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地方公共団体情報システムにおける文字要件の運用に関する検討会(第7回)

概要

  • 日時:令和6年(2024年)1月30日(火)15時00分から17時00分
  • 場所:全国町村会館・オンライン
  • 議事次第
    1. 第6回検討会振り返り
    2. 実証事業中間報告について
    3. 文字要件の改定について
    4. その他

資料

議事概要

日時

  • 令和6年(2024年)1月30日(火)15時00分から17時00分

場所

  • 全国町村会館/オンライン

出席者

※敬称略

座長

  • 庄司昌彦(武蔵大学社会学部教授)

構成員

  • 荻野敦(地方公共団体情報システム機構有識者)
  • 小林龍生(一般社団法人文字情報技術促進協議会会長)
  • 後藤省二(株式会社地域情報化研究所代表取締役社長)
  • 笹原宏之(早稲田大学社会科学部教授)
  • 林伸明(臼杵市保健健康課主幹)
  • 原田智(公益財団法人京都産業21DX推進監兼CISO)

準構成員

  • 鎌仲正大(株式会社アイネス)
  • 藤野正則(日本電気株式会社)
  • 青木弘明(株式会社日立システムズ)
  • 大村周久(富士通Japan株式会社)
  • 高岩亮太(富士フイルムシステムサービス株式会社(代理出席))
  • 早瀬悠樹(株式会社両備システムズ)
  • 吉田匡一(株式会社両毛システムズ)

オブザーバ

  • 青野洋(総務省 自治税務局企画課電子化推進室 係長)
  • 長谷川翔平(総務省 自治税務局企画課電子化推進室 事務官)
  • 硲卓也(法務省 民事局民事第一課 係長)
  • 名取瑞樹(文部科学省初等中等教育局修学支援・教材課 就学支援係 課長補佐)

議題

  1. 第6回検討会振り返り・負担軽減措置について
  2. 実証事業中間報告について
  3. 文字要件の改定について
  4. その他

配布資料

資料 地方公共団体情報システムにおける文字要件の運用に関する検討会資料

議事

  • 第7回目となる本会では、報告事項として第6回検討会を振り返り、基本フォントファイルの提供については、デジタル庁において整備したものを、令和6年度上半期を目途に提供することが挙げられ、IVS対応についても、一般社団法人文字情報技術促進協議会の協力のもと対策を進めていく旨の報告が事務局よりなされた。

  • 事務局より「実証事業中間報告について」、「文字要件の改定について」に関する説明が資料1をもとになされた。

質疑

構成員: 資料の4ページの最後に、「PUP領域を利用したデータは当該システム外では流通させないことを前提として」とあるが、この点は行政事務標準文字を定めようとしているところと、イコールで私のなかでは結びつかない。この考え方についてもう1度ご説明願いたい。

事務局: 今回の措置は、本来は国際標準では、UCSとVSで表すということに決まっている。ただそれで表して字形とペアでコードポイントをセットし、文字を表すことにすると、多くのベンダがそこに対応出来ないという実態がある。基本フォントファイルはIVSを使用したものとなるが、一方で、PUPに割り当てたコードポイントを使用するフォントファイルも作るといった意味で、フォントファイルとしては両方に対応できるものを作るとさせていただいている。

構成員: 「PUP領域を利用したデータは当該システム外では流通させない」とあるが、これはおそらくPUP領域を使ったファイルやドキュメントで持って業務を行う合意が取れたコミュニティや団体のなかでしか流通させないということだと思われる。それはPUPの使用にあたって、実はUCS(Universal Coded Character Set)には「何も規定しない」と規定されている。ただし、使う時は「送り手と受け取り手で、そのコードポイントについて規格とは別に合意することが必要です」と書いてある。その合意する、ということが「PUP領域を利用したデータは当該システム外では流通させない」にあたるのだと思う。逆を申せば、このデータは外に出しても何の意味のないデータ、単に文字が出ないだけである。

構成員: 私の問題意識としては、これは皆さんも同じだと思われるが、行政事務標準文字については、自治体や行政機関とのやり取りを含めて、データのやり取りがされる世界のイメージをしている。そのなかで、今回整理をしようとしている文字の表し方が許されるのかというのが一つと、事務局からの説明に「暫定的に」というニュアンスもあったと理解をしているが、これも個人的には好ましくない気持ちがある。やはり今後、持続的もしくは永続的にやり取りができる規格を用いたデータを使っていくことが理想像だと考えているので、将来的に揺らぎがある状態が本当に良いのだろうかは気になっている。特に自治体関係者は疑問に思う方も多いと思う。

構成員: 1つ目の質問について、私の立場からは技術的なお答えしか主に出来ないが、PUPの使用については合意が出来た両者の間でしか使ってはいけないとしている。これはウェブのワンストップサービスについても同様である。例えば自治体から大量の宛名印刷を印刷会社に外注をする際に「この業務以外に使わないでください」と言ったうえで、フォントファイルと一緒にデータを渡すのは技術的にもUCSのレギュレーションとしても問題無い。

2つ目の質問については、むしろ私は暫定的でなければならないと考えている。「基本フォントファイル」という名前は、誤解やミスリードが生じるので止めていただきたい。例えば「暫定縮小フォントファイル」など、これは仮の物である、ということが明確に分かるような名前にしていただきたい。これが基本フォントファイルという名前のまま進むのであれば、私としてはそれだけは許諾が出来ないと考えている。もう1つ、デジタル庁にお願いをしたいのは、前回の検討会で構成員から言及があったロードマップについて、この暫定のフォントファイルをいつまで使えるのかと、国際標準が成立した段階でどういった形で国際標準に準拠したフォントに変換していくかの手順なども分かればよいと思う。ロードマップにおけるいつまで、という時期は自治体などの都合もあると思うが、例えば「国際標準が成立してから半年から1年の期間内に、各自治体間でのデータのやり取りに関してはPUPを使わない。また、内部システムについてはもう少し時間を置いて進めましょう」など、示せれば良いかと思う。私も専門家ではないが、話を聞いている限りではデータベースの変換は非常に大変だとベンダからも聞いている。ただ、この変換も手作業でやるのかマッピングテーブルなどシステムを作って進めるのか、一括なのか部分的に進めるのかなど、今後起きる問題とやり方によって大きく変わってくると思う。デジタル庁内でもドキュメントマネジメントの専門家とお話をして、ガイドラインなどを用意することで、暫定的なファイルを用意することに対しての様々なご不安を減らす努力はしていただきたいと考えている。

構成員: 暫定のフォントファイルとは言いつつ、概ねでも差し支えないので、その使用期間も一緒に示せればいいと思う。行政の世界では多くの「暫定の間」や「当分の期間」という言葉が転がっており、それが終わりも分からなく、非常に長い年月続いてしまう事例もある。そういった言葉や物を新しく作ってしまうのは出来る限り少なくしていきたいという意味で、期間についても示していただきたい。

構成員: 同定支援ツールが開発されて運用段階に来ているとのことで、文字の字形を入力すると、類似度が高い行政事務標準文字の字形の候補が示されるというのは、素晴らしい進展だと感じた。そこで質問なのだが、同定支援ツールの仕組みは、人工知能・AIのようなもので機械的にパターン認識などをさせているのか。ご説明可能な範囲で教えていただければと思う。

事務局: 法務省のほうで取りまとめをいただいた、戸籍ベンダが管理する文字である163万文字から、重複を除いて70万文字に落として、その70万文字を7万文字にマッピングをしていたいだデータを教師データにして学習させた。ここがスタートラインとなる。戸籍の文字であればこれだけで同定が出来るのだが、残念ながら今回は戸籍だけでなく他の標準化対象事務のシステムで使われている文字も対象となるので、更なる学習が必要となった。他のシステムで使われている文字も戸籍と同じはずではあるが、やはり作られた時代や作った人が異なることにより文字にも微妙な差異があることや、あるいは機械の性能ということも含めて、デザイン差が発生している。現在実施中の実証事業では、113自治体のご協力のうえで、自治体からご提供いただいたい約30万文字を一つひとつ使って、このデザイン差を吸収する機械学習を行っている。

構成員: 同定作業の経過について示していただき、良いところまで見通しが立っていると理解したが、文字に関わる専門家の立場としては、同定作業の結果として最後に決まったというものだけが示されるよりは、ある段階での状況も示していただいたほうが修正などしやすくなるので、必要に応じて協力していきたいと思う。

事務局: 今後とも皆さんのご協力を得られれば幸いである。

構成員: 同定支援ツールの目的はMJやMJ+に入っていない文字、若しくは同定は出来ないがMJ+に入れるべき文字を探し出すことなのか。

事務局: 現在の作業としては、自治体に存在している戸籍以外も含めた様々な文字を同定するのが第一の作業で、同定が出来なかった文字の対応方法については、別のワーキングチームにおいて対応方法を検討している。

構成員: 一刻も早くMJ+の字形データと、分かっている範囲で差し支えないので、属性データをいただきたい。それがなければ国際化へのプロセスが進まないからである。国際化のプロセスを進めなければ事業自体の意味が無いと考えているのでお願いしたい。

事務局: 本検討会のメンバーの方々に提示したい。

構成員: 資料12ページに記載の「7 同定できない文字のパターン分けフロー(イメージ)」の「氏名等で使用されている文字か」「いいえ」の部分で、事務局から例示として屋号を挙げていただいていた。これは法人住民税や固定資産税の関係で挙がって来ているものと思うが、これを個別検討するとは具体的にどのようなイメージなのか。

事務局: 本作業を進めるにあたっては、個人のアイデンティティに関わることは重要視しなければいけない、ということから出発している。我々としては法務省で作成された同定マップをもって、戸籍の文字、人名についてはぴったり当てはめていこうというのが、そもそもの始まりである。よって、基本的には氏名等で使用されている文字は同定しなければならないと考えているが、そのうえで、先ほどは屋号と例に挙げたが、いわゆる登記文字も我々の作業の範疇にはあるのかと考えている。そこで具体的にどのように対応をしていくのか、その方法についてはまさにワーキングチームにて、自治体の実務者の方々にもご意見を伺い、個別検討をしていければと思う。ただ、今回の標準化は氏名に重点をあてているということはご理解をいただきたい。

構成員: 法人登記簿にも、法人を広く網羅する都道府県の法人関係税システムにも、いわゆる外字が使われているとは認識していない。仮に自治体が現行使っていたとして当該法人から別の文字への置き換えを強く拒否される、または今後使うように強く求められて自治体が対応したからといって、そのためにMJ+に新たに文字を入れていくということは、収束に向かうべきところが逆に発散することになるため、あり得ないと思うがいかがか。

構成員: 事務局の説明では、個人のアイデンティティに関わることとして取組んでいるが、屋号の話は今回の作業の範疇ではありながら、対応については迷っているということだと思われる。また、ここから新たにMJ+に新しい字形を加えることを現状は想定されていないと整理されていると理解しているが、いかがだろうか。

事務局: 現状の課題を共有させていただくと、MJ+の話は20業務の標準化の中で、個人のアイデンティティ確保の中で検討してきたので、20業務の標準化において、屋号等のために、MJ+の文字を追加するのは、想定していなかった。他方で、20業務以外の業務やさらに他省庁の業務を考えた時には、登記文字等もMJ+に追加することが必要になると考えており、将来追加するかも知れない屋号等をMJ+に強制同定してしまっていいのかの意見があった次第である。

ただ、構成員のご意見を伺い、少なくとも、20業務の中の文字でこだわるべきは、個人のアイデンティティであり、個人のアイデンティティ確保による追加に限定すべきだと考えた。

構成員: 実証事業に関連してお話をお聞きしたい。当市のロードマップでは既にMJ+ではなくMJで同定作業を進め、Aは1でBは2であるがCは同定できなかった、など峻別はしてきた。そこで、当市でもデジタル庁の実証事業に協力する形で外字を提供して、同定されて返ってきた文字も出てきているのだが、既に峻別をした文字とツールで峻別をされた文字とは、どのように取扱えば良いのか。

事務局: 現在は文字の同定というと自治体ごとに個別のソフト等を使って、更に職員の方が判断をしていただいたうえで同定を進めていただいている。これには当然、手間も金もかかるのだが、何よりも各自治体によって別の文字に同定されてしまうリスクが高いと見ている。今回のツールを全ての自治体に使っていただければ、基本的にはほぼ同じ文字に同定していただけるので、そのリスクもなくなり、手間もお金もかからない。技術的助言で、ツールを使って頂きたいと考えている。とはいえ、既にMJで同定されている自治体もあるなかで、更にデジタル庁が提供するツールを使って再度同定をしなければならない、という義務があるわけではない。よって、既に同定作業を進められているのであれば、その文字を選ばれることは問題なく、改めて同定ツールを使っていただいて、両者を見比べていただいたうえでご判断をいただいても良いと考えている。

構成員: そこで資料の13ページ目となるが、まさに品質に差異が出ないようにするのは大前提であると思う。一部団体が先行して標準化に向かって動いているが、自治体ごとの差異を無くすためにも、デジタル庁が提供するツールを使って今一度見直しをしていただくこともよいのではないかと感じた。13ページ目でまたお聞きしたいのだが、ベンダ固有文字と言われているのは外字のことで良いのか。

事務局: ベンダ外字など、様々な呼び名はあると思っているが、外字のことと思っていただいてよい。

構成員: 実際に運用をするにあたっては、確かにベンダが作る固有文字は職員が作るよりはるかに綺麗ではあるが、これは宛名シール等に展開する時には別途料金がかかるような代物なので、ユーザーである自治体だけでなく、ベンダからしても話が違うだろうという意見が出てしまうのではないかと思う。ここの説明や見解も改めて、デジタル庁内でご確認いただければと思う。また13ページの2番については、そもそもデータベースにその文字があるか否か、という要素を重要だと考えられているのだろうか。

事務局: 「標準準拠システムで使用されている文字なのか、氏名等で使用されている文字なのか、という点に対して何をもって峻別されるのか」という質問の意図か。

構成員: そこはあまりこだわっておらず、文字コードとして単純にデータベースに日本語として登録されているのですか、という基準で十分ではないかと考えている、という意図である。

事務局: 実証事業については、データベースとしてまず登録されているのかというチェックがあり、データベースとして登録されているのであれば、それは氏名として登録されているのか、というパターン分けをする必要があると思っている。ワーキングチームでご協力をいただいている3自治体というのは、ベンダとともにその識別をこの短期間でやっていただけるとこを募集したところ手が挙がった3自治体となる。

構成員: 13ページにて、ベンダ固有文字という記載はあるが、何に対して固有なのかということをはっきり示せば違いが分かりやすくなると思う。ある特定の自治体のJIS規格以外の文字に対して、その文字が割とよく使われるからという理由でベンダから提供された文字を指しているのであろうと理解しているが、分かりにくいところではあるので、明確にしていただければよいと思う。また、このベンダ固有文字を将来的にどういう風に取扱っていくかも検討しておいたほうが良いと感じた。特に、先ほど触れてはいただいたが、市町村に対して「うちの屋号の文字はこれだ」という法人からの強い要望にて過去に作られた文字も出て来るかと思うが、これをMJ+に特別扱いで新たに文字として入れていくことなど、存在を認めるべきではないと願っているところである。

構成員: ベンダ固有文字が契約でオープンにされないことに違和感を覚えている。文字は自分が自分であることを社会に認知してもらうための符号であり公共財と考えており、契約で一部の者の利用に制限されてしまうのは、果たして適切なのかと思っている。字形も含めてもっとオープンに進めていただいてよいのではないか。

また、改製不適合戸籍の文字を無理にMJやMJ+の中に入れるというのは、多くの人が一生のうちに戸籍を使うのは数回しか無いと思われることから、議論にもならないのではないかと考えている。一方で、今後MJ+に同定された文字は、選挙を始めとした自治体の行政実務で何回も使われ、実質的に本人確認が取れていく。改製不適合戸籍の文字チェックは進めていただきつつも、MJ+に同定したものを正本として取り扱い、また当分の間は不適合な文字が含まれているものも正本として認め、併存させて進められるのも一つの手ではないか。

もっと文字は公共財であることと、文字の社会的コストについて踏み込まれてよいのではないかと考えている。

構成員: フォントの使用許諾の契約については全て個別契約となっている。

事務局: ベンダ固有文字については実証事業において出て来た課題でもあるが、彼らのあいだでは「外部に持ち出さないこと」という契約があるということなので、資料に掲載のような周知や注意喚起はしていきたいと考えているところである。ベンダにはデジタル庁から「外字を無くそうという公共の取り組みの一環であるということでご理解いただきたい」ということを働きかけはしていきたいところである。

構成員: 経過措置中の連携について否定はしないものの、実務としては連携ミスのダメージが大きいことから、ダイレクトに氏名の漢字だけでデータを連携させることは無く、間違いが無いように統合宛名番号かマイナンバーで連携させるか、関連情報を目検してから連携させていると思っている。標準化移行に影響はしないが、こうした仕様も用意されたと認識しておけばよいか。

事務局: 自治体やベンダからの要望に対して、標準オプション機能として連携も可能とする、ということで設けている部分となるので、そのように受け取っていただければと思う。

構成員: 15ページの「標準オプション機能」と17ページの「経過措置期間中の連携」はイコールだという理解でよろしいか。

事務局: 15ページはあくまで機能なので、機能要件にかかるということで、このように記載している。17ページはまさに連携要件なので、連携も可能とする、というニュアンスである。

構成員: 17ページはベンダが本当に求めていたことなのかというのが疑問だが、これは声が多かったという理解でよいのか。

事務局: PMOツールのなかで、ご質問と要望がそれなりの数のベンダから挙がってきたという形である。

構成員: そのうえで、この対応はベンダからすれば、全てのベンダが願ったり叶ったりというわけではないと思われるので、経過措置期間中ということを立て付けたうえで連携いただければと思う。関連して16ページとなるが、例えばこれは標準準拠システム内の話なのか。同じベンダで作られたものなのか、違うベンダで作られたものかでも取り方が違ってくると思う。

事務局: 本措置のインパクトは大きいと思っており「これに対応が出来なければ大変ではないか」というご意見かと思うが、資料に示している通り、MJ+に変換して送れるようにしておくのは必須のままだが、従来の文字コードのままで連携してもいい、ということさえやっていただければと思う。

構成員: 資料4ページにさかのぼるが、いわゆるここの16面の私用領域を使うか使わないかにも寄って来るのかと思っている。極端な話を挙げれば、オプション機能を出した瞬間に「今までと何も変えなくて良いということか」と思われないように、しっかりとご説明をいただければと思う。

事務局: ご指摘の点は気にしているところで、これはオプション機能ということは記載している。しっかりと示していきたい。

準構成員: 17ページの住民記録システムの文字コードをそのまま送るというところだが、心配しているのは住民記録システムが暫定の文字コードをそのまま使っていたとして、現行はその文字コードを他社のシステムでも流通して使っている現状が多くある。今回、MJ+に連携の文字コードは統一されるということで、完全に同じ字形であれば表現できないので、他社のシステムであればMJ+の文字フォントなりを使うことが自治体のなかで承認されるという認識を持っている。ただ、今回の暫定措置が認められた結果、「これでも良いなら他のシステムは住民記録システムと同じ文字にしてほしい」という圧が入ってしまうことは非常に懸念している。よって、そうならないような整理はしっかりとお願いしたいと思う。

事務局: そこは可能とする、の前には、予めベンダ同士の合意が取れた場合、などの文章を追加したうえで進めたほうが良いと改めて思ったところである。繰り返しにはなるが、但し書きやFAQなどで駄目なものは駄目だと書いていきたいと思う。

準構成員: 住民記録システムの文字フォントに従うことを自治体ごとに対応するパワーをベンダも出せないので、そういった圧がかけられてくると、今でも2025年度中に全自治体がシステムの切り替えが出来ない状況にあるという状況が、更に悪くなると思う。しっかりとした周知はお願いしたい。

準構成員: 住民記録システムは経過措置を適用して、介護等システムの業務システムはMJ+で対応する場合に、住記システムから出て来る帳票は従来の文字フォントで出力されて、介護等システムの業務システムから出て来る帳票はMJ+の文字フォントで帳票が出て来るということで、住民目線から見ると文字フォントが若干違って出て来る可能性があると思うが、これは許容されるもの、若しくは許容していただきたいという理解でよろしいか。

事務局: 現状もそういった事例はあり、また標準化後もフォントについては競争領域である。

構成員: UCSにしてもJISにしても字体というのは抽象的な概念であって、一つの字形のなかに様々な表現があることは前提とされている。このプロジェクトを進める過程で、前々回の検討会でも示したが、常用漢字の字体の概念については、文化庁の文化審議会が出した資料もあるが、これは非常に参考になる。Unicodeの具体的な粒度は若干違うものがあるが、符号を付けているのは抽象的な字体の概念である。そのことを是非ともこのプロジェクトを進める過程で説明していただきたい。

事務局: もう1つ思っているのが、それを私たちが理解するのは大事だが、これを住民や職員の方にも分かってもらわなければいけないと思う。膨大な資料のため、これをこのままお渡しするわけにはいかないが、この理解を進めていくことにトライしなければ「文字は難しいものだ」で終わってしまうと思うので、いかに分かりやすく伝えていくか、ということもご助言いただいたうえで、ぜひ進めていきたいと思う。

構成員: 一つの手としては、ある限られた文字セットの中から、この中には無いという選択肢はなくしたうえで、「あなたの名前の文字はどれですか」と選んでいただくことは良いかと思う。

構成員: 先ほど例に挙げていただいたのは、「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」と思われるが、これは文化庁として、元々一貫してあった基準を具体的に示したものといえる。国の漢字の運用について、この資料を用いていただくのは非常に理想的かと思う。ただ、指針のなかには、固有名詞は特殊性をもつということも記述がなされていて、たとえばツチヨシとサムライヨシが名字においては区別があると話題になるが、それらをデザイン差とする指針には、戸籍行政でも漢和辞典に従って長年そういった運用なされていることも明記されている。こういったことについては、自治体ごとに運用がバラバラにならないように目に見える形のものがあれば良いと思っている。指針は200ページ以上あるので、これだけでは提供の仕方によっては解釈も分かれてしまうと思う。

構成員: 17ページについて、経過措置期間はいつまでなのか。

事務局: 夏の時点で戸籍以外の経過措置については「3月末に決める」と規定させていただいた。経過措置の期限をいつまでにするか、案はあるが、メリットやデメリットもあるので今まさに整理している段階である。また、文字要件については意見照会を予定しており、2月末には実施したいと考えている。委員の皆さまには経過措置をどのくらいにするべきかのご意見を今後、ヒアリングでお伺いしたいと思うので、早急に進められればと思う。

構成員: 今日この資料を事前に見た時、特に16から17ページを見たときには「この検討会は何のための検討会であったのか」と暗い気持ちになっていた。つまり17ページを見ると今の状況と何も変わらなくなっていた。先ほど事務局からのご説明もあったが、そのような意図があるのであれば、内容は文字に落とし込んでいただいたうえで、お示しいただきたい。この検討会は戸籍の制度における文字の検討会ではないので、このお話をする機会がなかったのは残念だが、いずれにしろ、文字を一定の範囲内に収めていくことについては、自治体関係者も含めて大きな期待を感じているので、そこは出来る限り生かしていただく形で整理をしていただきたい。

事務局: 誤解が無きように、文字に落として整理したい。

構成員: 「行政事務標準文字」という言葉を提案したときは、行政事務で使われるものであることを強調する意図があったので、そういうことは伝わって欲しいと思う。他に意見が無ければ、議事をここまでとさせていただきたい。

以上