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デジタル庁情報システム調達改革検討会(第2回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)8月1日(月)13時00分から14時30分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 第2回検討会以降の進め方
      2. 各論点の概要
      3. 自由討議
    3. 閉会

資料

関連政策

議事概要

日時

令和4年(2022年)8月1日(月)13時00分から14時30分まで

場所

オンライン

出席委員

梶川委員、有川委員、川澤委員、木村委員、坂下委員、隅屋委員

議事概要

隅屋委員から論点B-2「システム調達プラットフォームの整備」について、デジタルマーケットプレイスを中心に説明とご報告があり、各委員による自由討議がなされた。その後事務局からA-3「アジャイル開発・準委任契約を含む調達・契約のあり方」、C-1 「ベンダーロックインを予防するアーキテクチャの採用」について説明があり、各論点の説明後自由討議に移行し、活発な意見が出された。各委員からの主な意見は下記のとおり。

B-2「システム調達プラットフォームの整備」 について

  • 隅屋委員から「資料2デジタルマーケットプレイス概要と検討方針について」のご説明。
  • 英国では約30年の歴史があるデジタルマーケットプレイスを、日本では一足飛びに導入することに留意が必要。まず、英国で採用されているP3RMというマネジメント手法を日本で適用する場合について、考える必要がある。また、英国の場合、調達額の0.6%を利用料として徴収し運営しているが、日本ではどのようにするかも検討が必要である。
  • プロセスコストの低減については、対外的なコストより、組織内部のコストの方がかかる。どれぐらい低減できるかがポイントになるため、実際に試み、検証する必要があると思う。
  • デジタルマーケットプレイス導入には賛同するが、法的な課題と導入後現場ですぐに使えるかの2点が気がかりである。法的課題はデジタル庁で解決するとしても、現場での浸透には時間を要する。最初は小規模で使用し、徐々に事例を増やして広げていく形になるのではないか。
  • デジタルマーケットプレイス導入には賛成だが、進め方次第では使用されない仕組みになりかねない。実際に各府省が参加する形でどのように実現していくかが課題である。情報システムの分離分割発注は、古くから指摘されているものの実現できていなかったが、状況の変化で実現の可能性は上がっていると認識している。各省、地方自治体、その他の公的機関との実績を積み上げながら、利用を拡大していく設計が必要になる。また、デジタルマーケットプレイスが全てをカバー出来るわけではないので、どのような調達が対象となるかの説明も必要になる。
  • 現在、行革事務局では、競争性を確保するため、それぞれの契約発注分野の中で受注可能業者がどれだけあるかを調査し、把握しようとしており、マーケットプレイスの検討は同様の流れにある取り組みだと認識している。課題は第一にマーケットプレイスに登録する段階、第二に登録された業者から選定し発注する段階での公正性・透明性の確保で、これらが担保できれば、現行法制度と矛盾なく導入できるのではないかと思う。

A-3「アジャイル開発・準委任契約を含む調達・契約のあり方」について

  • 諸外国における随意契約の取り扱いとして、英米における実施条件や、豪州でのVFM(value for money)の事例を挙げているのは、あくまで随意契約はイレギュラーで問題が多いため、契約の入口、出口双方で丁寧なチェックが求められているという意味合いではないか。そのため、「随意契約の優良な事例」は悩ましい表現だと言える。随意契約も会計法上認められている契約形態であり、要件に当てはまる場合妥当な事例としてクローズアップすることは問題ないが、「優良な事例」という表現はミスリードの恐れがあるのではないか。
  • 契約変更についてはガイドライン作成の必要性があるが、基本的に民法で明確に規定されているものは、官民契約の場合もそれに基づいて解釈・運用している。従って契約変更に限って民法に書いてあるが会計法に記載が無い内容を盛り込む、というのは難しいのではないか。債務不履行をはじめ、民法の大原則は会計法には記載が無いという点を念頭に置きつつ、ガイドライン作りをしていただきたい。
  • 会計検査院がクラウドサービスで長期継続契約が利用できないと指摘したということだが、そうではないのではないか。会計検査院が指摘した事例では、ソフトウェアとハードウェアを電気通信費と一体として長期継続契約していたことが問題であって、クラウドサービス調達が出来ないということでは無いと考える。
  • アジャイル開発を想定した随意契約においては、契約者以外による履行が「不利である」という点が要件になるのではないか。そのため、現在の制度上でも随意契約、契約の同一性が要件となる契約変更を区別する基準が存在しているのではないかと思う。
  • A-3(a)に関連して、民間の契約書でも、まだアジャイル開発を請負契約にした方がいいのではないかとかいう議論がある。もし政策として準委任契約で進めるならば、決めてしまう方が良いと考える。また、準委任契約といっても、行った業務に報酬を支払う履行割合型や、一定の成果物に対して成果報酬を払っていく請負に近いケースもあるため、どのような形をアジャイルで採用するかを具体化して、行政機関としてのひな型を作る必要がある。また、クラウドサービスの文脈で、中間事業者の使い方でリセラーを使うという話があったが、リセラーの利用は再委託になるとの議論もあるため、再委託禁止との調整が必要になる懸念がある。
  • 長期継続契約については、現在契約出来るのが水道・ガス、インターネット、電気通信事業程度だが、実社会でインフラとして広がっているクラウドサービスはたくさんあるため、それらについても利用できると法令上明確にしたほうが良い。
  • 契約変更と随意契約の事例については、そもそも法令に対する知識が不足していることが散見されるため、ガイドライン作成は有用と考える。
  • 契約方式については、英国は契約データベースを作成して中で事例を公開している。英国は了解事項証明書をベンダーと政府の間で締結して値引きをしているので、参考になる。平成15年に財務省の主計局が作った予算査定方針という文章があるが、この年から、システムが複数年限で締結できるように変わっているため、検討に当たって議論を参照してもよいと思う。
  • 準委任契約については、弊社でも取り組んでおり、動きながら成果を出していく方針を取っている。具体的には、仕様書はハードローにならないよう契約書に含めず、別紙としている。また、偽装請負にならないように留意が必要であるため、指揮命令ではないことを契約書に明記している。知財については、納品後発注側が全て引き取ることを明記している。期限については、3か月から半年で目標が達成されなかった場合には、契約を終了するという方針を採っている。
  • A-3(a)について、基本的に事務局で書かれた施策には賛成である。資料1「第2回検討会の進め方と各論点の概要について」の19ページに検収を「各スプリントで行い」とあるが、アジャイル開発であること自体が重くならないよう、各スプリントの検収は重要なところだけの確認にとどめ、最終的なものは最後に回すなど重み付けに配慮すべきではないか。また、ガイドライン作成の政策が多数あるが、官民双方がアクセス可能なところにあること、そのガイドライン自体も古くならないよう利用者からフィードバックをもらい、アップデートしていける環境を整えることも必要と感じた。また、トレーニングについて、プロダクトオーナーの研修は重要だが、周囲の理解や、組織作りも大切である。例えば、アジャイル開発において、周囲が口出ししたり上司が細かな報告を求めたりすれば、プロダクトオーナーがリーダーシップを発揮できず、アジャイル開発ができなくなると思う。ある一定の年次以上の人にはトレーニングで知識を身に着けてもらう一方、他のメンバーにも理解を深めてもらうことが重要ではないかと思う。
  • 長期継続契約に係るコメントについて、基本認識を確認したい。そもそも複数年契約に関する考え方の根本にあるのは、国民と国民の代表である国会が予算を単年度主義で統制していこうという憲法の大原則がある中、財政法に国庫債務負担行為・継続費・明許繰越・事故繰越の4類型を明記し、例外としていることである。ただ、電気料金・水道料金のように毎年同じような金額で同量の債務を負担するものについては長期継続契約として列挙主義を取り、それに基づいて財政法の例外の例外として記載している。平成14年前後に国会や会計検査院が問題にしたのは、国庫債務負担行為を逃れるような形で、長期継続契約が利用されていたからである。今後、システム関係の債務負担について、長期継続契約のようなものを用いるとすれば、国会で議論して法律に明記し、憲法の例外の例外という形にしないと問題があると考える。
  • 長期継続契約について、今予決令の102条の2で列挙されているが、自治体の事例を見るともっと広く記載しているものもあるのでそちらが参考になると考えている。
  • 長期継続契約について、憲法からルールを話したが、例外的な扱いのため、具体的なリストを記載しなくてはならない。本当に必要かどうかを検証して、リストにアップするか検討すべきであり、法形式は法律に基づかなくてはならない。契約の内容をよく検証し、元のルール制度に則り、法律に反しない範囲で政令のリストに記載を検討していただきたい。また、第3の道を探ることは少し危険性があるので、出来れば避けてもらいたい。
  • フレームワーク合意方式は、合意と発注を区分し、受注可能な業者を事前に見つけだせるという点もあり、調達の競争性に対してもプラスになると考えている。出来る限りスピード感をもって検討し、実現していければと思う。

C-1「ベンダーロックインを予防するアーキテクチャの採用」について

  • 既存のオープンソースソフトウェアの活用は大変重要だと思う。政府が受託開発したソフトウェアそのものをオープンソース化し、他の行政も使えるようにすることもベンダーロックインを排除するという意味で重要であり、機密性の高いもの以外は基本的にオープンにする方向性を徹底すべきと思う。また、システムの疎結合化を進める上では、相互運用性の確保が非常に重要になっている。例えば、デジタル臨時行政調査会でもデジタル5原則というものが作られているが、API公開や特定のデータ標準を土台とするなど、英国のテクノロジー・コード・オブ・プラクティス(サービス行動規範)にあるような、行政内にて横並びで動ける仕組みを日本でも整え、浸透させていくことが必要である。また、時代遅れの規制にシステムを合わせるため、非常に複雑なシステムが作られる場合もあるので、デジタル庁とも連携しながら規制の方を逆に変えていくこと、時代遅れの規制を共有できる窓口を設置することも重要ではないか。C-1(b)の知財の話については、英国の知的財産権ガイドが参考になるが、今回デジタルマーケットプレイスの関係で、SaaSについては、ライセンスに対して支払うという形で異なるという観点を、行政官が混同しないよう明確にすべきと思う。また、前の論点に関して、一言申し忘れたところとしては、フレームワークアグリーメント方式の導入は、ぜひスピード感を持って進めていただきたいと強調させていただく。
  • ベンダーロックインについて、RFPが書けるIT知識のある職員がおらず、曖昧な要件や、特定の事業者に有利な仕様書のまま公募をしていることが最大の問題であり、人材の育成が大切である。英国ではprince2というプロジェクトマネジメント手法があり、その中に7つのテーマが出てくるが、それがsociety5.0のアーキテクチャ図と概ね合致している。そういうものを参考にして、人づくりをどうするかということも是非考えていただきたい。
  • オープンソース化が出来るならよいが、逆にやり手が減らないか懸念される。バイドール法は、現場の感覚としては使いにくい。権利を100%事業者側に残すとはいえ、権利の利用状況の報告が必要であることや、海外に出す場合国からの同意が必要であること、国にサブライセンスの権利を認めることなどが、企業が躊躇する要因となっている。バイドール法自体は活躍したと思うが、若干古くなっているので、もう少し民間の契約形態を取り入れやすい制度に変えていった上で、知財の部分を調整する必要があるのではないか。
  • 行政事業レビューにおいても、クラウドでセキュリティは大丈夫なのかと懸念を示す声が聞かれ、オープンソース化はハードルが高いと思う。デジタル庁から各省に対して丁寧に説明をし、セキュリティの問題のないものについては、どんどんオープンソース化するなどのガイドをしていかなければ、政府全体としての取組として広がらないのではないか。また、データポータビリティは非常に重要である。事業者の入札検討時の資料閲覧も含め、今は非常にやりにくい状況で入札が行われていると感じる。現時点で、データポータビリティの観点から、色々な案件について個別の検討を進めてもよいのではないか。
  • ベンダーロックインの議論では、事務局も、発注者側の知見に不安があるのではないかと感じた。今後発注者側の知見をどう高めるか、デジタル担当部署だけではなく、組織全体としての知見や意識を行政行為そのものにどうやって取り入れていくかという啓蒙活動が議論の大前提になると感じた。相談窓口、各省連携などについては、事務局と共に検討していきたい。

以上