牧島大臣記者会見(令和4年5月13日)
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牧島デジタル大臣記者会見要旨
(令和4年5月13日(金)9時50分から10時06分まで 於:オンライン)
1.発言要旨
まずは冒頭発言させていただきます。5月6日から11日まで、エストニア、フィンランド及びドイツを訪問いたしました。デジタル大臣就任以来初の海外出張でございました。2回のオンライン会見に、時差があるにも関わらず、ご参加をいただきました皆様、本当にありがとうございました。共同記者会見という経験もさせていただいたところです。
ドイツでは、G7デジタル大臣会合に出席をして、日本のデジタル化の司令塔としてのデジタル庁の役割と取組を発信することができたと思っています。来年2023年日本主催のG7会合に向けて、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)等に係る考えを発信いたしました。また、ドイツ、カナダ、英国との間で会談を実施いたしました。日本主催G7会合に向けて関係国との信頼関係が構築できた、考えの共有、協力強化の確認を行うことができたというふうに思っております。
特筆すべき点としては、やはり、本年のG7デジタル大臣会合はウクライナ情勢を受けてサイバーレジリエンスについて特別のセッションも開催されたということだと思います。
ロシアによるウクライナ侵略を始めとする困難に世界が直面している中で、価値を共有するG7として、サイバーレジリエンスやデジタルという先進的な課題について、結束して力強いメッセージを打ち出すことができたことは、大きな成果でありました。
また、今回の出張は、二国間関係の強化という意味でも重要なものでした。
G7会合に際しては、ドイツ、カナダ、英国と二国間の会談を行いました。特に英国とは、先般立ち上げられた日英デジタル・グループの推進にデジタル庁としてしっかりと取り組むことや、デジタル庁と政府デジタルサービス(GDS)とのデジタル人材育成等の協力推進について議論ができました。先方からは、デジタル田園都市国家構想についての関心が大変高いものとして示されたのも印象的でした。
エストニアとフィンランドでは、まずエストニアのスット起業IT大臣とデジタル分野の協力強化に向けた協力覚書(MOC)の署名を行っています。デジタル関連の大臣との間で、昨今の国際情勢を踏まえたサイバーレジリエンス、サイバーセキュリティを含むデジタル分野について認識を共有するということができましたので、さらに協力が強いものになるだろうというふうに思います。
今回の出張全体を通じてですけれども、デジタル及びサイバーセキュリティ分野における日本の取組を発信するとともに、これらの分野における協力関係を構築すること、そして今後の二国間の関係強化につなげていくこと、またG7各国との協力・協働を進めていくということが大事であるということを改めて認識したところです。
もう1点ご報告申し上げます。日EUデジタルパートナーシップについてです。こちらは昨年の夏以降EU側から提案がありまして、協議を経て、今般、日EU定期首脳協議において、両首脳間で立ち上げ合意ということになりました。
首脳間の合意に至ったことを大変喜ばしいことだというふうに思っています。
この枠組は、日EU間のデジタル分野での協力を総括する枠組として位置付けられています。
その目的は、経済成長を促進するとともに、日EU間の共通の価値、及び、特にデータについて「信頼性のある自由なデータ流通」(DFFT)の重要性について、日EUの共通認識を踏まえて、包摂的で持続可能かつ人間中心のデジタル化を通じた持続可能な社会を達成するために、幅広いデジタル事項の協力を前進させることにあります。
具体的な対象分野、例えば5G、Beyond5G/6G技術、AI、半導体サプライチェーン、デジタル・インフラ、DFFTを含むデータ、デジタル貿易、トラストサービス、スキル、中小企業等が挙げられています。
今後、デジタルパートナーシップを推進する枠組として、閣僚級の「日EUデジタルパートナーシップ会合」を設置することにしていますので、こうした会合を通じて、パートナーシップの深化を図ってまいります。
このパートナーシップは、DFFTの具体化に向けた取組の一環としても重要なものとなります。このパートナーシップを通じて、来年の2023年日本主催G7会合に向けて、引き続き、DFFTの具体化について積極的な提案をするべく取り組んでまいります。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)今の冒頭にご発言がありました、日EUデジタルパートナーシップについてお伺いいたします。このデジタルパートナーシップ、これまでも経産省であったり、総務省の方では、事務次官級の既存の枠組がございましたけれども、今回この日EUデジタルパートナーシップが結ばれたことの意義について教えてください。また、対象の優先分野、いくつか挙げられていると思うんですけれども、大臣として特に進めていきたい分野がございましたら、具体的に教えてください。
(答)デジタルパートナーシップ、日EU間のこのデジタル分野の協力については、包括的な枠組ということになります。既存の枠組いくつかありますけれども、その重複は避けています。新たな課題や既存の枠組を超えた連携が必要な課題について対応していくということを想定しているものでございます。
(問)今の点なんですけれども、今後対象とする、優先する分野というのをセクション4でいくつか挙げられてると思うんですけれども、具体的に大臣として、この分野はぜひ進めていきたいというものがありましたら教えていただけますか。
(答)DFFT、今後、G7会合に向けて具体的に進めていくということになると思います。G7会合の中でもトラストの在り方とデータを自由に流通させるということと、プライバシー等をどのように保護していくのかということなどを各国での取組もありますから、その辺り、議論をすることになるのではないか、それから人間中心のデジタルトランスフォーメーションとか、人間に基軸を置いた技術の発展についてということもEU諸国の中で大変高い関心があるなということを今回三か国を周りながら実感していますので、そうしたところも議論したい、それから、中小企業のお話というのも、各国からあらゆるところで出てきています。その辺りも議論になり得るかなというふうにも思っているところです。
(問)1点目はですね、G7によるウクライナ支援の進捗状況についてお伺いしたいと思います。ウクライナ側から要請リストを提示するという流れになっていたかと思うんですけれども、議長国にでしょうか、提示というのはあったのでしょうか。また、もし既に要請が出ているのであれば、日本としてはどのような役割を担う方向でしょうか。お願いいたします。
(答)昨日の最後の記者会見の中でも、まだ送付されていないという状況でありましたので、恐らく現時点でも送付はされていないのではないかという認識を私自身は持っております。ただ、いつでもG7はウクライナ側に立ち、ウクライナの皆様のために協力をするということを決めていますから、閣僚宣言を踏まえて、今後ウクライナからどういった支援が必要なのかということを議長国であるドイツを中心に議論していくことになるのではないかというふうに想定しています。
サイバーレジリエンスのセッションでは、「2022年3月24日のG7首脳声明に沿って、我々は、ウクライナがサイバーインシデントに対し、そのネットワークを守ることを支援する取組を継続することにコミットする」という内容、これが閣僚宣言として採択をされています。なので、閣僚宣言として、首脳声明がG7出ていますので、これに沿って各国動くというのが基本的なライン、そして具体的な要請リストはこれからであろうと思われること、そして議長国のドイツを中心に議論していった上で、しっかりと私たちとしてもドイツと連携をする、他のG7諸国とも連携をするということだと考えています。
(問)もう1点お伺いします。G7閣僚宣言の取りまとめに当たって、ちょっとお伺いしたいんですが、各国の利害調整というのが難しかったテーマというのはどういったものだったでしょうか。市場の規制といったところは、温度差結構ありそうだと思うんですけれども、普遍的な価値を共有するG7各国、その中でも壁を感じた点というのは、どのようなところにあったのか差し支えない範囲で結構ですので伺えますでしょうか。
(答)大臣会合の中では壁を感じるような場面や、利害が対立するような場面はありませんでした。今回は、ウクライナ情勢を受けてというところもあったと思いますけれども、やはりG7各国、基本的な認識や考え方は同じだと、共有しているというところがベースラインとしてかなり強く出てきていたというふうに私としては受けとめております。なので、私の感覚・感触としては、基本的な認識を共有した上で、取りまとめられていったのがこの今回の閣僚宣言であったというふうに感じています。
恐らく、もちろん、こうした国際的に皆で決めていく宣言は、それぞれの国の事務レベルにおいては、どういう表現が一番しっくりくるのかといったようなことは議論をされる、これは他の会議も含めて当然のこととしてあったというふうに思いますけれども、基本的なラインは共有していた、そして、データ流通とプライバシー、セキュリティのバランス、これもデジタルの政策を語る上で、それもまたどこの国であっても、どのような会議であっても、議論のトピックになるものでございますので、そうしたところは整理をしながらではありましたけれども、いずれにしても価値を共有するG7である、そしてそれを世界に向けてワンボイスで結束して、力強いメッセージとして打ち出す、ここが今回のG7デジタル大臣会合の目的でありましたし、その目的を達することができたというふうに受けとめています。
(問)今回の議題の一つにも挙がったDFFTについて教えてください。今後、その提言の具体化に取り組んでいかれるということですが、日本としてはどのようなですね、政策面への反映を目標に掲げていくお考えでしょうか。その点を教えてください。
(答)もうご案内のとおり、DFFTは日本がまず提唱した枠組であるということ、そしてこのトラストというものをどのように構築していくのか、私たちの中には、テクノロジーをベースにしたトラストの構築ということも一つ技術的に持っているものがありますので、そうしたことも各国と今後共有することができるのではないかなというふうに思います。
このデータフリーフローの部分をどの政策分野でとか、どのような産業分野で行っていくのかということも含めて、オープンな議論が今後なされることが期待されるのだろうと、これが今年の会合の中で私自身が感じたところでもあります。既に、もちろん、去年のロンドンで、そして今年のドイツで、具体的な行動に向けてのコメントというものはいただいていますので、それを踏まえながらではありますが、具体的な協力に向けての調整というのは、今後、来年に向けてドイツと、そしてイギリスと、日本とで協力しながら方向性を見つけていく必要があるのではないかなというふうに思っています。
(問)追加でなんですが、今、EUとの間では、個人情報保護の十分性の認定があって、企業はデータを移転しやすい状況にございますが、それ以外の具体的な用途や実際に実現することはイメージとしてございますでしょうか。
(答)その部分もこれからだと思います。もちろんEU以外の国との連携というものもG7という枠組みの中では考えていく必要があると思いますので、それぞれの国で今まで研究されてきている自由なデータ流通の在り方とか、信頼性を確保するための技術とか、持ち寄りながら、また来年に向けて具体的な分野を研究していきたいというふうに思っています。
(以上)