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河野大臣記者会見(令和5年9月1日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年9月1日(金)10時55分から11時13分まで 於:オンライン)

1. 発言要旨

まず、デジタル庁所管の来年度の予算概算要求・機構定員要求についてお知らせします。

デジタル庁の概算要求額は約5,819億円、前年度と比べて約868億円増となります。内訳として、政府情報システムを一括計上する経費約5,670億円、デジタル庁の施策を実施するための経費約18億円、人件費等の運営経費約131億円となります。具体的には、GSSやガバメントクラウドに関する経費、マイナンバーカードの利便性向上・利活用シーンの拡大を推進する経費など、デジタル社会の実現に向けた重点計画に基づく施策を推進するために必要な予算を盛り込みました。

このほか、予算編成過程において検討するいわゆる事項要求として、マイナンバー及びマイナンバーカードを活用した行政サービスの信頼性及び利便性の向上に向けた取組に必要な経費、デジタル庁の体制強化・増員に関する必要経費、それとDFFTの推進やAI活用に関する経費を要求しております。

機構定員要求は、準公共分野のデジタル化など社会全体のデジタル化のより一層の推進や、DFFTなど国際戦略を推進するために必要な機構定員を要求しているところです。

デジタル庁としては、各府省と連携しつつ、目指すべきデジタル社会の実現に必要な予算及び機構・定員が確保できるよう取り組んでいきたいと思います。

来年度の概算要求における消費生活相談のサービス向上への体制再構築に関してご説明します。

骨太の方針に盛り込みました、消費生活相談のサービス向上への体制再構築につきましては、消費生活相談が複雑化・多様化する中、デジタル化、あるいは国と地方の役割分担といったことを踏まえて、相談対応の質の向上や地域の機能の維持、相談員が十分に力を発揮できる環境づくり、こうしたことに資するように推進していきたいと思っております。

来年度の概算要求では、消費生活相談のデジタル化の推進を行うとともに、そのためのPIO-NETの刷新などのシステム基盤の整備、それを契機として相談員の相談支援、あるいは高度な相談への対応、デジタル化に向けた研修の段階的な拡充を含む業務基盤の整備、こうしたことを進めていきたいと思っております。

また、国民生活センターにおきまして、消費生活相談のデジタル化対応をリードする専門的な相談員の体制を拡充し、音声入力あるいはリモートによる専門的な相談など、体制面での実証モデル事業を実施したいと思っております。これを進めることにより相談員のキャリアパスを明確化する、それにもつながっていくのではと考えております。

引き続き、地方自治体の皆様のご意見を丁寧にお聞きしながら、相談体制の再構築を進めていきたいと思っております。

デジタル庁が設置から丸2年経過して、今日から3年目に入りました。
マイナンバーカードの保有枚数が8,900万枚を超え、マイナポータルの登録者数も6,400万人を超えるなど、デジタル化推進のための基盤を着実に整えてきたと思います。国民の皆様に安心してデジタル化による便利さを実感いただけるよう、引き続き取組を進めてまいります。

本日午後2時半から浅沼デジタル監による会見を行って、デジタル庁がこの1年間で実施した取組、今後の方向性について具体的な数字を挙げながら発表することにしております。発表の内容につきましては、会見後にデジタル庁のサイトにも掲載していきます。デジタル庁の具体的な取組につきまして、是非、メディアの方々以外にも幅広くご覧いただきたいと思っております。

4つ目、日本行政書士会連合会との協定締結についてお知らせいたします。

デジタル庁では、行政手続のデジタル化につきまして、デジタル臨時行政調査会を軸に取組を進めており、例えばマイナンバーカードで本人確認を行うことでデジタル完結を拡大するような取組を進めております。一方で、小規模な事業者のように、必ずしもデジタルの手続になじみのない方もいらっしゃいます。そうした方に配慮したデジタル化を進めるためには、申請者の事情に明るく、地域に根ざした活動を行っている行政書士との連携が有意義と考えます。実は、大串副大臣が今年の春のG7デジタル・技術大臣会合以降、行政書士会と密にコミュニケーションをとってきてくれて、その中でお互いの連携を協定という形で確認しようということになり、副大臣主導で今回の協定を取りまとめてくれました。今日の夕方、協定の署名式を行います。

今後とも、関係団体のお力をお借りしながら、「誰一人取り残されない」デジタル化を推進していきたいと思います。

今日は防災の日で、防災関係の取組についてもお知らせしたいと思います。

災害はいつ発生するかわかりませんが、準備は平時から行っていかなければなりません。迅速な災害対応を行うためにも、防災DXを引き続き強力に推進していきたいと思っております。

昨年12月に発足しました「防災DX官民共創協議会」には、8月末の時点で事業者や自治体など、357者に参加いただいております。協議会の協力も得て、防災分野の優れた民間サービスやアプリを「防災DXサービスマップ」として整理して、利用者である自治体が容易に検索・調達できるよう公開を今年の3月にしてまいりました。引き続き多くの事業者や自治体に、この協議会に参加いただきたいと思っております。

デジタル庁では、広域災害を対象としてマイナンバーカードを活用した避難所の入所・退所の管理、あるいは医療関係情報等の取得とそれに応じた物資支援につきまして、必要なアプリを整備し、10月にも神奈川県の協力を得て実証実験を行う予定にしております。

自治体や関係機関、防災DX官民共創協議会と緊密に連携しながら、防災DXを引き続き強力に推進してまいりたいと思います。

6つ目、自治体へのオンライン手続に伴う手数料等のキャッシュレス納付についてお知らせをいたします。

今年の4月から、宮崎県都城市の除籍・改製原戸籍の交付に関して、マイナポータルを活用して、オンライン申請に伴う手数料のキャッシュレス納付を実現したということをご報告しておりますが、この都城市における先行導入の結果を踏まえて、導入を希望する自治体がいくつか増えてきておりますので、本日9月1日から、兵庫県養父市、それから石川県志賀町を対象自治体として追加いたしました。

手数料のキャッシュレス納付の対象とする行政手続についても、自治体のご希望に応じて、戸籍の謄本・抄本、納税証明書、所得証明書、課税証明書、住民票の写し、こうしたものの交付など大幅に拡大しつつあるということもご報告申し上げたいと思います。

今後、年末にかけて対象となる自治体が更に拡大していく予定です。オンライン申請とキャッシュレス納付を実現したい自治体におかれては、ぜひデジタル庁に個別にご相談いただきたいと思っております。

最後7番目、本日付でデジタル庁参与の発令を行いました。

元個人情報保護委員会事務局長の其田真理さんをデジタル庁の参与としてお迎えいたしました。其田さんは事務局長時代、マイナンバーを含む個人情報保護のための制度構築に携わっておられたことから、その深い知見に基づいて、デジタル庁における個人情報の適正な取扱の確保を図るために、今後様々なご助言をいただくこととしているところでございます。

2. 質疑応答

(問)来年度の概算要求で、特に重視されたポイントを伺いたいのと、あわせて事項要求としているマイナンバーカードの信頼性・利便性の向上にどのように取り組むお考えか、お願いします。

(答)まず、マイナンバーカードの信頼性及び利便性の向上につきましては、今引き続き検討しているところでございますので、事項要求とさせていただいております。来年度に向けては、GSS、これもいろいろな関係省庁のシステムの更新を順次行っております。またガバメントクラウドに関する経費、こういうものを盛り込みました。マイナンバーカードの利便性向上、利活用シーンの拡大を推進する経費についても、今後、きちんと数字を入れて最終的には予算プロセスの中で議論をしていきたいと思っております。

(問)デジタル庁発足2年の関係でお伺いしたいのですが、これまでの成果について大臣としてどのように考えるかということでしたり、マイナンバーをめぐるトラブルでは組織の情報連携の課題も見えてきたと思います。そうしたことを踏まえて、今後どのような課題があり、この先の1年、どのような施策を実施し、どのような1年にしたいか大臣のお考えをお聞かせください。

(答)2年目はマイナンバーカードの交付枚数を飛躍的に増やすということができ、それに伴う様々なサービスの提供というものも増やすことができたと思っております。やはり身近な行政の手続は市町村がやられているところが多いものですから、市町村によってサービスの提供件数の多いところと名古屋市のように、例えばコンビニ交付すらできないところと、差が出てきておりますが、全体的に大きく前に進んだのではないかと思っております。また、その他にもGSSあるいはガバクラといった霞が関あるいは日本の行政全体のデジタル化をしっかりと進めていく、そういう施策も着実に進んでいると思います。また先ほどお話ししました、行政の手数料のキャッシュレス納付であったり、あるいはVisit Japan Webであったり、デジタル庁の中でいろいろなシステムを内製することによって、いろいろな問題点を解決しながらアジャイルにサービスを提供するということも少しずつできていると思います。その反面800人から1,000人に一気に人数も増えましたので、若干バックオフィスに負担がかかっているというようなこともありますが、もう少しデジタル庁は規模を拡充し、外との連携もしながらアジャイルにサービスを提供していくということをもう少し強力に進めていく必要があるかなと思っております。

(問)参与に其田真理さんを任命されたということなのですが、これについて2点教えてください。任命された背景について、先日、公金受取口座登録の誤登録で個人情報保護委員会の立入検査があったかと思うのですが、これなど関連したものを教えてください。今後、個人情報を適切な取扱のための体制強化というのは、具体的にどのように進められるのか、この2点を教えてください。

(答)今回の参与の就任は、公金受取口座の誤登録など、デジタル庁内での個人情報保護体制を強化する必要があると判断しましたのでお願いしたところでございます。参与だけでなくデジタル庁の中で個人情報保護に関する体制を、人員強化といったことを含めあるいは研修ということを含めいろいろやっていかなければいけないことがあると思いますので、それに向けて今いろいろと準備しているところでございます。
(以上)