牧島大臣記者会見(令和3年11月26日)
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牧島デジタル大臣記者会見要旨
(令和3年11月26日(金)11時50分から11時41分まで 於:紀尾井町20階 記者会見室)
1.発言要旨
冒頭、記者の皆様に一言申し上げさせていただきます。
今般、私どもから記者の皆様にご連絡を行うに際しまして、CCで皆様のアドレスを載せた状態で送信をしてしまったということがございまして、大変ご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げたいと思います。
再発防止をしっかりと行ってまいります。本当にご迷惑をお掛けいたしました。
昨日リリースいたしました、入国者フォローアップシステムについてということで冒頭にお話をさせていただきます。
今月8日に新たな水際対策が実施されたことに伴いまして、海外からの入国者について、我が国の企業などの受け入れ企業等が、あらかじめ行動計画等を所管省庁に申請して審査を受けることが必要だということでスタートをいたしました。
この申請審査の手続に関して、各省担当部局がメール等でばらばらに受け付けるのではなくて、統一のウェブフォームで申請審査が可能になるようにすることで、申請者のみならず、各手続の所管省庁においても利便性向上を目指すものとして昨日リリースをいたしました。
本件についてでございますが、制度の改変に合わせて機動的に機能の修正等をする必要があると考えて、また、早く使い勝手がよいものとするべくリリースを急がねばならないということがあったために、厚労省において既に運用中の実績がある入国者フォローアップシステムを拡張する形で、デジタル庁からシステム提供事業者に業務委託をして実現をさせました。
しかしながら、昨日のリリース直後不具合が発覚いたしまして、申請した受け入れ企業等の登録したパスポート情報などが他の企業等から閲覧可能だったという事象が発生したことから、システム提供事業者において、昨日18時45分から、本日朝7時15分までサービスを停止いたしました。そして、機能を修正いたしました。
あってはならない不具合であり、そして利用される受け入れ企業の方々にもご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げたいと思います。ご迷惑をおかけいたしまして、申し訳ありませんでした。
そして、もう2つ、発言させてください。
もう一つは本日13時から行われる、こどもに関する情報・データ連携副大臣プロジェクトチーム第1回目のご案内です。
こちらオンラインにて開催をいたしますので、是非記者の皆様にもご覧を頂ければということでご案内させていただきます
これまでも議論してまいりましたが、虐待又は貧困を始めとした困難を抱えたこども、又は家庭に対して必要な支援がいきわたるようにしなければならない。そのためには能動的なプッシュ型、アウトリーチ型、ワンストップの支援を実現する必要があると考えております。
この点は秋の行政事業レビューの中でも、自治体の中でデータ連携に関する取りまとめにおいて、必要となるデータや連携を図るべきデータベース、データを収集、連携する上でのボトルネックを特定し、スピード感を持って検討を進めるという指摘がなされたところでございます。
これらを踏まえて、市町村や支援機関等が保有するこどもに関する情報、データの内容、各データを保有する機関等の整理と連携の在り方や先行自治体の状況把握、自治体を対象とした実証の在り方等について検討するため、小林デジタル副大臣を主査といたしまして、内閣府、厚生労働省、文科省の副大臣をメンバーとするプロジェクトチームを本日より始動いたします。
本件に関して1点付け加えさせていただきたいのですが、一部報道で一元化という表現が使われているのを拝見しております。私どもとしては、国が一元的にこどもの情報を管理するデータベースをつくるということは考えておりませんので、そのことを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。まずは自治体でのデータ連携の事例をつくっていきながら、全国の自治体への展開に向けた必要な方策を検討していきたいと考えております。なので、一元化ではなくてデータ連携でございます。
また、こうした取組に当たっての個人情報の保護の重要性を踏まえまして、個人情報保護委員会事務局にも参画をいただく予定になっております。
詳細については本日の会議終了後、小林副大臣からブリーフィングを実施する予定でございます。本プロジェクトチームでの議論を深めて来年の5月から6月ごろを目途に一定の論点整理を取りまとめることとしていますので、これを目指して関係府省とワンチームとなって検討を進めてまいります。
その際、制度面、運用面での課題があれば、デジタル臨時行政調査会の方でも取り上げることを考えてまいります。
もう1点ございます。こちらは11月8日に行われた秋の行政事業レビューにおいて、髙島福岡市長からご指摘があった点でございます。
引っ越しをした住民に関してですが、本人同意がなければ過去の他自治体での接種履歴の照会ができないということですと、3回目接種の実施に当たって混乱を招く恐れがあるとの指摘がございました。
それを受けて、16日木曜日に行われたデジタル臨時行政調査会においても、岸田総理からワクチン3回目接種を円滑に進めるため、デジタル大臣を中心に引っ越しに伴うデータ連携の取組を進めるよう指示がございました。
これらを踏まえまして、現在、マイナンバー法第19条第16号の規定に基づき特定個人情報の提供が可能となる、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合において、本人の同意があり、又は本人同意を得ることが困難であるときに該当するものとして運用されている、ワクチン接種記録システムVRSを用いた他自治体にある接種履歴の照会に関して、デジタル庁において自治体の実務の状況等をヒアリングの上、ワクチン接種記録の取り扱いに係る本人同意の法的整理を行いました。
具体的には、今般、新型コロナ感染症対策を緊急的に検討する中において、追加の3回目接種の実施方針が決定され、3回目接種のためにあらかじめ同意を取得する運用を定めることは困難であったところ。加えて、感染対策で窓口混雑の抑制、接触制限が求められている中において、2回接種をした後、原則8カ月が経過した者について、早期に接種が可能となるよう3回目の接種券を送付することが望ましく、時間的制約がある中で、1、2回目接種の際よりも多くの転出入者が見込まれる中、接種券を送付すべき時期までに本人の同意を得ることが困難であることが想定されること。
これらを踏まえて3回目の接種券送付のため、転出前の市町村の接種記録を照会することについては、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であり、本人の同意を得ることが困難なときに該当するものと解釈を整理し、明確にお示しすることといたしました。
これにより、自治体においては転入者への3回目の接種券の送付等に当たっての接種歴の確認をバックオフィスで効率的に行うことができるようになり、住民にとって、接種券が届かないといったような状況も未然に防ぐことができると考えております。
今後VRSの改修に要する期間を踏まえ、12月中旬から本人同意がない場合でもVRSでの他自治体への接種履歴の確認を可能とする予定です。
具体的な運用開始日時の詳細については、今後事務連絡等で自治体へお知らせいたします。
今般のワクチン接種記録の取り扱いを端緒に浮き彫りになった自治体間のデータ連携における課題については、デジタル臨調でもテーマの一つとして取り組むこととしておりますので、さらにデジタルを活用した改革に取り組んでいきたいと思います。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)一番最初にお話のあったシステムの不具合についてなんですけれども、そのパスポートの閲覧を他の企業が閲覧できるようになっていたとういう不具合だったと思うのですけれども、そこというのはすごくこのシステムにおいて根幹の部分、一番重要な部分かなと思っているのですが、そこで不具合が起きた原因というのはどういったところなのでしょうか。
(答)現時点では、具体的に同じタイミングでログインした複数の受け入れ責任者から、アップロードしたデータが混在して保存される状態にあったものというふうに聞いております。
その結果、受け入れ企業28社から入力をいただいた34人分の入国予定者について、2社ごとに相互に閲覧可能になってしまっておりました。
本日朝までにプログラムを修正し、34人分のデータをしっかりとした格納場所に適切に戻すという修正を行って、テストを行った上で7時15分にシステムを再開させていただきました。
該当の受け入れ責任者の皆様、そしてサービス利用ができない時間をつくってしまいましたので、大変ご不便をおかけしたということを申し訳なく思っています。
(問)今の点についてですけれども、この不具合が発覚した経緯といいますか、どのようにデジタル庁側でそのような不具合が起きているというふうに発覚したのか教えてください。
(答)受け入れ企業のログインをされた方がご自身の社の情報ではないものが同じ場所に格納されているのではないかということで、ご連絡を受けたというふうに聞いております。
(問)子どもに関するデータベースに関してお伺いしたいのですが、これの目的は虐待とか貧困の防止というか、そういう家庭を自治体間で情報共有するということでよろしいのでしょうか。
これを広げて、子どもの学力そのものをもう少し自治体間で連携を深めるといったような、学力データベースというか、そういったものとして転用していくというか、広げていくといったような考え方はあるのでしょうか。
(答)いや、今後そこは小林副大臣を主査とした会議の中で具体的な議論は深められることになると思いますけれども、こどもをしっかりと見守っていくということが大変重要である、そして準公共分野としてこどもというものを私たちデジタル庁としても取組の一環として位置付けさせていただく中で、様々なデータがあると思います。
既に自治体の中で行っている事例を秋のレビューでも聞かせていただきましたけれども、学びへの意欲ということでお子さんの現状が把握されるというケースもあるでしょうし、又はいわゆる学校での成績というものもその一つではあると思いますが、それ以外の項目も数多く候補としては出ております。
健康診断の結果とかもそうだと思いますが、そうしたものを総合的にデータとしてどのように整理ができるのかというのは、正に今日から議論が始まるというところだと思います。
(問)じゃ、基本的な目的としては、まずは虐待とか貧困というところにフォーカスを当てて実施をされていくということでよろしいでしょうか。
(答)ただ、プロジェクトチームの名称は、こどもに関する情報・データ連携ですので、特段一つのテーマということに閉じるものではないとは思いますけれども。まずは貧困や虐待を始めとした、困難を抱えるこどもさんをいち早く救っていかなければならないというところは一つ大きな示唆として持ってスタートしたいと思います。
(問)冒頭にあった入国者のフォローアップシステムの不具合についてなんですけれども、自社の情報でないものが閲覧できる状況だったということですが、具体的にどのようなデータを閲覧することができたのでしょうか。
(答)あってはならないことではありますが、パスポート情報などということ、それから滞在中の行動計画といったものと報告を受けております。
このダウンロードを万が一、してしまっている場合は、消去をお願いしていくということになります。
また、個人情報保護委員会に対して、データを保有しているのは委託事業者の方でございますので、委託事業者から個人情報保護委員会に報告をしていくという手続は、既に開始しているというふうに報告は受けております。
すみません、もう1点。このシステムはデジタル庁で開発したものではなくて、厚労省においてこの入国者フォローアップシステムの運用実績のある事業者が開発運用を行ったもので、デジタル庁としては業務委託を行ってサービス提供を受けているものですので、この事業者の方でしっかり個人情報保護委員会の方に手続をしてもらうということになっています。
(問)接触確認アプリのCOCOAのバージョンアップで不具合があったとの発表がありました。こちら改めて大臣から事実関係と、あとCOCOAは以前にも通知が届かないなどの不具合がありましたが、そちらの受けとめをお願いします。
(答)昨日、COCOAアップデート版の配布をさせていただきました。
それを受けまして、特定の条件下でアップデートを行った際、COCOAを起動するとすぐに強制終了するということが発生しております。
こちらも利用者の皆様にはご不便をおかけしておりまして、申し訳なく思っております。
現在、修正版の開発を終えて最終審査を行っているところです。また、GitHub上でも原因究明等にご協力いただいている方々もおりまして、皆様のご支援にも感謝を申し上げます。
複数の組み合わせによって、バージョンアップをした場合にこうした不具合が起きてしまった、テスト段階では十分に検知できなかった不具合だったという報告を受けております。
しっかりと改修を行って、修正版の開発は終わっていますが、最終審査を行った上でリリースの段取りに入っていく必要があるだろうと思います。
(問)リリースのめどなどは立ったのでしょうか。
(答)それぞれiOS版とAndroid版でリリースのタイミング、どのように審査を終了させていくかというところを今、行っている最中というふうに聞いております。
(問)2点お伺いしたくて、1点が今のCOCOAについて。COCOAのExposure Notification APIについて、結構複雑な仕組みというのもあって、しかも開発された当初の去年の段階とは今は全然状況が違い、また各国でも有効活用している例がなかなかないという現状をお伺いしております。
また、専門家の方たちからも、今後についてこのまま運用していくのか、そういうでない方法もあり得るのではということがご意見としてあったと思うのですが、こちらはどうお考えになっているかお伺いできますでしょうか。
(答)COCOAの役割については厚生労働省の方でも議論をされるだろうというふうには思っております。
コロナ対応の全体の中で総合的に勘案するということだと思っておりますし、現時点でバージョンの対応ということで改修が予定されているものがあるというのは、デジタル庁として報告を受けておりますけれども、全体像とも関わることだと思いますし、厚労省にも考えていただくべきテーマとして私どもとしては位置付けているのがCOCOAでございます。
(問)もう1点がVRSについて。大臣がおっしゃられた3点目についてなんですけれど、これは自治体間のデータ連携、12月中旬の改修後にできるようになるというものについて、これは転出入に伴うものに限定したもので、何か通知のような形で自治体の方ができるようになるという理解でよろしいでしょうか。
(答)12月中旬からスタートできるようにということで、今、準備をさせていただいております。
3回目の接種、当初から具体的に想定されていたものではなかったことで、本人同意を転入時にあらかじめ取得することは困難であったので、髙島市長からこういうご指摘がございました。
今回法律の解釈をしっかりと明確にさせていただいていますので、これによってそれぞれの自治体がまず行っていただくのは、私たちとしても行っていかなければならないのですが、本人同意を取得しましたかというチェックボックスにチェックを入れるということになっていたのですけれども、このチェックボックス機能をまずは削除いたします。
それから、本人同意なしでの照会機能の利用に当たっては、VRSの利用開始時に各自治体に承諾をいただいた利用規約があります。この利用規約について規約の変更の承諾をしていただかなければならないので、利用規約の変更を承諾した自治体がこの照会機能を利用できるというように機能としても制御を追加させていただくことになります。
これは、転入された自治体も転出元の自治体も両方チェックをするということで、この照会機能が使えるようになりますので、順次しっかりと各自治体の皆様にはご案内をさせていただいて、規約の変更の承諾をしていただいて、1,741自治体全てが1日にして承諾が終了しないとも思いますが、すぐにスタートはさせていきながら、お互いに転入元、転出先、できるところは照会できるようにするというふうにしたいと思います。
(問)自治体の方たちへのご説明はいつぐらいから始めるというのでしょうか。
(答)自治体の皆さんへのご説明は近々に行う、12月頭頃までには行わなければならないなというふうには思っております。
(問)私もVRSも引っ越しの関係を伺いたいのですけれども、マイナンバー法の解釈の考え方の整理で、本人同意が困難な場合というのが引っ越ししたということが当てはまるのか、それとも、本人同意を一応得ようと努力して、駄目だった場合とか、そういう限定をされるのかというところを伺ってもよろしいですか。
(答)限定されるものではないです。
この本人同意を得ることが困難である場合ということ自体が、3回目の接種の実施において、またこのコロナ禍での状況でお引っ越しをされた方にお引っ越しをされた時点で、そのことを接種が1回目、2回目が終わっていますかということが聞くことができなかったという自治体の方が多いわけですので、そういう意味で、本人同意を得ることが困難であった場合に該当するということを明確化させていただきました。
(問)今回の3回目に向けて実際に自治体で困っている声とかが出ていたということもあると思うのですけれども、マイナンバー法の解釈というか考え方で、これまでは本人同意がいるということとされてきたことが、整理したことで不要になるということで、マイナンバー法の考え方の解釈の変更というのが今後、他のことにおいても肥大化というか、していくんじゃないかという懸念も出てくるかと思うのですけれども、そういったことへの歯止めというか、慎重さというのはどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)解釈の変更ではありません。
マイナンバー法第19条第16号の中で既に、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合において本人の同意があり、又は本人同意を得ることが困難であるとき、というのは既に書いてあるので、この本人同意を得ることが困難であるときというところに該当するということを明確化したということですので、あらかじめ第19号第16号の規定の中に書いてあるものに当てはまりますということをここで明確にしたということです。
(問)これまでは明確にされていなかったので、自治体の方ではなかなかできなかったことを明確にすることでできるようにするという。
(答)そのとおりです、はい。
(以上)