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トラストを確保したDX推進サブワーキンググループ(第8回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)4月8日(金)16時から17時45分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 事務局資料説明(事務局)
      2. 自由討議
    3. 閉会

資料

参考資料

関連政策

議事概要

日時

令和4年(2022年)4月8日(金)16時から17時45分まで

場所

オンライン開催

出席者

構成員

  • 太田洋(西村あさひ法律事務所パートナー弁護士)
  • 崎村夏彦(東京デジタルアイディアーズ株式会社主席研究員)
  • 佐古和恵 (早稲田大学 基幹理工学部情報理工学科 教授)
  • 手塚悟(慶應義塾大学環境情報学部教授)【主査】
  • 濱口総志(慶應義塾大学SFC研究所上席所員)
  • 林達也(LocationMind株式会社取締役)
  • 宮内宏(宮内・水町IT法律事務所弁護士)
  • 宮村和谷(PwCあらた有限責任監査法人パートナー)
  • 高村信(総務省サイバーセキュリティ統括官付参事官)
  • 希代浩正(法務省民事局商事課補佐官)※代理出席
  • 奥田修司(経済産業省商務情報政策局サイバーセキュリティ課長)

オブザーバー

  • 伊地知理(一般財団法人日本データ通信協会情報通信セキュリティ本部タイムビジネス認定センター長)
  • 井高貴之(厚生労働省医政局研究開発振興課医療情報技術参与)※代理出席
  • 太田大州(デジタルトラスト協議会渉外部会長)
  • 小川博久(日本トラストテクノロジー協議会運営委員長兼株式会社三菱総合研究所デジタル・イノベーション本部サイバー・セキュリティ戦略グループ主任研究員)
  • 小川幹夫(全国銀行協会事務・決済システム部長)
  • 奥野哲朗(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課課長補佐)※代理出席
  • 小倉隆幸(シヤチハタ株式会社システム法人営業部部長)
  • 金子聖治(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課指導官)※代理出席
  • 小松博明(有限責任あずさ監査法人東京IT監査部パートナー
  • 佐藤創一(一般社団法人新経済連盟政策部長)
  • 佐藤帯刀(クラウド型電子署名サービス協議会協議会事務局)
  • 柴田孝一(セイコーソリューションズ株式会社DXサービス企画統括部担当部長兼トラストサービス推進フォーラム企画運営部会部会長)
  • 島井健一郎(厚生労働省医政局研究開発振興課医療情報技術推進室室長補佐)※代理出席
  • 島岡政基(セコム株式会社IS研究所主任研究員)
  • 袖山喜久造(SKJ総合税理士事務所所長)
  • 豊島一清(DigitalBCG Japan Managing Director)
  • 中須祐二(SAPジャパン株式会社政府渉外バイスプレジデント)
  • 中武浩史(Global Legal Entity Identifier Foundation(GLEIF)日本オフィス代表)
  • 西山晃(電子認証局会議特別会員(フューチャー・トラスト・ラボ代表))
  • 野崎英司(金融庁監督局総務課長)
  • 肥後彰秀(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)インキュベーションラボデジタル本人確認プロジェクトチームプロジェクトオーナー)
  • 三澤伴暁(PwCあらた有限責任監査法人パートナー)
  • 山内徹(一般財団法人日本情報経済社会推進協会常務理事・デジタルトラスト評価センター長)
  • 若目田光生(一般社団法人日本経済団体連合会デジタルエコノミー推進委員会企画部会データ戦略WG主査)

デジタル庁(事務局)

  • デジタル社会共通機能グループ楠正憲グループ長、犬童周作グループ次長 他

議事要旨

  • 事務局より、資料1「事務局説明資料」について説明。
  • 自由討議において、主に以下の発言。
    • 行政が中心になって検討すればよいというものについて、政府内部だけでは十分な知見やユーザーからのニーズが酌み取れないこともあるため、ステークホルダーが揃っているワークショップを一回行い、口頭及び文書でのコメントをもらって案に反映してパブコメにかける方が良い。ワークショップでは、各ステークホルダーグループから1人ずつ取りまとめをする人を出して発言していただく形でもよい。
      技術基準に関しては、省令から参照するものは、テクニカルバリアにならないと見なされるものがよい。そのためには、国際標準又はそれに準ずると考えられるような地域標準がよい。例えば、EUのETSIの標準を参照するというのが典型的。議論が発散するのではという懸念については、標準化団体にデジタル庁からプロジェクトリーダーや議長を派遣すればよい。実際にOpenID FoundationのiGovワーキンググループの議長はNISTの人が、HEARTワーキンググループの議長は米国連邦政府が資金提供している非営利組織「MITRE」の人を入れていた。こうしたTBT協定の定めるプロセスに従っている標準化団体は、文書を効率的に作成するための仕組みが既に揃っているので、ゼロからやるより効率的であり、民間のエキスパートをただ働きさせる仕組みでもあるので安価になる。また、民間のエキスパートにただ働きしてもらうためには、そのことに意義を感じてもらわなければならないので、やることに意義があるかどうかのチェックにもなる。オープン参加で利害の異なる人々が存在することになるので、お手盛りも防げる。こうしたことを鑑みると、国際標準化団体をうまく使っていくというのは大いにあり得る。
    • マルチステークホルダーモデルの事務局案について、ステークホルダーが多いと感じる。労働者や消費者は常に必要なものとまでは言えないのではないか。例えば、電子委任状とか適格請求書のやり取りが関係するとき、労働者はまず関係なさそうであるし、消費者もほとんど関係ないのではないか。こういう人たちが関わることに反対はしてはいないが、産業界、労働者、消費者はまとめてCivil Societyに相当するものとし、必要に応じて労働者、消費者の関係者をメンバーに入れていくという考え方のほうがすっきりするのではないか。
      マルチステークホルダーの事業者に、システム所管府省とあるが、法令所管府省も含めるべき。例えば電子署名法やタイムスタンプは、法令所管はあるが、システム所管府省というのは無いので、広めに府省を入れていく必要がある。さらに、マルチステークホルダーの事務局案には明記されていないが、事務局機能というものがあるべきで、それはデジタル庁だと考えている。
      9ページ目の最初のポツに「民間オンライン契約・手続」と書いてあるが、取引とした方が良い。取引には請求書や領収書、見積書なども含むところ、これらの検討も必要。提言していく内容については、eシールもぜひ含めていただきたい。契約のように意思表示ではなく、請求書とか見積書のような事実の通知については、代表者等の電子署名ではなく、eシールが使える可能性がある。2ポツ目に、電子署名法のリモート書名等への対応と書いてあるのは非常に良いこと。立会人型電子署名は、技術面、管理面でリモート署名と類似している部分も非常に多いので、併せて、あるいは別のフォーラムで検討するべき。
      経済界のニーズについては、債権譲渡通知の電子化に関しては、確定日付との関係でタイムスタンプの効力というのも議論の対象にしていくのがよいのではないか。
    • マルチステークホルダーモデルでは、ボトムアップで、支援をしてもらうための仕組みが作られると捉えて、技術仕様、ガイドラインのように柔軟に改訂が望まれるものが対象になる。逆に、影響範囲が大きそうなもの、強制力のあるものは、トップダウンでやっていかなくてはいけない。例えばディスインセンティブが大きいようなもの、罰則があるものは、恐らくマルチステークホルダーモデルとは違う筋でやらなくてはいけない。マルチステークホルダーモデルを効率的に運営していくための方策については、透明性が非常に重要である。オープンと言いながら、課題設定が事前に見えないところでやられているようなことはアンフェアさが出る。本サブワーキンググループの資料も、デジタル庁で非常に速い速度で公開される。こういう議論をしていたから実際にマルチステークホルダーモデルで始められるのだ、という始める前のプロセスの透明性の確保が、ここでの議論で担保されるのは非常にいいこと。
      そういう場所があるということを認知してもらうことも透明性においては重要なところ、中央省庁とかデジタル庁が社会に色々なものを認知してもらうことに長けている。色々なものの決定プロセスがオープンで、ブートストラップも見える形で確保できるというところで、ぶれない形で進めていただけると非常にありがたい。
    • 事務局のスケジュール案について、行政で中心に検討する事例・トラスト基盤のマルチステークホルダーモデルでの議論という2つの議論が2022年の秋から進むことが示唆されている。5ページ目で、行政で中心的に検討する事例というのが、GPKI、LGPLI、JPKIの今後の在り方、公的な証明書に用いるトラストサービスの技術基準や活用方針、政府調達における電子契約に必要となる本人確認レベルとあるが、これらがマルチステークホルダーモデルで検討しなければならない民間オンライン契約・手続に関わる課題の検討、電子署名法のリモート署名等の対応、技術基準の最新化検討に対する重要なインプットになり得るのではないか。
      マルチステークホルダーモデルでは対立構造にあるステークホルダーが参加する可能性もあるので、合意に時間がかかることが想定される。トップダウンで政府の基準としてマルチステークホルダーモデルでの議論に参考になるような部分を政府が先行してやることによってボトムアップでの議論で参考にできる。それによって、マルステークホルダーモデルで透明性を確保しつつ効率的に運営していくことが可能になるのではないか。
    • 消費者や労働組合はステークホルダーとして関係ないと思うならば、欠席すればよい話であり、ステークホルダーの椅子自体は用意しておくべき。マルチステークホルダーでは議論に時間がかかるという話があったが、必ずしも時間がかかるというものではない。OECDでも、ステークホルダーはアドバイザリーカウンシルであり、アドバイスはするものの、最終的にはフルメンバーである政府委員が最終決定を行う形になっている。
    • 本サブワーキンググループで話していることと、包括データ戦略推進ワーキンググループの下のサブワーキンググループで、それぞれでどういうところまでを話しているのかのスコープが参加している側から見えにくい。マルチステークホルダーモデルを推進していくに当たっては、様々な方が入ってくることになるので、共通認識を持つことがさらに難しくなる。マルチステークホルダーモデルで検討するトラストサービスに関する議論のスコープと、関連する周りの動きを見える形で共有しておかないと話が的を射た形で進まない。加えて、トラストサービスで挙がってくる課題というのが、他のサブワーキングなどで取り扱っているベースレジストリなどにおいて共通的な課題として出てくることがあるため、課題の管理やどこまで影響し得るのか整理を行っていくことが効率的な議論を行う上で重要。
      マルチステークホルダーモデルで取り扱うべき議題について、民間のケースに関して、取引というところまで考えると、関連するユースケースが具体的に挙がってくる。議題については、変更が追加的に入ってくることは避けられない。チェンジコントロールも含めて、変更を盛り込んでいくという全般的な対応の仕方も議題に入れると、実際に適用された場合に運営しやすくなる。
      ステークホルダーについては、ユースケースによって関連するステークホルダーは変わってくるので、その点は柔軟に調整していくということが必要。
    • 今回、事務局が提示した整理は非常によく考え抜かれたものであり、全体として基本的に賛成する。その上で、マルチステークホルダーモデルの運営について、メンバーは透明性確保のために発起人及びオープンエントリー募集となっているが、透明性を確保するために、最低限この辺りの意見は聞くべきであろうというステークホルダーについては、デジタル庁から声をかけて入ってもらうという作業は最低限不可欠である。手を動かしてもらえる人に入ってもらってという発想はよく分かるが、そうすると、個別に利害がある人が、その利害を背景に動くということになりかねないので、中立的な立場の方にもマルチステークホルダーモデルに入ってもらう必要がある。
      マルチステークホルダーモデルの主体については、労働者、消費者、ユーザーはあらゆるユースケースについて関わりが出てくるというものではない。誰でも自由に入ることができ、入ってこなければ自己責任という形の意思形成プロセスは、日本では一般的ではない。ユースケースごとに最も適切なグループというのは決まってくるので、労働者や消費者といった人たちが全てのユースケースについて必ず出てくる必要があるとは思えない。
      当然のことながら、法律事項に関係するものは法制局の審査もあり、立法対応が必要なので、マルチステークホルダーモデルでは論点や盛り込むべき事項についての議論はできるが、最後、法律をマルチステークホルダーモデルの中につくり上げることはできない。従って、このマルチステークホルダーモデルで議論するのは法律事項に至らない部分やガイドライン的なもので対応できるものについてを議論をすることになると考える。
    • 行政を中心に検討する事例と、マルチステークホルダーでの議論が適している例の2つを比較して出てきているが、明確にこの2つの違いが分かるような表現にするべき。従来は行政が有識者を交えて中心的に検討していたというところの有識者というのが、今までの枠を超えて、消費者とか労働組合まで有識者を広げようとするということが違いなのか、あるいはOECDの例のように、テーマごとに人を募るのではなく、一連のテーマでほぼ同じ集合の有識者で様々なテーマを議論して、テーマごとに有識者が自由にその組織内で変わるというものなのか、共通的な認識が必要。
      やはり幅広い利用者から声を拾い上げるのは重要であり、パブコメで声が拾い上げられるだろうという話もあったが、パブコメをあえて投稿するというのは、その人がボランタリーにやることであって、インセンティブがないと声として届けてもらえないということがある。行政が積極的に声を聞くためには、ステークホルダーとして発言してもらうということが重要。どういう例が行政中心的なのか、マルチステークホルダーモデルがいいのかというところは、定性的にこの2つの違いがあれば補足いただきたい。
      色々意見は言ったものの、まずこういうチャレンジングな方法を回してみるのは重要だと思っており、今の状況ではこれが適していそうと思われるものを一つピックアップして実施してみるのがよい。その結果、現在適していないかもと思っているものについても、やはりやってみてもいいのではないかというような見直しがあるのではないか。
      マルチステークホルダーモデルの透明性を確保するためには、議事録を遅滞なく出して、どんな議論がされたかというのが誰でもアクセスできるようにするのがいいのではないか。
    • 定性的な点での違いは2点あると考えている。1点目については、GPKIや政府調達、のように行政がシステムを所管していること。これも多くの関係者に関わるものではあるが、技術基準などシステムを持っている側で主体的に検討できるものもある。2点目に関しては、デジタル臨調の中で、デジタル完結に向けて、フェーズⅠからⅢを集中改革期間で実現していくに当たり、例示として想定されている手続の多くが行政機関から国民への発行や行政機関への申請のようなものが多いということで、タイムラインとして3年という期間でなるべく早く実現していったほうがいいものを例として挙げた。構成員からも御指摘があったとおり、行政が中心となって検討する事例についても、多くの関係者に関わるということになるので、意見を聞くというプロセスは何等かの形で必要。
    • マルチステークホルダーモデルの事務局案では、事業者や労働者、消費者など属性で分けるのではなく、役割としてまとめるべき。例えば、サービスを提供する人、利用する人、技術の専門家など、どういう貢献をする立場にいるのかという見方で分けるべきである。いずれにせよ、マルチステークホルダーで関係者が混ざって議論しないといけないという考え方自体は基本的に賛同している。
    • チャット機能でいただいたコメントで、マルチステークホルダーモデルについて、ほとんどのデジタル化は雇用と関係するのと、あらゆるシステムに利用者、消費者がいるのだとしたら、何らかの形で労働者、消費者は関係してくるのではないかと思慮する一方、マルチステークホルダーモデルプロセスにおいて議論を建設的に関与いただける方を見つけることというのがなかなか難しい、マルチステークホルダーモデルが遅いか早いかはプロセス次第で大分変わってくる、事務局負担をどういうふうに軽くできるかというところが悩みどころ。マルチステークホルダーモデルだと事務局の負担がかかるということに関しては、国際標準化団体に切り出してしまうとかなり負担が軽減できるはず。米国厚労省などは典型的である。省庁が採用する企画に関しては、ばらばらにならないようにデジタル庁が司令塔になって国際標準化団体に切り出していくというアプローチは検討に値する、というご意見をいただいている。
      また、ステークホルダーグループごとに取りまとめて代表者が発言するモデルにすると不規則発言がなくなってよいのではないか。ステークホルダーはきちんとバランスを取る形で入れることが重要。門戸が開いていることと必須参加という話は分けて論じたほうがよい。BtoBでも消費者個人のプライバシーに影響があるようなものも当然出てくるので、BtoBだからCは要らないというのは不適切、というご意見もいただいている。いただいたご意見を総括すると、論点、論ずるトピックに対するステークホルダーが入るようにすることが重要というのは共通しているようである。
    • マルチステークホルダーで重要なのは諮問との関係である。どういう諮問においてはどういうメンバーが選ばれてというところが具体的になってきて、具体的な諮問、それに対して提言をするということになるわけで、その諮問に最適なメンバーをどう選ぶかというところがこのマルチステークホルダーにおいて重要なところである。もう一つ、国際標準団体で活動している内容と、マルチステークホルダーで検討していく内容の関係性をどういうふうに整理していくのか。諮問の内容次第で、ここは国際標準のところで検討している内容もそのままストレートに活用するのだとか、我が国固有の部分があるなど、幾つかのパターンがあるのではないか。
    • リモート署名はマルチステークホルダーで議論する検討材料としてはよいのではないか。
    • リモート署名については、ETSIで基準があったのではないか。そうすると、日本国内でそれを独自に議論するということの意味合いが薄れるのではないか。
    • 確認が必要だが、国際動向を踏まえて、今、JNSAでリモート署名の整理をしているようなので、切り口はあるのではないか。国際動向も見ながら、彼らの取りまとめをさらに精緻化していくというようなことができるのではないか。
    • リモート署名に関して、ETSI及びCENで技術基準は定められているが、ETSIの技術基準、CENの技術基準は、リモート署名というサービス形態でも適格電子署名となり得るための要件として定められている。日本の場合は、電子署名法上においても、欧州の適格電子署名のような、これだけの技術要件を満たしている署名サービスであれば、こういう法的効力がある、というようなサービスが規定されていないので、ETSI、CENの技術基準をそのまま日本で適用することは疑義がある。JNSA、JT2Aでリモート署名ガイドラインを策定する際には当然ETSIやCENの技術基準も横で確認しながら、そこと大きな差異がないようにガイドラインを策定している。
    • 諮問ごとに有識者を集めるパターンと、マルチホルダーの組織が先にあってそのメンバーが検討するのに適している諮問を持ってくるパターンの2種類ある。OECDの場合は後者になっていて、マルチステークホルダーのステークホルダーグループが先に定義されており、その中で会議体がある。事前にアジェンダが事務局から設定されると、そのアジェンダに適した代表者をステークホルダーグループの人が選抜して出してくるような格好である。過去何十年もそれでうまくいっているものなので、参考にしていただきたい。
    • マルチステークホルダーに関しては、通常の検討会のような事務局の機能を低減するために、デジタル庁もマルチステークホルダーのコミュニティーの中の、政府や、システムを持っている場合は事業者の一つになるという認識。事務局機能というものも、資料を共同編集したり、議論を交通整理する方が別にいらっしゃったりという仕組みが必要なのかと考えている。
    • リモート署名等への対応と技術基準の最新化検討からマルチステークホルダーモデルで議論していけばいいのではないかという意見について、その場合には議論のスコープを限定しておくべき。まず一つは、リモート署名のところは業界団体ごとの利害対立もそれなりにある分野であるため、そういった中で、2020年7月に三省共同で電子署名法の2条1項Q&Aと、9月に3条についてのQ&Aが出ており、基本的にどういった要件が抽象的に充足されていれば電子署名法の2条1項で言う電子署名に当たるか、3条が適用されて実質的に推定効まで効くということについては、法的整理は既に終わっている。残された問題は、実際に法人がトランザクションで電子署名を使うに際して、電子署名を操作するのは個々の従業員ということになるところ、どういった形の内部統制的な枠組みを備えていれば、個々の従業員で行った電子署名が法人そのものの電子署名と同視できるか、法人内部でどういった形の内部統制を整備していれば法人としての電子署名だと見られるかという部分と、技術基準の最新化のところだと思っている。これらはまさにマルチステークホルダーモデルでの議論が適している分野だと思うが、法的な整理のところは2条1項Q&Aと3条Q&Aで一旦終わっていて、電子署名のリモート署名に関する限りにおいては、追加的に何か法的な対応が必要ということではないのではないか。
    • 2条1項と3条のQ&Aでの「十分な固有性」を実現する技術基準というものを設定しないと混乱を招くのではないか。制度論と標準化と技術の関係性をどう整理していくのかは非常に重要なポイントである。制度論レベルではQ&Aで国からの方針が出て、ある意味決着がついている部分はある。そこに対して、それを基にして実際に運用していくときの「十分な固有性」の技術仕様は明確になっていない。事業者はそれぞれの思いで、自分たちは安全ですということでやっているわけだが、果たしてそれでいいのかというところで、各関係者を集めて、マルチステークホルダーモデルでそこの議論をするということが重要である。メタの議論は十分そのとおりだと思うが、諮問が出てきたときに、どういう的確なマルチステークホルダーの形を取るかというところが問われるところである。
    • いわゆるリモート署名というのは、ピュアなリモート署名で、署名者の鍵を預けているタイプのリモート署名のことと認識している。この場合、現在の電子署名法では認証局とリモート署名事業者の間で秘密鍵の受け渡しができる仕組みになっていない。そういうところも含めて、電子署名法自体についても、施行規則レベルかもしれないが、やらなくてはいけないところもまだある。
    • 国際標準はまともな国際標準化団体のワーキングだと、それ自体がマルチステークホルダーとなっている。マルチステークホルダーがあって、それと国際標準というよりも、マルチステークホルダープロセスの一種として国際標準化団体のほうに切り出してしまうという考え方を採るべき。技術的なものはほぼ切り出したほうがいい。政策的なものはどこに出していくのかというのは議論がある。一部は、例えばOECDで議論して、国際間で協議して、legal instrumentにして各国の法制のほうに落ちてくるとかというやり方もありうる。いきなり国際標準の場で全部議論して、そこで決まったものを自分のところにも取り込んでいくという考え方である。もちろんその段階で自分たちがやりたいことを議論の過程で盛り込んでいくわけだが、国内で固めてから海外に持っていくと言っている間に海外で固められてしまう。
    • 我が国は我が国の考え方、戦略を基にして、国際的なところで議論しながらそれを国内に落とし込むという発想でやっていくのが好ましいという考え方がある。一般的にテクノロジー的なものはどんどん海外に出してこうやるということはあり得るし、デファクト型で自分で物を先につくって、それを国際標準にするという戦略もあるのであり、それはケース・バイ・ケースである。
    • 国内で固めて、それから海外に持っていって成功している例はどのくらいあるのか。諮問して、国内でこれは外に標準化すると言って出すというパターンもあってもいいかもしれないが、早く政府内部で決めてしまってもいいような話かもしれない。国内で一回マルチステークホルダーで議論し、なおかつ国際でもやるというのではなく、いきなり国際に国内の人たちも入ってくるという前提の下で出してしまうというのもあり得る考え方である。
    • 現在検討しているマルチステークホルダーモデルというのは、必ずしも標準そのものを作るわけではなく、標準を日本としてガイドラインと参照するのか、ポリシーみたいなところになるのかというのはケース・バイ・ケースなのではないか。国際標準と一言で言っても、国際標準で広く使われているものもあれば使われていないものもある。ETSIのリモート署名のように日本とは背景事情が異なるケースというものもある。事務局としても、マルチステークホルダーモデルで扱う内容を考えるに当たり、国内で固めて標準で持っていくというのは具体例や、切り出して国際標準化団体で議論したほうが良い例など伺いたい。
    • 国際でやったものというのは、全ての国で適用できるようにということで抽象的になりがちである。実際に国内に適用する場合には、各国でそれの国内プロファイルを作るというパターンがあるのではないか。オープンバンキングの周りの国際規格とそれの国内でのプロファイルというのが起きている。ISOの標準は比較的にISになってしまう傾向があってハードルが低い。ISになったところで使われないものが結構あるという指摘はその通り。背景事情が異なる部分というのは、ETSIのリモート署名のところがヨーロッパ特有になっているとすると、そこをISにするときに抽象化して、抽象化されたものを今度日本に適用するときにまたプロファイリングを入れると言うイメージになる。国として回すマルチステークホルダーモデルは、必ずしも標準そのものを作るわけではないというのは、そのとおりである。国際標準化団体に切り出したらと言ったのは、技術標準などに関するような部分である。
    • マルチステークホルダーモデルは、新しい試みということで、どういう回していけるかも課題も多い。どうやって参加者を選出していくのかというようなところも含めて詰まっていない部分があり、しっかりと実際にプロセスを回していく中で改良していく必要がある。お題の設定によってこのプロセスに合う、合わないという部分がありそうだと感じた。もともとマルチステークホルダーモデルが必要だと考えた背景に、デジタル化のために非常に多くのトラストをめぐる課題が出てきている中で、必ずしもデジタル庁の事務局の体制が十分ではなく、従前の役所の審議会や研究会の回し方でやろうとすると、この急激なデジタル化の環境において機動的に必要な決定ができないのではないかという、苦肉の策として出てきた部分もないわけではない。もっとちゃんとデジタル庁としてリーダーシップを持って決めてほしいというような要望については、まだデジタル庁自身ができて1年目ということで、ここで新しい型を作ることができれば、デジタル庁がボトルネックとならずに本当に必要なデジタル化を確保していけるのではないかという期待がある。適切な諮問をデジタル庁ができるようにしていきたいと考えている。構成員の皆様は、様々な国際標準化団体での活動や、マルチステークホルダープロセスも実際に経験されていらっしゃる方も多いと認識しているので、引き続き御指導いただきながら、新しい計画プロセスを共に作っていただきたい。
  • 会議資料は、デジタル庁ウェブサイトにてこの後公表させていただくこと、追加の意見及び質問は事務局まで連絡の上、事務局で今後の運営の参考とすること、議事要旨は、構成員の皆様に内容を確認いただいた後に公表させていただくこと等を事務局より説明。
  • 次回のサブワーキンググループの会合は、令和4年(2022年)4月25日(月)14時よりオンライン開催予定であることを事務局より説明。

以上