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トラストを確保したDX推進サブワーキンググループ(第10回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)5月20日(金)10時から11時45分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 事務局説明資料及び報告書案の説明(事務局)
      2. 自由討議
    3. 閉会

資料

参考資料

関連政策

議事概要

日時

令和4年(2022年)5月20日(金)10時00分から11時45分まで

場所

オンライン開催

出席者

構成員

  • 太田洋(西村あさひ法律事務所パートナー弁護士)
  • 崎村夏彦(東京デジタルアイディアーズ株式会社主席研究員)
  • 佐古 和恵(早稲田大学 基幹理工学部情報理工学科教授)
  • 手塚悟(慶應義塾大学環境情報学部教授)【主査】
  • 濱口総志(慶應義塾大学SFC研究所上席所員)
  • 林達也(LocationMind株式会社 取締役)
  • 宮内宏(宮内・水町IT法律事務所 弁護士)
  • 宮村和谷(PwCあらた有限責任監査法人パートナー )
  • 高村信(総務省サイバーセキュリティ統括官付参事官)
  • 希代浩正(法務省民事局商事課補佐官)※代理出席
  • 奥田修司(経済産業省商務情報政策局サイバーセキュリティ課長)

オブザーバー

  • 伊地知理(一般財団法人日本データ通信協会情報通信セキュリティ本部タイムビジネス認定センター長)
  • 井高貴之(厚生労働省医政局研究開発振興課医療情報技術参与)※代理出席
  • 太田大州(デジタルトラスト協議会渉外部会長)
  • 小川博久(日本トラストテクノロジー協議会運営委員長 兼 株式会社三菱総合研究所デジタル・イノベーション本部サイバー・セキュリティ戦略グループ主任研究員)
  • 小川幹夫(全国銀行協会事務・決済システム部長)
  • 奥野哲朗(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課課長補佐)※代理出席
  • 小倉隆幸(シヤチハタ株式会社システム法人営業部部長)
  • 金子聖治(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課指導官)※代理出席
  • 小松博明(有限責任あずさ監査法人東京IT監査部パートナー)
  • 佐藤創一(一般社団法人新経済連盟政策部長)
  • 佐藤帯刀(クラウド型電子署名サービス協議会協議会事務局)
  • 柴田孝一(セイコーソリューションズ株式会社DXサービス企画統括部担当部長兼トラストサービス推進フォーラム企画運営部会部会長)
  • 島井健一郎(厚生労働省医政局研究開発振興課医療情報技術推進室室長補佐)※代理出席
  • 島岡政基(セコム株式会社IS研究所主任研究員)
  • 袖山喜久造(SKJ総合税理士事務所所長)
  • 豊島一清(DigitalBCG Japan Managing Director)
  • 中須祐二(SAPジャパン株式会社政府渉外バイスプレジデント)
  • 中武浩史(Global Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)日本オフィス代表)
  • 西山晃(電子認証局会議特別会員(フューチャー・トラスト・ラボ代表))
  • 野崎英司(金融庁監督局総務課長)
  • 肥後彰秀(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)インキュベーションラボ デジタル本人確認プロジェクトチーム プロジェクトオーナー)
  • 三澤伴暁(PwCあらた有限責任監査法人パートナー)
  • 山内徹(一般財団法人日本情報経済社会推進協会 常務理事・デジタルトラスト評価センター長)
  • 若目田光生(一般社団法人日本経済団体連合会 デジタルエコノミー推進委員会企画部会データ戦略 WG主査)

デジタル庁(事務局)

  • デジタル社会共通機能グループ 楠 正憲グループ長、犬童 周作グループ次長 他

議事要旨

  • 事務局より、資料1「事務局説明資料」について説明。欠席構成員から預かった以下の意見の紹介及び事務局の反映状況を説明。
    • 1点目は、トラストサービスは現在、官民・民民で行われている各種トランザクションを紙ベースでのやり取りからデジタルベースでのやり取りに置き換えるために不可欠なインフラであり、国民が安心してオンラインベースでのトランザクションを行うことができるようにするためには、組織の認証であるeシールが法的な裏づけを持って整備されることが必要不可欠。技術進歩が急速な今日において、法的な規律は最小限にして、極力、解釈や運用によって対応していくべきものとは考えられるが、フィッシング詐欺等が横行している現状では、オンラインベースでトランザクションを行っている相手方が認証を受けた正当な組織であるかを法的に確認できることはトラストの基盤として極めて重要ではないか。タイムスタンプは、基本的には証拠の問題でしかないので、必ずしも法整備までは不要と考えるが、eシールについては、やはり法的な裏づけを持って整備していくことが必要である。2点目は、国際的な通用性を考えていく場合に、UNCITRALにおける議論との整合性は極めて重要である。我が国でトラストサービスに関する制度的枠組みを考えていく際にも、UNCITRALにおける議論を注視しながら、それと整合性を保つことができるようにしていく必要がある。
    • トラストについて定義するのであれば、例えばISO 25010のトラストの定義を引用する方法があるのではないか。また、ISO 25010のトラストの定義を引用して、トラストサービスもISOの定義を参考に記載する方法があるのではないか。
    • UNCITRALの議論との整合性については、トラストポリシーの基本方針の部分においても国際的な通用性というところで具体例として記載した。トラストの定義は、本日の回で集中的に議論したいが、報告書案の部分も反映した。
  • 自由討議において、主に以下の発言。
    • トラストの定義について、事務局資料で書かれているISO 25010はソフトウエアの品質基準に関するISOである。ISO 19970はデータセットの信頼性に関する基準である。間違っていてはいけないところについてどう担保するかという話であり、我々が考えてきている正しく発行元から出てきたのだから、それを信じて処理するトラストとは全く別物である。引用するのであれば、単なる英単語として、例えばオックスフォード辞典の「The belief that something is true or collect or」、「that you can rely on it」というように「それに頼ることができることを保証する」のがトラストであるという概念にしたほうが良い。
    • ISOの定義を引くと本サブワーキンググループでの議論とずれてしまうとすると、UNCITRALで書いてある定義を本報告書では引用する、又は、トラストのところは一旦定義づけは置いておいて、トラストサービスだけ定義するとかというやり方もあるのかなと思う。
    • ISO 27099がFDIS(最終国際規格案)の段階でトラストサービスの定義がされている。SC27で標準化が進められている規格になり、6月前半には投票が終わる形になっている。恐らく報告書の発行前には投票が終わる形になっている。FDISなので、内容としてはかなり既に安定している。ISO 27099のタイトル自体は「Public key infrastructure - Practices and policy framework」になっており、トラストサービスの定義としてElectronic Text Service, Which Enhances trust and confidence in electric transactionなので、非常にジェネリックな定義である。日本語にすると、「電子取引における信頼や信用を強化するような電子サービス」ですという定義になっておりますので、構成員の皆さんにも受け入れやすい定義と考える。
    • トラストの定義については、「rely on」に賛成。こういったトラストサービスとは何かというと、情報に関するある事実、例えば誰が作ったとか、いつあったとか、いわゆるトラストサービスが証明していく事柄が第三者に証明できることがトラストだと考える。
      この第三者として、意識するのは主に裁判官である。裁判所が証明できるというのが主たる私の考えだが、一般論としてはやはり第三者にそれが正しいですと示せるという意味でそこに依拠できる。そういうものをトラストというのがよいと考える。
    • ISOは、ソフトウエア品質に関しての基準の中での定義として設定されているものなので、すべからく何に関する基準であったりとかレポートなのかというところをくどくても全部に書いておかないとミスリードになる。トラストサービスもeIDASの中で言っているところのトラストサービスもあれば、米国公認会計士協会(AICPA)が言っているトラストサービスの定もあるので、やはり何において設定された定義であるというものを必ず毎回入れるべき。Identificationのアシュアランスレベルに関しての議論も修飾語を省略せずに書かないと、どこのスコープかという混乱が生じる。
      トラストの定義は、特にDFFTのトラストとかはかなり議論の余地がまだたくさんある状態である。昨今の情勢から、中長期的に考えればいいと思っていたものが近くに考えなければいけなくなるようなテーマも関連する。例えば、ウクライナ侵攻での決済絡みのトラストの注目は上がってきている状態である。そのあたりは今後、将来に向けての検討になるので、あくまでこのレポートの中での定義はこういう定義だが、今後に向けて、情勢で実際に求められるものを鑑みてブラッシュアップしていくべき。
    • もともと、真実性と真正性の違いという、中身のデータの問題と、真実性のあるデータをどうやって運ぶかという手続論的なトラストという分類学を本サブワーキンググループで議論した。そこで、手続論のほうをまずはやりましょうという話だったと思うので、今回のレポートではそういう両面の議論をしたことを書くべき。そして、最初に取り組むとして考えたのが手続論の方なので、そういう文言をつけたトラストサービスとは何だと考えると、eIDASだとかUNCITRALの定義や総務省検討会の「インターネット上における人・組織・データ等の正当性を確認し、改ざんや送信元のなりすまし等を防止する仕組み」ということになる。
    • 皆様の意見をまとめると、報告書案の内容としては、現状、定義を書いてからトラストで担保するべきものという順番になっているが、トラストのスコープの整理とか、トラストで担保するべきものみたいなところを書いた上で、このトラストで担保するべきところで手続論に議論の焦点をフォーカスすることになったから、その上ではトラストの定義をこう考えるというような順番にする必要があると考えた。
    • トラストの定義は、文脈、コンテクストが非常に重要。ISO 27099を採用するとなると、出ていないドラフトがリファーできない問題が恐らく報告書で発生するため、定義として持ってくるのが難しい状態をクリアしたい。手続論へのフォーカスの話は、このコンテクストにおける手続はこうであるという定義の仕方をしていくことで発散しないことになる。ジェネラルなトラストについては、ISOくらいしか依拠するものがないため難しい。トラストの定義を広げると、フォーカスが曖昧になることであれば、コンテクスト上のプロセスにおけるトラストサービスの定義を前振りをつけて記載すると議論が収斂するのではないか。テクニカルな部分に関しては議論しやすいが、法的な定義、位置づけがどう評価されるかに関しては、難しい。
    • 皆様のご意見を伺い、トラストそのものの定義は非常に幅広くなってしまうので、このサブワーキンググループで1つにまとめるところは難しいところがあると考えた。トラストについては、DFFTに向けてトラストの概念を深掘りすることも今後の取組に記載したため、トラストに関しては、様々な定義があることの紹介にとどめて、定義しない方向で進めたい。そして、トラストサービスについては、まずは紙の持つ真正性や非改ざん性をデジタルのところに向けて確保するところを考えると、例えばUNCITRALの定義を引用してきたり、定義を持ってくるとかということは、トラストサービスのみ、この報告書で定義して、それをUNCITRALの定義や、ISO27099の定義を引用する方向で修正してみたい。
    • トラストサービスの定義も、本サブワーキンググループで検討したことを書くべきだが、今回そこまで煮詰まった議論はしていないので、代表的なところからリファーする標記とするべき。
    • eIDASの「those services」が何を指しているのかわからないため、専門の方はこれが何を指しているのか教えていただきたい。例えば、eIDASの(a)には「related to those services」がある。それが前にあるDelivery servicesなのか、あるいは、Electronic signatures、Electronic sealsもElectronic time stampsもサービスだと思っているのかというところでまた解釈が違うと考える。Electronic signatures、Electronic seals、Electronic time stamps、Electronic registered delivery servicesは全て「those services」であるならば、日本語でも誤解が無いように適切な訳も考えてみたい。
    • 日EUデジタルパートナーシップの日本語では相互認証、原文では「mutual recognition」と書かれている部分について、この「mutual recognition」、恐らく相互承認という言葉を使うのが妥当だとは思うが、長期的な目標である相互承認への道を開き得るものであるという言葉が入れられたことに対しては非常に好感を持っている。一方で、相互承認が実現した際に、日本で認められているトラストサービスが、EUで今の法律、eIDASだとQualifiedとして認められているものについて、EUでQualifiedのサービスが日本の裁判で認められるということが恐らく相互承認と考えるが、日本のトラストサービスがEUでQualifiedとして認められるという法体系の日本の整理が必要になってくる。それが実現できないのであれば、一方的にEUのサービスだけが日本でも使われていく、日本のサービスはEUでは通用しないという課題に直面してしまう。また、仮にこの相互承認が実現できなかったとしても、私は現状の日本の法体系では、もしかするとEUのQualifiedサービスは裁判で有効性が認められ、日本のトラストサービスはEUではQualifiedとして認められないという結果になってしまうのではないかということを危惧している。報告書でも中長期的な目標としてトラストサービスの全般的な法律を整備しなければならないということが示されているとは思うが、そこについてはより重点的に今後取り組んでいく必要がある。
    • 今の懸念は、会計監査やグローバルの基準に基づいて承認の内容が会計監査で使えるのかというところでは、次のステージで出てくる議論であるので、やはり法律的なものに加えて実際の商取引及びそれの監査という点を考慮しながら今後取り組んでいく必要性があるの。実務的に現状、いわゆる分散台帳に関連して解決すべきことが出てきているが、同様の多くのケースが想定されてくるだろうと思われる。
    • トラストサービスを我が国でワークするため、さらには国際連携を踏まえて検討するという方向性がある中で、日EUデジタルパートナーシップのような具体的なものも出てきた。個人情報保護法とGDPRのような関係がトラストの分野でも想定される。そこには制度論は外せない部分が出てくる。なるべくないほうがそれは自由闊達でよいが、どうやって我が国としてうまく規制にならないように持ち込むかをこういうマルチステークホルダーで検討するのが最も重要なことだと理解している。制度だけではなく、もう一つ外側のフレームワークとして監査とか、国際基準に準拠した世界も含めて、我が国としてJapan wayをどうやって持っていくのかの検討が大事である。
    • トラスト確保の実態調査の結果であるが、実態調査で、主に行政、金融・保険、情報通信、不動産、医療・福祉、運輸・郵便の業界分野のユースケースでトラスト確保のニーズがあったことが調査結果で分かっており、海外連携が必要なトラストサービスのユースケースとして、受発注書、契約書、請求書等や金融・保険等の業界固有の手続等がある。さらに、普及に向けて考えられる施策例への関心として、電子署名以外のトラストサービスの法的効力(証拠能力)の規定、認知・理解促進のための啓発活動が挙げられている。この調査結果は予算を使って行っていただいた調査で、このサブワーキンググループにもインプットをいただいているので、この結果はきちんと尊重され、結果に対応した今後のアクションを取っていかなければいけない。報告書の中で、マルチステークホルダーモデルで扱う議論で、民間分野に関してはマルチステークホルダーモデルで議論していきましょうということになったが、経済界からのニーズにおけるユースケースごとのガイドライン。
      として例示にあがっているものは、先ほどあった金融だとか通信だとかの調査結果に対応しているのかとは思うが、できれば調査結果と同じような言葉を使い、きちんと調査結果に対して、今後、マルチステークホルダーモデルで自分たちは議論して解決策を示していくのだというところを示していただきたい。
    • それぞれの業界/業種について具体的に書き込む場合、関係省庁と調整が必要なため、現時点でどこまで書き込めるか難しいところであるが、具体的に書けるように検討する。
    • 最終的にアプリケーションで使われないことにはトラストサービスを幾ら頑張ってつくっても意味がないので、非常に重要なパートである。各省との関係性もあるので、デジタル庁としての幅広に表現ができるようにしていただきたい。
    • 報告書全体について、昨年6月18日に公表された「包括的データ戦略」に書かれていることとの関係を明記していただきたい。包括的データ戦略に記載された論点を網羅するようなところまで議論する時間はなかったのは理解しているが、もう少し今後のところに記載するべき。特に、包括的データ戦略に書かれている課題としては、トラストアンカーの機能、認定スキームの創設、トラスト基盤の創設、認定の効果、認定基準、クオリファイドサービスの公表、国際的な相互承認というものが挙げられており、これらの必要性及び検討の必要性が述べられているので、この報告書でもこれらにどう対応していくかとかを書いておくべき。なお、私としては日本としてのトラストサービスの基盤をどうするかと、それに基づいて、そのクオリファイドサービスを公表することは極めて重要な概念だと考える。ここに関して、認定制度の設立が規制強化につながるのではないかという懸念が聞かれるように思うが、これは違うのではないか。認定とか基準とかをつくることはトラストサービス事業者に対するものであって、利用者に対する規制ではない。こういった認定制度をつくっても、全てのトラストサービスで認定が必要になるわけではない。あるべき姿としては、最高レベルのサービスについては認定を行っていくとともに、その以下のものについても基準や規格を明らかにして選べるようにしていく。つまり、妥当なレベルのサービスを選択するために、認定されたものを含むような選択肢を増やすことをやっていくとともに、それぞれのレベルがどういう意味があるのかという意義を示すことが重要。トラストサービスへの課題意識でも、サービス事業者の選択が非常に重要な課題として挙げられている。こういうところも含めてトラスト基盤とか認定というものをもう少しちゃんと考えていく必要がある。EUのeIDAS2.0とかUNCITRALのモデル法などでも包括的な規定の創設や改正が進められている。今、我が国は、eIDAS1.0以前の状態にあることをしっかり認識して、今後の相互認証に向けた課題を解決していく必要がある。
      現在、法的効力については、我が国の法制度では電子署名による審査成立について、いわゆる2段の推定の2段目のみが法定されていて、1段目とか他のトラストサービスについては法的効果が示されていない。これは国内での法的安定性という問題もあるが、特にeIDASやUNCITRALのモデル法を採用するような国が今後出てきたときに、その国との間の相互のやり取りでやはりどこまで効果があるかという意味では不均衡が生じる。今後、そういった例えば電子証明書であるが、これの効果は今、法定されておらず、eシールやタイムスタンプの法的効果とともに検討する旨をしっかり書いていくべき。
      また、タイムスタンプの確定日付としての効力についても、今後、検討が必要。行政が取り扱うべき課題として、やはり行政はトラステッドリストやクオリファイドサービス、認定されたサービスの公表方法を主体となって策定するべき。また、マルチステークホルダーモデルで取り扱う対象として、やはりトラストサービスのレベル設定及びそれに基づく利用者による選択をしっかりできるようなことを策定していくことをやっていくべき。また、検討対象にタイムスタンプも入れていくことが必要。債権譲渡の通知及び承認の第三者対抗要件が今はタイムスタンプでは対抗要件を具備しなくなる。国が認定して確かな時刻が生じているということが示されているのに、なぜ駄目なのか議論すべきである。債務者の承諾はタイムスタンプでも対抗要件の具備が可能なはずであるため、ご検討いただきたい。
      トラストサービスで出てきたデータに関する検証サービスを、長期署名のフォーマットで保存するような保存サービスも今後のマルチステークホルダーモデルで扱うべき対象に入れるべき。
      今後の取組の部分について、トラスト基盤の構築、認定の関係、クオリファイドサービスの公表方法をしっかり課題として記載すべき。推進体制の表だけではなくて、まとめの部分にも書いておくべき。今後の取組の、DFFTの推進に向けたトラストの概念の深掘りというところは「明確化」ぐらいが正しいのではないか。これを深掘りしようと思うと、今日の議論からもお分かりのように、いろいろな意見が出て、あまり生産的な活動にならないので。トラスト概念とか、ポリシーは、トラスト基盤や全体を構築していくための前提であって、こういうものが目標とか目的ではないはずなので、ここをきっちり見分けていく必要がある。
      事務局に対して質問として、トラストポリシーの基本方針から策定されるであろうトラストポリシーというものはどういう種類のもので、どういうイメージなのか。そのあたり、今、持っているイメージの範囲で結構ですから、教えていただきたい。
    • トラストポリシーの基本方針は、行政を含めたマルチステークホルダーの関係者がトラストに係る施策を検討するに当たり、考えの指針となるようなものとして整理している。トラストポリシーの完成形については、本サブワーキンググループで議論がそこまで深まらなかったため、引き続きマルチステークホルダーなどの場で議論が必要ではないかと考える。
      いただいたコメントについて、トラストの包括的データ戦略で記載された部分については、報告書の「背景」の部分に、例えば、包括的データ戦略において論点にあがったことを具体的に書くことなど考えたい。包括的データ戦略では、トラスト基盤に関して網羅的に論点を整理していたので、これを本サブワーキンググループで全て実行していくところはなかなか難しいところがあるが、例えば本報告書案の今後の取組のところで、eシールのさらなる制度化が必要であるとかも書いてあり、確実に包括的データ戦略で挙がった論点について進捗しているところがある。その辺りや今後の見通しについて、進捗を分かりやすく記載できるように検討したい。
    • タイムスタンプ制度を所管している立場として、タイムスタンプで確定日付が足りないのは相手のところに届いたという証明機能が無いためである。受領者側がタイムスタンプを押していただけるのであれば、そこは確定日付として扱うかどうかは議論の余地がある。相手に届いた証明を考えていかなければいけないということで、eIDASの中でeデリバリーという仕組みがある。それでは、日本でeデリバリーを実装するためにはどうしたらいいのかというところは電気通信の世界であり、調査研究を行っているところである。
      eシールに関する指針については、我々としては、過去にタイムスタンプがそうであったように、国としてはまず指針をつくって、民間による任意認定制度が立ち上がってくれることが理想と考えている。いわゆる民間認定制度みたいな形では初めの一歩を踏み出せると考えている。冒頭、事務局からご発表があった本日ご欠席の構成員からのコメントにあるように、国によるしっかりとした法制度、法的スキームが必要ではないかというご指摘をいただいたが、民間の認定制度を回しているうちに、これは法制度でやらなければいけないだろうというところ、ここは民間の任意制度で十分であろうというところが明確になってくると考えるので、それに合わせながら認定の主体の在り方やもしくは法的枠組みの在り方は検討できるのではないかと考える。
    • トラストポリシーの基本方針について 例えば国のトラストポリシーとするのであれば、政府の情報システムや行政サービス、電子申請システムにおいて、リスクごとにこのような影響度のあるリスクのシステムについては、このような保証レベルのトラストサービス。それが電子署名なのか、タイムスタンプなのか、eシールなのか、eデリバリーなのかを採用しますということを示す文書なのかと考えている。その保証レベルの電子署名、eシールというものは、例えばこのような技術基準に従って、その保証レベルがどのように確保されていることが表示されるのかを整理するような文書なので、国のトラストポリシーであれば国は、自分たちはデータやシステム、サービスについて、このような保証がされていれば信頼しますという方針を示すものがこのトラストポリシーであり、ここで書かれているトラストポリシーの基本方針は、それについてまとめていくに当たって、こういう考え方、こういう体制でまとめていきますということが今回、報告書で示されたというのが自分の理解である。
    • 包括データ戦略全体との共通課題の整理、プログラムマネジメントが重要。そこが今回、サブワーキンググループを進めさせていただく中ではかなり苦労した点なので、今後の進め方に関しては、プログラムマネジメントのところの体制とかプロセスを整理いただきたい。
    • 議論がまだまだ続きそうなところとかもあり、サブワーキンググループはあと1回の場だけなので、何らかのコミュニケーションチャネルをつくって、皆様で細かい議論とかもできるような場を検討したい。
    • 闊達な議論をいただき感謝申し上げる。昨年、包括的データ戦略を取りまとめたときには、これからデジタル庁ができるということで非常に野心的な目標を設定したわけですけれども、なかなかこれを実際にやろうとしていくと、このサブワーキンググループは本当に月2回という急ピッチで、毎回、非常にご意見も含めて多数いただいて、非常にレベルの高い議論が行われたと考えるが、一方でなかなか、それぞれの論点について、きちんとファクトに基づいて議論しようとすればするほど難しい部分も見えてきた。今日、トラストの定義一つでもこれだけ相当議論があり、ISOやeIDASを含めた定義を見ても、国際的にもきちんと概念として捉えることを相当苦労しながら、今なおオンゴーイングで進んでいることが今日の議論でも改めて見えてきた。
      今日、第三者対抗要件みたいな話も出てまいりましたけれども、各論に入れば入るほど制度の根幹に関わってくる部分で、これはデジタル庁だけで決められることではなくて、政府一丸となってやっていかなければならない。党からもいろいろな立場の方の話を聞くようにというご指導をいただいたり、NFTなどのデジタル資産をどうするかというふわふわした議論が一方である中で、本当はここのサブワーキンググループでやったようなしっかりした議論等をすり合わせていかないと、世の中、本当におかしいことになってしまうのではないかという心配もしている。
      今回、本当に皆様、非常に深いコミットメントをいただいて見えてきたことは非常にたくさんある。なかなか、見えてきた山の高さに対して我々の体制も決して十分ではないと強く思い、引き続きデジタル庁としてもしっかりと体制を整えていかなければならないという思いを強くすると同時に、これは本当にデジタル庁の職員だけで進められる話では全くないので、民間の方の英知もきちんと組み合わせてプログラムマネジメントしながら社会全体としてどうやって取り組んでいくか検討したい。マルチステークホルダーモデルが回るようにして、そこで検討されたことが政府の中で受け止めて制度化していくためには、様々な利害の調整が発生してくるので、引き続きご指導いただきたい。日本だけではなくて、この問題はますます世界で大事になってきて模索が進んでいるところだと思いますので、しっかりと各国に劣後することがないように、そして、つながっていないことによって日本の国民の方々や企業が不利益を被ることがないようにしっかりと取り組んでまいりたい。
  • 会議資料は、デジタル庁ウェブサイトにてこの後公表させていただくこと、追加の意見及び質問は事務局まで連絡の上、事務局で今後の運営の参考とすること、議事要旨は、構成員の皆様に内容を確認いただいた後に公表させていただくこと等を事務局より説明。
  • 次回のサブワーキンググループの会合は、令和4年6月29日(水)15時00分よりオンライン開催の方向で調整中であることを事務局より説明。

以上