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地方公共団体情報システムにおける文字の標準化に関する有識者会議(第2回)

概要

  • 日時:令和7年(2025年)3月24日(月)15時00分から17時00分まで
  • 場所:砂防会館およびオンライン会議
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議題
      1. 各ワーキングチームからの報告事項等について
      2. 文字要件及び文字同定に係る各自治体の状況把握調査について
      3. 意見交換
    3. 閉会

資料

関連政策

議事概要

日時

  • 令和7年(2025年)3月24日(月)15時00分から17時00分

場所

  • 砂防会館/オンライン

出席者

※敬称略

座長

  • 庄司昌彦(武蔵大学社会学部 教授)

構成員

  • 小幡純子(日本大学大学院法務研究科 教授)
  • 後藤省二(株式会社地域情報化研究所 代表取締役社長)
  • 笹原宏之(早稲田大学社会科学総合学術院 教授)
  • 白戸謙一(三鷹市健康福祉部健康推進課 課長)
  • 原田智(京都産業大学 シニアディレクター(DX推進担当))
  • 正木祐輔(神戸市 デジタル監)
  • 犬丸淳(総務省自治行政局住民制度課 課長)
  • 名越一郎(総務省自治行政局住民制度課デジタル基盤推進室 室長)※欠席
  • 櫻庭倫 (法務省民事局民事第一課 課長)※欠席
  • 国分貴之 (法務省民事局民事第一課 参事官)
  • 簑原哲弘 (デジタル庁デジタル社会共通機能Gデータ標準化・品質向上支援担当 参事官)

準構成員

  • 鎌仲正大(株式会社アイネス)
  • 谷沢沙耶香(日本電気株式会社)
  • 青木弘明(株式会社日立システムズ)
  • 大村周久(富士通Japan株式会社)
  • 川口真人(富士フイルムシステムサービス株式会社)
  • 早瀬悠樹(株式会社両備システムズ)
  • 吉田匡一(株式会社両毛システムズ)

議題

  1. 各ワーキングチームからの報告事項等について
  2. 文字要件及び文字同定に係る各自治体の状況把握調査について
  3. 意見交換

配布資料

  • 資料1 各ワーキングチームからの報告事項
  • 資料2 文字要件及び文字同定に係る各自治体の状況把握調査
  • 資料3 地方公共団体情報システムにおける文字の標準化に関する有識者会議開催要綱
  • 資料4 広報ワーキングチーム、専門ワーキングチーム及び文字同定ワーキングチームの設置・運営
  • 別紙 広報資材案
  • 構成員提出資料 神戸市の文字同定の状況と住民課意見

議事

  • 第2回目となる本会では、報告事項として、各ワーキングチームからの報告事項の説明が事務局及び構成員よりあった。
  • 事務局より「文字要件及び文字同定に係る各自治体の状況把握調査」に関する説明があった。また構成員より「神戸市の文字同定の状況と住民課意見」に関する説明があった。

質疑

構成員: 今回は構成員提供資料でも「藤」という字の例等具体的な情報を提示いただき非常に分かりやすかった。

登記データに関して説明があったが、資料2自治体の状況把握調査でわかることは、自治体が住民記録システムにおける事務等をいかに効率化できるかという視点で文字の同定をしていくかという趣旨かと思う。登記は国の所掌事務であるが、税務分野で使用される氏名・(法人等の)名称の文字はどのように扱われているのか気になった。税金は、国税や住民税があり、自治体の事務効率化では地方税も関係するため、税に関する文字の扱いがどう整理されるのかお聞きしたい。

自分の氏名の文字が変わる対象の住民にとっては、どのように変わるのかという点は非常に関心のある問題である。氏名の文字が変わることへの反発も当然あると思われる。重要なのは、戸籍上の氏名の文字は変更されないということである。文字の標準化では、多少デザイン的に特殊な文字であり、それに対して本人に思い入れがあっても、行政事務の効率化のためには、より処理しやすい形に同定していくことになる。「戸籍の文字は変わらない。しかし行政事務標準文字を使うのは行政事務の効率化のためである」と、国民に広報することが重要である。よって「あなたの本当の氏名の文字は変わらない」という点をきちんと国民に伝えられればそれで十分であると感じている。また、「戸籍の文字は変わらない」という点も改めて確認したい。

事務局: 1点目の質問について、税務分野については専門ワーキンググループで議論があり、資料1の11ページに記載しているが、固定資産税や法人税等も含め税務は自治体に影響があるため、自治体と調整の上検討してほしいという意見をいただいた。また国税への影響については別途検討を進めて参りたい。

2点目の質問について、広報ワーキングチームの委員からも意見が寄せられており、資料4ページ記載の意見取りまとめの3点目において「戸籍については変更がないというメッセージを明確に伝えてほしい」との意見があった。このため、別紙広報資材案のリーフレットにもその旨を反映している。

構成員: 戸籍の附票の部分についても変更がないという理解でよいか。

事務局: 戸籍及び戸籍の附票システムについては、変更はない。

構成員: 国税と地方税の話に関連して伺いたい。資料2の調査3ページに「文字の管理方法」として、住民基本台帳、国民年金、選挙、国保、児童手当、就学、戸籍及び印鑑等の業務が挙げられている。住民税が個別に書かれていないが、これはどこかに含まれているのか。

事務局: 地方税、具体的には住民税や固定資産税等については、別紙広報資材案リーフレットの裏面、最下段に対象となる業務システムの一覧として記載している。今回の自治体システム標準化の対象としては、住民税や固定資産税等の事務が含まれると記載している。

ご質問の趣旨としては、地方税においては文字規格が統一されるが、国税庁所管の国税や、国民年金・厚生年金等、国の業務ではどうなるのかという点かと理解している。今回の文字規格統一は「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に基づくものであり、まずは自治体システム標準化の中で文字規格を統一していくことを対象としている。

一方で、国税や厚生年金等、国の所掌事務は現時点で明確な方針が出されていない状況である。

したがって、現状では自治体システム標準化の中で文字規格の統一を進めているということである。

構成員: 先ほどの登記の話で「固定資産税が関係する」という話があったが、今回の取組は、国の事務までは含まれておらず、あくまで自治体が所掌する事務の範囲での対応を進めていると理解した。

構成員: 自治体での文字の取扱いが定まってくると、国からの通知等で自治体とは異なる文字が使われている場合に住民から疑問が発せられる可能性があり、この点は非常に重要なテーマだと感じた。

「戸籍の文字は当面の間変わらない」という部分における「当面の間」という表現について、「経過措置がある」という意味であると理解した。行政としては「当面の間」と表記することが正確かもしれないが、当面の間というのは相当長い期間である可能性が高い。「当面の間」を「しばらくは変わらない」というニュアンスを強めてもよいのではないかと感じた。

構成員: 広報ワーキングの説明において「自治体職員にも分かりやすいように」との指摘があり、これは非常に重要な観点である。私自身、住民基本台帳の担当部署に在籍していた経験があり、現場の視点からも良く理解できる。かつては自治体職員には一部署で20年、30年経験したベテラン職員が多く在籍していたが、現在は短期間での人事異動もあり特定の事務だけに従事することが難しく、ひとつの課に長期在籍できる職員は減少傾向にある。そのため、特定の職員の知識に依存する形でのノウハウ維持や継承が難しくなっており、新規配属職員向けの分かりやすい資料が一層重要になっている。

構成員提供資料3ページにおける「住民課の考え方」について、私自身の経験からも非常に的を射た内容だと感じた。戸籍の電算化と住民基本台帳の電算化は必ずしも連動せず、異なる時期に別々に行われてきた経緯がある。また、本籍地と居住地が異なる住民も多数存在するため、戸籍と住基の両者の連携が十分に図られてこなかった実情もあり、必ずしも両者が同一の水準になっていないことは改めて注目すべきである。

さらに、戸籍の電算化以前の昭和30年代頃には、手書きの戸籍を活字にするため、和文タイプライターが広く使われた時代もある。その過程で文字が置き換えられる事例もあったため、古い手書きの戸籍に遡ると、実は現在使われている文字と完全に一致しない可能性もある。

このように過去の文字の「揺らぎ」は、今後コンピューターによる照合が進むことでより顕在化してくる可能性がある。その点は今後の対応の中でも十分に考慮されるべきと考えている。

また資料2状況把握調査について、5ページには「住民記録システムにおける外字の平均数」が示されている。これを見ると、「政令市」は多く、「町村」は少ない傾向がわかる。居住地や本籍地として登録している住民の数も大きく異なるため、「全国平均:2,207字」という数値がどのような意味を持つのかについても考える必要がある。また8ページでは、都道府県別に「文字の同定作業完了済率」がマッピングされていて、0%の都道府県が多く見られる一方で、40%等高い完了率の都道府県もある。こうした地域差が単なるばらつきではない可能性もあるので、どのような意味を持っているのか掘り下げて整理する価値があると感じた。特に9ページの「文字の同定に関するベンダとの調整済率」を見ても、地域毎に対応状況がかなり異なっており、起因している要因を掘り下げる意味があるのかも含めて確認していきたい。

構成員: 調査結果のばらつきについて、都道府県によって大差があるのは、ベンダ側の対応の違いによる部分もあるのではないかと個人的に思っているが、事務局側で何か分析や考察があれば伺いたい。

事務局: 1点目の自治体職員向け資料については、職員の人事異動等によるノウハウ継承が困難であることを踏まえ理解度に応じて作成する等留意しながら進めていきたい。

2点目の構成員提供資料3ページ目の提案については、案1は、これまでの検討会・有識者会議で進めてきた議論に立ち戻ってしまうことになるから、案2という方向かと考えているが、この点は専門ワーキングチームでも継続検討事項として資料1に記載しているとおり、今後関係省庁とも連携して戸籍と住民票の写しの字体が異なることによる本人や関係各省への影響の精査等を進めていきたい。

3点目の調査結果については、複数の自治体にヒアリングしたところ、どこまでを調整済みと見なして回答したかの基準が異なっており、都道府県によって調査結果に差異が生じた一つの要因となっていた。今回、都道府県別に調査分析した結果のフィードバックの仕方は現在検討しているところである。

事務局: 構成員提供資料3ページ目の「藤」という文字に関する意見について説明すると、広報に関してヒアリングをした自治体からも大きな影響がある問題と捉えられている。

藤の字をすべて外字として扱うことになると、そもそも母数となる戸籍で使用されている文字が約70万文字あるため、かなりの数の外字を増やすという方針に寄っていくことになる。それでは行政事務標準文字で統一していくという方向性との整合性が取れなくなるおそれがある。また、「この字が認められるなら、あの字も認められるのではないか」という議論の拡大につながる可能性があり非常に悩ましい問題である。

一方で、構成員提供資料にあるように「これまで戸籍上は区別して取り扱ってきたのだから、それなりの対応を取らなければ住民との間でトラブルが生じかねない」という自治体現場の実態に即した意見も貴重である。戸籍における「藤」という字の取扱いや件数について、自治体での実態を明らかにしなければ解決の糸口が見えてこない。単に「デザインが同じだから同定できる、できない」という議論だけでは解消できない。自治体から上がってくる意見をふまえ、今後の方針を法務省とは調整して参りたい。

構成員: 広報については「行政事務や手続において文字を標準化していく」という方針をPRすることも確かに大事である。しかし、国民は行政事務の世界だけで生活しているわけではなく、一般の社会生活の中で、例えば、金融機関を始めとした様々な民間の手続においても氏名が用いられる場面は多々ある。

「行政事務と民間で名前の取扱いが異なっていても構わないのか」という問いに対して、私は「一致している方が健全ではないか」と考えている。国民の氏名に用いられる文字を情報処理システムやインターネットでやり取りする時代でどのように考えていくべきかは、どこかで議論を拡大させていくことも考えなければならないだろう。

資料2状況把握調査について、各自治体での回答時に認識や見解の違いがあった可能性があるという点は、まさにその通りであろうと思われる。まずそのような違いが生まれるという実態を知るための資料として、これを取りまとめた意義がある。ただ、認識が違ったままの調査結果で良いかは別の問題であり、やはり「回答基準を統一した上で回答が整理されること」が望ましいのではないか。今後の検討の中で整理してもらいたい。

構成員提供資料について、案1の考え方は、きちんとした基準、法律に基づく考え方としては、当然のことであると考える。一方、案2は、ルールは明確にすべきであるというご提案もその通りだと考える。

事務局: 民間の取扱事務との関係について、行政事務標準文字が自治体に採用されていくことで、民間の範囲に波及することをどのように政策として進めていくのかは問題である。第1回有識者会議でも議論があったが、そもそも長期的に統一する文字規格が「行政事務標準文字でよいのか」という議論がある。スマートフォン等のように、コンピューターや様々な分野で一元的な事務処理が可能になるには、行政事務標準文字ではまだ多すぎるためもっと文字数を減らすべきではないか、というご指摘もあった。行政事務標準文字は、現時点では1つの文字規格統一における大きな山であると捉えているが、この山をしっかりと登った上で、他分野や長期的な文字規格統一についてはどのように整理していくかは課題である。その際には、民間取扱事務の実態、ユーザーにとっての利便性を十分に考慮する必要があることは課題として認識している。

事務局: 今の説明のうち、特に「民間との関係」について補足する。

例えば、学齢簿は現在、標準化対象の20業務に含まれているが、関連する学校現場の学務情報システムは含まれていない。ニーズとしては「使いたい」という声もあるが、使う環境が十分に整っているかというと、今の行政事務標準文字をそのまま民間等の行政外部で使用できるようにするには、難しい技術的な課題が多く残っていると認識している。ただ、行政事務標準文字の国際標準化を議論していく中で、仮に環境が整っていくのであれば、民間へ拡大する可能性は排除すべきではないとも考えている。

一方で、文字情報基盤で整備された文字は、既にISOにより国際標準化され、国民が自由にダウンロードできる状況になっているが、現状では約6万文字の入力方法の利用環境が整備されているとは言えず、「文字を国民に配布しただけでは利用されない」という実態もある。

最近ではChromeOSにIPAmj明朝フォントが標準搭載されるようになったこともニュースになったが、国際標準化として必要なリソースをしっかりと世の中に出していけば、利用環境が徐々に整う面もあるので、そういったニーズも見ながら総合的に考えていく必要はあるかと思う。

スマートフォン等のコンピューターで行政事務標準文字を扱うこと自体は技術的には可能だが、ただ扱えるようにしただけでは混乱も生じかねないので、引き続き議論をお願いできれば大変ありがたい。

構成員: 今説明頂いた内容は「行政内部だけでなく民間への展開」や「民間でどう使っていくのか」、また「国際標準化に向けての課題」等、現在行っている議論を経た先にある、いわゆる上級編の議論には盛り込まれていく必要があるのかと感じた。

構成員: 具体例として挙げられた「藤」という字は、日本の名字の中で「田」に次いで使われている人口の多い文字であった。字画も多く、字体の揺れに関する意見は様々に出てくると思われる。

また、数年前にある自治体が住基または戸籍を電子化した際に、「ソ」型と「八(ハ)」型の「藤」を誤って「八」型の文字に統一してしまい、対応に追われたという事案が報道された。このようなこともある「藤」という文字は、今後も慎重な取扱いが必要な文字の一つである。

構成員提供資料では非常に丁寧に処理されていて、「藤」の字に関しては、草冠が離れているか、月の中の部分が斜めの舟月かどうか、そしてソ・八の部分がどのようであるか、この3点が識別のポイントになるとされている。これについては、戸籍統一文字等を見ると、この3点の組み合わせがすべて認められているわけではないことが分かる。

今回、構成員提供資料で示された市の資料では、戸籍統一文字や行政事務標準文字にはない、舟月ではなく普通の月のようになっていて八のように開いている文字も戸籍で電算化されていることを明らかにしている。これは今後の考え方の1つのポイントだと思う。こうした既に戸籍で電算化されているものの戸籍統一文字や行政事務標準文字にはない文字の取扱いについては、今後議論していかなければならないところである。

つまり、国が「戸籍の文字は変わらない」と説明する一方で、実際には特別な字体・字形で戸籍登録されている住民が一定数おられるわけである。ただ、数字の根拠の無い議論は、影響の範囲もわからず説得力を欠くため、根拠となる統計的なデータをもとに議論していく必要がある。

この「藤」という字は2010年に常用漢字にも採用されている。文化庁、文部科学省の漢字政策・国語政策として内閣告示・訓令になっており、全省庁にも関わるものである、固有名詞に対してはそれほど強制力を示していないという性質も持つ。

常用漢字表の字体・字形に関する指針等では、藤について「ソを八のようにするものはデザイン差ではない」ことを示しているようにも読み取れるので、構成員提供資料で挙げられた戸籍に登録されている文字の中には、旧字体であるという主張をされたときには旧字体であると認めざるを得ないものがありうる。要は、「デザインの違いではなく字体の差である」と使用者に主張されて裁判等になった時には非常に複雑な問題になってくるものと考えられる。

こうした文字の問題は漢字という文字の仕組みそのものに内在する問題であり、常に悩むところである。全国で取扱いにばらつきが出ないようにするためには、少なくともこの有識者会議の中では対応を考えていくことは必要であろう。どのワーキンググループで検討を行うかについても議論が必要であるが、まずは問題提起としてご一考をお願いしたい。

構成員: 数字の根拠に基づいて議論をする必要性を強調していただいた。また、全国で取扱いにばらつきが出ないようにする必要もあるというご指摘をいただいた。この点について事務局からコメントをお願いしたい。

事務局: 文字のボリューム数や実態は検討する際の重要材料のひとつであると認識している。しかしデジタル庁ではデータを保有していないため、ぜひとも法務省にご協力をお願いしたい。戸籍でどのような文字がどれくらいあるのかを共有いただきたい。文字同定のワーキングチームを設置し、まずは改製不適合戸籍の問題が議題となるが、文字同定手順書には、「改製不適合戸籍ではないが同定が難しい」という文字も今後検討すると記載している。基準がなければ「あの文字もこの文字も外字したい」ということになり、行政事務標準文字の文字規格を作って統一化していくという政策の根幹自体が崩れる。そのようなことがないように、慎重に考えていかなければいけない。

構成員: 「藤」の問題については、広報ワーキングチームで東西に離れた自治体から各々数字を示していただき議論したが、その数字から推計すると全国で数万人の対象者がいることになる。このような事例はおそらく他にないので、異なる取扱いをしてもよいのではないかと思っている。自治体は、対象者が一定数いるとなると、広報の仕方も変わってくることから、「藤」だけは新設される文字同定ワーキングチームで早めに議論することも検討してほしい。

また、資料2で示された状況把握調査の同定作業進捗率については、都道府県単位だけでなく、都道府県内でもばらつきがあると思われる。都道府県が市町村とベンダの間に立って調整に入っている京都府でもかなりばらつきがあるように、実態は同じように取り組んでいる市町村であっても、回答が異なる可能性がある。ベンダヒアリングや説明会を実施して調査した方が実態を正確に把握できる可能性もあることから、調査方法についても柔軟に検討してほしい。

構成員: 2つ意見をいただいた。「藤」は影響する方が多く、特別な文字である可能性が高いため、早期に議論をするべきというご提案である。2つ目は進捗率の件について、ベンダ側からも情報を取り、裏付け、分析した方が良いため、ヒアリング・説明会を開催するというご提案である。

事務局: 1点目については法務省にも実態調査にご協力お願いしたい。ご指摘の通り、影響範囲が広いということは各自治体からの意見からも明らかであるため、できるだけ早期に議論を行いたい。

2点目について、自治体で調査票に回答する際、質問意図まで十分に理解を得られなかった可能性は十分あると思われる。ベンダ等とも共有し、そのあたりは実態把握に向け対応していきたい。自治体とは異なった視点で指摘があるかもしれない。

構成員: 本日の各種資料から、今までの広報ワーキングチーム・専門ワーキングチームではそれぞれ様々な議論があったのだろうと推察する。ご対応につき感謝申し上げる。

1点目に広報については、令和7年度に本格的に各自治体が標準化システムに移行することになり、行政事務標準文字が実際に使われ住民の目に触れることになる。そこで広報素材等がいつ頃提供されるかをお示ししてほしい。広報資材は自治体に第一弾を配布後、様々な課題が出てくると思うので、都度その課題を改善してアップデートできるようなものが望ましい。

2点目に住民票の写しと戸籍で文字が異なる点については、自治体事務では、例えば住民の転入時には、住民記録システムに文字がない場合には、戸籍の文字ではない、住民記録システムに存在する簡略化された文字で登録することがあった。おそらく全国の自治体事務でも同様の取扱いがあったのではと思う。住民異動の際、転出証明書にその文字が掲載されると、転入先でも簡略化された文字等が使われることになる。そのような場合に、行政事務標準文字への同定を行う中で住民票の写しの文字を行政事務標準文字に同定していくのか、「戸籍と住民票の写しの文字を同じにした上で、行政事務標準文字に同定する」ということがあるのかを教えてほしい。

3点目に、構成員提供資料の3ページ案2の考え方では、やはり該当者にとっては一定の不利益に当たるのではないかという議論があると思う。そうした場合に一定程度根拠のようなものを示してほしい。

事務局: 1点目について、広報資材にデジタル庁ウェブサイトのQRコードを掲載することを検討している。ウェブサイトは現在制作中であり、完成後に広報資材も提供可能となる。可能な限り早期に自治体に提供できるようにしたい。

2点目の戸籍と住民票の写しで文字が異なる点について。文字同定においてデザイン差なのか、字体まで変わるのか、そのような部分を仮に代替するならどのような影響があるのかを十分議論する必要があることは関係省庁には共有の上検討したい。一方で、影響範囲をしっかりと調査した上で議論することが重要と認識している。

3点目は、おそらく構成員提供資料でも実態をご理解された上であえて記載されていると思うが、自治事務であるため限度がある。そのため大変恐縮ながら、1回目の有識者会議では、技術的助言という形でお示ししている。一方で、自治体の意見としては、「国が決めたという形にしてくれないと困る」ということを本日重ねてご提案いただいたと思っている。どのような方法が良いか知恵を絞りながら、まだ案1、案2どちらで行っていくのか結論は出せないが、仮に案2で行う場合、どのような方法があるのか、十分検討しなければいけないと考えている。

構成員: まず構成員提供資料3ページについて少し現状を補足させていただく。

日本の法体系として、日本人の氏名は戸籍で決まっていることは大前提であり、氏名は様々な行政事務で使うため、住民票の写しや住民税や国民年金等には戸籍の氏名を書くことになっている。そのため、戸籍と同じ氏名を使うという当たり前の話があり、今までの議論では、「同じ氏名」とは「字体を同一にする」ということであると住民基本台帳法の解釈として示している。逆に言うと、字形が違ってもそれは同じ文字であるということがこれまでの解釈であり、それで問題が生じたということは特段把握していない。自治体毎の実務では、字形が違うことで何か問題があれば、字形まで合わせるという対応をされているのかもしれない。今回、標準化に伴い文字同定をすることで、字形が変わる。字形が変わっても字体が変わらないため、住民基本台帳の考え方では、そこは元々許容している範囲であることになる。「藤」の字が、字形の違いなのか字体の違いなのかそもそも議論の余地があるようなので、議論の結果次第かと思うが、仮に字形の違いだと判断する場合には、従来通り、「戸籍と住基で字形が違っても構わない」ということになる。

構成員提供資料において案1は、外字の作成は元々できることになっているため、戸籍については経過措置の期限なく外字を作成できる。今の標準仕様書を前提とすると、仮に行政事務標準文字にない字を外字で残そうと思えば戸籍では可能だが、住基では、経過措置はあるが一定の期限があるため、いずれは行政事務標準文字にしなければならない。いずれ戸籍と住基で字が変わってしまうが、当面の間はいずれも外字を作るという余地があるため、少なくとも5年間の猶予はあるのではないかと思う。案2については、字形の違いであればそもそも合わせる必要はないので、合わせても合わせなくても良い。字体が違う場合どうするかということについては、構成員提供資料4ページの改製不適合戸籍の話は、おそらく字体の違いだということがクリアだと思う。字体が違う場合に字体を変えていいのかというと、今までの解釈では字体を合わせてくださいと示してきた。大事なことは、「戸籍と住基の字体が違っても住民が困らないことが確認できたからそれで良いとする」という議論なのか、「影響はあるがデジタル化のために絶対やらなければならないことなので、住民にもそれを良く説明して了解を取った上で行う」のか、デジタル庁と良く相談したい。仮に字体が違っても良いとすると、現時点で私個人としては、やはり法的根拠は一定程度必要であると考えている。今の標準仕様書では、戸籍の文字は従来の文字で良いが、行政事務標準文字の文字も合わせて持った上で、システム間では行政事務標準文字で連携するとしている。これを行うと、いずれ戸籍の文字も連携する時には行政事務標準文字になるため、それを受けた住基側は行政事務標準文字になっていく。これを今後定める省令で書くと、この部分は義務付けになる。そのため、デジタル化や標準化といった大きな文脈の中でこのようなことを行うのであれば、「戸籍と住基で字体が変わる部分が出てくる。ただ、それは改製不適合戸籍に限る」等、限定的な話かもしれない。現在の標準仕様書も現時点の4.1版から今後改正する余地がないというわけでもなく、省令は今後作ることになる。そのため、省令をいつまでにどのような形で作るのか、有識者会議での議論も踏まえ、関係省庁間ですり合わせをしていきたい。

今回、資料2状況把握調査について、16ページについて疑問を持った点がある。令和7年度末までに行政事務標準文字への移行が行われる人口割合が27%とあり、非常に少ないと感じる。おそらく、経過措置を使わない自治体だけを集計しているため27%になっている。経過措置を使う自治体も、この資料上、文字同定はすると回答しているため、「文字同定はするが経過措置として外字も残す」ということだと思われる。これを「経過措置を使う団体は行政事務標準文字への移行ができていない」と扱うのか、「行政事務標準文字へ移行したが、部分的に経過措置を使って外字が残っている」とするのか、国としてどのように認識するかが問題である。この資料上、経過措置を使うが文字同定を行うとしているので、定義上、経過措置があっても行政事務標準文字への移行をするということなのではないか。この資料の表現の仕方として、検討の余地があるのではないか。

資料では、既に文字同定が完了している自治体が、多くはないがそれなりにある。7ページで、文字同定が完了しており且つ経過措置を使わないと回答している「完了済み」は、78団体。この78団体は全て文字同定ができたのか、あるいは、字体を変えてでも行政事務標準文字にしたということなのかは気になる。その場合、どのような整理なのか。

改製不適合戸籍の文字の取扱いは1番悩ましい課題として残っている。選択肢は3つあり、選択肢の第1は、改製不適合戸籍の文字と住基を少なくとも当分の間は合わせる。第2は、住基を行政事務標準文字にする。第3は、今回をきっかけに該当者本人に説明をした上で、改製不適合戸籍だった方も行政事務標準文字にしてしまう方法もあるのではないか。法務省でも、改製不適合戸籍の解消自体はこれまでも努力され、今後も作業は続けていくと前回ワーキングでおっしゃっていた。改製不適合戸籍の文字が行政事務標準文字になることが1番の理想であるため、関係省庁間で連携して実現できることが望ましい。

構成員: 1つ目のご指摘は資料2の16ページ目で、確かに住民票の写しの文字が行政事務標準文字で表示される人口割合が全人口のうち27%というと、疑問に思う方もおられるかもしれない。2つ目は7ページ目の文字同定が完了しており経過措置を適用しない78自治体の詳細はどうなのか。3つ目は、改製不適合戸籍の文字を行政事務標準文字にするという説明をして了解を得た上で行政事務標準文字にするという選択肢もあるのではないかというご指摘を受けた。事務局からコメントをお願いしたい。

事務局: 1点目について、16ページには「行政事務標準文字への移行が令和7年度までに行われる予定の人口割合」と記載しているが、ここで申し上げたかったのは、移行ではなく「文字の置き換え自体が令和7年度末までに行われる予定の人口割合」ということであるため、資料内容はご指摘を踏まえて再検討させていただきたい。

2点目について、7ページ目の経過措置適用なしで移行完了済みの自治体について、まだ速報値であるため、各自治体の実情までは十分調査できていない。今後は自治体に状況等を確認していきたい。改製不適合戸籍については、専門ワーキングチームでも議論が出たが、本当に色々な種類のものがある。改製不適合戸籍だからこうする、こうしないという話でもないと思われる。様々な選択肢が出てくる可能性があるので、改製不適合戸籍に使われている文字の届出(現物)を見ながら、どのように整理していくか検討していきたい。

構成員: 広報資材について、デジタル庁の案はもう少し整理できないか。構成員から提示された案の方が分かりやすい。例示として「藤」の字が良いかどうかはともかく、構成員の案では色々な文字があることが例示されている。左側の「藤」がたくさん並んでいる上に「これは戸籍の文字で、今まで通りである」ということをしっかり書いた方が良いと思う。一方、右側の置き換えられる「藤」の字は、「通知や証明書等に使う」ということを、最初の方でパッと上手く示せると良い。

実際に文字が変わる方向けへの広報としては、法的根拠も大事であるが、影響範囲をもう少し示せないか。「もしかすると卒業証書や銀行口座等で、字が違うという問題が起きるかもしれません」等、何が起きる可能性があるのかも例示できれば親切ではないか。また「このような問題が発生したらこのような対処をしてください」という、心づもりができるような説明があると良い。

住民が文字の問題で困ったことがあった時に、自治体に言えばいいのか、デジタル庁に言えばいいのか、窓口はどこなのか等も資材で説明することが大事である。

「行政事務標準文字とは何か」等、説明したいし説明しなければならないことはたくさんがあるが、まずは「あなたにはどういう影響があり得て、困ったらここに来てください」というメッセージを前に出していくと良いと思う。

事務局: 広報資材は、もう少しわかりやすい形で表現ができないか検討する。影響範囲については現在関係省庁間で調整しており、この広報資材の提供までに間に合わなければウェブサイトで情報提供していきたい。

事務局: 事務局から補足だが、ワーキングチームで本人確認について金融機関や運転免許、学校等の具体的な例示が挙がったため、デジタル庁では影響把握に向けて警察庁や金融庁等の関係省庁に照会しているところである。また影響が生じないように進めていく必要があり、各省庁向けに関係団体に周知を依頼する事務連絡を発出することも検討していきたい。本人確認の今後のあり方について、現状ではアナログで確認しているが、マイナンバーカードも普及している中で、どのような形で本人の真正性を担保していくのかというところは今後の検討事項として考えられる。

構成員: 今の話に関係して、文字が変わることでどのような影響があるのか、それには適切に対処できるのか、についてきちんと精査してからでないと、広報の内容がこれでよいのか結論は出しにくいのではないかと思った。

構成員: それでは、以上で意見交換を終了とさせていただく。構成員の皆様、貴重な意見をありがとうございました。最後に、事務局より連絡事項があればお願いします。

事務局: 本日はありがとうございました。次回の有識者会議については、6月から7月頃の開催を検討しており、日程調整を行った上で、開催日をご連絡させていただきたい。

構成員: それでは、これにて本日の議事全て終了させていただく。皆様、どうもありがとうございました。

以上