河野デジタル大臣が2024年OECD閣僚理事会に出席しました
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河野デジタル大臣は、5月2日及び3日の日程で、フランス・パリで開催されたOECD(経済協力開発機構)閣僚理事会に出席しました。
OECD加盟60周年となる本年、日本は「変化の流れの共創:持続可能で包摂的な成長に向けた客観的で高い信頼性に裏づけられたグローバルな議論の先導」をテーマとして開催されたOECD閣僚理事会で議長国を務めました。デジタル庁からは河野デジタル大臣が出席し、3日に行われた「DFFT (※1)、データガバナンス、セキュリティ」のセッションで議長を務め、広島サミットの承認を受けて設立したDFFT/IAP(※2)の方針及び国際データガバナンスに関する議論を牽引しました。
※1 DFFT(Data Free Flow with Trust):信頼性のある自由なデータ流通
※2 IAP(the Institutional Arrangement for Partnership):DFFT具体化のための国際メカニズム
OECD閣僚理事会概要
(開催日:5月3日)
河野デジタル大臣が議長を務めた「DFFT、データガバナンス、セキュリティ」のセッションは5月3日に行われました。昨年のG7広島サミットで設立が承認されたIAPは、データガバナンスについて、専門家コミュニティと加盟国組織としての委員会が一体として成立する仕組みですが、セッションでは、専門家コミュニティと委員会、この両方の要素を段階的に強化していくことが必要であることについて、加盟国間で認識の共有ができました。
セッション冒頭、河野デジタル大臣及びコーマンOECD事務総長によるスピーチが行われ、河野大臣からは、加盟国間協調の場であるデータガバナンスに関連した委員会組織を強化していくことにコミットし、(昨年12月に立ち上げた)DFFT専門家コミュニティによる具体的なプロジェクトを推進していくことなど、IAPの段階的強化に向けた今後の方針について取りまとめたい旨の発言がありました。その上で、IAPを国際データガバナンスのハブとして推進するため、OECDとASEAN等の地域機関との連携や加盟国間の二国間データ協力との相互補完性を促進することが望ましいと述べ、特にASEANはIAPとの連携に高い関心を示しており、データ移転ルールの法的透明性を向上させる取組についてはASEAN各国および経済界も関心が高いことなどを紹介しました。
冒頭発言を踏まえ、参加加盟国政府、招待機関、諮問機関等による意見交換が行われ、以下の合意内容を含む閣僚声明が採択されました。
合意内容のポイントは以下の通りです。
- 我々は、DFFTの促進、国境を越えたデータの流通の促進及びデータの自由な流通への課題に関する分析作業を含む、デジタル経済に関する専門的分析の提供におけるOECDの主導的役割を評価する。
- 我々は、信頼性のあるデータ流通を促進するための作業を奨励し、専門家コミュニティの設立を歓迎する。
- 我々は、データガバナンス及びプライバシーに関する位置付けの向上と、関連する委員会構造の更なる強化のありうるオプションに関する議論を開始することにコミットする。
関連リンク
関係閣僚等との会談
河野デジタル大臣は、本閣僚理事会の機会に、カオASEAN事務総長、シムシェキ財務大臣(トルコ)、稲垣OECD経済産業諮問委員会(Business at the OECD:BIAC)副会長、サルムサイ副首相兼外務大臣(ラオス)、アイルランガ経済担当調整大臣(インドネシア)、ヴィオラ欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局長等と会談を行い、シンガポール、ギリシャ、ベトナム、クロアチアの代表と立ち話を行いました。
(以下、会談開催順に掲載)
1. ASEAN
カオASEAN事務総長との会談では、本年2月に開催した「アジアにおけるデータガバナンス等に係る閣僚級会合」も踏まえ、ASEANにおけるデータガバナンスに関する取組の現状、ASEANで交渉が進められているデジタル経済枠組み協定(DEFA)とDFFTとの連携に向けた日ASEAN協力、データ越境移転に関する透明性向上の共同プロジェクトの実施等を通じたASEANとOECD/IAPとの連携等について意見交換しました。
(カオ・キムホンASEAN事務総長との会談)
2. トルコ
シムシェキ財務大臣との会談では、DFFT/IAPやデータガバナンスに関する国際的議論を日トルコが連携して主導することの重要性、データガバナンスに関する新しい委員会の設立を含むOECDの組織強化に向けたトルコとの協力や、デジタル経済での両国の協力・連携について意見交換しました。
(メフメット・シムシェキ財務大臣との会談)
3. OECD経済産業諮問委員会
稲垣OECD経済産業諮問委員会(BIAC)副会長と会談し、データガバナンスに関する新しい委員会の設立を含むOECDの組織強化に向けた議論や、データ越境移転に関する透明性の向上を含む、IAP/DFFT専門家コミュニティの下で実施するプロジェクトへの産業界の具体的な関心分野・期待する取組等について意見交換しました。
(稲垣精二OECD経済産業諮問委員会(Business at the OECD:BIAC)副会長との会談)
4. ラオス
サルムサイ副首相兼外務大臣との会談では、DFFT推進における日ASEAN間の連携強化について意見交換しました。また日ラオスのデジタル分野における協力推進について議論しました。
(サルムサイ・コンマシット副首相兼外務大臣との会談)
5.インドネシア
アイルランガ経済担当調整大臣との会談では、本年2月の「アジアにおけるデータガバナンス等に係る閣僚級会合」も踏まえ、インドネシア及びASEANにおけるデータガバナンスに関する取組の現状、ASEANのデジタル経済枠組み協定(DEFA)とDFFTとの連携に向けた日インドネシア・日ASEANの連携及びデータ越境移転に関する透明性向上の共同プロジェクトの実施等を通じたASEANとOECD/IAPとの連携、国際的な送金や決済、プラットフォーマー対策、デジタル分野におけるスタートアップ育成等について意見交換しました。
(アイルランガ・ハルタルト経済担当調整大臣との会談)
6. 欧州連合(EU)
ヴィオラ欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局長との会談では、日EUデジタルパートナーシップ及び今般署名したデジタル・アイデンティティに関する協力覚書等に基づく強固な日EU協力関係を深化させること、同協力覚書でも合意した、データガバナンスに関する新しい委員会の設立を含むOECDの組織強化をはじめDFFT/IAPの推進に向け日EU間で協力すること、日EU間の協力・連携の成果を好事例としてOECD等多国間にも展開することの重要性等を確認しました。
(ロベルト・ヴィオラ欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局長との会談)
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