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河野大臣記者会見(令和6年4月2日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和6年4月2日(火)10時10分から10時32分まで 於:オンライン)

1. 発言要旨

デジタル庁におけるスタートアップ調達について、令和5年度の契約状況を取りまとめましたので報告します。
令和5年度の中小・スタートアップ企業との契約について、件数ベースでいうと令和4年度から2.8倍に増、令和4年度は33件でしたのが令和5年度の中小・スタートアップ企業との契約は93件、約3倍になりました。金額ベースでは、令和4年度の26億円から66億円と2.5倍になっています。ただ、件数でいうと、令和5年度はトータルの36%、3分の1以上が中小・スタートアップ企業との契約ですけれども、金額ベースだと66億円というのは全体の8.4%、1割弱でしかありません。その差があるのが課題かなと思っております。
また昨年4月から今年2月まで、デジタル庁の調達に入っていただいた事業者715社のうち、新規参入事業者は約65%の462社になってます。非常に多様な企業に関与していただいたと思います。この715社というのは再委託企業を含んで、その約3分の2の462社が新規参入事業者です。この結果については、令和5年度から高い技術力や企画力を重視すべき案件はプロポーザル型企画競争での調達を開始したことに加えて、スタートアップの参入を促すための施策として、年間の調達計画を早く開示する、それから再委託を含む受注企業のリストを公表した、いろいろなことをやりましたので、そうしたことが寄与したものだと思っております。
令和6年度からは新たにシステム調達においてスタートアップ企業に加点する仕組みを実施していきます。今後、幅広く新規参入事業者の受注が増加していく中で、業務の遂行に支障が出ないように、受注者としっかりコミュニケーションをとったり、あるいは発注側の能力の向上にも力を入れていきたいと思います。
デジタル庁としては、この中小・スタートアップ支援を含め、この1年における情報システム調達の改革全般の取組状況についてフォローアップを実施して、有識者あるいは業界団体の意見も聞きながら、今後の調達改革の方向性を昨日取りまとめました。この会見後に公表いたしますので、詳細是非ご覧いただきたいと思います。会見後にデジタル庁のウェブサイトに公表予定です。

自治体の給付事務に関するデジタル庁の支援の取組についてお知らせいたします。
今般の「給付金・定額減税一体措置」について、「定額減税しきれないと見込まれる方」への給付金につきまして、昨年の課税状況に基づいて今後給付金が算定されることになります。自治体がこの部分の給付額を円滑に算定できるような算定ツールをデジタル庁で開発しております。
具体的には、自治体で、税のシステムから必要な課税情報を抽出して、その情報を算定ツールに登録することで、給付対象者を特定して、それぞれの給付対象者の給付額の自動計算が可能となります。給付金の事務作業スケジュールに合わせて、5月下旬の提供を予定しております。
1,741の自治体に対して、この算定ツールの利用希望を確認したところ、3月末の時点で1,437の自治体から利用の申込み、実に9割以上の利用の申込みをいただいております。まだ回答をいただいていない自治体もありますので、関係省庁とも連携して更なる利用の促進に努めてまいりたいと思います。

3件目、東京都では今年度、「018サポート」という18歳以下への独自給付を実施する予定です。
これにつきまして、デジタル庁が構築する給付支援サービスを通じて、申請時の入力の簡素化あるいは添付資料の削減により、迅速な給付が可能となるように、東京都及びGovTech東京と連携して準備を進めております。
給付支援サービスを使うことで、スマホでマイナンバーカードを読み取って本人情報や公金受取口座情報が自動入力されるようになりますので、通帳の写しの添付が不要になります。自治体でもデータ照合の事務負担が軽減されることになります。
デジタル庁として、自治体の各種の給付事務が迅速に、また円滑に行えるよう、最大限の支援をこれからも行ってまいります。

4つめ、昨日4月1日から口座管理法が施行され、預貯金を持っている方は金融機関の窓口で預貯金口座をマイナンバーで管理することを申し込むと、その金融機関は対象の預貯金口座に付番をするということになります。
今年度中には、今年度の後半になると思いますが、付番の申込みを行った金融機関の預貯金口座のほかにも、その金融機関を経由して別の金融機関の預貯金口座にも付番の申込みができるようになります。
また、相続時あるいは災害時には付番の情報を活用することにより、一つの金融機関の窓口で、付番された預貯金口座の所在を確認することができるようになります。
相続時や災害時における有用性など預貯金口座への付番のメリットをしっかり周知して、多くの皆様に預貯金口座への付番をしていただけるよう取り組んでいきたいと思っております。

2. 質疑応答

(問)算定ツールについてお伺いします。1,437の自治体が手を挙げているということでしたが、逆にこれを使わないと言う自治体というのはあるのでしょうか。もしあるのであれば、どういった理由でそういったお話しになっているのかということを併せてお聞かせください。

(答)1,741の市区町村にお知らせをしたところ、1,524から回答があり、そのうち1,437が「使います」と手を挙げてくれております。まだ200ちょっと未回答の自治体がありますので、そこに、使いますか、ということは聞いていこうと思っております。おそらく対象となる人が少ない小規模の自治体は手作業でできるというところがあると思いますので、ツールを使うより手作業でやった方が早いというところはあるのだろうと思います。

(問)とはいえ、せっかくのツールですから、全国的には保有していただいておいた方がいいというのがデジタル庁的な考え方だと思うのですが、100近い自治体が使わないと言っていることに対する受け止めはどのように考えてますか。

(答)それなりの規模の自治体だといろいろなツールを使った方が早いんですけれども、中には非常に小規模な村みたいなところは、慣れた人が手作業をやった方が早いと思います。それぞれの自治体の担当者がどうするのが一番いいのかというのはよくおわかりだと思いますので、こういうサービスはありますというお知らせはいたしますが、判断は自治体にお任せしたいと思います。

(問)スタートアップ調達のところで、今回件数が大幅に増えた一方で、契約金額では1割未満ということでしたけれども、今後まだ調達の方法を変えていく中で、次の目標というのはどこにあるのか、例えば契約金額を増やすのか、それとも件数を更に伸ばすのか、数値目標や大臣のお考えがあれば教えてください。

(答)スタートアップで技術のあるところがたくさんありますので、そういうところにデジタル庁の調達に是非入っていただきたいと思っております。また今まで再委託で仕事をやっている事業者がかなりの数になっていますので、そういうところに積極的にデジタル庁と直接ビジネスをやってほしいと思っております。どういうやり方がいいのか、例えば、全部終わってからの支払いだと、やはり中小・スタートアップのキャッシュフローが厳しくなると思いますので、途中で部分支払いができるようにしたり、あるいはこの契約の書類を簡素化していくとか、あるいは入札までの期間が長い方がいいのか短い方がいいのか、少しいろいろな業界の話を聞きながらやっていきたいと思っております。件数も事業者の数も増えていけばいいなと思っておりますが、金額ベースがなかなか少ないというのは、やはり大きいところはまだまだ大企業というふうになっているのだろうと思いますので、そこのところは、大きいところもスタートアップ・中小企業が取りやすいような発注の仕方というのは考えていく必要があるかなと思っています。

(問)その結果、例えばその金額的にどれぐらいを目指したいとか、そういうところもお考えはありますか。

(答)まだ取組が始まったばかりですので、今よりしっかり増やしていこうというところで、まだ目標を定めているわけではありません。

(問)再エネタスクフォースについて伺いたいのですが、そもそも私的諮問機関であるタスクフォースが政策決定の過程に積極的に関与しているというこのこと自体について大臣の認識を改めて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

(答)私的諮問機関というわけではないのだと思います。これは有識者会議の一段下の位置付けということになっていると思います。菅総理(当時)がカーボンニュートラルというのを打ち出した中で、化石燃料をいかに再エネに転換していくかというのが非常にこのカーボンニュートラルを実現するために大事なことですから、そこに向けて必要なこと、特に再エネに関する様々な省庁をまたがる規制をどのように改革していくかということが非常に重要でしたので、特に再エネの規制に特化したタスクフォースをつくって、最終的にはここでまとめたものも閣議決定の中に盛り込まれていっておりますので、しっかりカーボンニュートラルに向けて何をやったらいいかということを議論していただきました。

(問)その上で、これまでの政府の政策の中でのその再エネ推進というところで、今回タスクフォースの委員を辞した人物に対しては、これまでも政府の他の委員会などに選ばれる有識者たちからも再エネ政策をめぐってある種の偏りみたいなところも指摘されるような人物でしたが、そういった人物を起用したということに対して大臣これは適切だったかということをお考えでしょうか。

(答)これまでに特にそうした問題提起はありませんでした。再生可能エネルギーに詳しい方、電力システムに詳しい方、規制改革に詳しい方、それぞれ選んで再エネタスクフォースの委員として議論していただきましたし、またテーマによっていろいろな方のヒアリングをやってきましたので、特に問題があったということではないと思います。

(問)とりたてて専門性というところに関しては、問題はないけれども、今回のいわゆる事務的ミスのようなところに関しては、これから調査を続けて結果を報告していただけるということでしょうか。

(答)専門性は非常に高いと思っております。今回のことがありましたので、構成員並びに自然エネルギー財団について、海外から不当な影響力を行使される可能性があったかということはしっかり調査したいと思います。

(問)3月末の閣議後会見で23年度の振り返りをしていただいたのですが、今年度のデジタル行政の重要論点についてどうお考えなのかお伺いします。2点目は給付事務サービスについて伺います。このサービスの自治体の給付事務の効率化を目指すものかと思いますが、現在の自治体の給付事務における、大臣の問題意識ですとか、今後のサービスの拡大の展望について、可能な範囲でお考えをお聞かせください。

(答)2つのご質問はたぶん連携をしていると思っております。今まではそれぞれの自治体が自前のシステムを開発して使う。いわば自治体がサービス・システムを作り込むというフェーズでしたが、だんだんと1,741の市区町村がそれをやっていくのは難しい時代になってきたと思います。デジタル庁がむしろ共通のサービスを開発して市区町村に提供していく、市区町村はそういう提供されたサービスを使い倒すということがこれから大事になってくるのではないかと思います。今度の定額減税の算定システムについても、これをそれぞれの自治体がつくっていくというのは非常に無駄も大きいと思いますし、こういうものこそデジタル庁がしっかりと開発して提供をしていく。作り込みから使い倒しへというフェーズになっているのではないか、今年度はそういう視点からより多くの自治体、あるいはより多くの国民の皆様に使っていただけるサービスを提供していくというのが、デジタル庁の一つの使命なのかなと思っております。

(以上)