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教育分野の認証基盤の在り方に関する検討会(第1回)

概要

  • 日時:2025年3月13日(木)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン会議
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 教育分野の認証基盤の在り方に関する検討会の開催について
      2. 初等中等教育段階のデジタル化の現状と課題について
      3. 教育分野の認証基盤に係る検討事項について
      4. 第6回データ利活用制度・システム検討会における主な議論について
      5. 関係者ヒアリング結果について
      6. 意見交換
    3. 閉会

資料

参考資料

議事録

平田参事官補佐:
それでは定刻になりましたので、始めさせていただきます。本日はご多用のところご出席賜りまして、誠にありがとうございます。私は、デジタル庁国民向けサービスグループの平田と申します。冒頭の司会進行を担当いたします。よろしくお願いいたします。それでは開催に先立ちまして、本検討会の開催趣旨の説明と委員のご紹介を企画官の久芳より申し上げたいと思います。

久芳企画官:
デジタル庁国民向けサービスグループで企画官を務めております久芳でございます。よろしくお願いいたします。では、私の方より、検討会の開催趣旨などについてご説明を差し上げます。こちら資料1でございます。趣旨につきましては、事前に先生方にもご説明を差し上げておりますが、GIGA スクール構想により、我が国の教育分野のデジタル化は、大きく前進したところでございます。一方で今後、転校・進学時のデータの引継ぎなど色々なデータが連携されていくことを想定した場合、主体・データの真正性の確保のための認証基盤の整備が求められると認識しております。 認証基盤につきましては、デジタル公共インフラに含まれるものでございますので、国において、その積極的な整備を図っていく必要があるということが、閣議決定の方でも確認されております。そのため、教育分野の認証基盤のあり方について、求められる機能、望ましい実装方法、実装していくに先立ち、精査すべき留意事項について委員の皆様からご助言を賜り、今後の調査研究の方向性の絞り込みを図っていきたいというのが本検討会の開催趣旨でございます。続きまして、実施方法を確認させていただきます。本検討会につきましては、後ほどご説明します委員をもって構成するという形になっております。座長につきましては、事務局より委嘱をさせていただくという形でございます。また、必要に応じて別紙以外の者にも協力を求めるものとする、また、会議の終了後、速やかに議事録を作成し、デジタル庁のホームページにおいて公表するという形になっております。では続きまして、資料の2でございます。構成員名簿を読み上げさせていただきます。まず戸田市より池田様。続きまして、中央大学より石井様。ICT CONNECT 21より石坂様。産業技術総合研究所より和泉様。ひかり総合法律事務所より板倉様。奈良教育大学より小﨑様。千歳科学技術大学より仲林様。OpenID ファウンデーション・ジャパンより富士榮様。鳴門教育大学より藤村様にご参画いただいております。また、ご本人に事前にご了承いただいておりますが、藤村様に座長を、そして小﨑様に座長代理をお願いしたいと考えております。事務局からの説明は以上でございます。

平田参事官補佐:
それでは、ここからの議事進行につきましては、ただいまご指名させていただきました座長の藤村先生よりお願いできればと思います。

藤村座長:
座長の指名をいただきました鳴門教育大学大学院の藤村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。一言ご挨拶させていただきます。趣旨説明にありましたようにGIGAスクール構想等により、教育分野では大きく情報化が進んでまいりました。そのような中ですね、私自身、2010年ロンドンの国際学会で教育クラウドについて発表しましたが、その中でIaaS、PaaS、SaaSの各部分で何が必要かという中で、必ずPaaS部分で共通認証基盤、そして真正性を担保する、そういうことが必要になると考えておりました。2010年から15年経ちましたけれども、ようやく日本もそこまで来たかなという考えを持っております。委員として多方面から優れた知見をお持ちの方々にご参加いただいております。先ほどお話あったように、将来を見据えた認証基盤のあり方について、忌憚のないご意見を頂戴して、より良い成果を上げていければと考えておりますので、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。それでは早速議事に入らせていただきます。まず事務局から本検討会の前提となります初等中等教育段階のデジタル化の現状と課題、教育分野の認証基盤に係る検討事項等について説明お願いいたします。

村上統括官:
デジタル庁統括官の村上と申します。文部科学省の教育データの利活用に関する有識者会議のご提言を受けて、今回の認証基盤の検討については、特にデジタル庁の技術的な専門性も活かしながら、しっかりとした答えを文部科学省にお返しするというミッションだというふうに考えてございます。そのため、この会議のプロセス自身が、今後、認証基盤に関わってくる様々な関係者の方に広く参照していただけるような、そういう議論ができたらいいなというふうに思っており、事務局としても分かりやすい資料の作成や説明等に心がけたいと考えてございます。早速、資料3につきまして説明を開始させていただきます。GIGAスクール構想。なんにせよとにかく端末が隅々まで行き渡らないことには、利活用も何もございません。そもそも、そのベースとなる1人1台端末も高速大容量の通信ネットワークの整備も数年前を遡れば無かったわけでございますが、GIGAスクール構想も2周目に入りまして、いよいよ1人1人が端末を持っているという現実がこなれてまいりました。だからこそ、今、この議論が始まっているということでもあろうかと思います。校務のDXの方につきましては、本日、デジタル行財政改革会議の後押し、そして文部科学省の多大なるご尽力もあり、相当程度、FAXの撲滅という分かりやすいところから含めてですね、ダッシュボードで取り組みが進んできたと。こういうふうに思いますけれども、この検討会で議論していきますのは、それぞれの学校の中の職員室のデジタル化だけでなく、職員室を跨いだ職員室同士の、職員室と教育委員会の、将来的には、職員室、学校、教育機関と教育機関以外といったレベルで、そのフェーズでのDX、次世代の校務DXのインフラをどう作っていくべきかということと併せて検討していく段階に来ているという認識でございます。顕在化している課題でございます。先生の残業、子細は資料をお読みをいただければと思いますけれども、例えば様々なアプリがバラバラに入りますと、先生方はそのアプリをセットアップしているだけでも相当程度の時間を取られ、それぞれのアプリが使えるようになるのは6月から、なんていうことも出てきているということでございます。もう1つでございます。それぞれが良かれと思ってやっていただいていると思いますが、かなり学校もしくは自治体ごとにそれぞれバラバラな、あえて突っ込んで言えばOSもしくはプラットフォーム、これが全国的に見ると五月雨的に入ってきてしまっている状態になっております。しかも、それぞれの基礎自治体の教育委員会レベルに戻れば、一人情シス問題と資料で記載させていただきましたけれども、正直言って、1700以上ある基礎自治体の各教育委員会の調達を担当していらっしゃる方に、全国的なレベルでの知見を求めて、合理的に調達をしなさいと言っても、正直現実的でないということもございますので、これはかなり共通的な指針やアシストがないとバラバラなプラットフォームが入ってくることによって、プラットフォーム間で本当にセキュアな子供たちのデータの送受信が可能なのか、というところについては、すでに現実の問題になっているという認識でございます。実は現状でもすでに、令和5年度で231件、14万人分の個人情報漏洩事故が発生をしてございまして、うち50件は成績情報とこういうことでありますし、オンライン接続・送受信を前提にしたものが約2割、影響人数では約半分となっております。ネットワーク上でデータ連携をするのであれば、この検討会の大きな目的でございますけれども、「あなた本当に本人なの」ということを、違うプラットフォーム間で相手に対して確認をできるという意味での認証基盤がないと、そもそもセキュアなデータ連携ができない。そうすれば、これだけの個人情報漏洩事故に類似する事故が今後このまま放っておくと、ますます増えていくだろうと。こういう状態でございます。現状の悩みを縷々続ければきりはございませんけれども、そうというわけにもいきませんので、ちょっとここでベースとなるフレームについて話を戻しますと、これまで文部科学省が中心となって教育分野のデジタル化を進めてきたわけでございますが、大雑把に言うと、校務系と学習系と2つのエコシステムに基づいて話が進んできたのかなと。特にデータの送受信に関するデータの標準規格ということについては、APPLIC標準であったり、校務と学務の間をつなぐOneRosterであったり、学務の中でも学習eポータル、その他それ自身がそれぞれ色んな議論を持っていることは百も承知でございますけれども、LTIであるとか、xAPIであるとかということについて整備が進んできておりますが、標準化されたデータをやり取りする送信元と受信元が一体何を備えているべきなのか、という議論は、実はこれまで若干置いてきぼりになってきているというか、そもそもこれまでは端末が行き渡ってないという現状がございましたので、それを議論してもしょうがないだろうということで、送受信するデータの規格の議論はそれなりに進んでおりますし、標準としても文部科学省にて一生懸命ちゃんと普及する努力を続けてきていただいていますし、それに対応するということでの教育委員会の構えも進んでいると思いますが、くどいようですが、送信と受信するそれぞれの端末のところでの認証がどうなっているかという話は、まだこの世の中には出てきておりません。そこをどのようにするのかというのが、この検討会の大きな目的であると思っております。参考でございますが、国連でも今、デジタル公共インフラとデジタル公共財という議論をしております。デジタル公共インフラとして、おそらくは都道府県を跨ぐ共通のベースということを議論していく必要があるだろうということで、「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」の中でも記載がしっかりされており、この流れは教育だけでございません。今、地方のシステムの標準化ということで、20業務のシステムの標準化って話も進んでおります。私、よくこう申し上げていますが、地方自治をアパレルに例えると、和服を作っても洋服を作っても、別にそこについてとやかく国が言いたいと言っているわけではないですけれども、和服、洋服をそれぞれが作るにあたって、調達権限が分権化している結果、和服用の裁ちばさみ、洋服用の裁ちばさみ、○○県流の和服用の裁ちばさみっていう道具まで作り込まれていると。それによってお互いが話をしようと思った時に、そもそもツールが違うという状態が起きていることに加え、それぞれがそれぞれに作り込んでいる結果、調達も高くついていると、こういうことになっておりますので、中身において独自性を発揮し工夫をするということと、裁ちばさみは別に裁ちばさみでいいのだよって話は別の議論であって、共通的なツール・基盤は全国一本化していっても、それは何ら地方自治に反するものでもなければ、むしろ効率化や部局を超えたデータ連携のセキュアな環境を確保する上では、プラスであるということが教育分野に限らず、全体で起きております。これは教育分野においてもデジタル公共インフラとして同じ議論になるのではないかと考えております。3つのステップで見ていきますと、最初のステップでは組織内と書いてございますけど、簡単に言えば、まず学校の中、もしくは基礎自治体の教育委員会と各学校の中ということで見てまいりますと、今はデジタルドリル、デジタル教材ごとにバラバラのログイン。下手すると、それがゆえに先ほどの「先生ひょっとすると全部設定終わって使い始められるのは6月からじゃないですか」と、こういう話が出てきていますので、まずもってそれをなんとかしないといけないのではないですかと。ないしは学科担任制が進んでくる。中学校の教員が小学校高学年の理科を教えに来るといったようなことが進んでまいりますと、全部職員室の中でそれぞれのアプリをそれぞれ絡んでくる先生が全部覚えて全部個別にやって、もしくはそれに対するアシスト全部それぞれのクラスの担任の先生がそれぞれ絡んでくれた先生に指導して教えてってやっていたら何時間残業すればいいのではと。こういう話になると思いますので。共通化しておくことが必要であろうとこういうことでございます。次のステップでは自治体を越えて転校したらどうなるのと。進学するときにどうなるのと。調査書は一体どうやってデリバリーするのだっけと。例えば、高校入試実務のデジタル化の実証に向けて準備しておりますが、調べてみると調査書の内容を、どこかで誰かが複数回、作成されたデータをプリントアウトし、入力し直していると。こういう実態がございます
が、調査書は、最も機微な個人情報でございますので、逆に言うと、その書類を誰が担当しているのか、誰が見ることができるのかということについては、小学校と中学校と高校とで、サーバーが違おうが、環境が違おうが、きちっと見るべき人が見られているということを確認できないと、逆に言うと安心してデジタル化できないということになるわけでございます。一体いつの時代になっても、都道府県を越えて転校するときに、校長先生のところに行って、書類もらって、職印を押してもらって、その書類を入れた封筒を郵送、もしくは持って転校先のところに行って封筒を開けて、中に入っていた書類の内容を誰かがそこの学校の校務支援システムにコトコトコトと入れていて、「入力ミスが無いか」とプレッシャーを感じながらチェックするみたいなことは、さすがにやめようよと。ということを考えますと、これはおそらく単独の市町村の自治体の中で統一化するだけではなく、都道府県を超えて、認証基盤については統一しないと、やっぱり職印を押した封筒行政も治らないということでございます。最後のステップは、ちょっとこれは将来の課題でございます。ここまで今すぐ解決しようという野心は半分なく、半分は将来のために、今からできることをやっておこうという趣旨でございますが、例えば学校で持っています特定健診のデータを医療機関等と共有するのかといったような類の話は、比較的近い未来として出てきておりますし、私自身、今回、能登半島のお手伝いということで、ずいぶん現地に関わらせていただきましたけれども、現地の子供たちの学校で持っているべき情報、それは転校したい場合も、転校はしないけれども、場所を移して学校を再開する場合でも、もういちいちそのデータが全部すっ飛んでいってましてですね、どうするのだって話で、苦労は相当ありました。例えば、転校したいと思って転校手続きしようと思っても、学校自体が復活してないので、「一体どこに行ったら転校手続きできるのですか」って、もうそれだけで、てんやわんやの大騒ぎでございます。そういったようなことも考えると、将来的には教育関係機関以外とのセキュアなデータ通信ということも身近な課題として考えなければならないというように考えてございます。後ほど次の資料で整理いたしますが、組織起点でのデータ連携ということと、個人起点でのデータ連携ということと、要はすごく簡単に言うと、学校で校長先生が職印を押して、学校の責任によってやりとりをしている書類というものと、例えば個人の成績とか健康データといったものを個人の同意に基づき送るというものと大きく2つ種類があるのではないかと思います。校務に属するものは比較的組織起点のものが多く、学務に関するものは比較的個人起点のものが多いと思いますが、次の資料でご説明するとおり、完全にそう綺麗に分けきれないので、これらについては両方視野に入れて検討を進めていく必要があるだろうというふうに思ってございます。4、5月までに検討会で取りまとめられた報告書を教育データ利活用ロードマップにフィードバックしつつ、文部科学省ときちんと最終的な合意をした上で閣議決定につなげていきたいということでございます。
続いて資料4の方の説明に移らせていただきたいと思います。最初のページでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、組織起点のデータ連携、個人起点のデータ連携ございますが、組織起点のものは法令に基づくケースが多いかなと思います。ただ完全に全部が法令に基づいているかというと、そうではないけれども実態上、学校間でやり取りされているものもあると認識しております。一番の典型は後で整理されますが指導要録、これはもう法律上共有が義務付けられておりますといったようなものもありますし、そこまで法律上と書いてなくても組織to組織で共有するというものがございます。ただこの組織to組織でも、相手が例えば高校を卒業して次に進学する、もしくは就職するという人たちに対して卒業証明書であるとか、それから成績証明書等を送るといったように他分野の組織に送るというケースもございますし。学習者個人が学校からもらってきたデータを進学先や海外の教育機関に送りたいでありますとか、そういったデータを就職先に求められているので送りたいといったようなケースもございますので、ざっくりと見るとこういう4つの主体の間でクロスアンドパラレルのデータの流れができると、こういう組み合わせになっているのではないかと思います。もうちょっと組織起点を見ますと、先ほど言及しましたとおり、転校の時の教育機関間ということであれば、指導要録と学校教育法の施行規則、健康診断票と学校保健安全法上の規則、それから、入試の時の調査書と学校教育法上の施行規則、これらについては法令に位置付けがございます。逆に法令への位置付けはありませんが頻繁に使われているということで言えば、在学証明書とそれから災害共済給付制度の加入状況等、こういったものは法令上の根拠はございませんけれども実態的には広く使われているものでございます。もう少しパーソナルに近いところを見ますと。卒業証明、成績証明といった学修証明については就職、入試、留学等々、利用状況がございます。それから比較的身近なところで言えば、私も学校の事務局に行って通学証明書を貰って駅の定期券売り場に並んでいたことを思い出しますが、そういうものも今後、全部オンラインでできるのではないかと。実際にデジタル庁でもJR西日本と協力して通学証明のデジタル化という実証も始めております。どうせだったら地方大学とか地域の高等教育機関で地域の商店街での地域割なんていうのも本当はやったら面白いのではないかなと思いますが、それは教育の話からはみ出ますので置いといて。現状では、多くの場合に組織外には提供されてないですが組織内に蓄積されているデータということで言うと、学校の健診情報、学習履歴等々ございますが、これらはしっかりとした認証基盤があれば、本人の意思に基づき信頼できる相手には見せていいものではないかと思います。この辺は必要な機能やツールがないことによって学校内に閉じているということではないか、もしくは場合によって補足的に制度の整備も必要ではないかというものではないかと思いますが、こういったものが相当膨大な量のデータとして寝ていると。あまりここは本検討会の主たる争点ではございませんが、実はAIの時代が来ることを考えますと、ここは大変重要な課題でございます。海外のデータ屋さんが日本人が使わないデータを買いに来て、日本のデータは品質が揃っていていいね、なんて言って海外で使う、という時代が起きます。海外の事業者が、良い条件を提示して日本のデータを活用させてもらえないかと話を持ち掛けているというようなことも、すでに現に起きております。やっぱりそのフェーズの視野も含めて日本としてはどこまで考えるのだということをやらなければいけません。加えて資料にありますとおり現状の現場負担。これ郵送の受け取りって本当大変で、実際にちゃんと受け取れたか、また、保護者が引っ越しの途中で紛失するなんていうのも、私も100人のうちのその2人に入りそうですが100人も引っ越しすれば2人や3人はそういうことが確率的に起き得ます。個人起点で言えば、転職、留学、学修証明等々と。ちなみに私事で恐縮ですが、息子が入試をしておりましたけども、写真データをオンラインで入力させて写真貼り付けさせないのですね。これが一番なりすまし防止には効果があるらしく、オンラインで登録させたデータで写真添付も認めずに、その場で、現場で厳密にいる時に写真と本人の照合を相当綿密にやって、しかもそれを学生証の写真にそのまま使いますってやっているのですよね。これは明らかになりすまし防止だと思いますが、相当役に立つというようなところでも、これがデジタルって、いい例じゃないかなというふうに私は思います。要はデジタル完結しないと、どこかにアナログの部分が残ると意味がないので、本人になりすませず教育データから各種証明書の類まで、要するにこの認証基盤がちゃんと届きそうな先まで全部あるから安心してデジタル化できると、こういうことでございます。実装に向けた工程等というところに入っていまいります。次期端末更新と書かせていただきました。行政機関は、単年度主義でございますので、2029年で何をやっているかということを現時点でオフィシャルに決めることはできないことから、あくまで想定でものを書いているということでお許しをいただきますが、仮にGIGAの2期がGIGAの1期と同じサイクルで回っていくとすれば、認証基盤のようなですね、やっぱり全国隅々に、それこそ今回やる認証基盤というのは、本当に人口が少なくて過疎で苦しんでいる離島の小学校から東京のど真ん中に転校するお子さんにも、東京から福岡に転校するお子さんにも、同じ教育環境を整えるのは、これは国の義務であるというふうに考えてございますので、離島の端っこまでですね、使えるという環境を仮に2029年に作るとすれば、2028年には相当な規模での先行導入がすでに終わっていなければならず。そのためには2027年に、相当程度全く同じ仕様で、これで行くのだということを決意した現場実証が起きておらねばならず。それをやろうと思えば、技術的な実証をやっている時間は2026年しかなく。それに対する調査研究をこれから着手していこうと、こういう状況でございますので、意外と時間がないということでございます。何が言いたいかというと、大胆に新規の技術を採用していると、おそらくこのサイクルにはとても乗れないだろうということでございます。今枯れている技術ということで、かつ信頼性もあって、実績もあるということで言うと、組織認証ではGビズIDがあります。法人ベースで言うと、法人登記されていてかつ活動実績のある法人は約270万あるのですが、そのうち約60万はGビズIDを既に取得いただいています。今のところ、民間企業が行う手続き、例えば補助金の申請などの際にGビズIDを使っていただいくケースが多いですが、学校法人など一部の教育機関にもGビズIDは発行されておりますし、自治体等の行政機関でもGビズIDを広く使っていただくという方向性もデジタル庁としては検討しておりますので、GビズIDを校長印を押している世界でも使っていただくというのは一つ合理的な選択ではないかと思ってございます。それに対しまして、個人の認証ということで言いますと、マイナンバーカードによる公的個人認証が使えるのではないかと考えております。一言付言をいたします、これマイナンバーではなくて、マイナンバーカードでございます。どういうことかと言いますと、マイナンバーカードというものは銀行の口座開設時であろうが、家電量販店のID発行時であろうが、どのようなIDであっても、アクセスしてきたのは本人だということを確認して差し上げることができるサービスでございます。それをマイナンバーを用いた行政手続においても使っているとこういうことでございます。既存の学校がいかなるIDを使っていようとも、最初にマイナンバーカードと連携させるという作業をすれば、それは違うIDの間でも本人であるということをマイナンバーカードを使えば確認ができます。様々なシステムで用いられている様々なIDに対して、本人であることが確認をできる、その結果、安心してデータ連携ができるという意味での認証基盤の整備が必要ではないかというのが事務局のご提案であり個人認証については、マイナンバーカードの公的個人認証が候補として挙げられると考えております。いずれにしても、重ねて申し上げますが、マイナンバー自身を活用するというわけではございません。また、マイナンバーカードを持ってない場合どうするかということについては、代替手段の検討が求められますが、一方でマイナンバーカードを所持されない方は、デジタルでのやりとりではなく、紙でのやりとりを求められる可能性もあり、そういう場合は別にアナログで対応するといった考え方もあるかなと思われますが、この点につきましても、この検討会の中でご意見をいただけたらと思います。ちなみにマイナンバーカードでよければ、医療機関の方で相当程度読み取り機の普及等と使っている実績がございますので、学校の方にマイナンバーカードの読み取り環境を作っておいて、個人の方に使いやすくするようにするというのは、さして技術的には大きな問題はないと思いますが、逆に言うとこれくらい枯れた状態にある技術でないと、4年後全国実装というのは難しいのではないかというのが、デジタル庁の技術の観点からの見方でございます。最後に検討事項一覧を軽くご説明して説明を終わりたいと思います。真正性の担保、運用、事業者への実装支援、将来の拡張性、それぞれについて子細は省きますが、真正性の確保についてはそれぞれのデータ名称、組織起点、個人起点それぞれに誰と誰が作成者として、誰のハンコを押して、署名としてどうするかってことがございます。かなりな程度学校長のハンコをデジタルに置き換える、こういう作業になろうかというふうに思いますけれども。本人確認要素として、書類の真正性、それから本当に実在しているのではないか、それから実証例として書いてございます。これが身元確認。それから当人認証というふうに言っていますけれども。今ここで言ってきているやつが、実在している本人そのものなのですねと。ちょっと若干専門的になりますけれども、デジタルの世界で認証と言いますと、この身元確認と当人認証と2つの要素を確実に満たせるということで、国際的な標準でも、この認証手段は身元確認の手段としてどうか、当人認証としての手段としてどうかと、こういうレーティングをしますが、マイナンバーカードにつきましては、両方ともレベルの3というマックス一番高いところの認定出ております。GビズIDは正直言うとちょっと下がる部分が一部あるのですけれども。ただ学校の機関間でやるということでは、専門家から見ても十分ではないか、別に軍事情報を送ったりもらったりしているわけではないので、十分これを満たしているのではないかというふうに思います。署名方式についても色々ございますが説明を割愛させていただきます。次に運用の問題でございます。個人情報保護が中心だろうかと思いますが、ここで一つ議論を今後は深めていったらいいなというふうに思いますのは、個人起点のデータ連携についてはですね、基本的にオプトインで、通常きめ細かく本人の同意が必要な時に、技術の方が本人同意を確認できるようにうまく柔軟性の高いものを作って差し上げるということではないかと思います。組織起点の法令に基づくデータ連携は、これは法令としてきちんと定めた時点で同意の必要がなくなります。頻繁に使ってかつ学校の運用上これはもういいのではないかということにつきましては、組織起点のデータ連携で法律に法令に基づくものに積極的に寄せていくことによって学校現場の負担を下げるということも可能でございます。個人起点のデータ連携と整備すべきか組織起点のデータ連携と整備すべきか、ここはどっちにも整理できるっていうのが実はそこそこ残っておりますので、これらについても子細どのようにしていくかということは、この検討会の中でも視点として議論していったらいいと思いますし、最終的にはこういうことこそ来年度の調査研究の中で、これはやっぱりちょっと個人起点の整理に寄せた方がいいのではないかとか、これはもう法令上の規定っていうことで整備していったらいいのではないかとか、その辺は走りながら決める部分もあるのかなというふうに思います。運用でございますけれども、組織起点のところ子細は省きますけれども、それぞれの実務に少し当ててシミュレーションして、これで本当にうまく回るのかとか、この検討会で方向性を決めた上で、来年度の事業の中で調査実証して確認をするということではないかと思います。個人起点のデータ連携でも同様の作業が必要になります。その上で、まだ3年後4年後ということでございますけれども全国津々浦々まで、ないしはその手前の段階で実証にご協力いただく自治体のことを考えると、来年度以降の調査研究・実証事業の中で、ある程度ご協力いただく方が読めば分かるというマニュアルや説明資料を合わせて作っていく必要があるのではないかというか、もうそういうタイミングで物事を進めていかないと次のGIGAスクール構想のサイクルには間に合わないと、こういうことではないかと思いますので、この検討会の中で大きく方向性を決めていただいた上で、子細こういう部分を調査研究・実証事業の中で確認をすべし、ということについてご示唆を賜れると嬉しいなというふうに思います。最後の方になってまいります、事業者への実装支援でございますけれども。これ最終的には実証実装をやっていただく事業者の皆さんと、きちっと意思決定コンセンサスができていないとなりません。実際に現場ではすでに学習eポータルと今後どういう接続やビジネスモデルを作っていくかということが話題になっていることは、文部科学省の有識者会議でも議論があったことを承知をしておりますし、加えて次世代校務支援システムへのちょうど入れ替え期にもなっていまいりますので、次世代校務支援システムの中の導入の作業と、今回の作業と一体現場的にはどのように整合させていくのかといったようなことも、実務的にはアシストをしていく必要があるのであろうと、こういうふうに考えてございますので、その辺はこの検討会で示された方向性と来年度以降の調査研究・実証事業ということも組み合わせてやっていきたいと思います。将来の拡張性のところは、子細の説明を避けますけれども、Verifiable Credentialsというウォレット機能をベースとして、このデータは誰が使ってもいいとか、どうしてもいいとかって権限だけ先に分配をするといったような仕組みが今後広がってくることが想定されますので、そういったものを事前にどれだけ念頭に置いておくかとか、それから事務局で検討した時にはGビズIDやマイナンバーカードではなく、ブロックチェーン技術を使ったDIDでということも多少検討してみたのですが、とてもちょっと技術的成熟度が足らないのと、いったいいくらコストがかかるか現時点でちょっと想定のしようもないということでありましたので、これは10年後ならできるでしょうけど4年後って言われたら無理だろうってことで、そもそもご提案の選択肢から落とした経緯がございますが、ただ技術的議論としてはですねIDの部分だけでもブロックチェーン上で管理すると、ますます発番をおおらかにやってもID衝突が起きないといったようなことはできますので、こういった将来への技術に対して、こういう検討を並行して、しておくべしといったような宿題は、この検討会の中でいただくということも一案ではないかということでございます。だいぶ包括的にこの検討会の中でご議論いただきたいことをいっぺんに説明をさせていただきました。以上でございます。ありがとうございました。

藤村座長:
どうもありがとうございました。それでは続けて資料5から7について久芳様の方からお願いいたします。

久芳企画官:
引き続きまして事務局久芳でございます。よろしくお願いいたします。事前に藤村座長と打ち合わせをさせていただきました検討会の進め方についてご説明いたします。まず本日3月13日でございますけれども、統括官の村上より前提となる情報を説明させていただきましたが、こちらを踏まえてユースケースについて、ご議論をいただき、その上で3月21日その議論を踏まえた上で認証基盤の実装パターンについて、事務局の方よりGビズIDそしてマイナンバーカードによる公的個人認証という形でご提案をさせていただいておりますけれども、それで問題がないか検討をいただく想定でございます。それらを踏まえた上で、先ほどご紹介差し上げた検討事項の検討。4月14日は、検討事項の議論を行いつつ、その上で取りまとめ案の検討という流れを考えているところでございます。また、予備日で4月24日を設定しておりますので、お気づきの点どんどん出していただけたら幸いでございます。またやはりこの検討会だけでは、いわゆるリソースパーソンが足りないだろうというところがございますので、事務局の方で関係者へのヒアリングを先んじて実施しております。自治体関係者、私学関係者、高等教育関係者、事業者、幼保の関係者のところにも色々と確認をしているところでございます。後ほど内容をご紹介させていただけたらと思います。
関連した動きでございますけれども、政府内にデジタル行財政改革会議という会議体が設置されております。そのもとにデータ利活用制度・システム検討会というワーキンググループが設置されているのですが、3月4日に「教育分野におけるデータ利活用について」というテーマのもとで、有識者ヒアリング、そして意見交換が実施されました。藤村座長そして小崎座長代理もヒアリング者という形でご参画されております。本検討会の内容とかぶるところがございますので、議論の概要をご紹介差し上げたいと思います。まず、データの利活用の重要性につきましては、やはりその分析、活用により、教育現場のきめ細かな指導や行政における政策・施策改善等をより効果的に行い、教育水準の向上に寄与できるのではないか。そして、学びの充実、生徒指導上の課題への対応にも活かすことができる、また、健康管理、医療の質向上にも寄与できるのではないかと、基本的に教育データの利活用を前向きに進めていくべきであろうというようなご意見が出されていたところでございます。その上で、基盤や仕組みにつきまして、データの内容、規格の標準化、システム間の標準規格の策定等について、これまでも進めてきているところではございますけれども、引き続き取組が必要ではないか、特に学習系のデータについては検討すべき課題が多い、また、広域でのデータ連携、これはまさに認証基盤に関わるところだと思いますけれども、今後、社会的インフラとして基盤や仕組みの整備を国主導で行うことが必要ではないか、そして将来的に分野横断的なデータ連携を実現するためには、データを連携するためのIDをどうするかというところも課題となってくるのではないか、具体的な話としては、転校の際、子供たちの学習データを今の現段階では持ち運びがなかなかできない、しづらいという状況にあるので、これは先ほど全国津々浦々という話ございましたけれども、システムに対応しているか対応してないかによって不利益になる可能性というのは出てくるのではないか、子供たちに自身のデータを返していくという検討も必要ではないかというご議論があったところでございます。当然ながら教育データについてはセンシティブなデータも含まれる個人情報という性質もございます。ですので、セキュリティに万全を期すとともにアクセス権限であったりとか、そのあたりのデータのガバナンス向上も関係者を交えた精緻な議論を行っていく必要があるのではないか、先ほど村上の方よりオプトインというお話ありましたけれども、別途オプトアウトの仕組みも考えることも必要なのではないか、単元を識別する教科書見出しのオープンデータ化ができれば、様々なコンテンツのデータ活用の促進が期待できるといったご議論があったところでございます。本検討会の参考になればということで、ご紹介差し上げました。
先ほどお伝えしました関係者ヒアリングの結果報告をさせていただけたらと思います。私学関係者と幼保関係者は、ちょっと直近で実施中のところでございますので、本日の報告からは外れております。次回の時に冒頭に追加で報告させていただけたらと思います。まず国による認証基盤の整備の必要性の関係につきましては、やはり自治体単独では難しい。そして、高等教育機関でも当然喫緊の課題になっている。各機関が独自に認証基盤を構築すると標準化が阻害される。などなど、ほぼすべての関係者より、やはり政府の方でちゃんと整備をしていく必要があるのではないか、それだけでなく、関係者の連携を促進し、将来的なロードマップを示すことが必要なのではないか、というようなご意見があったところでございます。続きまして、ユースケースの関係でございます。先ほどご紹介したデータ、文書のところでございますけれども、こちらについて、自治体の関係者の方より、ほぼ網羅的であると感じたというふうに言われていたのがほとんどでございました。もちろん、デジタルというのは、使っていく中でさらなるユースケースが見つかってくるというところがございますけれども、現時点で想定され得るものに関しては、ほぼ網羅的であるというような印象を皆さん、持っていただいたというところでございます。その上で実現の優先順位のところに関しては、やはり指導要録等の組織起点のデータ連携が最優先ではないか。これは法令の位置付けもあるというところもあり、そういうところを先にやっていくべきではないか。また、個人起点のデータ連携については、すでに紙で発行されている学修証明、通学証明書などが実現の優先度が高いのではないか。一方で、学習履歴の扱いについては、データの取り扱いの検討が必要というところがありますので、優先度は低いとは決して思わないけれども、証明書等と並列に扱うのは難しいので、別途検討が必要ではないかというところが言われていたところでございます。また組織起点のデータ連携に関して個別の話で申し上げますと、これが実現すると、ヒューマンエラー防止効果を含めたデータの真正性向上が期待でき、現場においてのかなりの負担軽減につながっていくのではないかという話。また、転出入時のみ紙媒体で、郵送でやり取りとなっているのは、1人1台端末が広がり、現在様々なものがデジタル化されていている学校において、違和感を覚える先生が今後増えてくるのではないか、そういう意味ではデータでやり取りするというのは、比較的スムーズに現場では受け入れられることが予想されるのではないか、というご意見。一方で、利用者側の操作性への影響というところは、ちゃんと意識しなくてはいけないのではないか、そこさえクリアすれば過度な懸念は不要であろうというご指摘があったところでございます。また、大学証明書のように実務上学校間でやり取りされているケースにつきましては、デジタル化にあたって、現時点の業務が本当に必要なプロセスなのかどうか、というところも含めて検討すべきではないかと。いわゆる既存のプロセスの単なるデジタル化にすることは、よした方がいいというようなお話があったところでございます。いずれにしても、関係者の理解を得るための丁寧な説明が必要であるというところは、関係者一致したご意見でございました。個人起点のデータ連携についての個別の話で言うと、例えば特別支援の個別の支援計画を学校で作っておりますけれども、こういうような情報もデータで共有されていく形になっていくと、相当楽になるのではないかというお話とか。あと、高等教育において、卒業証明や成績証明のデジタル化が喫緊の課題になっていて、留学生の増加、国際化に伴ってそのニーズはどんどん高まっており、奨学金申請や就職活動についても、従来紙ベースで行われていた手続きはデジタル化されていっていることや、海外の大学と連携する際、今後紙の証明書は受け付けないといった流れも想定され得るところなので、ニーズが顕在化してから動くとなった時には、色々な方が困ってしまう状況になるのではないかというご指摘があったところでございます。また、学校で用いられる学習アプリは、基本的に卒業されたらデータは消去するという運用になっております。これは子供にとって将来、AIでの自らのデータの活用などを考えた場合に、自分のデータというものが残されていない、手元にないという状況は不利に働く可能性があるのではないか、個人のログといったデータはパーソナルデータストアなどに保存していくというところを考えるべきではないかという事業者の方のご指摘。将来的には社会教育機関との連携、福祉分野等の様々な分野との連携、NPO等との連携というのも想定されるということを考えておくべきではないかというご指摘があったところでございます。あと、実装に向けた工程のところでございますけれども、校務支援システムのクラウド化等を、現在、文部科学省の方で大きく進めておられますけれども、この時期と合わせて工程を設定していく必要があるのではないかと。それらを踏まえた上で懸念されているところとしては、先行導入の結果を受けて各自治体が検討していくということになるので、いきなり一斉導入というのはなかなか難しいのではないかと。令和12年、13年といった形で段階的な導入となる可能性が十分考えられるのではないかというお話。あと、先行導入自治体と未導入自治体の間での過渡期というのは避けられないだろうというようなご指摘があったところでございます。続きまして、個人情報の取り扱いに関してはシビアであるので、安定的な運用のためにスケジュールに余裕を持った方が良いのではないかというご指摘もあったところは、補足させていただければと思っております。続いて、真正性の担保の関係でございますけれども、こちらにつきましては、発行主体や受領者、データがなりすまし、改ざんされてないことを証明する必要というのは、デジタル化の中では当然必要であろうというところに関しては、皆さん一致されたご意見でありまして、その上でどこまで求めていくのかというところに関しては、費用と需要のバランスの検討が必要なのではないかと。証明書系については当然必要であろうと指摘される一方で、個々人の学習履歴についてどこまで求めていくのかというのは、場合によってはこれユーザビリティにも関係してくる話になりますので、調査研究の中で認識を深めていく必要があるのではないかという話があったところでございます。データ担保のための電子署名機能については当然必要であるので、そこについてはできる限り認証基盤の方で実装をお願いしたいというようなご意見が自治体関係者からあったところでございます。あと、運用の個人情報保護関係でございますけれども、国が主導して、システム導入の根拠や説明責任を明確化して、その上で進めてほしいと。保護者から各自治体、各学校に個別の問い合わせがいくというのは大きな負担となり得るというところをご指摘強くいただいたところでございます。一方で、法令に基づき組織間でやり取りしている情報については、現時点で行っているものがデータに置き換わるだけなので、特に違和感は感じないという関係者のご意見。そして個人のデータに関してのオプトインという発想であるのであれば、基本的にそれは本人が望んでいることなので、これも違和感は感じないという話があったところでございます。いずれにしても、個人情報保護の観点について、現場の判断基準を明確化することが重要であろうというところは、皆様方、口を揃えておられたというところであります。あとそれとは別の論点として、やはり高校生以下は未成年であるため契約能力がなく、本人同意だけで良いのかという懸念、そして逆のバージョンもありまして、本人と保護者の意思が齟齬を来す可能性も当然あり得る。本人は望んでいるのに保護者は望んでいない、またその逆もあるというところがあるので、そのあたりについての対応というのは、これは教育に限らない話ではあるけれども、データ利活用となった時には、デジタル社会において全体に関係する論点ではないかというところを皆様方おっしゃられていたところでございます。ただ、その際に、基本的には本人の意思が尊重されるべきであろうというところに関しては、ご意見を伺った方々の中で違いはなかったというふうに事務局としては認識しております。運用、現場負担でございますけれども、こちらについては、まずGビズIDにマイナンバーカードとともに、先ほど村上が申し上げましたとおり、現場でどのように対応が必要になるのかということをちゃんと想定して、ちゃんとマニュアルを整備していってくださいと。特にその時に、分厚い、いわゆる行政的なマニュアルではなくて、クイックマニュアル的なものにしていただきたいというお話があったというところ。その上で、現場への浸透というのは、なんだかんだ言って関係者が多いので時間がかかるということですので、令和8年度くらいから調査研究の内容を踏まえてコミュニケーションをとっていくということを徐々に徐々にやっていかなくてはいけないのではないかというご指摘。また、マイナンバーカードにつきましては、各学校に一斉に子供が持ってくるという状況はなかなか先生方難しいだろうと。でも一方で必要な時に子供が、例えば保護者と同伴でとか、もしくはご家庭の端末を通じて行うのであれば、それは想定の範囲内であろうというような形でございました。いずれにしても、そのあたりについては誤解を受けやすい話なので、丁寧な説明が求められるのではないかというというご指摘。そして、いずれにしても、マイナンバーカードの保有状況というのは、それぞれ個々人に任せられているところございますので、それに対しての対応についてはちゃんと精査が必要であろうというところのご指摘があったところでございます。あと、事業者への実装支援関係につきましては、やはり3年後の方向性が見えてないと、事業者はいきなりハンドルを切ることは難しいという話とか。一方で、実装においてはスピード感が課題であるので、事業者への支援も大切だが、強制力、インセンティブというところも検討に値するのではないかという事業者の方からのご指摘。大企業ほどの基盤を持たない事業者もEdTech事業者の中にはおられますので、ある程度の補助は必要ではないか。さらには、これは様々なところで言われているところですけれども、エンジニアのリソース不足が叫ばれているところですので、そのあたりのところもしっかりと意識しておかないといけないのではないかというご指摘があるところでございます。その他、認証基盤と直接的な関係ではございませんけれども、データの連携においては必要となってくるというところで留意することとして挙げられていたところについては、やはりデータの標準化の必要性を挙げられておられました。やはりメタデータの標準化が必要であり、どこまでの単位でまとめるのかというところの論点をちゃんとクリアしていくべきではないか。特に学習履歴を活用していく、データポータビリティをしていくという時に、一つ一つのログをとっていくといったら膨大な容量になりますので、そのあたりの標準化は必ず必要になってくると。その際には、いかに学習したかの学習履歴、そして何を学習して、どれくらいのレベルで習得したのかという学習履歴、この2軸が必要なのではないかというご指摘があったところでございます。また、それらがちゃんとなっていけば、個人がAIで自分の学習履歴を分析するといった世界観も通常になってくるだろうというようなお話があったところでございます。最後でございます。生涯を通じたデータ利活用の視点の必要性の関係ということで、やはり一生涯の使用に耐えられる認証の仕組みが求められるのではないかという話。特に卒業後のデータの取り扱いについて、どうしていくのかというところが今の議論の中では抜けている気がするというご指摘ありましたので、そのあたりのところも考えていかなくてはいけないというようなところで、留意事項として載せさせていただいております。事務局からの説明は以上でございます。

藤村座長:
ありがとうございました。それでは、これより意見交換をしたいと思います。本日は主にユースケースについて検討を行いたいと思います。ご発言のある方は、挙手機能でお知らせください。私の方で指名させていただきます。では、ご意見のある方、挙手お願いいたします。いかがでしょうか。今の説明はかなり広範なものを含んでおりますが、主にユースケースからということで、それでは仲林委員、お願いいたします。

仲林委員:
仲林でございます。非常に広範囲な説明ですね。今回聞かせていただいて、かなり頭は整理されたなという感じです。ものすごく基本的な確認なのですが、最後にヒアリングをされて、色んな方から意見が出ていたのですが、この時に説明したユースケースとおっしゃっているのは、今日配布されていた資料の中に含まれている組織起点とか個人起点とかっていう、そのレベルのユースケースという意味でよろしいですか。それとももっと具体的にこういう場合みたいなものを提示されていたのか、どういう粒度の情報を、説明されたのか確認させていただきたいですが。

藤村座長:
分かりました。それでは事務局からお願いいたします。

久芳企画官:
ご質問ありがとうございます。まずヒアリングの際に用いた資料は、本日ご説明差し上げた資料と同じ内容のものでございます。説明内容についても、同様でございます。以上でございます。

藤村座長:
ありがとうございました。詳細なところまででなく、大まかなユースケースということかと思いますが、よろしかったでしょうか。その上で何かご意見ありましたら、お願いいたします。

仲林委員:
そうするとおそらく、それぞれの立場の方によって、自分の立場に寄せて、多分色んな解釈をされているのだろうなと、そういう見方でよろしいですか。

久芳企画官:
はい、ありがとうございます。当然、ヒアリングさせていただいた方々がどのような印象を持っておられたかというところ、我々の推測でしかないですが、基本的に教育関係者からスタートいたしまして、そこでいただいた話も踏まえて、次のヒアリング者の方々にフィードバックを返しながらお話を聞いていったところでございます。できる限り、そういう意味ではイメージされていることが完全一致ではないですけれども、ある程度すり合うような形には努力したつもりでございます。

仲林委員:
はい、了解いたしました。ありがとうございます。

藤村座長:
ありがとうございました。他の皆様、いかがでしょうか。富士榮委員、お願いいたします。

富士榮委員:
はい。ご説明ありがとうございました。個別のユースケースというところに行く前になのですけれども、ご説明された資料の中で少し気になった点として、まず認証基盤というキーワードの認証という部分が多分ですね、ユースケースごとに何を指しているのかっていうところがすごく混在してしまっているように感じました。具体的に言うと、例えば組織起点でというお話だとか、バックエンドでデータを連携するというお話の文脈においては、ID、特にアイデンティファイや識別子の話を中心に議論がされていったのだろうな。もしくは、そういうふうに捉えられたのだろうなというふうには思いましたし。アイデンティティ、属性情報の集合ですね。こういうもので語られている文脈もあるように感じましたし、学習データを含む、データそのものを指しているように、捉えられるような文脈、ユースケースっていうのもあるなというふうにも捉えました。また、単純に認証というと、単純にパソコンへのログインとかサービスへのログインみたいなことを、捉えてコメントされていることもあるのではないかなというふうに思ったのですけれども。この辺の整理っていうものをした上で説明をされたのか、ある程度その辺はザクッと認証基盤という言葉でお話をしてしまって、説明先によっては皆さん、ご都合よろしいように捉えられてご回答がなされたのかっていう、そのあたりの温度感っていうのをまず知りたいなというのが1点ございますが、こちらいかがでしょうか。

藤村座長:
それでは事務局いかがでしょうか。

久芳企画官:
はい、ありがとうございます。ご質問いただいたとおりですね、やはりヒアリングで最初にご説明差し上げた時には、パソコンへのログインと若干、混乱されている方々は何名かおられた印象を持っております。そこに関しては、事務局の方から概念に関して、整理に関して丁寧にご説明を差し上げた上で、データを組織間で連携するときにどういう形でやるのかというところについてイメージを持っていただいたというふうに認識しております。一方で、主体とデータに関しての認証というところが、若干ごっちゃになっておられたままの方も多分おられたのではないかと思っております。そのあたりに関しては、ちゃんと丁寧に、例えば調査研究を進めるときには整理していかなくてはいけないなというふうに、我々としても認識しているところでございます。ありがとうございます。

藤村座長:
そこの識別はしっかりと、ということで、おそらく皆さん共通理解できたことと思います。富士榮委員、ありがとうございました。

富士榮委員:
はい、ありがとうございます。

藤村座長:
板倉委員、お願いいたします。

板倉委員:
はい、ありがとうございます。今想定されているのが、規定に基づく業務と、事実上やっている業務と。ここの部分は、ヒアリングの方でも全く反対はなかったと思いますが、(学期末や年度末という)一番忙しい時期に処理しますので、それで紙でやって封書でやってというのは、これは全くナンセンスです。削れてみんな嬉しい話ですので、ぜひ進めていただければというところであります。他方で、完全に本人の意思に掛かるものとして、証明書を出したいとか、できるのであれば、学習履歴を自分の手元に持ってきて、自分が入っている、例えば、オンライン学習のアプリに入れるとか。進学、転校をした場合に、そこが使っているオンライン学習のアプリとフォーマットが合っているなどすれば、入れて、そこの自分用のデータを賢くするといったような話で、こっちは完全に個人の同意にかかるものですので、これも適切なのではないかと思います。もちろん後半の部分、学習履歴は、オンライン学習というかですね、eスクールのお手伝いされているベンダーの皆さんのご協力がないといけないので、時間はかかるとは思いますが、ケースとしては正しいのではないかと思います。ここで重要なのは、「何が入っていないか」ですが、おそらくこれを打ち出していく途中で、こども家庭庁さんがやられている見守り等の、AI利用、それはこれには入ってないのです。あくまで、完全にバックオフィスの整理と、本人には返せるものは返すというところを進めているのであって、そちらのAI利用等は別の政策で、別途慎重にやっておりますというところは、最初から、きちんと打ち出していった方がいいのかなと思います。我々がこのケースを見れば、見守りのAI利用が入ってないというのは、前提で議論してしまっていると思いますが、非常にごっちゃになりやすいですし、所掌もごっちゃになりやすいと思いますので、言っていった方がいいかなと思いました。もう1つは冒頭、事務局の方からもありましたが、一人情シスですね。一人情シスどころか、0.5人みたいなところもたくさんあると思います。首長部局と教育委員会に合わせて、1人ですとか、もっと言うと一部事務組合でまとめて1人で、0.2人です、みたいなところもあると思います。ついついヒアリングは、立派にできているところにいくし、そういうところの話を聞きたいのですけど、そうではなくて、みんなができないと、バックオフィス連携できませんから。非常に簡単で、情シス0.1人、0.5人でもちゃんとやれるといったようなものを前提に、声も上げられないですよね。担当者がいないのだから困りますも言えませんから。そういうところを念頭に、進んでいただくというところをまず大きいところにしていただければいいと思います。とりあえず以上です。

藤村座長:
ありがとうございました。まさに今の一人情シス問題に対してはしっかり対応しないと教育の情報化で今、大きな問題がたくさん顕在化していますので、おっしゃるとおりだと思いながら拝聴しておりました。事務局から何かコメントございますか。

久芳企画官:
はい、ありがとうございます。一人情シス問題に関しては、デジタル庁として、大変な問題だと常々認識しているところでございます。先ほど先生がおっしゃられたように、声を上げられないという、我々もそういう方々にヒアリングをしなくてはいけないと思いつつ、一方でその方々にヒアリングをしても、お困りごと言語化することが難しいという状態が当然出てくるという話でございますので。ですので、そこはかなり想像力を働かせながら、そういう自治体でも無事に実装できるというところをちゃんと調査研究、そしてその後の技術実証の中で探っていかなくてはいけないと認識しております。ありがとうございます。

藤村座長:
ありがとうございました。それでは、石坂委員、お願いいたします。

石坂委員:
はい。村上統括官のお話、あるいはヒアリングの内容にも重なるところではあるのですが、ユースケースを整理して、皆さんにイメージを共有していく、あるいはスムーズに社会実装を進めていくためには、どんな情報を、どんなデータをやり取りするのかの理解を揃える必要があると思っています。いわゆる学習履歴ですとか、スタディ・ログなどと呼ばれているもの、これ皆さんでイメージがまだ揃ってないところがあって、ここの標準化、あるいは運用にも関わってきますので、ルールの整備も必要であると考えます。一般論として、他国に比べて日本って評価とか成績に横串を刺す基準が弱い特質があると思います。これまでは受験ですとか、あるいは民間だと偏差値みたいなものに頼ってきた経緯があるわけですけど、ここまでデータが色々使えるようになってきましたので、そこをちゃんと標準化というか、横串がさせる状態で、皆さんで活用することでこの基盤が生きてくるはずです。これがバラバラで、各事業者や地域がそれぞれ決めているのでは、せっかくデータが流通しても活用ができませんので、ここは国のリーダーシップで、しかも早急に先回りして、整理が必要だと思います。団体も、色んな形で協力できると思いますので、範囲ですとか粒度ですとかに注意しながら早急に進める必要があると思います。例えば例ですけど、詳細な学習記録、学習行動の記録であれば、xAPIが一番一般的なわけですけど、これプロファイルを整理しなくてはいけない。それから粒度の低いもの、色んな例が出ていましたけれども、成績証明ですとか学修証明みたいなもの。いわゆるマイクロクレデンシャルが応用範囲相当広いはずなのですけれども、オープンバッジの活用法などが考えられます。単にフォーマットの標準化だけでなくて、例えば保管義務どうする、削除するときの条件ですとか、色んなルールの検討も含めながら、議論が進むことが必要ではないかと思います。はい、私からは以上です。

藤村座長:
大変重要なご指摘かと思います。今おっしゃっていただいた、データ連携標準だけではなく、データ標準そのものも含めて、検討すべきだということは、まさにおっしゃるとおりです。本委員会のスコープとして、認証基盤と真正性の担保の部分なので、本委員会の中でそれをすべてやることは、スコープ外ですけれども、今後、その検討が絶対必要だということについては、議事録にも残して検討を進めていく必要性について、訴えかけていきたいと考えております。ありがとうございました。
それでは池田委員、お願いいたします。

池田委員:
お世話になります戸田市教育委員会の池田でございます。よろしくお願いいたします。ユースケースについて、拝見しておりましたけれども、もう少し組織と組織っていう話ですけれども、学校から、次の学校設置者に渡すのか、学校に渡すのか、みたいな色々な、今の組織間っていうところでも、色んなパターンがあるのではないかと思います。また村上統括官の方からですね、校長印であるものを、組織でやっていくという話ありましたけれども、先ほどの一人情シス問題にもちょっと関わるのですけれども。そもそも校長印でやるべきものなのかみたいな話もあると思います。DX、業務プロセスなりを変えていくというところでも、より学校設置者側でできることもあるかなと思いますし。紙でやっていたというのは、紙だからこそ分担できていたというところもありますので、そのあたり、学校側でやるべきこと、学校設置者側でやるべきこと、またそこで組織間で渡すべき情報について整理していただくのが良いのではないかなというふうに思います。例えば教科書の給付証明書などもですね。市では、学校設置者ごとというか、もう少し大きい範囲ですけれども、教科書調達していますので、わざわざ学校に発行していただかなくても良いものでありますし。また在学証明書についても同じようなことは言えるかなというふうに思いますので。そのあたりについても整理していただくということが必要かなと思います。また、ユースケース、粒度の話、先ほどから出ておりますけれども、もう少しワークフローとして整理してお示ししていただくというか、そこの整理をしないと、中身の詰まった議論にならないのではないかというふうに思います。また一番最後、示していくところでも、すでに自治体ごとで、色々な運用があると思いますので、じゃあ今の運用ではどうできるのかっていう観点も必要だと思うのですけど、今の運用からあるべき運用っていうものを示して、そこのフィット&ギャップ、今色んなデジタル庁でやっていらっしゃると思いますけれども、それと同じようなことが必要で、今の運用を変えるには何が必要かというところも丁寧に整理する必要があるのだろうなというふうに思っています。また、教育委員会の一人情シス問題は本当に大変なところでありますので、どういう体制を構築するべきか、というところまで、どういう体制があれば、このことが可能なのかというところまで、射程に入れていただくのが良いのではないかなというふうに思いますし。あとこのユースケースの前提というところの整理も必要なのかなと思います。そもそも校務系がインターネットにつながってない、次世代校務DXの中で、ありえないというところではあるのですけども、校務系がインターネットにつながってない、イントラだけで行うというのが前提で組んでいるシステム、まだまだ多分、地方にはたくさんあると思います。なので、何を改善するとこのユースケースができるのかというところの前提条件の整理が必要かなというふうに思います。長くなりましたが、以上になります。

藤村座長:
ありがとうございました。今まさに、学校現場も行政もご存知の池田委員からのご意見でしたけれども、具体的に棚卸して、より精緻にしながら、それどうするかという検討は、今後ますます必要になってくると思います。少し時間はかかると思いますけれども、それはしっかりやっていただければと思いますし、それから前提条件として、背景にあるネットワークシステムですとか、そういった部分の方向性についても、合わせて検討しないと認証基盤の話がそもそもできませんので、ぜひぜひそこは検討を今後していきたいなというふうに思っております。ありがとうございました。
それでは手を挙げていただいた順番でまいります。小﨑委員、お願いします。

小﨑座長代理:
この度は座長代理も務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。村上統括官の話のレベルというのは、皆さん頭では分かっていながら、なかなか言いにくいことにも触れながら、少し踏み込んだ整理がされていました。すぐにでもできることと、多くの人に共通のことだから考えながらスピード感を持って進めていかないといけないことについて、絞り込んで検討していく必要があるかなというふうに感じました。ユースケースの実現のところに関しましては、ヒアリングなどを拝見していると、全員に関わる共通の部分、例えば、指導要録とか、必ず作成しなければならなくて、ただそれが、業務として負荷を感じているっていうことに焦点を当てていく必要があります。いわゆる組織とか、チームが起点になっているまず組織全体で取り組んでいかないといけない大きなところについては、あるべき姿を押さえながら、ヒューマンエラーの防止とかに配慮しながら、データの利活用につなげていけばいいのではないかなと思っています。というのは、奈良県では、高校入試のデータのやりとりも、実際してみているのですけれども、先ほど統括官がおっしゃっていたみたいな、単に転校するからっていうだけでもあれだけの手続きがあるわけですが、高校入試となるとさらにものすごく複雑になりまして、教育委員会が確認したか、学校が確認したか、進路担当者で確認したか、教科の先生たちで確認したか、担任が確認したかって、とにかくせっかくパソコンに入力したものを、チェックするたびにそれぞれが全部紙に打ち出して、みんなでペンを入れてチェックして、直した上で入力して、提出して、提出を受け取った方は紙で打ち出して、チェックの工程を繰り返しています。このやりとりを考えたときに、たくさんデータがありますが、それぞれのデータには関わる人と関わらない人がいる。例えば成績をつけて、それをまとめましょうという時に、最初に入力、データを生み出した人たちの情報が粗いと、1つ見つかると、他も信用ならないということで、全体の確認に戻ってしまうことになってしまう。結局、担当している人たちの労力っていうのは、単純なデータを生み出す作業だけでなくて、ほとんどが他者の信用ならないデータの確認作業に追われて、極端なこと言ってしまったら、これだったら最初から自分が一人で一からやった方が早いよね、っていうようなルーチンに陥ってしまっている。これまでの紙の流れをデータ化することで、真正性が確保できるようになれば、ここはまず大丈夫だよねということで、一度確認が終わったものは、そのまま点検しないで信用して使えるということになる。劇的に流れが変わると思います。ヒューマンエラーを怖がっていたこととか、データが正しいのかどうかという真正性にこだわって、不安に対して膨大な時間を費やしていたことをすっきり整理できるのではないか。人が触ってないからこそ確かだよねっていう部分と、人が目で見て確認したからこれでいいよね、というデータの特性に応じた対応の違いは必要になる。データは組織的・全体的な統計のようなものもあれば、個人個人の起点となる全員が持っている情報、例えば、健康診断の結果とか、公簿ではないのだけど通知表も必ず全員用意しなければならないというか、そういうデータはたくさんあります。奈良県の場合は、通知表の様式を全ての小学校で統一してみたわけですよね。最初は、通知表は個性を出すべきだとか、これまでの学校独自のこの形に愛着があるとか先生たちはおっしゃっていましたけど、それを受け取る子供や保護者には何のこだわりもないわけです。教師の思いではなくて、公教育なのだから、まずベースとなるところは、逆に共通が良くないですか。どこの学校に通っても、学力保証は同じ観点で見ていますよ、その上でさらにアレンジなり足すものっていうことがあれば、どんどん追加してくださいと言って、統一ができました。統一してみたら、今度は味をしめて、これもなくしてもいいのではないのかっていう話になって、いろいろなことを削減することにもつながるので、いきなりまず雑多なものをなくすとか省力化するっていう方向もあるのですけど、まずはどうせやっていることなのだったら、標準化とともにまずみんなで揃えてみて、その上で、これはやはりここまでしてなくてももうやめましょうっていうことで、次のステップとして全体でやめる。どこどこがやっていて、どこどこだけがやめた、どこどこだけが削減されたというふうにならないように、ということでばらつかないことが大切ですので、組織起点のデータを絞っていったらいいのではないかと思います。あとは小さいことですが、先生たちの感覚、この前もデータの話を先生たちとしていたのですけど、やっぱり外字の問題とか、結局、教育内容とは全く関係ないところで、正しいとか間違っているとか、親とやり取りして、この字は違うよ。小﨑さんの﨑はどっちですか、﨑ですか、崎ですか、みたいなことに、ものすごい時間を割いていると。だから、そういう大きいところは、国が方針を示してほしいと。あとは余談ですが、GビズIDの名称っていうのが、この前、座長もおっしゃっていましたけど、いいのだけど、学校の先生にとっては、また、どこかから外のものを学校に持ち込んできて、それで一体何を管理したいのかという感覚になるから、そのままGビズIDでもいいのだけれども、教育データを扱うときには、通称名でEID(GビズID)という呼び名にしてます、みたいな、そういうところからも親しみをもてるようにアプローチすれば、先生たちも身近に感じて、ちゃんと活用しようと思えるのではないかなと感じました。以上です。

藤村座長:
ありがとうございます。たくさんの重要なご指摘いただいたと思います。まず、電子化によって働き方改革に資するためのあり方、そして私も同感だなと思ったのは、今回の認証基盤を考えたら、真正性の担保を考えるときに、あくまでもDXのためにやるのですよという視点が必要だと思っております。それは先ほども村上統括官、久芳企画官からも話がありましたけれども、紙のものを電子化するデジタイゼーションで終わってはいけないのだってことですね。自治体によっては、転出入の時、入学簿、退学簿っていうのを手書きで作っているところございますけれども、そんなものは自動で受信できれば記録はちゃんと生成できるわけですから、多分いらなくなるでしょうし、また現在帳票という発想で自治体は運用していますけども、データが標準化されればいいだけで、アウトプット、レイアウトはどうでもいいわけですよね。例えばそんなような発想も含めて、検討する必要があるのかなということも感じました。ですから、必ずDXの視点というのを忘れずにいたいなというふうに思っております。前回触れた名称の件ですね。GビズIDの件については、おそらく教育現場に持ち込んだ時に、ビズに引っかかる方が結構いらっしゃるのだろうなっていうことも感じていたものですから。例えばビズをパブリックに置き換えて、今後、色んな分野でこの仕組みを使うということを考えると、GパブIDですとか、教育分野もその一環ですみたいなですね。心理的抵抗感を減らすのも大事だというのも、小﨑委員のおっしゃるとおりだなというふうにも思った次第でございました。ありがとうございました。

村上統括官:
今の点一言だけ。GパブID、宿題として引き取らせていただきます。GビズIDは全体の議論があるものですから、この検討会がレポートまとめる時までにお答えできるかどうか分かりませんが、名称変更の可能性も含めて検討したいと思いますので、先にその点だけ一言。

藤村座長:
承知しておりますので。はい、ありがとうございます。
それでは和泉委員、お願いいたします。

和泉委員:
和泉でございます、大きく4点コメントございます。1つ目はDXのあり方について、2つ目は情報・データのオーナーシップについて。3つ目は情報の共有範囲について、4つ目はIDの登録を典型とするオンボーディングについて、でございます。まず1つ目、DXの方向性についてですけれども、多くの委員の方が紙からデジタルへという変革についてコメントされていますが、要するに紙あるいは台帳の情報を送受信する業務について考えられていたところ、多くの方がデータも送受信で考えられているのですけど、これデータは共有という形で考えるべきです。その際には、DXの大事な観点なのですけれど、価値は足し算で、装置は引き算で。今、異なる法人が個別に、情報システムを典型として、資産をバラバラに持っているのですけれども、これをどうやって社会的に引き算していくのか、ということを考えるべきで、その装置を維持したまま、さらに追加の装置を入れようとしていると、いつまでたっても引き算ができない、あるいは、省力化ができないということです。それぞれの法人がどういう資産を持っていて、その資産をなくす、ということを考えていかないと、いつまで経っても紙と台帳はなくならないということかと思います。そういう意味では、このDXのユースケースを考える際には、今日はどちらかというと現行の業務を皆さんで話し合った感があるのですけれども、産業革命前に、東海道や中山道の人並みの生活を議論したとしても、いつまで経っても鉄道や高速道路の議論はできません。現行の業務ではなくて、新しい運用、あるいはその運用に移行するための導入、要するに、法人ごとに持つべき資産のあり方を議論することが重要だと思います。そういう意味では、それぞれの組織ごとに持っている資産をつなぐための標準ではなくて、(要するに、標準化してシステム連携がうまくいくっていうのは、いくつかの銀行の統合の失敗というところに我々は学ぶべきで、おそらく標準化でシステムを連携するっていうのは正しくないアプローチで、)どちらかというと、どこかのサービスをみんなで共有するという、「データだけでなく、サービスの共有」という方向に持っていかないと、おそらくインターフェースの標準化だけではこの難局はうまくいかないだろうと思います。というのが、まず、DXのあり方についてです。
2つ目です。情報のオーナーシップですけれども、例えば医療の電子カルテで言うと、もちろんお医者さん、要するに組織起点の情報ではあるのですけど、これは、私個人の情報のはずで、組織起点の情報だから個人のものではありません、などと言われてしまうと、世の中大混乱するのではないかと。なので、今回は、情報が発せられる起点がどこなのか、という議論でしたけれども、そもそものオーナーは誰なのか、オーナーシップに基づいてどのように共有されるのかっていうところを考えていかないと。特に、今日は、学習のカルテについての議論だったと思うのですけども、履歴なのか、証明なのか、あるいは公文書なのか、公文書に準ずるものだったら5年で廃棄してもいいのか、のような検討が重要だと思うので、こういう情報のオーナーは誰で、どういう証明にはどういう永続性が必要なのかという、どちらかというと公文書と破棄の問題ではなくて、証明と永続性についても同時にご議論いただくのが重要ではないかと思います。
3つ目、共有の範囲でございます。今日は主に限られた法人内での共有でしたけれども、本来は、情報の持ち主が自分の意思で民間企業、あるいは海外の組織へ共有する、その際に個人の求めに応じて組織間で情報を共有するというようなこともあると思います。そういう意味では、どういう情報の共有の範囲が重要か、その際には、こども食堂であったり、指導するような民間企業であったりというようなところにも、共有することが大事なので、共有の範囲、特にその際に学習履歴だけではなくて、出席日数等々っていうある種の行動履歴に関しても共有することが求められる可能性がある、あるいはした方がいいのではないかというような議論も重要だと思うので、合わせて共有の範囲もご議論いただければと思います。
最後4つ目、IDというか、オンボーディングでございました。個人の実在性は国レベルでの認証でないと、そこはおかしいと思いますが、法人の実在性に関しては、教育委員会等々、あるいは自治体等々っていうところでですね、差し先が異なる議論があります。その際、今度は入学とか、転入、転出、あるいは民間企業のサービスを受ける、というような、サービスを受けるためのオンボーディングに関して、これは国に登録されてないとダメだなんて言うと、海外から一旦帰国した人の短期の在留許可がある人に入学させないとかいうことになりかねない。こういうことがないように、自治体、あるいは学校等々の裁量を最大にするという観点で、認証の範囲を最小にするということが重要です。そのためのインフラに関しては、車輪の再発明をしない、あるいは似て非なる資産を保有しないっていうことも大事です。これはオンボーディングに関する、個人、組織への裁量という観点で、オンボーディングのプロセスに関してもご検討いただけると良いというところで、私からのコメント、以上でございます。

藤村座長:
ありがとうございました。さすが産総研さんだなと思ってお話を聞いておりました。で、また最後のオンボーディングに関しては、認証と認可を区別するということにもつながってくるのかなと思いながらも聞いておりました。ありがとうございました。
仲林委員、富士榮委員の順番で行きたいと思います。よろしくお願いいたます。

仲林委員:
非常に皆さんから意見が出て、それぞれもっともだと思って聞いていました。非常に細かい話なのですけれども、一人情シスの話が出ていたと思うのですが、こういう自治体さんとか、あるいは公立の学校でのこういう業務って、外に外注することは許されてないのですか。というのは、今回みたいに一生懸命基盤を作って、システムを整備して、現場が使いやすくしましょうって言っているとキリがないのではないかっていう気がします。時間的な線表も限られている中で、似たような業務をやっているのだったら、例えば自治体が連携して、この業務はここの会社に外注しましょうという。民間企業的には、そういうオーバーヘッドの業務は、外部に委託しようというのは、そういう業務が得意なところに、委託するのはものすごく自然な発想で、その方が効率も上がるし、現場も楽になるのではないかなという気がしました。技術的な方だけで一生懸命考えていると、なかなかうまくいかなくて、現場がなかなか楽にならないっていうのは、どこまでいってもキリがないのではないかと話を聞いていて感じました。法律的な縛りなどがあるのだとしたら、それは色々難しいと思うのですけれども、先ほど最後のお話で出てきた、どこかに要するに集約すればいいっていうような、発想でいくのであれば、もうどこかでそうしましょうという。ビジネス的な観点からの視点も持っておかないと、話が進まなくなっちゃうような気がしました。色んなデータの標準化するのはもちろんものすごく大事で、そこの指針も示していく必要あると思うのですけども、やっぱりなかなか線が引きにくいとか、そういうところもあるでしょうし。あとやっぱり現場の負担を考えると、そこが1番、さっきの0.1人情シスとかですね。0.5人情シスとか、要するに、その専門業務に携わっている人がやると、ものすごく効率がアップするわけですよね。だけど、やはり色んな業務をちょっとずつやらなきゃいけないとなると、ものすごくやはりロスが出て、全体としてはものすごく効率が悪くなると思うので、そういう視点も持っておいた方が、議論が進みやすいのではないかなと感じました。

藤村座長:
ありがとうございます。少し補足させていただくと、それに関しては、もう十数年前に文部科学省からも通知を出していただきまして、業務委託という形等でのサービス調達は積極的に行ってくださいっていうことで、すでに出しております。おそらく色んな自治体で、そういうこともやっているものの、そこすら思いつかないという、そんな現状の話かなと思っています。

村上統括官:
村上からも一言よろしいですか。

藤村座長:
どうぞ。

村上統括官:
座長のご説明のとおり、調達外注、調達業務、調達サービスの外注は決してルールで禁止されておりませんので、積極的に活用していただければいいと思うのですが、その前段階として、調達仕様の標準化が先程ご説明した内容の関係で大切と考えております。

仲林委員:
私もそれは言おうと思っていました。要するに、外注する際にしっかり仕様を固めてですね、文部科学省の方針ですよといった形で出さないと。だからそこの仕様の検討ものすごく大事で、ここの部分を外注するのだっていうことをしっかり決めると、それは今言おうと思っていました。

藤村座長:
ありがとうございます。おっしゃるとおりでしたが、ここのミッションは、あくまでも共通認証基盤どうするかで、真正性の担保どうするかっていうのが主要ミッションで、共通の仕様をどう作って、それをどう普及を図っていくのかということかと思いますので。ありがとうございます。
富士榮委員お願いいたします。

富士榮委員:
はい、2周目で申し訳ございません。2点ございます。1つがセキュアなデータ連携っていうのを目的とするという話で、村上統括官の方からも、関係する送り元、受け手みたいな話の確からしさっていうものをどう確認するか、みたいな話もありましたけれども、主にこのデータ連携をセキュアにするっていう目的で考えると、関係するエンティティの確からしさ、データの確からしさ、または経路の確からしさみたいなことについて、どうやって担保していくのかっていう話を技術の話とルールの話、この両面でお話をしていかなきゃいけないっていうのが、一般論かと思います。特にルールの部分についてユースケースを出していただいたのですけど、ユースケースを深掘りしていく中で、少しちゃんと整備をするということを明記しておいていただくのはいいかなと思っている点がございます。いわゆるトラストフレームワークと言われて、このIDの文脈では、このルールについては語られますけど。中でもライフサイクルに関するところですね。そこについてはしっかりと明記をしておくべきだと思います。例えばGビズIDの申請のプロセスにおいて、それが学校であるかどうかっていうのを誰が担保するのかっていうお話ですとか。学校が例えば統廃合するっていうケースにおいて、IDそのものをどうやって扱うのかっていうところもルール化がおそらく必要でしょうと。また公的個人認証を使う個人を起点とした場合においても、当人が本当に児童生徒であるのかどうか、もしくはそれが本当に保護者なのか、そして保護者であり続けているのかどうか、こういうところは必要になるでしょうし、先ほど和泉委員の方からのお話にありました共有可能な相手となり得るところっていうのは、民間企業も入ってくる可能性があるぞという話であれば、共有可能な相手として、そういう企業が適切であり続けているのかどうか。オンボーディングも含めですね。それが適切だからちゃんと共有可能であるってことを誰が確認をするのか、そしてそれが適切であり続けるのかっていうところはどうするのか。この辺はですね、技術の話というよりも、ガバナンス、ルールの話だと思うので、こういうことを決めていくべきであるということについては、今回のアウトプットにうまく明記していただく形がいいのではないかなと思いました。もう1点がGビズIDに関してです。事務局資料の方にGビズIDで、組織間、組織起点の話はやって、個人の方はマイナンバーカード起点でやりましょうという話で、GビズIDはそれなりの、アシュアランスレベル、保証レベルを持っているので、大丈夫であるという話ではございましたけれども。こちらについては、リスクベースで少し考えるっていうのが、元々のGビズIDのアシュアランスレベルを定義するときに使っているNISTのガイドラインですね。こちらでの基本的な考え方になっているので、評価はしっかりすべきだと思います。具体的に言うとNISTのガイドライン、SP 800-63というものですけれども、こちらにおいては生命とか、レピュテーション、これの毀損に関するようなリスクがある場合っていうのは、レベル3というものに基本的にはマッピングされます。ただ現状のGビズIDで言いますと、GビズIDプライムってアシュアランスレベル2なのですよね。なので、ここのマッピングっていうもののギャップをどう考えるかっていう話についてですね。例えば今回の生徒児童のデータっていうものが、何かしら毀損されることによって生命の危機が発生する可能性があるものなのかどうかっていうものに応じてそれを使い分けるっていうことも含めてですね。検討しないと、今あるからGビズID、リーズナブルだよねって話について私は、異論はないのですけれども、ちゃんとリスク評価をして、レベルのマッピングをした上で、GビズIDを選定しているのだっていうことを、色んな齟齬がない状態で示していくっていうのが求められるというふうに考えています。以上となります。

藤村座長:
ありがとうございました。その辺承った上で、今後の検討につなげたいというふうに思います。ありがとうございます。
それでは石井委員、お願いいたします。

石井委員:
はい、ありがとうございます。すでにご意見が上がっているところですので、私の方から確認的な発言になりますが、個人情報保護のところで、少しコメントさせていただこうと思います。資料の4の中で、個人情報保護についていまとめていただいているスライドがありまして。16スライドですかね。組織起点であっても、個人起点であっても、法令に定められている、あるいは本人の意思に基づくと、こういうデータの、移転、連携であれば、大きく何か問題になるということはおそらくないだろうというように考えています。ただ、本人意思に基づく場合というのは、保護者との考えや意思が相違する場合があり得ると思いますので、そういう場合は、16歳などの年齢を基準に、どちらの意思を優先するのかを決めることになろうかと思います。それから、教育データの議論のところですが、GIGAスクール構想は、教育DXを進めていく上で民間事業者の協力が不可欠ということは間違いないかと思います。ただ、公教育の機関においては、公教育の教育目的を達成する範囲でしかデータを扱うべきではないという、個人情報保護とプライバシーの必要性があると考えますので、そういう意味では、学校教育を提供する側におけるガバナンス体制というのが非常に重要になってくると思います。逸脱した使い方がなされないように、教育目的という、本来の目的から逸脱した使い方がなされないようにすると。そういう観点も重要と思いました。それから板倉先生のご指摘のとおり、見守りのためのデータ連携、つまりこども家庭庁がなさっている政策とは異なるという点、切り分けはきちんとしておく必要があるだろうと私も思っております。資料の7の方ですが、関係者ヒアリングについてです。個人情報保護関係で、色々とご指摘のあるところ、重要な事柄を綺麗にまとめていただいている箇所だと思います。併せて、生涯を通じたデータ利活用の視点の必要性関係という項目もありまして、一生涯で使えるデータが残っていくということが、かえって本人の成長を阻害するという側面、つまり、一生涯使えることによる不利益というのも、場合によっては生じ得るということがあり得ると思います。どういうデータがどれぐらいの期間、どれぐらいのスパンで、どこの組織で使えるようにすることが必要であるのか、そうした考え方の整理がきちんとなされておくこと。この点も個人情報保護の観点から重要だと思っているところであります。私からは以上になります。

藤村座長:
ありがとうございました。ただいまいただきましたデータのライフサイクルとか、色んな部分もございますけれども、それに関しては、おそらくデータの標準化の議論の委員会が別途ございますので、多分そちらでメインに議論していただき、こちらからはその部分も触れながら、配慮しながら、認証基盤と、そしてデータの真正性の担保について検討していくということになるかなというふうに思っています。私も、おっしゃるとおり、生涯にわたって使うことが可能な枠組みは作るべきだけれど、各データがどう扱われるかはきちんと識別すべきだと、全く、同じように思います。実は教育分野の現状で言うと、幼児教育と初等中等教育で一回切れているのですね。一切データ連携されず、高校から上、高等教育も切れていて、さらに大学、大学院終了した後、生涯学習みたいなものと、また切れているというような状況あるものですから。おそらくそこは連携できる基盤は作るという発想をすることは大事だけれども、それぞれについてはきちんと検討するということかなと思いながら、承ってお聞きしておりました。本当に貴重なご意見、ありがとうございました。私も今まで色々、ご意見、拝聴しておりまして、全く同感な思いで聞いておりました。また私自身勉強になることもたくさんございました。また私も今この中であまり意見出てこなかったところで言うと、高等教育の件についてですね。大学にいると、在学証明書とか成績証明書、留学生が持ってくるもの、ほぼ偽物っていう現状で、また海外に留学生を送り出す時にも、今は電子化しないと受け取ってもらえないっていうことも、非常にあります。やはりその辺は喫緊の課題だということも、ユースケースとしては感じていた次第でございます。先ほどありましたようにその他皆さんの方で追加していただいたユースケース等も、今後また詳しく検討させていただければと考えている次第です。
他にユースケースに関してご意見ある方いらっしゃいませんでしょうか。

板倉委員:
はい、板倉です。先ほどの石井先生のご指摘は重要でありまして。親がどう考えるかというのもありますし、学習履歴を生で見るのか、AIにただ入れて自分が勉強するのに使うのかといったようなところもありますし。また、いわゆる、調査書ですね。こちらが任意で提供されるというのは、それはもともと想定していません。これと同じような話として、ちょっとぎょっとするかもしれませんが、刑務所の医療の記録について本人に開示してよいかという論点があります。最高裁まで争われ、これは医療の記録なので出していいよということにはなりましたが(最判 令和3年6月15日民集第75巻7号3064頁)、もともとそれは前科について自分で開示して持ってこいという実務を防ぐためにあるわけでありまして(最判は「刑事裁判等関係事項に係る個人情報には個人の前科,収容歴等の情報が含まれており,これが開示請求の対象となると,就職の際に開示請求の結果を提出させるなどの方法で第三者による前科等の審査に用いられ,本人の社会復帰を妨げるなどの弊害が生ずるおそれがあるため,これを防止するという趣旨に基づくものであったと解される」としています)、同じように、自分で出せるようになると、調査書を持ってきなさいというようなところが出ることがあり得ます。これは、もともと学校の先生は想定していません。高校に出す時だけのものですよという前提で作成されているわけです。このように、どこまで本人に開示するかは、個別に検討しなければなりません。また、標準化がちゃんとされてデータが軽くなるのであれば、親との関係はありますが、とりあえずは、成人するまでは保存しておいてあげるということも考えられます。親が消してしまったらどうするのかというアンケートの結果もありましたが、そんなような視点も必要かなと思います。それぞれのデータについてどういう目的であればどれぐらい保存するのか、誰がコントロールすべきなのかというのも含めて、今後検討していく各論かなと思いました。以上です。ありがとうございます。

藤村座長:
ありがとうございました。今おっしゃっていただいた点、それを正面から取り扱っておりますような協議体もあり、文部科学省の中に設置されております教育データの利活用に関する有識者会議で、そのような議論も、現在進行しているところでございます。また、データの標準化等については、別の協議会がございますので、そこの成果も踏まえながら、認証基盤と真正性の担保のあり方について委員会で検討をしていきたいと思ってお聞きしておりました。ありがとうございました。たくさんのご意見ありがとうございました。
では、次回の日程等につきまして、事務局より説明お願いいたします。

久芳企画官:
はい、ありがとうございました。次回の日程でございますけれども、冒頭、ご説明差し上げましたとおり、3月21日の金曜日、15時から17時の2時間で確保させていただいております。実施形態は今回と同じくオンラインでございます。本日、ユースケースにつきまして、後半にご議論、そしてご助言賜りましたので、次回につきましては、実際に実装パターン、事務局の方より候補案を提出させていただいておりますけれども、そちらについてご議論をいただくとともに、またその話を踏まえまして、実際の論点、真正性の確保であったりとか、現場運用であったりとか、そのあたりのところについての議論の深掘りをお願いできたらと思っております。事務局から以上でございます。

藤村座長:
ありがとうございました。本日、意見漏れ等があった場合など、後ほど事務局までメール等でお知らせいただけましたら、ぜひ議事録の方にも反映させていただきたいと考えております。最後に1点、先ほどのユースケースの議論の中で除外するスコープの部分で、石井委員の方から、こども家庭庁マターの話が出ていました。それがどんなものか、共通理解がまだこの中でできてないと思いますので、こども家庭庁マターのデータとしてどのようなものがあるのかということちょっと補足説明していただいて、この会を閉じたいなというふうに思います。

久芳企画官:
こども家庭庁で進められておられる実証事業につきましては、こども家庭庁発足前は、まさにデジタル庁の旧こども班が担当しておりましたので、大枠に関しては我々の方でご説明できるかと思います。

藤村座長:
お願いいたします。

久芳企画官:
こども家庭庁の方で進められている、通称こどもデータ連携という、よく現場では言われておりますけれども、こちらの実証事業に関しましては、主に自治体の中で、教育に限らず福祉であったりとか、保護者の情報であったりとか、機微な情報についてデータを突合することによって、潜在的に支援が必要な子供や家庭を早期に把握し、プッシュ型・アウトリーチ型の支援につなげるというものでございます。当然これにつきましては、個人情報の保護の関係であったりとか、実際にその予測が正しいのかであったりとか、様々な機微なところがあるというところで、こども家庭庁の方でかなり丁寧に進めていただいておられるというような状況と認識しております。以上でございます。

藤村座長:
補足ありがとうございます。ですから、そこの部分は今回のスコープからは外すということで、共通理解していただければということですね。私もその部分については、ガバメントクラウドの就学援助システムの座長をしている関係で、大変配慮しながらやっているという記憶がございます。では、本当に積極的なご議論ありがとうございました。言い足りない部分も、多々あるかと思いますので、ぜひメールで事務局の方へご連絡ください。それではこれで第1回の検討会、少し時間が早いのですけれども、閉じさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。