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河野大臣記者会見(令和5年5月16日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年5月16日(火)9時30分から9時58分まで 於:オンライン)

1.発言要旨

本日、物価問題に関する関係閣僚会議が開催されました。大手電力会社7社の規制料金の値上げの認可申請、この査定方針が正式に決定されたところでございます。

消費者庁では、今日に至るまで大手電力会社7社の規制料金の値上げの認可申請に対して、消費者の利益を擁護する観点から対応してきたところです。

電力会社が高コスト体質であって、電力自由化の中でも価格が下がることを避けるためにカルテルなどを行ってきたという疑念が裏付けられました。消費者庁としてはカルテルその他不正事案の影響の検証、それを踏まえた電力会社の最大限の効率化努力を求めてきたところですが、経済産業省は影響があるということを認めるに至りましたが、定量的な評価が現時点では困難である、まずは、今できる対応として効率化係数の深掘りをする、そういう対応をとることになりました。そうした前提に立って、今回の査定方針案が示されましたので、電力会社の更なる高コスト体質を是正する、カルテルや不正閲覧といった不正事案への影響についても引き続き検証していくこと、そして、この各電力会社のコストの効率化の取組をフォローアップするための枠組みを消費者庁の参画のもと、新たに設ける。こういうことを条件に同意をするということを会議の場で申し上げました。

現在、経済産業省のやっている査定の体制あるいは方法では、不正事案の影響があるということは認められるものの、その影響の定量的な評価をすることは困難だということが明らかになりましたので、そうしたことを改革するための審査体制を強化する。これを求める旨も併せて申し上げました。

今回の電気料金を含め、公共料金の改定については、事業者の徹底したコスト効率化を前提に、国民生活に及ぼす影響を十分考慮した対応をしてもらうように、関係大臣に求めたところでございます。
消費者庁としては、先程申し上げた経済産業省のフォローアップに参画し、消費者の意見が適切に反映されるよう連携して取り組んでまいります。

もう一つ消費者担当大臣として、5月11日付で消費者委員会から、「電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について」という答申をいただきましたので、昨日付けで私から経済産業大臣に速やかに答申の内容に対応していただくよう意見を発出したところでございます。

答申は今般のカルテルや不正閲覧といった不正事案への対応も含めて審議され、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確保する観点からのみならず、今回の不正で損なわれた消費者の信頼を回復するためにも重要な提言だと思っております。この答申の中で、電力市場における公平・公正な競争環境の確保に向けた、思い切った取組を早期かつ総合的に検討を実施することが不可欠であるとされておりますので、速やかにこの答申内容に対応することを要請いたしました。併せて、電力会社全体の問題として、自由化によってもその高コスト体質が変わらなかったという現在の仕組みの在り方を変えることで、この問題を解決する体制の改革を進めていただくことを要請したところでございます。経済産業省と連携してわかりやすい情報発信を行っていきたいと思っております。

今日5月16日から、マイナンバーカードによる公的個人認証サービスを利用して最新の住所、氏名、生年月日、性別の基本4情報を提供するサービスを開始いたしました。

このサービスは、マイナンバーカードによってオンラインで本人確認を行う公的個人認証サービスを導入いただいている事業者の皆様で活用することが可能です。お客様からこのサービスの利用に本人の同意を得た上で、お客様の最新の住所情報などをJ-LISから取得することが可能となります。これを使うことで、引越しの際に住所変更手続が不要になるというメリットがあります。このサービスを利用して、銀行や生命保険会社、携帯電話、様々なサービスで継続的なお客様の確認を効率的・スピーディーに行うことができるようになりますので、お客様だけでなく事業者にもメリットが大きいと思っております。特に金融業界などに対して、このサービスを積極的に導入いただくように呼びかけを行っております。

今年1月から電子証明書失効情報の提供に係る手数料の無料化措置、今月11日からマイナンバーカードの電子証明書の機能のスマホ搭載を進めてまいりました。マイナンバーカードの民間の利活用を合わせて促進をしてまいりたいと思っております。

次に、農地法に関する手続きのデジタル化について紹介いたします。

農地を宅地に転用する際などに、土地の登記事項証明書が必要となります。この土地の登記事項証明書は、登記情報提供サービスから得られる照会番号を活用することで、書類の添付が要らなくなります。ぜひこれを利用していただきたいと思いますが、この照会番号を利用するためには、申請者による番号の取得だけでなく、申請を受け取る自治体側がこの登記情報提供サービスの利用申込をする必要がございます。

この利用申込は2020年7月から、農林水産省から自治体に周知しておりますが、未だに一部の自治体で紙の登記事項証明書の提出が求められておりますので、改めて今月12日、農林水産省から各自治体に再度の周知をしたところでございます。利用申込は無料でございますので、各自治体におかれては国民の利便性向上にもなる取組ですので、ぜひ照会番号の活用をいただきたいと思います。農地に関する手続きの申請受付は、農林水産省のeMAFFを利用して行うことが可能ですので、あわせて検討いただきたいと思います。

石川県の地震で珠洲市をはじめ、様々自治体で被害が出ております。罹災証明のデジタル化、これは各自治体でも進めていただいているところですが、内閣府がオンライン申請やコンビニで罹災証明書を交付するなどの機能を持ったクラウドシステムを既に用意しております。ぜひ自治体にこの活用を進めていただきたいと思っております。

防災のデジタル化について、民間でも様々な取組が行われておりますので、デジタル庁としても優れた提案の掘り起こしや、その横展開に防災DXサービスマップなどを使って、積極的に取り組んでいきたいと思っております。罹災証明のデジタル化、ぜひしっかり自治体の皆さまに対応していただきたいと思います。

国土交通省の案件につきまして、内閣人事局から再就職等監視委員会に対して再就職等監視委員会において適切に対応することを期待している旨、伝達をしたところでございます。委員会の方からは常々必要に応じ、適切に対応しているということでございました。

2.質疑応答

(問)電気料金についてお伺いします。今日の関係閣僚会議を受けまして、値上げはすることになったんですけど、消費者庁の協議によって2段階で値上げ幅が圧縮されたことになります。この最終的な値上げの額について、大臣は妥当だとお考えでしょうか。

(答)電力会社の値上げ申請から消費者庁が協議を受けるまでの間に様々不正事案が発覚いたしましたので、消費者庁としては、そうした疑問点にこたえるという意味で、経済産業省と様々なやりとりを行いました。協議を受けてからはかなり尋常でないペースで公開のヒアリングを行ったところでございます。電力会社全体の問題として、高コスト体質であるという課題がある、あるいはこの不正事案の影響があるということは、経済産業省も認めたわけですが、定量的な評価は困難だということでございますので、この高コスト体質が変わらなかった仕組みのあり方を改革する、あるいはこの定量的な評価ができるような経済産業省の体制の改革が必要だということです。今後、各電力会社のコストの効率化の取り組みをフォローアップし、高コスト体質を是正するということも決まりましたので、消費者庁としては、今後、消費者の利益を擁護する観点から、そうした取組を進めてまいりたいと思っております。

(問)先週の会見で課題の解決が前提だというふうにおっしゃってました。今回のこうした改革案というか、再発防止策で十分だとお考えでしょうか。また、例えば経済産業省に対して勧告権だったり、そういうもっと強い措置というのは検討されなかったのか。

(答)まず高コスト体質を是正する、あるいは電力会社のコスト効率化の取組をフォローアップする新たな枠組みを設けることに、経済産業省も同意をしてくれましたので、これをまずしっかりやっていきたいと思っております。不正事案の影響の定量的評価は、今の経済産業省の仕組みではできないということですので、当面、効率化係数を深掘りするという対応を経済産業省にとっていただきました。今後経済産業省の方でもしっかりと体制を拡充していただきたいと思います。まず今回決まったことをしっかりやっていくということであります。

(問)5月11日に政府がAI戦略会議の初会合を開きました。その中の論点の一つで、AIの国内開発について、体制をどう強化すべきかという論点が一つ示されたのですけれども、それを進めていく上でどういった施策が必要だとお思いでしょうか。また、デジタル庁としてそういう体制整備みたいなところをどう後押ししていくのかというところ、お考えがあればお聞かせください。

(答)AIについて、日本でもプラットホームを開発していくのか、あるいは今あるプラットホームをどのように活用していくのか、どちらかというよりは、どっちもということなんだろうと思います。日本の様々な研究機関、大学、あるいは民間企業、AIについては、様々なスタートアップもありますので、そうしたところが自由に研究開発に取り組むことができる。そういう環境も大事だと思います。またその際に必要な人材の育成というのが必要になってくると思いますので、それはおそらく大学の方で、こういうAI人材をどのように育成していくのかというところをしっかり考えていただきたいと思います。

(問)昨日、報道機関のインタビューで、岸田総理がAIの国際的なルール作りとDFFTの国際機関作りというものを組み合わせて、広島AIプロセスというようなものを始動させた旨を述べたと承知しています。これの受け止め評価みたいなところと、AIとDFFTはもともと違うところから議論はスタートしていると思うのですけれども、これを一つに広島AIプロセスという形をまとめ上げることの意義みたいなことはどうお考えでしょうか。

(答)AIというのは、平たく言えば半導体の上にアルゴリズムを乗せて、その上にデータセットを入れるというのが大雑把に言えばAIだと思いますので、データをいかに取り扱うかというのは非常にこのAIの中では重要なことになると思います。AIに関して申し上げれば、そこへ入れるデータが信頼あるのかどうかというのが非常に大事になってきます。フェイクを入れれば、結果もフェイクになってくるわけで、生成AIで様々なフェイクニュースが大量に安く作られる環境の中で、それも全部取り込めば、次の世代のAIのデータセットというのは汚染されたデータセットになってしまいますから、このDFFTのいうところのトラスト、信頼の部分というのが非常に重要になってきます。
また今のAIは英語のデータがおそらく大半なんだろうと、日本語をはじめとする様々な言語のデータセットをどうするのかという意味でも、この国境を越えたデータの流通というのは、ある面AIの開発にとって不可欠ですし、利用する側からしても不可欠だと思いますので、DFFTというのは今後のAIの活用の中で、非常に重要な基本的な考え方の一つになるのだろうと思っています。

(問)電力の問題ですが、効率化係数を深掘りしていくということですが、値上げ幅は結局4月27日の査定方針で、直近の電力価格を踏まえて再計算された改定率になるということでいいのでしょうか。

(答)今日の査定方針に応じて、電力会社から数字が出てくると思います。詳細は経済産業省にお尋ねください。

(問)電取委の査定方法では、カルテルや不正閲覧の影響とか、高コスト体質に対する影響を定量的に評価する能力がないということで、今後、消費者庁がフォローアップに参画して、さらに公開することを求めているんですが、これまでと同様に電取委の会合に消費者庁が参画して、もともと今でも電取委の検討会というのは動画で後で見ることもできますので、何がどういうふうに変わるのでしょうか。

(答)今回不正の影響があるというところまでは合意をいたしましたが、残念ながら、今の査定では数値的な影響まで測れないということでございますので、一つはそこをしっかり拡充をしてもらうということ、それからもう一つは、しっかりとした新たな枠組みを立ち上げて、電力会社の効率化、あるいはそもそもの高コスト体質をしっかりと是正していくということになりましたので、これから消費者庁と経済産業省でこの枠組みについて、直ちに協議を始めたいと思っております。

(問)今までも情報提供をしていたということで、丁寧な情報提供を求めているのですが、消費者からすると今までの情報提供では何もわからないということだと思うんですね。電力業界の高コスト体質とカルテル並びに不正閲覧による規制料金への影響があったことを前提に求める情報提供って具体的にはどういうものを求めてくださるんでしょうか。

(答)それも消費者庁と経済産業省で協議をすることになると思います。

(問)消費者からすると、もうちょっと再生エネルギーが進んでいて、こんなにウクライナの紛争で燃料費が上がったとしても、もうちょっと柔軟に対応できるような体質になっていってくれているのではないかと思っているようなところがあったのですが、全くその辺の各電力会社の比較とかも消費者には本当にわかっていないので、そういうものもわかりやすく一覧で提供していただけるようなことも考えていただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。

(答)いろいろなご意見を参考にやっていきたいと思います。

(問)冒頭発言にありました4情報提供サービスについてお伺いします。今日時点で何社で始まったのかということと、今後、どのように広がりを見せるのかという見通しをお伺いできますでしょうか。

(答)今日の時点でまだ数社と聞いております。今年の2月に行った生命保険会社のアンケートでは、5割の企業が利用したいという意向があったと聞いております。今日からスタートしましたので、各業界に積極的に導入を働きかけていきたいと思っております。

(問)罹災証明書についてお伺いいたします。先程内閣府で既にクラウドシステム上でオンライン手続きなどを既にサービスとして提供されているとおっしゃってましたが、実際今回、石川県珠洲市では写真をわざわざ印刷して用意しないと手続きができないといったようなアナログ規制が残っている状態なんですけれども、大臣としては、自治体がこのようなオンラインサービスを導入するのに際して、何かハードルのようなことが依然残っているとは思われますでしょうか。

(答)熊本の地震の時に私は防災担当大臣で、この罹災証明書が結構大変だったということを覚えております。今回、申請の段階で写真の添付は必要ありませんということを内閣府から関係の市町村に周知をしております。一部損壊を判定する自己判定方式の時には、写真を添付しなければいけないんですが、それ以外の場合には必要がないということで、それも印刷が必要かどうかは確認できませんでしたが、もう既に内閣府としてクラウドシステムを用意しておりますので、ぜひ平時に準備をして有事に備えていただきたいと思っております。石川県とは、デジタル担当の副知事ともデジタル庁でいろいろ意見交換をしておりますので、自治体ではいろいろ大変な時だと思いますので、一段落した後でこの防災DXについて様々見直しをして必要な対応はとっていきたいと思っております。
(以上)