河野大臣記者会見(令和5年6月16日)
河野デジタル大臣記者会見要旨
(令和5年6月16日(金)10時02分から10時33分まで 於:オンライン)
1.発言要旨
今週6月14日(水)に、デジタル規制改革推進の一括法が成立いたしました。
この改正で、デジタル規制改革を国の基本方針として位置付けることになります。いわゆるデジタル法制局のプロセス、あるいはテクノロジーマップに関連する規定を設けるほか、フロッピーディスクなどの記録媒体での提出が義務付けられている行政手続をオンラインで行うことができるようにいたしました。また、特定の場所において書面を掲示してくださいという書面掲示規制について、インターネットでいつでもどこでも必要な情報を確認できるようにする。そうしたことが含まれております。
この法律の成立を受けまして、来年6月までを目途として法令約1万条項のアナログ規制を一掃する取組を着実に進めていきたいと思っております。また、テクノロジーマップや技術カタログの整備あるいは技術検証、新規法令のデジタル原則への適合性の確認、自治体におけるアナログ規制の撤廃の取組の支援、こうしたことを積極的に進めてまいります。
これまでデジタル臨調では、コロナ禍でデジタル化の遅れがかなり表面化しましたので、アナログ規制を一掃するという目標のもと、アナログ規制に該当する規制を明治元年まで遡って網羅的に洗い出して一括的に見直すという、いわば「面の改革」をやってまいりました。今回の一括法の成立によって、将来にわたってもアナログ規制を排除する、そういう環境の整備ができたのではないかと思っております。
フロッピーディスクなどの記録媒体を指定する規制などのアナログ規制を見直すという、今までの「マイナスをゼロに戻す取組」から、国民の皆様が利便性を実感できるように、手続に関する一連のプロセスをデジタル前提にしていく「官民のデジタル完結」を徹底させる、そういった形で、マイナスをゼロに戻したところから、今後はゼロをプラスに発展させていく積極的な取組を進めてまいりたいと思っております。
2つ目ですが、アナログ規制の見直しのための技術検証を行う事業の公募を開始いたしました。
デジタル臨調では、法令約1万条項について、アナログ規制を見直す工程表を確定してフォローアップを行っているところですが、規制を所管している省庁が、安全性や実効性の観点から技術検証を必要としている約1,000条項のうち、省庁横断的に技術検証をすることができると思われる約500条項につきまして、規制を所管する各省庁と連携のうえ、検証を進めていきます。
規制の目的や規制対象となる物、行為、そうしたものに基づいて技術検証を14の類型にまず分類をいたしました。その中から規制を所管する省庁との調整が完了したものを順次検証してまいりますが、そういうものの対象になる技術を持っている企業に手を挙げていただく公募を今日第1弾として開始をいたします。
第1弾はドローンとか3D点群データなどを活用した構造物の検査を実証する技術。カメラやドローン、ロボット、AIなどを活用した自然物の実地調査をする技術。それからカメラ、リモート監査システムなどを活用して、施設や設備を遠隔検査する技術。情報の加工・流用を防止する技術を活用した閲覧させる技術。学習管理システムなどを活用したオンラインで法定講習ができるような技術。この5つの類型について公募を開始いたしました。7月下旬頃に採択する事業者を決定して、開始したいと思っております。こうした技術を持っているスタートアップ、あるいは中小企業も是非積極的に応募していただきたいと思っております。
また国の規制と類似した自治体のアナログ規制に関する検証も行っていきます。今回、大分県から希望を受け、大分県の環境緑化条例、それと大分県の火薬類取締法施行細則に関して、大分県に参画いただくことで国・自治体間で相互に連携して技術検証を実施することにいたします。大分県の成果はもちろん他の自治体に横展開をすることができます。残りの類型についても、自治体から「相互にやろう」という参画が出てくることを期待したいと思います。こうした検証を行うことで、類似の規制において検証結果を参照することができるように、省庁横断的に情報の共有を行うと同時に、今年の夏に公表を予定しているテクノロジーマップを更新していきたいと思っております。
今後とも技術に関する情報をしっかり横展開して、将来的な規制の見直しにも活用していきたいと思っております。
マイナンバーカードの関連サービスの誤登録の件につきましては、明日6月17日、横浜でコンビニ交付サービスのシステムの点検が行われて、これで対象123団体全てでの一斉点検を完了することになります。
その他の事案については特にアップデートはありません。
引き続きご不安・誤登録の懸念がある場合は、マイナンバー総合フリーダイヤル012-95-0178にお問い合わせいただきたいと思います。
消費者トラブルに遭ったらすぐに相談できる「消費者ホットライン188(いやや)」。この認知度があまり高くないというのが残念ながら現状でございますので、188の少し周知・啓発をしていかなければならないと思っております。
そういうことから、消費者ホットライン188(いやや)の啓発動画を制作いたしまして、私も出演しております。今回、Jリーグの全面的な協力をいただきまして、6月24日、25日にJ1、J2、J3のJリーグの試合会場で動画を大型ビジョンで放映していただくことになりました。ビジョンのない試合会場がJ3で3会場ありますが、そこは動画の代わりに消費者ホットライン188(いやや)の内容をアナウンスしていただく予定です。J1~J3までの約30の試合会場で放映または3会場ではアナウンスいただく予定です。
是非188の周知にご協力をいただきたいと思います。動画は24日、25日にJリーグで、試合会場で放送放映されますが、26日に消費者庁のホームページでも公表を予定しております。
先週6月9日の大臣会見でご案内しました「第5回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議」を6月14日(水)に開催いたしましたので、結果をお知らせいたします。
今回の会議では、「くるみ」の特定原材料への追加について報告し、意見交換を行うとともに、「特定原材料に準ずるものに係る対象品目の選定に関する考え方」について、専門的な見地から、委員からご意見をいただきました。特に特定原材料に準ずるものに係る対象品目の追加・削除の基本的な考え方を整理するというのは、この制度を開始して以来、今回が初めてとなります。追加する際の考慮事項に流通実態を加味してはどうかという助言をいただいたところでございます。こうした考え方に基づきまして、特定原材料に準ずるものについては、まずまつたけを削除すること。それからマカダミアナッツについて、実態調査の結果を踏まえて追加の候補とすること。こうしたことを年度内に対応すべく準備を進めるよう事務方に指示したところでございます。
引き続き、適切な制度運用に努めてまいりたい。
2.質疑応答
(問)マイナ保険証についてお伺いしたいのですが、公明党の山口代表は14日のラジオ番組で、「現行の保険証を併存させるアイデアもある」と発言するなど、国民の混乱を招かないような対応を求める意見が与党内から出てきています。そうした発言を受けて、政府の来年秋の保険証廃止方針に何らかの影響を与えるのか、大臣の所感を伺えますでしょうか。
(答)マイナ保険証、いろいろな事案の発生を真摯に受け止めた上で、総理からもご指示がありましたが、再発防止と国民の不安の解消、これが極めて重要だと思っております。山口代表のご発言も、「来年秋の保険証廃止を実現するうえで、再発防止と国民の不安の解消が極めて重要だ」という同じような趣旨だと思います。また来年の秋に廃止した後、保険証はその後1年間経過措置がございますので、その間は保険証を使うことができます。総理の指示も踏まえまして、厚生労働省を初め、関係省庁、自治体と連携をして、再発防止・不安の解消を早期に実現すべく取組を進めてまいります。
(問)保険証を長期間にわたって併用するというお考えはないんでしょうか。河野大臣の鶴の一声で決まったということに対して、事実無根だとおっしゃいましたが、これは岸田総理の「とにかくやるんだ」という考えに基づいて、河野大臣が発信している。責任は岸田総理にあるということでよろしいんでしょうか。
(答)政府としては、来年の秋の保険証の廃止、そして経過措置としてその後1年間ございますので、その間にきっちり申し上げたような再発防止・不安の解消、対応してまいります。
(問)立憲民主党のヒアリングが昨日あって、医療関係者・保健関係者から声を聞いたんですが、「とても1年じゃ不安は解消しない」と、「長期間にわたって併用を検討するべきだ」と、「今の制度については、一時運用停止、立ち止まって抜本的に考え直してほしい」という声が出ているんですけれども、そういう声は無視するんですか。
(答)既に800万件以上が1か月で使われております。しっかりと国民の皆様の不安の解消ができるように努力してまいります。
(問)できなかった場合を聞いているんですけど、医療現場からは「できない」と「やめてくれ」と、「長期間併用できるようにしてくれ」という声が出ているんですけど、これは受け入れないということですか。
(答)来年の秋に廃止をした以降も1年間の経過措置がございますので、その間にしっかり対応できるように医療機関の協力をいただいていこうと思います。
(問)その考えは河野大臣の考えなのですか。岸田総理の考えなのですか。
(答)政府の考えです。
(問)先日お話しがあった送料無料表示についてお聞きしたいのですけども、市場だと、例えば「通話料無料」とか「サンプル無料」とか、いろんな無料表示があると思うんですけども、それは事業者間でいろいろコストの交渉というのがあって設定されていると思うのですが、その中でこの「送料無料」だけを取り上げるっていうのはちょっとおかしいんじゃないかなというふうに考えているんですけども、その辺はどのようにお考えかお聞きしたいのですが。
(答)物流に関する政策パッケージが取りまとめられました。物流を持続可能なものにしていくということが非常に大きな課題になっている中で、この「送料無料」というと、物流にコストがかかっていないというような誤解を招きかねないということから、まずこの広告に関する「送料無料」という表示について、関係者の考えをヒアリングさせていただくというところからスタートしようと思っております。
まずは物流のところから直近の課題ですので取り組んでまいります。通話料その他については、今回はまだ対象にはしておりません。
(問)そうすると、全体の無料表示みたいなものがあるとすれば、そういうものに影響を及ぼしてきてしまうと思うのですけども、そういう規制をされていくということか。
(答)どういう形で進めていくか、まず関係者の皆様の声を聞きたいと思っております。通話料はシステムでいろいろなことが行われるわけですが、物流に関しては人が厳然と介在しなければ物は動きませんので、そういう意味からまず持続可能な物流に取り組んでいきたいと思っております。
(問)「送料無料」の見直しを求めるのか、要請するのか、いろいろあると思うんですけども、その場合の法的根拠っていうのはどこに求めていくというお考えですか。
(答)まず関係者のご意見を伺うところから始めたいと思っておりますので、どういう形、どういう見直しにするべきかというのは、お話を聞いたうえで、いろいろ論点整理をしていきたいと思っています。
(問)食物アレルギー表示について質問させてください。初めて推奨表示への追加・削除の基本的な考え方を整理していただき、年度内にまつたけを削除し、マカダミアナッツの追加を指示してくださったことを大変高く評価させていただきます。早急なご対応ありがとうございました。カシューナッツについても、既に公定法の開発に着手し、令和6年度の調査結果を踏まえて、7年度以降に義務表示に追加する方向性も示していただきました。ただ、ピスタチオについてなんですが、最近の調査では発症数は22件20位。ショック症例は6件13位で、直近2回の調査で判断する要件は満たしていないのですが、発症数にみるショック症例の割合です。アナフィラキシーショックを引き起こす割合は、どの食品よりも高く、アーモンドや小麦、カシューナッツ、今回推奨表示に追加していただくマカダミアナッツよりも高いです。加えて、ピスタチオとカシューナッツはともにウルシ科で、交差反応性があって、少量でショック症状を引き起こします。またピスタチオクリームは今とても人気があって、ペースト状のものが含まれていても、なかなか判断ができないということがあって、ここをちょっとこのまま放置していていいのかという心配がありますが、河野太郎大臣のご見解をお聞かせください。
(答)ピスタチオにつきましては、最新の調査で数がそれなりに出てきていると思います。委員の中でもご検討いただいて、次回令和6年度の報告を見て、いろいろ検討していこうということになりました。
次回の全国実態調査が6年度ということになりますが、その間どういうことが起きているのかということにも注意をしながら、おそらく次回議論の対象になるものと思います。
(問)先日の総理の記者会見で、マイナンバーカードのトラブルへの対策ということで言及があったんですけれども、再発防止策としてシステム改修を伴うものは除いて、本年秋までに実行していくというようなお話があったんですけれども、この辺「システム改修を伴うもの除き」というのは、具体的にどんなことができるというふうに現時点でお考えでしょうか。
(答)コンビニ交付サービスにつきましては、システムの改修をしたうえで、明日までに123の団体で調査・点検が終わります。マイナンバーカード保険証については登録の際にマイナンバーをきちんといただいたうえで、5情報をしっかり当てたうえで登録するというマニュアル・省令の改正をしていただきましたので、それをしっかり徹底をしてもらいたいと思っております。マイナポイントと公金受取口座につきましては、ログアウト忘れによる誤登録を防止するシステム改修を行って、新規の誤登録を防ぐということができるようになりました。年金につきましては、地方職員共済で登録間違いが1件ございましたので、これも保険証と同様にマイナンバーをもらってJ-LIS照会をして、5情報が本人と一致することを確認しておりますので、新規の発生はこれで防げると思っております。振り仮名を公証するということが法改正で認められましたので、これが施行されれば公金受取口座の登録のようにカナで口座と突き合わせができる、そういうシステム改修というのは先になりますが、現時点で対応できるものについては、今着実に行っているところです。
(問)そうすると、今まで出されてきた対策を中心に、秋まで徹底してやっていくということが主になるんでしょうか。
(答)はい、そうです。マイナンバーカード保険証については、今保険者で点検をしてもらっておりますが、それが終了した後、過去のデータをしっかり点検するということが入りますので、今まで出てきている事案については、再発防止策が徹底されていけば、新しいものは防ぐことができると思っております。
(問)公金受取口座の誤登録関係についてなんですが、先日の記者会見の中でも周知・広報を徹底していくっていう話があったかと思います。現状デジタル庁のホームページ等での周知は徐々に更新されているとは思うんですが、マイナポータル上で公金受取口座を登録する際、もう少し周知と広報を徹底すべきなんじゃないかと個人的には思ってところなんですが、その辺で周知・広報の徹底、今現状どんなふうになっているのか。そして今後とどんなふうに進めていくのか。もう少し具体策を伺えますでしょうか。
(答)748件、公金受取口座の誤登録の方には、今郵送で修正の手続をお伝えする準備をしているところでございます。家族口座を登録された方については様々な方法で、メディアにもご協力をいただいて、修正をお願いしているところでございます。またマイナポータルでも通知を出す。これはまだちょっといつになるのかわかりませんが、準備を進めているところですので、そこはしっかり様子を見ていきたいと思っています。
(問)国土交通省OBの天下りの問題で、ちょっとお伺いしたいんですけれども、国土交通省OBの民間企業への人事介入問題で、立憲民主党と日本維新の会が共同で、現行の天下り規制を退職者OBまで広げる国家公務員改正法案を先日提出いたしました。その内容としては河野大臣がかねて主張してきたようなのと同じような内容も含まれていると思うんですけれども、大臣のご所感を教えていただけますでしょうか。お願いします。
(答)立憲民主党、それから維新の会から議員立法が提出、衆議院だったと思いますが、提出されたということは伺っております。議員立法でございますので、国会でご議論をいただくことになるのかと思います。政府として、特にコメントは差し控えたいと思います。
(問)昨日、岸田総理が今国会の解散見送りを表明されましたけれども、受け止めをお願いできますでしょうか。
(答)解散は総理の専決事項でございますので、総理に聞いていただきたいと思います。
(問)アレルギー表示の推奨表示につきまして、指示内容でちょっと確認させていただきたいんですけども、マカダミアナッツは追加の候補として検討するように、一方でまつたけは削除するようにというふうに指示をしたということでよろしいんでしょうか。
(答)まつたけについては、削除する。マカダミアナッツについては実態調査の結果を踏まえ、追加の候補とするということを年度内に対応すべく準備するよう指示をいたしました。
(以上)