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平井大臣記者会見(令和3年6月11日)

平井デジタル改革担当大臣記者会見要旨

(令和3年6月11(金)9時40分から10時03分まで 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

まず私からは、「2021年デジタルの日」のロゴ作成者について、5月12日から25日までの間にSNS等で周知の上、一般の方から推薦を受けました。

その結果、得票数が1位であったこと、そして、グラフィックデザイナーとして活躍されていること、そしてご本人の同意をいただいていることから、昨日実施した第1回の「デジタルの日」検討委員会において、「2021年デジタルの日」のロゴ作成者はグラフィックデザイナーの岩田直樹さんにお願いすることを決定いたしました。

岩田さんには、ロゴの作成に加えて「デジタルの日」に関するアドバイザーに就任をいただいて、アクセシビリティを含む様々なご指導・ご助言をいただく予定でございます。

そしてもう一つ、一部、私自身の発言が報道されているということに関して、まず私の方から発言させていただきたいと思います。

契約の変更によって、NECとの契約を解除したのは、同社が開発・運用・保守を担当していた顔認証連携システムであり、海外からの一般観客を想定した機能でありました。

海外からの一般観客の受入れは行わないとの方針となったことから、契約上、事業遂行に影響を与える大きな環境変化があった場合は協議を行い解決を図るという条項があり、それに基づいて受注者と協議、合意したものだと考えています。

今回のオリンピックのアプリに関して言えば、全てサービスの提供が終了時点でお金を支払いするという請負契約という形になっています。

ですから、まだ現時点では国が費用を払っているわけではなくて、フルスペックでオリンピックを開催した場合にその費用はその終了時点で払うと、今、普通のシステム契約とは少し違う形態になっているということでございます。

私自身としては国民の血税をお預かりする立場として、国民目線で調達の無駄をなくしていくという強い気持ちを持っておりまして、今回の契約の見直しに関しても、可能な限り契約金額を圧縮するため、担当者、担当責任者とは何度か打ち合わせを行って、いろいろ指示を出したということだと思います。

報道されている音声データについては、その中の一部ではないかと私は思いますが、誰に対してしゃべったかということで言いますと、まさに幹部中の幹部2人、10年来、私が一緒に仕事をしてきた仲間でございますので、非常にラフな表現になったなとは思います。表現はやっぱり不適当だなと思いますが、今後、気を付けていきたいと思います。

ただし、私自身は契約の立場、現場にいるわけでもなく、直接ベンダーと話すと、契約について話すという立場ではありません。ですからこのような契約を進めるに当たっては担当者は強い気持ちを持っていないと、なかなかコストを削減するということはできません。

それだけ今回の発注もリスクはある発注でしたから、ある意味金額も高いし、そういう状況の中で今回のいろいろなサービスを縮減するということですから、ここは国民の立場になって物事を考えるというのが私の一番のスタンスですので。やはりこの事業は、各ベンダーさんにとっても大きな利益を出すというような類のものではないはずだと思っておりまして、そういう意味で強い覚悟で国民の立場になって交渉をするということを幹部2人に強い口調で申し上げたことが、今回ある意味、表現が不適当であったと思います。

私からは以上です。

2.質疑応答

(問)改めてですけれども、やはりITを担当する大臣として、業者に対する優越的地位にあると思うんですけれども、そちらにおいて非常に大臣は内部で言ったこととはいえ、かなりプレッシャーにはなるのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

(答)私、自民党でもITの調達に関していろいろ、今までも政府のいろんな問題点を過去指摘した中で、どちらが優越的な地位にあるかというのは、皆さん、本当にはよく分からないケースの方が多いですよ、実際。

ですから、一社入札が多いであるとか、金額が高止まりしているという指摘を受けるというのは、やはり政府の発注能力がないということなんです。そういう流れの中で今回デジタル庁というものを創設して、自らがきちんと要件定義ができて、そして、フェアな発注ができるようにしたいという思いですから、今のご質問に関しては、私どもはそのようには思っていないし、私自身がその企業に言っているわけではなくて、長年一緒に働いているスタッフ、過去もいろいろそういう問題を私から指摘しながら、自民党にいる時も一緒にやっていたメンバーに対して、強い表現というか、強い覚悟で臨まないと国民の望む結果にならないからということで、直接業者さんに話すというようなことはないし、担当者も私の表現をそのまま相手に伝えるような方々では全くないので、10年一緒に仕事しておりますから、私の極端な表現ぶりを受けて、強い覚悟で交渉なさったと思います。

(問)政府の調達において業者に非常に強いということで、大臣がやはりこの任に就かれていると思うんですけれども、IT大臣として就かれていると思うんですけれども、やはり、脅しておいた方がいいなどという話は少し乱暴という次元を超えているのではないかと思うんですけれども。

(答)要するに幹部2人に対して内部の会議で指示をした表現、だからその表現は不適当だというふうに言っているじゃないですか。私は業者に対して、そのままそういう表現を使っているわけでもなくて、指示を受けた2人も大臣はやはりここは何としてでも下げたいという意味で理解はしてもらったと思いますが。言い方は皆さん大人ですから、その表現でやっているはずがなくて、私の幹部職員に対する表現の仕方が不適当であったということを認めますが、対外的にそんなことを誰も業者の方に言っているわけでもなく、私はその指摘は当たらないと思います。

(問)分かりました。では値下げに関しては大臣の発言の影響はなかったという認識ですか。

(答)値下げに対してというのは、誰かの発言で金額が変わるというものではなく、契約変更というのは両者の合意がどこかの時点で合理的にできてくるということで、法律的にも問題のない契約に落ち着くということだと思います。

(問)再度確認しますが、交渉に当たっては職員たちが、業者側を脅すような文言はなかったと。

(答)普通、そういう大人の契約で、もう10年来やっているプロ中のプロの皆さんがそんなことで金額が下がるなんて思っていませんよ。

(問)音声データを聞くと「デジタル庁はNECには死んでも発注しないんで」と、「場合によっては出入禁止にしなきゃな」とか、「一発遠藤のおっちゃん辺りを脅しておいたほうがいいよ」と、結構シリアスな口調で発言されているんですけれども。そもそもこの辺の40秒、50秒の音声データを聞いていると、すごいNECを敵視しているように感じるんですけれども、これは交渉に入る前に発言されているんですよね。例えば協議が結構不調になっていたからハッパを掛ける意味で言ったのか。

(答)交渉の内容の金額とか途中経過というのは、これはなかなか表に言えることではないんです。

さっきもお話ししましたが、その幹部2人に対しては今までも相当いろんな指示といいますか、この10年来いろんな問題に取り組んできた仲ですので、私の言いぶりをそのまま受け取るような立場の人間ではありません。

その上でいいますと、NECさんとはマイナンバーの顔認証であるとか、今まで実証試験もたくさん一緒にやらせていただいていますし、本当に国と一緒に顔認証、いろんなところでも実装しておりますし、強い信頼関係でご協力をいただいているということは事実です。

ですので、ある意味国がこういう状況になっている時に、金額的なものも協力してくれるはずだという、長いお付き合いと言いますか、国の実証実験等々とかマイナンバー等々でも大変な協力をいただいているということを考えれば、今回も協力をしていただけるのではないか。ただ、このお話は音声データにならないとNECさんに対して伝わる話ではないので、今回、こういうものが表に出てしまった以上、ある程度誤解のないように話す必要があるかもしれないと、今、考えております。

(問)改めて契約のお話なんですが、一般的にリスクを業者に負わせるということは、これはリスクを考えてベンダー側の値段が上がるという意味において、必ずしも長期的には金額を下げることにはならないのではないか。今回のようなちょっとリスクの事案に対して、果たしてベンダーさんの契約をゼロにすることは相応しいのかどうか、その辺りのお考えをお伺いできますか。

(答)システム発注に当たっては可能な限り仕様を確定し、開発期間を十分に確保することによってコストというのは出てきますよね。今回の場合は開発期間が非常に短い、しかも国家的大プロジェクトであるということで、結局、全てシステムを動かした後の結果が問われるという意味のリスクというお話しをしました。

システム自体というものは、今回そんなに難しいものを作っているわけではありません。ただ、規模が大きいということと、多くの方々がフルスペックで参加されると、来られるわけで、そういう意味ではつまり要件が完全に固まっていないというところです。そこのところがリスクということではないでしょうか。

普通はこんな発注はないんです、よくよく考えてみると。なかなかこのような形の発注というのは、こういうオリンピックみたいなとき以外にこのような、それ以外は、なかなか、こういう発注というのはないと考えます。特異なケースの発注だと思います。

(問)一般論として、こういう環境の変化で起こった想定外の契約の見直しというのは、必ずしもベンダー側が責任を持つような契約は必ずしも望ましいものではないと。

(答)いやいや、それも、もちろんかかった費用とか、そういうものに関してはお支払いするんで、今回だって結局38億か、38億円はお支払いするわけです。

38億円お支払いして、その範囲でやれることをやっていただくということなので。ただ、やはり会社というのは売上を計上したり、その会社の経営というものがあるじゃないですか。当初計上していた売上が半分になってしまうわけですから、そういうのはリスクだと思います。損を被れなんていう話は一切しているわけではありませんから。

(問)NECに関してはゼロになったということで、今回リスクを丸被りした形になるとは思うんですが。

(答)というより、これは請負契約で、海外から来る人たちの顔認証ということ自体を全部やめてしまったわけですから。ですよね、これ。これ用に何か作ってくれという発注ではないので。

この話は、我々は合意している話で、特段問題ないと思っているんです。要するに合理的に判断して両者がそう思ったからこの金額になっているということだと思います。

(問)NECとの交渉はどういう形でNECは条件を飲んだ形になったのか、その経緯は現場の方から……

(答)ただ、こういう交渉の経緯というものは、あまりオープンにすべきものと思えないんです。各社の競争力にも関わる問題でもあります。

ですから最終的に、私は交渉の現場には一切立ち会っておりませんけれども、交渉の経緯というようなことに関しては、恐らくそれは説明できないのだと思います。

(問)今の関連になるんですけれども、NECは1月に契約してから少なくとも5月31日までは人を張り付けてきているわけですから、ゼロというのはちょっと極端ではないかなというふうに思うんです。

やっぱり大臣がおっしゃっているように、契約できちんと仕様を決めて透明な契約をしていくというのがデジタル庁の大きな狙いの一つだと私も思って、それは素晴らしいことだと思っているんですけれども。ちょっとその趣旨からいってどうなのかという辺りをお聞かせいただきたいのですが。

(答)かかった費用があって、それを国に請求したいということであれば請求していただければいいんです。

今回は要するにゼロでいいということだから、ゼロなんですねということです。

(問)それが交渉ごとで決まってくるという辺りが、ちょっと透明性があるのかなと、さっきも質問があったように、そういうことになってくると、国との契約をすると、どうしても高めの、要するにリスクに備えておかないといけないという発想も出てくるのではないかなというふうには。

(答)普通の発注ではもっと明確な要件定義をして発注をするので、そういうことは起きないと考えます。

特にデジタル庁の場合は、今までは外部の方に要件定義まで発注すると、丸投げと言われる批判を散々受けてきていましたが、我々はそれをやる気はないので。きっちりと要件定義をこちらでやった上で発注すると。ですから、デジタル庁発足後はこのような発注は絶対にしたくないと考えています。

(問)ということは、要するにもともとの契約に問題があったというご認識ということに……

(答)いや、この問題はあったというよりも、こういう異常な事態がシステム開発というものに関して言えば、これはなかなか普通できることではありません。

今回、オリンピック自体がどの規模でやるのか、もしかしたらやらないかもしれないというようなマスコミの報道、思う方もいらっしゃったと思います。その中で事業を受けるということですので、通常の発注とは違うと考えますが、問題があったかどうかということで言えば、やむを得なかったのではないかと思います。

(問)全体的な確認なんですけれども、先ほど大臣は10年来の付き合いのある幹部2人に対する強いざっくばらんな口調で発言があったということだったんですけれども、会議自体には他にもたくさん出席されていた方がいるかと思います。

会議自体がどういう状況で、どういう雰囲気の中で行われたのかというのを大臣の方からご説明いただけますか。

(答)それはよく分からないんです、正直に言って。ただ、私も本件に関して、普通、大臣がこんな契約の内容に口を出すことはないんですけれども、特に国民の関心事でもあるし、野党の皆さんから高いという指摘もあるのでここは幹部に檄を飛ばすということで、2人はおりましたので、その現場で直接話をしました。ただその時の会議の音声がどこまで共有されているとか、そういうことは私は知らないので、今お答えしようがありません。

(以上)

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