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牧島デジタル大臣がエストニア、フィンランド、ドイツへ出張しました

牧島かれんデジタル大臣は、2022年5月6日から11日にかけて、エストニア共和国、フィンランド共和国、ドイツ連邦共和国を訪問し、各国の関係閣僚等との二国間会談を行い、G7デジタル大臣会合に出席しました。また、この機会を捉え、現地企業等との意見交換を行ったほか、サイバーセキュリティを含むデジタル分野と関係の深い施設を訪問しました。

1 エストニア共和国訪問

牧島デジタル大臣は、5月6日から8日にかけてエストニア共和国を訪問しました。

(1)アンドレス・スット起業IT大臣との会談

5月6日、牧島大臣は、エストニアを訪問し、アンドレス・スット起業IT大臣(H.E. Mr. Andres Sutt, Minister of Entrepreneurship and IT)と、エストニア経済通信省において、意見交換を行いました。

会談の様子 左:スット起業IT大臣
(会談の様子 左:スット起業IT大臣)

冒頭、牧島大臣からはデジタル庁として初めての海外出張であり、この特別な機会にエストニアを訪問できた事への感謝と、本年2月のオンライン会談での内容を踏まえた今後の両国間の関係強化について発言がありました。また、ウクライナ情勢を踏まえてエストニア国内で様々な経験があるところ、その共有と今後の協力についても発言がありました。

これに対し、スット大臣からは、最初の海外訪問先としたことへのお礼と両国の更なる関係強化について歓迎の意が記されました。また、ネットワークの接続性(コネクティビティ)が平時の経済や社会のみならず、有事において非常に重要なことが改めて認識されたこと、特に日常的に負荷をかけたりテストを行ったりすることで、その品質やレジリエンスを高めることの重要性が示されました。

また、信頼を軸に国境を越えた自由なデータ流通の確保を意味するDFFTの推進に向けた協力を確認するとともに、双方の現状などについて情報交換を行いました。
そして、今後に向けて牧島大臣からは技術によるトラストの確保やユースケースに注力していくことを述べたところ、スット大臣からはユースケースの共同開発に前向きであること、特にエストニアのスタートアップ企業のユースケースについて発言がありました。

日本とエストニアの両国は、協力覚書(MOC)を通じ、専門家の交流などより具体的な取組を行うことで、それぞれの市民と政府にとって価値のあるデジタル化を推進していきます。

(2)協力覚書(MoC)署名式

デジタル分野における協力覚書(MEMORANDUM OF COOPERATION BETWEEN THE DIGITAL AGENCY OF JAPAN AND THE MINISTRY OF ECONOMIC AFFAIRS AND COMMUNICATIONS OF THE REPUBLIC OF ESTONIA ON COOPERATION IN THE FIELD OF DIGITALIZATION (MoC))への署名として、タブレットにデジタルでサインを実施しました。

詳細は以下のページをご覧ください。

スット・エストニア起業IT大臣とデジタル分野における協力覚書(MoC)の署名を行いました

(3)関連施設訪問

牧島大臣は、5月6日から8日にかけて、エストニア情報システム庁(RIA:https://www.ria.ee/en)、NATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE:https://ccdcoe.org/)及びトレーニングセンター(CR14:https://cr14.ee/)、eエストニア・ブリーフィング・センター(https://e-estonia.com/)、エストニア警察(eポリス:https://www.politsei.ee/)、ITL起業関係者(https://itl.ee/en/)等、サイバーセキュリティ分野を含むデジタル分野関連施設等を訪問し、関連企業のキーパーソンと意見交換等を行いました。

NATOサイバー防衛協力センター及びトレーニングセンター
(NATOサイバー防衛協力センター及びトレーニングセンター)

エストニア情報システム庁
(エストニア情報システム庁)

2 フィンランド共和国訪問

牧島大臣は、5月8日から9日にかけてフィンランド共和国を訪問しました。

(1)ミカ・リンティラ経済大臣との会談

2022年5月9日、牧島大臣は、ミカ・リンティラ経済大臣(H.E. Mr. Mika Lintilä, Minister of Economic Affairs)と、フィンランド経済省において、意見交換を行いました。

左:リンティラ経済大臣
(左:リンティラ経済大臣)

牧島大臣から、デジタル大臣として初めての海外出張であり、この特別な機会にフィンランドを訪問できたことへの感謝が述べられました。また、日本政府のデジタル化の取組状況と、その司令塔としてのデジタル庁の役割について説明しました。

リンティラ経済大臣からは、自らが立ち上げたオーロラAIを始めフィンランドがAI利活用に注力していること、量子コンピューティングにも力を入れていることなどが説明されました。また、人口が少ない国であるため民間企業との協働(PPP)を強く推進していること、効率性を高めるために様々な産業でデータ利活用が進んでおりプライバシーや個人情報保護においても技術の活用が進んでいることを説明されました。

牧島大臣から我が国が提唱するDFFTについて説明し、その上で、今後デジタル分野における二国間の知見の共有を深めるべく、意見交換を継続するとこととしました。

(2)シルパ・パーテロ地方大臣との会談

5月9日、牧島大臣は、シルパ・パーテロ地方大臣(H.E. Ms. Sirpa Paatero, Minister of Local Government)と、フィンランド財務省において、意見交換を行いました。

右:パーテロ地方大臣
(右:パーテロ地方大臣)

牧島大臣から、訪問が叶ったことへの感謝が述べられ、日本政府のデジタル化への取組状況と、その司令塔としてのデジタル庁の役割について説明した上で、フィンランドにおける国民の幸福度の高さとデジタルの関係について興味が示されました。

パーテロ地方大臣からは我々には共通項が多くあるとの認識を示した上で、フィンランド政府のデジタルトランスフォーメーションの中核である財務省と、フィンランドのデジタル化の特長である「人間中心のデジタル化」に関して、その具体的なアプローチとしての戦略や組織についての説明がありました。また、フィンランドではIT投資を積極的に行っているが、それはwell-beingのためであり幸福度の高い社会の実現に直接寄与している旨が説明されました。そして、フィンランド政府におけるAIの活用事例としてのオーロラAIについて、開発責任者から説明があり、技術面のみならずプライバシーへの配慮やデータの分散化等の対応、さらには国民への説明の重要性などについて具体的かつ活発な議論が行われました。

最後に牧島大臣から、高齢化社会という共通する社会課題を抱える両国の共通性に触れ、日本での「誰ひとり取り残されない」ための取組、デジタル田園都市国家構想等について説明した上で、今後デジタル分野における様々な協力について前向きな発言があったところ、これに対しパーテロ大臣からも強い関心と協力の意向が示されました。

両大臣は、今回の会談を契機として、今後、日・フィンランド間の共通の関心事項について、具体的な協力に発展させていくべく、関係当局との間で事務レベルで議論を継続していくことで一致しました。

(3)ヴィッレ・スキンナリ開発協力・外国貿易大臣との会談

5月9日、牧島大臣は、ヴィッレ・スキンナリ開発協力・外国貿易大臣(H.E. Mr. Ville Skinnari, Minister for Development Cooperation and Foreign Trade)と、フィンランド外務省において、意見交換を行いました。

左から2番目:スキンナリ開発協力・外国貿易大臣
(左から2番目:スキンナリ開発協力・外国貿易大臣)

牧島大臣から、訪問が叶ったこと、及び親日家であるスキンナリ開発協力・外国貿易大臣が両国間の交流を推進されていることへの感謝が述べられました。

スキンナリ大臣からは、フィンランドと日本の長年の交流について説明があり、今後デジタル分野においても更なる強化を推進したいとの発言がありました。また、フィンランドの特長として、政府と民間企業との官民連携(PPP)や社会実装等の全体アプローチの重要性、さらにはスタートアップのエコシステム構築とその成果について説明がありました。

牧島大臣から、両国の企業間の交流が進むこと、関連してデジタルインフラ強化策として海底ケーブルがあること、それらの重要性について発言。日本の「デジタル田園都市国家構想」とスマートシティに関する取組について説明し、特に注力するべき分野や民間企業との協力について活発な意見交換が行われました。

両大臣は、今回の会談を契機として、今後、日・フィンランド間の共通の関心事項について、具体的な協力に発展させていくべく、関係当局との間で事務レベルで議論を継続していくことで一致しました。

(4)ティモ・ハラッカ運輸・通信大臣との会談

5月9日、牧島大臣は、ティモ・ハラッカ運輸・通信大臣(H.E. Mr. Timo Harakka, Minister of Transport and Communications)と、フィンランド運輸・通信省において、意見交換を行いました。

中央:ハラッカ運輸・通信大臣
(中央:ハラッカ運輸・通信大臣)

牧島大臣から、訪問が叶ったことへの感謝が述べられました。また、日本政府のデジタル化への取組状況と、その司令塔としてのデジタル庁の役割について説明しました。

ハラッカ運輸・通信大臣からは、無線通信の分野における両国の共通性に触れ、5Gや6Gの展開などについて関心が示されました。

牧島大臣からは日本における5Gの普及目標(2030年度末までに人口カバー率99%)が示されるとともに、両国間のデジタルインフラ強化策として海底ケーブルの重要性について発言し、先進的な技術の利活用について両国の取組に関する意見交換が行われました。日本におけるデジタル臨時行政調査会でのデジタル原則に基づく規制見直しの取組、そこで官民が利用できる「技術マップ」を作る取組を紹介し、日本においては高い技術をスタートポイントとして、高齢化社会への対応を推進していくことを紹介。ハラッカ大臣から、フィンランドでも高齢化の課題を抱えており、日本に対する牽引役への期待が示されました。

また、両大臣はサイバーセキュリティを担当していることから、課題や対策についての意見交換を行うとともに、今後の両国間の関係強化について議論が行われました。

最後に牧島大臣より、フィンランドにおいてトラストが非常に重視されていることに触れ、日本が推進するDFFTについて説明がありました。また、デジタルこれに対しハラッカ大臣から、多くの同志国をリードする役割を日本が担っていることに対する感謝が示されるとともに、フィンランドにおいて積極的に推進されているMyDataの取組などが紹介され、今後のDFFT具体化に向けた協力について活発な議論が行われました。

両大臣は、今回の会談を契機として、今後、日・フィンランド間の共通の関心事項について、具体的な協力に発展させていくべく、関係当局との間で事務レベルで議論を継続していくことで一致しました。

3 ドイツ連邦共和国訪問

牧島大臣は、G7デジタル大臣会合に出席するため、5月9日から11日にかけてドイツ連邦共和国を訪問しました。

G7集合写真
(集合写真)

(1)G7デジタル大臣会合

5月10日から11日にかけて、デュッセルドルフにおいて、G7デジタル大臣会合が開催されました(議長国:ドイツ)。G7諸国に加え、サイバーレジリエンスについてのワーキング・セッションに、フェドロフ・ウクライナ副首相兼デジタル化担当大臣がオンラインで出席しました。

サイバーレジリエンス

5月10日、ウクライナ情勢を踏まえ、フェドロフ・ウクライナ副首相兼デジタル化担当大臣を招き(オンライン)、重要インフラ等のサイバーレジリエンスについてのワーキング・セッションが開催され、デジタルインフラのサイバーレジリエンス、官民連携(PPP)の重要性、緊急事態への対応力強化、ベストプラクティスの共有などのG7諸国間における協力強化等について議論を行いました。

モニター内:フェドロフ・ウクライナ副首相
(モニター内:フェドロフ・ウクライナ副首相)

同セッションにおいて、牧島大臣から、ウクライナ及びウクライナ国民への全面的な連帯を表明したほか、日本のサイバーセキュリティ戦略及び重要インフラ防護やサイバーセキュリティに関する官民連携についての取組を紹介した上で、サイバーセキュリティは、ウクライナ情勢への対応が示すとおり、国際連携が重要な分野であり、日本としても、自由、公正かつ安全なサイバー空間を確保すべく、今後とも、G7各国と協力して取り組んでいきたいとの考えを発信しました。また、取組の共有として、2021年東京開催のオリンピックにおいては、多数の不正通信が観測されたものの、4.5億回ものセキュリティイベントを通信遮断し、安全な大会を実現したという教訓を紹介し、今後開催するパリ、ミラノ、ロサンゼルスにも引き継いでいきたい旨発信しました。

同セッションにおいて、共同宣言(英語、仮訳)が採択されました。

B7ラウンドテーブル

5月10日、B7とのラウンドテーブルが開催され、牧島デジタル大臣から、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、デジタル技術がサイバー攻撃、フェイクニュースなど人々の脅威になるのではなく、人々の幸福と繁栄に貢献していくという力強いメッセージが必要である旨述べるとともに、デジタルの活用に関し、最も重要な柱としてデータがあり、DFFTは、グローバルなデータガバナンスの議論の基盤となる考え方であり、これにより、データの自由な流通を更に促進し、消費者及びビジネスの信頼を強化するという、「信頼」と「自由な流通」の相乗効果を提唱した概念であり、民間企業と連携し、一体となって戦略的にDFFTの推進に取り組んでいきたいと考えている旨発信しました。

B7ラウンドテーブルの様子
(B7ラウンドテーブルの様子)

閣僚宣言に関する討議

5月11日、閣僚宣言に関する討議が行われ、同セッションにおいて、牧島大臣から、基本的価値を共有するG7の連帯が、今世界が直面している大きな困難に立ち向かう上で重要であることを強調した上で、昨年2021年9月のデジタル庁設置、「新しい資本主義」の第一の柱としてのデジタル田園都市国家構想、国・地方を含むデジタル改革・規制改革・行政改革を一体的に進めるデジタル臨時行政調査会の取組、国・地方を含めたデジタル化・デジタルトランスフォーメーションの取組について発信しました。また、2023年日本主催G7会合に向けて、これまでのG7の成果を踏まえ、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の具体化に向けて取り組んでいくとの考えを発信しました。

同セッションにおいて、閣僚宣言(英語、仮訳)、DFFT行動計画(英語、仮訳)、電子的移転可能記録の使用の促進のための国内法枠組みの原則(英語、仮訳)が採択されました。

記者会見

5月11日、閣僚宣言採択後、記者会見が行われ、牧島大臣から、

  • 自由、民主主義、法の支配といった基本的価値を共有するG7の連帯こそが、今世界が直面している大きな困難に立ち向かう上で重要であり、また、デジタル技術が人々の脅威になるのではなく、人々の幸福と繁栄に貢献していくという力強いメッセージが必要であること、

  • 各国担当大臣と議論を交わし、基本的価値を共有する同志国であるG7諸国の結束の重要性を実感するとともに、各国がそれぞれ、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を目指して取り組んできており、その中で、それぞれのデジタル化・デジタルトランスフォーメーションに向けて共通の課題や悩みを有しており、そういう意味で我々が同志であることについて、意識を共有することができたこと、

  • 本日採択された閣僚宣言及び昨日、フェドロフ・ウクライナ副首相の出席(オンライン)を得て開催されたサイバーレジリエンスのセッションにおいて採択された宣言は、こうした点で、同志国であるG7の結束とメッセージを世界に発信するものとなったと確信していること、

  • 日本は、来年、ドイツからG7のバトンを引き継ぎ、G7議長国となる、これまでの成果を踏まえ、2023年のG7議長国として具体的な成果を出していきたい、そのためにリーダーシップを発揮していきたいと考えていること

を発信しました。

また、牧島大臣から、

  • 昨年2021年9月のデジタル庁設置、「新しい資本主義」の第一の柱としてのデジタル田園都市国家構想、国・地方を含むデジタル改革・規制改革・行政改革を一体的に進めるデジタル臨時行政調査会の取組、国・地方を含めたデジタル化・デジタルトランスフォーメーションの取組を踏まえ、G7議著国として来年の中G7に貢献していきたいとの考えを示し、

  • 2023年日本主催G7会合に向けて、これまでのG7の成果を踏まえ、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の具体化に向けて取り組んでいきたい、

との考えを発信しました。

ドイツ(議長国)主催記者会見の様子
(ドイツ(議長国)主催記者会見の様子)

バイ会談

G7デジタル大臣会合開催期間中、ヴィッシング独連邦デジタル・交通大臣、シャンパーニュ・カナダ革新・科学・産業大臣、ドリス英国デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣を始めとする各国参加閣僚との間で、バイ会談等を行い、DFFT、サイバーセキュリティ等について認識を共有し、2023年日本主催G7会合に向けて協力していくことを確認しました。
特に、本年の議長を務めたヴィッシング独連邦デジタル・交通大臣からは、議長としての知見を踏まえ、緊密に協力していくことについて、力強い言葉を頂くとともに、日本におけるデジタル臨時行政調査会の取組が進んでおり、日本からも学びたいといった前向きな評価を頂きました。

ヴィッシング独連邦デジタル・交通大臣との会談
(ヴィッシング独連邦デジタル・交通大臣との会談)

また、シャンパーニュ・カナダ革新・科学・産業大臣とは、DFFTやサイバーセキュリティ、スタートアップ支援等について意見を交換し、そして、価値を共有する日本について、非常に親しく感じており、来年のG7議長国として是非自分を頼ってほしい、協力していきたいとの温かい言葉を頂きました。

シャンパーニュ・カナダ革新・科学・産業大臣との会談
(シャンパーニュ・カナダ革新・科学・産業大臣との会談)

ドリス英国デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣とは、デジタル人材の育成や政府のデジタル化、今般立ち上げられた事務レベルの日英デジタル・グループ等を通じ、一層日英協力を強化していくことを確認しました。また、ドリス大臣から、日本のデジタル田園都市国家構想の取組について、関心と前向きな受け止めが示されました。

ドリス英国デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣との会談
(ドリス英国デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣との会談)

まとめ

今後、日本でのデジタル化・サイバーセキュリティの対応、そして来年のG7日本開催に向けて、各国がデジタル化にあたって共通の課題を有していることについて意識を共有することができたとともに、改めて基本的価値を共有する国の結束の重要性を認識する海外出張でした。

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