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「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会(第3回)

概要

  • 日時:2023年6月28日(水)10時00分から12時30分まで
  • 場所:東京ガーデンテラス紀尾井町4階 紀尾井カンファレンス セミナールームC(オンライン併用)
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. ご発表、討議
      • 「MSP(Mobility Smart Passport)構想 ヒトとモビリティ、その他をつなぐデータ連携の考え方」(山下構成員)
      • 「皆で運ぶ、物流の未来」(NEXT Logistics Japan株式会社 代表取締役CEO 梅村幸生様)
      • 「スマートモビリティとデジタル基盤」(越塚構成員)
    3. 閉会

会議動画

会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。

資料

議事録

鈴木企画官: 皆様、おはようございます。

本日、石田座長が鉄道の関係で若干遅れておられるということで、先にスタートをしておいてほしいとご連絡がございましたので、少し先に始めさせていただければと思います。

私、デジタル庁の国民向けサービスグループの鈴木でございます。本日もよろしくお願いいたします。

ただいまから、第3回「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会を開催させていただきます。

本研究会は、ライブ配信を実施しておりまして、また終了後にはデジタル庁のウェブサイトで録画の公開を行ってございますので、ご承知おきいただければと思います。

今日はオンラインを含めて、また代理の方を含めて、皆様にご出席をいただいてございます。

最初に毎回ですと統括官の村上からご挨拶を申し上げるところなのですが、今日は公務の関係で遅れておりまして、途中から参加をする予定になってございます。その代わりに、事務局のほうから資料をご紹介させていただければと思います。

お手元のほうでは、「デジタルの活用で一人ひとりの幸せを実現するために」という資料でお配りをしているものになります。こちらが「デジタル社会の実現に向けた重点計画」ということで、6月9日に閣議で決定をされた資料でございます。政府全体のデジタルの活用で社会をどうしていくかという計画でございます。

重点的な取組、下のページ番号の3と書いてあるところで、赤枠で囲ってございます5番のところ、準公共分野のデジタルサービスを拡充するというようなことが1つ今後の重点的な取組として入ってございます。

準公共分野ということで、完全なる公共の分野でもなく、完全なる市場原理で行う民間の取組でもなく、その中間、公共の主体と民間の主体の両方でそれぞれ役割を分担しながら進めていく部分でのデジタルサービスをしっかり拡充をしていこうということでございまして、この中にモビリティの関係も入っているというような形になってございます。

具体的に、ではどうしていくのかというのが、次にめくっていただいた右下のページ番号4と書いてあるところで、2023年の重点取組ということで、モビリティ・ロードマップの策定というのが、これも赤枠で囲ってございます。今回、この研究会でいろいろ論点を出していただいて、今後、また夏以降、ロードマップの策定に進めていくというようなことが政府全体の決定の中で2023年の重点取組ということで入っているということでございます。

5ページ目で、これもご報告になりますけれども、デジタル社会推進会議が6月6日に開かれていまして、今の重点計画について審議をした閣僚級の会議でございますけれども、その中で今の重点計画が審議されたというのと、資料2-1で「モビリティワーキンググループの開催について(案)」というのがございまして、これについてもこの会議で決定をされております。

一番後ろになりますけれども、6月6日のデジタル社会推進会議、議長は総理でございますけれども、ワーキングの開催についてということで御決定をされてございまして、モビリティ・ロードマップの策定を進めていくためにモビリティワーキンググループを開催するということで決定をされているというものでございます。今回の研究会で様々な論点を出していただきまして、そういったものをこちらのワーキンググループのほうに引き継いで、その中でロードマップを策定していくというような流れで進めていくことになってございまして、事務的な会議体の準備とかそういったところも進めてございますので、今回の構成員の皆様にご報告をさせていただきました。

以上でございます。

それでは、議事に入っていければと思います。

本日も皆様からプレゼンテーションをいただいて、その後にいろいろな議論をしていただくというような形で進めていければと思ってございます。本日も3人の方からお話をいただくことになってございます。15分ぐらいお話をいただいて、30分ぐらいいろいろな討議をしていただくというような形で進めていければと思ってございます。

それでは、最初に山下様のほうからプレゼンテーションをお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

山下構成員: 自工会のデジタルタスクフォースのほうから参りました山下と申します。よろしくお願いします。

今回は、自工会のほうで検討しています、下のほうに副題的に書いてありますけれども、「ヒトとモビリティ、その他をつなぐデータ連携の考え方」という形で今、推進している内容のお話をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

本日は4つのアジェンダのお話をさせてください。まずは自工会で検討しているMobility Smart Passport構想、我々のほうでMSP構想と呼んでいますけれども、こちらのお話です。そして、それに関しまして具体的なユースケース、また実証計画をいろいろ検討していまして、そちらのほうの話、そしてさらに今後の拡張につきましていろいろな連携をさせていただきたいと思っていますし、デジタルライフライン全国総合整備計画、いろいろありますけれども、このようなものとも重ね合わせて、我々のほうもいろいろ検討したいと思っています。最後にサマリーという形になっています。よろしくお願いします。

まず背景、全体像に関しまして少しお話をさせてください。自動車の保有はシェアとか、レンタルとか、さらに今後いろいろなモビリティが出てくると思います。パーソナルモビリティとか、小型のものとか、ドローンとか、それをより今後のモビリティのことを考えると、個人との関係性ということ、あるいは多様化・複雑化していく中で、モノを起点で考えるということももちろん重要だと思いますけれども、我々はどちらかというと利用者であるお客様とかヒトを起点にいろいろな必要なサービスをお届けしていく必要があるかなと思っています。ヒトを起点に多様なモビリティの関係、これも多分いろいろな形で乗るという形になると思いますけれども、これを今までの1対1ではなく、N対Nという表現をさせていただいていますが、必要なときに必要なサービスをそれぞれ利用者の方々が受けられるように、そしてインフラ側をはじめとするモビリティサイドともつなげるような、そのような形の検討を始めているという状況になっています。

その考え方を持って現在構想しているのが、冒頭にお話しさせていただきましたMSP構想となっています。マイナンバーカードと運転免許証の一体化を契機として、ヒト側にもっと真正性の高い認証基盤をもたらすようになると思いますので、そこにモビリティのID、ビークルIDとかが物によってはついているものもあります。これを有機的につなげて、データの連携基盤をつくっていく必要があるのではないかなと考えています。それを基に、生活者の方々は様々なサービスをシームレスに享受できるということを前提に考えています。そこでMobility Smart Passportという表現にさせていただいています。

その上で、データ連携を考えていく際に重要になるのは、それぞれどういう範囲で考えていく必要があるのか。このデータをどのように捉えていけばいいのかと思っています。

まず一番下、例えば個人を特定しない範囲での位置情報とか、あるいはカーボンニュートラル、我々自動車事業者としては非常に考えなければいけないところですけれども、そのような形とか、社会のために広く開放する領域というものがあると思います。

それから、真ん中の部分は、サービスを享受するために、ユーザーがご自身で自己主権的にデータの開放の範囲を決める領域もあるかもしれません。

今度、一番上の部分です。各社がそれぞれビジネスのためにマーケティングとして活用する、場合によっては秘匿性の高い情報というものがあるかもしれません。

このような形で、それぞれのレイヤーでデータをどのようなものとして考えて、そしてどのような形で提供し合うかということも重要になってくると思います。ある意味、自助・共助・公助という考え方だと思いますけれども、この辺を自工会でも3層構造というものをベースに議論を今、進めているという状況です。

具体的にどのようなデータをどう紐づけていくかということですけれども、ヒトのIDはマイナンバーカードをはじめとして個人に紐づく様々なデータが今後出てくると思います。現にあるものもあると思います。民間のサービス事業者ともデータを連携しながら、車両のほうにもそれぞれついているIDがあります。あるいは、今後つけていくものもあるかもしれません。これをしっかりつないで、例えば移動の履歴とか、車回りでいけば修理の履歴とか、いろいろな車に関するデータなども紐づいてくると思います。これにおきまして、それぞれが便利で利活用しやすい環境を考えていこうと思っています。

このような考え方を、構想を実現することで、1つ目は、様々な官民の認証の手続とか社会コストというものが恐らく皆さんと一緒にすることに応じて軽減できるのではないかということが1つのポイントになると思います。

それから、利便性の高い民間の新サービスもこれによって生まれてくる可能性があります。それぞれいろいろなところでサービスを補完する上でも、必要な情報を基にしたサービスが生まれると思います。このような形で新しいビジネスが生まれるかもしれません。

それから、準公共分野では、安心・安全な社会の実現のためにつながっていく必要があると思います。

このような循環の構造をつくることにおきまして、我々民間の個社個社のビジネスはもちろんそうですけれども、広く社会に貢献できるデータ連携の輪みたいなものをしっかり我々は考えてく必要があるのではないかと認識しています。

そのような大前提で構想を考えているという上で、ここまで大きな構想のお話でしたけれども、少し具体的なお話を基に、実証の計画などもお話しさせていただいて、後ほどご意見をいただければと思っています。

ちなみに、我々のデジタルタスクフォースというのは、自工会におきまして2022年1月に活動を開始しました。自工会ですので、いろいろな運輸メーカーの方々と一緒に進めています。先ほどお話しさせていただきましたけれども、マイナンバーカードと運転免許証の一体化というものが今後出てくると思います。これを契機としまして、業界におけるデジタルトランスフォーメーションという課題を共有化することに応じて、みんなで進めていく必要があるかなと思っています。

さらにいろいろなユースケースとかを検討しながら、これをしっかり連携していくということを我々業界内で考えていく必要があると思いますし、業界に閉じることなく、開いて考えていく必要があると思っています。そのためのルールとか、あるいは仕様みたいなものをみんなで検討していく必要があるということで立ち上げを行いました。

これは細かくご説明はしませんけれども、お手元の資料で後ほどご覧になっていただければと思いますが、10ぐらいのユースケースを昨年にかけましていろいろ検討してきました。自動車購入時の諸手続、公共交通を含めた移動サービスのシームレス化、準公共分野でのユーザーの例えば災害時や救急搬送時のデータ連携をどうするか、あるいは、いろいろな意味でドライバーさんの安全運転を促すためのやり方をどうすればいいのだろうかと、そのようなことも含めまして検討しています。2023年度、今年度は少しこのユースケースを絞って、あるいは少し統廃合して、一緒にやりながら実証に入ろうというものが今の自工会内における計画になっています。

具体的な実証の内容は次のページでご説明しますけれども、少し繰り返しになりますが、生活者、事業者、地域/社会の三位一体でしっかり考えていく必要があるかなと思っています。それぞれにおきまして、生活者の緑の部分は例えば諸手続とかデータ連携、利便性というところもあるでしょうし、事業者におきましては、コスト削減、あるいはコスト低減というところにつながるでしょう。これは事業者に限らず各関係省庁をはじめとする行政の方々に対してもそうかもしれません。そして、このデータ連携によるいろいろな分野での見える化が起こると思います。地域/社会、ここは一番大切なところだと思いますけれども、公共交通も含めた地域交通のリデザインというものにこのデータが活用できるのではないかとか、あるいはそれをベースにした地域経済への貢献をまず大前提にしながら検討しているということをもう一度こちらでお話をさせていただきました。

先ほど10のユースケースというお話がありましたけれども、現在、地方自治体との実証検討をいろいろしていこうと思っています。いくつか紹介しますと、例えば真ん中は公共交通や民間の移動サービスをシームレスにつなげた、例えばマルチモーダルサービスというものがあるかもしれません。データ連携基盤があることで、複数の事業者を横断的につなげることもできるでしょうし、例えば高度なルート案内みたいなものもできるかもしれません。

また、右側に記載してありますように、地域における共助型のモビリティサービスというものもあるかもしれません。地方のモビリティ事業者だけではなく、CtoCで例えば地方のドライバー不足というお話がかねてからこちらのほうの委員会とかでも、前回もお話がありましたけれども、そのような形でのドライバー不足に貢献していくとかそういうことも含めて、ただ、この辺はいろいろな制度的なものもあると思いますので、今後は皆様方と、あるいは制度、ルール側とも相談をしていく必要があると思いますけれども、このような形も含めて、広がりを持って課題を解決できないかなと思っています。

それ以外にも重要な切り口としてマイナンバーカードと運転免許証の一体化の際に、例えば民民取引のモデルケースみたいなものもあるかもしれません。観光地を想定した場合、レンタカーや小型モビリティ、いろいろな形で今、出てきていますけれども、こういうときにどういうふうに情報を入力するとか、あるいは免許とか認証が必要なものをどのようにスマート化できるだろうかとか、このようなことも考える必要があると思いますし、観光地であればそれを基に移動して、免税店とかホテルで利用するとか、あるいはパスポートにいろいろな認証をするとか、いろいろなものが出てくるかもしれません。そういうときに民間同士のデータ連携とか、1回登録をして1つのアクションをすればスムーズにバトン、たすきが渡っていくような仕組みも重要かもしれません。

このような形で、ヒトと、あるいはモビリティ、車サイドのIDをどのようにつなげていくかということのユースケースをしっかり実証しながら、このスキームというものを考えていければと思っています。

少し分かりやすくという形でやっていますけれども、対面で、実際皆さんもレンタカーをお借りするときとか、かなりの書類とかを書かれると思います。これが本当にあとは鍵を渡すだけとか、鍵ももしかすると今後はスマホで開けるという時代も普通に来たりしていますので、対面の書類対応が必要なくなりまして、皆さんが入っている保険をそのまま適用できるとかいうこともあるかもしれません。

また、事業者ごとに実はいろいろな登録手続の仕組みが違っていたりとか、オペレーションが違っていたりしています。そのようなものも1つの情報として入力していけば、いろいろなものがスムーズにモビリティが利用できるというものもあると思います。これはある意味、事業者ごとの負荷ですとか、あるいはこれは登録したときにデータとして残れば、紙というものでいろいろなものが残る必要もなくなりますし、こういうことの利便性もしっかり考えていければなと思っています。こういうものは特にマイナンバーカードと運転免許証が一体化することに応じて、もしかするとよりやりやすくなってくるのではないかなと認識しています。

また、事業者ごとにデータ連携が、先ほどたすきを渡すというお話もしましたけれども、恐らくモビリティ以外にも様々な利用の際にということです。例えば利用するときに決済的なものがあると思います。こういうときにまたそれぞれというわけではなく、一回そういう形で認証されていれば、ご本人が意思を持って、必要な情報を入れ、あるいは決済の手続をするとか、登録をしてあったものを提示して、それによってサービスを受けるということもあると思います。例えばクーポンなどもそうかもしれません。このような形で、できるだけスムーズに皆さんができる仕組みを考えていく必要があるかなと考えています。

また、交通周りでいきますと、どうしても特定のルートに人が集中してしまうということはあると思います。こういうときにも、あえていろいろな形でインセンティブを付与するとか、迂回ルートを提示することに応じて、流れの平準化ということで、渋滞を回避していくとか、そういう工夫もできるかもしれません。ですので、例えば駐車場のスペースもそうでしょうし、今後はバッテリーEVなどが出てくれば充電のスポット、こういうものも混んでしまうということもないような工夫が出てくると思いますので、このような形でデータを連携することで、皆さんがそれぞれやりやすい形を取っていければなと思います。

これが最後になります。別々の車で運転をしても、運転履歴が今は残念ながらヒトに蓄積していません。車自身にも蓄積されているわけではないのですが、事業者ごとには一定の紙のデータで蓄積されたものはあるかもしれません。ただ、これは非常にもったいないお話で、できるだけこれがヒトにということでいけば、同じように別の車に乗ったときも、ドライバーさんの安全運転とかそういうことで評価することにおけるインセンティブや保険のメリット、多分いろいろなことがあると思います。このような形で、ヒトに紐づくことに応じて見えてくるものもあると思いますので、そういうことも意識したいろいろな形で計画を立てていきたいと思っています。

今後の拡張についてということで、まだ実証あるいは検討できていませんけれども、今後の拡張性ということでいくと、今回、モビリティ・ロードマップという形で参画させていただいていますけれども、こちらの構想の皆さんともうまく連携を取りながらやっていければと思っています。

モビリティという解釈も今後ますます広がってくると思います。恐らく自動車だけでなく多様なパーソナルモビリティとかドローンをはじめいろいろな連携が必要だと考えています。また、デジ田総みたいなお話もご説明がありましたけれども、インフラとかドライバーとか歩行者をどうつなげていくかということも重要になってくると思います。それぞれのユースケースにおいてどういうふうに実現していくかというときに、我々はどちらかというとヒト軸で考えていこうと思っていますけれども、ヒト軸とモビリティ、あるいはインフラというもので、どのような形で連携をして、経済の循環ですとかデータの循環をしていくかということをしっかり考えられるような仕組みを、モビリティサイドを軸にしながらも、ヒトということで検討していければなと思っているという形です。

自工会のほうでは、このようなことをベースにしながらモビリティビジョン2050という形で掲載をさせていただいていますけれども、このような形を実現する意味も、モビリティ業界にとどまらず、業界の枠を超えて、様々な協調をパートナーと連携をしながらやっていきたいなと思っています。そのためのありたい姿をどうすればいいのかということで、常に検討していきたいと思っています。

最後にまとめでございます。モビリティ・ロードマップの連携を考えた場合、我々、このMSP構想をどのように推進していく必要があるかなと思っています。まずは自工会にてMSP構想の検討を進める上で、実装を見据えた実証を早期にいろいろ検討していきたいと思っています。

その際に、2つ目ですけれども、今後、モビリティのウイングが広がっていくことをもちろん鑑みる必要があると思うのですけれども、まさに自動車のみならずということで、様々なモビリティ、インフラ、あるいはもしかすると免許返納後のユーザーという方々もあると思います。そちらも視野に入れて、我々は柔軟に考えていきたいと思っています。

そして、3つ目としましては、今回のモビリティ・ロードマップとの連携は非常に有意義な機会だと本当に思っています。普及に際して標準化は非常に重要な点になってくると我々は考えています。ですので、公的個人認証による本人確認みたいなものも、デジタル庁さんを中心に、eID的な領域ですとか、あるいはデータのシステムの連携ということで、IPAさんを中心にいろいろな形で今、連携のフレームを考えていらっしゃると思いますけれども、そういうところもしっかり我々とも定期的に意見交換させていただきながら、我々はどちらかというと構想をベースに大きな青図をつくっていくということで、我々自工会として何か仕組み、システムをつくり込むという話は今、考えていません。そういう意味ですと、IPAの皆さん、DADCの皆さんともしっかり連携を取りながら、その仕組みをどうしていけばいいのかなということの検討フェーズに入りたいと思っていますので、こちらを機にいろいろ皆さんと意見交換をさせていただきたいと思っている次第です。

15分という限られた時間での説明ですので、こちらで我々のほうのお話をさせていただきました。ありがとうございました。

石田座長: ありがとうございました。

早速、意見交換に移ってまいりたいと思います。ご質問、ご意見、ご自由にどうぞ。本当に積極的に連携をしていきたいと意思表明をしていただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

齊藤さん、お願いします。

齊藤構成員: 山下さん、ありがとうございました。

MSP構想というのは、Mobility Smart Passportという話で、このパスポートを誰か発行するイメージなのですか。

山下構成員: 何か発行するとか、IDを発行するというイメージでは考えていません。このスキーム全体でそのようにしていきたいなと感じています。

齊藤構成員: 私が考えたときに、今のバッテリーパスポートのモノの情報のように、例えばこのパスポートにそのヒトが持っているいろいろな情報が紐づいて、先ほどの医療や決済みたいな話で、いろいろなものを乗り換えするときの決済みたいな話が、パスポートからつながっていくイメージです。

どちらかというと先ほどの免許みたいな話はある意味ではゲートがあって、試験を受けたら免許をもらうため、MSPもあるタイミングで成立して、そこに例えばいろいろなログが紐づく形にすれば良いと思いますが、逆に先ほど言った公的なサービスの話もプライベートなサービスがいろいろ連携する話もできるのかなと思い伺ったのです。

今、個人の情報は個人が持って、それが活用できるようにするイメージとすごく重なったので、すごくいい話だと思うのですけれども、この辺のアーキテクチャをどうするかというのは、どちらかというと経産省が進めているデジタルライフラインでの先日説明したインフラというよりは、デジタル庁が中心になっている、いわゆるデータ戦略の中の個人の情報をどう扱うかという領域になりますが、そちらも併せてこのモビリティ・ロードマップの中で方向性を検討したらいいなと私は感じます。

DADCでも今、例えばデジタルライフラインで言うと防災とか、人流クライシスとか、物流クライシスの中に、ヒトのデータをどう扱うかという話が出てくるのです。今のMSP構想のようなものも含めて、うまく自動車工業会と連携できればいいなと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

山下構成員: ありがとうございます。

今、ご指摘いただいたように、まさに主権性は個人のほうに行くと思いますので、そちらのことがアクションをコールしやすい環境をつくっていきたいなというのが1個です。そのためにマイナンバーカードの公的個人認証とか、1つのきっかけとしてというところは、まず公的なもののつながりがあると思います。

一方で、いろいろな情報、お客様それぞれが提携されて、連携されて持っていらっしゃるものを、何かをきっかけにつないでいきたい。あるいは、先ほどおっしゃっていただいたように、パスポートという自分の手元で分かる形で今、どういうものが動いているのか分かるような形にしていく必要があると思います。皆さん考えていらっしゃるいろいろなアーキテクチャとか、そういうものをうまく連携させていただきながら、その仕組みの中に乗せて、主体性・主権性は個人にありながらも、しっかり公的なものとか業界的なもの、あるいは業界を超えたものともつないでいけるような仕組みを検討していきたいと思いますので、ぜひデジタル庁さんのほうで進めているいろいろな構想とか、あるいはDADCさんのほうで検討しているいろいろなパスポート的なものとも親和性よくやっていきたいと思っていますので、これのためにまた別のスキームをつくるというのは決してよろしい話ではないと思いますので、そこは連携をさせていただきたいと思っています。

ありがとうございます。

石田座長: 須田先生、お願いします。

須田構成員: 東大の須田でございます。

ご説明ありがとうございました。非常に新しい取組をされているということで、よく分かりました。

3点ほどあるのですけれども、1つ目は、自動車産業での利用ということなので、自工会さんだとどうしてもやはり新車とかディーラーとかいうイメージなのでしょうけれども、実際は整備業界とか、あと保険やレンタカーとか、いろいろなところの業界がつながっていると思うのですが、そこら辺についてどのような連携を今後考えているのかなというのが1つです。

2つ目が、個人データまで自動車メーカーさんにどんどん行ってしまうような印象を私は受けたので、ユーザーのメリットをどういうふうにPRしていくのかなというところが気になったというのが2つ目です。

3つ目は、むしろデジタル庁さんにお聞きしたほうがいいかもしれないですけれども、今、運転免許証が実は国際対応になっていないです。せっかくこういう機会があったら、まさに国際対応で、せめて名前とか、生年月日とか、そういうものが西暦になったりとか、ローマ字が入ったりとか、そのような形になっていくといいと思うのです。こういうシステムをつくると、例えば外国の方も利用するという形もどうなるのかというのも気になりましたので、国際対応ということについての状況を教えてほしいと思いました。

以上です。

山下構成員: ありがとうございます。

1つ目の整備ですとか保険、これはおっしゃっていただいたように車を買うときにも絶対条件になってきますし、あと利用いただいているときも整備というものは切っても切り離せないものになっています。

ビークルIDを基に車側には今後、データによって整備履歴をしっかり組み込むことができます。どこのお店でどういうふうに整備したかということで、今、さすがに連携という形で、ほかの業界の方、あるいは同じ業界においても、ほかのメーカーのほうとの連携はされていませんけれども、例えば故障したときに、この車についてはご本人が納得していただければ別のお店に行っても同じような整備履歴がある基にサービスを受けることができるようになると思います。

今後は車もより高度化していくことになると思いますので、バッテリーなどのバッテリーフリーなどが出てくれば、まさに充電ということももしかすると共通化されたものが出てくるかもしれません。そういうときにはまさに連携というものが必要になってくると思いますし、保険も、これは我々が議論している中でいきますと、保険業界の方がという話ではないのですけれども、恐らく今後、今はどうしても車に保険というのがついていますけれども、個人についてくるというものもあるかもしれません。同じように須田さんが乗られた車が、別にレンタカーとかほかの車に乗っても、ご本人についていれば同じような条件で車に乗ることができるとか。なので、イメージが見えてきたときに例えば保険とか整備のやり方も変わってくるかもしれませんので、そこはしっかり連携を取る必要があると思いますし、中古車の事業者の皆様とか、あるいは輸入事業者の皆様も同じようにこのサービスが享受できる仕組みを我々は考えなければいけないと思っていますので、そこはしっかり連携を取っていこうと思っていますし、今、そういう意味で、いろいろな業界団体の方ともいろいろな話合いを始めました。

2つ目のユーザーというところでいきますと、確かに1つの入り口としてはスマホというものが非常に分かりやすい形で手元という形になると思います。物によっては物理的なカードというものもあると思います。ただ、いろいろな形でデジタルを可視化するときに、データを可視化するときに何が一番お客様にとって見やすいかというときに、普段お手元で使われているスマホだったらスマホかもしれませんし、あるいは一定のアカウントなり何かをパスポート的なもので可視化できるような仕組みでインプットすれば、何のデバイスにもよらずに見られるかもしれませんし、ここは考えていく必要があると思いますけれども、ただ、普段使いでやりやすいやり方は何かなということを常に意識したいと思いますし、そういうときに1つマイナンバーカードというものは、国民の皆さんが今後本当に100%持てるようになるのであれば、それを契機にいろいろなものができるということもあるかもしれませんので、その辺を視野に入れて考えていきたいと思っている次第です。

鈴木企画官: 3番目の免許証の話です。これは基本的に警察庁さんのほうでいろいろやっておられるところではあるのですが、ご指摘のところをよくお伝えをして、こちらでも協力できるところをいろいろやっていきたいと思います。

石田座長: ほかはいかがですか。どうぞ。

甲田構成員: ありがとうございます。株式会社AsMamaの甲田でございます。

先ほど須田先生がおっしゃったことと近しいことかもしれないのですけれども、モビリティとデジタルがつながることによりユーザーメリットというところで、必ずしもメリットだけではなくて、例えば高齢者の方々のグレーな運転というか、安全ではない運転みたいなことが分かってしまうことで、レンタカーが借りられないとか、このヒトは普段運転していないヒトだなということで、逆に、レンタカーを借りるときに、絶対に保険に入ってくださいねみたいに強要されるとか、そういうユーザーにとってはあまりフレンドリーではないデータ連携みたいなことが行われることを懸念される一般の方はいらっしゃるのではないかなというのが1点目です。

もう1つは、例えば住所入力1つも、1つすれば鍵だけ借りられるみたいな、レンタカーを借りられるみたいなのを聞けば便利だなと思うのですけれども、大体こういうデジタル化とかをされるときは、大手の会社さん、自工会に入られているような会社さんは対応しているけれども、そうではない中小の企業さんは対応していないみたいなことなどが起こって、企業間の競争みたいな、不公平感みたいなことが生まれるとよろしくないなと思っているのですけれども、その辺はどういうふうにして考えられているのか、ご意見があればお聞かせください。

山下構成員: ありがとうございます。

実は、免許返納の時期というのはかなり早い段階から議論になりました。実際に車を運転されている方は、高齢者の方も相当いらっしゃいます。一定の年齢になれば、免許取得時、更新時にいろいろな認知症なりの検査があったりとかしますけれども、でも1つ、我々自動車業界としては、安心・安全ということは常に考えなければいけないところだと思っています。それは大きなフィルターにさせていただく必要があるかなと思います。不安な要素、ご本人を含めて不安なときに、本来であれば何かほかの方法でモビリティのサービスを受けられることを考えなければいけないと思います。ですので、そこは確かにグレーと言われるところはグレーかもしれませんけれども、逆に言うと免許返納後とか、意思を持って返納していただいた後に、同じように皆さんが移動に困らない自由を我々のほうはどういうふうにサービスとして提供していく必要があるか、これはある意味、逆の意味でのフィルター、プラスに変えなければいけないほうのフィルターにもなるかなと思っていますので、そこはかなり議論もしていまして、そここそどう考えるかという、この変わり目のときをどう考えるかというのをしっかりやっていく必要があるかなと認識しています。

2つ目の大手以外というところでいきますと、いろいろな業界団体の方がいます。例えば販売店さん1つ取っても、軽自動車を売られているところとメーカーの普通車を売られているところは全然違っていたりとか、いろいろな形で売り方1つ取っても実は違います。そこにデジタル化もやはり差はあります。

ただ、そこは先ほどのスタンダードをやらなければいけないというのは我々がすごく意識しているところなのですけれども、皆さん業界のスタンダードになるということを前提に進めていくことが一番大切だと思いますので、標準化に向けてどのような形を、テクノロジーを皆さんに提供していく必要があるかということを常に意識して進めていく必要があるかなと。

石田座長: 僕はもう高齢者なので、免許返納は反応してしまうのですけれども、高度運転サポートシステムはすごく急速に発達していますね。ところが、オートマチック車と違って、見ただけでは分からないので、車検証にそういう機能があるかどうか、ちゃんと整備されているかどうか、車検証も電子化されていますので、そういうもので紐づけられると、今、しぼみつつある高齢者自動車マーケットは再拡張するのではないかなと思っているのですけれども、そういうことも含めて考えておられるのですか。

山下構成員: 逆に言うとアドバイスをいただいたという感じですが、そこまでまだ達していませんけれども、おっしゃるようにどうしても必要な方とか、まだまだ乗っていられる、問題がない方もいらっしゃいますので、あるいは何かしらプラスのサポートをつけさせていただければそれができるということではあると思いますので、その辺は皆さんが確認できるということをちゃんと用意をしながら準備するというのは非常に重要だと思いますので、その辺もサービスとかを今後考えていくときには検討したいと思います。

アドバイス、ありがとうございます。

石田座長: 山本さん、どうぞ。

山本構成員: 山下さん、どうもありがとうございました。ITS Japan、山本でございます。 コメントとご質問です。コメントというのは、自工会さんがモビリティということでサービス、ユーザー視点でこういう構想を本当にお持ちだというのはすごく素晴らしいことだなと思います。これはコメントです。

ご質問なのですけれども、最後の24ページ、今後の進め方のようなことが書いてございましたけれども、恐らく私が思うに、この構想をつくるためにいろいろな実証をまずトライアルしてみようではないかと。そこの中で、かなりいろいろなレッスン・アンド・ラーンが出てくると思うのです。これを我々のほうに、どこの場かというのは分からないのですけれども、自工会さんとして取りまとめてオープンにしていくと、とても気づきなり社会にとっていいのではないかなと思うのですが、そういうことは可能なのでしょうか。

山下構成員: そうさせていただきたいと思います。スタンダードということは恐らくいろいろなものをオープンにして、皆さんと一緒につくらなければいけないと思っていますので、IPAさんの取組もそうですし、デジタル庁さんの取組もそうですし、そちらのほうとしっかり連携を取っていただきながら、逆に言うと、我々の構想をうまく利用していただける場があるのであれば利用もしていただきながら、一緒につくりながらという形を取らせていただきたいと思っています。クローズにするつもりはございません。

ただ、一方で、各マーケティングで各社が秘匿性を高くやる必要があるものもあると思うので、データのレイヤーをしっかり分けて、ここは秘匿性高くやりたい、あるいは業界としても秘匿性高くやる必要があるとか、そういうものももしかするとあるかもしれません。そこは一定のルールを持ちながらというふうに思っていますけれども、できるだけこれをオープンにいろいろな形で検討させていただきたいと思っています。

石田座長: どうぞ。

秋本構成員代理: JUTMの秋本です。鈴木先生の代理でございます。説明ありがとうございました。

2件、先ほどからいろいろ議論が出ております、いわゆる高齢者とか、いろいろな操縦のレベルというか、技量の低い高いとかそういうあれもあるのですけれども、それと車の機種というかついている機能、安全に関する機能、これでいろいろなデータを取り込むことによって、例えば高齢の方で不安定な運転をされる方には、こういう機能がついた車でなければ駄目ですよとか、データを集めていくことによって、同じ車ではなくて皆さん能力に応じたような機能がついた車が紐づけできるのではないかなと感じました。

そのときに重要になってくるのが、車の操縦のデータだと思うのです。今、車の中にどういうデータが残っているか。あまり残っていないと思うのです。ドラレコの映像はずっと残るのですけれども、操縦、高齢者の方がずっと運転するときに、どういう経路、どういう運転をしていたかとか、そういうログがきちんと残っていると、マイナンバーと紐づけて、例えば車検のときでも何かのときでも、事故が起こったときでもいいのですが、そのデータを吸い上げて、あなたのレベルはこうですよということで、こういう機能がついたもっと高級な車に乗ったほうがいいですよとか、そういうふうにすることによって安全を担保していくということが、提供できるインセンティブというのは安全だと思うのです。そこに対してどういうふうな機能を提供できるかということで、データを活用いただければなと思いました。

以上でございます。

山下構成員: ありがとうございます。

今、車もコネクテッドカーと言われるような、いわゆるモビリティ間も含めていろいろなデータ連携がしやすい環境になっています。現にいろいろな形でデータも各社さん取れる仕組みは検討していますし、現に取っているものもあります。

ただ、どうしても運転なさって出てくるデータでもあるので、利用者の方の同意というものが非常に大切になってきます。ですので、その同意を確認させていただいた上で、利用範囲をしっかり決めて、今みたいなサービスとか、あるいはログに伴ういろいろな安全へのサポート、現に保険などでは今でも安全ですと保険料が少し下がるとか、あるいは安全のためのサポートをするためのアドバイスがあるみたいな保険も出だしています。ですので、それをより皆さんに使いやすい環境で用意しながらも、あるいはもしかするとそこにビジネス性もあるかもしれませんので、そこも踏まえてしっかり今、いただいたアドバイスも含めて検討していきたいと思います。ありがとうございます。

石田座長: 田中さん、どうぞ。

田中構成員代理: 東京電力パワーグリッドの岡本の代理の田中でございます。ありがとうございました。

MSPが進展してくると夢が広がるなという中で、22ページの右側の絵でエネルギーに対して触れていただいておりますけれども、ここから想起する話として一言コメント申し上げたいと思います。

例えば九州のように再エネの太陽光の余剰が昼間に多くあるようなところから、深夜、東京へ野菜等を運ぶ第一次産業のトラックがたくさん搬出されるときに、それがEVだったと仮定します。そうしますと、夜間、電気を運んでいただけるというのはとてもありがたくございまして、データが紐づいていればその方の高速代が安くなるとか、九州や東京で申しますけれども、これからの脱炭素はいろいろなエリアで、太陽光とか再エネの余剰が出てくるエリアと足りないエリアとの深夜のマッチングのように、需要のエリアマッチングにMSPが発展してくると、とても期待できるなと思った次第でございます。

お願いというか、デジタル田園都市国家構想も環境省さんのカーボンニュートラルもそうですが、自治体さんは地域を意識してございますので、できれば2050年までの間に、地域ごとのMSPというものを、再エネの余剰と再エネが足りないところを意識していただくような取組をしていただけるととてもありがたいなと思います。

以上でございます。ありがとうございます。

山下構成員: アドバイス、ありがとうございます。

面白いですね。エネルギーが運ばれるというのは、あまり発想は正直なかったです。うまく物流のトラックとかも利用しながら、非常に面白いアイデアだと思いますし、デジタル田園都市国家構想などにも非常に当てはまりやすい話だなと今、すごく思いました。そういうものでまさに自動運転に限らずエネルギーも一緒に運んでいくというものがあれば非常に面白いですし、おっしゃっていただいたように、地産地消的な再エネ的な活用ということと地域性ということは非常に重要だと我々も認識しています。実証する上でもいろいろ見ていきますと、いかに地域における、途中にもありましたけれども、地域の経済という、できるだけ地域という単位で考えたほうがいいのかなと我々も考えていますので、そこは今いただいたアドバイスも含めてしっかり検討していきたいと思います。ありがとうございます。

石田座長: どうぞ

越塚構成員: 東大の越塚でございます。どうも発表ありがとうございます。

大変意欲的な取組で、興味深く聞かせていただきました。

最初の齊藤さんのご質問にも関係するのですけれども、確かにパスポートという名前の構想だけれども、データ連携基盤だというところなのですが、パスポートという名前をつけているからには、何か背景となるサービスイメージがあるのかなと思い、そこをもう少しお聞きしたいと思いました。

ヒトのID、車両のIDという絵があったと思いますけれども、これがベースだったのですか。そうすると、マイナンバーカードが免許証化してくるというところから、ヒトのID、左側が整備されてきて、そうすると車も、しかも乗用車とそれを買ったヒトか運転する方、利用する方の日本国民個人の間の関係性の中のサービスを中心に考えているのかなと。

モビリティと言うとほかにも物流があったりとか、そうすると物のIDは要らないのかなとか、いろいろ思ったりもするのですけれども、広げてしまうと多分よくないので、まずはここからということでいいのかなと思ったというのが1つ。

ただ、これをやろうと思ったときでも、データ連携とかをつくるほうの視点でご質問させていただくと、もうちょっと必要なデータの整備とか、例えばインフラも要るかもしれないし、さっきの物も要るかもしれないし、ヒトのほうのIDも、個人だけでいいのか、法人はどうするのだ、外国人はどうするのだ、いろいろな問題があったりして、ほかで必要なデータ整備、こういうものが整備されていたり連携していないと困るというような視点があるかなというのが1つ。

もう1つが、これの後、実現に向けてのタイムラインをどれぐらいの感じでお考えかという辺りを少しお聞かせいただければと思います。

山下構成員: ご質問、ご指摘ありがとうございます。

まさに本来であれば物のIDとかいろいろなものが出てくると思います。もともと実はMSP構想の前は、ヒトのIDでマイID、車のIDでカーID、足してマイカーID構想みたいなことを言っていたのです。でも、そうするとIDをつくることが目的みたいに取られてしまうので、あくまでもこの大きな構想の下に、皆さんがパスポート的にデバイスフリーなように、あるいは車がフリーなように、何でもというふうな、公共交通も含めて自由に行き来ができるということを実現したいなと思っていました。ですので、この広がりということと、あくまでもパスポート的なものだとこれで海外に自由に行けるみたいな話みたいに、できるだけ生活者の方が分かりやすいほうがいいのかなというふうに、実証する上では、パスポート的なもので皆さんがこれで1つ何かスタンプを押してもらえれば回れますよというぐらいの感覚がご説明のときに分かりやすいかなと思ったので、そういうのはできるだけ平易で皆さんが想像しやすいものということで、この名前を議論した上でつけさせていただきました。

ただ、考え方的には、おっしゃっていただいたように広がりというものが非常に重要になりますし、個人、法人、いろいろなものが出てくると思います。これは視野に入れなければいけないという認識でおります。ただ、広げていくと切りがなくなってしまいますので、できるだけシンプルにスタートをしたいなと思っている次第です。

逆に言うと、今日、先生にご説明いただくアーキテクチャみたいな話はすごく興味深く、もしかすると勝手に思っていたのですけれども、これは期待していたところでもあったのですが、そのような状況ではありました。

本来であれば、マイナンバーカードと免許証が2024年とか2025年と言われていますけれども、そういうときに皆さんが少しでもそういうもので身軽にできやすいものの環境は幾つか整備していきたいなと思っています。ですので、そのときはまずはヒト軸からということと、あくまでも個々人のIDをベースにしたという話になると思いますけれども、それから広げていって、構造体が同じように展開できるのであれば、物とか、いろいろなものに出てくると思いますので、物流などはまさに物のIDがつくことによって運ぶものが見えてくると思いますし、先ほどのエネルギーなどももしかしたらIDがつくかもしれません。なので、そのような広がりがついていけるのであれば、ぜひそういうことも検討したいと思っています。なので、閉じることなく広がりたいというのをMSPという意味に込めました。そのような形で、できるだけ皆さんとは連携したいと思っているというのがの現状です。

齊藤構成員: 今回のMSPはどっちらかというとヒューマン情報というか、車に乗るヒトが持つパスポート、いろいろなデータがヒトを中心にして、そこでつながってくる話です。私は車両のIDというのは、サーキュラーエコノミーでいわゆるプロダクトパスポートという概念がもう1つありますが、その車のバリューチェーンとか、使用履歴、リサイクルなどのデータがそこでつながっていくような話だと思います。そのパスポートと今回やろうとしているMSP(Mobility Smart Passport)、つまり免許証に代わるような個人が持つようなものはちょっと違う話だと捉えていたのですけれども、こういう理解でいいのですか。

山下構成員: 違う話ですけれども、構造的には同じになっていると思います。

齊藤構成員: 情報をどういう形で持つかという話で、車の情報は車で持つと。それにパスポートがついていて、いろいろな情報がつながってくると。例えば車に乗ってどうのこうのという個人の情報は、いわゆるヒトのほうのパスポートに乗っかってくる。同じような構造で情報が連携できる形になる。それがN対Nでつながるようになるという、そういう話ですね。

山下構成員: はい。

齊藤構成員: 分かりました。ありがとうございます。

山下構成員: 車のほうでいくと、今後は車のほうも例えばリサイクル的なものとか、先ほど今やっていただいた電池などというのは、利用者側も今度意識しなければいけなくなってきますので、まさにヒトが介在して、原材料の部分までバトンが始まり出す、そしてまたリサイクルが始まるとなるので、そこは実は自工会のほうでは一緒に考えています。

石田座長: 川端さん、お願いします。

川端構成員: オンラインで参加しております川端です。

まさに今、議論に上がっていた車両側のほうのIDも、車検証が電子化になりまして、私がその委員会に入っていた段階では、まだ車検証のほうもデータ上、空いているというか、まだデータの容量があって、当時はデジタル車検証の空いた領域の利用のアイデア募集みたいなものをしました。パブコメを出した後も、そのときはまだ議論としては早かったのだと思うのですけれども、利用に関してのアイデアというのはその時点では出ていなかったのですが、それから数年たって、今だったらそういうことが活用できるのではないかなと思って伺っていました。

車両側も、例えばADASのどのレベルがついているかであったりとかは、現状の券面の車検証ではそういった細かい装備の認識はできないですけれども、デジタル車検証で空き領域を使うみたいなことが可能になっていけば、車両のADASのレベルであったりとか、整備状況であったりとかというデータを活用していくとか、そのとき委員会の中では中古車のデータの収納なども話題にはなっていたのですけれども、そういったことが活用できていくと、ヒトに紐づいていないほうが、車両のIDのほうがマイナンバーよりもハンドリング上はしやすいと思うのです。なので、そういったところのデータ活用が、全体のいろいろなところのデータがある程度充実してきた段階でつなげられるプラットフォームを考えておいて、データがある程度たまった段階でそこはつなげられるというような考え方をしたほうがいいのかなと思いました。

そういったこととかも自工会さんとかは、物のほうのデータとヒト的なデータのマッチングは結構考えていらっしゃるという認識で大丈夫でしょうか。

山下構成員: 川端さん、ご指摘、ご質問ありがとうございます。

考えなければいけないとは認識しています。恐らく車検証はじめ車周りも多分つけられるデータがいろいろあると思います。ですので、いろいろなものにできるだけ同じように共通化させて情報を載せていくということは本当に重要だと思っています。その1つの形として車検証、絶対車につくものですから、そういうもので見ていくというのもあると思います。

また、中古車ですとかいろいろなものでなかなかデータが連携しにくい環境というものが、先ほどありましたけれども整備事業者の方とか、なかなか全てが同じスキームに乗れないときに、車検証というものを1つのハブにするというのはあると思います。ですので、今、ご指摘いただいたところで、皆さんが持っているものに1つ何か情報を乗せておくというものが結構重要だと思いますので、今みたいなアドバイスはぜひいろいろな形で活用させていただきたいと思いますし、またその辺をいろいろな形で一緒に検討させていただければなと改めて思いました。ありがとうございます。

川端構成員: それをやっていったほうが、リサイクル、リユースの話につながりやすくて、今後Catena-Xとかいった話が出てきたときに有利かなと思いました。

山下構成員: ありがとうございます。

石田座長: 今の車検証の電子化の話ですけれども、今年から交付が始まっています。ただ、容量がそんなにない問題とか、電波が届かないところで交通違反をして、お巡りさんに捕まったときに、確認ができないと困るというので、券面印刷が不可欠であるみたいな。まだまだ改善すべき余地はいっぱいあると思うので、モビリティワーキングの大きな課題の1つと思っていますので、ぜひ連携させていただければと思います。ありがとうございました。

他はいかがでしょうか。

どうぞ。

村松構成員: ご説明ありがとうございました。ロボフレ機構の村松です。

2点コメントさせていただければと思います。

1点目ですが、デジタル機器とすごく相性がいいなと思いました。何が言いたいかと申しますと、最新の車でなければデータは取れないとなるとある意味片手落ちの部分がある中で、本当に最新の車であれば10割取れるけれども、簡単にスマホでも、各種GPSとか、ジャイロセンサーとか、そういったものを使って3割程度でも取れれば、データレイクに対して貢献等ができるのではないかなというのが1点感想です。

もう1点は質問です。本領域におけるデジタル関連のアーキテクチャに関して、現在の検討状況を教えて頂ければと存じます。何が言いたいかと申しますと、今は本当に書いていただいている通りですが、どんどんデジタルのやっていく幅、認可管理は誰がやるのだとか、どの会社さんが何をやるのだとか、会社さんごとによってプラットフォームを分けるのか、はたまたそれこそデジタル庁さんに旗を振っていただいて1個のプラットフォームをつくるのか、ビジネスと自助と共助の割合の部分ですとか、デジタルに関連して多くの領域において複雑に絡み合っている中で、どのように整理していくのかが1つの重要なトピックになるかと思いました。このことについて、もし何か検討部分があれば教えいただけたらありがたいかなと思いました。

以上です。

山下構成員: ありがとうございます。

おっしゃっていただいたように、2つ目のほうは特に大きな話だと思っています。こちらはまさに我々は今、こういう会も含めて、デジタル庁さんがしっかり音頭を取ってこの部分を大きなものとしてスキームをつくっていただけるかなというのを本当に期待しています。これをみんなが同じように、例えばそれを代行的に受ける企業さんとか企業体とか、あるいはそのような団体が出てくるかもしれませんけれども、そういうところができるようなスキームをまずつくらないとやはりこれは無理だろうなと思いますし、1か所に集めるなんて到底無理ですし、いろいろなものが分散しているものをどうつなぐかというところだと思いますので、ここはそれを本当に期待しているところです。ですので、その部分に向けたやり方のために我々もぜひいろいろアイデアなり一緒にやらせていただくことをしたいと思っています。

それがあると、最初に言ったまずできるところからやりますけれども、それができやすい環境が整うと、レイクにもいろいろな情報が集まり出すと思いますので、そこが必ずセットで動かなければ駄目なのかなと思っていますので、そこはかなり意識をして進めていきたいと思っています。

石田座長: そろそろ時間なのでこれぐらいで議論を終えたいのですけれども、御発言ございませんか。ありがとうございました。

すごく大きな課題だと思うのです。量的にも、マイナンバーカードもそうですし、車両の台数、さらに新たなモビリティやマイクロモビリティなどで増えていく可能性もございますので、本当にモビリティワーキングの大きな課題かなと思っておりますので、そのためにも、議論されましたけれども、基本的なアーキテクチャは本当にここでも大事だなと思いましたので、引き続きよろしくお願いをいたします。どうもありがとうございました。

それでは、次はNEXT Logistics Japanの梅村様よりご発表をお願いいたします。

梅村様: ありがとうございます。NEXT Logistics Japanの梅村と申します。

本日は、このような機会を賜りまして、ありがとうございます。

今日、私からご説明させていただくNEXT Logistics Japanの取組を通じて、トラック物流という1つここの課題と、そこに対する取組を皆さんとも共有させていただいて、そうした中で、この「モビリティ・ロードマップ」の中に何かお役に立てればと考えてございます。

まず、NEXT Logistics Japanでございます。私どもは物流における社会課題、特に昨今言われております2024年問題をはじめとしたドライバーの不足、そしてカーボンニュートラル、ホワイト物流といった課題に対して、自動車周りのConnected、Autonomous、Shared、Electricといった技術を使って、何か課題解決に資することができないかということを考えまして、トヨタグループのメンバーを中心に2018年から会社をつくり活動しているものでございます。

ただ、ここにもありますとおり、より少ないトラックドライバーで物を運ぶために自動運転を活用する、またCO2を減らしていくために電動化をしていくといった技術の使い方がございますが、明日から自動運転が広く普及する、また電動化も広く普及するということがなかなか難しい中では、まずできることから1つずつやっていこうということで、今、取り組んでいますのが、ダブル連結トラックというもの、フルトレーラーというものを活用した異業種の荷物の混載でございます。これは2両連結、電車のような長いトラックを使いまして、ここの中に様々な荷主様の荷物を一緒に運ぶということで、トラック物流の生産性を徹底的に上げていこうという取組でございます。

次の4ページにございますような混載というものを少し具体的に皆様にお示ししますと、ここにたくさんトラックの中の積載の様子が書かれてございますが、上からございますとおり、日清食品さんとアサヒビールさんが一緒に運ぶ、江崎グリコさんと花王さん、食品と日雑を一緒に運ぶ、その右側はアサヒグループ食品様とタイヤ、ブリヂストンさんを一緒に運ぶとか、また、真ん中2段目は、前が日本製紙さんで後ろがニチレイさんといった、これは温度帯の違うものを一緒のトラックで運ぶ。その横がキッコーマンさんとユニリーバさん、3段目真ん中、サントリーさんとP&Gさん、そしてトヨタ自動車さんと富士フイルムさんといったように、業種業態を超えて様々な方々が一緒に運ぶことによって積載効率を上げていくことができるのではないかという取組でございます。

私どもが今、取り組んでいるのは、この企業さんの物流です。日本のトラック輸送の市場規模は14兆円と言われていますが、物流の中でフォーカスされがちな宅配というのは、実は2.5兆円ぐらいしかありません。残りがBtoBの企業物流でして、ここが成り立たなくなるというのは、非常に日本としてもサプライチェーンの寸断といった大きな課題だと考えてございます。これを様々な方々が一緒に運ぶことで、積載率を上げていこうと。

このトラック輸送、例えばトヨタ自動車さんであればトヨタ輸送さん、アサヒさんであればアサヒロジさんというそれぞれ物流子会社を持ち、それぞれで運んでいるというのが実は日本の物流の特徴でもございます。こうした中で、例えば飲料を運んだ帰りでトヨタさんの部品を運ぼうとか、食品を運んだ帰りでまた別の荷物を運ぶといった業種業態間の連携があまりされてこなかった。結果的に積載率が下がってきたというのがこの業界でございますので、これをいかに効率よく運ぶのかというのをやってみようということで、次の5ページでございますが、私どもはダブル連結トラックを使った混載を実際の運行の中で、私ども自ら緑ナンバーを取りまして、運行して、本当にこういったことがお役に立てるのかというのをやってみようということで、関東と関西という日本の物流の大動脈でもあります2拠点にクロスドックステーションを置きまして、ここに様々な方々の荷物を持ち込んでいただいて、それを組み合わせて運ぶことによる効率化を行っています。

ロゴマークがありますアサヒさん、グリコさんといった荷主様、それと下にあります澁澤倉庫さん、KRSさん、ギオンさんといった物流事業者さん、それと三菱HCキャピタルさん、銀行さんといったリース、金融、様々な業種の方々が、今、私どもの会社の出資にいただきまして、一緒に運ぶという枠組みをぜひつくっていこうと。右側に幾つか味の素さんとかカバヤさん、サントリーさんといった名前がございますが、今現在はさらに年会費方式で入っていただくようなNLJ Plusという枠組みを含めて、今、荷主様で言うと42社の方々が一緒に運ぶという取組を行っています。先ほど申し上げましたとおり、それぞれで運んでいたものを40社以上の荷主様が一緒に運ぶということは、世界的に見ても珍しいことだと考えてございます。

この私どもの取組は、あくまでもまだステップ1でして、その先には、トラックが自動運転になる、また、そのトラックが電動化されていくという次のステップを見据えながら、そこの利用する枠組み、仕組みをつくっていこうというのが我々の取組でございます。

7ページにございますが、いろいろな飲料ですとか即席麺、自動車部品といったものを1つのトラックの中に混載をして、これを定時運行させております。言ってみればダイヤグラムを組んでおりますので、関東・関西間を走る物流の東海道新幹線のようなものでございまして、相模原のセンター、関東を出たトラックが、豊田という途中の中継点でドライバーをチェンジし、別のドライバーが今度西宮まで行って、今度は別の荷物を積んで、また相模原に向けて走るといったように、トラックはひっきりなしにドライバーを交代して走ります。稼働率は100%に近づける。一方で、積載率、この中のトラックの中を満載していくということで、トラック輸送の生産性、積載率掛ける稼働率をいかに高めるかということを行っております。

この私どもの取組で、次のページ、8ページでございますが、今現在、63%の平均積載率、先ほど積載の図を見ていただきましたが、私どもは容積と重量の両方を使い切ろうということで、容積と重量を足して2で割って積載効率を表す63%というのが今現在の平均でございます。最大値は89%ということで、8割、9割というトラックもだんだん増えてまいりました。

一方で、では世の中のトラックがどれぐらいで走っているのかというのを下に小さく書いてございます。これは国土交通省さんのロードファクターという数字でして、積載率39%というのが実は今、世の中のトラックの平均値でございます。逆に言いますと、それは6割が空気を運んでいるという非常にゆゆしき問題でございまして、これは日本でトラック輸送、ドライバーが足りなくて困っているという状況がある一方で、生産性が非常に低いということを表してございます。

次の10ページでございます。積載率が低いということを少し定量的に表したいと思いまして、これは今、最新型のトラックについているICTの機器を通じまして、日本全国を走っているトラックの重量の分布を見たものでございます。車両総重量から車両重量を引いていきますと、実は積載、どれだけ積んでいるのかが分かりまして、ここにもありますとおり積載率40%というところに山がありますとおり、6割が空気を運んでいるというのは間違いのない事実でございます。

次のページ、11ページにございますとおり、企業様はどんな感じで運んでいるのかというのをもう少し表した模式図でして、左側でいきますと、例えばある工場から出る荷物をイメージしてください。1日5便トラックを走らせているとなりますと、実は朝から晩までずっと満載で走っているわけではありません。朝は80%で昼は50%、最後の便は3割ぐらいしかない。そして今度、行ったトラックが帰ってこなければいけないのですけれども、この帰り荷というのが、実は荷主さんは把握していません。実際には朝8割でいたのは8割で帰ってきていますけれども、昼5割で行った便は、帰りは空です。最後の便などは、3割で行って空で帰ってきていますので、ほとんど仕事をしていないというのがトラック輸送でございます。

これが平均積載率4割というイメージでございまして、こういったようなことを課題解決していかなければいけないのですが、次の12ページにありますとおり、企業物流、基本的に工場から出た荷物が、例えば卸さんの一時倉庫に行きますが、その一時倉庫から企業の工場に同じだけ荷物が戻ってくることはありません。基本的にワンウェイです。それと、企業物流というのはご承知のとおり変動が大きいです。例えば飲料などで言うと、夏場は閑散期の3倍ぐらい出ます。自動車も期末に集中して出ますとおり、非常に工場の変動が激しい中で、物流事業者さんはそこに合わせ、ピークに合わせて輸送力を持ちますと、余ります。こういったようなことを、実は今までは皆さん、物流事業者さんがうまくやってくれているということで、ここを考えていなかったのですけれども、うまくできていなかったから40%なのです。こういったようなことを、やはり効率よく運びたいということで、次のページにありますとおり、ダブル連結トラックによる混載、もちろん1台のトラックで2台分以上の荷物を運ぶことでCO2も減っていきます。今現在、私どもの運び方で28%の減、今、ご覧いただいたような企業さん、本当にScope1、2のCO2をいかに減らしていくのかということが主眼かと思いますが、やはりScope3、この中でもCategory4と9、輸送の部分のCO2はオペレーションさえ変えれば明日からでもできることですので、こういったようなことをぜひ進めていきたい、仲間を増やしていきたいなと考えております。

ちなみに、今、積載率の話をさせていただきましたが、実は今、市販されているトラックに積載率を表すような、例えばメーターの中にそういったものを表示する機能は一切ありません。物を運ぶ道具なのですが、実はトラックにはどれぐらい積んでいるかというのは分かりません。それを私どもは把握するために、先ほどのような車両のデータと併せて、荷室の中に3Dのセンサーをつけまして、14ページにありますような荷室の中の見える化を行っています。これによって実際に走ったときの燃料噴射量と合わせて、荷物1個当たりどれだけCO2が出ているか、さらにはそれを束ねることでどれだけ減らせるかが分かります。

15ページにありますとおり、私どもこのトラックの中の荷物、様々な業種のものを積んでまいります。一言で言うと簡単なのですが、一緒に積むのが難しいです。洗剤と、例えばおかし、匂いのするものを一緒に運んでいいかですとか、自動車部品のようなオイルがついているものを食品と一緒に運んでいいか、皆さんそれぞれリードタイムはばらばらですし、荷姿であったり、パレットのサイズは皆さん違います。これを組み合わせて、皆さんに見ていただいたようなパズルを組み立てているのですが、ここに非常な難しさがございます。

次のページにございますような、例えば軽いもの、重いもの、上りと下りのバランス、荷姿もみんなばらばらです。オーダーいただいている荷姿の情報だとか、こういったものも皆さん違います。リードタイムは皆さん自分のペースで持ってきますので、これをいかに合わせて運ぶことが難しいか。そしてコスト、これは全般的に輸送のコストというのは非常に安いです。そうした中で、いかにこれを組み合わせて、バランスさせて、効率よく運んでいくのか。

例えば次のページにございますとおり、重量のバランスで言うと荷室の中と表示積載率を考えると、例えば立米当たり270キロといったところがベストバランスなのですが、飲料が多いとこのように少し重量勝ちになって、空間が空いてしまったり、その次のページにありますとおり、荷姿は皆さんばらばらです。今までパレットということが非常に言われてまいりましたが、高さまで含めたキュービックの基準は今、ございません。ですので、例えば右から2番目にありますとおり、そもそも四角になっていないというものもありまして、こういったものをどうやって組み合わせるのかは非常に難しさがございます。

これを実際に積み合わせてみようとすると、このように天面が合わないので、その上に積み重ねられないですとか非常な苦労をするものを、次のページにありますとおり、そもそもケースに入っていないものをどう組み合わせるか、匂いのするものをどうやって一緒に運ぶかといったようなことを課題解決してきたというのが我々の3年間でございました。

次でページでありますとおり、荷室の中を2階建て化したり、ある1つの基準をつくって箱の中に入れること、このようなことをするともっとこの辺の積載率も上がってきまして、その次のページにございますとおり、今、経産省さんと一緒に荷姿の標準化もぜひできるのではないかということで、我々が取り扱った荷物の中で、ある寸法の中にどれぐらい収まるかといったようなところを、9つの標準をつくりまして、こういったものも提示させていただき、実際に今、流通している様々な業種の荷物、86%ぐらいがこの9種類に収まるのではないかといったような提案もさせていただいております。

24ページでございます。皆さんがある荷姿ですとかタイミングを合わせていただくと、このように積載率85%、CO2としては35%も減りますということで、こういったことをコンセプトだけではなくて実際にやってみようという中で皆さんと共有しているというのが我々の取組でございます。

25ページにありますようなトラックの工夫もしようということで、少し大きな箱のトラック、ダブル連結で全長25メートルに加えて、荷室の高さも従来の3.8メートルから4.1メートルまで増やしていただいて、これは法律を変えていただきました。荷室の容積150立米、大型トラック2.5台分を1人のトラックで運ぶような機材を準備したりしています。

ただ、非常に肝となるのが、次の26ページからでございますが、いかに荷室の中をうまく効率よく積むかという、ここのパターンのつくり方でございます。実はそれを私どもはNeLOSSという新しいシステムをつくりまして、量子コンピューターを活用して、この複雑な計算を解くということを行っております。

27ページにございますように、この荷物の情報、多彩な寸法も違えば匂いのするものもある、こういったものが全て変数になった、非常にたくさんの変数の順列、組合せの中から、積載率の高い1つを選んでいくということを行っていますが、一般的なコンピューターでやろうとすると1万時間ぐらいかかる。人がやるとなぜかうまくやりまして2~3時間それでもかかるのですが、人も減っていくという中では、量子コンピューターを使ってこれを解こうということで、現在40秒でこれを解くことに成功いたしました。

今、画面で見ていただいておりますが、例えばアサヒさん、三矢サイダーを何ケースですとか、花王さんがシャンプーを何ケースといった、こういうオーダーが入ってきまして、その数百行の物流のデータを全部NeLOSSの中に食わせまして、右下のボタンを1つ押すだけで、40秒でこの荷室の中の組合せをつくります。

量子コンピューターは非常にこういった組合せ計算には強いということで、今、いろいろなルーティングですとか実証が行われているかと思いますが、今現在、私どもはこれを昨年の夏から実装しています。実運行の中で実際使ってみることで、本当に使えるシステムになるかということにチャレンジをしてございます。このように量子ビットの中に0と1、両方の性質を持たせることで、組合せ計算を一回で行うというシステムでございまして、今現在、私どもはこのトラックの中の積み付けと、それをどういうふうに割り当てていくかということを同時に行うということを行っています。こういう計算している間に40秒で今、結果が出まして、各便が実際何%の積載率になるかということを今、見ていただいております。

そこをクリックしますと、各トラックの中はこのように積んでくださいという展開図にまで落とし込まれます。そして、その各部分に、例えばここの部分には、次にありますが、青いところに飲料を積んで、そして緑のところにシャンプーを積んで、そして茶色いところには自動車部品といったように、現場ではこのとおり積めばいいというところまで落とし込まれるといったシステムを昨年から実装しています。

みんなで運べば積載率は上がるのです。ただ、みんなで運ぶことが難しい。この組合せをつくるようなシステムがないと、なかなかみんなで運んで、効率よくするということが難しいということを1つ表してございます。

もう1つ、企業物流の特徴で変動が激しいというのがあります。私どもはこうしたところを課題解決するために、この物流情報を使って予測をするということができないかという取組をしております。毎週荷物を運んでいますと、大体木曜日にアサヒビールさんはこの荷物を運んでいるな、サントリーさんは火曜日にこの荷物を運んでいるなというのが分かりますので、今現在、私どもは1週間分のトラックに積まれる荷物を前の週に予測します。それをデイリーで、そのとおり来たかどうかを予実管理していまして、精度アップをさせていくということを行っています。これによって、例えば月曜日ですとか、荷量が少ないときには、トラックの台数を減らして、無駄なトラックを走らせないといったこともできます。

こういう様々な取組をすることで、トラックの生産性を上げていこうという取組でございますが、今現在、私どもが行っているのは、工場から出て、荷主さんの倉庫であったり、卸さんまでの一次輸送の長距離輸送というところを行っています。特にここの分野が、ドライバーの不足で高齢化も進んでいくところ、ここの深刻さ加減をまず解決しようということで行っていますが、こうした情報の連携も、さらに小売ですとか末端のところまで連携していくことで、何が売れたからどれだけ生産をして、結局どういうふうに運ばれるということが分かっていくと、もっと効率化できるかなと考えてございます。

このNeLOSSというシステムを今現在、積み付け、割り付けを最適化するというところから行っています。関東・関西間をうまく運んでいこうということで行っていますが、今現在、これをさらに全国に広げまして、例えば九州から北海道まで、どういう形で持ってくるのかというルーティングと、ドライバーチェンジするダイヤグラムと、この4つの要素での組合せ最適化ということを今、NeLOSSの進化版として開発を進めております。

こうなってきますと、私どもがダブル連結トラックで運ぶということだけに使うのはもったいないので、これを今、オープン化しようということで、APIやUIの開発も進めて、例えばこれを北海道で2~3社ぐらいで一緒に運ぼうというときに、このシステムを使ってくださいというように使ってもらえれば、この課題解決がより進むのではないかなと考えてございます。

さらにその先には、トラックだけではなくて、鉄道ですとか船といったほかの輸送モードともつながるのではないかということで、33ページにありますとおり、マルチモーダルでの最適化ということもぜひできないかということで、この進化の先には思い描いています。

もう1つ説明させていただくと、これが荷室の中をいかにみんなでシェアするのかという取組です。私どもはもう一面、シェアリングがあるだろうと思っているのが、トラックとドライバーもシェアしていこうという考え方です。私どものダブル連結のトラック、ブルーのキャビンの長いトラックでございますが、これをNEXT Logistics Japanという会社で保有するのではなく、パートナーの物流会社さんに私どもからリースして持っていただいています。そこのドライバーと一緒にこの枠組みを運営しておりまして、具体的に申し上げますと、35ページです。関東から関西までこのトラックが走っていきますが、実はこのトラック、上のほうに書かれているのはユーネットランスさんというトヨタの部品輸送をやっている会社さんのトラックです。ただ、ハンドルを握っているのは、ギオンさんという別の会社さんのドライバーがハンドルを握って、今度、中継点でドライバーチェンジをして、ギオンさんのドライバーはそこで降りて、西宮からやって来た自社のトラックに乗って帰ります。今度、そのトラックは自社のユーネットさんのドライバーが乗って西宮まで行って、今度、ギオンさんのトラックにユーネットさんが乗ってといったように、トラックとドライバーと荷物というものの組合せをフリーにすることで、徹底的にアセットの効率を上げようというものでございます。

このようなものを今、次のページにありますとおりクロスドックに持ち込んで、こういった集約をして運ぶ。さらには、ダブル連結トラックですから、前と後ろを切り離して、前は前、後ろは後ろで走ってきて、それを連結するような、こういう運び方のモードもさらに進化をしております。

こうした中で、ダブル連結トラック、おかげさまで走れるルートが広がってまいりました。今まで赤い1本の線だったのですが、黄色いルートまで倍増いたしまして、そういった意味でも1人で2台分運ぶ、こういったトラックが活躍できる素地ができてきたかなと考えでございます。

今、お話させていただいたとおり、私どものモデルでございますが、基本的に物流の無駄を見える化し、それをそれぞれで運ぶのでは限界がありますので、みんなで運ぶことで効率を上げていく。そして、ダブル連結トラックのような、1人で2台分運び、これが将来的には自動運転になることで、たくさん運ぶ、こうやってどんどん生産性を上げていきます。徹底的に生産性を上げた分を、荷主さんの物流費を下げるということではなくて、私どもはトラックドライバーに還元しようということで、今現在、世の中の大型トラックドライバーの年収平均は463万円と言われていますが、私どものドライバーは600万から800万という約倍近い年収を払ったとしても成り立つようなモデルを今、思い描いて、これを実際にやってみようということで行っています。

9台のダブル連結トラック、まだまだ少ないのですけれども、10万トンの荷物を運んで、輸送力248%、積載率60%にすることによって、今まで3年間で5,000人以上のドライバーを、そしてここにあります1,000トンのCO2を減らしてまいりました。こういうことをやれば、このように人が減って、CO2も下がるということを形にして見ていただくことで、皆さんがこういうイメージをしていただければと考えています。

これはあくまでもステップ1で、その先には、このように自動運転になっていくということをイメージしまして、実は国の隊列走行のプロジェクトでも使いましたCACCとLKAをこのダブル連結にも搭載させていただいて、後ろのトラックは追従して走るといった、こういうことによる疲労軽減を行ったり、また、トラックだけ自動では片手落ちということで、荷役のフォークリフトも無人化していこうということで、L&Fさんと一緒に無人のフォークリフトの実証も行って、一部実装を始めます。

それと、そのトラックを電動化していこうということで、これは3週間ほど前からアサヒビールさんの守谷の工場から私どものクロスドックに持ち込んでいただくルートで、燃料電池、水素によって発電するEVの大型トラックも走り出しました。

このように、我々はいかに束ねて運ぶためのいろいろな仕組みと枠組みをつくっていくと。そうした中では、例えばクロスドックするようなステーションも高速道路に直結し、ここに皆さんに持ち込んでいただいて、例えば将来的には自動運転と手動運転が切り替わる。ここで水素を入れるようなステーションができてくるといったような、こういうインフラ側の構想も描けるのではないかなと考えてございます。

こういういろいろなことをしている会社でございまして、いつもこういう説明をすると、NEXT Logistics Japanは何の会社なのとよく言われるのですけれども、我々はダブル連結トラックを使って混載をして、それを皆さんでシェアしていくといった枠組みに新しい技術が搭載されてくるというイメージを描きながらビジネスを行っていますが、本質的にはより少ないトラックドライバーとトラックでたくさん荷物を運ぶための仕組みと枠組みをつくっている会社でございまして、無駄なトラックを走らせない、究極的にはトラックを減らしたいというのが私どもの思いであります。それをこのような実業と、この実業で行う中でできたノウハウをNeLOSSというシステムに反映して、これを皆さんに使っていただくことで、リアルとデジタルの両面で皆さんの課題解決、物流の深刻な課題解決につながればと考えてございます。

駆け足でございましたが、私どもの説明でございました。ありがとうございました。

石田座長: ありがとうございました。

それでは、また活発な議論をお願いしたいと思います。

お願いします。

秋本構成員代理: ご説明ありがとうございました。

非常に感銘しました。こういう活動をされているので、非常にこれをぜひ全国であらゆる業態に適用していただければいいのかなと思いました。

特に今、企業物流だと思うのですけれども、大手の宅配業者さんとか、当然基幹のところは多分あると思うので、そこを例えば請け負うとか、そういうふうにしていただけることに対して、労働力不足というか、そういうところにも貢献していただけるのではないかなと非常に思いました。それプラス、さらにCO2削減にまで統一的に展開できるということで、非常に一貫のところでこういうものを適用するのがいいのかなと思いました。

頑張っていただければ思います。ありがとうございました。

石田座長: 越塚先生、どうぞ。

越塚構成員: ありがとうございます。

すばらしいお話、ありがとうございました。

スライドであったところで、倉庫があって、小売側に運ぶ場合と工場側に運ぶ場合があって、逆に小売のほうを見ると、例えばコンビニさんとかの最近のオーダリングシステムは結構欠品が出ないように、売れ残りが出ないように、足りなくならないようにというのをかなりデータを使って、それはそれでまた物流泣かせだなと、この立場になるとたまらないだろうなと思ったのですけれども、その辺りはいかがですか。輸送全体の中で工場に行くものと小売に行くものとのバランスもあって、どれぐらいインパクトがあるかというのもあるのですけれども、発注するほうが結構売れる売れないということで、明日寒いからこれを発注するとか、暑いからこれを発注すると、それをやるともう物流はたまらないだろうと思うのですけれども、その辺はいかがですか。

梅村様: ありがとうございます。

さっきのロードファクターと言われる積載率の数字なのですが、実は1990年代には6割ありました。今現在、4割を切っているというように、どんどん落ちています。その要因の1つが、おっしゃっていただいたような、実はIoTですとかICTの進化によって、いろいろな商習慣の中で細かく発注できるとか、いろいろな消費者のニーズが細分化されて、それに向けた商品がつくられることによって、荷物がまとまらなくなるという結果になっているというのが1つ大きいと思っています。

そういう中で言うと、それでずっと下がっていって、もうこれ以上本当に下がっていくとトラックの中は空気だけになりますから、どこかで歯止めをかけなければいけないと思っていまして、そういう意味でも、今回、物流2024年問題に対する政府の新しい提言が出ましたけれども、そういう中でも、消費者であったり、また荷主さんの行動変容が求められているとおり、例えば機械的に1個売れたからといって1個発注するというようなことをずっとやっていると、やはり運べなくなるという帰結になりますので、そういった意味では、少しまとめて発注するとか、リードタイムを1日延ばしても大丈夫なものはそんなに頻度よく発注しないとか、そういうことを荷主さんと物流と一緒に考えていきましょうということが大事だと考えています。

石田座長: どうぞ。

村松構成員: ご発表ありがとうございました。ロボフレ機構の村松と申します。

現状の課題とそれに対する解決策、とてもすごくよく分かりました。ありがとうございました。
 一言コメントなのですが、ぜひ連携させていただきたいなと思いました。特に荷姿の標準化、これは私たちもすごく課題に抱えています。何かと申しますと、御社が今やられている領域はToB向けだと思うのですけれども、私たちはどちらかというとToC向けの課題解決に取り組んでいます。そのときに、荷姿が会社さんによって全然違っているというのが課題です。

ロボットをつくるときに、もうちょっと籠が大きかったら入ったのになとか、もうちょっと小さければ2個入ったのになとか、まさにそういったいい塩梅のものがなくて、今まさに困っていまして、ロボットを大量生産するに当たっての一歩が踏み出せないというのが今にあります。なので、こういった標準化の取組というのは、本当に行政の皆様にもご協力いただきながら、私たちもうまく詰められたらなと思っていますので、ぜひ連携させていただけたらありがたいです。

ありがとうございました。

梅村様: ありがとうございます。

実はおっしゃっていただいたとおりで、私どもがすごく意識しているのは、いろいろな新しい技術はあるのだけれども、それをいかに実装させていくのかということを意識しています。そういう中で、例えばさっきの自動のフォークリフトがいい例なのですけれども、パレットのサイズ、今、T11、1,100の1,100に統一していこうという動きはありますが、現場では千差万別で、いろいろなものが来ます。いろいろな物が来ると、フォークリフトが読んで、穴に挿すというのは非常に難易度が高くなる。だから、実装が遠くなるのですけれども、そういう意味で、パレットサイズもメジャーな3種類にしましょう。そこにちゃんと統一してもらえれば、自動のフォークリフトも実装可能ですよという言い方で、我々としても荷主さんに協力を求めていますので、そういうことが実装には非常に大事かなと思っています。

石田座長: なかなか難しい問題で、どこで最適化するかというところで、北海道にある相当進んだ冷凍、冷蔵倉庫を拝見したことがあるのですけれども、パレットを統一したT11を使っておられるのですが、微妙にはみ出しているのです。そこを見極めるのがハンドラーの生きがいだとか、やりがいだとか、腕だみたいな話があって、ぎりぎり何とか倉庫にも入るし、エレベーターにも載るしという、そういうことなのです。その辺から変えていくというのは相当大変だと思うのですけれども、頑張らないといけないなと思うのです。

梅村様: そういう意味で、この活動の中に荷主さんが入っていただいているのはそこの部分がありまして、荷主さんは工場から出荷するときに、そこの部分を一段減らしてもらえるとすごく効率が上がる。それはトラック輸送もそうだけれども、実は保管の倉庫でも、もう一段積めたりするのですよということも、我々は形にしながら理解をいただいています。

石田座長: その辺のための全体の見える化みたいなことは物すごく大事だと思うのですけれども、人々は目の前のことしか最適化しないので、大事な問題だと思います。

いかがでしょうか。齊藤さん、どうぞ。

齊藤構成員: 梅村さん、大変いいお話をありがとうございます。

デジタルライフラインの最終構想というのは、まさにこういう物流インターネットと言っていますけれども、そういう意味ではシステム化をして、エンド・ツー・エンドできちんとした物流をつくっていく話、それを最適化していく話をやっていこうと考えているのです。そのために必要なアーキテクチャはどうしたらいいのかみたいな話と、あとはそれを実現するためのデータをどういうふうに見える化するか、どこから取ってきたらいいのかというのをこれから設計していきますので、ぜひ参加してくださいというのが1つ目のお願いです。

ある意味では工場の自動化をやるときに、先ほどの話がまさにそうで、工場を全自動で生産できるようにつくろうとしたときに、つまり製品を全自動でつくろうとしたときに、工場の設備をどうするかということの反対側に、製品をどういう構造にしたらそれが自動化できるのかということを考えないと、現実的には工場の設備が複雑になってとてもペイしないというのがあるのです。システムをつくるときの話、全自動のシステムをつくるときには、つくる設備側とつくられる製品側の両方の立場でそれを実現していくことを考えるというアプローチをしなければ駄目で、これをドイツなどはバーチャルエンジニアリングでやっていこうという話をしているのです。

そんな話は先ほどのパレットの話も共通で、何を、どこをどうしたらこれが本当に安く提供できるようになるのか、例えば物流システムが安くなるところ、いわゆるトータルコストを考えながら、だからこうしようという説得をしていくと、多分皆さんが納得するのではないかなと思います。私はこういう物流システムは、いずれ物流がある意味のユーティリティー的にみんなが活用して簡単にできるような、みんなというのは、ある一社が提供するのではなくて、先ほどのオープンでいろいろな人たちが同じモデルで提供すればできるような形にしたいと考えているので、ぜひそういう議論をさせていくような場をつくりたいと思いますので、参加してもらいたいというお願いです。

それと、この中で1つ質問は、先ほどクロスドックというのがあったではないですか。結局、物理的な制約条件の中で、ある意味では物を流していくときに、メモリー的なストックを置いて、そこで格納していくと、逆に言ったらもっとスムーズに流れるようになるという話がもう1つありますね。だから、このクロスドックの話というのは、先ほどドライバーを替える話とか、荷を替える話がありましたが、このそばに倉庫を置けば、どういうふうにバッファーを持てば、もっと今の需要に対して供給側がスムーズになるのか、そんなイメージが多分出るのではないのかなと思うのですけれども、その辺は何か検討されていますか。

梅村様: おっしゃっていただいたとおりで、この絵は高速道路に直結されたクロスドックセンターというのがあって、その下にマルチテナント型の倉庫があるのです。このように、ここにおっしゃっていただいたストックを持って、例えばここに3日分の在庫を持って、その3日分の中で、実際に走るトラックには、それが例えば向こう3日間の間に届けばいいということで、効率のいい状態で一回ストックされたものをここで組み合わせていきましょうというために、例えば日清さんですとか、ニチレイさんですとか、皆さんがストックポイントを持つ。それを組み合わせていくということも併せて考えていますので、そういう意味では、クロスドックステーションという公共的なものと、企業の物流のストックポイントというのを一緒のところに置くともっと効率がよくなるのです。

齊藤構成員: ガイドラインをつくっていくと、本当に物流のシステムが最適化されていくし、社会コストも下がって、ドライバーのフィジカルな人の本当の年収が上がっていくようなモデルになるので、いい話だと思います。ありがとうございます。

石田座長: 甲田さん、お願いします。

甲田構成員: 株式会社AsMamaの甲田です。

本当に課題と、それに対する解決策の素晴らしいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。

私、AsMama以外にも一般社団法人シェアリングエコノミー協会という300社さんぐらいが加盟している協会の創設、理事もしているのですけれども、ぜひそちらのほうにも加入いただきたいなと思いました。

それから、既存の機動性というところでは、子会社の物流を持たれているという話があったと思うのですけれども、各社さんにとって機動力が落ちるみたいなところがあるやなしやみたいなところを教えていただきたいことが1点目。

それから、スペースも人もトラックもシェアすると聞くと、何とすばらしいのだろうと思ったのですけれども、各社さんとの調整の中で何か課題とかがあったのであれば、共有できる範囲で御共有いただければなというところが2点目。

3点目に、これだけの大型トラックになると、地方の細い道路ですとか、そういったところに入っていけないところがあるのではないかといったような問題が推測されるのですけれども、そういったものはどのように解決されているのか、もしくはそういう問題はないのか、教えていただければありがたいです。

梅村様: ありがとうございます。

まず、機動力という意味で、各社さんがそれぞれ物流子会社を持って、それぞれのネットワークで運んでいるというのは、多分一番機動力があって、自分の都合のいいときに運んでもらえます。ただ、もうそれが限界に来ているということがまず前提にあって、それをちょっとすり合わせて、今、定時運行しているというのは、要するにリードタイムとしては、今まで例えば10時間で運んでいたものが、ここに同じ時刻表に合わせることによって13時間ですとか15時間に増えてしまうということを許容いただける方に参加していただいていますので、おっしゃっていただいたとおり、機動力は落ちるのですが、そのときに申し上げているのが、その3時間、5時間、例えば1日とかずれたところで、さっき言った一次輸送の卸さんまで影響ありますかと。それはもうちょっと運び方の計画を変えたり見直すことはできませんかということもご理解いただいて、この定時運行の中に乗っていただいています。

2つ目、各社さん子会社があって、そこのネットワークで各協力会社さんがあって、そこの会社さんがしっかりと商圏を守っていらっしゃるのです。これを組み替えていく。さっきも言った最初の前提になるのですけれども、もう限界ですよねと。だから、ちょっと組み替えていかないと、みんなで運ぶという枠組みにしていかないとできないです。場合によっては、本当は今まで10便運んでいたのが8便ぐらいに仕事量が減ってしまうかもしれないのだけれども、でも、このままだとみんな成り立たなくなるよねということでやっていますので、そういった意味では、若干そういう部分でフリクションになるようなこともあるのですけれども、そこはもう日本自体が運べなくなるということになっているのだからということで、ご理解をいただくような会話を実は結構粘り強く、泥臭いことをやったりもしています。

そういう意味で、皆同じ問題意識を持ってもらうというのがすごく大事で、自分たちだけがよければいいということでは、目の前に危機が迫っているのだから、もう成り立たないよねということからスタートだと思っています。

最後のダブル連結トラックなのですが、こんなに長いのですが、実は非常に小回りが利きます。なぜかというと、前側は普通のトラックで、そこにピントルフックというピンがついていまして、そこに1軸、それと後ろは、トレーラー側の一番前の軸は台車なのです。前のトラックがあって、台車があって、トレーラーがあるという3分割方式、台車の上にカプラーと呼ばれるトレーラーをカップリングする装置がついていて、都合2軸でつながっているのです。これが曲がるときにうまく作用しまして、ちょうど前のトラックの軌跡を後ろのトレーラーが同じ軌跡でついていくのです。ですので、本当に普通の前側のトラックが通れるような交差点であれば、後ろのトレーラーは同じ軌跡でついていきますので、そういった意味では非常に使い勝手はいいのです。

ただ、日本全国どこでも走れるわけではないので、企業物流である程度もう大型トラックが入ることを前提としたところで、我々も検証させていただきながら、ここなら使えますねということを確認して運行しています。

甲田構成員: 逆にトラックの運転手さんは、これまで普通のトラックを運転された方が運転できるのですか。

梅村様: これは大型プラス牽引免許ですので、一般的にはセミトラクター、セミトレーラーを運転できる方であれば、このトラックが運転できます。

甲田構成員: ありがとうございます。

山下構成員: ご説明ありがとうございました。

非常に刺激的なお話を聞きまして、すばらしいなと。まさにエアラインのコードシェア便などとも一緒だと思いますし、こういうところからダイナミックプライス的なものも生まれるでしょうし、空白をうまく使えばまだまだ埋められるのだと。こんなに空いているのとちょっとびっくりしました。

そんな中、我々も議論の中に出てきたのですけれども、ラストワンマイルにおいても、先ほどドライバーのマッチングみたいなものもというお話がありましたけれども、いろいろなもので大型物流で一定のところまで運んで、最後、お客様の下にというところで、ラストワンマイルも、ここも結構逼迫している感があるなというところと、恐らくマッチング、短時間でも働ける人はすぐにも働いて届けたいというようなところ、多分いろいろな形で、先ほどのAIの量子コンピューターを使った仕組みなどということでいくと、ラストワンマイルなどでもいろいろ御計画なさっているのかもしれませんけれども、そういうところもあるのであればぜひお伺いしたいなと思いました。

まさに我々が考えている中でいくと、ドライバーの方ということでいくと、これが我々の考えている構想とも近いのですけれども、ドライバーがエントリーをするとか、働いた分が認められるということでいくと、公的認証ですとそれは何時間働いたからどれだけのサラリー分がということで、例えば税的なものとか、労働時間的なものとか、多分いろいろなものでサラリー的なものも可視化できていくという、いい意味で可視化が生まれればいいかなと思っていたのですけれども、そのようなことも含めて、今後も我々自工会サイドともいろいろお話をさせていただきたいなと思いますし、物流サイドで言えば、もしかしたらいろいろお話をなさっているかもしれませんけれども、まず、ラストワンマイルの部分に関しての御計画とか、いろいろお考えのことがあればぜひお伺いしたいと思いました。

梅村様: ありがとうございます。

今、私どもの取組としては、企業物流の一次輸送と言われる工場から出たものを幹線で長く届けるというところです。日本全国どこでも物流の人手不足は起きていると思います。幹線輸送は、将来的には自動運転になっていて、それが実装されるということは、こっちが先に来るのではないかなということを考えると、まず先にそこの人を減らして生産性を上げて、その先に自動化があって、人が減ってきた分を域内輸送ですとかラストワンマイルに振り向けていくことで、国全体としての人手不足の解消に資すればと思っています。

それと、NeLOSSなのですが、実はこれは別に幹線輸送だけではなくて、何と何を組み合わせてという意味ではラストワンマイルでも使えますので、そういった意味では、システムを皆さんに使っていただくことで、ラストワンマイルが効率化されるということも実現できればと思っていますので、そういうところにもオープンにしていきたいなと考えています。

山下構成員: ありがとうございます。

須田構成員: 東大の須田でございます。

私も隊列走行とかいろいろやっていましたので、物流の難しさはよく分かっているので、非常に鋭意に取り組まれているので、敬服いたしました。

2つほどご質問なのですけれども、1つは、ドライバーはどういう評判になっているのかなというところです。自分のトラックの乗り換えということに対して結構抵抗があるという話を以前聞いたことがあるので、そこら辺が気になったというのが1つです。給料を上げればいいのかなという感じはしたのですけれども。

もう1つ、鉄道貨物との連携という話が、将来構想であるということなのですけれども、私は鉄道とかもやっているので、どんなことがもう既に具体的に進んでいるのかなということをお伺いしたかったところです。

以上です。

梅村様: ありがとうございます。

まず、乗り換えている中で、実はここにあるユーネットランスさんとギオンさんのトラックは全て仕様も一緒にしていますし、両方ともセミオートマで操作系も一緒です。ということは、乗り換えても全く違和感がない。よく言われるのが私物を置くなということで、そういう意味では、本当にこれは乗り換わることを前提とした仕組みをつくっています。

その一方で、ドライバーさんのモチベーションの話なのですが、ある意味こういう長い車を、自分は日本の物流を支えているのだという自負を持っていただいて、僕らはパイロットと呼んでいるのですけれども、要はもうこういう長い車でどれだけ生活を支えているのだという意識を持っていただいて、それでこのハンドルを握ってもらっている。そういう意味で言うと、実はよく言われるドライバーさんが荷役を自分でフォークリフトで降ろすとかというのも一切していません。ドライバーはハンドルを握るだけなのですが、そこは自負を持っていただいて、本当に責任を持って運んでいるということで、そこのモチベーションを持ってもらうということを行っています。ドライバーさんの中には自分の空間で自由に過ごしたいという方もいらっしゃるのですけれども、新しい形としてこういうものも提案していきたいなと思っています。

あと、鉄道貨物の件ですが、これはまだアイデアレベルですので、もう少し具体的にこういう話ができればいいなと思っています。よくモーダルシフトで、間違いなく鉄道にすることでCO2は下がっていくのですが、弱点として、例えば広島の豪雨などで寸断されてしまうと1か月ぐらい戻らないというところの脆弱性、けれども、そこを逆にトラック輸送ともっと組み合わせて、寸断されたところはトラックでカバーするみたいなことでうまく連携していくというのが本当は目指す姿ではないかなと考えていますので、そういう意味でもっともっとJR貨物さんですとか船とも連携をしていきたいと。これからだと思っています。

石田座長: よろしいですか。

ちょっとだけ私から聞かせてください。非常に何度もお話を伺っていて、本当にすごいなといつも思うのですけれども、3つだけお伺いしたいと思います。

物流は、トラック屋さんも、倉庫屋さんも、あるいは荷主さんも、非常に中小が多い業界でございまして、そこへの巻き込みの見通しはどのようにお考えかということが1点。

あと、それに加えて荷主です。甲田さんの話にも、今の須田先生の話にもありましたけれども、荷主さんの情報をどれだけ共有できるか。非常に細かいくだらない例なのですけれども、今、道路の事業を評価するときに、費用便益分析をやっているのです。物流は非常に大きなパートなのですけれども、人は時間価値がありまして、物にも時間価値をやるのですけれども、荷物の価値は全く入っていないのです。車両と運転手さんの人件費しか入っていないのです。どうしてかというと、どなたに聞いても、いやそれはとおっしゃるのです。特に荷主さんからは、トラック屋さんも教えていただけないみたいなことで、保険屋さんにちょっと聞いてみたこともあるのですけれども、やはり難しいということなのですけれども、そういうことがもっとうまくいくと、例えば暫定二車線問題とか細い道路問題は、もうちょっとお金が回る可能性があるのかなとも思っているのですが、そういうところについての荷主さんの感触はどうなのかなということが2番目です。

3番目に、ちょうど今日の午後にデジタルライフライン全国総合整備実現会議という、私も齊藤さんも甲田さんも構成員なのです。アーリーハーベストで自動運転支援道みたいなものが言われていますので、何か期待とか、こんなことを考えていますということをお聞かせいただければありがたいなと思いました。

梅村様: ありがとうございます。

まず1点目、中小の事業者さん、おっしゃるとおり今、6万3000社のトラック輸送の会社さんがある中で、9割以上が中小です。シェアリングという中に、今は少し大きい会社さんでやっていますけれども、ここに例えば比較的規模の小さい会社さんが入ってくるということを初めから私どもはイメージしています。例えば下請構造で言うと、荷主さんがあって、物流子会社があって一次請けがあって、二次請けがあって、最大七次請けまであると言われていますけれども、六次とか七次は本当に小さい規模の会社さんで、それがさっきの企業物流の変動の実は変動部を担っているのです。だから、明日仕事があるかないか分からないという人たちがいらっしゃいます。

でも、この中に入っていただければ、毎日必ず物流ののぞみ1号、2号、3号の3号をお願いという定期的な仕事で、間違いなくそこは赤字にはなりませんので、こういう中に入っていただくことでビジネスを組み替えることできますねという提案をしていけばいいかなと思っていますので、そういう意味では、こういう方に中に入ってきていただきたいと思っています。

2番目の付加価値をどうしていくのかという中で言うと、確かに物を運ぶこと、AからBに運ぶことに付加価値はないのですけれども、どちらかというとこれからは、さっきの半導体の問題ではないですけれども、運べなくなることによるリスクが大きいと思っています。それがちゃんと運べるようになるというのは非常に大きな価値だと思っていますので、それが1つと、あとは今やっているCO2です。束ねて運ぶことで、CO2が3割減りますよと。なかなか企業さんの活動の中でCO2が3割減るアイテムはないと思っていますので、そういう中で、こういうふうにちょっと束ねて一緒に運ぶだけでこれだけ下がるということで付加価値が生まれて、さらにはそれが例えばカーボンクレジットな形で少しお金、有額化できれば、もうちょっと面白いかなと思っています。

3番目、アーリーハーベストの件を振っていただいてありがとうございます。今、いろいろと事務局からも御相談いただいていますけれども、僕自身、本当に思いとしては、沼津から浜松の100キロ区間を空のトラックが毎日走っていますという状態はなしにしたいなと。だから、いろいろな方が一緒に本当に実業の中で運ぶことの実証としてあの区間があるという形にしたいと思っていますので、そういう部分での我々はある意味OSというかオペレーションのシステムをつくっていると思っていますから、そういうところで、あの中のトラックが満載で走れるようなお手伝いはぜひさせていただきますので、自動化と効率は必ずセットだという、そこは強くメッセージとしてお伝えできればと思いました。

石田座長: ありがとうございます。

これぐらいにさせていただきたいと思います。

最後になりましたけれども、越塚先生、お願いいたします。

越塚構成員: 東大の越塚でございます。

私のほうは、どちらかというと今のお二方のプレゼンとは少し毛色が違うのですけれども、個々のモビリティのサービスにつながるところというよりは、それに必要なデータを連携させていったりとか、そういったデジタルの基盤をどういうふうにこれまでやってきているかという経緯のお話もさせていただきたいと思いますけれども、今後自分たちでも今どういうことをやっているかということ、またどうしなければいけないかということと、デジタル基盤のつくり方というのは、先ほどアーキテクチャという言葉がありましたけれども、そういうちょっとふわふわした抽象的な話もありますが、でも、そういうところから少し仕組みとか構造とかそういうことから考えていかないと、恐らくお金だけつければ何とかなるというものではないと思っておりますので、その辺をお話しできればなと。

ページ数が多いので、ここで話すとまた2時間とかになってしまうのではないかと思うので、ポイント、実は僕が今日一番お話ししたいところと議論させていただきたいところは、最後のAppendixでございまして、Appendix1について最後、お話しさせていただきたいと思います。

スライドが出ておりますけれども、飛び飛びでお話しさせていただきますと、今、データの時代と言われています。明らかに今までのグローバルメガプラットフォーマーの方々がいろいろな基盤をサービスとしても商品としても出していた時代から、今のスライドで右側にあるのは、いわゆるデータを連携させて、データインフラをつくっていこうという世界のいろいろな取組のロゴだけ書かせていただいていますけれども、明らかにプレーヤーも変わってきたし、取組も変わってきた。右のようなものをどうするかというところが今、重要なポイントで、恐らくモビリティの中とかデジタルライフラインというところでもこういった要素は当然大きく入ってくるのかなと思います。

僕が重要だと思っている絵の1つはここでございまして、今までは情報通信分野、インターネットとか通信とか、電話も古くから言えば、歴史的に見ればそうですけれども、協調領域である通信のところの世界的なインフラがあり、実は真ん中のところは今までなくて、その上のところでいろいろなサービスが競争領域として企業の皆様がいろいろなビジネスをされてきていたと。恐らくこの競争領域のところで最も大きくなったプレーヤーがGAFAと言われるプレーヤーで、競争領域でがんがんやってきましたと。

ただ、だんだん時代が進んでくると、協調領域のところのインフラが、通信のパケットを送るというレベルだとレイヤーが低過ぎて、もう少しデータをやり取りするというところのレイヤーで世界的なインフラが必要なのだろうなというところが今、現代の時代で、今回のモビリティのデータ基盤というのも、ここのレイヤーをどうするかという話なのではないかと思います。

そうすると、今までは下の通信のレイヤーは確かに協調領域でやってきて、上は競争領域でやってきて、真ん中はどうするのだと。どっちなのだと。下は協調領域と言いますけれども、電話はどうやってつくられてきたか、電気、ガス、水道、道路、鉄道、どうやってできてきたかというと、最初につくったときはみんな税金を投入して、国家がつくってきたわけです。今でこそ民営化していますけれども、最初はそうつくってきたと。でも、今の時代、そんなやり方でデータのところに協調領域がつくれるのかと言ったら非現実的だと。

もうちょっと時代の近いところですと、インターネットというのはそういう国家的な仕組みをつくらずとも協調領域をうまくつくってきたすばらしいつくり方、オペレーションはすごかったなと思うのですけれども、そういうやり方で出てきたわけですが、この領域をどうするのか。そもそもここは協調領域なのか、競争領域なのかということに関して大きな議論があります。アメリカは競争領域だと言っています。ヨーロッパと今、日本は比較的ここは協調領域でやろうとしていると思いますし、今回のこの計画の中でも、協調領域として考えていこうということではないかなと思います。

ここをやるときの技術とかやり方とかそういうことで今、データスペースという言葉が非常に出てきているのですけれども、今までデータプラットフォームをつくろうというと、この上のように、従来型、どこかにそれこそ競争領域でやるときビジネスにしようと思ったら、独占してどっかに集めてきてそれでやるというのが技術的にも楽ですし、楽と言えば楽なのです。僕は上のやり方も別に悪くはないと思います。これで済むのであれば、むしろこっちのほうがいいのだと思いますが、ただ、モビリティの分野などはまさにそうだと思いますけれども、集めるとか、誰かのところに集約するというのは、もうみんな嫌だと恐らく思っている領域だと。だからこそ下で、利用者の立場からすれば一体と見えるけれども、集めなくても済む、そのようなテクノロジーも必要だし、テクノロジーだけでは駄目で、そのためのルールメーキングも必要であれば、それを支えるための体制も必要というのを併せて恐らくデータスペースとヨーロッパのほう中心に呼ばれていて、このやり方をどうするかということがポイントなのかなと思います。

今までの僕らのデジタルの分野でのデータの基盤というと、別に今、初めてデータ基盤なんて話が出てきたわけではなくて、30年も40年も前からある話で、データベースと言われるものから、インターネットができて、サーチエンジンなんてものができたのも随分前で、もう全部データ基盤ですね。これを少し分類すると、データをどこまで密に連携して、統合して、標準化するのかというものの密度具合と、組織をどこまで一体化して、ルールをどこまでタイトにしていくのかというところで、あるものとをタイトにして、全くルーズなものとこうやって平面でやると、最も密にやるものはいわゆるデータベースと言われるシステムは昔からあって、最も何にもやらないものはサーチエンジンというものがあって、インターネットで何もやらなくてもそこそこぐらいはできるのだと。

恐らく今、ポイントなのは、そのちょうど真ん中の辺りです。そこそこ統合して、業界を統合して、データも統合し、組織もある程度ルールをやって、適正にやっていくという辺りが今まで何もなくて、この辺をどうしていくのかということが課題なのだろうというのが大きく俯瞰したときの絵です。

PART3のところは、データを利活用するといろいろなイノベーションありますよというのはもう飛ばして、皆さんそうだと思っていると思います。

データ基盤の取組の経緯で、特に欧州でかなり進んできていると見えるわけですけれども、私が申し上げたいのは、欧州にそもそもこういうことをやったほうがいいと教えたのは日本ではないかと思っていまして、IoTとかその辺が2000年の初めの頃、流行りまして、ヨーロッパが左側のInternet ReportsでInternet of Thingsと言及している古い文献があるのですけれども、ここはもう日本の例が最初に出てきていて、日本みたいなことをやりたいとヨーロッパも言っていて、ヨーロッパが日本のことを勉強するようなプロジェクトで、CASAGRASみたいなものが立ち上がって、そこの中でインダストリー4.0が出てきて、その中でだんだんインダストリアルデータスペースが出てきて、それがインターナショナルになって、データデータデータと、もうIoTはどこかへ行ってしまって、今度はデータデータなのですけれども、IDSAが出てきて、GAIA-Xが出てきて、今いろいろ話題なCatena-Xがそこから出てきたという意味で言うと、そもそも最初に教えたのは僕たちではなかったのかなというのが、逆輸入されてきたなというのが僕の印象でございます。

ただ、ヨーロッパはいろいろあるのですけれども、結構混迷していまして、全体のヨーロッパを囲うデータ空間はGAIA-Xで決まりなのかなと思ったら、どんどん屋上階が出てきまして、何だか訳が分からなくて、一枚岩ではないのだなという感じが1つ。

あとは、フレームワークだけ立ち上がるのですけれども、実際のシステムとかそういうところに関しては、まだ手のついていないとこも多々あるのかなという印象は持っているので、まだまだ我が国でこういうものを進めていくときに、手遅れという段階ではないかなと思います。

日本の状況を見ていきますと、日本もそういう意味だと別に悪いことはないと僕は思っていまして、分野ごとのデータ基盤はいろいろ立ち上がっていて、私が若干でも関係したようなものを書いてありますけれども、分野ごとのものはもうたくさんデータの基盤はできていて、逆に言うと、後でモビリティのところでも出てきますけれども、カオススマップが描けるぐらいの状況で、カオスというのはいい意味でも悪い意味でもございまして、一個しかなかったらカオスにすらならない。ところが、カオスになるぐらいはあるのです。けれども、カオスなのです。だから、ここを連携していくことが日本の最大の課題だと思います。

例えばオープンデータという例で、日本は1,788の基礎自治体と地方公共団体がありますけれども、オープンデータを進めよう進めようというのを、内閣府の時代から、デジタル庁さんの時代からどんどんやってきて、結構進んで、もう1,200、1,300ぐらいの地方自治体がオープンデータをやっていると。そうすると、オープンデータだけで日本に1,270個のオープンデータカタログがあると。もうカオスですね。だから、これをまとめていかなければいけないよねというところで、そういう意味では、ヨーロッパみたいにフレームワークだけ先に立ち上がって、紙だけ先にできていくということからすると、どんどん立ち上がっているというのが日本の現実だと思うので、そういう意味では、素地はいろいろあるのかなと思います。

モビリティに関して言っても、これは私がやっていたもので、ODPT、公共交通オープンデータセンターというのも、東京圏だけですけれども、全部データを集めさせていただいて、グーグルさんに御提供して、グーグルマップの上に電車のリアルタイム位置とかバスのリアルタイム位置が出るところまでもう行っていますし、既に年代を見ると10年前で、鉄道のオープンデータを使って、プログラミングコンテストをするとか、そんなことももう十分やってきている経験が日本はあると。

ここにも関係者の皆様がいらっしゃると思いますけれども、MaaSも随分立ち上がっていまして、こうやって見ていくとまさにカオスマップみたいになっているなという状況で、GTFSで地方のバスの時刻表化も進んできているかなと思います。

あと今年度から、まさに石田先生のほうで1回目のところでもお話があったと思いますので、さっとだけでいこうと思いますけれども、第3期のスマート・モビリティ・プラットフォームに私も参画させていただいて、特にITのところを私も少し力を入れて関わらせていただいておりますけれども、ここの中でもMaaSの課題、次の時代のMaaS、サービスの囲い込みに使われたりとか、交通事業のところのお客さんに近いところだけをビジネスの密度高く集約してというものではなくて、どちらかというとベンチャーの方がすぐサービスを立ち上げられるときに、EDP的にデジタルのところが支援できるような仕組みであるとか、創業支援になるところであるとか、地方の苦しい交通事業を支援できるようなところのデジタルシステムとしてMaaSを生まれ変わらせることができないかなというのも1つのテーマです。

また、交通とかモビリティの計画段階のところで、例えば地元のコンセンサスがなかなか取れなくて、計画段階でスタックして、なかなかお金がかかってしまうということもありますので、そういうのは地元の合意とかが取りやすいような、交通モビリティをこういうふうに変えるとこうなるということのシミュレーション、エビデンスをきちんと提示できるようなシミュレーターをこの中でつくっていこうとか、そういう取組がこの中にたくさん含まれております。

その中で、先ほどのカオス的なもの、カオスマップ、ここにロゴがなかった皆様、すみませんですけれども、思いついたものだけ全部挙げて、モビリティだけでもこれだけのものがありますので、これをどうつないでいくかというやり方は分からないところがたくさんありますので、そういう意味ではまさにSIPの中でこういったビジョンを掲げて、日本の全体のモビリティのデータスペースとなるようなものをこの中でつくっていこうというようなことをSIPの中で進めようとしておりますので、まさに今日お越しとか御参加している皆様の御支援、ご協力をこれを進める上ではいただきたいと思いますし、また、ほかのプロジェクト、国のものもデジタル田園都市国家構想総合戦略を含めていろいろあると思いますので、そちらともぜひ連携させていただいて、やらせていただきたいと思います。

それでもこの分野は、これだけいろいろあってもまだモビリティという1つの分野でしかないので、世の中、外にはまだまだありまして、医療もあれば、農業もあれば、いろいろな分野がありますので、そういう意味では、あらゆる分野、それこそ日本全体でデータスペースをどうするのだというのでは、SIPの第2期で去年までデータ連携基盤をやっていこうということで5年間やってきまして、その成果としてはCADDEという形で、いわゆるコネクタと言われる技術は確立したかなと思います。

特にこういったコネクタはもうほぼできてきましたし、あとデータのカタログということで、ファインダビリティーを高めるところに関しては、既にたくさんあるデータカタログの中から何百も連携して、もう16万点以上のデータ、今、オープンデータしか扱っていませんけれども、集約してフェデレーション型のカタログをつくることにもなっております。

それを社会実装するために、データ社会推進協議会という組織をつくりまして、そこの中で先ほどのCADDE、SIPの成果も活用しながら、日本全体のあらゆる分野をつないでいくような構想としてDATA-EXを掲げておりまして、データ社会推進協議会がそこの構築と運用を担って、各分野でいろいろできたものを、さらにそれをつないで、最終的には日本全体のいろいろな分野のものを統合したジャパンデータスペースを連邦型でつくっていこうという構想で今、取り組んでやっています。今日たまたま午後、この後が社員総会というか総会があるのですけれども、そういうものを進めています。

先ほどあったコネクタを使った連邦型でやるということで絵姿を描いていまして、今、200社程度御参加いただいて進めています。

お時間もあれなので国際連携は飛ばさせていただいて、最後に一番、これをやる上でこういうことを考えなければいけないのではないかなと思っているのが、Appendix1のところでございまして、一番私がこの場で御提言させていただきたいことは、これをやる上で必要なことは、僕は日本版NISTをつくることが絶対に不可欠だと思っています。

なぜかというと、データの連携とか統合とかいろいろ言いますけれども、そんなに簡単ではなくて、Appendix2のところで、データを連携して相互運用しようと思ったら何をしなければいけないかというのが、レイヤーに分けても5つぐらいあって、アクセスを連携しなければいけないし、データの形式も連携しなければいけない、意味もインターオペラビリティーを持たなければいけない、ツールもインターオペラビリティーを持たなければいけない、ルール、組織、それもやる。これだけのことがあるので、例えばもうお金をつけてデータ連携をやりましょうと言っただけで何とかなるものではないと。責任を持ってこの連携を保証して、運用する組織がなかったら、多分こんなものは回りません。なので、そういうことをやる専門の組織、つまりこれを束ねるための司令塔になる組織を確固としてつくらなければ絶対に回らないと思っています。

そのための日本版NISTが必要ですし、そこの上で、先ほどもIDの話が随分ありましたけれども、国家標準IDとしてきちんとして、国家標準IDをやるぞというだけでは駄目で、それをやるのであれば、それを誰がつくって、誰が運用して、例えばIDを発行するのであれば発行機関が必要ですし、運用機関が必要、検証機関が必要、そういう機関は誰がつくるのですか、それを運用するためのお金は誰が出すのですかと、そういうことも含めてしっかり体制構築をしなければ、またカオスがさらにカオスになるだけで終わるというので、これはもう絶対に必要ではないかなと思います。

あと、私はモビリティの分野を見ていて、全体のアーキテクチャとして少し自分のやっていることも超えて考えなければいけないなと思うのは、そろそろ日本の公共交通を担う主体が企業で、日本は民営化が特徴の国ですけれども、公的組織がどこまで関わるかということはしっかり考えなければいけない、そういう時期に来ていると思います。

そういう意味では、大きい政府の国か小さい政府の国かということによっても状況は違っていると思いまして、日本は小さい政府型だと思いますので、公共交通含め社会インフラが結構民営化されているわけです。ヨーロッパを見ていると結構公営化しています。民営化の論理というのは、僕は国が成長していたときは成り立つような気がするのです。何でかというと、産業がどんどん発展していく、成長していく中で、民間活力を公的なところに利用してやっていこうと。これからシュリンクしていくというときに、シュリンクしている民間に、競争とかそういう場合なのかということがあって、国がシュリンクしていくという基調になったときに、今までの民営の考え方、完全に管理しろというのはまた極端なのでしょうけれども、民営の在り方は大きく見直す時期に来ているのではないか、特にモビリティの分野はそうではないかなと思っています。

あと、先ほどの日本の分野ごとの縦割りのデータプラットフォームがばらばら存在しているのは、いい意味でも悪い意味でも特徴だと思いますので、ここに関してしっかりと連携していく取組が必要だと思いますし、あと必要なことは協調領域だと私は思っておりますけれども、データ基盤部分のところのビジネスモデルをどういうふうに確立していくのかということ。

あと、アドホックにいろいろなことを脈絡なく話しますけれども、モビリティだけではなくて、モビリティの中でも歩行者と車両の話は今まで全部ばらばらだと思うので、融合する必要、また物流と交通の融合、実世界と仮想世界、メタバースみたいなものもありますけれども、そこを融合していくということも今後は必要があろうかと思います。最終的にはモビリティのプラットフォームを、私は協調領域だと思っていますけれども、そこを誰が担って、誰がリーダーシップを取っていくのか。先ほどのNISTという機能の問題もありますけれども、政府が何を担って、産業界が何を担っていくのかというところを、ここのお道具立てとか、アーキテクチャをしっかりやっていかないと、何回も申し上げているカオスがさらなるカオスになると思うので、そこのところが今、これだけ皆様が集まって御議論する場もありますので、やっていくことが必要かなと思います。

以上でございます。

石田座長: ありがとうございます。

議論をぜひお願いしたいと思います。
 
齊藤構成員: 越塚先生の課題意識と全く同じで、今、IPA改革の話とか、DADCをどうしていくかという話の中に、アーキテクチャをつくった後の例えば先ほどおっしゃったNIST的な機能が必要なので、私は全員には言っていませんけれども、IPAの中にNIST的な機能をちゃんと持って標準化をやっていくことで考えています。社会実装していくところのいわゆる官側で担う部分というのは、いわゆるIPAが担っていくという話をしているのです。そういうものがないと、さっきのカオスではないけれども、そろわないと思います。

データスペースそのものというのは、いろいろなところにデータがあってもいいのだけれども、結局そのデータを活用できるような空間というのは、ある意味ではパブリックデータであれば共有する話になり、そこの基盤の部分のID、トラストの話というのは、民間だけではなくて、自治体も使うし、国の例えばEBPM的なところにも使っていくので、ある部分は公共的に国が担う部分、あるいは投資をしながら持つ部分があると考えています。そこに各エリアの例えばデータ活用したサービスを民がビジネスモデルをつくりながらやっていくような話が出るのではないか。

今のモビリティプラットフォームの話も、面として全体のような話にすると、これを全部公的にやる話になるので、レイヤー構造として、そこをきちんと分けて、ここは官が担いましょう、ここは自治体が担いましょう、あと民が担いましょうという話をしていくのがいいのではないかという議論を、これからデジタルライフラインでやっていこうとしているのです。

この部分は、逆に言うと、経産省ではなくて、どちらかというとデジタル庁の領域なのです。今度、IPAがデジタル庁と経産省の共管になりますが、そういういわゆる全体アーキテクチャ、モビリティの話は、別に例えば防災、災害対応の話に、災害対応は例えば健康・医療の話にもつながってくるので、ある意味では面として、スマートシティとか、デジタル田園都市国家構想の中のいわゆるデータ構造をどうしていくかを一緒に検討できればと思います。パブリックデータとして扱うものをどうしていくかです。ある意味では、さっきの位置情報、グーグルマップに出ているような物のリアルタイムの情報がありますが、そういうものをある意味では公的にみんな使えるような形にして、例えば災害時にはどこに誰がいて、例えばどういうダメージを受けているので、医療行為が必要な人は、緊急的にはそういう情報を出していくような、本当の国民をサポートするときのサービスをどうするか、そのためのアーキテクチャをどうするかという議論を、これからデジタルライフラインのところでは皆さんと一緒にやっていきたいのです。

この話というのは、その中に本当はどういうふうにしたらいいかという整理をしていかないといけないと思っています。今のデジタルライフラインはインフラのほうがメインなので、自動運転の車を走らせるとか、ドローンを飛ばすとか、インフラの設備の工事や点検をするとか言っていますが、実は表書きのところというのは、目標はこれからの社会課題である少子高齢化、それに伴う例えば人流、物流のクライシスの話とか、災害の激甚化の話に対応するためのソリューションをつくっていくかということに最終ターゲットは持っています。デジタルライフラインのアーリーハーベストは、まずはインフラをある領域に適用し、それを最終的には上記のソリューションをつくっていくように発展させていきたいと考えています。この発表された内容に、まさに同意しますので、ぜひ一緒に議論していきましょう。

越塚構成員: ぜひ一緒に。データのNIST的なところは大分顕在化していて、別にここだけではなく、どこの省庁さんでもそうなのですけれども、データに関すること、デジタルに関すること、こういうことを施策でやろうといったときに、まず仕様書がそもそもなかったりとか、誰が管轄しているのかも分からなかったりとか、改定は誰がやるのか、国内委員会もないしというので、海外との関係をどうするのかとか、そういうものも既に顕在化してしまっていると思うのです。

もう1つ思ったのが、日本版NISTをIPAさんにやっていただくのはすごく重要なことだと思いますし、デジタル庁さんの管轄と言えばそうなのですけれども、ただ、今の政府の状況を見ていると、こういうのはデジタル庁さんやってくださいとみんな他人ごとになりつつある。なので、僕は各省庁が全部持つべきだと思うのです。各省庁が全て持ち、それを束ねるのがデジ庁さんであり、IPAさんでありというところで、そうでないと下にくっついている原課さんのほうがはるかに大きかったりするので、国交省にはNISTがあるべきだし、農水省にもNISTがあるべきだし、そのような体制にしてやっていかないと、それぐらいの分量のNISTの大きさがないと間に合わないのではないかなという気がします。

齊藤構成員: そのとおりなのです。だから、NIST的なという話はそのモデルで、逆に全部我々が標準をやっていくわけではないということです。ただ、日本の中には適切にそれをやっているコンソーシアムがあったり、部隊がいたりして、本来これは誰がやるべきだろうということを決めないといけないというのがまずあると考えています。だから、私がIPAで言っているのは、NISTが今、ないのであれば、誰かが自分が纏めるぞという宣言をして、本来これはどこにあったほうがいいという議論を始めると、いわゆるアーキテクチャとかフレームワークの議論を始めていくと、多分適切な分担が見えてくるのです。でも、この議論を誰もリードしないなら、とにかくIPAがリードすると言ってみようという話をしています。結構みんなびびっているのですけれども、今、越塚先生がおっしゃったように、ある意味ではNISTのこの標準は、このシステムでは同様に持つべきだから、逆に同じようなフレームワークで対応してというような議論をまとめていきたいのです。ぜひよろしくお願いします。

石田座長: どうぞ。

山本構成員: ITS Japan、山本でございます。 越塚先生、いつも御指導、分かりやすい、非常に示唆に富んだご説明をありがとうございます。

カオスというお話ですが、やはりモビリティの中もカオスであると。モビリティは協調領域というふうにご説明が少しあったと思うのですけれども、モビリティの中にも協調領域と競争領域がある。また、モビリティの中でも連携をしなければいけないところもあれば、データを一極集中しなければいけないところもある。ここを具体的に誰がどうやって進めていかなければならないと思っているのですが、1つ教えていただきたいのは、越塚先生が骨を折られている公共交通のところ、もしくはMaaSの分野、モビリティの中の1分野だと思うのですけれども、そこの中で、公共交通の中ではここは一極集中でデータを連携したよ、もしくは、ここは競争だったけれども、ここは協調でやったよ、そういう具体例みたいなものをもう少し教えていただけないでしょうか。

越塚構成員: 公共交通の場合は、別途やりましたけれども、基本的にはもう協調で、ベースは分散です。どこかに集めるというのは無理なのと、あと、企業さんごとにデータに関する考え方とかルールなどもみんな全部違うのと、ビジネスモデルも全部違っているので、あとは我々のコンソーシアム自体が民間団体だということもあるので、別に指示権も何もなければ、こうしろというのも言えないし、それを支えているのが民間企業という形の集まりで、組織をつくるとどうしても分散的に連邦してやるしかない。それを集めることができるとしたら、それはある意味でもうちょっと強い力がない限り、それを集めることはできないかなというのは実際に思ったところです。

なので、データというのは、あらゆるところから、それぞれでやったものを分散的に集めてくるというか、連携するというだけです。物理的にはどこかに集まっているかもしれませんけれども、権利とかそういうものとかに関しては全部ばらばらな形というか、そういうのを尊重したような形、なるべく不必要なところはそろえようとはしますけれども、そこは尊重しないと、なかなかそういう基盤としても成り立たないかなというのは、そこの場面では非常に思いました。

山本構成員: 例えば公共交通の電車・バスの時刻表というのは、協調領域でしょうか。

越塚構成員: 難しいですね。一番難しいところに来た形ですけれども、どう考えるかですが、例えば変な話、法的に見ると企業の中の財産ですので、これが協調だと言われても、制度的には協調にはなっていないわけです。だって、会社のものになっているわけだから。例えば民営化というプロセスが何十年前かに行われたときに、そのときに、そこは公共性があるから、データを出すのは交通事業者の義務であるという制度になっていれば、それはそれで協調領域だと。ただ、もうそうではない形で全部民営化が行われている段階なので、そこはある意味で競争領域のところでいかに協調領域をつくっていくかという難しいことを考えなければいけないと思いますし、MaaSの事業者さんも、皆さん一番苦労しているのはそこなのではないかなと。

そうすると時々言いたくなるのは、国が強権で指示してくれれば一番楽なのにという話もあります。そういう声も聞きますし、だから、非常に難しいところです。

石田座長: 皆さんに質問したいのですけれども、強靱化とか防災のレベル、用語で自助・共助・公助とあります。最近また公助はいろいろな意味で必要ではないのかと言うのですけれども、モビリティとかデータ連携は競争と協調しかなくて、その上のレイヤーになるか知らないけれども、連携とか、統合とか、あるいは戦略みたいなものに相当するワードは何かないかなとずっと考えているのですけれども、思いつかないです。

今のNISTの話とか、カオスで終わらないためには、もうちょっと国あるいは本当にいろいろな人がアライアンスを組んで、そういうところがもう一歩前に出るという雰囲気をどう出していくかは極めて大事だなと思っているのですけれども、何かいい言葉はないですか。

越塚構成員: 真ん中のところで、競争と協調という軸ではないのですけれども、一番キーワードとされているのはフェデレーションではないかと思います。フェデレーションする対象には、競争的な部分もあれば、協調的な部分もあり、そんなに単純に一枚岩で、昔、僕らの分野だと電話の時代は確かに一枚岩の協調で簡単でしたけれども、インターネットですらいろいろな企業さんのリソースとかそういうものも組み合わせながら、民間の競争的なところも含めて協調ができているという、もうちょっと複雑な仕組みになっているので、何しろそれがすごくうまくいったところなので、その辺のレッスンというのがあって、それの発展の先に、このデータの部分のインフラのつくり方もあるのかなと。そうすると言い方がちょっと分かりにくいですね。

齊藤構成員: このつくり方というのは、協調、競争と分けるのではなく、基本的には同じモデルでつくっておけば幾らでもつないだり、離したり、使ったりできるようになるから、そこはモデルを同じにするように協調にしようという内容も含まれます。いわゆるデータの活用のやり方とか、フォーマットとか、データモデルみたいな話を合わせようということです。それを使うか使わないかはそれぞれの人たちが任せたらいいのではないかと。競争力をつくる人は、それを使って何かつくってもいいけれども、ここはそろえておけば自由にできるし、連携できるしというレイヤーを1つ設けようというのがその部分です。だから、協調とか競争というのは、そろえたほうがいいでしょうみんなでという話です。例えば何に使うかは別にしてテーブルはそろえたほうがきれいでしょうというようなイメージが私はデータレイヤーのそもそものコネクタをつくっていろいろつなぐようにしましょう、そしてデータモデルをそろえていくと、逆にその人が契約の中では誰と組んでも同じように使えるようになるのではないかなというのが1つあります。

もう1つ、共助・自助・公助のような話については、データを官が持つのか、民が持つのかというような話があります。民からすると、民間の個人の情報を扱っているから外には出せない話になって、例えば自治体で本当は使いたいのだけれども使えないとか、もう1つは、データは自分のものだから、使いたいのであれば金を出せみたいな話になるではないですか。でも、本来は例えば社会生活、住民にとって、国民にとって、これは公共的に必要なデータなのだから出すようにすることをオーソライズして、そこを扱う空間を公的につくっていけば、みんなが活用して、いい社会ができるようになるのです。そういう切り分けをしないと、何となく協調とか競争でどっちですかと言っても、難しいのではないかなと思います。

石田座長: 事はデータの中だけでとどまる話では全然なくて、これまで前のお二人のスピーカーのときにもそういう議論になりましたし、あるいは末端というか、実際にワークされている人たちの誇りの話とか、いろいろなややこしい問題が入ってきていて、その辺をどう考えていくのかなというところです。難しい問題なのですけれども、それを例えば、モビリティというのはまだ比較的小ぢんまりした世界だと思うのです。そこでSIPで頑張りましょうと言って苦労しているわけですけれども、そのようなメッセージをこの研究会とかモビリティワーキングで本当に出していかないと、カオスがカオスのままであり続けるみたいな気もするのです。

齊藤構成員: 今、DADCを立ち上げた後に、皆さんの意見が合わないから、データを持っている人がそろわないということが分かりました。だから、ある意味ではビジョンの話、一体どういう社会にしたいのかという話とか、一体社会のどういう課題を解決したいのかという話を議論した上で、こうしたほうがいいというやり方で皆さんのコンセンサスを得て、じゃあこれを実行していこうかという話にしました。

個々から見たときには、今のビジネスの延長線というのは、そうは言ってもね、という話になるではないですか。だから、目指す社会とか、ビジョンの中にみんなが意識を合わせていくことが必要で、新しいトランスフォーメーションというのは必ず、次の時代に我々は何をする、どういう社会にするのか、どういうモビリティ社会をつくるのかというイメージをつくりながら、それを実現するために、こうしようというそのステップにならないと、現状の人たちがそんなことをやられたら困る、おまえにそんなことを言われる筋合いはないとか言われるではないですか。多分そういう話だと思います。

だから、そういうムーブメントをつくっていくような話が本当は必要で、本来、Society 5.0がもうちょっと具体的に展開されると、詳細なアーキテクチャで例えば具体的にモビリティとか、スマートシティがこんなふうになっていって、それはいろいろなシーンを想定したときに、こんなことができるからいいだろうということになり、みんなのベクトルがそろいます。掛け声だけでは縦でそれぞれやりながら、設置してもつながらない話になります。全体的に言うと大きなビジョンがまず必要なのではないかと思います。

石田座長: 全く同感でございます。ありがとうございます。そういうことをいろいろなところでやらないといけないなと思っています。

いかがでしょうか。

どうぞ。

村上統括官: 先ほど山本さんがおっしゃった時刻表の例題は中でも議論して、すごく分かりやすいと思うのですけれども、時刻表だけに特化して言うと、サービサーの時刻表はそれぞれのサービサーのものだけれども、時刻表をつくる前提となった需要側のデータが恐らくみんなでシェアすべきものなのだと思います。結局、共助とか協調とかずっと議論してきましたけれども、すごく端的に言うと、リアルタイムの需要データをみんなでシェアするべきだというのが恐らく結論で、それは何でかというと、人口が減っているから。人口が増えているときは、恐らく需要側データまで含めて、マーケットをサービスドメインごとに縦に切って、データを取る仕組みも含めて、ここまでデジタルがなかったというのもありますけれども、そこで投資のお金を回していても多分資本収益性は出たのですけれども、今は絶対数としてはマーケットがシュリンクするので、そこをみんなでデータをばらばらに取って、しかも同一人物の同一行動を複数のサービスサプライヤーが別の形でデータを取っていることの社会的無駄というのが看過できなくなっているということなのだと思います。

そういう意味では、アフリカや人が増え続けるインドに行ったら、また全然違う形の議論もあり得るということではないかと思うのですけれども、僕らとしては、資本としても、サービス業の生産性としても、効率を落とせない。なぜなら、給料が下がってしまうからというところにもう立ち行ってしまったので、共助がせっぱ詰まった話題になっている。そういう意味で、データを取得するための重複投資を避けるというのが1つ。

それから、もう1つは、そのときのデータのクオリティーを落としてはいけない。ここに先ほどのデータの標準であるとか品質の議論が入ってくるのと、もう一個、データと関連してということで言うと、そのデータはいつどこで誰がつくったものなのだというデータの信頼性を保証するためのトラストアンカーというのはどこに引っついているのですかという、この議論がついてくる。それに最後、おまけに引っつくように、ところでAIが来たよねと。AIを活用するかどうかは、どれだけ良質なデータをAIに食わせるかどうかで決まってくるので、そういう意味でも、さらに供給側の生産性がAIの活用によって縛られてくるのであれば、なおさら一層データのクオリティーの問題が出てくる。こういったように、需要データに対する重複投資の排除、良質なデータの供給の必要性といったところで、データ戦略ということが話題になるのだと理解しています。

そのときに一点要注意は、これが昔だと大システム基盤をつくって、プラットフォーム基盤をつくってという、集中型の絵ということになるのですが、APIはその1つの切り口にすぎないと言えばすぎないのですが、実はデータは集めなくても連携できるというところが多分普通の人から見るとこの議論の分かりにくいところで、恐らく共助であるべきものの正体は何かというと、データを連携せしめる仕組み及びそれにどうしても重複投資せずに誰かピンで投資しなければいけないもの、これが正体なのだと思うのです。ただ、これについてまだ技術の運用もいろいろな議論があるので、定説がないのですが、抽象的にはどうやらそういうことだと。

ただ、どうしてもプラットフォームというフィジカルな形で見せないと納得しない人が多くて、データを連携せしめる仕組みが共助であると言っても、何のことを言っているのだおまえという話になってしまうのが現在だと思うのですが、ヨーロッパもそこは、彼らは抽象論はすばらしいので、とっとと頭の中が整理ができていて、したがって、需要データだけに限らないかもしれませんけれども、主要なデータ領域ごとにデータスペースをつくり、そのために必要な社会の仕組みと技術を全部整えていこう、はい39個もうリストアップが終わりましたね。年間600億、EUは金を突っ込んでいますという世界にたどり着きましたということだと思います。

では、デジタル庁としてどうするかということでありますけれども、そういう意味では、ここの皆さんとシェアしたい動きというのは、これまであまり紹介してきていませんが、データ戦略全体という動きがあります。今回、所掌替え私が7月から担当することになりましたので、IPAさんとの関係も含め、あとNIST構想と言うかどうかはあれですけれども、IPAと経産省とデジ庁の結束も強めると同時に、そこは経産省の所掌領域のためだけでなく、全体でやりましょうという仕切りでやりましょうということになってきていますので、データ戦略をどうつくるか。恐らくデータ連携もしくはデータスペースと、標準やトラストアンカーの問題も含めたデータ品質の問題と、それからオープンなデータストックをどうやってみんなが使える、フルオープンかどうか分かりませんけれども、この3つを柱に、日本のデータ戦略を次の1年で整理をしていきたいと思っております。

それから、今日の午後、デジタルライフラインの第1回目の会議が始まりますので、恐らく実践的にはアーリーハーベストのプロジェクトを成功せしめるために必要な技術や仕様というところを先行して議論することになると思いますけれども、逆に言えば、それは今年度内に決着をして、一部はもう実装を始めるという勢いで動くと同時に、そこで議論として積み残す、もしくは長期に検討を要する話のほうをモビリティワーキングのほうで拾い、実現系は整備計画に落としつつ、政策として5年をかけて語らなければいけないものはモビリティ・ロードマップのほうに引き取って各省と検討をシェアしていくと、このように進めていきたい。

その中に、今日話題になったデータ連携基盤であるとか、梅村さんがおやりになっているようなフレームの中で、そこと受発注の仕組みをまたさらにどう掛け算をしていくかとか、山下委員には前から御相談いただいているのですけれども、ある種のトラストアンカーとしてのマイカーIDという世界みたいなことをどうやってこの中に組み込んでいくかというところが整理していければいいなと思っております。

石田座長: どうぞ。

齊藤構成員: 政府、自治体が考えなければいけないのは、国民の安全・安心という話と、地球環境のような、本当の社会課題に対応した形です。そこは今、民間のほうでという話があったのだけれども、やはり官の立場でこういうデータはオープンにしていかないと守れない話が本当はあります。そこは官がちゃんと投資するような話になっていかないと、何となく民間のためにやるのだからやれみたいになると難しいので、その辺りは政府の方針で、デジタルライフラインはどちらかというと物流とか人流のクライシスみたいな話をしていますけれども、もう1つ、本当に防災のような話が入ったときの災害対応のときには官がそこを担うことになります。逆に言ったら、そういう今つくるものと別のものにするのではなくて、その中に埋め込みながら、ここは官が投資するような話にならないと、民間だけの話ではない、官も含めた一体になったインフラ構築にはなりません。その辺はデジタル庁が横を束ねてちゃんとやってほしいのです。よろしくお願いします。

石田座長: ありがとうございました。

そろそろこれぐらいにさせていただきたいと思います。

3回目にして、前回よりもはるかに質の高い、視野の広い議論ができたと思っておりまして、いろいろなところへのバトンタッチも含めて、かなりうまくいきつつあるのではないかなと思っております。あと2回ございますので、引き続きよろしくお願いを申しまして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

鈴木企画官: では、事務局のほうから連絡事項などをさせていただければと思います。

本日は、貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

今後のスケジュールでございますけれども、次回は7月12日水曜日となってございまして、今回同様3名の方にご発表いただいて、また御討議をいただければと思います。また御参加をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

本日はありがとうございました。