デジタル庁入札等監視委員会(第6回)
概要
- 開催日:令和7年3月13日(木)
- 場所:デジタル庁共用中会議室
- 委員名(敬称略・五十音順):
- 金子 良太 國學院大學経済学部 教授
- 川澤 良子 Social Policy Lab 株式会社 代表取締役
- 持永 勇一 早稲田大学大学院会計研究科 教授
- 審議対象期間:令和6年(2024年)4月1日 から令和6年(2024年)9月30 日
- 抽出案件数:3件(対象案件408件)
- 審議案件数:3件
資料
議事概要
適合確認ツール、適合確認ウェブサイト及び標準化基準管理機能の保守・改修業務
- 通し番号:25-03-01
- 契約方式:一般競争契約(総合評価落札方式)
- 契約相手方:株式会社グランドユニット
- 契約金額:24,491,500円
- 契約締結日:令和6年(2024年)9月10日
意見・質問 | 回答 |
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令和5年度の落札者は、今回の調達案件に応札、参加しなかったのか。 | 前回の落札事業者は参加しておらず、前回の落札事業者からシステム開発の再委託を受けた事業者が今回の調達に参加している。 |
本調達は、価格点で非常に大きな差が付くこととなったものであるが、履行された業務内容に問題はなかったか。 | 前年度に作成したツールから大きな改修が入らなかったため、特段現時点では大きな問題及び影響はない。 |
プロポーザル型企画競争で調達を実施することのメリットは大きいのではないか。 | 昨年12 月の閣議決定において基本方針が改定されたが、これは本適合確認ツールに大きな影響を及ぼすものである。このため、来年度に関してはプロポーザル型企画競争による調達ができないか、検討の上準備を進めている。 |
次回の調達をプロポーザル型企画競争にて実施する方針に異論はない。しかし、落札事業者のリスクの見積りが比較的楽観的であることが判明したことも踏まえ、想定されるリスクは仕様書に書き込んだ方が良いと考える。 | 承知した。 |
貴庁側に想定外の工数がかかってしまうのを防ぐために、仕様書上にどのような工夫が必要と考えているか。 | マネジメントの部分など、業務の役割分担を整理し、その整理した業務内容に則って事業者に対応いただけるよう、調達仕様書にしっかりと記載したい。 |
公共工事等は、ある程度契約が形式化されており、事業者と行政の役割が明確化されている。それに対し、システム調達の場合は、各案件の個別性が高くてそこが読みにくい。役割を明確化するにあたり、庁全体として共通的なガイドラインなどはあるのか。あるのであれば、マネジメント部分に特化したようなものはあるか。 | 仕様書に関しては、過去の調達仕様書をデータベース化し、誰でも確認できるようにしている。また、仕様書作成の相談先として、これら業務に経験の深い人からアドバイスを受けられる仕組みを設けている。なお、マネジメント部分に特化したようなガイドラインは特に思い当たるものはない。 |
マネジメントに関しては、価格点と技術点の配分がある程度事前に調整できないか。 | プロジェクトの実行能力・体制という項目で評価を行っているところ、基本的にはできて当たり前という観点でいた。プロジェクトのマネジメント能力の評価項目をより精査・確認していく必要があり、反省点として生かしたい。 |
総合評価基準表の改修業務のプロジェクト理解度項目に、審査員間で差がついている。大きくぶれるのはなぜか。 | 企画提案書が、当庁側が示した調達仕様書の内容を最低限オウム返しするような提案であったため、低評価がつけきれずに差が出た。より具体的に調達仕様書に要望を記載し、詳細な提案を受けて判断する形にすべきだったと反省している。 |
本仕様書において、「記載以外の改修が発生する可能性についても留意すること」とある。ある程度具体的に示し、改修の発生可能性に関わる工数を項目立てし、必ず見積もることとした方がいいのではないか。 | 承知した。 |
本仕様書において、体制につき、「適切な品質を期待できないと判断した場合、要員の変更または追加を要請する場合、速やかに応じること」とされているが、要請はしなかったのか。 | バックアップメンバーを投入するように交渉を行ったところ、事業者都合により見送られた。ご指摘いただいたとおり、改修の中身が分かっているものに関しては、仕様書に具体的な項目として記載していかなければいけない。 |
本仕様書において、統括責任者の条件が記載されているところ、事業者による品質の管理が十分になされていなかった。その役割も書き込まれた方がいいのではないか。 | 承知した。 |
低入札であることに関しては、貴庁による妥当性の検証が行われ、また貴庁自らその工程のプロセスにおける管理等のサポートを行うことでこの案件が遂行されたことが理解できた。今回、貴庁側に間接的な工数がかかってしまったところ、既に仕様書、評価基準表等には記載等されているが、今般認識されたことをより高度に仕様書、評価基準表に織り込むことが望まれる。本仕様書において、統括責任者の条件が記載されているところ、事業者による品質の管理が十分になされていなかった。その役割も書き込まれた方がいいのではないか。 |
2024 年度(令和6年度)情報提供等記録開示システムに関する設計・開発及び運用・保守業務一式
- 通し番号:25-03-02
- 契約方式:随意契約(公募)
- 契約相手方:アクセンチュア株式会社
- 契約金額:4,720,694,000円
- 契約締結日:令和6年(2024年)4月1日
情報提供等記録開示システムバックエンド機能の再構築及び運用保守業務一式
- 通し番号:25-03-03
- 契約方式:随意契約(企画競争)
- 契約相手方:アクセンチュア株式会社
- 契約金額:16,940,000,000円
- 契約締結日:令和6年(2024年)6月6日
意見・質問 | 回答 |
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情報提供等記録開示システムの調達の全体像を説明してほしい。 | 2014 年12 月に当時の内閣官房社会保障改革担当室により開発が始まり、2021 年9月にデジタル庁に移管された。以降、デジタル庁が情報提供等記録開示システムの開発・運用を行っており、今年度分の開発・運用の契約として、2024 年度(令和6年度)情報提供等記録開示システムに関する設計・開発及び運用・保守業務一式の調達を実施した。情報提供等記録開示システムバックエンド機能の再構築及び運用保守業務一式については、情報提供等記録開示システムのシステム更改のために調達をしているもの。 |
根本的な話として、情報提供等記録開示システムで何をやりたいかという各省の要望が出れば、変更契約で対応せざるを得ない状況もあるのか。 | 然り。当庁のみで仕様や対応時期を決められる性質のものばかりではなく、各省庁で対応すべき案件が発生すると、デジタル化を推進する立場にある我々と連携した上で、積極的に対応を進めていく必要がある。 |
変更契約において、開発のリストに新たに加わったものがある一方で、前回の変更契約ではリストにあったにも関わらず、次のリストからは無くなった案件がある。追加開発だけであれば単純であるが、開発が不要となったものがある場合に、無駄な工数が発生していないかなど、合理的に管理を行っているのか。 | 変更契約の開発案件リストに載せているものは当該契約時点で既存の契約のスコープにはない対応が発生したものである。そのため既存の契約において既にスコープとなっているものについては、リストに載せるものでもないとしてリストには記載していない。追加開発については、当初契約時点に、制度所管省庁が要件を固めきれず盛り込めなかったが、内容が固まったため変更契約を締結したものである。 |
変更契約によりかなり工数が増えると思うが、体制としてどの段階で交渉を行うのか。 | 要件が固まっていないものやシステム開発中に当初予定していた事項からの変更などが多々あるため、2024 年度は上期と下期で契約を分割し、下期の工数が固まり次第交渉を行った。 |
追加業務への対応ができるのは、現行事業者になるか。 | 2014 年から継続して追加開発をしてきたシステムであるため、モノシリックな状態になっており、一部を改修するために全体に影響するため費用が高くかかってしまうところ。これを解消すべく、まずはフロントエンドとバックエンドを分離した。分離したことで、例えば小規模の画面改修などは、少ない工数で刷新できるようになった。一方、バックエンドはまだ規模の大きなシステムとなっているので、これを分割し、ひとつずつを小さくしていく方向で、今回の調達を実施した。 |
現時点においては、移行段階にあるのか。 | ご認識のとおりである。 |
ここまで変更契約が行われると、現実的に対応できる事業者が一者に確定してしまうおそれがある。今後、同種案件であればこの変更契約が続いていくのか。 | 調達に係る問題の大きなものの一つとして変更契約を挙げており、変更金額の幅が4割を超えないことや2回以上の変更は行わないことを原則とするルールを策定し、原則から外れるものは真に必要性があるか細かくチェックを行っている。本件のような案件も関連する大きな調達が完了したら、今回の経験を踏まえ次回以降の調達においてはより工夫すべきと考えている。 |
契約金額が大きいものに関して、このような変更契約が多い。契約額総額に占める割合は大きくなっている。 | その傾向はあると思われる。 |
各省庁からの要望により、変更契約せざるを得なかったという話だが、予算管理はどのようになっているのか。 | 追加機能を各省庁から刈り取り、予算要求をしている。予算要求上で俎上に上がっていなかったものについては、予算がなければ断るしかない。しかしながら、政治的に取り急ぎ対応せざるを得ないものも飛び込んでくるため、その場合は何かの開発を諦めるなどの調整も起こり得る。 |
事業者は事前に仕様変更の見通しが立っているのか。 | 予算要求のための見積書を作成依頼するにあたり、事業者側で一定の開発の予定は立てられるものと考える。 |
本日の審議を経て、情報提供等記録開示システムが貴庁のミッションとしてデジタル化を進展する中で成長・拡大期にあるということを理解した。また、変更契約についても、要件定義ができないものが要件定義できるようになった結果としての追加機能の開発として、これも情報提供等記録開示システムが拡大期にある中で、正当な手続きを踏んで行われていることも理解した。また、これだけ非常に大きいシステムであるところ、現状の過渡期が過ぎれば、新規の参入者が調達に参加できるように将来を見据えて改善活動が行われていることが理解できた。今後、貴庁のデジタル化推進というミッションを強力に進めながら、調達活動をより合理的に進めていっていただきたい。 |