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Web3.0研究会(第10回)

概要

  • 日時:令和4年12月7日(水)9時30分から11時00分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
  1. 開会
  2. 議事
    1. 関係府省庁へのヒアリング(経済産業省、金融庁)
    2. これまでの議論のとりまとめ(デジタル資産)
  3. 閉会

資料

  • 議事次第(PDF/58KB)
  • 【資料1】経済産業省提出資料 ※構成員限り
  • 【資料2】金融庁提出報告資料 ※構成員限り
  • 【資料3】事務局提出資料(デジタル資産に関するこれまでの議論について) ※構成員限り
  • 議事要旨(PDF/244KB)

議事要旨

日時

令和4年12月7日(水)9時30分から11時00分まで

場所

オンライン会議

出席者

構成員

  • 國領二郎(慶應義塾大学総合政策学部 教授)

  • 石井夏生利(中央大学国際情報学部 教授)

  • 伊藤穣一(株式会社デジタルガレージ 取締役 チーフアーキテクト、千葉工業大学 変革センター センター長)

  • 河合祐子(Japan Digital Design株式会社 CEO、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 経営企画部 部長、株式会社三菱UFJ銀行 経営企画部 部長)

  • 殿村桂司(長島・大野・常松法律事務所 弁護士)

  • 藤井太洋(小説家)

  • 松尾 真一郎(ジョージタウン大学 研究教授)

  • 柳川範之(東京大学大学院経済学研究科 教授)

デジタル庁(事務局)

  • 楠統括官、野崎参事官

議事要旨

経済産業省よりWeb3.0とブロックチェーン、Society5.0に関する取組み状況について説明。
続いて、金融庁より各種トークンの暗号資産該当性に関する解釈の明確化や、暗号資産の期末時価評価課税の見直し等に関する取組み状況について説明。
構成員から質疑応答・意見交換において、主に以下の発言。

  • 構成員: 金融庁の説明で、トークンについては暗号資産として法律をかけていくと説明があったが、言い換えると、それ以外のものについては暗号資産の法律の対象にはならないため、ここで暗号資産と認められなかったトークンについては何らかの法規制がかかるかどうかが質問のポイントである。その理由は、トークンは例えばデジタル資産、あるいは資金調達など、必ずしも資金決済ではないものの方が主であるように感じられる。一体どのような法律的な性質で、もしあるのであれば、どのような規制がかかっていくものなのかお聞きしたい。

  • 構成員: 民法は古い法律で様々な改正があったものの、デジタル資産に関して、例えば所有権や、移転した場合の対抗要件は民法で直接規定されていない認識である。実際にトークンの社会的意義を認めていく場合に整備する必要はないのかお聞きしたい。

    • 発言者: 資金決済法の対象外となるトークンには、当然資金決済法上の規制は適用されない。その上で、資金調達手段として用いられるトークンのうち、金商法の適用対象となるものが、一般的にセキュリティートークンと呼ばれている。その他のトークンについては、現時点では、金融に関する規制は適用されない認識である。
    • 発言者: 移転時の対抗要件については、電子決済手段、いわゆる電子マネー型ステーブルコインに係る制度整備の中でも同様の議論をしている。既存の法制度の中で対応できる部分はあるが、既存の法制度でどこまで対応できるのかについては難しい面もあるだろう。
  • 構成員: 規制だけではなくて、暗号資産の期末時価評価課税に係る税制改正要望の話があったが、この税制改正要望も金融庁が定義する暗号資産に適用されるものか。

    • 発言者: ご理解のとおり。暗号資産でないものについては、会計基準等も特に定まったものはないと認識している。
    • 発言者: 資金決済法で暗号資産を定義して規制をした頃と、現在の状況は大きく変わってしまっている。つまり、資金決済法はビットコインを前提にして書かれているが、その後のWeb3.0は、産業構造自身が大きく変わってしまった中で、何とか今の既存の法体系の中で様々な運用をしている状態なのではないか。
    • 発言者: デジタル資産の行方や、第三者対抗要件なども考えなくてはならないと認識している。例えばセキュリティートークンの類については、所管をしている産業競争力強化法という法律で認定を取得した事業者が運営されるプライベートチェーン、パーミッションドチェーンにおいて取引される、デジタル証券といったデジタル資産の第三者対抗要件の具備ができるようになっている。
    • 発言者: しかし、開始して間もなく、既存の法令の中で何とかやろうと運用で工夫をしているところではあるが、産業構造の変化に対応して権利の基盤となる制度そのもの自身もどうなっていくべきか随時考えていく必要がある。
  • 構成員: 暗号資産やトークンに対する考え方は、技術の進展によりまだ今後変わり得るし、先週行われたBGINのGeneral Meetingでのマルチステークホルダーの議論でも、Howeyテストのバージョンアップが時代と共に求められるという話も出てきた。今回は一定の方向性の議論をつけるとして、実態に応じてまた将来も様々な検討を続けるということで合っているか確認したい。

  • 構成員: 2点質問する。1点目は暗号資産に該当しないと整理されるNFTについての会計上の処理や税務上の取扱いについて、実務的には実際に監査されない問題も起きているため、暗号資産に該当しないものについての検討状況をお聞きしたい。2点目は期末時価評価課税について、第三者保有についても引き続き検討することは望ましい。しかし、スタートアップを支援する投資家などが保有するということとあるが、この「スタートアップを支援する」という枕詞がついていることとの関係でどのような議論がなされているのかお聞きしたい。

  • 構成員: 実態に応じて規制の内容や法改正を検討していく方向があるのかという部分について、要望がある。日本の税制は申告税制であり、事業者が申告をした内容について納税を行う制度が行われていると認識している。ただし、新しい分野についてガイドラインを細かく定めていく姿勢については賛同できない点がないこともないが、今後、Web3.0に限らず様々なやり方で価値の移転や交換が行われる際に、実態に応じて事業者の判断を反映できるような制度を検討していただきたい。

    • 発言者: 今回のガイドラインの改正案のみならず、必要に応じて引き続き見直しを行っていく。金商法とHoweyテストは対象範囲が異なるなど、今後、トークンビジネス、あるいはトークン経済圏の発展に伴い、金融の観点から何らかの規制や枠組みが必要になるのであれば対応を検討する。多くのNFTについては、暗号資産に該当しないと整理され、金融規制の対象外になれば、金融庁として関与することは難しい。暗号資産に該当しないNFTについてどのように考えていくかは、この研究会の場でも発信いただけると幸い。
    • 発言者: また、申告納税制度の在り方は大きいテーマであるため、一省庁からというよりは、このような場で議論、あるいは提言いただくのがよいのではないか。
    • 発言者: スタートアップに絡む税制について、今年、令和5年度税制改正要望で具体的な要件も含めて事務的に議論しているのは自己保有についてであり、第三者保有分については部会要望という形で抽象度の高い要望を出している状況である。その扱い、さらには要件などについては何ら決まっている話はなく、今後の検討課題である。
    • 発言者: 「スタートアップを支援する」と枕詞について補足すると、枕詞がついてはいるが、最後に「等」と書いてある。狭めるべき、あるいは広げるべきと様々な立場から様々に考えている方もいる。まだ流動的で成熟した状態ではないため、文言のとおりだと理解していただきたい。まさにこれから議論しなくてはいけないことである。

続いて、デジタル資産に関するとりまとめドラフトについて、事務局より説明。
構成員から質疑応答・意見交換において、主に以下の発言。

  • 構成員: パブリックブロックチェーンの一番重要な特徴で、今までのインターネット同様、多くの人がイノベーションするコラボレーションのエコシステムである。

  • 構成員: Web3.0は無くなる、銀行とデータベースと企業が組めば効率よくできるという話が出てきている。パブリックブロックチェーンの特徴は外部の人たちがプログラムを書けるということであり、ベンチャー企業などの外部の人たちがお金やNFTをプログラムできるということである。ERC721や1155は、国が定めた標準化ではなく、オープンでパブリックに定めた標準である。そのオープンのプロトコルの下にオープンのエコシステムで、法人個人、国籍問わず、誰かがやることによりジェネレーティブなエコシステムになる。大企業などの体制の中では、それは良いものかどうかは難しく、誰でもプログラムできるのは危ないというのが一般的な反論である。

  • 構成員: 最初にインターネットが誕生した時も、無法地帯で勝手にやらせたら駄目だという話もあった。オープンのエコシステムの価値を感じる人と感じない人がいるのではないか。ただ、スタートアップをやるのであれば、オープンのエコシステムを作らないとガラパゴスになってしまう。

  • 構成員: プライベートチェーンの世の中は普通に日本がいつもいる場所である。Web3.0やインターネットはグローバルスタンダードの誰でもいじれる世界で、パブリックなところを消してしまうと、またもや日本はガラパゴスになっていくと思われる。

  • 構成員: Society5.0をプライベートブロックチェーンで実現しようとしている人たちは多くいるが、もしパブリックブロックチェーンがないとSociety5.0ができないという思考でいるのであれば、オープンな場でパブリックブロックチェーンとエコシステムの話をしなければならない。今のままだと、本当にそう思っているかどうか確認ができないのが心配である。

    • 発言者: なぜWeb3.0の環境整備を目指すのかという基本コンセプトに関わる部分の指摘と認識している。デジタル資産に限らず、DAOなどの他の課題にも関わる部分であるため、いただいた考え方は総論のところで記載させていただきたい。
    • 発言者: とにかく日本では今、できないことが多くなっている事業環境を、事業ができるようにすることがまず先決だと思っている。手前でやっていることと、その先に見ていることとの関係性が見えなくなり不安になりがちだが、まずは足元でビジネスができる環境を1つ1つ整えていくという視座でやっていくことに尽きるのではないか。
  • 構成員: FTXの件があるためかなり厳しめな課題のリストになっており、認識を共有する意味では正しいと思うが、できればこの報告書の中に奨励するようなメッセージを最初のうちに仕込んでおいていただきたい。今回の議論の対象としては、NFTのことが中心になっているが、NFTで様々なことをやりたい人たちが何を目指しているのかが極めて大事である。一方、今のNFTに関わる技術は、目的と比べると、若干あるいはそれなりに力不足である。力不足の部分を補うための技術開発・研究開発を後押しするというメッセージが必要である。FTXの件があった時に、アメリカの教授が、「金融でこのようなことはよく起こる。ここで怯むのではなく、規制もサービスもビジネスもバージョンアップをして乗り越えることが今までの金融の歴史であり、だからこそ良い機会なのだ」というメッセージを出した。NFTの件に関しても、様々な課題はあるが、やりたいことと実力の差分を埋めていくのだ、それがチャンスだというメッセージになるようなことを加えていただきたい。

    • 発言者: FTXの話があった以降、危ないのではないか、おかしいのではないかということに議論が引っ張られがちな空気がある。例えばマネロンやFTXで起こってしまったようなことは、世界に先駆けて日本の金融庁が規制をしてきたことにより守られるべきものが守られてきた。そこは日本が自信を持っていい点だと思うが、その話と、我が国ではそもそも事業ができないという話は異なる話だと思っている。
    • 発言者: 安全という点と、そもそも事業ができないという意味で我が国は事業環境としてのレベルが相当低いという点を、バランスよく峻別された物の考え方を示していただけると、関係省庁としても取組み易くなると思っている。
  • 構成員: 1点目として、気を付けなくてはいけないことは多々記載あるが、実際に実現したいことはこういうことなのだということを冒頭に書くことが大事である。2点目は、まだ世の中にはWeb3.0という概念に対する混乱やWeb3.0の議論をする際に、あたかもWeb2.0の世界が全てWeb3.0に置き換わってしまうかのように認識することもあるのではないか。Web3.0はもともとWeb2.0のアンチテーゼで出てきたものではあるが、Web2.0をいきなり全て置き換える世界を考えているのではなく、共存していく世界を考えていくのだということを整理したと認識している。一般常識として知っていただきたいことも冒頭に入っていると望ましい。
    1点目、消費者保護について、NFTプラットフォームの規約の在り方で、クリエイターが搾取されているという文脈の説明だと認識している。もしクリエイターが消費者として法律上位置づけられるのであれば、一方的に不利な契約に服さなければならない環境下にいるという理由で、消費者契約法の問題が出てくるのではないか。現行法で何が適用され得るのかという点を述べつつ、ソフト・ローとの関係では、プラットフォーマーのベストプラクティスを作って共有していくような対応策を述べることができるのではないか。2点目、デジタル証券の移転について、債権譲渡の確定日付をつけるという議論は古い民法の世界から来ている話との認識である。ブロックチェーン上でトークンを移転するという形態は当然想定していなかったため、現行法の規定を前提に規制のサンドボックスでブロックチェーン技術を使った対応ができるのではないかということが議論されている。しかし、諸外国との取引なども想定される中で、古い日本の民法が適用されれば問題ないという結論になるのか、対抗要件的な議論が諸外国でどのような扱いになっているか、現状を調べてみるということが大事なのではないか。

    • 発言者: 1点目の法律上の論点については、関係省庁と相談して明確化したい。
    • 発言者: 2点目について、国境を越えていく世界であるため、日本の民法の世界で閉じた議論ができるのか調べ切れていない部分があり、悩ましい問題である。
    • 発言者: 調査研究の中でカバーできると良かったが、期間や費用等の関係で諸外国についての調査までは至っていない。クロスボーダーの問題である中で、日本の民法だけで閉じた議論ではないため、しっかりと取り組んでまいりたい。
  • 構成員: ソフト・ローとハード・ローとを組み合わせてOODAループのようなことを表現しており、実効的に動かすのかという問題は考えなくてはいけないが、考え方そのものとしてはこれで問題ないか。

  • 構成員: 異論があるわけではない。ただ、消費者保護の観点で、個別のケースでは消費者契約法が適用され、クリエイターが保護される場合があるかもしれないなと思っている。ある・なしというのは個別事例によるため、それとは別にプラットフォーマーでグッドプラクティスのガイドラインや考え方の共有が別途必要とイメージしている。

  • 構成員: Web3.0とブロックチェーンからスタートしたSociety5.0の技術の関係は薄いと考えている。Web3.0は国際的であったり、オープンソースであったりするため、非中央集権主義で国家などに対して明確に対峙する概念の活動が多いのではないか。

  • 構成員: そのような様々なSociety5.0や、プライベートチェーンを使ったIoTというものと、Web3.0と資産という大きなものの基盤になっているのが情報計算幾何学である。基本的なレイヤーに対する支援や投資というものが必要であるという意見も追加いただきたい。

    • 発言者: Web3.0を発展させる上でも、技術開発すべきような分野があると広めに表現した内容が報告書に入っているべきという認識に相違ないか。
  • 構成員: 認識の通りである。これを機会に計算幾何学や情報通信技術に対する投資や、社会的な理解が広がれば、Web3.0の活動も意味があるのではないか。

    • 発言者: このご指摘について、デジタル資産研究開発アジェンダを策定して次世代の暗号や取引プログラマリティー、サイバーセキュリティー、プライバシーなど、環境を整えるためにテクノロジーを極めていくべきであると、アメリカでも国家戦略としてメインフォーカスになっている。日本としてどう向き合うのか現段階でコミットメントはできないが、どう向き合うべきなのかというメッセージを出すことを考えている。
    • 発言者: Web3.0の世界は国境というものを前提とせず、中央集権的なものは嫌い、精神風土そのものが、政府が進める政策というイメージと擦り合わない面は多々あると思っている。一方で、Web3.0とSociety5.0を直接繋げて考えているつもりは全くない。
    • 発言者: ブロックチェーンという技術自身が生まれ、暗号資産というインセンティブ、スマートコントラクトという仕掛けができて技術開発などがされていった先に、よく分からないけれども何かありそうだという意味である。
    • 発言者: 精神風土が全く違うものを2つ繋げるという発想よりは、技術的に近しいところのものであるため、もしかすると何かで2つが繋がっていく可能性があるかもしれないという意味を込めて表現しており、技術開発ということについては全く同じ問題意識を持っている。
  • 構成員: 日本でブロックチェーン、Web3.0の開発ができない理由に対して、投資や規制の方面ばかりがクローズアップされるが、端的に言うと技術者や研究者がいない。貧しい環境であるため何もできなくて当然だが、尽力している人がおり、それがWeb2.0のレガシーである。Web2.0でコードを書いてきた人たちの存在で今はまだ動いているが、専門的な研究をしている人や学校が少な過ぎる。そのようなところが増えていけば、自然とSociety5.0を動かす方々も、Web3.0を動かす方々も、またその先に携わる方も増えていくと期待をしている。

  • 構成員: 日本の中からブロックチェーンに関する論文はほとんど出てきていない。レッシグ的に考えると、研究者とエンジニアは、この世界の秩序とビジネスを作る主要なプレイヤーであるが、ワールドカップでサッカーに勝つために資金的な環境を整えてもそれはサッカー協会が運営しやすくなるということで、結局サッカーをする選手がいない状況であると考える。現在、日本国内のサッカークラブは税制で優遇されるが、選手の方に目を向けずに現場で世界レベルのプレーをするサッカークラブの選手がいなくてワールドカップで勝てないという状況になってはいけない。サッカー選手を増やさないとサッカーに勝てないということを考えると、それはプライオリティーが高いと認識されるべきではないか。Jリーグは100年構想があり、30年目でここまで成長してきたことと同様、ブロックチェーンに限らずだが、やはり100年構想が必要なのである。

  • 構成員: 日本は大手のIT会社がクローズソースで作っており、クローズソースの環境に相応しい人材を育てている。ビットコインもイーサリアムもオープンソースで、大学にしても大企業にしてもオープンソースのエコシステムに参加しているものの、このオープンソースのエコシステムというコンセプトを理解していないことも、この人材不足と密接に繋がっていると認識している。人材育成について、一言オープンソースと繋いでおく必要もあるのではないか。

  • 構成員: 「暗号資産」と「証券トークン」、「上記以外の多様なトークン」に分けて考える際に、暗号資産は比較的狭い定義で、資金決済法の世界と密に関係しているため割と考えやすい。証券トークンは金商法の世界で考えられる。DAOをどう考えるかは検討が必要である。

  • 構成員: その上で、「上記以外」というのが茫漠としているが、NFTを意識されていると理解している。そうした中で、デジタル資産に関するとりまとめドラフトにおいて、「今後、所管省庁において、NFTを含むトークンが暗号資産に該当し得るかについての解釈指針を策定する予定」とあるが、その主体は金融庁という理解でいいか。

    • 発言者: ご理解のとおり。
    • 発言者: 付言すると、NFTあるいはファンジブルトークンという性質自体は、暗号資産の定義に関係はなく、決済手段として利用されるものが暗号資産ということである。そのうえで、とりまとめへの記載としては、構成員のご判断かと思うが、NFTの中で暗号資産になるものを明確化する、あるいはファンジブルトークンの中で暗号資産ではないものを明確化する、といういずれの方法もあり得るのではないか。
  • 構成員: 今できる制度の延長線上で定義をしていくと、その結果として将来何か技術が変わった時に、場合によっては非常に大きな手かせ足かせになるような話になっていくかもしれない。その時にルールを変えていけばいいが、日本の場合はルール改正がすごく難しいため、現段階で可能な限り柔軟な制度設計をしておくことがポイントである。将来構造の変化や違う展開になった際に、今作ったルールが足かせにならないような工夫をしていくことが大事である。従って、アジャイル性を持たせておくことが必要で、ハード・ローとソフト・ローの組み合わせもそこが重要である。

  • 構成員: 今成立している、あるいは今後考えていく税制も含めた制度について、今のNFTの定義も可能な限り自由度を持たせつつ、報告書の中で今やるべきことを決めていく部分では、この分野に詳しくない人が混乱しないように書いていくことが重要なポイントなのではないか。

  • 構成員: この研究会としてやるべき一番大きいことは、この研究会は年内にとりまとめ報告書を出すことがミッションになっているが、そこで止まらないように担当者を書くことである。また、OODAループやハード・ロー、ソフト・ローについても、責任者を明確にして、止まらないように関係府省に念押ししたりすることが大事なのではないか。
    早期にやり過ぎるとかえって足かせになるリスクも踏まえ、難しいハンドリングになるが考えながらやっていく必要がある。それに加えて、最大のポイントは「上記以外の多様なトークン」を誰がどのように面倒を見るかである。それに加えて証券トークンがDAOのツールになることもあるため、関係性もポイントである。

    • 発言者: この分類を無理に捻り出すことは考えていたが、この話の難しいところは、本来ビットコインの延長で暗号資産というものを考え、一方でセキュリティーなどは2019年法で電子記録移転権利と定めた。それ以外のトークンとして、ガバナンストークンなど様々な種類のトークンがあり、暗号資産とそれ以外のトークンとのメルクマールは、ファンジビリティーにあるのではないか。
    • 発言者: ノンファンジブルとファンジブルの境目はどこにあるかというと、イーサリアムの世界では、技術的にはIDの有無であるが、仮定論の世界のファンジビリティーはより広い。例えば日本語ではファンジビリティーは「一般的受容性」と訳され、一般的受容性を持っているものの代表的なものは紙幣であるが、紙幣にはIDとして紙幣番号が入っている。
    • 発言者: この観点では、現実世界の1万円札は、ERC20の世界ではなくERC721の世界である。最近、イーサリアムコミュニティーも気が付き、セミファンジブルトークンとして、IDを持った上でそれに名前を入れて、そのようなファンジビリティーという概念をもっと細かく捉えるように変わってきている。
      そういった意味でのファンジビリティーがないものをNFTなどとして追い出すことは可能で、暗号資産に該当しないと言えるが、流動性の低いNFTほど相場操縦やインサイダー取引といったリスクがあるため、決済利用がされていないものに対する規制を不要にすることは難しい。いきなり証券の枠組みに入れてしまうと、規制が厳し過ぎて諸外国との平仄が取れなくなるため、「上記以外の多様なトークン」はかなり悩ましい位置づけである。しかし、クロスボーダーで動いている話であり、今すぐ日本法のどこに入れていくかということよりも、今後のFATFなどを含めた国際的な議論と歩調を合わせながら、あまり拙速にやらないほうがよいという認識である。分類学を更に学問的にも深めていただくというところも然ることながら、マネーロンダリング対策をはじめとした国際的な規制枠組みの議論と歩調を合わせながら、我が国における位置付けを明確する。あるいは様子を伺っている間に大きな消費者被害があっては困るため、モニタリングをしていくといったことを所管府省で年内の間にどこまでできるか。我が国は法律で定義がないと所掌に落ちないところがある中で、そこをデジタル庁として引き続き見ていくのか、金融庁や外務省がカバーしているところでもあるため、連携をしながら、引き続き勉強していく必要がある。
  • 構成員: 日本の場合、法律と省庁の責任の所在がリンクしがちで、金融庁の所管となると、金融関連の法律の中に入れるという話になりかねないため、工夫が必要である。

  • 構成員: どの省庁、どの法律でノンファンジブルやセミファンジブルのお話を扱っていくかは決め難いが、研究会として連携の仕組みができているため、省庁間の連携をしながら、必要なところで連携を取って取り組んでいけるよう、書きぶりも併せて工夫していただきたい。

次回の研究会は、12月13日火曜日開催予定であることを事務局より説明。
議事要旨は、構成員の皆様に内容を確認いただいた後に公表させて頂くことを事務局より説明。