本文へ移動

河野大臣記者会見(令和5年6月30日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年6月30日(金)13時46分から14時16分まで 於:オンライン)

1.発言要旨

今日午前中に、岸田総理より、現在確認されているマイナンバーの紐付誤りに関して、国民の皆様への給付に影響がないこと、現行の保険証の廃止は国民の皆様の不安を払拭するための措置が完了することを大前提として取り組むこと、また、国民の皆様に対してしっかりと情報発信をすること、8月上旬に総点検の中間報告及び国民の皆様の不安を払拭するための対策をとりまとめること、こうしたことにつきまして、厚生労働大臣、総務大臣とともに指示を受けました。総理指示の伝達を含め、今日17時にマイナンバー情報の総点検に関しまして、関係府省の課室長級を集め、今後の進め方について指示を行う会議を開催いたします。マイナンバーに対する国民の皆様からの信頼の確保のため、関係府省と緊密に連携して、スピード感をもって総点検を進めていきたいと思います。

2つ目、公金受取口座の総点検の結果につきまして、今月7日にご報告いたしましたが、誤った登録の可能性が高い方に対して行います郵送通知の準備が整いました。

誤った登録の可能性が高い方に対しましては、既にマイナポータルにおける口座情報の閲覧、あるいは給付を行う行政機関への口座情報の提供、こうしたものをできなくする措置を行っております。本日、登録口座の変更手続などの案内を書留郵便により発送いたします。郵送物を受け取りになった方におかれましては、お手間をおかけいたしますが、案内に沿ってご自身の口座に変更していただくお願いをしたいと思います。ご不明な点がある際は、今日お送りします案内に、専用ダイヤルの番号を記載しておりますので、お問い合わせいただきたいと思います。

また、この件に関する通知を装う詐欺、あるいは個人情報の提供を求めるといったことにご注意いただきたいと思います。公金受取口座の登録情報の変更につきまして、デジタル庁から、いかなる名目であれ金銭の支払いを求めることはありません。また、専用ダイヤルにおいて、本人の個人情報や口座情報の提供を求めることはありません。本人確認が必要となった場合は、お手紙に記載してあります整理番号ですとか、氏名などで確認させていただきます。ご連絡いただくときには、手元にこちらからお送りしたお手紙を用意していただきたいと思います。

また、誤った登録ではなくとも、本人ではなく、あえてご家族の口座を登録した、そういう方々に対しまして、今日から順次マイナポータルの通知機能によって、登録口座をご本人の口座に変更するようお知らせをする予定です。繰り返しになりますが、公金受取口座に家族の口座などご本人以外のものを登録している場合には、給付時に改めて本人口座を確認する必要があります。給付の遅れにもつながるため、ご本人の口座にぜひ登録の変更をお願いしたいと思います。

国民の皆様に安心して公金受取口座の登録を行っていただいて、迅速かつ確実な給付が実現できるよう引き続き信頼の確保に取り組んでまいりたいと思います。

昨日、誤って別人の証明書を交付する事案につきまして、自治体から公表が行われました。この事案は、富士通Japanのコンビニ交付サービスのシステムが原因です。先週火曜日に富士通Japanのシステムの総点検が終わったということをご報告したばかりでありますが、再度事案が発生することとなり、大変申し訳なく思います。

富士通Japan及び富士通におかれては、この事案を重く受け止められ、昨日、私のところにご報告にいらっしゃって、その後、システムの再点検を行う必要があるとの判断をされて、富士通及び富士通Japanからコンビニ交付サービスを提供する全ての自治体に対し、即時停止をお願いするということにしたということが公表されました。デジタル庁としては、富士通のご判断に理解をするものでございます。また今後、その再点検が必要十分なものであるのか、総務省と連携し、しっかりとフォローしてまいりたいと思います。

コンビニ交付サービスの停止は、現場を預かる自治体の皆さん、あるいは対象自治体で利用予定の住民の皆様にご迷惑をおかけすることになりますが、別人の情報を交付するという事案は個人情報保護の観点からあってはならないものであります。富士通Japanの再点検にご協力・ご理解いただきますようお願い申し上げます。

もう一つデジタル大臣として報告をいたします。EUのティエリー・ブルトン欧州委員が来日され、7月3日(月)、デジタル庁、総務省、経済産業省とEUの間で日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合を初めて開催いたします。

日EUデジタルパートナーシップにつきましては、昨年5月に開催された日EUの定期首脳会議において立ち上げが決定され、日EU間のデジタル分野における共同の優先事項を扱う枠組みです。このパートナーシップに基づいて、年1回の閣僚級会合を開催するということにしております。会合に先立ちまして、ブルトン委員とバイ会談を行います。また会合では、G7のデジタル・技術大臣会合で立ち上げを合意したIAPにおけるプロジェクト案やトラストサービスなどDFFTの具体化に向けて議論をする予定であります。共同声明もできれば発出したいと考えております。

今日の閣議でデジタル庁幹部の人事のご承認をいただきました。デジタル審議官の赤石浩一が退職し、その後任に統括官の二宮清治を充てることといたしました。また、二宮の後任には、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官の布施田英生を充てるということにいたしました。発令日はいずれも7月7日、七夕です。

消費者及び食品安全担当大臣としてご報告いたします。

本日、「第15回消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」を開催し、取りまとめの議論が行われました。

この懇談会では、様々な「消費者の脆弱性」が顕在化していること、これまで前提としていた平均的・合理的な消費者と事業者の間の情報の質・量、あるいは交渉力の格差を埋めるということでやってまいりましたが、消費者が自主的・合理的に行動できるという前提では不十分だろうということがクローズアップされてまいりました。

また、デジタル化とそれに伴う情報過剰社会の進展は、消費者が情報・時間・関心を事業者に提供して生活する取引を拡大し、これらを含むデジタル消費者取引が法律の外側で技術によって広く規定される新しい取引環境を創り出しているといったことなどを念頭に、消費者法の在り方を幅広く議論していただいております。「消費者の脆弱性」を精緻化し、それを基軸とした新しい消費者法の理念の下で、様々な規律をコーディネートしていく、広義の「消費者法制度」に再編・拡充していくことが重要だというような議論がこの間行われてきました。

かつて私も岸田総理とともに、自民党の消費者問題PTにおいて、消費者基本法の制定を含め、消費者行政に深く携わってきましたが、そこから20年が経過し、高齢化・デジタル化の進展、消費者を取り巻く環境の大きな変化、こうしたことがありますので、消費者法の制度についてもパラダイムシフトが必要だと思います。

消費者庁設立から15周年の節目を見据え、懇談会の議論を新たな消費者法制度の根幹となる土台として、私法と公法双方のアプローチで幅広く規律する消費者取引全体の法制度の整備、デジタル化が消費者取引環境に与える影響などを踏まえて法律だけではなく様々な技術の活用も視野に入れた規律の構築に向けて、具体的な検討を進めていくよう、消費者庁に指示したところでございます。

2.質疑応答

(問)富士通Japanの件は富士通Japan側の点検が終わって出てきた問題だと思います。一度先方側でチェックをして大丈夫ということで再開されたサービスだと思うのですけれども、なかなかそういうところってデジタル庁としても対応が難しいのかなと思ったのですけれども、今後デジタル庁としてどう監督していくお考えでしょうか。そこを教えてください。

(答)今回の事案は、2019年にさいたま市で一度起きていた不具合という報告がありました。過去に発生した不具合を修正していたはずが、修正漏れがあったということでございますので、過去にどんな不具合が起きていたのか、またその不具合の修正が完全に全ての団体で行われてきたのか、そうしたことが今回点検されるというふうに聞いております。前回123団体を止めて点検をしていただきましたが、負荷をかけた前回の点検では発見できなかった別な原因でございますので、しかも過去に起きていた不具合ということもありますので、過去に起きていた不具合をきちんとまず出していただいて、その修正が全てきちんとできているか、そういうところが今回の点検の対象になるのだろうと思います。総務省と一緒にそこはフォローしていきたいと思います。

(問)総理からの指示についてなのですけれども、不安払拭の対策というのは、再発防止策を8月上旬にまとめるという理解でいいのかということと、もともと中間報告は8月末を予定していたものを前倒しということだと思うのですけれども、紐付け実施機関の負担が増えることになりますが、何か体制を強化するなどのお考えはありますでしょうか。

(答)8月上旬に国民の皆様の不安を払拭するための対策を取りまとめるということでご指示をいただきました。総点検については、きちんとマイナンバーで当てている、あるいは4情報を確認しているという作業が行われているところはデータ誤りがありませんので、それ以上必要はなくなります。そこのところがきちんとマイナンバーで確認できていなかった、あるいは4情報で確認していなかったということがあれば、これデータ誤りの可能性がありますので、それはデータの総点検をしていただくということになろうかと思いますので、7月末ぐらいまでに今までの紐付け方法の対応をしっかりと確認をしていただいて、データを点検しなければいけないところはどこなのかということを確定していきたいと思います。

(問)中間報告に関して8月末が8月上旬に前倒しってことですが、この理由について何か総理からご発言があったのかっていうのと、最終報告はたしか原則として秋までっていうふうになっていたと思いますが、そこの期限は変わりないのでしょうか。

(答)この8月上旬は、紐付け方法を確認していただいて問題がないところ、あるいはさらに深掘りをしなければいけないところ、そこがわかってきますので、中間報告をさせていただくということになります。秋を目途にしっかり対応するということは、その通りでございます。

(問)マイナ保険証一本化の前提が不安払拭の措置の完了ということなのですが、これは国民騙しの詐欺的説明だと思うのですが、措置をやれば不安が払拭されなくても一本化するということなのでしょうか。それとも改めて不安払拭されたかどうかをチェックするということなのでしょうか。

(答)発言にはお気をつけいただきたいと思います。しっかりと措置するということです。

(問)マイナンバーカードの自主返納の動きが各地で出てきているとの報道が一部でありますが、こうした返納の動きがあることについて、デジタル庁として事実関係を把握しているのかということと、こうした動きに対する大臣の受けとめと、今後の対応策について何かお考えがあれば教えてください。

(答)海外へ出国される方、あるいはこの10年間で数回引っ越しをされて住所欄がいっぱいになった方、様々な理由で返納をされている方がいらっしゃいます。引っ越しのシーズンが終わりましたので、住所の追記欄がいっぱいで返納されて新しいマイナンバーカードを受け取られている方もいらっしゃると思います。それ以外で自主返納されたという方がいらっしゃるかもしれませんが、総務省が理由を区別していないので正確な情報はわかりませんが、マイナンバーカードを持っていることでマイナポータルからご自身の情報の確認をすることができる、あるいは様々な新しい便利なサービスが、これからどんどん追加されていきますので、マイナンバーカードを使ってそうしたサービスを享受する、あるいはご自身の情報を確認するということをやっていただきたいと思います。紐付けの誤りということがありましたが、これはマイナンバーカードを持っているかどうかということとは全く関係ないわけで、カードを自主返納することで何かリスクが軽減されるということはございません。そこのところはしっかりご理解をいただきたいと思います。

(問)富士通Japanのコンビニ誤交付についてなのですが、今回のトラブルというのは前回点検で停止していたトラブルとは別のトラブルだと聞いております。ただ大臣もおっしゃったように、2019年に埼玉の方で同じようなトラブルが起きていて、今回修正漏れがあったということだと思うのですが、前回5月にデジタル庁が停止して点検を指示した際にはこういった幅広に他のトラブルや修正漏れがあるかどうかも確認した上で点検してくれということだと理解していたのですけども、そういうことではなかったのでしょうか。あるいはそうだったのに、富士通Japanが前回のトラブルしか点検してなかったのかどうか、そこら辺の大臣のお考え・ご所感を伺えればと思います。

(答)今回の事案は2019年に起きた事案と報告を受けております。2019年に起きた事案の修正をしているということでしたが、修正し切れていないバージョンがあったということですので、今回は過去に起きた事案をまず全て洗い出した上で、それらの対応がなされているかどうか、それを全て点検する。そういうことになると我々理解をしております。

(問)マイナンバーカードの自主返納の動きに関連した質問でお願いします。Twitterなどでは、「マイナンバーカード返納運動」という言葉がトレンド入りするなどすごい盛り上がりを見せておりますが、その点についての大臣の受けとめについてまず1点お伺いします。

(答)先ほども申し上げた通りカードを持っているかどうかで紐付け誤りその他のリスクが変わるわけではありません。むしろ自分の情報に誤りがないかというのは、マイナンバーカードを用いてマイナポータルで自分の情報を確認するというのが一番簡単に情報確認ができる仕組みになっておりますので、自主返納するということで何かリスクが軽減されるということではないことをしっかりご理解をいただきたいと思います。総務省の方でも自主返納なのかどうなのかというところは統計で分けておりません。具体的にどれだけの数字というのはありませんが、これからいろいろなマイナンバーカードのメリットを生かしたサービスが始まってまいりますので、ぜひご自分の情報を確認しながら、マイナンバーカードのメリットも享受していただきたいと思います。

(問)前回の点検の際にこれまでの言い分によると、過去のトラブルを含めて点検を行うという風に私も受け止めていたんですけども、そうではなかったということなんでしょうか。

(答)過去起きたものを点検するために負荷をかけてチェックしたということと私も理解をしております。今回起きた事案は、負荷が高まって起きたことではなく、申請している最中にデータが変更された際にデータ不整合が発生したということです。負荷をかけたチェックでは発見できなかったということと、これは既に過去起きていて修正されていたはずのものと理解しておりますが、修正されたはずのものが発生したということで、おそらく過去起きた事案全て洗い出した上で、それについての修正がしっかりできているのかということが今回実施されると私は理解しております。

(問)先程の総理からの指示で中間報告を8月上旬までにという点について、先日の初回の会合時には8月末と示されていたと思いますが、これは総理の指示というのは前倒しという理解でよろしいでしょうか。また、この前倒しに向けては、体制の強化などはされるのでしょうか。

(答)8月の上旬は前倒しなのですかね、7月中にマイナンバーとの紐付け手順の確認というものが行われることになると思います。手順の確認をして、紐付け作業に誤りがない、要するに、マイナンバーで当て、あるいは4情報で当てるということがきちんと行われていれば、紐付け誤りはありませんので、そこから先は必要ないということになると思います。8月上旬に中間報告を、ということで総理から明確な指示がございましたので、8月上旬に中間報告を行いながら、その後定期的に中間報告をさせていただくことになると思います。
(以上)