河野大臣記者会見(令和5年9月22日)
河野デジタル大臣記者会見要旨
(令和5年9月22日(金)11時00分から11時22分まで 於:オンライン)
1.発言要旨
今月20日、個人情報保護委員会から公金受取口座の誤登録事案に関連して個人情報保護に関する通知を受けましたので、デジタル庁の対応についてお知らせいたします。
デジタル庁としては、同じく20日に公表した「個人情報保護の更なる強化について」のとおり、通知を真摯に受け止め、再発防止に努めてまいります。
具体的には、個人情報保護体制の強化として、個人情報保護委員会の事務局長を務められました其田真理さんに参与になっていただき、デジタル庁の個人情報保護に関する人員の充実・強化を行いました。また、組織横断的な情報共有を徹底するために、報告経路を明確化し、ホットラインを設けました。さらに、職員の意識向上を図るために、関係規程の周知、研修内容の充実といったことにも取り組んでまいります。
個人情報保護の強化に向けて、デジタル庁一体となって取り組んでまいりたいと思います。
2つめ、マイナポイントの第2弾についてお知らせいたします。
マイナポイントの申込期限であります9月末まで残すところ1週間あまりとなりました。マイナポイントは9月末までにお申し込みいただく必要がありますので、申込期限間際になると、自治体あるいは民間のポイント申込支援窓口やポイント申込サイト、こうしたものが混雑することが予想されます。また9月末よりも前に申込みを締め切る決済サービスもありますので、ご希望の決済サービスに申し込むためには、お早めにポイントを申込みしていただく必要があります。例えば、楽天Edy、JCBクレジットカード、デビットカードなどは既に申込みを終了しておりますし、PayPay、au PAY、au PAYカード、これは申込終了日が9月29日となりますので、9月末までお待ちいただいていると申し込めない決済サービスも出てきます。ポイントの申込期限のこれ以上の延長はないため、2月末までにマイナンバーカードを申請された方はお早めにポイントをお申込みいただきたいと思います。
2.質疑応答
(問)マイナンバー法を所管するデジタル庁がマイナンバー法に基づいて指導を受けたという異例の事態になったわけですけども、この点について大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)デジタル庁としては、今回の通知を重く受け止め、しっかりとした対応をしてまいりたいと思います。
(問)デジタル庁として個人情報保護の強化策を打ち出しましたけども、これらの実効性を持たせるには何が重要だというふうにお考えでしょうか。
(答)職員の意識をしっかり醸成するということと、そのためにも体制をしっかり強化・充実していくことが大事だと思います。
(問)EBPMについてお伺いしたいと思います。今年度から行政事業レビューシートに政策の目的と手段の関連を明確にする記載項目が追加されるなど、取組が進んでいます。一方で専門家からは、個別事業ごとではなく政策パッケージとしての検証が必要といった意見も出ております。大臣としましてはEBPMの取組を更に進めるため、現状の課題について、どこにあり、今後どのように解消されていきたいと考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)EBPMはしっかりと推進していきたいと思っております。そういう意味でメディアの皆さんがこのEBPMに関心を持っていただいているのは非常にありがたいと思います。一つには、行革推進会議の下にEBPM推進委員会を設置して、EBPMの推進体制をしっかりと整備してまいります。また、行政事業レビューシートの対象が予算とうまく連動していないというご指摘もございました。また、レビューシートの成果指標の設定が適切でない、あるいは政策目的とその政策目的を謳っている政策手段の論理的なつながりが明確ではないあるいは論理的につながっていないのではないか、そういうようなご指摘もありました。そうしたことに対応するためにレビューシートの見直しをして、内容の充実を図っていきたいと思っております。約5,000の事業につきまして、このレビューシートをしっかり予算事業と連動できるようにしていきますが、今レビューシートの作成状況について精査しているところですので、秋に予定している公開レビューでの議論も踏まえてレビューシートの改善、更にはこのEBPMへ取り組むための様々な改善に取り組んでいきたいと思っております。
(問)個人情報保護委員会の報告書では、デジタル庁内部での情報共有の遅れが厳しく指摘されていました。この内部での情報共有の遅れについて、どのように受けとめているのか、大臣の考えをお聞かせください。
(答)個人情報の保護に関する規程の周知・徹底というものが不十分だったということがあると思います。情報共有するための会議体を設置したほか、横断的な情報共有体制を整えておりますので、今後は速やかに情報共有が行われるようになると考えております。
(問)ライドシェアについて伺いたいのですけれども、解禁をめぐって推進論と慎重論が出ていますが、改めて大臣の問題意識を伺わせてください。合わせてデジタル庁ではモビリティWGで検討してきていますけれども、今回、規制改革担当も兼務された中で、今後どのように取り組んでいくかもお願いします。
(答)おそらくコロナ禍でタクシーのドライバーの数が相当減少したということがあると思います。タクシー会社が様々な手を打ってくれて、少しずつ運転手さんの数は戻ってきていると認識しておりますが、一つはインバウンドが戻ってきているということで、京都をはじめ観光地でなかなかタクシーがつかまらないということ。それから、過疎地域においては恒常的にタクシーを運行している台数が少ないために、なかなか地域の足が確保できないといったことがあると思います。おそらく解決策として、一つはこのタクシーに関連する様々な規制緩和をやっていく必要があるのだろうと思います。もう一つは、ライドシェアと言われている仕組みを取り入れていく。その中で、ライドシェアに関して、例えばタクシーでやっているアルコールの検知をどういうふうに明確にするのか、あるいはライドシェアをやる方の運行管理・健康管理、そういったものをどうするのか、そういうことも合わせて議論して、公共の交通サービスの提供ができない地域を中心にどういう形でサービスをしっかりと地域に提供するのか、そういう議論を積極的にやっていきたいと思っております。
(問)議論の場所としては、規制改革推進会議とか、そういう場を想定されていらっしゃるのでしょうか。
(答)デジタル行財政改革会議の大きな屋根をかけましたので、その中で議論していくことになります。具体的な場所その他については、今後決まり次第発表していきたいと思います。
(問)個人情報保護委員会の話に戻るのですが、参与に元個人情報保護委員会の其田事務局長を任用されたということですが、其田さんを任用された経緯や狙いを改めて、具体的に教えていただければと思います。
(答)体制の強化及び職員の意識の向上徹底ということを図るために、まずは体制の強化、そしてそこに個人情報の保護について詳しい方を充てたいと思っておりました。いろいろな方のお話を聞く中で、其田さんというお名前も上がってきましたし、個人情報保護委員会事務局長としていろいろ実務にも当たっていらっしゃいました。事務局長時代にマイナンバーを含む個人情報の保護のための制度構築にも携わってきたという経験をお持ちですので、今後様々な助言をいただくこととしております。
(問)冒頭に言及がありましたマイナポイント事業について伺います。大臣は以前、ポイントで普及を図る手法は邪道と評されたことありましたが、改めてこのマイナポイント事業の意義や効果についてどのように考えられているかお伺いします。また今年3月末にはほぼ全国民に行き渡らせるという目標は達せられたとの認識も示されていますが、今後はより一層の普及を目指す考えでしょうか。
(答)マイナポイントは、マイナンバーカードの普及に大いに役立ったのではないかと思っております。多くの方にマイナンバーカードを申込みいただきましたので、マイナポイントもしっかりと受け取っていただきたいと思っております。マイナンバーカードを普及するということが、自治体などでマイナンバーカードを市民カードとして利用できるようにする「鶏と卵」、鶏がいないと卵は生まれないよねということで、マイナンバーカードが広く普及したことによって、今様々な地域で市民カードとしての利用が始まっているということで、非常に大きな意義があったのではないかと思います。これからマイナンバーカードを使った便利なサービスがどんどん入ってきますので、その利便性をしっかりと実感していただけるように努力していきたいと思います。
(問)先ほどもお話しのあったライドシェアをめぐる議論についてなのですけども、ドライバー不足の解消のためにタクシーに関する規制緩和ということを大臣は先ほどおっしゃっていましたけども、具体的にどういった規制を緩和する余地があるのかということで今何かイメージございましたらお願いします。
(答)コロナ禍でタクシーの運転手さんの数が減った理由の中には、まずコロナ禍という中でタクシーという閉鎖的な空間にいて感染のリスクが高いというものを防ぎたいということでお辞めになった方もいらっしゃると思いますが、だんだん2種免許を持っている方が高齢化してきているという現実があると思います。2種免許を取ることができる年齢が今、特例でも19歳ですから、例えば高校を卒業してタクシーのドライバーになりたくても卒業してから1年間は2種免許を取ることができない。その間に他の仕事を見つけてそちらへ行ってしまうということもあると聞いております。また、日本の国内にいる外国の方で、日本の普通免許を持っている方が2種免許を取ってタクシーの運転手をやろうとするときに、例えば神奈川県なんかは、普通免許はかなり多言語で試験を受けることができるようになっていますが、2種免許を受けようと思うと、これは日本語で受けなければならないということで、この2種免許を非常に取りにくいということがあります。またタクシー会社が採用してタクシー会社持ちで2種免許を取ってもらうときに、最短で行くと何日というのがあるんですが、日程を見るとこれはもうちょっと詰められるよねと、例えば1日の実車時間3時間を4時間にするだけで、その期間が短くなりますし、卒業検定の日は実習を入れないみたいなルールもあります。そういうことを考えると、明らかにドライバーの数が少ないあるいは高齢化しているという現実に、2種免許の試験の方法が対応できてないというところがあると思いますので、そうしたことを具体的にリストアップして、国土交通省や警察庁に対応を考えていただくということになろうかと思います。
(問)個人情報保護委員会に関して質問します。今回は、組織内の情報共有の不十分さだけでなく、指摘されるまで、個人情報保護委員会まで報告がなかったこと、個人情報への意識の低さなどが指摘されています。今回の指摘を受け、改めてこれまでのデジタル庁のどこに課題があったと大臣は考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)個人情報保護委員会から、これは本来報告をすべきものであるという誤認の指摘があるまで報告をできなかったということでして、個人情報保護に関する規程の周知・徹底が不十分だったということを認識し、反省しております。個人情報保護に関する意識向上のために、関係規程の周知・徹底をしっかりやると同時に、研修内容も今は個人情報保護委員会の資料あるいはビデオ動画に基づいてやっておりますが、それを更にデジタル庁として一層充実していく必要があると思っておりますし、そのためにデジタル庁の中で個人情報保護にあたる体制を強化しております。今後は更に個人情報保護委員会としっかり連携して、同様の事態が発生しないように努めていきたいと思います。
(以上)