河野大臣記者会見(令和5年12月26日)
河野デジタル大臣記者会見要旨
(令和5年12月26日 (火)10時32分から10時53分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
まず、昨年11月に策定しました地方公共団体におけるアナログ規制の点検・見直しマニュアルについて、その改訂版を今日公表いたしました。
今回の改訂版では、新たに先行自治体において実際に洗い出された条例等におけるアナログ規制の一覧、それから規制の見直し・技術代替を行った場合の効果試算の結果などを掲載いたしました。また、自治体において洗い出し作業を行う際の判断基準の整理・充実、アナログ規制見直しに係る国の取組状況の反映などを行っております。
また、先行自治体においては、書面掲示規制について、個別の条例を改正することなく、いわゆるデジタル手続条例の改正により、一括で見直しを実施している自治体もあります。今回のマニュアル改訂では、こうした事例も参考事例として紹介いたしました。
全国の自治体におかれては、今回改訂を行ったマニュアルを参考にして、引き続き、積極的にアナログ規制の見直しに取り組んでいただきたいと思います。
2件目、政府の各種のシステムのユーザーインターフェース(UI)につきまして、利用者視点で改善を進めてきましたので、事例を報告したいと思います。
政府が運用する各種のシステムについては、いろいろご指摘をいただいておりまして、例えば、生年月日の選択が1868年、明治元年から始まり、自分の年にスクロールしていくのに時間がかかるというクレームなど、使い勝手が悪いというご意見が結構ございました。
そのため、デジタル庁において49項目のチェックリストを作成して、申請が10万件以上ある40のシステムを対象として、各府省庁において確認していただきました。その結果、17%の項目に課題が見られ、各府省において順次改善を進めていただいてきたところです。具体的には、入力文字数の制限がある場合に、事前に文字数を明示し、入力中の文字数をリアルタイムで表示するようにいたしました。また、半角大文字など入力条件をちゃんと事前に明記するようにいたしました。また、入力の必須項目を容易にわかるようにいたしました。
予算措置が必要なもの、それからシステム更改の際に合わせて対応するものなどを含め、原則として来年度中には全ての項目の改善を完了する予定です。
デジタル庁として、今回の事例を踏まえながら、今後、各府省庁の様々なシステムにおいてUIの改善が円滑に行われるよう、また当初から分かりやすいUIになるようガイドラインやチェックリストを充実させてまいります。
また、利用者目線でのUIの改善を継続的に進めるため、デジタル庁のウェブサイトにおいて、政府システムに関するご意見を受け付けております。デジタル庁ウェブサイトのトップページの「メニュー」から「ご意見・ご要望」、そして「政府のウェブサービスやアプリの使い勝手に関するご意見をお聞かせください」というところから、ご意見を受け付けております。UIに不満がある場合のほか、優れたシステムの場合には横展開もしていきたいと思いますので、良いもの、悪いもの、皆様からのご意見をいただきたいと思います。
引き続き、各府省庁と連携して、国民の皆様の使いやすいシステムを広げてまいりたいと思います。
マイナンバーカードによるお医者様などの電子署名についてお知らせします。
医師が電子処方箋を発行する際に、マイナンバーカードを利用して電子署名をすることができるようになります。電子処方箋は今年1月から運用を開始しておりまして、改ざんを防ぐために、医師が電子署名を行う必要がありますが、これまでは専用のカード、HPKIカードが必要でした。これからはマイナンバーカードでも電子署名を付与することができるようになります。
マイナンバーカードでの電子署名については、医師が事前にそのための手続を行う必要がありますが、明日27日から、マイナポータルを使ってこの手続の受付を開始いたします。薬剤師の皆様には、来年1月下旬より対応開始となります。
電子処方箋が普及すれば、薬の飲み合わせや重複をより正確に医療機関あるいは薬局で把握できるようになり、国民にとっても質の高い医療サービスの提供につながるというメリットがあります。今回、マイナンバーカードでの電子署名が可能になることは、電子処方箋の普及にもつながっていくと考えております。
お医者様には、是非、マイナポータルから必要な手続を行っていただいて、電子処方箋の拡大に向けた取組を進めていただきたいと思います。デジタル庁も厚生労働省と連携して後押しをしてまいります。
私の年末年始の海外出張についてお伝えいたします。
まず、明日、明後日とインドに出張して、インド工科大学ムンバイ校で開催されるTechfestにおいて、我が国のデジタル政策に関する講演を行います。Techfestは、毎年1回開催されるアジア最大の科学技術の祭典で、南アジアにおいて、デジタル政策・最新の技術等に関する議論を深めることができるとともに、日本のデジタル分野での貢献・影響力向上も図っていきたいと思います。
年明けは1月8日から16日までアメリカ・ヨーロッパに出張し、G7各国閣僚との会談を行います。DFFTの具体化のために、先月、OECDの下に新たな組織として、Institutional Arrangement for Partnership、IAPを設立することになりました。このIAPで実施するプロジェクトについて、各国の閣僚と意見交換を行うとともに、来年日本が議長国を務めるOECD閣僚理事会に向けて、DFFTやデータガバナンスに対する日本の考えを伝えて、各国の協力を求めてまいりたいと思います。
また、G7への出張に引き続き1月16日から19日までスイスで開かれます世界経済フォーラム年次総会、ダボス会議に出席します。複数のセッションに登壇して、日本のデジタル戦略及びDFFT具体化に向けた日本の取組状況や官民連携の重要性を広く発信してまいりたいと思っております。
5つ目、今日の閣議において、デジタル田園都市国家構想総合戦略を閣議決定いたしました。
昨年、5か年の計画として総合戦略を策定しましたが、今年、デジタル行財政改革という新しい方針が立ったことを踏まえて、必要な改訂を行いました。なお、今後は、総合戦略の基本方針に変更の必要が生じた場合に限って改訂を行っていきたいと思っております。この総合戦略に基づいて、全ての地方公共団体でデジタル実装が行われるよう、地方の取組を後押ししてまいります。
規制改革推進会議の開催についてお知らせします。
今日16時から、第18回となります規制改革推進会議を総理ご出席の下、開催いたします。今回の会議では、10月の新体制発足以降のこれまでの議論の成果と、今後一層進めるべき取組を中間答申として決定されることになります。「守るべきは規制ではなく、国民の豊かな生活である」という認識の下、利用者起点、利用者目線の改革をこれからも進めていきたいと思います。
最後7件目、行政改革担当大臣として、閣僚会議の廃止についてご報告いたします。
内閣官房及び内閣府につきまして、内閣が取り組もうとする政策課題に、より機動的に対応し、重要政策に関する司令塔機能など本来果たすべき役割を十分発揮することができるように、既存の事務の不断の見直しを行って、できるだけ組織を効率的なものとしていくことが重要です。
そのため、総理ともご相談しながら調整を進めてまいりましたが、この度、内閣官房又は内閣府が事務を処理する閣僚会議のうち、所期の目的を達成したことによる開催の必要性が低い17の閣僚会議について、廃止することといたしました。
2. 質疑応答
(問)内閣官房及び内閣府の会議体の廃止についてですけれども、まずこの意義というのを改めて教えていただきたいのと、それから内閣官房と内閣府については、職員の数、予算定員の数が右肩上がりで増えているという現状もあります。これについても大臣のお考えをお願いします。
(答)内閣官房と内閣府は、内閣が取り組もうとする重要課題の司令塔といった役割を果たす必要がありますが、どちらかというとこれまで、そのために作られた様々な閣僚会議が、その役割をほぼ終えているにもかかわらず残存していた、そういうきらいがありましたので、所期の目的を達成したと考えられるものにつきましては、今回廃止するということで、総理とご相談した上で、今日の閣議で決めさせていただきました。内閣府、内閣官房も単に各省庁から人を集めるのではなくて、きちんと定員を確保した上で事務を進めるようにしたいと思っております。今まで各省の座布団で集められた人をなるべく各省に返すという作業を今回も行ったところであります。
(問)この廃止はいつからいつまでにかけて行うのか、スケジュール感をお伺いできますでしょうか。既に今日時点で廃止したものがあるのかもお伺いできますでしょうか。
(答)今日の閣議で廃止を決めたものもあります。基本的に17の閣僚会議については今日廃止しました。何か一つ手続でまだのものがありますが、それ以外については本日廃止です。
(問)今回の見直しによって各省にどれくらいの人数を返すことができたのかをお伺いしたいのと、先ほど役割を終えたのに残存してきたということがご説明ありましたけれども、例えば一覧を見るとジャポニスムのように、もう既に何年も前に終わっているものがいまだに残っていたという、何か構造的な問題があるようにも感じるのですけれども、そのあたり大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)戻した人数ついては、内閣人事局にお問合せいただきたいと思います。もう終わっていないものは、本来なら廃止措置をしっかりすべきだったと思いますが、廃止措置をせず、ずっと残ってぶら下がっていたというものがいくつかあったようなので、廃止いたしました。
(問)本日が年内最後の閣議後会見ということで、今年1年を振り返って、様々なことがありましたけれども、河野大臣にとって今年の漢字1字が何か教えてください。
(答)今年はむちゃくちゃ暑かったので、「暑」じゃないかと思います。
(問)大臣がやってこられたいろいろな改革等もあったと思いますけど、その辺も踏まえてはいかがでしょうか。
(答)暑い夏の中、いろいろなことをやりましたので、やっぱり暑かったなということかと思います。
(問)閣僚会議の細かい点に戻るのですが、現在いくつ閣僚会議が存在しているのかというのと、これまでも廃止というのはあったのかどうか、あったらいつ以来になるのかという2点お願いします。
(答)全部で閣僚会議は85です。今日現在85のうち17を廃止しましたということです。
(問)この1年間のデジタル政策の進展について伺います。春先にマイナンバーをめぐるトラブルが判明したり、デジタル庁でも個人情報の取扱いとかで体制の不備が浮き彫りになりました。一方でマイナンバーカードの普及とか利用の機会の幅は広がっています。この1年、この進展をどう評価して、来年どのような政策を打っていきたいとお考えでしょうか。
(答)マイナンバーカードがおそらく国民の8割の方に持っていただけるようになって、保険証の紐付けも7割近くになってまいりました。非常に進展した1年であったと思っておりますので、このマイナンバーカードを使った便利なサービスの導入というものを来年も本格化していきたいと思っております。
紐付け誤りがありました。これまでは情報が紙でファイルに綴じられていれば誤りがあってもわからないところ、ご自分の情報をマイナポータルで確認して誤りがあれば訂正することができるようになったというのがデジタル化の大きなメリットだと思います。総点検の結果、紐付け誤りも実際には割合として非常に少ないということが確認できました。これもよかったと思います。
デジタル庁の中で、情報共有、個人情報保護体制の強化が必要だということが明らかになりましたので、デジタル庁で情報共有体制を整備したり、あるいは個人情報の保護についての取組を進めるなどいたしてきたところであります。これについては、来年もしっかりとやっていかなければいけないと思っております。
来年は、マイナンバーカードのスマホ搭載を更に進めたり、年明けから始まる「書かない確定申告」に向けての一歩であったり、あるいは年明けから「書かない窓口」の全国展開も更に進んでいきますので、デジタルを活用して世の中を便利に豊かにしてまいりたいと思います。
(問)マイナンバーカードのスマホ搭載で、iPhoneの方は来年できそうということでしょうか。
(答)発表の時期については、発表できるようになったら、しっかりお知らせしたいと思います。
(以上)