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河野大臣記者会見・G7議長国記者会見(令和5年4月30日)

河野デジタル大臣記者会見・G7議長国記者会見要旨

(令和5年4月30日(日)13時34分から14時14分まで 於:群馬高崎Gメッセ)

以下、河野デジタル大臣の発言に係る内容のみ抜粋しております。

1.発言要旨

一昨日の官民のDXサミットに続きまして、昨日、今日とG7デジタル・技術大臣会合が成功裏に開催されたと言っていいと思います。私はDXサミットに出られませんでしたが、サイバネティック・アバターが頑張ってくれました。

まず、会合の開催にご尽力をいただきました群馬県・高崎市・伊香保をはじめとする自治体の皆様に感謝を申し上げたいと思います。知事の肝いりの様々な行事をはじめ、群馬産の美味しい食べ物・飲物、代表団からも非常に高い評価をいただきました。榛名山を始め、この美しい山々の風景、美味しいお肉・山菜・野菜、本当に山本知事には昨日歌まで歌っていただきまして、素晴らしいホスピタリティの下、閣僚・代表団、率直かつ真摯な議論を行うことができまして、代表団の皆さんからも賛辞を寄せていただきました。

また、日本の優れた技術の展示をすることができまして、群馬の魅力と相まって、日本の魅力を発信するショーケースとなったのではないかと思っております。

この会合では、岸田政権の重点政策でありますDFFTにつきまして、歴史的な進展があったと言ってよろしいかと思います。DFFTの具体化に向けたプライオリティを確定し、そのプライオリティを実行するための国際的な枠組み「(仮称)IAP」Institutional Arrangement for Partnershipと言っておりますが、この国際的な枠組みの設立に向けて、合意をいたしました。

DFFTの具体化に向けてのプライオリティは、1つ目が「データローカライゼーション」への対応。2つ目が「政府のデータアクセスの信頼性向上」による知的財産の搾取、あるいはプライバシー侵害の回避。3つ目が、データ保護制度の相互運用等による「規制協力」。4つ目が、企業や国境の壁を超えたデータ連携。この4本柱。それをマルチステークホルダーで問題解決を志向する、というアプローチを実現するということになりました。この新しい国際的な枠組みは、常設の事務局を持つ、史上初めての官民の連携する国際組織となることと思います。詳細は、閣僚声明と附属文書をご覧いただきたいと思います。

2019年の日本のG20での取組の開始から、ロードマップの策定をいただいた2021年のG7議長国のイギリス、アクションプランを策定していただいた去年のG7議長国として、今日はドイツのヴィッシング大臣に参加していただいておりますが、バトンをイギリス、ドイツとつないでいただいたことに感謝申し上げたいと思います。

おかげで、日本でG7を開催する今年にDFFTを具体化するという大きな方向性を実現することができました。1月に各国をまわりましたけれども、その時にもそうした大まかな方向性というのは共有できていたのではないかなと思います。

今日に至る交渉は、非常にロングランになりました。

デジタライゼーションは、やはりそれぞれの国の社会に大変大きなインパクトを与えるということで、その柱でありますデータ政策は、やはり各国間でどこに重点を置くのかということに違いがあります。各国それぞれがDFFTという方向性には合意をするものの、どうやってよりよい取組にするかという思いはいろいろ交差したのだろうと思います。それでも今回交渉がまとまりましたのは、夜を徹して調整をしてくれ、また様々知恵を出してくれた事務方の努力、それから代表団、閣僚の皆さんの政治的決断の結果と言っていいのではないかと思っております。議長として、汗を流してくれた関係者の皆さんに深く感謝をしたいと思います。日本の交渉チームも非常にタフネゴシエーターだったのではないかと思います。山本知事がお薦めした伊香保の温泉にゆっくり浸かって、疲れを癒してほしいなと思っておりますが、世界各国が競い合うワールドカップみたいなものだったということで、日本チームは今回のギリギリの成果を「高崎の歓喜」こう言っております。ドーハの悲劇みたいですけども、悲劇じゃなくて歓喜になったのは良かったなと思っております。

この国際的な枠組みIAPにつきましては、広島で、各国首脳から支持、コミットメントを得たいと思っております。その上で来年の設立を目指していきたいと思います。

この枠組みでは、データの越境移転時での課題解決につながる具体的なプロジェクトの実施を目指そうということで、規制の国際的なデータベース、あるいは新しい技術を試す規制のサンドボックスなどを日本から提唱しておりますが、これについては広く官民の関係者から提案を募りたいと思います。

来年の議長国はイタリアで、今年はヴァレンティーニ副大臣に参加をしていただきました。今回合意をしたこの枠組み、設立のモメンタムをぜひ継承してほしいとお願いをし、快諾をいただきました。

また今回、ウクライナ、インド、インドネシアに参加をいただきました。ウクライナからは、イオナンデジタル省次官に参加を、有事にも関わらず来日して参加をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。平時に培っていたデジタル文化を有事に展開し、如何に自分たちの国民、国土、文化、価値を守っているかということをプレゼンの中で共有していただきました。

また、急速にデジタルイノベーションを進めているグローバルサウスの代表として、インドのヴァイシュナウ大臣、インドネシアのタイーバ次官に参加をいただきました。DFFTについて、G7を超えた関心があることを再認識し、これからグローバルサウスを含めDFFTに関する有志国の輪を広げていきたいと思っております。

今、生成型AIが話題になっていますが、データが偽・フェイクであれば、フェイクニュースを含め社会に混乱を巻き起こすソリューションを生み出してしまうことになります。データの取扱いにおいて、個人情報保護が意図せぬ形でプライバシー侵害につながってしまえば、AIが容易に人権侵害を生み出すことになります。AIが生成型AIに飛躍的に発展をしている今こそ、機会の最大化とリスクの最小化のためにDFFTが重要となってまいります。DFFTの具体化、国際的枠組み、IAPへの世界の期待は高いと思っております。

この「高崎の歓喜」を受けて、新しい国際的な枠組みの先頭に立っていきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)今回のDFFTに関する合意にはどのような意義、そして社会にどのような影響があるとお考えでしょうか。また、冒頭のご発言の中で、データ政策はどこに重点を置くかで違いがあるですとか、方向性は合意しているけれども、どうやってより良い取組にするかというところでは、思いが交差したというお話もありましたけれども、今後さらに具体化を進めていく中で、どういった課題があって、日本としてはそれをどのように解決していこうとお考えなのか、そのあたりをお願いします。

(答)今回、常設の事務局を持つ国際的な枠組みを立ち上げることに合意をいただきましたので、取組が加速化できると思っております。今まではサイバーとかプライバシーとか分野別のいろいろなことをやっていましたが、今度は一般的にデータに関する国際的な枠組みということで立ち上げをすることができましたので、今までの個別的なものをさらに統合して物事をやることができると思います。また今回、政府だけでなく、大学ですとか、企業ですとか、研究者を含めマルチステークホルダーと言っていいと思いますが、そういう組織でいこうということになりましたので、企業やアカデミアが持っている最先端の技術も活用することを含めて、幅広い知見で、データの国境を越えた移転について、効果的に推進をすることができるかなと思っています。ここまでこぎつけましたけども、この新しい枠組みはただ単に議論するということではなくて、具体的なプロジェクトを一つずつ実行して実現をする。そういうためのものですので、これから各国、それから様々な関係者からどういうプロジェクトをやっていくか、具体的な提案をいただきたいと思っております。日本からは国際的なデータ移転に関するデータベース、それから規制のサンドボックス。この2つをまずやろうということで提案をしておりますので、それに加えて様々な提案を受けていきたい、日本としても資金拠出をすることで、この取組を加速していきたいと思っております。

(問)DFFTに関してなんですけれども、このDFFTはダボス会議で安倍首相が提唱されて、およそ4年という歳月で大きく具体化に向けて動き出したということだと思うんですけれども、改めてこの4年かかったことをどう考えるか、4年で済んだと考えるかということと、改めて具体的にDFFTが具体化していくことで、先ほどアカデミアの話なんかもありましたけれども、社会や企業なんかはどう大きく変わっていくことを期待するかということをお伺いできればと。あとこれはもしお考えがあればできればですが、今回群馬高崎の地でこういったことが決まったってことで、何か地名に関したような文書を残したりとか、そのご予定があったりするか、この3点お伺いできますでしょうか。

(答)ありがとうございます。2019年のG20でスタートして、一昨年、イギリスの議長国の下でロードマップを策定していただいて、昨年のドイツでアクションプランが決まったということで、いろいろな国々とのG7の中での連携でかなり早い段階でこの枠組みの設立にこぎつけることができたのではないかと思っております。ヴァレンティーニ副大臣にも来年このモメンタムをしっかりと引き継いでほしいとお願いをして、ご快諾をいただいていますので、このモメンタムを引き続き、来年にも持ち越していきたいと思っております。今まではアドホックに、ばらばらに議論をしていましたけれども、常設の事務局を持つ機関ということで、これからはいろいろ具体化を継続してやっていくことができるということで、この国境を越えたデータ移転というものがしっかりと連携してできるようになるのではないかと思っております。高崎でこういう合意ができたので、日本チームは「高崎の歓喜」といって喜んでいますが、これは広島の首脳会談で首脳にしっかりエンドースしてもらうというのが大事なものですから、そこはそこでお任せをしたいと思っております。

(以上)