河野大臣記者会見(令和5年12月15日)
河野デジタル大臣記者会見要旨
(令和5年12月15日 (金)10時30分から10時41分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
まず、以前に行われた避難者支援業務のデジタル化に関する実証実験の結果がまとまりましたので、お知らせいたします。
神奈川県で実施した実証実験では、避難所への入所手続について、今までは手書きで行っておりましたけれども、それに比べてマイナンバーカードを利用した場合は、入所手続の時間が10分の1になった。避難所の状況を、災害対策本部へ報告するための報告書作成時間についても約半分、5割の業務削減効果が見られ、負担軽減・効率化が期待できる結果となったという報告が上がっております。
住民の方に避難者役として実験に参加いただいておりますが、実験後のアンケートでは、参加した方々の約8割が「避難者アプリを通じて健康状態をタイムリーに伝えることができた」と回答していただいているほか、参加者の9割が「災害時に実証実験で使用したアプリを利用したい」と答えております。かなり良い結果が得られたのではないかと思います。
実証で得られたこうした知見を防災関係サービスの質を向上させていくために、またそうしたサービスを円滑かつ迅速に自治体が調達できるように支援するために、デジタル庁で作成しているモデル仕様書にこうした知見を反映し、デジタル田園都市国家構想実現会議の開催と合わせて昨日公表いたしました。このモデル仕様書を使って調達する案件については、デジ田交付金においても優先採択される仕組みとなっております。デジ田交付金も活用して優れたサービス・システムの横展開を図っていきたいと思います。
また、この実証で構築するシステムあるいはアプリのソースコード、そして得られた知見やノウハウは、防災DX官民共創協議会などを通じて、全国の自治体や民間事業者へ共有し、横展開、早期の社会実装を図っていこうと思います。
来年の2月にも改めて実証実験を行って、災害の種類を変えた場合の効果など、更なる検証を行いたいと思います。今後とも避難者の置かれている状況とかニーズを、デジタル技術、マイナンバーカードを用いて効率的に把握して、適切な対応をとっていきたいと思っております。デジタル庁として今後とも防災DXの実現に向けて力を入れて取り組んでまいります。
もう一つ、技術検証事業についてご報告します。
デジタル庁では、アナログ規制の見直しに当たって、技術の安全性や実効性を検証する技術検証事業を実施してきております。来週18日(月)に東京都稲城市の綜合警備保障株式会社を訪問し、ドローンやウェアラブルデバイスなどを用いた建物の点検の実証実験を視察したいと思います。
現場の目視作業のようにアナログな手法で行われている点検業務を、デジタル技術を活用して効率的に行うことができれば、業務負担の軽減や人手不足の解消にもつながると思いますので、アナログ規制の見直しに関する現場をしっかりと確認して、今後の政策につなげていきたいと思っております。
2. 質疑応答
(問)一昨日、超党派・ライドシェア勉強会から提言申入れがありました。申入れを受け、河野大臣は「ここにいただいているのはかなりの部分いけるのではないかと思います」と発言されていましたが、この、かなりの部分というのは具体的にどのあたりを指しているのでしょうか。
(答)具体的にかなりの部分は大部分ということなのではないかと思います。今いろいろと調整して、年内に一定の結論が出せるように頑張っておりますので、しっかりやりたいと思います。
(問)小泉進次郎会長は、雇用のあり方がポイントの一つと指摘されていますが、業務委託など多様な働き方を認めるという主張に対しては、大臣はどのようにお考えですか。
(答)今、そうしたことを含め、しっかり調整しているところです。
(問)東日本大震災の取材をしていると、当時は被災者が誰がどこでどのような助けを求めているかわからないとか、誰がどこにいるかは自治体が把握できないというような問題があって、混乱したというような状況がありました。今回、この防災DXを実現させることによって、改めてですけど、どういうふうにそこが改善できるのかというのを教えてください。
(答)避難所へ入所するときに入所の登録を手書きでやりますと、それを災害対策本部にファックスやら何やらで送らなければいけませんし、よその避難所に誰がいるかというのは、どこかでリストを作って、配らないといけないということになりますけれども、マイナンバーカードで入所登録をしていただくと、それが瞬時にどこに誰がいるというのがわかります。その情報をデジタルで共有して「お父さんはここにいるけど、お母さんはこっちにいるよ」というようなことがすぐわかりますので、非常にそういう意味でどこに誰がいるかということを把握するのに便利だと思います。またマイナンバーカードあるいはアプリを連動させるなどして、日頃飲んでいる薬の情報がわかったり、あるいはアレルギーがちゃんと情報共有されたりということができれば、災害対策本部で食料を配ったり、あるいは必要なものを配るときに、そうしたものをしっかり対応できるようになるというのは非常に大きなメリットになるのではないかなと思います。避難所の業務負担の軽減・効率化、それに加えて、様々な付加情報を瞬時に集めることで、対応もよくなると思っています。
(問)昨日4人の閣僚の方が交代し、また副大臣5人・政務官1人の方が入れ替わって、新しいメンバーで政権運営に当たることになるかと思います。今日、新しいメンバーで内閣も始動したことになると思うのですけれども、改めまして、政府の一員としてどのように業務に当たられるか、その辺の思いがあれば伺えないでしょうか。
(答)政治資金にまつわる様々な疑惑によって、国民の皆様からの政治に対する信任が損なわれるという事態になったことは大変申し訳なく思っております。今、政治資金のオンラインでの届出ということができるようになっておりますが、その届け出た後の情報の取扱いというのがなかなかデジタルデータで取扱いができないというようなこともありますので、情報の透明性を高めるということがやはりこれから求められると思いますので、そうした対応についてもデジタル庁と総務省が連携して考えていかなければならないと思います。
(以上)