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河野大臣記者会見(令和6年5月10日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和6年5月10日(金)10時00分から10時23分まで 於:デジタル庁20階会見室及びオンライン)

1. 発言要旨

ゴールデンウィークの海外出張ですが、4月29日から5月6日まで、ベルギー、オランダ、フランス、サウジアラビアに出張してまいりました。
ベルギーでは、ブリュッセルにおいて、EUとの間でデジタル・アイデンティティ、eIDに関する協力覚書、MOCの署名を行いました。国境を越えたデータ連携について、まずはユースケースを作ろうということで、教育分野、特に相互の留学生に関して様々なドキュメントが必要とされているものについて、eIDを使いもっと簡便に行うことができないだろうかということからスタートして、少しずつユースケースを広げていきたいと思っています。将来的にはeIDを相互承認できればいいと思いますが、日本・EUそれぞれのeIDのスタンダードを比べることもやっていかなければいけないので、ユースケースを広げていくところからスタートいたします。
その後、第2回の日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合が開催され、松本総務大臣と私、オンラインで経済産業省の石井政務官、先方はEUのブルトン欧州委員が出席し閣僚級会合を行いました。データに関するセッションは、DFFTを含むデータ政策、それからOECDの下に設置されたIAPの段階的な強化について、日EUで協力していこうということで合意しました。
オランダでは、アムステルダム市のデジタル政策の責任者の方々との意見交換を行い、アムステルダムの水路で自動運転の船の開発が行われており試乗してきました。パリのオリンピックでセーヌ川を走るそうです。
フランスのパリでは、OECD閣僚理事会が開催され、データガバナンスとデジタルに関するセッションで議長を務めました。OECDの下にIAP(Institutional Arrangement for Partnership)が設置されました。専門家パネルとOECDの委員会という二本立てでDFFTを進めていくことになります。OECDの委員会の段階的な強化をしていくべきということで、新委員会の設置を含むあらゆるオプションに関して議論を開始することで合意いたしました。専門家パネルでいろいろなプロジェクトを進めていきます。特にASEANは今、このデータガバナンスに関する法律、その他レギュレーションの透明性を向上させようというプロジェクトを行っておりますので、セッションの冒頭に短いビデオを会場で流して、OECD・IAPとASEANでこの分野での連携・強化・協力を進めていこうということを確認したところです。
サウジアラビアでは、アル=スワーハ通信・情報技術大臣とバイ会談を行い、昨年MOCを締結しており、年内に2回ほどオンラインで専門家会合を行いMOCに基づく協力を進めていく。またサウジアラビアは、かつてアラムコがサイバー攻撃を受けて、サイバーセキュリティに関して力を入れておりますので、そうしたサイバーセキュリティでの意見交換もしていきたいと思っております。それからサウジアラビアの北西部で進めているスマートシティ、NEOMという一大プロジェクトがありますので、そこの現場の視察も行ってきたところです。
DFFTを始め、いろいろな国との相互連携や、日本が追いつかなければいけない分野が多々ありますので、しっかりやっていきたいと思っております。

偽造マイナンバーカードに端を発する詐欺事件が報道されています。
マイナンバーカード、真正のカードは、例えば右上のマイナちゃんがパールインキで印刷されておりますので、偽物は色が変わりませんからすぐに分かります。事業者には、ここをチェックしなさいというチェックポイントがありますので、丁寧にチェックしていただくことで、券面を印刷しただけの偽造カードは本来見破られるはずですが、そのチェックポイントをもう一度きちんと説明する文書を発出し、しっかり確認していただきたいと思っています。
マイナンバーカードはICチップが入っております。ICチップを読み取っていただくのが一番確実な偽造対策で、厳格な本人確認ができます。パールインキそれから何点か確認すべきところを確認していただければ、目視でも偽造を見破ることができるはずですが、ICチップを読み取っていただくことで更に厳格に本人確認ができると思います。民間でそのようなアプリがあればその使用を奨励したいと思いますし、そういうものがなければ、デジタル庁で読取アプリを開発し、無償提供をしていきたいと思っております。関係省庁とも連携して、なるべく早く対応していきたいと思っているところです。

2. 質疑応答

(問)券面を印刷しただけの偽造マイナンバーカードの詐欺事件が増えているということですが、政府が今準備している次期マイナンバーカードでは、この偽造防止にどのような仕組みを考えていますでしょうか。

(答)現時点でも、パールインキを始め、いくつかの券面の単純な偽造は見破られるようになっておりますので、そうしたことを踏襲すると同時に、ICチップを読み込んでいただければ更に厳格に本人確認することができますので、そこはしっかり次期カードでもやっていきたいと思います。

(問)昨日、自民党と公明党の幹事長協議で、政治資金規正法改正の与党案が大筋合意しました。デジタル化についても、収支報告書のオンライン提出やネット公表の義務化が盛り込まれました。これについてデジタル大臣としてどのように評価するのか、そして自民党が今後信頼を回復するために何が必要とお考えかお聞かせください。

(答)今後、与野党協議や国会の委員会での議論で更にいろいろなものが詰められていくだろうと思いますので、それに期待したいと思います。個人的には、この政治資金収支報告書のデジタル化、なるべく早急にやりたいと思っておりますが、現時点では法的に権限が無いと総務省から言われておりますので、法改正していただきデジタル化ができるようになれば、デジタル庁として早急に取り組んでいきたいと思っています。

(問)マイナ保険証の活用などを進めていこうとする中で、こうしたマイナンバーカードの偽造などが起きると、信頼性に関わってくると思うが、その点についてお考えをお聞かせください。

(答)保険証は単なる紙で写真もありませんから、保険証を使っていること自体が大きな問題になっていると思います。

(問)偽造マイナンバーカードを使われたことで、マイナ保険証を進めていこうとする中で、何となく、マイナンバーカードって危ないのではないかと思われるのではないでしょうか。

(答)そこは、メディアの皆さんがきちんと報道していただければ問題はないと思います。

(問)偽造マイナンバーカードを巡り、文書を再度発出して、きちんと確認していただきたいというお話がありましたが、既に出されているのか、今後出すのか、それはいつか。また、民間でアプリがあれば奨励したいが、なければデジタル庁で開発というお話しがありましたが、民間で該当するようなアプリがあるかどうかを調べた上で、なければ早急に開発に着手するという認識でいいでしょうか。

(答)今回このような事件がありましたので、もう一度確認の意味でこれから文書を早急に出したいと思っています。民間のアプリがあるかどうかは今、存じておりませんので、至急調べてあれば奨励したいと思いますし、なければすぐ開発に着手したいと思います。

(問)マイナ保険証に関して、今月に入って利用促進集中取組月間に入ったので改めてお聞きしたい。河野大臣は先月、自民党所属の国会議員や地方議員にマイナ保険証での受付ができない医療機関があれば、公的な相談窓口に連絡するよう求める文書を出したと思います。総理も国会で不適切ではないという認識を示されていると思います。改めて、その文書の狙いと、大臣としてではなくて、衆議院議員として文書を出した理由についてお聞かせいただきたい。

(答)既にカードリーダーの設置とマイナ保険証で受け付けるというのは、ほとんどの医療機関で義務化されております。マイナンバーカード保険証を持っていて、受付をしようと思ったらできなかったという利用者が現在いるということは問題ですので、そのようなことがないように、受付ができなければご連絡をいただき、厚生労働省から確認したいと思います。ゴールデンウィーク前でデジタル庁も忙しい中、文書の発送ぐらいは私の事務所でできますから事務所でやりました。

(問)今回の記者会見は、久しぶりの記者会見室での閣議後会見だと思うのですが、ハイブリッドの会見について率直な感想と、今後も続けていくのか、なぜ今回このような場を設定したのかお聞かせください。個人的にはやはり対面の方がオンラインよりも温かみがあっていいと思いましたが、いかがでしょうか。

(答)古株の方はいいと思いますが、新人メンバーが入られましたので、一回はリアルで開催する方がいいかと思いました。オンラインだと冷たくて対面は温かいというのは、ややアナログ的な思考だと思いますので、是非オンラインでの温かみというのを感じていただきたいと思います。

(問)今後はどうされますか。

(答)たまには実施してもいいかなとは思います。

(問)内閣府の再エネタスクフォースで、自然エネルギー財団が作成・提出していた資料に中国企業のロゴが入っていた問題について、既に疑惑発覚と財団の報告書提出から1か月以上経ちますが、中国の影響力工作があったのか、調査の状況を教えてください。調査継続中ということであれば、いつ調査を終えるのか決まっていましたら教えてください。

(答)調査に私は携わっておりませんので、内閣府などに聞いていただきたいと思います。

(問)欧州とのMOCについて、国内でデジタル・アイデンティティやトラストサービスと言っていますが、この法整備のお考えがありますでしょうか。欧州議会は4月に改正法を採択しています。それからマイナンバーカードの券面ではなく、ICチップを使うということは、法定で本人確認において必要性が増してるのではないか、そのようなルールづくりが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

(答)いろいろなことを考えながら検討していきたいと思います。

(問)偽造マイナンバーカードについて、デジタル庁で把握されている詐欺事件や偽造の件数はご存知でしょうか。

(答)デジタル庁というより警察かと思います。

(問)ゴールデンウィークの出張に関連してDFFTの件について、日本としてはデータ流通の促進というのを更に進めていきたいと考えていると思いますが、例えば中国などデータ開放に消極的な国もある中で、今回、OECDやASEANの各国の閣僚の方とお話しして、データ流通に関しての印象をお聞きしたい。また、日本が今後ルール作りに対してどのような形で関与していきたいか。
もう一点、今日の午前中に河野大臣がご自身のXで、国政選挙のオンライン投票についてアンケートを出されていました。今のところの反応を見ると、オンライン投票を望む意見がかなり多かったと思いますが、この受け止めと、オンライン投票を実現に向けてご自身あるいはデジタル庁としてどのような取り組みをしていきたいかお伺いしたい。

(答)DFFTについて、相当多くの国が国境を越えたデータ流通の必要性が高まっているということと、ヨーロッパのGDPRとアメリカがやや別方向に向かっている中であっても、データ流通に関するあるいはデータそのものに対する考え方が違う中でも、この相互運用性を高めていかなければいけないということにかなり多くの国が同意をしている中で、このIAPがこれから行っていくプロジェクトへの熱意というのは、非常に多くの国から感じているところです。若干ローカライゼーションを進めようという国があるのだろうと思いますが、一部の国は別として、多くの国はIAPのプロジェクトに賛同して参加・協力してくれるだろうと思っております。
オンライン投票については、デジタル行財政改革会議で課題発掘対話も行っております。当面は在外邦人のオンライン投票というところから行ったらどうかと我々は思っていますが、今、自民党の逢沢一郎選挙制度調査会長と岩屋毅会長代理の二人にはお話しして、これは議員立法ですから、各党各会派に国会で議論していただかないと、デジタル庁としても、デジタル行財政改革会議としても動けないため、各党各会派にお願いするということになると思います。

(問)オランダ、アムステルダムの水路で自動運転の船の開発が行われている様子を試乗されたというお話がありました。試乗された感想を教えてください。そして国内でも船舶の自動運転の技術開発が進んでいますが、大臣はこれまでも自動車の自動運転の技術開発に大変意欲を示していますが、船舶等の自動運転技術の開発に関しても、どのような立場でお考えでしょうか。

(答)これから自動運転の技術というのが陸・海・空の順番はいろいろあると思いますが、陸・海・空それぞれ必要になってくるだろうと思います。そういう中で、オランダ、特にアムステルダムは街中の水路が非常に張り巡らされておりますので、ニーズもおそらくあることから、いろいろな開発が進んでいるのだろうと思います。私が乗った船は非常に小型でしたが、もう少し大きな船をパリのオリンピックのときにセーヌ川で自動運転するということです。テレビに映るか分かりませんが期待して見ていきたいと思っていますし、日本でも陸も海も、なかなか空というわけにはいかないかもしれませんが、自動運転の技術が進むことを大いに期待をしたいと思います。

(問)先日、高市大臣がアクティブ・サイバー・ディフェンスについて、SNSで、河野デジタル大臣の所掌分野だが、法整備を成し遂げてもらうことを心待ちにしていると投稿しました。担当大臣としてどう受け止めているかお聞かせください。

(答)デジタル庁ではありません。これはサイバー安全保障の担当大臣として私が所掌しているもので、なるべく速やかに有識者会議を立ち上げて議論したいと思います。

(以上)