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国際データガバナンスアドバイザリー委員会(第2回)

国内外の一体的なデータ経済圏(エコシステム)の実現に向け、OECDの下で立ち上がったIAP(Institutional Arrangement for Partnership)と、その他の国際枠組みにおけるDFFT(Data Free Flow with Trust)の具体化に向けた取組、ならびに日本におけるデータ戦略とデータガバナンスに関する取組の連携を目指し、国際的なデータ流通・利活用に係る官民協力の強化を図ることを目的とした委員会を開催します。

概要

  • 日時:2024年8月27日(火)8時から9時まで
  • 場所:デジタル庁 庁議室
  • 出席者
    • 会長:河野太郎デジタル大臣
    • 委員:稲谷委員、遠藤委員、大橋委員、佐藤委員、辻委員、南部委員、半沢委員、深澤委員、三部委員、山本委員(※50音順)
  • 事務局
    • デジタル庁 国民向けサービスグループ 国際戦略
    • 経済産業省 商務情報政策局 国際室
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 冒頭発言
      2. 新任委員ご挨拶
      3. 自由討議
      4. 閉会の挨拶
    3. 閉会

資料

議事要旨

1. 冒頭発言

河野デジタル大臣

  • デジタル化の進展やAI・量子コンピュータ等の先端技術の普及に伴い、データの共有や連携がますます重要になり、多くの国・地域において、データ関連法令の整備・対応が進む中、諸外国のデータ・ローカライゼーション等の政策が変更されるリスクやデータセキュリティ等への対応のため、我が国としてもデータガバナンスに関して重層的な対応が求められている。
  • 我が国は、国際的なデータガバナンスを確立するためにDFFT(Data Free Flow with Trust)を主導してきた。その成果として、昨年末、OECDの下で正式にIAPが発足し、国際的な議論が活発に行われている。
  • 前回(第1回)の委員会では、特にインドやASEANをはじめとするグローバルサウス諸国に対するデータの越境移転に関する課題等について、ご意見をいただいた。政府としても、ASEANとの連携に向けた取組を模索している。
  • 我が国としては、IAPの枠組を通じて、ASEANで進められているデータに関する規制の透明性向上のための国際的な各国のデータ法令等のデータベースの構築等のプロジェクトに注力し、OECDやIAPとの連携を強化していきたい。
  • データガバナンスに関する戦略的な環境づくりは、国内の取組と表裏一体であることから、データガバナンス・ガイドラインを取りまとめ、後日ポータルサイトで公表予定である。

2. 自由討議

DFFTの実現に向けた取組について

  • IAP等での取組を通じて、日本主導の国際的なルールの策定は、非常に重要かつ意義ある取組であるため、今後も積極的に推進していただきたい。
  • 本来は、データの越境移転の際にDFFTが担保され、世界中のデータが国境を越えても束ねられることが、企業としても理想的だが経済安全保障の壁は非常に高いため、バランスを踏まえた施策が必要である。
  • DFFTを実効性の高い取組としていくためには、DFFTの概念とプレーヤーをセットで考え、働きかけていくことが効果的である。
  • 製造分野において、AIの重要性が高まりビッグテック企業が膨大なデータを基に、AI開発を進めている。企業が業界で生き残っていくためには、クラウド、データ分野にも注力していく必要がある。
  • 既存のデータや製品・サービスからさらに新たなデータが生じた場合の取り扱いについては、グローバルな競争の公平性にも影響する可能性があるため、今後議論を行い、問題提起をしていく必要があると感じた。

アジア等との連携について

  • 日本企業にとって重要なアジアやグローバルサウスとの連携に向けて検討を進めていただいていることに、感謝する。企業側も、政府の取組を支えていきたい。
  • 規制の少ない東南アジアは、日本企業にとっての重要なビジネス拠点であり、日本政府とASEANを含めた他の国・地域との間で連携等に向けた検討は有り難く日本企業にとってもメリットがある。また、アジアとの良好な関係構築の成果は、規制強化の動きのある中東やアフリカ等の他の地域との連携実現に向けた一里塚になると考えている。
  • 東南アジア諸国との間で、規制の透明性の向上やプライバシーへの対応、データセキュリティ等について、多面的な検討をいただき、御礼申し上げる。現地での調整や運用も含めて企業側の負担が非常に重いため、今後データ流通環境の整備が進み、国際間のデータ連携に伴う企業負担が軽減することで、データ連携が活発化することを強く期待する。
  • アジアとの連携は、現在主流になりつつある欧州的な価値観や方法に依存しないデータガバナンスの在り方を確立する上で、非常に重要である。IAPの場においても理念だけでなく、データガバナンスに関する機密情報のコントロール、サイバーセキュリティといった課題の具体的な解決方法を国際的に共有することが期待される。

データガバナンス・ガイドラインについて

  • 経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」など、関連するガイドライン間の重複を排除し、最小限の内容としてほしい。
  • 各社がステートメントなどでデータ活用の方針を提示することも効果的である。
  • ESG評価機関と連携するなど、何らかの具体的なインセンティブがあれば、日本全国でガイドラインの普及・活用が進むのではないか。特に中小企業については、具体的なインセンティブを明確にすることが重要である。
  • データ連携を促進するために、データを保有する主体に対してのインセンティブ供与、価値の還元等の点についても、検討を進めてほしい。
  • ガイドラインを通じて、データガバナンス環境を整備することは非常に重要。今後のプロセスにも適切に参画したい。ガイドラインの作成・周知により、データガバナンスへの理解が醸成され、各社のデータ管理水準の向上、企業間のデータ共有の促進にもつながるものと期待する。
  • ガイドラインの策定・活用を通じて、海外の各国当局から、我が国及び我が国企業のデータ管理の取扱に対する信頼を得ることで、データの流通・保存に関する各国規制の緩和の契機になる可能性もある。
  • 自社でも、ガイドラインを策定して運用を始めたため、本ガイドラインを参考にしたい。データ連携先やプラットフォーマと契約を行う場合の注意点についても、触れていただけると、具体的な活用が進むのではないか。
  • ガイドラインの内容に関して、利益や不正への対応費用等も含めた企業活動に関する費用全体をコントロールし、企業活動を最適化する観点から、データガバナンスの在り方を示すことも考えられるのではないか。
  • データガバナンスにおける組織の構築においては、環境の変化や問題の発生等によってアジャイルに組織を変化させることができるか、という点も重要になる。
  • データ流通・活用の進展により、ビジネス上の変化だけでなく、法執行や人権保障の領域での変化も起こり得るため、そのような世界観の変化という観点を盛り込んでも良い。
  • ガイドライン上で、法執行の変化も含めた社会の近未来ビジョンをより明確に示していただけるとよい。これまでの、ボトムアップでの課題整理も有意義だが、今後は、企業経営層の目線合わせのためにも、今後目指す社会や産業構造の在り方に関するビジョンをトップダウンで示すことが、効果的ではないか。

データガバナンスについて

  • 多国間でグローバルなデータの標準化を実現するためには、多角的な観点から、データガバナンスを考えることが重要。また、データガバナンスと最終的なソリューションの品質との間に齟齬がないような関係を実現することも重要である。
  • 民間企業間でのデータの標準化やデータ流通を促進する契機として、政府の持つ情報のデータ品質の確保や、政府によるデータ流通の仕組みの整備が重要。企業としても、専門領域でのデータ標準化のほか、サプライチェーンの可視化や効率化による業界の変革を主導したい。
  • データの標準化や連携について、個社の取組は個別最適に陥りがちであるため、共通化する領域や個別で対応すべき領域を明確にするなど、全体最適のための全体像やルール等を示していただけると日本の生産性や競争力の向上にもつながるのではないか。
  • データの共有・連携によって、飛躍的な業務の効率化が実現されるため、生産性の向上を実現するためには、データポータビリティに関するルールを、日本が策定し、海外に展開することが重要である。
  • 人材も非常に重要で、異業種出身者や日本だけでは人材が足りず、世界中から集めてくる必要があり、ダイバーシティも重要となってくる。
  • AIの重要性が高まるとともに世界中のデータを収集する能力が重要となる。特定地域内でシェアを持つビッグテック企業のみが有利となってしまわないようにDFFTが進むことが望ましい。
  • 日本の競争力を維持するために、産業別に守るべきセンシティブデータの検討が必要。ルールが策定された後では間に合わないため、ルールが具体化される前の段階での検討が急務である。
  • センシティブデータを保存する場所としてのデータセンターについて、エネルギー問題への対応方針、データの守り方等の観点からの検討も必要である。データセンター戦略を所管する機関は経済産業省なのか。
  • データセンターについては経済産業省の所管事項であるが、デジタル庁も連携しながら、日本政府として、ハードウェア面とソフトウェア面の双方で体系的な取組を進めていきたい。(事務局)
  • CBPR(Cross Border Privacy Rules:APEC越境プライバシールール)について、日本ではまだ数社しか活用していない。さらに普及させるためには、企業にとってさらに使いやすい形にしていく必要があるが、その実現に向けて、日本がリーダーシップを発揮することが強く期待される。

3. 閉会の挨拶

浅沼デジタル監

  • データガバナンス・ガイドライン(案)でも示されているCDO(Chief Digital Officer)について、外部からCDOを雇用すると、その企業の文化に適したデータガバナンスを実現するのは難しい面があるため、ロールモデルを今後さらに深掘りする必要があると考えている。
  • また、今後、ガバメント・クラウドや生成AIの調達等の場面を含めて、ガイドラインの具体的な活用・展開についても、ぜひ検討していきたい。

河野デジタル大臣

  • 日本企業にとって、国内外で作られるデータの安全性、データへの確実なアクセス、データのセキュリティ等を確保することが、経済成長や経済安全保障の実現に向けて、我が国がやらなければいけない最優先課題の1つであると考えている。
  • 米国、欧州、中国等がそれぞれデータ戦略を策定する中で、それを分析した上で、日本としてのデータ戦略を着実に作っていくとともに、国際的なデータガバナンスも推進する、という両方の取組を進めていく必要があり、これがDFFTを主導する意義であると考えている。日本がグローバルな競争のプレーヤーとして存在し続けるためにも、これは非常に重要な課題であると認識している。
  • データの越境移転に関する様々な課題は、複雑で多岐にわたっており、一朝一夕ですべてを解決することは難しいが、今後も、官民を挙げて取組を継続することがきわめて重要であると改めて感じた。
  • 本委員会は、今後も、各業界を代表する委員の皆様のご意見を伺いながら、進めてまいりたい。今後とも引き続きのご支援ご協力を、謹んでお願い申し上げたい。

以上