「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会(第2回)
概要
- 日時:2023年6月14日(水)10時00分から12時30分まで
- 場所:東京ガーデンテラス紀尾井町4階 紀尾井カンファレンス セミナールームC(オンライン併用)
- 議事次第:
- 開会
- ご発表、討議
- 「デジタルライフライン全国総合整備計画の検討方針について」(経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室 室長 和泉憲明様)
- 「人と共存したロボットの社会実装に向けた課題と現在の取り組みについて」(村松構成員)
- 「LCAに向けた自動車産業の取り組みと今後の課題」(川端構成員)
- 閉会
会議動画
会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。
資料
- 資料1:議事次第(PDF/367KB)
- 資料2:構成員名簿(PDF/332KB)
- 資料3:「前回の振り返り」(PDF/926KB)
- 資料4:「デジタルライフライン全国総合整備計画の検討方針について」(経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室 室長 和泉憲明様 ご発表資料)(PDF/4,733KB)
- 資料5:「人と共存したロボットの社会実装に向けた課題と現在の取り組みについて」(村松構成員 ご発表資料)(PDF/2,742KB)
- 資料6:「LCAに向けた自動車産業の取り組みと今後の課題」(川端構成員 ご発表資料)(PDF/4,173KB)
- 議事録(PDF/570KB)
議事録
鈴木企画官: それでは、始めさせていただければと思います。
本日は、第2回の「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会を開催させていただければと思います。
私、デジタル庁の国民向けサービスグループのモビリティ班の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
本研究会は、ライブ配信を実施しております。終了後にはこちらの録画の記録をデジタル庁のウェブサイトにおいて動画で見られるような形で公開を行わせていただいております。
最初に、デジタル庁の統括官の村上からご挨拶を申し上げるところですが、今こちらに向かっているところでございまして、座長の方から先にご挨拶をいただいてもよろしいでしょうか。
石田座長: おはようございます。
足元の悪い中、集まっていただきましてありがとうございます。
来られました。どうぞ。
村上統括官: 申し訳ございません。
今日はひたすら勉強させていただきます。
政府の中の空気が大分盛り上がってきまして、この際、徹底的に現場で支障になっている規制や制度はここでもしっかり挙げてくれと言われていますので、ぜひよろしくお願いいたします。
石田座長: 私も、モビリティ・ロードマップという極めて広い概念の言葉を使っておりますので、皆さんが普段から思われていることとか、総合性とか、我々の生活とか、地域とか、産業との関わり等、いろいろな視点があろうかと思います。どうぞご遠慮なさることなく、どんどん発言いただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
ただ、議論の時間をたくさん取りたいと思いますので、プレゼン及び発言はなるべく短く簡潔にお願いできればありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
鈴木企画官: ありがとうございました。
それでは、ここから先の議事は石田座長の方にお願いしたいと思います。
石田座長: 早速、今日の議題2、発表、討議でございまして、経済産業省商務情報政策局情報経済課、和泉室長よりご発表をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
和泉室長: 経済産業省、和泉でございます。
デジタルライフライン全国総合整備計画に関しては、前回、事務局の方から大枠を説明いただいたところで、私はここに来る必要があるのかというところは微妙ですけれども、村上統括官に召集されているということは、今まで何を考えてきたかというところと、その意図的なものがどう資料に表出されているのかというところを、具体的には石田先生や鈴木先生には内々にコンタクトを取りながら、齊藤理事長に逐一ご指導いただいていたところを役人としてどう取りまとめていたのかというところを、私のほうから事務方として説明差し上げたいと思います。基本的には、資料は西村大臣のプレゼン資料、30ページ以上を15分で説明するという、いかにも役人的なところで、表層的な話にならないように、うまくアニメーションなどを使いながら私のほうで説明したいと思います。
デジタルライフライン全国総合整備計画は、名前に関してはいろいろあるところなのですけれども、ポイントはあくまでも人口減少が進むような地域生活圏をどうつくっていくのかというところ、ここはITSからモビリティ・ロードマップの広がりというところと基本的には同じということで、とはいえ、今回のポイントは10年ものの計画に仕留めるというところで、10年ものの計画にするということは、裏を返すと、実証実験をして、また設備を撤去するみたいなことではなくて、新幹線や高速道路のアナロジーで、端から順番に、あるいは真ん中から各方に広げるというような、どういう形で10年間積み上げるのかという計画にするというところをもって全国津々浦々に行き渡される、こういうワードを確定するのに、役所として各省調整をして45日かかったという話でございます。
その際に、点から線へ、線から面へというのは、点々の実証地域を点在させるのではなくて、それをある程度束ねて大きな点にして、大きな点の間を線で結んで、線が重なってくると面なるというような意図でございます。
その際に、10年待てないというところで、「アーリーハーベスト」と命名いただいたのですけれども、ボジョレーではないですが、できるだけ早く手触り感のいいアウトプットを享受しながら、それがこの先10年夢が見られるような、あたかも新橋・横浜間の鉄道を見ながら日本の将来を期待する、こういうような進め方がいいのではないか。その際に、しっかり官民で集中的に大規模な投資が同じ方向を向くように、一時的な、刹那的ものではなくて、ハード、ソフト、それからガバナンスに関するルールも含めて全体感を持っていくというのが1枚目のところであります。ここが私の今日の説明のメインでございます。
そのほかはもう少しスピードアップしたいのですけれども、こういう中身を一緒に、齊藤理事長の下、デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)で、こういうアーキテクチャ図全体を描くのですけれども、これも描いて終わりではなくて、私、担当官として意味を説明したいと思います。
非常にチャレンジなのですけれども、サービスやシステムがつながって社会全体として効率的かつ合理的に機能するというところを、関係省庁や産業界で足並みをそろえるという際には、まず利用者とターゲットとなる自律移動ロボットをしっかり引っ張り出して、こいつらが動けばいいというところではなくて、そこにサービスを提供するサービサーというものがあるだろうと。
サービサーがあるということは、裏を返すと、自動車であったり、ITSであったり、あるいは航空管制、UTMであったりという運行をマネジメントするようなシステムも当然ながら必要と。ここに機能を割り当ていると、「サービスを利用する」から、実際に「運搬・調査・作業をする」というところの間にサービス提供のファンクションが出てくる。
これに関して、さらに運行のマネジメントというのは、1台飛ばすだけだと、現時点でもそんなに難しくない。これが高密度・高頻度になると、当然ながらルートを指示したり、監視したり、衝突回避を調整したりという機能がロボット側にあるのではなくて、UTM側、ITS側にこういう機能を持たせないといけないことになるわけです。
すると、今度は例外処理として自律移動ロボット側に異常接近や緊急のアラームとか緊急退避の機能も当然ながら必要になって、これは現時点、自動車分野の方でもやられているのですけれども、その際には、刹那的に機体単位で事故を予防するだけではなくて、ヒヤリハット等の情報を集めながら、社会をよりよい方向にするという仕組みも必要で、これが将来のデジタル事故調みたいなものになるのかもしれないですけれども、こういう機能も必要だろうと。
すると、情報を仲介するシステム、サービス、ウーバー等に代表されるようなマルチサイドプラットフォームみたいなプレーヤーが当然ながら出てくるだろうし、そこにインフラ位置に情報を集めないといけないので、機体単体ではいけないだろうと。
こういう形をすると、今度はインフラ側に全て任せるのではなくて、空間情報という形で3次元インフラみたいなものはある程度公的なプラットフォームで集めながら配信する、あるいは変化を収集するような形になるだろう。
こういう全体像をプロが集まって、お互いにどういうファンクションの依存関係があるかという全体俯瞰をしながら進めるというところが、IPA、DADCでプロが集まるところの議論の特徴で、アウトプットだけを見ると非常に難解なのですけれども、先ほど申し上げたとおり、意味を持って図表して、この書き物に関して集めていくと、特に赤枠として書いたところが物理インフラとして重要な部分で、今後の計画の重要な要素でありますというのが最初の2枚目で私がほぼ燃え尽きたところで、こういう資料を、あるいはこういう検討を現在もデジタルアーキテクチャ・デザインセンターで、私も一部交ぜていただきながらというか、ほとんどご指導いただいているのですけれども、こういう形で資料を取りまとめているというのが現時点、この瞬間でございます。
では、この次以降は中身をささっと話していきたいと思います。
とにもかくにも、ゴールとしては平常時の生活需給の話、それから災害時、非常時の話をそれぞれのユースケースでやるのではなくて、デュアルユース、フリップするような形で、表裏一体でやっていきたいというところでございます。
次のページは、特に点から線へ、線から面へという形で、最終的には日本地図を窺いながらターゲットとしてはデジタルライフライン、インフラ整備という形で、ソフト、ハード、ルール、さらに公益的なものを官民を合わせた担い手というところをやらないと、物をつくって誰か使えみたいな、犬にパンをやるみたいな形だと誰も食べないということかと思っています。
次は、ではその際にデジタルサービスに関する汎用性の高いインフラは何かというと、恐らく業種・業態を横断してデータを集めて配信するような、そういう横割り的な機能が必要だろう。ここが結果的にデータ主導になるので、物主導でそのリアクションではなくて、データを使って予測構造になるからX、主従逆転するトランスフォーメーションということではないかと思います。
このときに、先ほどもアーリーハーベストと申し上げたとおり、例えば自動運転であるとか、ドローンを飛ばすとなると、こういうモビリティ、あるいはその運行とかインフラの方に話が偏ることが多いのですけれども、最初に座長からもお話があったとおり、物を使うだけではなくて、サービスという観点が重要だろうというところで、赤・青両面を同時に議論することが重要であります。
次のページは、では、サービス面でどういう形になるかという具体例を図示したところで、データ連携というところで、よく分からないけれども、データを持って提出していると何かいいことが起こるはずみたいなことをやっていると、多分いいことは起こらない。そういう意味では、目的をしっかりしながら、例えばデータを持つことによって、フィジカルインターネット、誰がどこに届けるだけで、それ以外の情報を共有すると、しっかりプライバシーが守られて最適な配送が行えるとか、その際の自動運転であったり、ドローンは要するにビークルであるというところがデータ連携の一つのゴール、あるいは機能ではないかというところで、仕組みという形で検討しております。
その際に、データ連携でデータだけを集めればいいというところではなくて、ここをモビリティ・ロードマップとして仕留めていただくというところの論点は、データ連携をする際に、赤枠でさらに出したのですけれども、事業者や業種を超えてちゃんと連携する。その際のその情報は、俺の荷物は1週間前にどこにあったのだみたいなことを聞いても意味がないので、今どこにある、場合によってはこれから先どこに行くか、そういうところはデータの形式だけではなくて物の形式も標準化しないといけない。そういうところの広がりを資料として図示しております。
そういう中で、ではアーリーハーベストというプロジェクトを、プロダクトアウト的なところは駄目だといつもご指導されているので、物ではなくてというところをどうしていくのかというところで、例えば、ドローン航路一つとっても、まずサービス、一義的には点検、2つ目には重い物を遠くに運ぶというよりは、非常時に、あるいは離れたところにしっかり届けるというようなサービスを見ながら、その際の航路として、コリドーとして、都市間高速あるいは都市内高速みたいな高速道路に相当するような販路、あるいは今度はラストワンマイル、あるいはポツンと一軒家に届けるようなところというのを分けてしっかり検討していこうというところで書いてございます。
その際のインフラやアーキテクチャのイメージは、後ほど大臣資料17、18、19にて詳説します。
次に、自動運転。これも、報道的には沼津・浜松間の自動運転みたいな、そういう物が着目されているのですけれども、サービスとしては物流や人流というのも、最初に申し上げたような全国津々浦々というところをどう広めていくのか、それの着火剤としての今回の新東名100キロという自動運転をどう位置づけるかというところが当然ながらモビリティワーキンググループの中心にもなろうかと考えております。
その際には、デジタルライフラインとして、自動運転用道、あるいは現時点で優先なのか、専用なのかは決まっていないので、自動運転車用レーンという言い方をしているのですけれども、そこでV2Vだと限界がある、あるいはビークルの処理能力に依存していると、その実現には時間がかかる。あるいは、アメリカ・カリフォルニア等で今起こっている事故を見れば、この先の延長というのは厳しかろうと。
だとすると、日本でしっかりした環境を整備して、欧州加速器研究所みたいな世界一の設備が日本にあるのですと。その際には、安全なV2Xのインフラがあるので、どうぞここで産業をお磨きくださいというような役所のインフラ整備を使って産業が育って、それが日本全国に広がっていく。こういう道路、あるいはV2X側のインフラがどうあれば、V側の産業の伸び代が大きくなるのか。こういうところがこの委員会の皆様にご議論いただければ、我々としても非常にありがたいということであります。その際のインフラも、ドローン同様、後ほど詳説差し上げます。
次に、インフラ管理のDX。こういうことをやっていくと、こういう検討はデジ庁で行われているというところの一丁目一番地かもしれないですけれども、そもそもインフラのマネジメントそのもののサイクルが紙あるいは図面で個別にというところだと意味がないので、3次元情報のインフラというところを、まずは手始めに政府や自治体等のエンフォースメントが利きやすい地下埋設物の把握を手触り感よく進めながら、それが地上・地下関係なく、建物屋内外の区別なく、場合によっては海上・水中も区別なくというところの3次元のデジタルインフラというところで仕留めていければと考えております。ここのインフラ管理のアーキテクチャに関しても、17、18、19で詳説差し上げます。
こういう形で、アーリーハーベストは物的な報道をされるのですけれども、それを見せ物にする、見せ物と言うとちょっと悪いですね、表出させながらどういう形で進めていくのかというところで、次のページがデジタルライフラインのアーキテクチャでございます。
我々は、有識者のDADCに集まっている人たちにご指導をいただきながら全力で書き上げたのですけれども、これを見てもなかなか普通は分からないというところで、私は残り時間をこのスライドの説明に全力をかけたいと思っております。
まず、ポイントとしては、最初に申し上げたとおり、このページだけアニメーションを使うのですけれども、地方の生活、こういうポツンと一軒家みたいなところにどうデジタルの生活を届けるのかと考えたときに、限界があるので、こういうコミュニティセンター2.0みたいな拠点をある程度整備して、市役所、町役場、村役場、あるいはその分庁舎ぐらいだったら粗いので、公民館とは言わないのですけれども、コミュニティセンターあるいはデジタル公民館みたいな拠点を使って、そこから平常時、非常時の人流・物流、あるいはサービス提供の拠点を考えようとすると、そこに公民館2.0というか、コミュニティセンター2.0を中心とした地方のトポロジーが、密度が違うだけで都会も地方も同じ形になる。
今度は、公民館間を幹線道路という形で結んで、自動運転、あるいは高速ドローンというところのトポロジーを考える。拠点と公民館間のトポロジーというのは基本同じで、ネットワークや設備のインフラは基本同じにできる。
その中でも、拠点的なものを、道の駅2.0ではないですけれども、ターミナル2.0と称して、当然ながら、ターミナル2.0間も、今度は都市内高速、首都高や阪神高速のアナロジーで、より太い幹線道路、輸送能力、人流・物流という形で、同じトポロジーにしてみる。
今度は、道の駅2.0の一番大きなやつの間は、都市間高速のアナロジーでスマートインターチェンジ等に連動させながら、都市間高速、東名高速のアナロジーでつなぐ。すると、それぞれ規模の違う自動運転やドローンというものがあるだけで、基本的には専用道というものを都市間、都市内、幹線道というところで、最後、地方に関しては小型ドローンも含めて特徴が出てくるのだろう。
これを逆算的に考えるとこの図になりますというところで、物としては、報道的にキャッチーなところはドローン、自動運転、ターミナル2.0、コミュニティセンター2.0なのですけれども、先ほど私が説明差し上げたとおり、まずコミュニティセンター2.0で地方をしっかり拠点を整備しながら、コミュニティセンター間をつないで、そこにより大きめのターミナル2.0を配置して、さらに、ターミナル2.0間も自動運転道、より大きなスマートインターチェンジ間の物流、流通、人流を配備するという形を取れば、自動運転道やドローン航路が、トラフィックの多いところ、太いところ、細いところ、地方、都会で変わらず、デジタル通信のインフラをベースにすればというところで、その下、サイバー空間、あるいはサイバーとフィジカルの境界をネットワーク等々で結びながら、さらにそこにルール、そのための通信と全体像という形でやっておりますといったことで、右上、「フィジカル空間」と書いたところにコミュニティセンター2.0や道の駅2.0を配備しながら、下のところはデジタル通信、大容量、高速、低遅延のインフラというところがポイントになるのではないかというところを書いたもので、一周回ってやっとこの絵になるところでございます。
こういうアーキテクチャ設計や図は、一見すると難解なのですけれども、一応事務局として意図を持って仕上げているということでございます。
支援強化策としては、当然ながら、デジ活、ドローン、自動運転という切り口もあろうかと思いますし、事業支援に関しては、事業カットで、あるいはインフラカットで言ったときにやり方はいろいろあるだろうというところで、これは俯瞰した図であります。
今度は、そのときのハードというところで、こういうふうにいろいろ列挙しているのですけれども、我々としては、アーリーハーベストという物が表示するところを優先しつつも、データセンター、光ファイバー、通信、5GあるいはMEC等々、こういう全国統一の、要するに信号機が都会だけで田舎は関係ないというのではなくて、密度が違うだけというのを同じアナロジーになるように、通信インフラを全国大で仕留めながら、それからカメラ、IoTインフラ、その上で交通や物流のハブとなる拠点を整備していこうというところで、ハードの整備方針です。
ソフトに関しては、多様なコンテンツ、特に3次元情報を横串で検索して、その上で共有できるようにというところで、ミドルウェア層が重要になるのではないか。その上で、検索インデックスみたいなものが共有化されるというのが、データスペースの構築というところにつながるというのが仮説でございます。
ルールに関しても、基本的にはヒヤリハットとか事故時の原因究明や対策が前向きに、要するに犯人捜しに使われるのではなくて、デジタルイノベーションにつながるようにというところが一つ論点ではないかと考えているのです。その際には、データを集めるという機能に関しては、一定程度の公益性もあろうかというところで、公益デジタルプラットフォーマーみたいなものの育成も考えるべき。
最終的には、資料をつくったときにはいい候補がなかったのですけれども、これから面的展開を将来考えていただけるような自治体、企業等と連携するというところが大切で、ないからやってみました、あるいは、やってみたらこうなりましたとやっていると、実証の域を出ないので、ある種のKPIを設定して、向上するために、その仮説なり試作はよかったのか、駄目だったらどういう修正仮説が必要かという仮説検証のサイクルにしっかり持ち込みたいというのが意図でありまして、現時点でどこか特定の地域を指したわけではございません。
最後は、実装計画というところで、点から線、面というところで、いろいろあるのですけれども、ポイントはやはり面の実装で、これはデジ庁と思いを同じにして、しっかりベストプラクティスを横展するためにはどうしたらいいのかというのが論点です。
その際に、結局、運営主体からサービス、インフラまでがちゃんとそろってパッケージになっていないと横展しないだろうというところを書いて、その上の何十か所が目的ではないというところは資料の中で一応マーキングしたということであります。
それから、ドローンあるいは自動運転に関してレベルの考え方は少し違うというのは参考です。
政府の推進体制としては、今回、デジ庁の皆さんに旗を振ってもらって、これだけの省庁が一つの計画に名前を集めるというところで合意いただいた。これは、私としては惑星直列としか言いようがなくて、たまたま事務局を私がやっているだけで、村上統括官並びに齊藤理事長にもご指導いただきながら、石田先生、鈴木先生に、たまたまと言ったら失礼ですけれども、議論いただいてこういう形になったというところであります。
今後の計画等々は示しながら、現在乗っているというところです。
最後に、こういうチラシを作っているのですけれども、ここから最後の数分だけ私のいたずらで、皆さんに使ってほしいところをこの絵の中にも、地方の生活がよくなったらいいねとか、こういう絵をそっと忍ばせて、その権能としてデジタル公民館や道の駅2.0のイメージを、ウォーリーを探せではないですけれども、こういう遊び心も持ちながら、こういう絵を使ってしっかりやっていこうというところで、心折れずにやっております。
今月末には、この実現会議を進めながら、一部の方には委員をお願いしておりますし、当然ながらワーキンググループをこれから組織して、この中でしっかり議論しようというところで、私からの政策説明は以上でございます。
石田座長: ありがとうございます。
これから自由に議論をいただきたいと思います。
ウェブで参加の委員の方も、手挙げの機能を使っていただくか、あるいは直接発言していただいても結構でございますので、お願いいたします。いかがでしょうか。どなたからでも結構です。
村上統括官: では、皆さんが考えている間に。
これは心を一つにしてやりますということと、ご紹介したとおり、モビリティワーキンググループ、モビリティ・ロードマップのワーキンググループを立ち上げますが、ワーキンググループを立ち上げた後、この実現会議の方に検討を依頼する話題を切り分けまして、同じ系統を2つの場でやらないように、実現会議に投げたのは実現会議で検討して、その結果、帰ってきたタマをまたモビリティ・ロードマップのほうで拾ってやる。ロードマップは全省庁が取り組むべきアジェンダを整理するものでございます。もし、実現会議に投げないけれども、モビリティ・ロードマップで検討しなくてはいけない話が残っている場合は、それについてはこちらで継続検討する。そういう立てつけで次の半年もしくは1年動かしていくことを考えておりますということだけ申し添えます。
石田座長: ありがとうございます。
10年を一応の目標として、全省庁でモビリティというものが表すものを幅広く議論していくということです。
村上統括官: 皆さんに最後にご紹介しますが、4回の予定だった研究会を5回目をすることになってございまして、そのうちの理由の1個が、国交省さんにも地方の公共交通ということで各省をまたぐ枠組みを立ち上げていただくのですが、それも論理的には同じような関係になりますので、ぜひご説明をお願いしますということで、この場でも各省と挙党一致体制でやっていきます。
石田座長: ありがとうございます。
甲田委員からお願いいたします。
甲田委員: 非常に興味深いお話をありがとうございました。
まず、人間がやらなくてもいいことをデジタル化でより簡素化、それから安全性を担保できるというところはすばらしいなと思ったことと、コミュニティー機能を持たせることで、ラストワンマイルのところはこれまでどおりの安心性が担保されるところがすばらしいと思いました。
一方で、特に中山間地域等々にこういったモビリティが利用されることが非常に多い中、高齢者の方々等々がラストワンマイルの方にいらっしゃる方だなと思っていて、そういった方々にモビリティというツールではなくてサービスというふうに見せたときに、どういうふうにこのサービスを利用できるのか、それによってどう暮らしが豊かになるのかというところをどういうふうに伝えていくのかというところが非常に重要で、そうでなければ、先生がおっしゃられたように犬にパンを差し出すということになりかねないなと思ったことが1点。
それから、平時のサービスを転用して有事のときに備えると。これもまたすばらしいなと思ったところではありますが、まずデジタルをより活用するということになれば、有事のときにデジタルが機能しないとか、ネット環境が壊滅的な状態になっているというふうになったときに、今こそ使えなければいけないではないかということにならないための第2の手、第3の手は考えておく必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
石田座長: 一わたりご質問とかコメントをいただいてから、和泉室長にお願いできればと思います。
秋本さん、お願いいたします。
秋本構成員代理: JUTMの秋本でございます。ご説明ありがとうございました。
デジタル全総に非常に期待しておりますので、がんがん進めていただければと思います。
特にドローンの分野で、日本無人機運行管理コンソーシアムの鈴木委員の代理で今日来ております秋本でございます。
ドローンの分野はいろいろな補助金等がありまして、実装実験をやるのですが、やはり実証疲れで、8割は多分失敗しているだろうと。2~3日飛ばして終わっています。そういう状況で、何のデータも収集できないし、それが次の制度に反映もできていない。そういう状況がずっと続いてきていると思います。それが、10年スパンで、いわゆる実証ではなくて実装、それとインフラとか、地域に根づかせるというところのプロジェクトを進めていただけるということで非常に期待しております。
3点話題があるのですけれども、これはうちの反省なのですが、私は福島ロボットテストフィールドの副所長もやっているのですけれども、そちらのほうで、テストフィールドですのでいろいろなデータを集めなければいけない、安全管理もしなければいけないということで、運行管理システムを導入しておりますけれども、誰も使わないということです。あるだけで使わない。運用をしていない。当然、そのシステムから得られるデータも全然活用できないということで、使うということのルール、エンフォースメントをきちっとやっていくことが重要かなと。例えば利用者の方は運行管理システムに加入してデータを残してくださいというふうなルールをつくらないので、なかなか使っていただけないというところでございます。その辺を反省しているところでございます。
2点目につきましては、ドローンだけでなくて、モビリティ全体を捉えると、海の上は、当然、無人の船とか、水中のドローンとか、いろいろなモビリティがいっぱいあります。そういう意味で、今回は陸の自動運転とドローンということですけれども、海洋国家日本ですので、海のほうのモビリティも将来的には連携していただけると、内閣府のほうでAUVの官民プラットフォームをつくっておりますので、そちらで戦略を練っております。今、議論が遅れておりますので、そちらの方にもデジタル全総、そういうコンセプトを展開していっていただければありがたいなと思っております。
3点目は、ご説明の中にありました通信のアーキテクチャです。特にドローンとかは空を飛んでいますので、離れ業で通信につなげなければいけない。そこにLTEとか、ロボット用の電波も総務省で提供する電波がありますので、それらの無人の画像伝送システムという無線局免許というものが制度化されておりますので、それとか、あとWi-Fiの2.4ギガ、IMSバンド、衛星回線もあります。いろいろな通信があるのですけれども、それぞれのオペレーションによって、通信が届く、届かないというのが当然ございますし、通信インフラがちゃんとあるかというのと、あと、通信の特性ですけれども、伝送容量と遅延とか切れない、信頼性、そういうのを考慮しながら通信のアーキテクチャをきちんとつくっていただけると、同じエリアに何百機飛ばすのか分かりませんけれども、そのときにチャンネル数が足りないとかデータ伝送容量が足りないという問題が出てきますので、そういうところのアーキテクチャについてもご検討いただけるとありがたいと思います。
以上でございます。
石田座長: ありがとうございました。
ウェブから山本さんが手を挙げておられます。お願いいたします。
山本構成員: プレゼンありがとうございました。
8ページのデータ連携基盤の実装のところなのですけれども、もちろん人流、商流、物流と、サービス視点で整理をしているのは非常によいと思うのですけれども、もう一つ、その前に道路、移動空間がどう使われているか。これからは先ほどのドローンがあると思うのですけれども、まず道路がどう使われているかというデータ整理がないと、デジタルのPDCAのチェックができませんし、これをやっていかなければいけないと思うのですね。
日本は、1970年、1980年代に道路整備を大々的に行ってきたのですけれども、国道や県道や市町村道がどのように使われているか、需給のマネジメントをITを使って網羅的に行われているかというと、そうではないと思うのですね。
前回、石田先生が言われていた快適・安全な道路空間を実現していく上でも、道路の需給をマネジメントして、CO2削減や交通渋滞を減らしていくとか、また、道路の補修を効率的に行うとか、将来のロードプライシング、これはまだ分からないですけれども、車、歩行者、自転車、最近は電動スクーターとか、これからは自動運転の車とかロボットが、いつ、どこで、どのくらい、どのように、どのようにというのは速度で通っているのか、このデータをしっかり網羅して把握していかないと、点を面にして、それをどういう優先順位でやっていくのか、どうよかったのだ、悪かったのだというのが分からないと思うのですね。これは、鉄道とかバスの利用情報とか、時刻表とか、こういうMaaS情報とは区別して、まずこれをしっかり整備しないといけない。
私、前に自動車会社に勤めていたのですけれども、プローブ情報をマネタイズする仕事をやっていました。今は、プローブデータを活用すればどの交差点で事故が起きやすいか、どの道路が滑りやすいとか、どの道路にでこぼこがあって補修をしなければいけないとか、こういうものがきちっと取れます。こういうのを公的に全部でしっかりみんなで整備していかないと、いろいろつくっても、どこからどう手を付けて、結果、それでどうなったのだというのが分からないと思うのですね。
確かに、これを個人情報保護とか、データ提供側の大義とか、誰がオペレーションをしていくかとか、いろいろな課題がありますけれども、これから10年を見たときに、今からでも遅くはないので、利用者サービスの視点に加えて、データ連携に加えて、道路がどういうふうに利用されているかという整理をぜひこのモビリティ・ロードマップの中に入れていただければと思います。
以上です。
石田座長: ありがとうございました。
村松さん、お願いします。
村松構成員: 発表ありがとうございました。
一言だけコメントなのですが、後段で私の発表をさせていただくのですが、ラストマイルの部分で多々連携させていただけることがあるかと思っています。ぜひシームレスにそういった環境をつくっていければと思っていますので、引き続き連携させて頂ければと存じます。よろしくお願いします。
石田座長: ちょっと私からもよろしいですか。
2つあります。例えば19ページを見ていただきますと、今、山本さんがおっしゃったこととも絡むのだけども、物理インフラがあまり入っていないですよね。デジタルによって物理インフラをどう使い倒していくかということをもうちょっと強く主張されてもいいのかなと思いました。それが1つ。
あと、トポロジーで、そのモデルがどこでも適用できるということは本当にいい考えだと思っていて、勇気をいただけるのですけれども、それは距離とソフトの問題だと思うのです。ソフトが変わってくると人の気持ちが変わってきたり、あるいはトポロジーではなかなか対処できない多様な地域特性、これは世界展開を考えると、さらに地域のいろいろな特徴、天候をはじめいろいろなものをどう考えていくかということですね。その辺、細部だけれども、そこにも魂を込めていただければありがたいなと思いましたので、よろしくお願いいたします。
川端さん、お願いします。
川端構成員: 私は、惑星直列のときに子供だったので、惑星直列並みの省庁連携というのはすばらしいことだなと思って聞いておりました。天文ファンですみません。実際に、省庁の縦割りみたいなところでは超えてやろうとしているので、やっていく中ですり合わせがもっと出てくるのだろうなと思いながら聞いていました。
例えば、17のサイバー空間とフィジカル空間を連携するところがすごく重要で、先ほど石田座長がおっしゃったような、今あるフィジカル空間をどう使い倒すかみたいなところが重要だと思っています。時間の関係で簡単に触れていただいているとは思いますが、デジタル化の前に、今あるインフラのようなものも強化した上で、デジタルの良さを活用していく仕組みが必要だと思います。
例えば、私は今、山形・飯豊にあるモビリティ大学で教えているのですけれども、雪が降る地域だったり、東京と物理的に離れているので、東京と地方では前提がかなり異なります。そこの地元の経済圏があるようなところに行って、さらに基礎自治体の規模が小さいところに行ってみると、インフラそのものも場合によっては違っていたり、フィジカルなものも実は違っていて、あるものを使い倒そうとしても、そこにデジタルが乗る以前に整備が必要だったり、デジタルを使いこなす仕組みがなくて、私が東京の感覚でデジタルでああだこうだとか、こんな共有をしようみたいなことを言うと、そこで止まってしまうみたいなことがあります。大学のような組織のなかだけならすり合わせはできますけれども、先ほどの惑星直列並みと言っている省庁連携の中でそれをやっていくのは困難もあると思います。何か問題が起きたときの対処をクイックにやっていく仕組みが、連携ができているとはいえ、調整が大変だろうと思います。実際にやるときにそんなにクイックにできる仕組みがまだないと思うので、そういったクイックにできる仕組みとか組織とか人間関係の構築も含めてできていくと、ここの「スマートたこ足」と言っているこの辺りが大変大事かなと思って伺っていました。引き続き、大変だと思いますけれども、やっていっていただいたらなと思っております。
石田座長: ありがとうございました。
和泉室長、何かレスポンスがありましたら。
和泉室長: あくまでも事務方として話すのですけれども、まず中山間地域のモビリティ、あるいは地方特性がいろいろあるのではないかというところがあったのですけれども、これは後ほど、石田先生のコメントとも関係するので、もう一回言うことにもなるのですけれども、私自身、何でも自動運転で解決する、ドローンで解決するということは考えておりません。なので、公民館2.0の単位で地域特性を反映すべきというのは、恐らくデジ田の交付金との相性もいいのではないかと思っています。
先回りして、UTMの話の中であったのですけれども、僕は自動運転一本足でないというところのポイントは、例えばDADCの中で、IPAの中でもユースケースにしたのですけれども、すごい地方で公共バスの効率が悪いときに、公共バスに乗って病院に行って、さらにバス乗って薬局に行って支払いをして、それで家に戻るという3セットを公共バスに乗ろうと思うと、大体1時間に一本便なので3時間かかってしまうのですよ。そこをコロナで人流を止めようとしても止まらなかった。なぜなら、健康相談で処方箋をファクスしてもらったのですけれども、結局支払いにわざわざ乗っていた。3回バスに乗る代わりに往復だったという、そういう笑えない事実があったのですよね。
ここで、全国一律で、山形との話のアナロジーでもあるのですけれども、今からしっかり、デジタルインフラと言うと総務省に怒られるのですけれども、デジタルライフラインとして整備すべきは、高速通信、大容量、低遅延のインフラを今ないところをしっかり全国津々浦々に整備すると、まず物理的な距離が関係なくなるのですよね。
そこで、遠隔診療や行政サービスを受けられるようになると、動かすべきものは薬袋だけなのです。そうすると、公共バスを3セット乗る代わりにお薬の袋だけ動けばいいので、そこはドローンであってもいいし、誰かが自転車でポストに投げ入れてもいいわけですよねと。
後でも話すのですけれども、物理的インフラを使いこなすというところの裏側で、レガシーな物理インフラをダウンサイジングするというところが前提で、これからのデジタルインフラをフル整備していくというところがバランスが取れていないと、がんがん高速道路を今更、今更と言うと怒られるのですけれども、日本全国にはわせるみたいな議論に僕は加担するつもりはないのですね。
これは齊藤さんからの思いを僕は引き継いでいるのですけれども、水道みたいなレガシーインフラを効率的にどうダウンサイジングしていって、いいものに変えていくかというビジョンがないと、何とか族という人がこういうレガシーインフラをつくれと言って、だから、コンクリートの投資と言われてしまうわけです。
そういうITSのビジョン、モビリティビジョンというのは、1回目の議論を伺っていてもそうですし、そういう議論は皆様から多分あると思うので、これは経産省がやっていない、あれはITでしっかりやれとかではなくて、皆さんで思いが同じなので、そこを一緒に書いていきたいという思いであります。
これに関してもう一度、鈴木先生代理の秋本さんに申し上げると、特に僕たちが注意しないといけないのは、お花が好きな人がお花屋さんをしたら絶対にそのビジネスは駄目になるのです。ドローン好きとか自動運転好きな人がいっぱい集まっているのですけれども、僕たちがやらないといけないのはインフラなのです。その上で、活力のある産業を育てないといけない。
そのときに、先ほど申し上げたような、人を効率的に動かすというところを引いてみたときに、薬袋だけを動かす、あるいはeコマース発注、即時発送、あるいは発災時に非常物資がすぐ届くみたいな、平常時、非常時にもう少し視点を広げると、モビリティを効率化する以外の観点がいっぱい出てくると思うので、その中で使っていきたい。
その際に、今度は順番にコメントしていくと、UTMが使われないというのは、ある特定のトポロジーに対してのUTMであって、最終的な社会構造としてどうなのかというのはもう一度ご議論いただきたい。
例えば、アメリカの飛行場みたいな形で、人を全部配置できないような、無人の飛行場に独立したUTMがあるみたいなことを考えたときに、これは紹介しておくと、最初に鈴木先生にお願いに行ったときに、空飛ぶ車というのは航空管制と免許さえあれば好きに走っていいという道路行政を足し算することであると、もう天変地異であるみたいなことを鈴木先生が、そこをおまえたちがしっかりまとめるのであると重いボールが飛んできて現在に至る。恐らく秋本さんが言ってもらったのも、ある航空管制でのカスタムというか、慣習から見て妥当なUTMも、道路行政から見たら奇妙で仕方がないかもしれない。そういうものをITS改めモビリティのインフラとしてどうつくるかというのが、この研究会、あるいはそれをレジストリしていくデジタルライフラインの計画のポイントではないかと思っています。
そういう意味では、ドローンが陸・海・空が区別なくというところは、当然ながら3D空間のモビリティあるいは移動体というか、ムービングフィーチャーという言い方をするのですけれども、そういう言い方で考えると同じかなと思っています。
その際に、通信の話もあったのですけれども、先ほどの人が動くのか、薬袋が動くのかというのと同じように、当然ながら、無線のテクノロジーというのが見た目には格好いいのですけれども、さっさと有線の太い土管を引いて、ドローンで撮影した情報を上に上げるなんかをせずに、外のカメラから撮ってしまえば、これは釈迦に説法ですけれども、例えば阪神高速という金持ち路線の高速道路はもう監視カメラに死角がないのですよね。そういうインフラも既にできているわけですよ。そこにわざわざ事故情報を再現するためにドラレコの情報を上げるなんていう議論をして、無線の帯域を取り合っているというのは技術者として賛同できない。ビークルだけとか何とかだけと縦割りでテクノロジーを議論しているのでこういうばかばかしいことになってしまう。なので、もう少し幅広に全体感を持ってというのがアーキテクチャというところだと思っております。
その上で、山本委員からもコメントがありましたけれども、道路がどう使われているかというのはもちろん賛成なのですけれども、僕としては東海道や中山道の往来がどうなっているのかというところにあまりコストをかけるべきではないというのが、私の現時点のデザインラショナルでございます。
先ほど申し上げたとおり、都市間高速、都市内高速、都市内の幹線道、地方の道路というものがどうあるべきかというデザインに対して仮説を持って、それを実証実験しながら仮説修正していくというプロセスが大事で、まず中山道の往来を見てみましょうみたいなことをしてしまうと無限に時間がかかってしまう。僕はそれに対して否定はしないのですけれども、皆さんご案内のとおり、エスノグラフィーというアプローチは1年2年をちゃんとかけないとバイアスがかかってしまうのですよね。僕はアーリーハーベストというスピード感のあるプロジェクトをやるときには、エスノも大切なのですけれども、仮説を持って修正するというプロセスがより大事になってくるのではないかと思っています。
今の道路がどう使われているかを無視すればいいということではなくて、そこで石田先生からのお話もあったとおり、では、生活道路なんかをどうするのかというときも、地図で共有するということはやめたらどうかと。それこそデジタル情報で管理して、それでプローブを重ね合わせながら、今どうなっているのかという仮説との差分で現状を理解するみたいな調査的なアプローチであって、仮説検証アプローチであれば、山本委員のコメントも僕は満たせるのではないか。
そういうところで、道路の情報も3Dで持ちましょう、信号の情報も色を変えてそれをカメラで撮るみたいなことはやめて、もう通信でやりましょうとか、デジタルのインフラ前提に仮説を持ってやることが大切ではないかと。
その仮説を検証するという交付金のパターンがデジ田の交付金に一番相性がいい。あるいは、これまで仮説を持ってデジ庁も進められてきたところがこれからは一つになっていくのではないかと思っています。
それから、村松委員から、ラストワンマイルだけではなくて、先ほどの薬袋の話で言うと、ラストワンメーターみたいな、個宅にどう届くのかみたいなところを併せて一緒に議論できればいい。ぜひとも、DADCをエコシステムの場として連携させていただければというのはこちらからのラブコールでもございます。
それから、石田先生の物理インフラを使いますというのは、先ほども申し上げたとおり、物理的なインフラのダウンサイジングは大切なのですけれども、これは石田先生には別でも申し上げたとおり、僕は路面電車をアンチパターンにしたいと思っております。今のインフラ前提に、新しく専用道等の買収のコストがかかるからといって、そこに道路にも軌道を走らせてやると、電車もスピードが出ないし、自動車用赤信号で電車まで止まるみたいなことがあるわけですよ。それは、アーキテクチャが不備だというか、目先の制約に流されているということだと思うので、物理インフラを使い倒すときには、レガシーインフラをダウンサイジングしながら専用道あるいは専用インフラをどうつくっていくのかというのが論点だと思っています。
その上で、速度とか地域特性というのはデジ田の交付金で、距離のあるところ、あるいは人が乗っていない物流、即時発送というところでカラーを出していけば、僕たちの設計仮説が検証できるのではないかと思っています。
川端委員のサイバーとフィジカルのところもそうですし、そこが通信での、1回やってみたら分かるのですけれども、8Kの非圧縮のテレビ会議システムというか、遅延なしのテレビ会議をやってみると、僕も前職が学者だったのでやったことがあるのですけれども、お台場と札幌を8Kの非圧縮のテレビ会議で結ぶとジャンケンポンができるのですよね。普通にその場で会議できるような、場所の感覚が不要になる。それを個宅単位ではなくて、公民館2.0ぐらいまで配備すると、例えばそこがテレワークの拠点になるという形になっていくと、地方と中央の格差がなくなる。
そういうことを考えながら、天気に左右されないときに、今度はもう一つアンチパターンは山形新幹線のアナロジーだと思うのですけれども、仙台まで250キロで走っていくのに、山形線に入ったら単線で新幹線の通過待ちをする。線路があって人が飛び込んでくるから80キロまでしか出せないとか、ああいうことが僕はアーキテクチャミスだと思うので、しっかりそこをつくっていく。
そのときのポイントは、レガシーインフラの上に新幹線を走らせることが大切ではなくて、通信インフラというところの低遅延あるいは非圧縮の通信をしっかり考えていった上で、どういうデータが共有できるか、どういうアプリがつくれるのかというのが論点だと思っていますというところで、大体お返事になります。
石田座長: どうぞ。
村上統括官: 今後に当たる論点で3つ大事な点が出て、階層構造と、マネタイズ、ファイナンスと責任論、これだけをちょっと言わせていただきます。
階層構造というのは、生活を支える細街路、町のメインストリート、国道、高速、むしろそう積極的に言わないほうがいいかもしれませんし、会社によっては低速道路、中速道路、高速道路といろいろありますが、今後、ロードマップをつくるときに、別に単純に道交法を改正すればいいという問題ではないと思うのですけれども、道路分野の再定義は恐らく要るだろう。
階層構造を、今後ロードマップを導入するときに頭の整理として入れていくという決断をするかどうかは結構大きな問題で、道路は道路で、細街路でも国道でも道路は道路で、管理者が違うというところでしか現在は違いがございませんので、これをどうするかというのは今後議論しないといけないと思います。
2点目は、それをやるときに道路の機能論だけで階層構造をつくろうとしても無理があって、そこに需要という議論が要るのだというのが共通して出ていると思います。電力にもよく、概念的には低圧、中圧、高圧とありますね。やはり高圧で発電できて、高圧でそのまま受電するというのと、所詮低圧の世界だよねというのがあるのと同じように、交通需要にも生活を支える需要と、町のメインストリートクラスのものと、都市間移動を支えるものと、そこの需給を見ながら、最後はファイナンスなのだと思います。
ビジネスモデルのビジネスアーキがこの裏側についてこないと、機能論だけでシステムアーキを階層構造化しても、ビジネスアーキを書いたときにもちゃんとついてくる。それは、結果としてそれぞれのレイヤーの需給に継続するビジネス、裏返せばファイナンスがちゃんとついてくるという形になっているかどうかという問題だと思いますので、それを共通の視点として意識したい。基本はこの2つです。
最後、川端さんが一点言われた責任論はとても大事な問題でございまして、現場で政策をやってきた方はよくご認識かと思いますし、私も国家戦略特区でさんざん規制改革をやりましたので、実は最後、役人にとって一番つらいのは、好きなように議論していただくのはいいけれども、誰がけつを拭くと思っているんだよと、この話なのですよ。
ですので、きちっと動くロードマップをつくるためには、最後の責任論の着地点まで設計してあげないと、つくりたい制度だけつくって、責任は役所で取ってくださいといっても、責任を取り切れない制度論は役所は受け取りませんので、ここは政策を提案する側がどういう責任分担論にして、誰がどこの責任を取るのかというところまで落とし込まないものは実現しない。
国交省さん、警察庁さんもどんどん新しいことを本来やりたいのだけれども、最後の責任のところがよく分からないまま、よろしくとだけ言われるのは、逆に言うと役人は一番嫌いなので、その辺を文化として分かっていただけると、省庁連携だけでなく官民連携も進むかなと思いました。
以上です。
石田座長: ありがとうございました。
最後に1つだけですけれども、おっしゃるとおりだと思うのですけれども、我々はともすれば目的手段勘違いに陥りますので、最後のところは何なの、責任を取るために国民の強い支持がいるわけで、そこは常々考えておかないと、専門的になればなるほど自己目的化するので、そのことを私はずっと気にかけておりますので、この会議でもそういうことを貫いていただければなと思います。ありがとうございました。
それでは、次のご発表を村松さん、お願いします。
村松構成員: ロボットフレンドリー施設推進機構の村松と申します。よろしくお願いいたします。
本日は4点ございまして、そもそもロボットフレンドリーという単語を耳にしたことがない方がいらっしゃるかもしれませんが、その概要からご説明させて頂きます。2点目は、ラストマイルにおけるモビリティに関してお話しさせていただければなと思っています。
ラストマイルのモビリティとは何かと申しますと、エレベーターに乗ったり、フラッパーゲートをくぐったり、ちょっとした段差を越えたり、そういったところの検討状況をお話しさせて頂き、ロボットの協調制御に関してお伝えさせて頂いた後、最後に今後の課題をお話しさせていただければと思っていますので、お時間をいただければと思います。
始めに、ロボットフレンドリーって何なのだと申しますと、ロボットがシステム的にもハード的にも導入しやすい環境を指しております。
これまで個別でロボットが導入されている現場はあったのですが、個別にやってしまうと高価格だったり、本当に個別ユーザー向けのとがったスペックになってしまったり、汎用性がなかったりして、結局、社会に普及していかないようなものがこれまででした。この状況を、規格等を整備させていただくことでメーカーさんごとの仕様が統一化されたり、ロボットのタイヤの大きさは何センチだったら何を越えられるかといったものを定量的に可視化したりしながら、ロボットを導入するハードルを下げるお手伝いをさせて頂いております。ロボット導入のハードやソフトの規格が統一されることによって、ラストマイルの担い手がよりロボットを導入しやすくなるのではないかと考え進めさせていただいております。
そういったロボットフレンドリーな環境を実現するために、経済産業省さんとNEDOさんに主導していただきながら、ロボット実装モデル構築推進タスクフォースなるものが2019年にできました。そこから、施設管理分野、ラストマイル系のところで、私たちが独立させていただいて、今、エレベーターとか、セキュリティーとか、物理環境、群管理、この4分野で取り組ませていただいている状況になります。詳細は後述させていただきます。
最終的なビジョンとゴールといたしましては、労働力不足をテクノロジーで解決して、日本が誇るおもてなしのサービス的なところの質を下げない、はたまた、テクノロジーを使って向上させるというところをゴールに進めさせて頂いております。現在はロボフレな環境をつくるところの支援ですとか、ロボットの導入そのものの支援をいろいろな方々に協力していただきながら進めているような状況になります。
では、私たちがそういったビジョンを達成するためにどういった課題解決のプロセスを行っているかというと、どちらかというとボトムアップ型で、いろいろな困っている課題に対して、産業横断的な方々に集まっていただきながら解決していくという取組を行っております。
具体例のほうが分かりやすいかなというところでいくと、まず、共通の課題は何なのだというと、先ほどエレベーターの例をお伝えしましたが、例えば、あるお掃除ロボットはエレベーターに乗れません。なぜかというと、手がついておらずボタンが押せないからです。ではエレベーターを改造しましょうとすると、エレベーターを改造するのは1基300万から500万円かかります、といったときに、ロボットを1体導入するだけだと、費用対効果が出づらい。なので、ロボットとエレベーターを連携させた新しいサービスをしたいという人たちに集まっていただいて、会議体を組成し、どこが協調領域なのか、見える化を行います。ロボットを使う人や施設オーナーがエレベーターを改造したり、サービサーがどういうふうに清掃、警備、運搬等のオペレーションを組むか等、そういったところを議論いただきながら、関係者全員が一気通貫で協調領域と見なせる領域を具体化します。その領域を規格化することによって、最終的にはみんながコストメリットを得られるのではないか、規模の経済が実現されるのではないか、わざわざ現地に行って段差の高さを測ったり等の現地調査の手間が減るのではないか等、ボトムアップ型で皆さんの喫緊の課題を解決するといったプロセスで今取り組ませていただいております。
先ほど、業界横断的とお伝えしたのですが、会員の皆様にはデベロッパーの方々、メーカーの方々、サービサーの方々等、どこかに偏らないようにいろいろな方々にご支援いただきながら進めさせて頂いております。それこそ先ほどワードでも出ていましたが、プロダクトアウトにならないように、マーケットインの形でできるように、本当に使えるものをつくっていこうといったところで、皆さんで足並みをそろえてやらせていただいております。
これまでのご説明はプロセスのお話だったのですが、ここから、ラストマイルの課題を解決するために何をやっているかというところをご説明させていただければと思います。
まず前提なのですが、これまでの会話の中で割と運搬というのがメインにお話しさせて頂きましたが、私たちがサービスロボットと言ったときに対象とさせていただいているのがこの4つ、警備、清掃、搬送、案内になります。こういったところでこれからお話しさせていただきます。
こちらは、冒頭述べさせていただいたロボットフレンドリーのコンセプトの始まりの部分でもあるのですが、これまでP社、Q社、R社というロボットがいたときに、A社、B社、C社のエレベーターに乗ろうと思うと、3掛ける3の9通りの仕組みがありました。これを規格化することによって標準化されて、みんながこのプロトコルを使えばもっと割安に開発ができますよ、という土台をつくったのがこれまでの取り組みになります。実際に、ロボットとエレベーターが通信するときの通信プロトコルの規格をこれまでに策定させていただきました。
現在、そうやって少しずつ緊急の課題の解決を目指しているものの、正直、まだ全然進んでいない部分が多いです。なぜかというと、規格はできたものの導入事例はこれからで、皆様がふだん暮らしていただいている中でも、ロボットを見る機会はそんなに多くないと思うのですが、導入しようと思うと、まだいろいろハードルが高いです。ロボットメーカーさんを巻き込んで、エレベーターメーカーさんを巻き込んで、いろいろな方々を巻き込んで、ようやくこういったユースケースができる中で、全体のノウハウが分かっている担当者が少ないのが現状になります。この現状を打破するために、ロボットとエレベーターの連携に関する、導入・運用マニュアルを現在作成しています。
また連携規格のブラッシュアップや普及活動も、並行して実施しております。1つの現場でいいものができたとしても、それが広まらないと規模の経済は実現されませんので、広めていくお手伝いをやらせていただいています。
続けて、先ほどエレベーターの縦移動のお話をさせていただいたのですが、横移動についてもいろいろハードルがあると考えております。ラスト1メートルのような話が先ほどありましたが、おうちの前にロボットが着きましたといったときに、どうやって最後にピンポーンを押して、ロボットが物を置いて帰るといったところについても、そういった仕組みもちゃんと考えていかないといけないなというところで今取り組ませていただいております。
私たちが想定するユースケースとしては、比較的大きな施設を前提としているのですが、配送だけでなく、清掃、案内、警備ロボットが、各々どういった通行を想定しているのか、整理する必要がございます。
例えば床面清掃をやろうといったときに、どういったユースケース、どの扉をくぐってどこまで行ってとか、はたまた警備ロボットで外構部、屋外であったり、中に入ったり、それこそ雨が降っているときにどうするかのような、そういったところを考えながら今進めさせていただいているところになります。
改めて現状としては、先ほどエレベーターのほうで縦移動については一歩前進したものの、横移動についても前進させようといったところで、各施設の設備、それこそドアとか、フラッパーゲートとか、そういったものを含めて、最終的に横移動をどうやって広げていくかというところについて今取り組ませていただいております。具体的には今、規格とガイドラインの発行を進めさせていただいております。
続きまして、3点目です。何をやらせていただいているかというと、ロボットが導入しやすい環境の可視化をやらせていただいております。バリアフリーがいい例かなというか、対比できるかなと思うのですが、似たようなところでして、例えばレストランなんかに入っているロボットについては、数ミリの段差すら越えられないケースがあります。それはレストランとか、そういったところに限定すると最適化された構造になっていて、スムーズに動くし、目の前に何かがあるかという障害物と検知してスムーズに避けます。しかしながら、それはレストランの中であるから2ミリとか3ミリの段差を越えなくていいのですけれども、そのロボットが公共空間に行こうと思うと、ちょっとの段差や溝を越えないとそもそも物を運べない。そういった状況の中で、一歩ずつロボフレな環境を可視化していく取り組みを今進めさせていただいておりますというのが、物理環境特性分野になります。
現在例えばロボットメーカーさんが3社いらっしゃったら、みんながみんなで3回同じ場所に行って、3回同じ計測をして、3回同じ試験をしているケースも少なくないと認識しております。物理環境がちゃんと可視化されていれば、この段差は5ミリだからうちのロボットは大丈夫だとか、わざわざ行く手間を省けるとか、導入のコストを下げられるのではないかと考えております。加えて、施設オーナーさんなどのロボットを使うユーザーにおいても、こういった見える化が進めば費用対効果が出やすかったり、導入についてもハードルが下がり、このロボットはすぐ導入可能と判断できるなど、導入スピードの部分でも効果があるのではないかと考えております。
現状の背景としては、今、個社でやってしまっている部分を、可能な限り標準化、規格化して、見える化していって、いろいろな関係者の方々が可視化したメリットを享受できるような環境をつくっていこうといった取組をやらせていただいております。
続きまして、集中管理(群管理)です。こちら突き詰めていくと、ラストマイルの群管理においては、どうやったらロボット同士をお見合いさせないか、どうやったら渋滞させないか、そういったところが大事なのだろうと思っています。
よく言う例え話で恐縮ですが、群制御されていない場合、お店から出ていくロボットとお店に入っていくロボットが鉢合わせをしたら、人間だったらよければいいのですけれども、ロボット同士だと、それが群制御されていないとお見合いして止まってしまう、ということが簡単に起こってしまいます。今はロボットの実装がまだまだこれからなので起こっていない問題ですが、これがちょっとずつロボットの実装が進んでくると、人間だったらすごく簡単にできることがロボットにはできない、お見合いしたときにお互いに避けることができないといった状況が発生します。この問題を解決するために、群管理、協調制御をすることを進めております。
そういったときに、群制御というところで、領域的に3つの標準化の可能性があるのかなと思っています。1つ目が、システムな話になりますが、仮に一つの施設、一つの町にロボットプラットフォームを1個入れましたといったときに、ある都市ではXというプラットフォームを使っていて、あるところではYというプラットフォームを使ったときに、A、B、E、Fで通信仕様が違ってきますよとなると導入やロボットのシステム改修が大変です。それこそ、各々カスタマイズしなければならないのでコストアップになります。なので、協調領域の一つの可能性としては、どんなプラットフォームであったとしても、ロボットとやり取りする通信の内容は一緒でもいいのではないか、というところを検討しております。
2点目としては、施設間とか都市間とか、いろいろな間の連携といったときに、プラットフォーム間の連携についても標準化できる可能性があるのではないかと思っています。
最後、標準化領域③で書かせていただいているところは、本当にアナログの世界で、極端な話、ロボットは右側通行してくださいとか、エレベーターホールに入れるロボットの数は1台までにするとか、そういった本当にアナログな運用を整理することによって近々の課題を解決できる可能性があるのではないかと考え、検討を進めております。
ボトムアップ的に近々取り組んでいる4つの課題というところをお伝えさせていただいたのですが、最後に、もうちょっと中長期にこんな課題に取り組んでいますといったところをお伝えさせていただこうかなと思っています。
1つ目は、ビジネスです。ビジネスがないとロボットが広がっていかないですし、費用対効果を実現させることが重要だと考えています。先ほどの例で、エレベーターを改造しようかというときも、1つのロボットとか1つのサービスだけだと費用面で合わないことが多いです。1社が1つのサービスを行うために、1基500万円の改修費用を支出するのですか、と。2つのサービスがあれば、割る2なので250万ずつ、割る3だったらみたいな話で、どんどんロボットを活用したサービスが広がっていくと、シェアリングすることで費用対効果が出しやすくなります。ちょっとずつそういったユースケースを増やしていくというところが大事な中で、ビジネスをつくって広げていく支援をさせて頂けたらと考えております。
かつ、それを実現するためには、共助と公助の部分が重要だと考えます。先ほどラストマイルの話で、公共空間においてはデータがあります、一方で施設内や屋内に入ってきたらもうデータがないので何もできません、では、ロボットが止まってしまいます。つまり、一気通貫にサービスができず、最後のラストマイルの部分で人に手伝ってもらうことになり、結果人出が減らずコストダウンできない、といったことも発生し得ます。なので、一気通貫でサービスとかデータとかインフラを検討していく必要があるかなと思っております。
続きまして、責任分界点のところです。こちらは本当に難しい課題だと考えております。仮にロボットがエレベーターから出ていくときに、ロボット同士がお見合いしましたといったときに誰のせいなのだと。どちらかのロボットのせいなのか、それを管理しているエレベーターのせいなのか、それを司るビルOSのせいなのか、と。たくさんのステークホルダーがいる中で、誰がどういうふうに責任分界点を切り分けていくのかというのはかなり難しいのかなと思っています、また、今お伝えした運用面のほかにも、ロボットを誰が所有するのか、自治体なのか、施設オーナーなのか、サービサーなのか、いっぱいいる中で一歩ずつ整理していきながらやっていく必要があるのかなと思っております。
最後、一番キーになる部分ですし、これは本当に簡単にはいかない部分だともちろん理解していますが、社会受容性を醸成していくことが一番大事だろうと考えています。ロボットというのは完璧ではないです。ただ、人間も完璧ではないと考えております。例えば小さくてゆっくり動くロボットより、歩きスマホのほうが危ないのではないか、と。小さいロボットが通行していても、ぶつかっちゃったで済むのではないかなと。ロボットに完璧を求め過ぎると、費用が高くなってコストが高止まりしていくので、完璧でない部分もお互いに認め合いながら分業・協業しながら進めていくことが大事なのではないかなと考えております。そういったところで、和泉様の発表ともつながるのですが、私たちも最後にキャッチーな絵を提示させて頂きます。こんな世界観が描けたらなと。いろいろなところでロボットが動いていて、皆様の生活にご協力していくという将来をつくっていければなと思っていますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
石田座長: ありがとうございました。
それでは、自由に議論してまいりたいと思います。ウェブの方もよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
齊藤構成員: 村松さん、どうもありがとうございます。
DADCでも、サービスロボットを検討していたのですけれども、どういうことを検討したらいいのかというのがなかなか定まらなくて、今、止まっています。
一方で、ビルOSの世界、スマートビルってどういうものかという中に、やはりロボットも含めて考えようみたいな動きがあります。
先ほどおっしゃったような、例えばエレベーターとの連携に関しては、入退室の管理に対しては、逆に言うと、ビル側で例えば人の管理をしていたのと同じように、ロボットの認証みたいな、そこも同じようにしなければ駄目だから、ロボットにIDをつけながら、それがオーケーであるかないかという確認情報が来て、このロボットはちゃんとしたロボットですよというのを認識して入退室を許可するようなことを考えなければいけないというような議論を同じようにしているのです。
今、ここでやっている話は、ある意味ではスマートビルの世界で一緒に議論すると、個別のロボットでの解決策とは別に、ある建物の中での解決策というものができるので、そういう議論をさせてもらったらいいなという話が一つです。
もう一つ、先ほどロボットがかち合ってお見合いしますみたいな話があるのですが、あれはドローンも同じなのです。実は、ドローンそのものも運航管理が別々にあって、ある瞬間にそこに突入していくとぶつかるかもしれない。そういうときに空間IDに各ドローンの計画や現在の位置を乗せる情報をつくって、空間IDで、例えば私が飛ぶ航路はこうなっていて、ある瞬間にここに到達するという情報をリアルタイム性を持ちながら認識しておくと、そうすると、そこに入ると危ないのでちょっと待とう、ちょっと回避しようというような、運航管理、ルート管理みたいな話を考えていくということをやっているのです。
恐らくサービスロボットも、今、運行管理の事業者がいろいろいて、そこを全てを個別事業者が合わせながらやっていくのか、それとも、ある特定の空間をみんなで共有しながら、そこに自分は何時何分に入るから大丈夫かという確認をお互いにしながら突入していく、そんなモデルにするのかみたいな話は、アーキテクチャをどうつくるかという話です。恐らくそういう議論は、事実上、ロボットを動かす世界であれば、同じようなアーキテクチャにしたほうがいいので、サービスロボットもドローンのチームが自律移動ロボットでやっている全体像の中で、例えばどういう安全・安心な世界をつくろうとしているかというのを考えていったらいいのではないかと思いますというのが2つ目です。
3つ目に、そもそもサービスロボットを含めて、IoTの世界でセキュリティーも含めたガバナンスの仕掛けみたいな話が必要です。逆に言うと、ロボット単品、ロボットフレンドリー協会が対応しているところだけではなくて、例えばデジタル庁がこれから当たっていくようなデータ戦略の延長線上に、IoTのデータを活用したデータを利用する際にほとんどに大丈夫なのかという話が出てきて、恐らく協調領域をどう設計するかというところが出てくるはずです。これは経産省の担当する範囲に限らず、デジタル庁の担当する範囲も同じようなサイバーセキュリティーで共通的に考える話があるので、恐らくそういうところとの連携みたいな話をこれからデジタル庁を中心にして村上統括官に考えてもらってやったらいいのではないかと思います。
先ほどの話の延長ですが、屋内に入っていろいろなサービスロボットがそれぞれ勝手に、例えばさっきのバリアフリーのような状況がどうなっているかみたいな話を個別に調査するような話がありますが、そのときにはビルOSでは空間情報というのを共有するような話があります。
だから、どこかで例えばサービスロボットがそこを認識したら、その情報を共有ができる空間に乗せて、それをほかのロボットが見ながら制御し、また自分が認識した新しい状況をそこに乗っけていくみたいな、そういう空間情報の共有化みたいな話を考えているのですが、そういうものも、データは誰のものという議論の中で、公的な部分で協調領域みたいなものをつくっていくことが必要になっているので、そういう話も含めて、データ戦略の中で恐らく議論してもらえればと思います。
先ほど、山本さんがITSのところで見える化みたいな話をしていましたね。いわゆるモビリティの見える化。だから、モビリティの見える化みたいな話が、今の自律移動ロボットも同じで、先ほどは道路の混雑状況把握のイメージだったのですが、今度は空間にあるロボットの見える化をどうするかという話で、人との衝突回避みたいな話も含めて、ロボットと人の位置状況が今どんな混雑になっているかというのも本当は共有したほうがロボットのルートは決めやすいと思います。そうすると、それは協調領域で持っていたほうがいいということになります。
だから、今はどちらかというとデジタル庁データ戦略には、一般の実際の民間のデータをどう扱うか、リアルデータをどう扱うかという議論はあまりないのですけれども、本来、パブリックとしてそういうものはいろいろな国民サービス、いいサービスをするためには、匿名化して使える形にするような話が私はあってもいいと思います。そんな議論を進めていきながら、先ほど山本さんからあった、実際の需給状況が分からないと検証できないですから、そういうのを捉えていくような話をしていったらいいのではないかと思います。
これは、逆に言うと、今回のこういうデジタル庁がやる場でデータをどう扱うのかということを検討することも必要と思います。プライベートの人たちが持っているデータをパブリックデータとして活用できるのだったら、そういうデータに上げたほうがいいのではないかという話をデジタル庁の場でやっていって、それを省庁横断で活用できる環境をつくったらいいのではないかと私は思います。
以上です。
石田座長: ありがとうございます。
いかがでしょうか。どうぞ。
川端構成員: 非常に整理されていて分かりやすかったし、課題がすごいしっかり把握できていること自体がすごく大事かなと思って聞いていました。
私は、女性で技術系の委員というのが少ないせいか、モビリティとかいろいろなところに細かく呼んでいただいたり、細分化して呼んでいただいたりすると、それぞれの分野でそれぞれに一生懸命議論しているのが現状で、それをロボット単体ではなくて、先ほど齊藤委員がおっしゃったようなドローンも含めて全体感で見ていくというのが一つ重要かなと思いました。
あと、需要側から見て、これを使う側、サービス側からすると、例えばロボットフレンドリーは実は人間フレンドリーでもあって、私、育児をしていたときにベビーカーを利用して行けるところは結構限定されるのです。そういった意味では、人間の中で、もちろんハンディキャップを持つ人でも、ロボットフレンドリー環境が整備されれば、例えば目が見えない人がスマホとかちょっとしたセンサー系の機械を入れることで、このビルの中は歩きやすいみたいな環境とかガイドしやすい環境をつくっていけるのです。
ロボットフレンドリーな環境をつくったときに、たくさん使ってもらう人がいないとなかなか資本が入ってこないみたいなことが発生するので、そういった意味では人間フレンドリーみたいなサービスの価値もつくっていけるとすごくいいのかなと。人間が使っていくと、人間の人流をロボット側も今度見られるようになるので、そういった意味では、ロボットフレンドリーが増すことにもなると思います。
それと、いろいろなサービサーに乗ってもらうときに、私がロボットを使ったサービサーになると思っていない人たちがまだあふれかえっています。なので、例えば、別にやってほしいと言っているわけではないのですけれども、ビルの上下の移動はエレベーターで管理してもらっているのに、ロボットが入ってきたときに同じ階での物流とか移動というのはロボットを使う人の負担というよりも、例えばロボット管理費みたいなものを入れてしまうビルみたいな構想もあってもいいのかなと思いました。
そうなったときに、そこに入居したからには使わないと損だから使うみたいなサービサーがいて、ちょっといけているビルだと大企業が入ってきてくれるので、実験的にそれをやってくれると、一番上の会社がやってくれると裾野のサービサーの人たちも、もしかしたらロボットを使ったサービスはうちの業界もありかもみたいな感じで乗れるのではないかなと、勝手に妄想を膨らませてみました。
まだ始まったばかりだと思うのですけれども、こういったものは今の生まれてきた子たちが大人になったときは完全に労働力不足になるので、しかも単純作業で病んだりとかしないようなことを次の世代に残してあげたいなと思うので、ぜひそんな感じのことを考えていけたらなと思いました。
石田座長: ありがとうございました。
いかがですかね。どうぞ。
秋本構成員代理: 秋本でございます。ご説明ありがとうございました。
私はドローンの方に関係しているのですけれども、フレンドリー、いわゆる人との調和というか、共存していくような、閉空間か、オープンな空間か分かりませんけれども、そういう中で安全性とか信頼性の辺の問題が出てきて、今回、屋内のロボットなのだと思うのですけれども、こちらの登録みたいなものはあるのでしょうか。ロボットの登録制度みたいなもの。
それと、責任保険みたいなものは、例えば自転車でも責任保険ではないですけれども、対人とか、損害賠償の特約がついているようなものがあると思うのですが、そういうところの制度設計をされているのでしょうか。
実は、私、ドローンをやるときに、最初の官民協議会で何を言ったかといったら、ドローンも登録制ではなくて、登録税と重量税、いわゆる原資がないとインフラの整備ができませんと。特に、登録税というのは国税で、国のほうが研究開発とか、そういうものに充てるための登録税。重量税は地方自治体の方に、社会実装するところにはいろいろなインフラを整備しなければいけないし、担当者を置かなければいけない、いろいろなことが起こるので、そこに当然原資が必要になってくる。そういうのを踏まえて、登録税、重量税をつくって、きちんと社会インフラを整備していくためにはそれを充てていくということを提案したのですけれども、財務省が認めませんという話で、結局ぽしゃったのです。
ビルの中でも当然そういうことが起こると思うのですけれども、協会のほうでお金を集めて、そういうのをやっているとか、責任保険というのを当然整備していかなければいけないので、その辺はどういうふうになっているのでしょうか。ちょっと教えていただければと思います。
石田座長: 日高さん、お願いできますでしょうか。
日高構成員: ロボットのお話は専門ではないのですけれども、今日、インフラもしくはアーキテクチャのお話に通ずるところなので、ぜひ村松構成員にお伺いしたいのですけれども、ロボットが動いたりする中で、デジタルで動くと。やはり環境のインフラで考えると、安全性をどう考えるかといったときに、100%安全というのはあり得ないので、例えばフェールセーフの設計にしておいて、故障があれば止まる、だからいいという話もあれば、そうはならないけれども、低速だからぶつかってもいいのではないか、もしくはそれを保険で賄えばいいのではないかとか、導入されるときの立てつけというか、それによって必要なセンサーとか必要な運用方法も変わってくるのかなと思っています。
特にインフラとなると、走れればいいというケースもあれば、止まってはいけないのだというものもあって、それによって全体のアーキテクチャと考え方とかシステム系が変わってくるのかなと思ったのですが、その辺りを取り組まれていて気づかれたこととか、参考になるところなどがあればご教示いただければ幸いです。
以上です。
石田座長: 甲田さん、どうぞ。
甲田構成員: ありがとうございます。
私のほうからは質問ですけれども、ロボットフレンドリーで完璧を求めないまでも、例えばロボットがエレベーターとぶつかってエレベーターを壊したというときに、ロボット側の責任なのかとか、逆にぶつかってロボットが壊れたといったら、エレベーターを運用しているところの責任なのかとか、人とぶつかってロボットが壊れたら人の責任なのか、人がけがをしたらロボットの責任なのかみたいな、責任の取り方をどういうふうにして管理していくのかなというところが1点質問です。
もう一つは、ロボットフレンドリーで、当たり前にロボットがその辺を普通に行き来するような時代になったら便利だなと思うものの、逆に、不審者ならぬ不審ロボットみたいなのが普通に執務室に入ってきてデータを取られてしまうみたいなことになったら、起こり得ないための対策はどういうふうに考えられているのか。その2点を教えていただきたいと思います。
石田座長: 波多野さん、お願いします。
波多野構成員: 村松さん、非常に分かりやすいプレゼンでした。ありがとうございました。
ロボットの取組は、今日改めて見せていただいて、自動運転の取組にすごく近いなという印象を持っていまして、ほぼほぼの課題は、事のシビアさというのは大小あると思いますけれども、共通の部分が多いなと非常に感じました。自動車のノウハウも利用していただければ大部分が解決できるような印象もありましたけれども、今日お示しいただいたことに2つ質問があります。
標準化を非常に積極的に取り組まれているということですけれども、自動車も標準化を非常に気にしてやっていますが、ロボットの領域というのは、今、用意されているような標準を積極的に国際に打ち出していくような取組をやられているのかどうかというのが一つ質問です。
もう一つは、周辺の利用者の方との共存が非常に期待されているところで、これは自動車側も特に自動運転は自分で何とかするのは限界があるので、共存という観点でいくと、周辺交通参加者との役割分担みたいなところは非常に期待したいところですけれども、そういったことのプロモーションといいますか、周辺利用者の方に対して情報提供もしくは教育の徹底みたいなところで、何か取組の事例としてお持ちだったらぜひご紹介いただきたいと思いました。
以上です。
田中構成員代理: 東京電力パワーグリッドの田中でございます。岡本の代理で発言させていただきます。
先ほど齊藤構成員から言われましたけれども、ビルOSとつながったらどうなるのかという話と、エネルギーで見たときの需給はどうなるかという観点から少しご説明させていただいて、ご質問をさせていただきたいと思います。
例えばソフトバンクさんのビルではビルOSでいろいろなカメラとかをつけて人を捕捉できるという話もあり技術は進んでいます。また、今後ロボットがたくさん出てきたとき、フレンドリーという話であれば、人がちょっと邪魔だなど、ロボットに対して気を使わなくてはならないという話になったときぐらいの話なのですけれども、そうしますと、ビルOSの中でエネルギーを、この時間、例えば昼間に太陽光が出ているときは充電しておいてくださいというのをビルOSが出したがるのですよね。
そうなると、ロボットが好きなときに好きなだけ動けなくなると、これはロボットが主語なのですけれども、そういう時代になることを考えると、実は私ども電力会社は地域の再エネを地域で使おうとか、それは大きなところではなくて、小さいもの、EVとか低圧のところまで広げようとしています。地域のカーボンニュートラルとか地域のエネルギーの需給バランスということを考えたときに、ビルが大きな点の基点になって、実はロボットもエネルギーリソースとして考えていかなくてはならないという話を、今ちょうどエネ庁さんと議論し始めるところなので、近い将来、どの程度押し上げておくべきなのか、もうちょっと先でいいのか、その辺をコメントがありましたらご教示いただきたいと思います。よろしくお願いします。
石田座長: では、村松さん、たくさんありましたけれども、お答えいただけますか。お願いします。
村松構成員: 総論的にお答えさせていただきます。
まず、キーポイントになるのはビジネスかなと思っています。今、示唆に富んだ内容をたくさんお伝えいただいている中で、やはり費用対効果があるかとか、コストをかければ絶対にできるけれども、それを本当にスケールさせようと思ったときに、一番重要になるのは費用対効果になるかと思っています。コストを下げることに主眼を置いたときに、例えばロボット同士が鉢合わせして止まってしまう事象に対して、何が一番コストをかけずにできる方法なのか、検討することが重要であると考えております。ただ、先ほど最後に述べさせていただいたとおり、ビジネスの観点はまだ正直練られていない部分があるので、本日コメントをいただいた内容を踏まえて今後検討を加速できればと思っています。
2点目としては、どれだけステークホルダーを増やせるか、自分の視野を広げられるかという点です。何かというと、先般、日高委員の発表からもあったとおり、行政や、ユーザー、サービサー等、たくさんのステークホルダーがいる中で、この人たちも経済圏なんじゃないかとロジックを組み立て、巻き込んでいくことが重要になるということです。先ほどコメント頂きました、ベビーカーをご利用頂いている方々にとって段差の状況が可視化されることはうれしいね、というのはとても良い事例かと思いました。ロボットという狭い視点で見ていると、それだけで費用対やビジネスを考えてしまうのですが、施設としての利便性が上がるよねとか、町として本当にいい町だねというところまで広げていくと、経済性の評価も出しやすいのかな、巻き込める人たちを増やせるのではないかなと思いました。そういったところも今後検討の幅を広げていきたいと思いました。
そういったときに、不審ロボットを除外する等の登録制度の話にもつながってくるのですが、登録制度についてはまさに今検討しています。これを検討する中で、より広い視野を持って制度を検討する必要があると学ばせて頂きました。今はまだロボットがそれほどありふれていないので現状登録制度を検討しているところなのですが、やっていかなければいけないという課題感はありますし、注力していかなければいけないと考えております。
また私たちが標準化を進めていく中で、国際化についても1つの重要なトピックであると認識しております。特に、ロボット領域はアジア勢が強いです。欧米等はまだ市場ができ上がっていないのですが、シンガポールですと、ビルOSといったところについて彼らは整備を進めていると理解しております。そういった海外とも協調しながら、日本としてどういった領域を担っていくかということについても、検討や交渉していく必要があると認識しておりますし、微力ながら力添えさせていただければと思っております。
電力については、まだ導入されているロボットは少ないので、喫緊の課題にはなっておりません。しかしながらロボットにできることが増えてくると、この問題は重要になってくると考えます。先ほど通信のお話もどこかであったと思うのですが、やはり4Gでは駄目で、5Gでないと通信量が足りなくなるという話がいずれ出てくるというのと同様で、ロボットが高性能化すればするほど、電気的な課題は増えてくると考えます。なお、現状電力周りのロボットの課題と致しましては、充電器が挙げられます。ロボットが10台あったときに充電器を10種類、10個用意する必要が現状あるのですか、ロボットを10台も並べたらスペースがなくなってしまうため、充電規格を統一化したり共有化したりする必要があると認識しております。
石田座長: ありがとうございます。
ちょっとだけ私も発言させていただければありがたいと思うのですけれども、サービスロボットはばっと広がっていくと思うのですね。さっきは、めでたくサービスロボットとドローンの連携が成立しましたけれども、宅配ロボットも実装を目指して安全基準とかいろいろな検討をされていますので、そういうこともお願いできればなと思うのですね。そういうことを考えていくと、齊藤さんがおっしゃったように、全体がどういうアーキテクチャの下で考えていくのだということは本当に大事だと思うのですね。
今、民間にしてくださいというのを、ロボットフレンドリー施設推進機構であり、宅配もそうですし、ドローンもそうなのだけれども、そういう自助とか共助の世界は大事なのですけれども、お金をかけずに国ができることはあると思うのですね。公助。そういう意味で齊藤さんのおっしゃったように、そういう大きなビジョンとか構想はデジタル全総の役割でもあり、モビリティワーキンググループの役割でもあるのかなと思います。
ちょっと話題が変わりますけれども、国土交通省と公共交通を、本当に惨憺たる中で危機を迎えているという中で、担当課長がこの前、国はもうちょっと前に出ようみたいな発言をしていましたので、そういうこともぜひお考えいただければありがたいなと思いました。
村上さん、どうぞ。
村上統括官: 一言だけ補足をすると、工場の現場とか産業の現場では恐ろしいぐらいロボットは既に使われているのに、何で市民生活でこんなに使われていないのだというギャップをもっとアピールしたほうがいいと僕は思っています。端的に言うと、やはり責任論なのです。集中管理すべき主体と、それによる分散協調管理はもう実現しているのですけれども、市民生活になった瞬間に、集中管理センターは誰がその事業リスクを取るのだというところが誰もはかれないのでやらない。
ですから、本当は自動走行でもドローンでも同じ問題は出るのですが、恐らく社会的責任分担論を一番議論のトップランナーを切ってやりやすいのは、僕はこのロボットのところではないかなと実はにらんでいます。どの程度、集中管理に責任を持たせずに、分散のまま自律的にそれぞれの人が責任を負えるということを、技術と制度の両面からどう保障できるかということをロボットを題材に議論していきながら、恐らく生活ロボットサービスオペレーターは、先ほどの階層構造で一番市民生活に密着した部分のモビリティ・オペレーターの中に溶け込んでいくという未来を描いたほうがいいのではないかという気がしていますので、その辺をよくよく見通して議論していただけると、不審ロボットとか何とかもありましたけれども、いいのではないかなと思っています。
あと、データ戦略の話はきちっとまたどこかでまとめて見通しをご説明したいと思います。
以上です。
石田座長: どうもありがとうございます。
それでは、今日の最後のプレゼンテーションですけれども、川端さん、お願いできますか。
川端構成員: ありがとうございます。
今のロボットの話を聞いていると、私、実は工場でエンジニアをやっていたときに、お昼ご飯を食べる時間を15分ずらして、みんなで同じで食堂を使うというのをやっていたのですけれども、人間と違って、同じ時間にお腹がすかないから、ロボットも時間をずらして食堂に行けばいいのになと、エネルギーの話なんかを聞いて思うので、戦後の日本からいきなり戦後復興で地方から人を流入させて、ロボットに取られてしまうとよくないかもしれないですけれども、人間がそこで働いて、そのときに食べるところがなくて食堂ができてみたいなことを自然発生的にやるのではなくて、一緒に考えようみたいな話がちょっとユーモラスにも聞こえて、そういったことはできるのではないかと思いました。
私の専門分野である自動車のところを、モビリティというと自動車を思い浮かべる人がまだ多いので、メインストリームとして扱ってもらっているのかなと思いながら、今日はお話をできたらと思っています。
どちらかというと、自動車の場合はもう産業として、自動車を1個売るみたいなことがある程度成り立っている分野を、どのようにデジタル化に寄せたり、環境問題というか、どちらかというと、京都プロトコルに適した社会構想に入れ込んでいくのか、みたいなところになっているのですけれども、そういった変革が求められると言われているところの大部分が実はデジタル化と環境対応のところ、グリーンハウスガスの低減みたいなところになっているので、そこをお話しできたらなと思います。
どうでもいいかもしれないのですけれども、先ほどお話ししたように、元々エンジニアをしていて研究所にいました。当時は、ワイヤーハーネスの設計をやっていて、電気のことを車全体で見るということは当時やられていなくて電動化になったので、例えば電気を車全体で見るみたいなことが当時発生したのです。なので、全体で見るということは、微に入り細に入りからやって発生するというのはよくあるなと思いました。
自動車のジャーナリストをしていたり、技術の企画をするみたいなことを戦略コンサルファームに勤務したり、あとは最近よく日経さんにコメントをさせていただいたり、EV、電気自動車に特化した大学で教えることになったりという日々を送っております。こちらの委員をさせていただいているのを掲載しております。どうぞよろしくお願いします。
今日は限られた時間なので、ざっくりアジェンダに分けていますけれども、結構飛ばしますので、足りないところは質疑応答の中でお話しできたらなと思っています。
自動車のことに関しては、構造の変革というのを軽く触れるとなかなか理解しにくいので、自動車業界の方前提だと思うようなことになっています。
CASE、CASEと言われているのですけれども、これはドイツの企業のマーケティング戦略に乗って世界で日本はCASEと言われていますけれども、もともとACSといって英語圏でも議論されていたことで、多分CASEというのは呼びやすいのでしょう、ACSというのは発音しにくいですものですね。コネクティッド、自動化、シェアード、電動化の流れというのが本格化して、モビリティの変革期になりましたというところですが、日本は自動車産業が発達しているせいか、電動化とか自動化という車載技術にどうやら特化して深掘りして議論するということをしがちで、情報量もそこが多いです。
ただ、それは単なる個々の車載技術なので、それに特化したのは技術者でいいかなと。こういったことを考えるときに、そこのセクターの人の発展分野を見る必要があると思うのですけれども、何年ぐらいできるのかなということだと思うのですけれども、それをどう利用するかというと、これは個々の車載技術にあまり特化しないほうがいいかなと思っています。
なぜかというと、80年代にOA機器と言われるものだけが会社につながっていたみたいな時代があったのですね。それがちょっと前の車という感じです。分からない若い方は、『私をスキーに連れてって』という映画を見ると、営業部なのにパソコンが机の上に置いていなくて、この会社は仕事をしていないのかなと思うと思うのですけれども、あの頃はOA機器というものだけがつながっていて、パソコンを持っている人はスタンドアローンで使っていたり、計算尺と手帳で計算していたみたいな時代がその頃です。
それの後にパソコンとかスマホが出てきたけれども、スマホが出てくる前はまだ結構パソコンはスタンドアローンの席があって、インターネットにつながって、スマホが出て画期的に歩きながらいろいろなことができたり、人間がつながりましたみたいな感じです。それがやっと自動車に来たという感じなのですね。なぜかというと、高速で移動しながら安定してつながる回線がつかめなかったというのがあって、車は通信に関しては20年遅れましたということです。
ここだけ理解していただくと、実はコネクティッド後に、車がつながった後に来る世界、これから起きることが大変重要ですよということで、パソコンを1個1個つくるというところとか、ハードウェアをつくっていたような、例えばサンみたいな会社はなくなって、フェイスブックになったみたいなことが今ありますけれども、乗っかってつながった後にサービスをつくる人というのが実は産業規模としては大きいということを理解してもらうと、先に来る世界を見てくださいということになります。
それを構造化すると、モビリティ・サービスのバリューチェーンというのは結構幅が広くなります。幅というか、地平線が奥に行きますみたいな感じです。従来の自動車産業が手がけるのは一番左の車載技術のところだけで、テスラがすごいとか、企業価値爆上がりみたいなことをいっとき言っていましたけれども、コネクティッド前提に車と車載技術を開発しましたというだけなのですね。
実は、コネクティッドしかやっていなくて、今後のシェアードとかサービスのところにあるようなオペレーションは、鉄道とか、東京都だと都バスさんがやっているようなことですけれども、オペレーションは実は黙っていても儲かるのです。なので、黙っていても儲かるような民間事業者さんが、モビリティのことをそんなに考えないで、オペレーションをずっと特化してやっているみたいな現状から、投資を行っている小さなモビリティをオペレーションすると必ず儲かるのですね。社会インフラになるので。ですけれども、小さなモビリティがオペレーションに乗っかると、どんと投資しなくてもオペレーションするという事業が出てくるので、コロナで考え始めたと思うのですけれども、これまで食べられていたオペレーション事業者が侵略されてくるみたいなことに多分なるのですね。そこはまず勝負どころが出てくる。
それでやっと出てくるのがグーグルとかフェイスブック、みんなが言っているGAFAとかBATというところが、動くものがつながったのだったら我々も乗っかりますかねみたいな感じで、市場は大きいのでちゃんと考えてやりますよみたいものが、グーグルとかが攻めてきているのがこっちです。なので、彼らは車をつくるつもりはなくて、ライバル意識も全然なくて、むしろ車載コンテンツみたいなおいしいところを取られていいのですか、何か事業をやりましょうかみたいなところを考えてもらわなければいけないということになります。こういった自動車産業は難しいことになってしまいますよということです。
私は環境エネルギー論というのを教えていまして、こんな感じで、科学的知識と社会的知識というのをきちんと並行してやりましょうと。左側ばかりやっていると大変なので、右側の社会の仕組みというのをちゃんと見てほしいということを教えています。これは実は産業をつくるところも同じです。
環境のところ。京都議定書の京都メカニズムのところが重要で、資本主義でお金のことをプラスにすることがよしとされたのですけれども、CO2に代表される温室効果ガスを減らすこと、マイナスにすることが経済効果と同じように評価されますよということが入りましたというのが重要です。これは京都議定書以降も各国が守っていくということになっているので、地球環境問題に関係することをコストと思うことはやめてくださいということです。
最近話題のスコープ3とLCAということが大変重要ですということです。特に、1と2は自社で何とかするということぐらいまではみんな考えていたのだけれども、仕入れたもの、売った物がさらに発生するCO2、要は車を売った後に車を使った人が発生させるCO2とか、下手をするとガソリンを売った後にガソリンを消費した人が発生させるCO2まで責任ですよということが今まさに言われていて、これは判例が出ていることなので、結構重要なことになります。
エネルギー問題のところは大分飛ばしてもらって、23のところ、欧州中心ですけれども、95グラムCO2というのは守れない会社が既に多くて、割と作業をしたのがコロナ禍の2020年でした。情報が入ってこないので、なかなか日本で報道されませんでした。なので、その対応は結構いろいろなところがやっているという状況です。それの影響でテスラが実は黒字化したというのがあります。クレジットの販売です。
地球環境に貢献できるかみたいな議論のときに、実は計算の仕方が違って、例えばボルボの情報をキヤノングローバル研究所さんが出しているのですけれども、20万キロ走る設計をしていたり、エネルギーミックスがグローバル基準で言っても20万キロ走ると実は内燃機関よりもEVのほうが環境にいいよということになるのですけれども、これは日本の基準で考えると結構厳しいみたいな議論が出たりとか、エネルギーミックスも、EUミックスだともっと下がるし、リニューアブル・エナジーだとこんなに下がるみたいなことを計算しているのですけれども、日本のエネルギーミックスは結構厳しい状況は言うまでもないという感じです。
そういったことを企業がどんなふうにやっているかというのを、先日、ミシュランの60周年を迎えるような古い工場で、そこをリノベーションして最新工場にするというのを見ました。これは、イタリアでやっているのですけれども、よく見るとフランスの国プロみたいな感じです。なぜかというと、フランスのエネルギーミックスは8割以上が原子力で、ほかの国が応用できるようなエネルギーミックスではないので、そこは実は結構フランスの資本の傘下になっていて、ミシュランの再エネの工場も実はイタリア工場なので、ここでやったことのほうがヨーロッパのほかの域に使いやすいよねということで、ここをパイロットプラントの位置づけで環境工場に生まれ変わらせていました。
結構古い工場ですけれども、生産本数150万本とかで結構すごい本数で、テスラに代表されるようなEVエコタイヤみたいなものを結構つくっています。
実は、タイヤの全ライフサイクルというのを既に考えていて、再生可能な材料を50%ぐらい使ったようなタイヤを、実験タイヤでなくて、売るタイヤとして承認を得ているというところまで行っていました。
次の29が結構大事で、インダストリー4.0とデジタル化、AI、ロボットの活用を工場内でやっていて、先ほど村上さんがおっしゃっていたように、工場で結構使っているのですよねというのを、こういうのを見ると実社会の応用にもなるかなと思いました。
そこには、先ほど言っていた、誰に責任があるのですかというと、企業の場合はトップなので、リーダーがしっかりリーダーとして責任を取るという体制を取っているのと、ただ、一企業の発言ではなくて、このCEOは就任間もなく国連の議論の場に参加して、国連の議長と対談までして、閉会の辞まで述べるみたいなことを、ロケットスタートをやった人です。そういった人がきちんと上でそういった全体像をつくって浸透させて、収益が悪かったら自分の責任なのできちんと責任を取るところまでやっているというのが責任の所在としては重要かなと思いました。
なぜそんなことをやっているかというと、タイヤ以外の事業から2~3割の利益を出すみたいなことを言っていて、そうなったときに、実務的にやらなければいけないような、分野横断とか、ケイパビリティーは自社でやるみたいなこと、他社のケイパビリティーまで連携してやっていくという、共助とか公助のところも含めて連携するみたいなところですけれども、そういった担当者までつくってやっていますということでした。
Catena-Xのところです。Catena-Xと自動車産業のデジタル化というのは結構重要で、今、こういったLCAというのを必ず自動車カタログに載せますというふうになっています。これがA180dという、ちょっと前の車で申し訳ないのですが、このようにカタログに載っています。こういったことを製品に求められるのです。
とはいえ、自動車産業は広いので、例えば産業とかまで含めると、小さな会社までCO2なんかを集めて計算できるのかみたいな話があって、そういった情報共有のプラットフォームとしてCatena-Xというサプライチェーン間でデータを交換、共有するプラットフォームが、EUのお金を引っ張ってきてドイツが一生懸命やるみたいな感じです。そういうものができています。
もともと、自分のところで品質管理のネットワークがもうできていたので、あまり入りたくないなみたいな空気があったのですけれども、ダイムラー、BMWが入った後に、自分たちのシステムを供出する形で参加したということで、全ドイツになりましたということです。
これのメリットが実は明確で、デジタル化の動きは、品質の向上とか生産性の向上にマッチしている。日本はこれが結構できていたので、あまりインダストリー4.0は要らないのではないかみたいな議論があったり、Catena-Xも誰がそのコスト負担をするのみたいなところで暗礁に乗り上げがちなのですけれども、国境を越えた物量があっても、CO2排出量が一元化、可視化できてというのが品質管理も容易になるということです。
あと、インダストリー4.0というのは、ブルーカラーの人に影響されないで、多品種少量生産をするということと品質管理がしやすくなるということです。実は、日本は今ブルーカラーの質がとても高いので、ホワイトカラーでも設計から工場に引き渡す人の質が高いので、そこに頼っているのですけれども、実は2024年問題があると中小企業の働き方改革に入っていくのに、ブルーカラーの質を担保するのが難しいのではないか、時間のところが難しいのではないかなと思っています。なので、結構喫緊の課題かなと思っています。
これは事業とかも全て同じだと思うのですけれども、デジタル化が進んでも不変ということをデジ庁の会議で言っていいものやらと思いながら作ってまいりました。事業化というのは、製品ではなくて、顧客、サービス、プラットフォームの全体像を設計することなのですね。これができていないと、幾らデジタル化しても何の意味もなくて、ちょっとデジタライゼーションとかDXを全部ごっちゃにして考えているパターンで、自動車産業だけで言うと矮小化してしまうので、まちづくり全体を見据えているのがこの図です。
デジタルプラットフォームだけを一生懸命やっても、フィジカルプラットフォームがついてこないみたいなところもあるので、そこをサービス提供のための手段として全体像を見ます。
これは、フィジカルのプラットフォームを見ます、デジタルも見ますとしていて、サービスを提供するための機能を提供・改善するというのを、そのプラットフォームはサービスに提供していくのですね。そこをここの会議体なんかはサポーティングしたほうがいいと思うのですけれども、それで社会で必要とされるサービスを提供する人が世の中に現れてきて、人間がデジタルでいいことは2個しかなくて、体験を共有することとサービスにフィードバックができる、この2点だけなので、ここを使ってまたプラットフォームが強化される、その仕組みづくりをこの会議体はやるべきではないかなと思って参加しています。よろしくお願いいたします。
石田座長: 。ありがとうございます。
いかがでしょうか。議論をお願いしたいと思います。
では、秋本さん、お願いします。
秋本構成員代理: 秋本でございます。
フィジカルの分には重要だと、まさにそのとおりだと思います。
特に、鈴木先生は航空分野なので、航空分野の技術、そういうものを提供していくとなると思うのですが、私は自動車分野の技術というのがこの国のモビリティのベースになるのではないかなと。特にそういうふうに思っております。
産業競争力の観点からも、日本の強い技術はどこにあるか、自動車の分野に相当あると思います。無人とか、空飛ぶ車とか、モビリティ分野に適用していくというのは重要かなと。当然、品質のいい、信頼性の高い、低コストの部品を使っていけるような設計をしなければいけない。その点が一番重要なのは自動車と空飛ぶ車、ドローンですが、その電圧を一定にするとか、共通の電圧にしていくとか、そういうことをすることによりまして、例えばEVの充電装置を使って空飛ぶ車が充電できるとなると、いろいろなところに空飛ぶ車が降りてこられるとか、水素についても同じで、水素供給のインフラですね。
そういうところで将来的に長距離飛びたいのだったら、水素を積んだ空飛ぶ車が出ると思いますので、そういうインフラの共通化とか部品の共通化、そういうのを自動車との連携を取っていくことによって低コストの空飛ぶ車が出てくる。航空部品を使うと数億円となるのが、自動車部品を使うと数千万というところで社会実装が進んでいくのではないかな。余計なインフラをつくらなくて済む。いろいろなところで使っていけるということで、モビリティのシェアリングはうまくいくのではないかと私は考えております。これは個人的な意見です。
鈴木先生は航空部品を使えと多分言うと思うのですけれども、私は自動車部品を使ったほうがいのではないかと思っております。
以上でございます。
石田座長: ありがとうございます。
中でも強調されていましたけれども、LCAというのは特に大事だと思っていて、これからオペレーションで稼ぐ。サブスクとか、新しいサービスの提供の形態とか、いろいろあると思うのですけれども、そうすればそうするほど下流側のスコープ3が大事になってくると思うのですね。そういうことをどう考えていくのかなということもすごく大きなテーマだと思っています。
では、齊藤さん、お願いします。
齊藤構成員: LCAの話の一方で、デジタルプロダクトパスポートみたいな話がありますね。サーキュラーエコノミーという観点で、日本でもやはり欧州と同じようにプラットフォームをつくろうとしている。そういうデジタルパスポートの関係と今のCatena-Xというのがどういう感じになるのかなというのは少し不明確です。今、我々は実を言うと、バッテリーパスポートの規則が出てくるので、どちらかというとCatena-Xがあるということを前提にして、自動車工業界の人たちはそこを見ながら、逆に言ったらバッテリーパスポートのシステムをつくらないといけない、そういうサービスを共通で持たなければいけないという話をしています。
欧州自体のバッテリーパスポートの構想があり、そもそもサーキュラーエコノミーをつくっていく中に、DPP、デジタルプロダクトパスポートの話をしているから、今言ったような廃棄はライフサイクルでどういうふうになっているかという情報をそこ(バッテリーパスポート)に盛り込んでいこうとしています。
Catena-Xとサーキュラーエコノミーの関係、いわゆる自動車、各業界とそういう(サーキュラーエコノミー)関係がどうなっていくのかなというのが私自身が分からなくて、その辺、イメージとか考え方、見方があるのか、教えていただきたいと思います。
石田座長: それに追加して関連する質問ですけれども、EUを中心にCFDというもので、Carbon-relatedfinancialdisclosuresは、Catena-Xとは違うところにあるのかなと思っているのですけれども、それがさらに拡大して、カーボンの話は自然の一部に過ぎないから、Naturerelatedfinancialdisclosuresみたいな、何をするのみたいな感じのところもあるのですけれども、本当に真剣に考えているのですが、我が国においては特に中小企業に行けば行くほど、伝統的な産業に行けば行くほど、何それみたいな雰囲気が非常に強いですよね。その辺の雰囲気なんかはどうなのかというのは、今の齊藤委員の質問に加えて教えていただけるとありがたいなと思いました。
川端構成員: まず、自動車と共通のものを使うというのは、私は大変正しいと思っていて、安全基準というのはきっとあると思うのですけれども、充電器なんかは、逆に言うと車も使って、ほかの人が使ってもらったほうが圧倒的によくて、設置する場所とかいろいろな制約を考えても大変いいアイデアだなと思って、そういう議論もいろいろな産業界の人ともよくしています。そういったところも、デジタルになると、誰が使う、誰が使わないとか、空いている時間がどうかというデータが出てくれば、設置ももっとしやすくなっていくみたいなこともできるので、いい考え方だと思いました。
まず、齊藤さんからお話しいただいたデジタルプロダクトパスポートですけれども、ヨーロッパは今のところリユースです。産業的にないものが多いのです。だから、リサイクルにすると産業構造として不利なのです。なので、1回か2回は使ってみたいな感じで、その後、品質が保てなくなったらリユースする。リユースを前提にして、次にリサイクルに行こうねというのと、さらにその中でも電池に関しては、産業がもともとなかったので、今回時間がなくて説明できなかったのですけれども、資源の取り合いになったときに、資源として大事そうなのものが入っているところは自分たちの域内に滞留させたいので、電池の中に入っているような重要資源とか車載されているようなパラジウムなんかもいい例だと思うのですけれども、たかだかこの10年とかで白金の3倍以上になりましたよね。ああいうものを域内に滞留させたいという気持ちもあって、それでリユースだったり、リサイクルのサーキュラーを回して、できるだけ域内に閉じ込めておこうという考え方があります。それがあるので、デジタルプロダクトパスポートのようなID管理をしていこうという考え方が強いです。だから、それをかっこよく言ったり、みんなに分かりやすくすると、サーキュラーエコノミーになるか、みたいな扱いをしています。
その背景に、Catena-Xだけでなくて、少し前に出ていたGAIA-Xで、クラウド側でちゃんと管理していこうというのがあって、それが実は自動車産業だけではなくて、全製造業に関わるようなことかなと捉えているようです。なので、自動車はその中の大きな利用者という位置づけですね。
Carbon-relatedfinancialdisclosuresの話も、実は資料として落としたのですけれども、グリーンファイナンスとか、グリーン債の考え方があるので、ファイナンスをかけていこうという中に入っているかなと思います。その議論で一番出るのかな。
グリーンボンドの発行自体も急激に上がっていって、コロナ禍の間にかなりボリュームが上がっているのですよね。私が見たのは、これは2~3年前でデータが古いのですけれども、そのときにはグリーンボンドの発行は過去最高30%増みたいなデータもありますし、それをさらにより明確な自然保護の目的を定める債券みたいなやり方になっているので、その中のひとつとして、例えばCO2に特化するというものに注目が集まっていく。それがグリーン債という形で発行されていて、COPの話も飛ばしたのですけれども、世界でCOPの中で決めることが地球環境問題のここでしか決められない、国際枠組みで決められないので、COP15の中の生物多様性がすごく重要過ぎる課題で、もうどうにもならないくらいひどいというので、生物多様性を先にやりましたみたいに、順番にやってきているのです。
COPをたどっていくと、例えば京都議定書が出て重要ですけれども、COP15で生物多様性に関してかなり議論していて、あと、最近の16、26でも議題に上っています。そういった中でCOP15で決まったネイチャー・ガバナンス・リンク債といった運用の枠組みとか、これはもう世銀とか先進国全部が入って、借入れをグリーン化すると、新興国にそういった形で国際的にグリーンの債券をつくっていくみたいなものです。そういった協議なんかも進んでいます。
今まで資本主義に乗っかってくるのが先進国のロールモデルだよねというところを新興国が追いかけてしまうと地球環境問題が加速するので、滅亡すると困るので、そのロールモデルを買いましょうみたいな話で、そこに債券、ファイナンスをかけていきましょうというのがあります。なので、ヨーロッパのドメスティックな事情と、ヨーロッパ発の国際枠組みをアメリカ的な資本主義ではなくしていこうよねということの2つのラインで語られるべきものなのかなと思っています。
そうすると、国債の金利を例えば環境目的にすり寄せれば下げられるよねみたいな各国政府の運用ができると、新興国が従来の資本主義で成長した国のロールモデルでないもの、いわゆるサステナブルな循環経済がロールモデルだよねというふうにしやすくなるので、そういったものをCOP15とか26とかでは議論されていて、それが現実的にファイナンスに動き出したのが大きい。
なぜかというと、京都議定書からパリ協定になって、21か国でなく190何か国でやりましょうみたいになりましたというのは結構大きなきっかけかなと思っています。
知識不足なので、分かっている範囲になります。
石田座長: ありがとうございます。
田中構成員代理: 東京電力パワーグリッド、田中です。
先ほどの続きですけれども、市場もできて、国際的にもCO2からのエネルギーの値段も決まってくるみたいな話になったときに、これから皆さんの省エネ行動、脱炭素行動が、例えば工場なんかも自分の製品をつくるより、市場が高いときには工場を止めて売ったほうがいいとか、そういうことになり得るのです。
金融的にこうすればいいのですけれども、電気というのは線でつながっていないと駄目なので、その中でのバランスをしていただいているということで、さらに、先ほど申しました低圧とか、需要家様のご協力をいただいてグリッドを安定化しているということになりますものですから、ぜひ、金融の前に、デジタルでつないでいただいて、確実に脱炭素行動とか、それが相まってインセンティブに使われるのはいいと思うのですけれども、ぜひデジタルによりまずエネルギーリソースをつないでいただいて、ほかのマルチユース、EV、ロボット、ドローンの目的で使っていただくということをお願いしたいと思います。
以上です。
石田座長: お願いするだけでなくて、こんなふうに考えていますとか、もうちょっと言っていただければと思います。
田中構成員代理: 例えばEVバスをよく言われるのですけれども、最初の和泉さんの話につながるのですが、バスの運転手不足で、EVバスがあっても運転する人がいないのだとか、そもそも乗れないし、例えばカーボンニュートラルをどう考えているかというと、平日の朝は従業員の方を工場にピストンするためですけれども、昼間は太陽光が出てくるものですから、そこで充電するために、午前中にEVの蓄電池を空にしておきたい。休日は誰が乗ってくるのという話があって、そこに観光客を誘導して、そこにインセンティブを使うとか、細かいのですけれども、統括官がいつもおっしゃっている、ユースケースを縦につなげていく、時間帯別、エリア特性別にする、そういうことかと思います。
川端構成員: ただ、先進国で普及するとそういう話になると思います。多分、ファイナンスをかけるという話は、どちらかというと新興国でフィジカルなプラットフォームが充実していないところの拡充のためにファイナンスをかけるという話なので、そういったフィジカルプラットフォームがばらまかれているけれども、最適化されていない日本のような場合は、また別の議論になるかなとは思います。
日本は結構独特です。要は、CO2を下げなければいけないという話になったときに、例えば46という数字が出たときに、産業界で積み上げていった数字プラス、国民が努力するというのが入る国はあまりないのです。社会システムが完璧でなくても、国民のモラルでアジャストできるという国が逆に特殊ではないかと思います。
田中構成員代理: グローバル企業がそのエリアでしていただければいいと思うのですけれども、割とこれから産業がグローバル化していかなければならないので、日本でも金融にヨーロッパにのっとった形でビジネスが出てくるという話になると、金融市場のエネルギーバランスが心配だなと。今のところそこまで心配する必要はないという話かもしれませんけれども、手前のところを着実にやっていきたいということです。
石田座長: ちょっと議論を大きくするというか、ある意味では小さくなるのですけれども、僕は国交省の委員をすることが多くて、国交省関係の話になるのですけれども、国土交通行政に関連するところからのCO2排出量はどれぐらいあるかというと、消費ベースですけれども、日本国の全排出量の67%ぐらいが関係しているのです。交通部門が20%ぐらいです。民間の業務、こういうオフィスビルとか、これも建築行政だったり、都市計画行政だったりするわけですね。家庭も関係するのです。この3つのセクターを合わせると50%を超えるのです。それプラス建設業というのも、今まではスコープ1しか考えていなかったのです。現場での重機しか考えていなかったのですけれども、鉄鋼、セメントと考えるとすごいですよ。出る年は67%。
そういうのを国土交通のグリーンチャレンジで3年ぐらい前にまとめたのですけれども、同じ年に国土交通省環境行動計画という硬めの国土交通省としてできるものというのをやったら、足し合わせると8000万トンぐらい。残りの部分は誰がどうするのというのが、実は日本国政府としては、各省が同じような、連携とか協働と口では言うけれども、今の業務フローからするとこういう落とし穴のようなところがいっぱいあって、そこをあからさまにするとともに、どういう形で連携を取っていくかというのが、今日いっぱい出たわけですよね。
そういうことを大きく仕立てていくというか、フレーム化していくというのを誰がやるのかなと思っていて、そこにここがしゃしゃり出るというのはあまり自信がないのだけれども、そういうことは本当に大事だけれども、そういう意味では本当に無責任体制になっていますね。そういうのは齊藤先生がやられているアーキテクチャの世界であったり、データ連携で非常にパワーを発揮できる部分だと思うので、そういう視点をぜひこんなところで問題点として指摘していくことが本当に大事かなと思っているのです。
どうぞ。
村上統括官: 今の話をいただいたので。
つくると使うを融合しましょうというフレームを立ててみたらどうかというご提案をしたいと思います。
COP15、16、17と経産省で交渉の責任者をやっていましたので、二国間クレジットをつくったりやっていますと、すごく素朴な話、自動車が排出するCO2排出量を何でつくった人だけが面倒を見なければいけないのか。使うやつをつくったところ。これは使っている消費者に及ばないのです。それは租税理論で言う担税力の議論と同じで、どうせ取れないからです。
何で使うときの責任と、つくるときの責任と、企業の分界点が実はいろいろな社会制度の中で設計されているのかというのは、排出量の議論に沿っていてもそうですし、実は私、製造物責任法の立法作業も最初やりました。自工会の日産のマツダさんにお世話になった。これも逆に言うと、本当は使う側の責任とつくる側の責任のまず一線を引いた後で、社会的責任を不法行為法の特例として設計するのが製造物責任法なのですけれども、ほんまはどうなのかねというときにいつも出てくるのは、包丁で指を切ったらどっちが悪いのだという話なのですよね。ただ、人口が増えている時代は、つくると使うほうを徹底的に分けて、つくる側の社会的責任を明確化した上で、どうせたくさんつくれば儲かるのだから、産業で儲かった部分は消費者の暮らしに給与という形で返してくれればいいよと。昭和の時代はそういう社会設計だったので、それが許されたのだと思うのですけれども、それこそ我々、人口が減ろうとしている。むしろ、過疎が進むような社会においてテクノロジーをどう使ってもらうかというときに、昭和の時代のつくる側と設計する側の技術を持っている人と使う人の責任関係が同じままだと多分もたない。
にもかかわらず、オリンピック村のところでああいうことが起きると、やはりつくる側と、サービスをする側と、乗った側とは、むしろ切り離れていく方向に拍車をかけているのではないか。
これで終わりにしますけれども、現場に出て悩むのは、例えば自動走行車両で運行を入れようというときにも、結局、何が起きているかというと、台数がたくさん売れない時点で製造するときの製造車両の償却負担コストを負えるやつがいないので、事業としてスタートしないから、いつまでたっても補助金の繰り返しになるというところから抜け出ていていないという問題だと思うのですね。
僕は、デジタル庁に来たゆえんでもありますが、情報化政策を長らくやっているときに、いつも歴史を遡ると、これをまねしようということではないのですが、実はコンピューターができる初期も、日本電子計算機という国策会社をつくって、そこが全部まとめて買い上げてレンタルしているのです。全体的に新しい技術を人口が減るマーケットで入れていくときには、それを入れるための設備の償却負担を社会的に誰がどう負担するのかというのを考えないと、単にそれを消費者に寄せていくとか、自治体の財政赤字に寄せていくとやっていたら答えはないのだろうという気がしています。
そういう意味でも、つくる側と使う側がどういう、まさにプロダクト・ライフサイクルと言われたみたいに、それから、サーキュラーエコノミーも某コンサル会社のマーケティング用語だということはさておき、あるのだと思うのですけれども、そこの使う側もつくることに積極的にコミットするからリユースの仕組みがセットにされるし、つくっている側も使われることに逃げずにどんどん飛び込んでいく。それをルールとして国がどう設計してあげるから、両サイドから安心してお互いの世界に飛び込んでいける。
モビリティ・ロードマップを書くときにも、もし議論を煮詰めていって書けるのであれば、少しそういう哲学を頭に入れられるといいのではないかということで、これは取りまとめというよりも個人的な意見として申し上げました。
以上です。
石田座長: ありがとうございました。
2回目で、あと3回ありますので、こういう形でどんどん議論が膨らんでいって、かつ、深化していく、いろいろなところとの関係性が明確になっていくということをぜひ期待したいと思っております。
それだけでなくて、モビリティワーキンググループにもつながっていくわけですよね。
村上統括官: このまま直結してまいります。
石田座長: ですから、ますます広がっていくという意味で、今日は村上さん、和泉さんにも非常に積極的に発言をしていだたきましてよかったなと。こういう雰囲気を大事にしたいなと思っております。
今日はこれで終了したいと思います。
最後に、事務局より事務連絡をお願いいたします。
鈴木企画官: 本日はどうもありがとうございました。
次回は2週間後の6月28日の水曜日、同じ時間にこの場所とオンラインのハイブリッドということでお願いできればと思います。
また、今回同様に、ご発表していただいて討議をしていただくという形で進めさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。