牧島大臣記者会見(令和3年10月26日)
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牧島デジタル大臣記者会見要旨
(令和3年10月26日(火)11時34分から11時56分まで 於:紀尾井町20階 記者会見室)
1.発言要旨
何点か冒頭発言をさせてください。
まず、ガバメントクラウドの整備に向けたお話です。政府等の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービスの利用環境であるガバメントクラウドを整備して、クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、かつセキュアで、コスト効率の高いシステムを構築可能とし、利用者にとって利便性の高いサービスをいち早く提供することとしています。
今般、ガバメントクラウド対象のクラウドサービスが決定しましたので、お知らせいたします。今回の調達では、クラウドサービスに求める要件を満たす事業者を公募により募集し、要件を満たす全てのクラウドサービスと契約することといたしております。対象のクラウドサービスは、AmazonWebサービス、Google Cloud Platformの2件です。今回は3事業者から応募が寄せられているところであり、その提案書を審査した結果、要求している要件に合致した2事業者のクラウドサービスと契約することといたしました。まずはこの二つのクラウドサービス事業者と協力して、この後、紹介する地方自治体の先行事業や、デジタル庁Webサイトの移行を進めていこうと思っております。
そして2点目が、今少し触れました地方自治体によるガバメントクラウド先行事業の公募における選考結果についてですが、採択団体を決定いたしましたのでお知らせいたします。住民記録、地方税、介護や福祉といった地方自治体の主要な17基幹業務システムについては、令和7年度末までにガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムに移行することを目指すこととしています。
このような地方自治体の基幹システム等の統一・標準化を進める上で、まずは地方自治体が安心してガバメントクラウドを利用できるようにすることが重要であると考えておりまして、本年度からガバメントクラウドへの移行に掛かる課題の検証を行う先行事業を実施することとしています。具体的には、ガバメントクラウドのテスト環境で、市区町村が現に利用する基幹業務等システムを稼働させ、セキュリティなどの要件を満たすこと等を検証した上で、本番環境に移行することとしています。
採択団体について、神戸市、3市の共同提案である倉敷市・高松市・松山市、盛岡市、佐倉市、宇和島市、須坂市、2町の共同提案である美里町・川島町、笠置町の8件です。今回は52件という非常に多くの応募が寄せられております。今後の全自治体の基幹システムの統一・標準化に向けた有益な検証となるように、人口やシステム構成などのバランスに配慮しつつ、共同での検証や移行方式、投資対効果の分析、クラウドの機能の活用など、ほかの自治体への波及効果等のモデル性がある提案を採択いたしました。今後採択団体と協力して、令和4年度にかけて実証作業を進めていくとともに、その検証状況については、ほかの自治体のガバメントクラウドへの移行検討に資するために、全ての自治体に共有してまいりたいと思っています。
また、地方自治体の基幹システムの統一・標準化については、地方自治体と一緒に構築したいと考えておりますので、そのためにも、これまで平井前大臣が会見においてご案内しているとおり、地方自治体職員及び民間人材について、デジタル庁が公募を行っているということもご案内をさせていただきます。関心を持っていただいた方は是非ご応募いただきたいと思いますので、詳細は事務方にお問い合わせください。
続いて、行政改革担当大臣としてご報告がございます。地方自治体の職員の皆さんが立入検査を実施するときに、身分証をたくさん首から下げていて、首がもげそうだといったような表現がされていたことがありましたが、この身分証の統合についてです。
事前に送付しております配布資料をご覧いただければと思いますけれども、自治体職員の身分証が根拠法令ごとに異なる様式が定められているので、人事異動によって発行事務の負担が大きい、また、複数法令に基づく検査では、迅速な検査の妨げになるという課題がありました。
今年3月、愛知県の要望を受けて、環境省所管法令に基づく45の身分証を統合できるようにしたのですけれども、大変好評を頂いたことから、今回全ての都道府県、市町村の要望を確認し、各府省から提案があったものも加え、合計421種類の身分証を統合できることといたしました。自治体のBPRや職員の働き方改革にもつながる取組ですので、是非活用いただきたいと思っています。
先行的な取組により、統一様式を定めていただいた環境省はじめ、関係省庁の皆様、意見照会に対応いただいた都道府県、市町村の皆様にも感謝申し上げます。今後とも、皆様の声を丁寧にお聞きしながら、行政改革に取り組んでまいります。取組の詳細についてご質問があれば、内閣官房行政改革推進本部事務局にお尋ねください。
続いて、マイナポータル薬剤情報等の閲覧機能の開始についてです。今月20日からオンライン資格確認の本格運用が開始し、マイナンバーカードを健康保険証として利用して、薬剤情報等を医師・薬剤師と共有できるようになりましたけれども、これに加えて、21日からは、医療保険の薬剤情報や、特定健診情報、後期高齢者健診情報をマイナポータルで閲覧できるようになりました。
予防健康づくりに特定健診情報を活用しやすくなったり、服用しているお薬の内容を正確に確認しやすくなるなど、生活により身近な情報が得られるようになることで、マイナポータルを利用いただく機会が増えると期待しています。さらに、11月中旬には、マイナポータルで医療保険の医療費通知情報も閲覧できるようになります。この医療費通知情報は、e-Taxと連携して、令和3年の確定申告の医療費控除で利用できるようになります。引き続き、マイナポータルのサービスの向上に取り組んでいきたいと考えております。
続きまして、教育データ利活用のロードマップの検討状況についてですが、昨日、デジタル庁Webサイトにおいて、学校内外のデータの将来的な連携を見据えた教育データの蓄積・流通の仕組みの構築に向けて、目指すべき姿や必要な施策を盛り込んだ教育データ利活用ロードマップの検討状況を公表しています。
これは、GIGAスクール構想の1人1台端末の真の活用に向けて、教育のデジタル化のミッションを、「誰もが、いつでも、どこからでも、誰とでも自分らしく学べる社会」と掲げ、教育データの流通・蓄積の全体設計・アーキテクチャのイメージを提示するとともに、これらの実現に必要なデータの標準化やプラットフォームの在り方、データ利活用環境の整備などについて、デジタル社会を見据えた教育の在り方の見直しについても、論点の芽出しをしているものです。
このロードマップの検討状況については、幅広く教育関係者の皆様からご意見を頂き、目指すべき姿や必要な施策について、更に深掘りを行っていくことを目的として、昨日10月25日から11月26日まで、デジタル庁アイデアボックスを活用した意見募集を開始したところです。
公表したロードマップに関する資料は、あくまでも現在の検討状況としてお示しするものでありまして、教育関係者の皆様とともにより良いものに仕上げていくため、11月26日の期限までに、是非教育関係者の皆様から積極的なご意見を頂き、今後のロードマップや施策の検討に生かしていきたいと考えます。今後必要な施策について、更に深掘りをしていくとともに、頂いたご意見や有識者との意見交換を踏まえ、年内を目途に、関係省庁とともにロードマップを取りまとめる予定でございます。
こちらが最後になります。デジタル改革・規制改革関係の検討状況ですが、デジタル社会にふさわしい国や地方の制度・システム等の構築に向けて、デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に進めていくことが重要であります。これらを着実に進めていくために、必要な各テーマでの重要な検討を行っており、昨日までに行った直近の検討状況をご報告いたします。
検討会議としては、10月22日に、本年第1回目の「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」を、昨日25日に第1回「データ戦略推進ワーキンググループ」及び「規制改革推進会議・第4回医療・介護ワーキンググループ」をそれぞれ実施いたしました。各ワーキンググループでは、徹底してユーザー目線で考え、現場の実務に即しながら進めていくことを確認したところです。
マイナンバー制度等やデータ戦略に関しては、今後それぞれの議論を深めていき、政府として年末に策定予定の新たな「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に盛り込むなど、デジタル社会の推進に向けて取り組んでいくこととしています。
また、規制改革推進会議における医療・介護ワーキンググループでは、リスクベース・ゴールベースで規制を見直し、国民に身近な医療・介護分野での利用者本位・患者本位での改革を行うための議論を行っています。年内の中間的な取りまとめに向けて、他のワーキンググループでの議論も深めてまいりたいと思います。
今後これらの検討を加速化していくとともに、横断的な課題は、今後立ち上げるデジタル臨調の場も活用して、課題検討に当たっていきたいと考えております。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)1点目のガバメントクラウドの整備についてお伺いしたいのですが、当初よりも先行事業の募集の方も、実施の方も遅れていると思うのですが、全体のスケジュール感、変化がありましたらお伺いできますでしょうか。
(答)ガバメントクラウドの方ですね。ガバメントクラウドの整備、しっかりと今後、プロジェクト開始は行った上で、準備が出来次第、しっかりとそれぞれ利用の開始ができるように調整をしていきたいというふうに考えております。
(問)次年度中に本番環境に移行するというスケジュールだったと思うのですが、そちらは変わらないという理解でいいでしょうか。
(答)今調整しなければならないところはあると思いますけれども、プロジェクトの開始については、しっかりと行える状態にあるというふうに理解しております。
(問)私もガバメントクラウドについて伺いたいのですけど。一応先行事業の採択とか事業者が固まったということで一区切りだとは思うのですけど、大臣のご認識としては、今後ガバメントクラウドのプロジェクトを成功させるために、どういった課題をどう解決することが必要だとご認識されていますでしょうか。
(答)大変メリットの高いものであるというふうに考えております。私たちにとって、この複数のクラウドサービス事業者と契約を行うことで、マルチクラウド方式で構築することになりますので、今回の契約で、単価契約により、実際のクラウドサービスの利用実績に応じて利用料を後払いする従量課金といった精算方式を採用することにもなりますし、無駄のない、効率的なリソースの活用を目指すことになると考えております。さらに、クラウドサービスを運営する事業者と直接契約を行うことで、中間業者を介在させる間接契約と比較して、中間マージンなどの費用負担を軽減することも考慮をしています。
(問)細かい確認で恐縮なのですが、GoogleとAmazonに事業者が決まったということですけれども、これは先行事業に限った採択ということでいいのか、それとも、令和7年度末に移行完了ということで、そのときの本番でも使う事業者だと考えていいのか、どちらでしょうか。
(答)具体的なところは、また15時から、担当から記者ブリーフィングがあると思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。
(問)私もガバメントクラウドについてなのですが、これ、応募ができる要件として、ISMAP対応の事業者はもっと数多くあって、その中で、応募も3社だけだった、採択が2社だけだったというのは、マルチクラウドを標榜するにはやや寂しい結果だと思うのですが、この結果について、どう受け止めていらっしゃいますか。
(答)今お話がありましたとおり、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度であるISMAPに登録されたサービスから調達するということを原則として、一切の紛争は日本の裁判所が管轄するとともに、契約の解釈は日本法に基づくものであることを契約等に担保できることに加え、データセンターの物理的所在地が日本国内であることや、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて、最新かつ最高レベルの情報セキュリティが確保できることなどを選定基準としています。なので、この基準をしっかりと満たしていただいたところが今回の採択につながったというふうに受け止めております。
(問)追加でですが、資格・要件を満たす事業者は、可能性がある事業者はもっといたと思うのですが、そこから応募がなかったということには、デジタル庁としてはどう考えていらっしゃいますか。
(答)これらの基準をしっかりと満たすところ、新年度も公募ができることがありますので、そちらに向けて、今後のことも含めて可能性としてはあり得るというふうに考えます。
(問)わかりました。ありがとうございます。
(問)ガバメントクラウドについてお伺いしたいのですけれども、3事業者が手を挙げられて、今回決まらなかったもう1社というのは海外の企業なのでしょうか。
(答)そちらは公開しないこととさせていただいております。
(問)私もガバメントクラウドに関して質問なのですけれども、今回ガバメントクラウド対象のクラウドサービスの公募の結果が出たということで、AmazonとGoogleというところの米国企業ですけれども、改めて、岸田政権のときにも、一つ海外に過度に依存したクラウドサービスというのを避けて、マルチクラウド化の必要性というのは経済安全保障、または国内での産業の行く末という観点から重視されているというふうにちょっと把握しているんですけれども。改めて、大臣の個人的な見解として、こういう過度にいろいろとIT関係の分野で依存する状況についてというのと、日本に根差した開発運用を行うクラウド事業者の確保・育成という観点で見た場合、これはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。その辺のご見解を伺えればと思います。
(答)国内においてもISMAPと先ほど申し述べたような原則、そして不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて、最新かつ最高レベルの情報セキュリティが確保できる、この選定基準を満たす国産企業がしっかりと育っていくということを一つの可能性として感じているところです。
(問)ちょっと話題が変わって、新しい資本主義の議論が始まりましたけれども、デジタルというところも地方と絡めてテーマには載っていましたけれども、どのようにデジタル庁は、牧島大臣として、この議論には貢献していく、参加していくんでしょうか。教えてください。
(答)デジタル社会にふさわしい地域・地方をつくっていくということは大変重要であるというふうに思っておりますし、岸田総理もデジタル田園都市国家構想ということを掲げておられます。私たちはまたデジタル臨調も立ち上げていくわけですけれども、こうしたデジタル社会にふさわしい国や地方制度、またシステムの構築に向けて環境整備を行っていくことが、デジタルの実装を通じて地方の課題を解決するデジタル田園都市がつくられていく、その実現にも寄与できるものだというふうに考えております。
(問)ちょっと話題が変わってしまうのですが、ワクチンの接種証明のアプリに関して伺います。これまでもデジタル庁の方で、政府の方で、ワクチン接種証明のデジタル化に向けて検討および開発を進められているかと思うのですが、一方で、民間の方でLINEを使ったサービスですとか、あと東京都さんなんかもLINEでクーポンを配付したりみたいな方針を既に示されています。こうした民間ですとか地方自治体でワクチン接種証明のデジタル化の動きが出てきている中で、政府の方で開発検討を進められている接種証明アプリ、ここの連携といいますか、すみ分けといいますか。自治体なり民間で十分なんじゃないかという意見も中にはあるかと思うのですけれども、その辺り、大臣としてはどういうふうに考えているか、お考えをお願いします。
(答)9月17日から30日まで、検討中の仕組みを公表して意見募集を行って、様々なご意見を頂きました。こうした仕組みにしますということも公表を既にさせていただいておりますけれども、こうした9月に意見募集をさせていただいたときにも、民間事業者によるサービスの提供が行われるということも想定して意見募集をしております。また、ユーザー目線に立ったときに、使いやすいものである、使い勝手が良いものであるということも重要だというふうには私たちとしても考えておりますので、民間事業者のサービスの情報も収集しながら進めていくことになろうかと思います。
(問)また私も話が変わりまして、先ほどちらっとお話が出ましたデジタル臨調の立ち上げに向けた検討状況とか、いつごろ立ち上げとかそういったのは固まってきましたでしょうか。教えてください。
(答)デジタル臨調についてはなるべく早期に立ち上げるよう、今準備をさせていただいておりますが、第1回目の会合は、11月の中頃になろうかと思います。
(以上)