Web3.0研究会(第2回)
概要
- 日時:令和4年10月12日(水)9時30分から11時00分まで
- 場所:オンライン
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- ヒアリング1(株式会社 shiftbase)
- ヒアリング2(エンジニア)
- 閉会
資料
※事前資料なし。
議事要旨
日時
令和4年10月12日(水)9時30分から11時00分まで
場所
オンライン会議
出席者
構成員
國領 二郎(慶應義塾大学総合政策学部 教授)
石井 夏生利(中央大学国際情報学部 教授)
伊藤 穣一(株式会社デジタルガレージ 取締役 チーフアーキテクト、千葉工業大学変革センター センター長)
河合 裕子(Japan Digital Design株式会社 CEO、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 経営企画部 部長、株式会社三菱UFJ銀行 経営企画部 部長)
殿村 桂司(長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
藤井 太洋(小説家)
松尾 真一郎(ジョージタウン大学 研究教授)
デジタル庁(事務局)
- 楠統括官、野崎参事官
議事要旨
ヒアリング1について、株式会社shiftbase中野様よりソーシャルトークンを基軸としたコミュニティマネジメント事業について説明。
- 株式会社shiftbaseは、私と孫正義育英財団の1期生だった志村と日原、「42 Tokyo」というフランスのパリ発のエンジニア養成機関で出会った高瀬の合計3名の共同創業者と共に4名で今年2月にshiftbaseを創業し運営。
- アドバイザーとしてアーティストのスプツニ子!氏にアーティスト領域、MetaMaskの初期のプロダクトを創られたセキュリティーエンジニアのkumavis氏にセキュリティ領域、五常・アンド・カンパニー代表の慎泰俊氏にファイナンスエデュケーション領域、元文部科学副大臣である鈴木寛先生にパブリケーション領域でアドバイザーとして参画いただいている。
- 主にWeb3.0の技術スタックを活用したコミュニティーの開発とソフトウェア開発を得意としており、今年7月に、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)から約3億円の資金調達を実施。
- shiftbaseが主導して立ち上げ、運営しているコミュニティーとしてWeb3.0のエンジニアコミュニティー「UNCHAIN」がある。コミュニティーに参加するメンバーは主にWeb2.0で技術スタックを学んでいたエンジニアであり、Web3.0の世界で挑戦する人に対して、エンジニアのリソースを供給できるようなコミュニティーになることを目的としている。
- 完全審査制で現在1,400名を超えるWeb3.0の技術スタックを学ぶエンジニアが参加。パブリックブロックチェーンと言われるAstar、Avalanche、Ethereumといったブロックチェーン上でアプリケーションの開発を経験できるコンテンツを18個提供。対応しているパブリックチェーンも現在7個。Web3.0のプロダクトの開発履歴を証明するNFTを400枚以上発行している。
- DAOにおける分散性の切り口について自分たちなりに言語化している。技術では、プロトコルの技術アーキテクチャが分散されているか。経済では、富の分散や再分配が行われているか。政治では、組織構造が分散化されているかどうか、などそれぞれのコンテキストでDAOの度合いを測れるのではないか。
- DAOと言われるものにスケールが生まれ、政治文脈、技術文脈、経済文脈でそれぞれ統一クライテリアが分かってくると、人類の共同体ないしはDAOというものの理解がより解像度が上がっていくのではないかと思っている。現状、「UNCHAIN」をベースに話をすると、「UNCHAIN」は技術的にPolygonというパブリックネットワーク上にトークンを発行しているため、分散化しているかと思いきや、学習コンテンツなどを管理しているアプリケーションのサーバーはAWSを使っているため、技術的な分散性はまだ未達である。
- 経済文脈でも、我々はトークンを上場させているわけではなく、インセンティブをコミュニティーのメンバーに分配できるような仕組み化までは至っていない。政治文脈でも完全にshiftbaseがコミュニティーの運営を主導しているため、いずれもDAOには当てはまらないというのが我々の見解である。「UNCHAIN」はまだDAOではないが、極めてDAOに近づけようと努力している状況。
- 「UNCHAIN」コミュニティーに参加すると「CREW」と「STAR」という2つのグレードのうち、全員CREWから開始する。CREWからSTARになるためには、「STAR PASS(スターパス)」というコミュニティーの中の技術等級を証明するNFTを取得する必要があり、技術等級の試験をクリアした方のみCREWからSTARになることが可能。STARのメリットは、「UNCHAIN」で提供されている「LEARN」と「GUILD」、「INCUBATION」のうち、GUILD、INCUBATIONはSTARしか受けられない価値になっており、メンバーは試験を受けてくれている状況。
- LEARNに関しては、CREWとSTARどちらも享受可能な価値であり、ピアラーニング形式の学習機会を提供。学習履歴を証明するNFTも400枚以上、Polygonネットワーク上で発行している。また、エコシステムの貢献者を可視化する「$CHAI(チャイ)」というものがあり、学習コンテンツで分からない時に質問をすると、コミュニティーのメンバーが教えてくれる。ピア・ツー・ピアで分からないことを教え合うという学び合いが活発になっており、この学び合いに貢献してくれた方に対してソーシャルトークン「$CHAI」というものを隔週で付与している。
- GUILDは、プロジェクトバウンティーとバグバウンティーという2種類が存在している。プロジェクトバウンティーは、企業やクライアントと「UNCHAIN」メンバーを結ぶサービス。バグバウンティーは特定のプロジェクトのソースコードをUNCHAINメンバーがバグはないかどうかを監査するサービスである。
- INCUBATIONという価値提供も行っている。いわゆるコミュニティーメンバーがメンバーを募り事業を立ち上げるサービスで、現状21件のプロジェクトが動いている。今年の夏にあったPolygonの「Tokyo Hacker House」で、「UNCHAIN」のコミュニティーメンバーが実際にINCUBATIONを通して出場したチームが優勝した。
構成員からの質疑及び中野様からの回答において、主に以下の発言。
構成員: 経済文脈での分散を図る時に、もし課題があるとすれば、どういったことが課題なのか、あるいはどういった手法を主に取ろうと考えておられるのか。
- 発言者: 結論、まずトークンエコノミクスの成功事例がまだなく、経済文脈としてまだ利益分配がちゃんと行えていないと考えられる。どんなに優れた経済の仕組みであっても、それがマクロ的にもミクロ的にも同時に破綻していくという現象を前にして、トークンエコノミクスというものは人類にとって本当に使いこなし得るものなのかどうかというところがかなり大きい。我々もトークンエコノミクスを前提に動いてはいるが、一歩引いた立場で今はファンジブルトークン側のエコシステムを見ている状況である。
構成員: 2点伺いたい。1点目は、DAOに法人格を付与すべきかどうかという論点があるかと思うが、DAOに法人格を付与することのメリットないしはデメリットとして考えられるものがあれば教えていただきたい。2点目は、セキュリティに関してかなり懸念されるような脆弱性があるのか、あるいは狙われやすい状況であるのか。それに対して監査をするときに、具体的にどういう方法で経済的な損失リスクを防ぐ取組がなされるのか。セキュリティ面での対応についてお聞きしたい。
構成員: セキュリティというものはホリゾンタルにレイヤーごとには切れず、システムごと、一ケースごとにバーティカルで一個一個見ていかなければいけないという意味で、DAOでは閉じられないのではないかと常々思っている。バグバウンティーは、システムのセキュリティを向上させる方法の1つに過ぎなく、バグバウンティーをすり抜ける脆弱性や攻撃界面は非常にたくさんある。バグバウンティーをやっているからセキュアだと保証できるわけではない。例えば暗号というものは研究者が学会で証明をつけて安全性を示すわけだが、人間による運用の観点や、技術に対する外部の第三者による認証がどうしても必要になるなど、セキュリティを保つためにいろいろな外部性を持った中でのセキュリティの確保だということを考えると、セキュリティの領域では、DAOではもしかしたらガバナンスが閉じないかもしれず、閉じないとした時に、外部のものとどう連携していくのかが一つのポイントになると思うので、実際に手を動かしている立場からお聞かせいただきたい。
構成員: 参加しているエンジニアが具体的なお仕事、企業からの外注のお仕事に参加された場合、全ての報酬が今は「$CHAI」で得られているのか。もしそれ以外の支払いの方法をしているのであったら、その具体的な方法などをお聞かせいただきたい。また、「$CHAI」のエコシステムの外から流入してくる資本について、例えば企業とのコラボレーションをする場合に外注費用は「$CHAI」ではなくて日本円で頂いていると思うが、エコシステムの中に組み込んでいくやり方について、具体的にお聞かせいただきたい。
- 発言者: 法人格を付与するメリットは実体を伴う仕事となるとどうしても法人格が必要になってくるため、DAOの法人格の有無に関しては、引き続き議論はされていてもいいと思う。
- 発言者: バグバウンティーやバグ潰しがWeb3.0の世界の中で重要になっているかというと、世の中の例えばDeFiと言われるものの多くがUniswapをフォークしただけのものだったりする。ほとんどのプロジェクトがUniswapをフォークしてつくり、よく分からないけれど、とりあえず動いたというものに多額のお金が集まっている。そこでセキュリティ分野は今後絶対に需要が出るであろう。低レイヤーのセキュリティのノウハウを持っている人が圧倒的に少ないため、ハッカーたちは狙いを定めてハッキングしてお金が出ている。今後、セキュリティに関するリスクというところと、実態としてその技術レベルが追いついていないところにおける需要と供給がマッチングするのではないか。
- 発言者: 現状、いわゆるGUILDのケースは全て円で報酬を渡している。当初、ここの商流で「$CHAI」も絡めようか悩んだが、現状「$CHAI」のコンセプトは学び合いのエコシステムに貢献してくれた人にだけ付与するものである。外から流通する資本をエコシステムに加える方法は非常に大事なテーマである。円でエスクローの仕組みをつくって売上げが上がるようにしてしまうと、その後、本当にWeb3.0ネイティブなことをしようとすると、まず株式会社shiftbaseをばらす必要があり、現行の税法、金融法だと、海外に行って、日本人向けのサービスではないという体でトークンエコノミクスを作らなければならない。日本円前提で構築するか、もしくは完全に「$CHAI」だけでサービスを設計するか。現状の税法によって動きにくくなっているという状況であり困っている。
- 発言者: バグバウンティーの事業は非常に価値があると思っており、バグバウンティーを通じたインターナショナルなプロジェクトに対して日本のディベロッパーリソースが外貨を稼げると思っている。日本人のディベロッパーはレベルが高いが、英語の壁に阻まれている。ここだけをクリアできるような仕掛けさえあれば、バグバウンティーを通して日本は巻き返せるのではないかと期待している。もちろんセキュリティはすごくレベルが高い領域ではあるので一筋縄にはいかないが、そんなチャレンジをしているshiftbase及び「UNCHAIN」である。
ここで前半が終了。ヒアリング2について以下発言。
構成員: 起業家として見たときに、DAOでの容易な資金調達や、容易な人材調達で、そのハードルを下げてしまうと投資家、消費者保護の観点から危険なのではないか。DAOはツールとしていろいろまだ発展可能だが、世界がいきなりそれで変わってしまうようなナラティブが先行しすぎているように感じられたため、もう少し掘り下げて議論できればというのが1点。もう1点は、トークン発行に関する税制が、日本から優秀な企業が出ていくためのブロッカーになっているというナラティブがあると思うが、STOなどで解決できるなど本質的な問題なのかという疑問や、一部だけの利益になりがちなルール策定に政府が関わるべきか、という疑問がある。
構成員: どちらかというとWeb3.0の流れを投機的なマーケットやビジネスでリードすべきという観点よりも、確実に地方創生とか分散型社会につながるようなインフラとしての下地を創ることが政府などに期待するところだと思っている。
構成員: ふわふわした定義の上に楼閣を建てようとしているように感じられ、NFTビジネスとは何を指しているのかという辺りが非常に危ういと感じている。NFTマーケットプレイスでのビジネスを前提とし過ぎているのではないかと正直感じている。NFTを使ってユーザーに価値を届けるということを何が実現しているかというところが、この政府の議論からあまり見えてこないというのがとても気になった。
構成員: 実際にエンドユーザー、一般の国民にどんな価値が現在届いたのか、そして、どういうことを届けられるのかという観点をもっと具体例として考えていただきたいのが主眼。例えばデジタル書籍の所有では、現在Amazonなどで展開されているが、実際は所有権ではなく閲覧権の貸与でしかないことはご存知だと思う。それに対して、NFTでまさにコア技術として解決できるはずなのに、そこに対するブロッカーは何なのかといったレイヤーに降りた議論がこの会議であまり見られないため、もっと踏み込んだ実例で、そのレイヤーで議論を進められないか。
構成員: 懸念と批判の内容について、ほぼ完全に同意である。現在、Web3.0で喧伝されている利益に関する話は、そのほとんどがポンジスキームに近い形での資金調達に依存している。研究会に批判の声が上がってくることは健全である。
実際にその中で動いているエンジニアリングの技術として、このブームがある程度収まったときに技術的に残るもの、そこに参加したエンジニアたちの手に残るものが何かあるかということに思い当たるところがあれば教えていただきたい。- 発言者: エンジニアは何かしら実現しようと思ってやっているが、代表的な問題は、NFTが参照する外部ストレージの永続性をどうするのかという問題である。NFTは本当にコアなコントラクトでしかないのに、それを参照するエコシステムをどうつくるかの課題がエンジニアレイヤーでは出ている。
- 発言者: スマートコントラクトやインセンティブストラクチャーを技術的にどうやってつくっていくかということに関して、携わっているエンジニアたちは非常に面白い問題だと思っている。どういうアプリケーションに今後応用されていくかはまだ発展途上だと思うが、エンジニアリングに残るという意味では、セキュリティの観点からもブロックチェーンとスマートコントラクトをどう使うかというのは非常に面白い問題ではある。そこに願わくは日本のエンジニアも参加できるような、それが日本のプロジェクトであろうと海外のプロジェクトだろうとエンジニアの観点からは幾らでもあってもいいと思うが、技術的にはまだ残るものがたくさんあるのではないか。
構成員: Web3.0に纏わるエコシステムに関わっているステークホルダーは実際にはどの様な人がいるのか。例えばシリコンバレーは基本的にはエンジニアリングの街であると同時にベンチャーキャピタリストの街であると思うが、そういう人たちがどのように動いているのかは、もしかしたら日本と状況が違うのかもしれないと思うので、皆さんの周りの中でどういう人たちがエコシステムの住人であって、どのように動いているのかお聞かせいただきたい。
- 発言者: Web3.0系の起業家と会話していて、トークンエコノミクス系の話が下火になり、冬が来たというのは感じていて、その上で分散されたメッセンジャーのプロトコルを作るなどの動きがある。投資家も一時期はWeb3.0という言葉だけで、昔のモバイルとかインターネットなど入ったらお金が集まった時期はもう過ぎている。今はVCもWeb2.0のように、ユーザーは誰で、誰がメリットを受けて、何の問題を解決するのだという今まで通りの当たり前の質問を厳しく、新しいビジネスにどうなるのだというところの観点に少しシフトしている感はあるため、浮ついた感じはだいぶなくなった。
- 発言者: ステークホルダーという意味で挙げたいのはエンドユーザー。例えばダッシュボードカメラで街の写真を撮ってマップをアップデートする代わりにコインを貰うプロダクトがロンチ間近でありエンドユーザーに届こうとしている。エンドユーザーまで実際のソリューションや価値として届けようというところは一つ、ちゃんと最後まで通底している。日本ではあまりまだエンドユーザーまで届いている事例はないかなと思っており、そこが感覚的には違いとして大きい部分だと感じた。
構成員: 後者はいろいろなプロジェクトを立ち上げる時にエンドユーザーも巻き込んでプロダクトやプロジェクトを設計する必要があるという示唆だと受け止めた。前者は、エコシステムを支えるビジネス構造の議論に、従来的なメリットと課題解決の部分が改めて問われていることと認識した。すると、従来からあるファットプロトコルの議論をバージョンアップして、ビジネス構造の議論においてもプロトコル部分の閉じられる部分は何なのか、外部性は何なのか、実際にペインポイントも含めたコミュニティーとは何なのかというところの解像度を上げていき、詳細を詰めていく段階に入ってきたのではないか。
- 発言者: 分散されたネットワーク、カバレッジをみんな貢献しているという、そのある種のコミュニティーグッド、ソーシャルグッドのようなものに共感している人たちが結構多いことに非常にインプレスされている。単に投機的なトークンを出して売っているというよりは、社会インフラへの貢献に個々の貢献が役立っていて、それをトークンでバインドしているというのが非常に面白いため、日本ももっとそういった例が出てくることが望ましい。
構成員: 通貨的なものというのは幾つか機能が実はあり、その中でビットコインは送金だけに着目をした、通貨の機能のごく一部だけを抜き出したものということになるかと思う。何を目指して何を実現したいのか、ややふんわりした話になってしまうかもしれないが、ここで意見を戦わせておかないと、技術的なことのみに終始してしまう、あるいは本来の目的を見失うなどが起こりがちであるため、そういった議論や、少なくとも意見を出せる場があることが望ましい。
構成員: そもそもデジタル庁のこの研究会は、オンゴーイングなものとして、一体我々は何をしたくてこれをやっているのかという議論をし続けていかなければならないと思うため、是非、何を目指してこれをやっているのかという議論をしていただきたい。
- 発言者: 佐々木大輔氏が小説をデジタル化したNFTコレクションが書籍の所有とレントを専用のスマートコントラクトで実現しようとしており、これが束ねられたら所有権を持つデジタル書籍の実現になるかもしれないということは非常に面白いチャレンジ。ウォレットを繋げて購入する点は大変だが、ビューワーはダウンロードして見るだけであり、チャレンジとして面白い。これが受け入れられるのに何がブロッカーなのか。良いチャレンジと実例を基に、それを阻害しているものは何なのかという積み上げの議論が行っていけるのが望ましく、興味深い例として紹介した。
- 発言者: NFTマーケットプレイスのことは一旦忘れてしまうぐらいでもいいのではないか。儲かるかもしれないという前提の下にある、NFTのたった一つの、しかも曖昧な外部ネットワークでしかない。本来それ以外にいろいろなものが出来上がってくるはずだが、今はNFTという概念自体がほとんどNFTマーケットプレイスと同一視されてしまっていると思う。もっと実際の例のところに軸足を置くように意識してもいいのではないか。
構成員: 有識者会議と並行して調査研究が走っており、具体例としてどのようなものがあるのかというところについてはしっかりと概観を見ていくが、注目すべき観点について情報提供いただきたい。一方で、本研究会はかなり期間が短いため、その段階でアーリーステージで成功したものが半年後、1年後に全く違う様相を呈するということはかなりの確率で起こる可能性がある。その時によかれと思って期待して紹介したものが、半年後、1年後、時の裁きを受けることもあるということを踏まえて、報告書でどのように取り上げるのかという点はいろいろとお知恵をいただきたい。
構成員: この辺のことをやっていて大外れというのはある中で、大外れを恐れていると議論ができない。心配し過ぎていると議論ができないので、あまり心配しないで取り組んでいくべきではないか。
構成員: 米国の観点から見られていて、米国や日本以外で地方創生などの社会インフラ的な使われ方をしている実例があれば教えていただきたい。また、NFTやWeb3.0といっても、我々は実世界で生きているのだから、外部の世界と繋げる部分が大事だという話があったが、例えばメタバースと呼ばれているバーチャルファースト、バーチャルネイティブの世界観を前提にした時に、エンジニアの観点から見られて、そこの捉え方について、意見があれば教えていただきたい。
- 発言者: Web3.0を使ったローカルガバメントやコミュニティーの議論はあるが、今まだこの例がずばりこれだというのはある意味スタックをしている最中なので、回答ができない。
- 発言者: メタバースについて、アセットとどうコンバートするか、果たしてする意味があるのか、通貨で全部済ませられるのであれば通貨でよいのではないかという議論や、それでもやはり返還、購入、面倒なところがあるので、その点踏み込んだ議論が必要とされていると思う。アセットはそれぞれのドメインが違い過ぎるので、ドメインを跨いだアセットの移動が本当に必要なシチュエーションは想像しにくい。
- 発言者: シリコンバレーの周りの人々で、メタバースの議論をしているのはゲームやメタに近い人だが、盛り上がりとしては、ブロックチェーン、Web3.0系の話の方が周囲に多い。日本の方がメタバースがキーワードとして上がってきているような印象を受ける。
構成員: 目指すべき姿の視点を考えた時に、現状、事務局で作成している資料は、おそらく日本の視点になっているのではないかという抽象的な問題意識があるが、海外の視点から見た時に、目指すべき姿について問題意識的なものがあればお聞きしたい。
- 発言者: 国内に戻る際、在外者として不便を強いられている。国籍関係なしという点は歓迎すべきだと思うが、日本でという必要性をどこまで考えているのか見えない。日本でなければとか、日本企業もその一翼を担うといった辺り、どこまで日本でなければいけないかというところはもっと掘り下げて考えた方がいいのではないか。
- 発言者: Web3.0で日本がどうやって世界で勝つかという思考が矛盾しているところがある。中央集権的なものからの脱却と言いながら、日本の国民がこのメリットを享受して生活がよくなることは常に意識するべきだとは思いつつも、国境をまたいだときの行き来をもっとスムーズにする観点の様なものは、日本国内だとあまり考えられないことが多いと思う。そういう文脈から、よりスムーズにするためにこういう技術やインフラを活用できないかなどの議論がもう少し出てくることが望ましい。
- 発言者: 国を跨いで働くが、体が日本にあるのだったら、コインをATMで日本円に換えられない不便さが出てくる。どこの国のDAOで働いて、どんなコインで受け取っても日本円としてすぐ交換できるのなら、みんなそれをやるだろうし、まさに外貨獲得というところにもつながるだろう。現時点では、交換所を通して日本円にするのは実現が難しいが、そういった点のレイヤーでの議論が必要である。
ここで後半が終了。
- 次回の研究会は、10月21日金曜日開催予定であることを事務局より説明。
- 議事要旨は、構成員の皆様に内容を確認いただいた後に公表させて頂くことを事務局より説明。
- 10月はヒアリングを中心に考えており、11月にアウトプット、中間報告が出てくるため、それを幾つかの分野に分けて報告する。DAOについても同様。11月に3、4回中間報告のセッションを踏まえて、議論いただくということを考えている点、事務局から説明。
以上