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河野大臣記者会見(令和5年3月28日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年3月28日(火)13時10分から13時35分まで 於:オンライン)

1.発言要旨

まず消費者担当大臣として、景品表示法に基づく新たな告示の指定についてお知らせいたします。

広告であるにもかかわらず広告であることを隠している、いわゆる「ステルスマーケティング」について、本日、景品表示法第5条第3号に基づいて、新たな不当表示として、告示による指定を行いました。また、事業者の予見可能性を確保するため、告示の運用基準についても併せて公表したところです。

新たな告示の施行後は、外形上は第三者の表示のように見えるけれども、実際には事業者がその表示の内容の決定に関与しているものについて、一般消費者に事業者の広告であるということがわかるようになっていなければ、景品表示法上の不当表示に該当し、措置命令などの行政処分の対象となることになります。

新たな告示の施行は、今年10月1日からを予定しております。ただ多くの消費者、事業者に関係することですので、施行までの間に、関係者に対して、十分な周知徹底、あるいはコミュニケーションをとることによって、規制の実効性を高めていきたいと思っております。

2つ目、「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更の閣議決定について報告いたします。

今日の閣議において、「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更を決定いたしました。基本方針は、国や地方公共団体だけでなく、消費者、事業者、教職員など、幅広い消費者教育の担い手のための指針となるものであります。

今回の基本方針では、基本的な視点として、多様な消費者の特性を踏まえたきめ細やかな対応、デジタル化への対応、消費者市民社会の一員としての行動の促進、消費者による自ら及び相互に「学ぶ」「考える」「行動する」ことの促進、以上4点を定めました。その上で、多様な主体の連携を促進するために、消費者教育コーディネーターの機能強化を図る、また、今後KPIの検討・設定を進めるということにいたしました。

消費者庁として新たな方針を踏まえて、引き続き文部科学省を始めとする関係省庁と緊密に連携して取組を進めてまいりたいと思います。

3つ目、地方公共団体におけるアナログ規制の見直しにつきまして、今般、デジタル庁において公募した地方公共団体とも連携し、その具体的な課題調査を行うことといたしました。

国の法令によるアナログ規制約1万条項について、昨年末に策定した工程表に基づいて、順次、見直しを進めているところでありますが、地方公共団体の条例等について、昨年11月に公表しました「地方公共団体におけるアナログ規制の点検・見直しマニュアル」で紹介した手順案、先行事例を踏まえ、各団体において自主的に取り組んでいただいているところであります。

全国の取組を支援するという観点から、今般、デジタル庁において公募しました地方公共団体とともに、条例等におけるアナログ規制の点検や見直しの検討を行うことといたしました。具体的には、現時点で962条項のアナログ規制の洗い出しを行っている大分県、現時点で475条項のアナログ規制の洗い出しを既に行っている福岡市の協力を受けながら、デジタル庁において公募しました地方公共団体の条例等の中で、特に見直しの効果が高いアナログ規制について見直しの検討を行っていきます。

公募の結果、大分県・福岡市を含め、全体で都道府県5団体、政令市2団体、一般市8団体、合計15の団体にご協力をいただくことになりました。検討結果は、年内を目途に行うマニュアルの改定を通じて、全国に共有し、各団体の取組の参考としていただきたいと思っております。引き続き、地方公共団体の取組を支援してまいります。

マイナポータルのAPIを利用して有料道路の障がい者割引事前登録サービスを昨日から開始いたしました。具体的には、障害のある方を対象にした有料道路の割引について、ETCを利用する場合のオンライン申請サービスを始めました。

これまでは、この割引制度の適用を受けるためには、事前に市区町村の福祉担当窓口で手続を行う必要がありましたが、今回、マイナポータルのAPIを利用して、障がい者手帳の情報を連携することで、市区町村の窓口を訪れなくとも、オンラインで、割引を受けるための事前手続きができるようになりました。これは、障害のある方の利便性向上に大きく寄与できるのではないかと思っております。

今後も、このマイナポータルのAPIを活用した利便性の高いサービスの提供を拡大していきたいと思っております。先日の会見で、デジタル庁でこのマイナポータルのAPIを利用したハッカソンを開催することをお伝えしております。このハッカソンに多くの方に参加いただいて、独創的なアイディアの提案をしていただきたいと思っております。4月17日にはハッカソン開催に先立ってプレイベントを行う予定ですので、ぜひご参加、ご覧いただきたいと思います。

昨日、人事院におきまして、「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の最終報告が公表されました。

今回の最終報告では、「選択的週休3日制」の導入、「フレックスタイム制の更なる柔軟化」、職員の希望に応じた「テレワークの推進」、「勤務間インターバルの確保」に向けた取組など、国家公務員の柔軟な働き方について新たな姿が示されており、評価したいと思います。

霞が関の職員が意欲と能力を最大限に発揮できるよう、場所と時間にとらわれず柔軟に働ける環境を実現していきたいと思っております。この報告を実行に移していく上で、公務部門における業務の予見性を高める必要があると考えております。週休3日、フレックスタイム、テレワーク、こうしたものを導入するためには、先々の働き方がわかっていないとできない部分がありますので、これについては国会の一層のご理解、ご協力をお願いしたいと思っております。

2.質疑応答

(問)国家公務員制度担当大臣として1点お伺いさせてください。大臣、去年の臨時国会で国会の実態調査というのをされたと思います。その中で、官僚の方が全ての答弁の作成を終えた時間というのが、たしか平均が深夜3時とかだったと思うのですけれども、大臣は今回の国会でも実態調査をする考えを示されていると思います。今日、参議院の方でも予算の採決を控えている中で、これから常任委員会も本格的に動き出してくると思いますけれども、大臣、今国会でどのような形での調査をするお考えか、具体的に決まっていることがあれば教えてください。

(答)今回も調査をしっかりやってまいりたいと思っております。各省庁にあまり調査が負担にならないようにしたいと思いますので、今、項目その他は詰めているところでございますが、予算委員会も終わりまして常任委員会スタートしていきますので、なるべく早めにお知らせできるように詰めるものは詰めていきたいと思っております。

(問)前回の調査よりも更に項目を増やしたりだとか、少しマイナーチェンジしたりとか、そういうお考えは、念頭にありますでしょうか。

(答)前回、取れなかったところもしっかり取れるようにしたいとは思っておりますが、調査そのものが負担になってもいけませんので、やり方についてどういうふうにするのがいいのか、そこは検討していきたいと思っております。

(問)今国会では大臣として衆参の予算委員会の答弁に立たれていますけども、河野大臣の実感として、この質問通告の遅さというのは改善されているのかどうか。また、河野大臣に限らず、質疑者の質問通告というのは、全体的に肌感としてはまだ遅いケースがあるかどうか、その点をお伺いできればと思います。

(答)以前より早くなったのではないかと思われる節もありますが、決まった人が、通告が遅かったり、あるいは一行通告のようなことになってしまったりということはあるようです。ただ、やはり当日の午後では定時に終わることは難しいと思っておりますので、例えば前日のお昼とか、しっかりと霞が関で定時のうちに作業を終えられるように、国会のご理解をいただきたいと思っております。

(問)国会のご理解という話がありましたけれども、今後この問題は、本当に国家公務員の離職だったり、霞が関の働き方改革に直結するものだと思いますけれども、大臣としては今後、どのように改善していくのがいいかお考えでしょうか。

(答)霞が関の働き方改革が必要だという共通認識は行政、立法府、揃ってきたのではないかと思っております。具体的に、今回人事院からも勤務時間についての提案も出されたところでございますので、これを実現していくためにどうするか、立法府ともしっかり意見交換をしていきたいと思っています。

(問)冒頭のステマについてなのですけども、効率的な執行をしていく上で、適格消費者団体にステマ規制の差止め請求権限を付与するというのも有効かと思うのですけども、大臣はいかがお考えでしょうか。

(答)まずは、ステルスマーケティングが不当表示として禁止されるということを、事業者、インフルエンサー、消費者に知っていただくというところに全力を挙げなければいけないのかなと。施行は10月1日ですけれども、それまでにどういうものがステマに当たる可能性がある、あるいはステマに当たりますよということは、きちんとお知らせをしていく必要があると思いますので、まずそこに注視していきたいと思っております。もちろん、通報窓口や、あるいは事業者からの相談窓口というのは設置したいと思っておりますし、デジタルプラットフォームの提供者と連携しながら、情報収集は強化していきたいと思っております。まずは消費者庁でできることをきっちりやっていきたいと思っております。

(問)ステマ規制のことですけれども、日本では、初めての規制となりまして、海外の規制との違いもあるところもあります。今回の日本の規制で期待される効果や意義を大臣の口から改めていただけたらと思います。

(答)たぶん海外では、インフルエンサーも規制の対象になっていたり、あるいは広告主がインフルエンサーに報酬を支払うという関係性を持って広告させるということも規制対象になっているところがあるのだと思います。今回の日本の景品表示法の規制は広告主を対象としておりまして、インフルエンサーは規制の対象外であります。広告主がインフルエンサーの投稿・表示の内容に関与した場合に限って、広告主が規制の対象となるということになります。海外から比べると緩いのではないかというご指摘もありますが、まずは景品表示法の告示を運用してやってみたいと思います。これで解決できない問題があるというような場合には、また見直しをしていきたいと思っております。当面は、日本でもようやくステマの規制が始まりますので、まずは、広告主、事業主を対象としてスタートしたいと思います。これで消費者の皆さんが、何が広告で、何が違うのかということをしっかり認識をして選択をしていただくことにつながればいいなと思っております。

(問)3月24日に開かれた電取委の規制料金審査会合での発言についてお伺いさせてください。消費者庁の片岡審議官が、電力会社の不適切事案について、経産省がそれについて検討しないのであれば、消費者庁としては協議を受けることはできないということになりかねないというような発言をされました。この発言について、大臣も同様のお考えかというところを教えてください。

(答)消費者庁といたしましては、この電力会社、電力業界において、公正な競争が行われているのかどうかという疑念が払拭されていないと思っております。不正事案が料金へ与える影響、あるいは消費者の選択に与える影響について、まずは経済産業省がしっかりとこの件を検討していただくことが不可欠と考えております。

(問)その上で、もしこのままの状況が続けば協議に応じないという可能性も、頭の中にはおありということでしょうか。

(答)先程申し上げたとおりです。

(問)再生可能エネルギーについてお伺いしたいのですけれども、再生可能エネルギーの賦課金について、経産省が先週の24日、2012年以降初めて減額されると発表されました。減額の要因としては、火力発電の燃料費が上がったことによって、市場での販売価格が上がって、買取価格との差額が減ったことが主な原因として指摘されていますが、この件について大臣の見解をお願いします。

(答)所管官庁にお尋ねください。

(問)理化学研究所が、昨日、量子コンピューターの国産初号機の稼働を始めました。昨年策定のデジタル社会実現に向けた重点計画は、量子コンピューター整備によるデジタル産業育成というものを盛り込んでいます。今回の初号機稼働による産業育成への期待というものはありますでしょうか。また、政府のデジタル政策への活用というのは何か活用する可能性というのはございますか。

(答)今年のダボス会議でも、AIと並んで量子コンピューター、非常に話題になっておりました。そういう中で、日本でもこうして量子コンピューター稼働が始まるというのは非常に心強いと思っております。もちろん、実用化されていく中で、政府のデジタル政策にも取り入れてまいりたいと思っておりますし、様々な場面で政府のシステムにも取り入れていくところは出てくるだろうと思っております。

(問)ステマについてなのですけれども、改めまして、ステマはこれまで日本ではある意味許されていたという中で、消費者の合理的な選択ができなくなっていた、またこの被害と言いますか、そういった状況がずっと続いていたということの問題意識、現状認識、もし改めてございましたら教えてください。

(答)広告なのか、そうでないのかということが消費者に伝わっていなかったことにより消費者の選択に影響があった分というのは多分にあるのだろうと思います。諸外国を見渡しますと、G7を始め、各国でこのステマに対する規制が入っているというのは、やはり広告かどうかが隠されているものというのは、消費者の選択に様々な影響を与えているということなのだろうと思いますし、日本でもここは規制をすべきということになりました。先程申し上げましたように、海外と比べると、まだ規制は緩やかだというご指摘もいただいておりますが、まずは、今回の告示をきっちり運用できるようにしていきたいと思っております。施行は10月1日ですが、それ以前にもこの告示に抵触するようなところについては、積極的にコミュニケーションを図っていきたいと思っております。

(問)ステマ規制についてなのですが、先程大臣の方から、インフルエンサーの規制については景品表示法の限界と言えると思うのですけれども、できないというふうな状況があるというお話がございました。今後の話になるとは思うのですけれども、仮にそのインフルエンサーの規制も必要だと、欧米並みの規制が必要だとなった場合には、どのような方法が考えられるんでしょうか。景品表示法以外での規制というのも考えられるのでしょうか。ご見解をお願いします。

(答)まだ告示をしたばかりでございますから、先々のことを申し上げる段階ではないと思いますけども、当面は、広告主、事業者を規制の対象としておりますが、それで解決できない問題があった場合には、中長期的には各国と同様に、インフルエンサーに規制対象を拡大するということも検討し得ると思っております。

(問)電力料金に関して、明日、公共料金専門委員会があります。東京電力と北海道電力のヒアリングということで、ある意味本命の東京電力が出てくるわけですが、前回のように大臣がご挨拶に来て、メッセージを発する可能性があるのかないのか、確認させてください。

(答)当日ご覧ください。

(以上)