものが多いという結果となりました。

議事1に関する報告は以上です。
それでは、上原先生、よろしくお願いいたします。

上原座長: 
どうもありがとうございました。ただいまの事務局のご説明に関しまして、ご質問、ご意見のある委員、オブザーバーの方は、挙手またはチャット機能にてお知らせいただければと思います。事務局からの応答は基本的に皆様のご発言を一通りしていただいた後にまとめてお願いしたいと思います。また、オブザーバーの方におかれましては、初回ご発言時に、もし、よろしければ自己紹介的に本検討会にどのような観点からのコメントを行えばよいかといった自己紹介的なご発言をいただければと思います。
 いかがでしょうか。ご発言ある方、挙手またはチャットでお聞かせいただければと思います。板倉委員、よろしくお願いいたします。

板倉委員: 
では、あらためて簡単に自己紹介です。私、現在、メドレーという医療ヘルスケアの会社でセキュリティの責任者をしております。ですので、民間のセキュリティ担当という観点での発言とさせていただきます。
私が発言したい点、3点ございます。

1点目が事業者に対するアンケートの結果についてなんですけれども、電子委任状の発行状況について、11ページの検証者アンケートのところ、本人による申請と委任による申請、区別せずに電子署名の検証を行っているシステム等っていうところがあったんですけれども、これからデジタル署名の話が出てくると思うんですけれども、本人なのか、代理申請の場合は、どのようなトラストが必要になるのかっていうところが一つ論点になると思いますので、そのシステム仕様的な観点においてもどういう仕様をしていただくのかっていうところは、もう少し定義する余地があるのかなと思っております。

2点目ですけれども、地方自治体の申請における代理に関してなんですが、これはセキュリティ担当っていうよりも一個人としての感想に近いものなんですが、私も最近、家庭の事情で相続税の申告の手続をしたんですけれども、そこで固定資産税名寄台帳を閲覧したいという用件があったんですが、そこで電子委任状だったり、代理申請っていうところができるといいなと思ったんですが、新潟市さんはそういうことを取組してるんですけれども、私の自治体ではそのような取組をしていなくて、地方自治体によってもかなりばらつきがあるんだなというところで、もう少し申請ができる余地っていうところの改善ができるのかなと思っています。

もう1つが20ページ、最後のページのところの課題の整理っていうところで、6点挙げていただいているところです。
特に5番目のところは、電子委任状の定義でB to Gに限定する必要性がないと思いますので、ここの法改正も含めて今後の論点になってくるのかなという認識です。
以上です。

上原座長: 
ありがとうございました。では、続きまして宮内委員、よろしくお願いいたします。

宮内委員
弁護士の宮内でございます。いくつかコメントさせていただきたいと思います。まず、6ページのところなんですけども、6ページ開いていただけますか。
従来から代表者の代表印を、例えば、社長が自分で押していなくて総務課とかに押させているという、そういう実態はあろうかと思います。これは実は代理行為じゃなくて、押印の代行とでも言うべき、代理と代行って言葉がややこしいんですけども、押印代行というようなことをやってきたと思うんです。

現在、これに書かれてることを考えますと、社長の電子署名を、誰か総務なりが代行しているという実態があるということを実は言ってるのかなというふうに思います。実態として社長さんが自分でやらないなんてことも大きな会社では多いでしょうし、あと年配の社長さんの場合には、やっといてよってこともあるだろうかと思って、これは実態としてはあるということがまず理解できるところです。
問題なのは、これはセキュリティでよく言われることですが、パスワードっていうのは要は歯ブラシみたいなもので、家族や恋人とも共有しないっていうのが大原則ですよね。社長のパスワードを共有するというか教えちゃうような、そういう実態があるというのは恐らく事実としてあるんだろうなと思うんですね。これは何らかの形で整理して、そういうことをやらないでどうすればいいのかっていうのを、もう少しやり方を考えていかなきゃいけない。
一つはこの電子委任状法を使う方法だと思いますし、それから、もしもリモート署名だったらリモート署名の署名を指示する指示者っていうのを、要するにはんこを預けてるのと同じですけど、リモート署名で署名できる利用者っていうのを本人以外にも増やすとか、いろんな方法があると思うんですね。そういうとこも含めて、現在の代表者の電子署名をどういうふうに扱われてるのかっていうのを、もう少し実態を見て、それに対してどう整理していくか、あるいはどういうふうにガイドっていうか誘導っていうのはおかしいですけども、進めていくか、考えていく必要があろうかというふうに思いました。

それから10ページのところですけども、ここは②のところに、委任行為が特定されている場合に有効期間を不要としてほしいというのは、ある意味すごく分かりますし、私どもの仕事ですと、例えば裁判所に訴訟委任状っていうのを出して代理人として行為をするわけですけど、この場合に裁判なんて何年かかるか分かんないんで、期間限定されてるととても困るなというのは確かにあります。ただ、そういうものもあるんですが、1回だけの行為とか、あるいは期間が非常に短いような種類のもの、例えばある売買契約の代理をしているような場合には、それが終わったらお終いなので、それが10年、20年かかるとか普通あり得ないですよね。そういうものですと有効期間があったとしてもあまり問題ならない、1年とか2年にしとけばそれでも問題ないだろうってことで、この②のところの有効期間っていうのはケース・バイ・ケースで、一概に個別の行為だから有効期間が要らないかって言うと、そうも言えないんじゃないのかなという感じがしています。これも整理していく必要があるかと思います。

それから⑤とか、従来から私が言っていることですけども、ぜひ会社の中の役職者の電子署名を行うための基盤として、電子委任状っていうのを使っていくっていうのは大きな方向性としてあり得ると思うので、多分これがうまくいけばものすごく普及すると思います。

あともう一点だけ、これは質問になるんですけど、19ページ開いていただけますでしょうか。
1行目にあります、行政書士さん等の職印の取扱の明確化というのは、どういうことなのかなと分からなくて聞きたいんですけども、これは物理的なはんこの話をされてるのか、あるいはこれが電子化されたものをどうするという話をされてるのか、そこが分からなかったので、行政書士等の職印の取扱明確化とはどういうふうな趣旨のことなのかっていうのご説明いただきたいと思います。
私からは以上です。

上原座長:
ありがとうございました。後で事務局でまとめてお答えいただくことにしまして、濱口委員、よろしくお願いいたします。

濱口委員:
よろしくお願いいたします。一部、宮内先生のご意見と重複する部分があるかと思いますが、ご容赦いただければと思います。

まず、1点目なんですけども、代表者の秘密鍵を別の者が使って電子署名をするというところがアンケート結果で出ていたんですけども、これに関してリスクがかなり大きいと思われます。はんこであれば、物理的に代表者が持っているはんこを誰かに貸して、物理的にある程度管理可能だと思うんですけども、デジタル環境においては、特にソフトトークンで使われている秘密鍵等であれば簡単にコピーできてしまうというところがあるので、さらにデジタル環境ではリスクが大きくなると考えられます。これはリモート署名用の認証のクレデンシャルも全く同じだと思われます。委任状、特に宮内先生が第一回目でご発言された、包括的代理権、役職を示したものを利用することでリスクを軽減できる。
あとはコストの問題だと思うんですけども、次の共通認識の話にもつながるところだと思います。
共通認識についてなんですけども、電子証明書に基づいた電子署名では人しか確認されていないというところがあるんですけども、電子委任状であれば法人と人の両方が確認されますよと。特にデジタル化が進むと、現在でもあると思うんですけども、対面でのやり取りがないまま契約行為に進むことが多くなると考えられます。
このような状況下において、この電子委任状を使った電子契約というのが効果が期待できるんではないかと思われます。
それに対して、どうやって共通認識をつくっていくかっていうところなんですけども、電子契約に関しては、特に依拠当事者、検証する側にメリットが大きいと思います。例えば、官公庁向けの電子契約ガイドのようなものを作成し、その中で、電子委任状を紹介する、そして、その電子契約ガイドを特にリスクの大きい取引を行っているであろう金融機関であったり、不動産であったり、大企業向けに公開するようなかたちで、電子契約に関する共通認識を、特にリスクが高い取引をしている分野に向けて作っていくっていうような活動が必要じゃないかと思います。
以上でございます。

上原座長:
どうもありがとうございます。では、筏井委員(オブザーバー)、よろしくお願いいたします。

筏井オブザーバー:
本日、初めて参加させていただきます、オブザーバーとして参加させていただいております、日本公認会計士協会のデジタルトラスト対応専門委員会の委員長をしております筏井です。
我々の活動としては、2021年9月に施行された改正公認会計士法によって監査報告書に電子署名が認められるということがありました。それを契機として、公認会計士協会では、リモートワークの環境下において入手するPDF文書に対する真正性の確保のための留意事項の取りまとめや、また、そのデジタルトラストの基礎知識と電子署名などのトラストサービスの利用についての研究文書というのを取りまとめて公表しております。
今回の検討会では、監査という第三者の立場で電子委任状に関する何らかのコメントができればと思っております。

今、議論になっているところに関しては、スライドの8ページ目の②のところで、監査の効率化というところがあります。電子委任状に関しては、私の理解では、委任された、誰に委任したか、その委任者、委任された人、いつ委任したか、また、どの組織なのかといったような情報がデジタル化されて、それが電子文書と一緒になっているいというふうに考えております。これは今まで企業の取引は紙ベースっていうのが多かったんですけど、デジタル化のメリットとして、こういった取引の情報がデジタル化されて大量になってくると、それを分析するということが可能になります。そういった意味で、監査、外部監査もそうですし、あと企業の内部監査の面からも、そういった大量のデータがデジタル化されて、委任されたものに関してはちゃんと委任の情報もデジタル化されているということが監査の効率化につながると考えておりますので、今後の拡がりに関しては、委任状という手段というのも一つ大きなデジタル化、そういった印をちゃんと付けておく、データに印を付けておくということが非常に重要になってくると思いますので、この委任状の普及には期待しています。

上原座長:
ありがとうございました。では、まとめて事務局のほうからお答えをよろしくお願いいたします。

事務局 當波:
事務局の當波です。皆様から、かなり多くの意見をいただいたので、この時間内で全て触れられるかどうか分からないところなんですけれども、まず、板倉委員からいただいた、代理人の本人確認というところについては、特に多くの自治体からご意見をいただいたところでありますので、庁内の他の部署にも確認を行ったり、この電子委任状の取組の中で、できるところについては検討していけたらよいかなと考えております。

また、板倉委員から、具体的にどこで使えたら便利だったというご意見をいただきました。そういったどこで使えたら拡がるといった、そういった実際の需要があるところについても今後も拾っていけたらよいと考えております。

また、B to Gのその申請に絞られてしまっているところについて、法改正ということを触れていただいたかと思うんですけれども、法改正をしなくてもできる取組というところは多いと思うので、まずはそちらをやっていくということになると思っております。

続いて、宮内委員からいただきました押印の実態、押印の代行といったところについては、電子署名法、デジタル庁のトラスト班において所管しているところではあるんですけれども、そちらの立会人型ですとか、色々なかたちの電子署名がある中で、どういったものを示せるのか、どういった考え方をしていけばよいのかというところは、今後も取組を行えたらと考えております。

続いて、濱口さんからいただきました、物理的な管理の印鑑との違いというところについてはそのとおりだと思いますので、今後例えば、せっかくパスワードを利用して厳重に管理をされているような電子署名、PINなりパスワードで管理が行われている電子署名については、きちんとそういった管理、例えば、今まで印鑑であってもそういったルール、社内のルールを設けたり委任状を利用したりということが行われておりますので、そういったところをきちんとしていただくような働き掛けというんですか、取組が必要なのだと思っております。

また、これも宮内先生だったかと思いますが、こちらの行政書士の職印の取扱の明確化というところについては、恐らくこの後行政書士会の方からお話しいただいたほうがよいと思っているところであるんですけれども、自治体から受けている意見としましては、行政書士法の施行規則において作成した書類に職印を押すことを求められていて、行政書士の電子証明書というものもあるんだけれども、デジタルにおいてそれが必須なのかどうかみたいなのがはっきりしていないというご意見をいただいています。一旦、職印のところについてはそのようにさせていただきます。

全てのご意見を拾えているかどうか分からないんですけれども、一旦事務局としては以上です。

上原座長:
ありがとうございます。先ほど、事務局のほうから拾いきれているかどうかっていうのがございましたので、今ここで確かめておきたいってことが委員の皆さんがございましたらご発言いただければと思うんですが、よろしいでしょうか。特にございませんでしたら、議事1については、以上にさせていただければというふうに思います。

続きまして、議事2について、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

事務局 當波:
画面を共有しますので少々お待ちください。それでは、議事2について、資料2、参考資料1に沿ってご説明をいたします。
まず、資料2をご覧ください。

本スライドにおいては、電子委任状とリモート署名に関する内容を整理いたしております。
この電子委任状とリモート署名の組み合わせにつきましては、電子委任状に関する検討が実施されました属性認証検討サブワーキンググループのほうにおきましても、電子委任状取扱事業の実現に当たってはリモート署名が重要な要件である、リモート署名と電子委任状は親和性が高いなど、リモート署名と電子委任状の関係について検討が実施されておりました。
しかしながら、現在リモート署名を利用した電子委任状を発行している認定の電子委任状取扱事業者は存在しません。この原因の一つとしては、電子委任状取扱事業者の多くを占める電子署名法による認定認証事業者の認定基準におきまして、リモート署名を実施する場合の鍵保管の基準等が存在せず、特に認証局とリモート電子署名サービス事業者が同一である場合の実施のハードルが高かったことにあります。
現在、デジタル庁、法務省において、令和6年度前半の電子署名法施行規則の改正を目指し、リモート署名の認定基準策定のための技術的・制度的な検討を実施中でございます。そして、今後リモート署名により電子委任状の認定を受け、電子委任状の取扱事業者になる事業者が実現すると考えられます。
そのような状況でございますので、今後の活用に向けた議論を行う上では、そういった前提を踏まえてご発言いただけたらと思っております。
本スライドにより、そういったリモート署名と電子委任状の組み合わせに関する基本的な情報を提供したいと思っております。

リモート署名に関する簡単なご説明です。
リモート署名は、今までのICカードですとかファイルに電子証明書が格納されているような形式ではなく、リモート署名サービス事業者のHSMという鍵を保管する安全な装置、耐タンパ性が確保された装置の中に鍵を保管しておいて、その中で電子署名を行う。利用者は電子署名を行いたい内容を、そのハッシュ値等をこちらのリモート署名サービス事業者のほうに送って、その中で署名してもらった結果を返してもらって電子署名を行う。リモート署名サービス事業者に鍵で電子署名してもらうためには、利用者はクレデンシャル発行者、IdPのほうの認証を受けて、その鍵を使えるようにすると、そういった仕組みとなっております。

また、参考として電子証明書方式の電子委任状、ICカード形式とリモート署名形式の発行のフローのスライドを参考として付けておりますので、よろしければご確認ください。

リモート署名と電子委任状の関係についてです。電子証明書方式の電子委任状、特にICカード形式の電子委任状、そういったハードウエアの電子証明書の場合には、電子委任状が記載されております代理権限に変更がありますと、ICカード自体の再発行や郵送、受け取りの手間と金銭的な負担が発生します。
電子証明書方式の電子委任状について、リモート署名を利用することによってこれらの手間とコストが削減され、所属や権限、部署の異動等でそういったものが発生する機会が多い電子委任状としての利便性が向上します。
また、利用申し込み時の本人確認手段、リモート署名の鍵認可のための認証の手段として、マイナンバーカードといった非対面の方式を活用することによって、利用の申し込みから利用まで、郵送や受領といった作業を一切行わず、安全な電子署名を実施することができます。
まず、リモート署名に関する説明、以上となります。

続けて、参考資料1、電子契約の普及状況等についてのスライドのご紹介をいたします。本スライド、参考資料を用意しております、背景と目的です。
第一回検討会において、B to Bでの利用、電子委任状を使うための前提である電子契約の普及に関するご意見がございました。この点に関する議論のためには、企業における電子契約の普及率や契約の実務に関するデータ、特に代理権、電子委任状が活用される部分のデータが必要であるため、本資料によって本検討会の議論に役立つデータを提供して電子委任状の活用が期待される普及を行うべき領域に関する議論につなげたいと考えております。
なお、本資料は、本検討会の議論に役立つデータ、一般の論文に載っておりますデータを整理・提供する資料であり、本資料に掲載する調査結果自体は、デジタル庁としての見解ではございません。その点にご留意の上で、ご確認いただけますと幸いです。

商業登記と企業の契約締結実務に関する質問票調査という調査がございます。こちらは商法総則・商行為研究会という研究会が経済法友会という会の会員企業に対して実施した調査でございます。こちらについては、コロナ禍が始まった後、電子契約の普及が少々行われた後の2022年の2月に実施されたものです。質問の内容としては、取引先の情報を取得する状況を想定して、商業登記及びそれに関する証明書等の利用について尋ねるもの、契約の当事者となる状況を想定して対象企業の内部の契約締結プロセスについて尋ねるもの、大きく分けて二つございます。この本調査における質問内容について、企業内の契約締結プロセスの実態を踏まえた本検討に大変有益であると考えまして、この研究会の舩津教授より調査結果のご提供をいただきました。ありがとうございます。

1点、ご留意いただきたい点としましては、本調査の対象、母集団は、上場企業が多い母集団となりますので、非上場企業や中小企業における実態については、本調査に反映されていない可能性がある点について、ご留意いただきたいと思います。
また、本スライドについては、本調査の一部項目のみ掲載を行っております。

全てのこちらの質問項目について触れることは時間の都合上難しいですので、一部の重要なところだけ触れさせていただこうと思います。

まず、こちらQ5の契約の相手方において、代表権者以外の者が直接の契約名義人として登場する場合にその者の契約締結権限、代理権の有無を確認する社内ルールがあるか、という質問項目については、これは電子委任状が活用されるまさにその場面に関する質問であると考えております。こちらについては、明文の社内規程としてそのような確認を行うというルールが存在している事業者が5.9パーセント、社内に慣行としてそのような確認を行っているという事業者が16.5パーセントと、確認を行っている事業者については約20パーセントございまして、全体からすると少数派ではあるのですけれども無視できない程度の企業において、きちんとした確認が行われていると考えております。  
また、ルールが特にないとされている企業についても、先ほどの監査における利用ですとか、電子委任状を使う意味といったものが理解される、整理が進むことによって、社内規程としてきちんと代理権の確認を行っていくといった方向が今後期待されるのかなと考えております。

また、Q5-1については、第一回において委員よりご意見をいただきました取引の規定、初回のその締結時であったり一定金額以上の取引の際にそういった確認を行いましょう、電子委任状を活用していきましょう、といったご意見をいただいた点に関する質問となっているかと思います。こちらについても本検討会では大変参考になると捉えております。

また、代理権の確認の方法としては、登録印を押印した紙の委任状やその他の委任状、また、契約締結権限があることのその所在が分かる社内規定を提示することによって代理権の確認をしている事業者がございました。
それ以外にも名刺の情報や肩書の確認といった、包括的代理権による契約を行っている事業者、また、そういった契約権限について契約書に明記を行っている事業者もございました。
また、Q15においては、電子署名に関する管理規程はありますかという質問で、Q12で印鑑に関する管理規程を聞いている質問があるのですけれども、そちらと比較した場合に、ルールが存在しないとしている事業者の数が圧倒的に多くなっております。そういった点も前回のご意見をいただきました、まだ歴史が浅い電子署名、電子契約について、まだなかなか普及、そういった慣行が生まれていないのかなというふうに捉えております。

また、Q16においては、電子委任状法に基づく電子委任状を利用していますかという質問がございました。こちらについては、利用しているという利用者は少なくなってはいるところなんですけれども、今後の利用を検討している企業が1割ございました。
この電子委任状の利用場面に関する追加の質問においては、現在、電子委任状を利用しているとした事業者については、納税の手続や官公庁の入札のためe-Tax、eLTAXやGEPSにおいての利用を行っているという回答をされておりますが、将来的な利用について検討しているという事業者については、そういった手続に加えて民間との契約締結、電子契約における利用を同程度考えているということが分かりました。これについても本検討の大変参考となると考えております。

本調査結果について、時間の都合によりまして本検討会内で触れることができる範囲には限りがあると考えております。そのため一部の結果について、この後、こちらのようなかたちで事務局よりコメントを記載しておりますので、もしよろしければ14ページ以降のスライドをご確認いただけますと幸いです。

それでは、議事2に関する発表は以上です。上原先生、よろしくお願いいたします。

上原座長:
どうもありがとうございます。ただいまの議事、事務局からの説明に対して、ご質問・ご意見等ある委員の方、あるいはオブザーバーの方いらっしゃいましたら、チャットもしくは挙手機能でお知らせいただければと思いますがいかがでしょうか。
では、板倉委員、よろしくお願いいたします。

板倉委員:
簡単に、12ページのところなんですけど、60社の方が利用していて、利用検討されているっていうところで触れていただいたとおり、今は利用してないけれども将来的な利用っていう観点だと、民間取引との契約締結ってところに皆さん興味を持たれているってところは非常に興味深いインサイトだったなと思っておりまして、ここに対する施策っていうのが必要だなと思います。一方でこの調査結果自体に質問といいますか、もう少し深掘りする余地があるかなと思っていまして、この利用検討されているケースって1個のユースケースだけではなくて複数のユースケースが想定されていると思っているんですが、この有効回答数を見ていると、この納税、官公庁入札、契約締結のどれか一つしか選ばれていないように思えるので、そういったところについてもう少しどういう利用シーンが想定されるのかっていうところが深掘りできるといいのかなと思いました。
以上です。

上原座長:
ありがとうございます。続いて濱口委員、よろしくお願いいたします。

濱口委員
よろしくお願いいたします。まず、リモート署名と委任状についてですけれども、リモートでない署名、ここでローカル署名というふうに言わせていただきますが、ローカル署名ですと署名者が自分で証明書の申請、発行申請をして、自分で秘密鍵を管理して、この証明書発行に関わる金額、費用であったりだとか、それに関わる秘密鍵の管理っていうのを負担しています。
先ほど電子署名や電子契約においては、特に検証者、依拠当事者側にメリットがあるというふうな発言をさせていただいたんですけども、このようにローカル署名では、受益者ではなく利用者にコストを強いている構造っていうのが生まれやすいという余地があるかと思います。一方で、リモート署名であれば受益者負担の構造をつくりやすいというメリットが大きくて、証明書1枚当たりのビジネスではなく、サーバー側で管理可能な署名回数当たりの、例えばサブスクリプションビジネスとなって、信頼度の高い署名サービスや電子契約サービスの普及につながるのではないかと考えています。こういったことは制度化がデジタル庁で検討されているっていうのは非常に心強いと思います。

調査については、6ページ目、代理権を確認している企業が20パーセントもあるというところに関しては私も不勉強で全く知らなかったところですので、そういった潜在的な電子委任状に対するニーズがあるということが確認できる調査結果があるというのは、非常に重要な研究結果だなと思います。

Q15、何ページ目かっていうのは見れていなかったんですけれども、Q15で社内ルールがあると、明文の社内規程として存在しているというのが38パーセントある、それに対して存在しないが36.7パーセントという結果があるんですけども、社内ルールが38パーセントあったとしても適切なルールであるかっていうのは、また、これ疑問が残るところでございます。電子署名のB to Bでの普及に向けて、また、この電子委任状の利用に向けて、共通認識というのをつくっていかなきゃいけないので、適切な社内規程がつくられる、拡がっていくような共通認識をデジタル庁のほうで推進していくような活動っていうのが必要なんじゃないかと思う次第でございます。
以上です。

上原座長:
ありがとうございます。では、引き続きまして、笠井委員、よろしくお願いいたします。

笠井委員:
ありがとうございます。私も、Q15、事務局資料で言うと、参考資料17ページのところについて、ご発言させていただければと思います。
前回の検討会でもコメントさせていただいたんですけれども、電子署名に関するルールと印章の普通の印鑑のルールとってところで、印鑑のルールはほとんどないにもかかわらず、電子署名については存在しないが約4割というところには、まずそこにステップとしては手を打つというか、今回の検討対象外ではあるものの、そこがないとその後、電子署名やって電子証明書で確実性を担保して、数が多いので代表者が大変ということで委任状やってっていう、多分、本来的にはそういうステップだと思うんですけれども、その手前でまだルールはないというところが分かったのは非常に大きいかなと思います。
現時点でも電子契約とか電子署名については取引先の協力が不可欠っていうのが実態上ではございまして、それはひとえにこういうルールが浸透してないとか、基準となるものがないということもあるのかなと思っております。先ほど委員の先生方からもあったとおり、デジタルですので物が手元を通らないみたいな意味では、より厳格にしてセキュリティを担保する、安全性を担保するということが大事にもかかわらず、そのようなルールを何かしら示してあげるということで、いずれ電子署名、電子委任状のほうにも普及が進むのではないかなと考えました。
以上です。

上原座長:
ありがとうございます。では、引き続きまして、宮内委員、よろしくお願いいたします。

宮内委員:
宮内でございます。まず、資料2のリモート署名ですけども、6ページのところに色々とまとめてあるこのとおりだと思いますけど、少しコメントさせていただきますと、実はカード型の電子証明書っていう電子署名のためのデバイスを使う場合って、実はカードリーダーの設置とかそういうのがハードル高かったりすることも多いんですよね。そういうところも考えると何らかの形でリモート署名するっていうのは非常にいいと思いますし、利用しやすくなれば拡大が見込まれると思います。

鍵認可、実際に署名していいかをどうやって確認するか、これについては色々なレベルの方法があるので、これについてもある程度その用途に合わせた安全性のレベルを考えていく必要があるかと思います。なので、このカードとかその鍵の管理って実は多くの部分は社内で行われていることなんですね。もちろん認証事業者から来る部分があって、それをってことなんですけど、社内で何か不始末があったとき、実は会社の責任なので、その点は会社が思う合理的な範囲でやれたりすることも考えてもいいのかなというふうに思います。

それから参考資料のほうですけども、まず商業登記の確認っていうのが5ページにありましたけど、私は割とやってます、正直に言いますと。すごく前から知ってる会社さんはともかくとして、新たな会社と何らかの形で取引があるような場合には、商業登記の情報をインターネットで見てやっている、実際に励行しています。ただ、1件330円ぐらいかかるんで、もっと安くしてほしいなというのは思います。毎年、何円かずつ安くなっているんで、だんだん安くなっているんですけど、もっと画期的に安くなるといいなというのは、この会議とは関係ないですけど思うところです。

それから17ページのところで電子署名に関する管理規程とか印章管理規程について書いてございますけど、非常に私重要だと思っています。ちなみに私、雑誌とか自分の書籍にもひな型って載せてるんですけど、正直言ってあんまり普及してないなというのが今の状況だと思いますので、もう少し何らかの形で普通にみんなが使えるような形にしていくと電子契約や、その電子署名に関しても普及が進むと思いますし、こういった電子委任状に関しても影響が大きいんじゃないかというふうに思ってますので、この辺りの広報っていいますか、ガイドラインの設置ですとかを考えると、なかなか進むんじゃないかというふうに思っております。
私から以上です。

上原座長:
ありがとうございます。続きまして、山口委員、よろしくお願いいたします。

山口委員:
ありがとうございます。東京大学の山口です。一番言いたかったポイントは、実は宮内先生がおっしゃってくださっているんですけれども、私が今回総じて思っているのは、割と何から何まででこれを適用しようと思うというよりは、利用頻度がそこそこ高くて、例えば、士業さんのようにプロでカードリーダーが面倒くさくてもそれに対して対応できるようなシチュエーションに、とりあえず一旦最初に適応するのがよいのではないかという意見を持っています。
その心は、一生に一回しかやらないようなことのためにわざわざカードリーダーを買って全ての条件を用意して何かをして委託をするみたいなことよりは、年に何回か出てきて、そのたびに委託をするのがとても面倒くさいから電子的にやったら楽だよね、というものになるような事柄をうまくピックアップできるといいなと思っていまして、今日特に士業さん等ある意味プロの方々がいらしているので、それに適したようなサービスというかアプリケーションみたいなのを上手くこの場で見つけて、そこにフィットとまでは言わないですけども、そこを中心に話をまとめたほうが普及につながるのではないかというふうに考えました。
私が言いたかったのは以上です。

上原座長:
ありがとうございます。では、オブザーバーの筏井さん、よろしくお願いいたします。

筏井オブザーバー:
私の方から3点ほどコメントいたします。一つ目はQ5、二つ目はQ15、三つ目はQ16になります。
まず、Q5なんですけれども、社内ルールの有無に関する質問票の結果ですが、法務部か法務部に類する部署があるかどうかということも大きく影響するんじゃないかなというふうに思います。つまり内部統制として契約当事者部門以外の部署が牽制のために関与するというような統制が取られている会社に関しては、社内の規程とか、規程まではいかなくても慣行として存在するというケースがあるんじゃないかなというふうには思います。ですので、一概に社内ルールの有無だけを見るというよりは、その会社がどういった内部統制を取っているかということが大きく影響するんじゃないかなというふうに思います。ただ、取引に関しては、ルールが必ず必要かどうかというよりは、取引自体がその会社にとってどれだけ重要なものなのかとか、内部統制がその会社にとってどれだけ必要なのかってことも影響すると思いますので、そういった観点もゴールに入れてみる必要があるんじゃないかというふうに思います。

次に、Q15ですが、電子署名の管理規程に関しては、卵が先かニワトリが先かに近いものだと思っていまして、つまり今まで電子署名で署名された文書を受け取ったことがない会社とか、自分たちがしたことがない会社は、当然その規程もないですけれども、電子署名を確認せざるを得ない状況になると、結果として社内規程や、どういったチェックをするか、といった慣行が作られてくるんじゃないかというふうに思います。つまりルールというのは常に後からできてくるもので、実態、実務が動いて初めてルールができるということですので、こういった規程が存在していない会社に関しても、今後そういった電子署名が普及すると規定が作られていくということがあるかと思います。ただ、そのタイミングの問題に関しては、タイムラグをいかに少なくするかというのは企業の内部統制やコンプライアンスの面から大事だと思いますので、いざ社内で電子署名を使うことが実務上増えてきたときに、どういったルールが必要かということを参照できるような参考となるようなモデルがあると、それを参照して社内の規定に反映できますのでタイムラグというのは少なくなる、その分その企業にとってのリスクというのが減ってくる、ということだと思いますので、電子委任状に関しても今後普及するということを見通せば、事前にモデルケースみたいなルールというのを何らか提示していくことは意義があるんじゃないかなというふうに思います。

最後に、Q16の電子委任状の利用に関してですが、これは私見になりますが、B to Bの場合に委任を考えたときには、そもそもその委任を認めるような契約の場合というのは、事業者間で信頼関係が既に構築されているか、または取引先の相手が社会的な信用が既に高いというのが明らかな場合には通常委任で契約っていうのが行われているというふうに思いますので、電子委任状に関しても利用する局面っていうのは、状況に応じて、相手先によって変わってくるんじゃないかなというふうに思いますので、どういった取引のケースで利用するかというような観点というのは必要かなと、B to Bに関してですね。Q16-11は、納税とか官公庁とかありますけど、Cの民間の相手先の契約の中でもさらにシチュエーションによっては、必要なケースと必要じゃないケースっていうのは分かれてくるんじゃないかなというふうには思います。
以上になります。

上原座長:
ありがとうございました。もし他にご発言なければ、以上についてまとめて事務局のほうから、ご回答よろしくお願いいたします。

事務局 當波:
皆さん、ご意見ありがとうございました。まず最初、リモート署名のところに触れさせていただきたいと思います。

濱口さんからいただきました、リモート署名は代理権の確認だとかそういったところは検証者側にメリットがあるんだけれども、今まではICカードを発行する側の負担があった、しかしリモート署名に関してはリモート署名サービス事業者側で認証局とRSSP側での課金というかサブスクリプションといった新たな料金の形態が考えられるというところについては、今まであまり出ていなかった観点かと思いますので、今後、事業者の団体ですとか、そういったところともお話をしていけたら、今後の活用に向けた話をしていけたらなと考えております。

また、宮内先生からも、ここに書いてある手間であったりICカードの金銭的な負担といったところに加えて、カードリーダーを用意していただく必要があるといったところについてもご意見をいただいたかなと思います。それについては、こちらのスライドに記載できていませんでしたが、大変重要な点であると思っておりまして、例えばパソコン以外でスマートフォンから何か行うといった場合も当然考えられるところですが、ICカード型の場合は、そういったところでの電子署名が行われにくかったところもありますので、こういった新しい形、ログインして本人の電子署名を行うといった形は、今後の普及をする上で色々考えていけたらいいかなと思っております。リモート署名についてはひとまず以上かなと思います。

続いて、もう片方の参考資料の方についてです。これについても、皆さん多くご意見をいただいたので、どこから順番に触れていこうかなというところなんですけれども、まず、Q12の印章管理規程のところについて、ご意見を複数名からいただいていたかと思いますが、この点については例えば最後の筏井さんからのご意見では、印章管理規程と比べて電子署名の管理規程が少ないというところについて、社内統制だとかそういったところをきちんとやっているかどうか、全体について内部統制がきちんとしてるかどうかといったところであったり、電子署名の管理についてはニワトリと卵の関係だということをご意見いただいたかと思います。特に電子署名については、今まで判例が出てないという点もありまして、これをやったら駄目なんだという認識が世の中的にきちんと定まっていないところがあるのだと思っております。また、そこのルールについて政府側として示していくことは、前回の検討会でもお話ししましたとおり少々難しいところもあるものの、事業者の団体といった方々を集めて何か検討を行って、どのような形を示していけるのかは考えていきたいと思います。

他のご意見としては、Q16、最後の筏井さんのご意見として、委任の確認をしているかという委任の利用のところについても、相手先に応じてどういった確認を行うかといったご意見があったかと思います。それについてはQ5-1のように、前回の、確か笠井さんからご意見いただいたのと同じように、初回の契約締結時に確認をするですとか、一定金額以上であったら確認をするですとか、何か特に重要な契約であったら確認をするといった色々な形、そういったところも含めて考えられたらいいのだろうなと考えております。

山口委員からのご意見として、総じて何から何までどんどん普及していきましょうというところではなく、利用頻度が高い、そういった需要のあるアプリケーションに対して中心に話を進めればよいのかというご意見があったかと思います。それについては、そのとおりだと考えております。今回の検討会においても、先ほど説明したとおり、民-民の契約で利用できるといった需要があるのならそこに普及していこうという話で、それ以外、行政の手続おいてもそこで確かな需要があるなら、そういった整理をして欲しいと思っている人がいるなら、普及をしていこうといったところであるかと思います。例えば、需要を拾うというところについては、こういった調査の結果ですとか、今回ご参加いただいておりますオブザーバーの実際の手続を行っている人たちから今後も拾っていくことができたらと考えております。

これで全て拾えてるかどうか分からないんですけれども、私からは以上です。他の方からご発言がありましたらよろしくお願いします。上原先生にお返しいたします。

上原座長:
ありがとうございます。他にオブザーバーの方々でも結構ですので、ご意見ありましたらお寄せいただければと思いますけど、ございませんでしょうか。

私は、とにかく前回からの繰り返しになるんですけれども、本当に手触り感がないこの電子委任状というものを普及させようというときに一番大事なのは、手触り感がない、経験もないのであれば、何かきっちり、こういう使い方でこう使えるんだっていうような、ユースケースを絞ってでもいいので姿を見せてやることなんだろうというふうに思うんですが。それが先ほどもご指摘ありましたように、アンケートの結果からも、具体的に使うインセンティブみたいなものに持っていくためにも、イメージができないものをイメージさせてあげることが大事なんじゃないかというふうに感じるところございましたので、この後の議論もあるかもしれませんけれども、そういう方向にうまくガイドライン等が出せるような、あるいは法的な障害があるんであれば早めに取り除いてやることを続けていくことになるのかなというふうに、これを拝見していて思いました。

もし、特にご発言がないようでしたら、ここで第二回の議事2も終わりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

事務局 當波:
まだ少々時間がございますので、今回、日行連さんにもご参加いただいておりますので、議事1、2に関わらず、何かご意見というか、例えば、先ほどの職印の取扱について明確化して欲しいといったご意見について触れていただけるとありがたいです。議事とは外れますが、お願いいただけますでしょうか。

上原座長:
日行連さん、どうぞよろしくお願いいたします。

関谷オブザーバー:
初めて参加させていただきました、日本行政書士会連合会デジタル推進本部本部長を拝命しております、関谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本当に今回、貴重な議論に参加させていただいて感謝をしております。
ご紹介がありましたので、我々がどういうふうに今回の電子委任状を考えているかというより、我々の業務の流れをざっと紹介させていただいた上で、今後の議論に、特にユースケースということで活用していただければと思っております。
お時間もないようですので、はしょりながらですがお聞きいただければと思います。

我々は行政書士法という法律に基づいて仕事をやっております。基本的には書類の作成を、他人の依頼を受けて、報酬を得て業務をさせていただく、これは一応専管業務と位置付けられておりまして、作った書類について、それを例えば行政庁のほうに持っていくということは、我々だけではないんですけれども、我々もできるという立て付けになっておりまして、いずれにしても我々の業務は他人の依頼を受けてというところが前提になる。そういう意味では、委任状は必須の業務になっております。

私自身も、年間書く書類の数からいけば2,000くらいは作っているわけでして、これが他人の業務を受けて全てやっている業務ということを考えると、その提出先に対してその書類の数だけ委任状が必要になるという意味では、いちいち紙で書くよりは電子的に処理できるのであればすごくありがたいなっていうふうには業務的には思います。

ちなみに、顧客の種類からいくと、例えば、B to B、B to Cの話から言うのであれば、我々の作る書類っていうのは多分B to Gが一番多いとは思うんですけれども、C to Gもあるし、局面によってはB to BもあればC to Cもあると。B to Cもあるし、数は少ないけれどもC to Bもあるよということになります。カバーする手続の数からいけば1万くらいございますので、この1万の手続について委任関係を網羅的に処理できるシステムがあればすごく助かるというのは本音でございます。
ただし、その委任状のフォーマットというものが特段決まっているわけではございませんので、局面によって、しかも、その委任内容によっては、ある程度体裁というのもあるだろうということで、柔軟なフォーマットの上で本人確認だけ規律がちゃんとできているのであれば、電子委任状として、紙の委任状でも同じことなんですけれども、第三者が取引なり手続に関わることによってその取引の活発化、もしくは予定している政策、利益の恩恵を国民に広く普及、伝えることができるって意味では、代理の意義もあるし、代理の意義があるということはイコール委任状の活躍する場面もどんどん増えていくだろうという理解でおります。

その中で今、手続のデジタル化、取引・契約のデジタル化っていうことは進んでいるわけですから、できればシステムの中、取引のプロセスの中、申請手続プロセスの中で委任関係っていうのが処理されることは望ましいわけですけれども、例えば我々の肌感覚でいいますと、年間何十万の書類が飛び交っている業務の中で、国土交通省もしくは都道府県に出す建設業者さんが出す許可関係の書類っていうのがございます。これは今年の1月にオンライン申請手続がスタートしました。
今まで紙申請であったものが、gBizIDを利用したオンライン手続になっているんですけれども、この中で、行政書士が、申請者、会社様ですけれども、会社様の代理人としてそのシステムにどう入っていくかといいますと、本来であればgBizを使うので委任関係っていうのを作れるんですけれども、ところが建設業許可のシステムの中ではgBizでつくった委任関係がそのまま反映されず、建設業、JCIPシステムの中で新たにもう一回委任関係をつくることが求められています。

それは委任状という形ではなくて、画面に必要事項をどんどん入力していって、最後、行政書士ですか、違いますかっていうところチェック付けて、行政書士であるというところにチェックを付けた場合は、行政書士であることを証明してくださいということで、カード式の証票があるんですけど、証票をPDFでスキャンしてそれを添付してシステムに送ると、それを処分庁が目視をして確認をして、そこから手続がどんどん先に進んでいくという流れになっています。これは何十万件扱っている電子申請システムの中の委任関係の疎明っていう行為になるわけですけれど、これがもうちょっとデジタル的にできないかというふうに我々は広く思っております。こういう手続は実はかなり多いと。マイナンバーカードを使った代理人としての疎明もそうですし、我々に委任をしてきた方々の本人確認でも結局、本人確認の手段とその者同士が委任関係を真正に成立させたということの証明についてのやり方が色々色々あるわけでございまして、もちろんその手続にフィットした形での委任関係の多様性っていうことであればそれはそれでいいのでしょうけれど、年間何千何万の書類を作成して、それを代理人として、もしくは代行者として出すものとしては、統一的なフォーマットがあるととてもいいなというふうには思っております。

職印の話がございましたけれども、これは押印廃止というものが叫ばれる、もしくはオンライン申請上、デジタル申請上は印鑑っていうのは不要ですよと。別途本人確認ができればいいんですっていう取扱いにはなってはいるわけですが、我々には行政書士法施行規則第9条第2項がございまして、我々が関わった書類について職印を押せというふうに書いてあるわけです。紙申請であれば、そのとおりにするんですけれども、その紙申請ですら今その職印が要らないんじゃないかっていう議論が実はありました。でも、この施行規則がなくなっているわけではございませんので、我々は、これは、ねばならない規程でございますから、やるしかないと。デジタル申請、オンライン申請の場合どうしたらいいんだろうねってところが、これはシステム上、今、我々はG-IDというセコムトラストさんが認証している証明書がありますので、それを付けるっていう場合もありますけれど、さっきの例えば建設業許可に関するものって、これを使わないでgBizでやってしまっているってところもございますので、この辺りは統一的に処理できると業として扱うものとしてはありがたいというところございます。その辺り、どの手続においてこういうやり方をやってて、こうできたらいいなとか、これはこのままでもいいなっていうことは結構ケースごとにばらばらだっていうのが実際の実感でございますので、その辺りもう少しこういう会議を通じてお伝えできたら何らかの電子委任状の普及に寄与できるのではないか、というふうにお話を聞いていて感じた次第です。
以上です。

上原座長:
ありがとうございます。非常に現場の様子を生々しく聞かせていただいたので、こちらを議論にうまくつなげていけたらというふうに思います。時間になっておりますので、事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。

事務局 當波:
最後の行政書士会さんのコメントに一言だけ触れた上で、こちらの会を終わらせていただきたいと思います。

様々な手続のパターンがある、委任関係の確認だけでも様々な方法があるというところで、今まで代理申請、委任に関するところの検討が別々に行われていたり、色々と昔の検討のまま進んでいたところがあるのだと捉えています。そこについては、デジタル庁の中だけでも色々とできる部分がありますので、今後、電子署名、電子認証の区別もきちんとつけるなど、色々と手続の統一化であったりシステムの統一であったり、そういったものを便利になるように行っていければよいと捉えております。今後の検討においてもぜひとも色々とご意見伺いたいと思います。

それでは、いただいたご意見は次回以降の議題にも反映してまいります。
本日の議事録につきましては、後日、委員の皆様にご確認をいただいた後、デジタル庁のウェブサイトにて公表いたします。
また、次回の検討会につきましては改めてご連絡いたします。委員の皆様におかれましては、引き続きよろしくお願いいたします。
以上をもちしまして、電子委任状法施行状況検討会第二回を終了いたします。皆様、ありがとうございました。

以上