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河野大臣記者会見(令和6年5月31日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和6年5月31日(金)9時07分から9時30分まで 於:オンライン)

1. 発言要旨

マイナンバーカード機能のスマホ搭載について、昨日、岸田総理とApple社のティム・クックCEOがオンライン会談を行い、私も同席させていただきました。
会談において、来年の春にマイナンバーカードの機能をiPhoneに搭載することが確認されました。残念ながら確定申告には間に合いませんが、来年の春ということでしっかりやっていきたいと思います。
マイナンバーカードは、確実に本人確認を行うことができて、様々な行政手続、民間サービスの申込、健康保険証や図書館カードとしての利用、災害時・救急時の利用など、利用シーンが拡大しつつあります。iPhoneユーザーも、スマホ一つで、カードをいちいち読み込む必要なく、生体認証で安全かつ便利にこうしたサービスを受けることができるようになります。来年の春、できるだけ早いタイミングで開始できるよう、今後も引き続きApple社と連携して取組を進めていきたいと思います。
今回iPhoneで搭載される機能は、現在Androidで既に実現している、マイナンバーカードのICチップに格納されているものと同じ(同等の)電子証明書を搭載するほか、国会でご審議いただいている法案の成立を前提として、マイナンバーカードの券面記載事項についても搭載できるようになります。Androidの券面記載事項の搭載時期は、現時点では未定です。
この券面記載事項を搭載することで、本人確認だけでなく、券面にあります年齢確認・住所確認もスマホで可能になります。また、ご本人が保有されている国家資格証明書などを、スマホの画面に表示することができるように順次なっていくと思います。この法案が成立すれば、こうした対応をしっかり進めてまいります。
医療機関におけるスマホ搭載の健康保険証の開始時期については、来年春のiPhoneへの実装ができた後、速やかに一部の医療機関で先行して開始し、順次運用を拡大してまいります。

国と地方における行政ネットワーク、特に自治体ネットワークにおける「三層の対策」に関連するお知らせをしたいと思います。
デジタル庁で、「国・地方ネットワークの将来像及び実現シナリオに関する検討会」を昨年9月に設置いたしました。総務省や自治体の協力を得ながら、行政ネットワークの将来像の検討を進めてきて、報告書を本日この後、デジタル庁のウェブサイトに公表します。
報告書では、2030年頃の国・地方の行政ネットワークの将来像ということで、国・地方がそれぞれ独自に整備してきた行政ネットワークについて、国・地方の適切な役割分担の下、国が主体的に整備するネットワーク基盤を共用化して、平時のコスト効率を上げるあるいは災害時の強靱性を確保することが必要とされております。
また、自治体のセキュリティ対策は、これまで境界型防御に依拠した三層の対策によってセキュリティを確保していましたが、物理的に分けた複数のPCでの業務、あるいはその間をUSBでデータの移動を行うなどの必要がありました。今後は、この三層の対策をやめて、国において既に導入を始めている省庁共通のネットワーク環境であります、GSS(ガバメントソリューションサービス)を参考に、ゼロトラストアーキテクチャの考え方を導入し、セキュリティを確保することとしております。これによって、USBメモリを利用せず、一人一台のPCで、効率的に業務あるいはテレワークすることができるようになります。
この報告書につきまして、自治体のご意見を伺ったところ、賛同・期待の声が多く寄せられておりますので、デジタル庁として、この報告書を踏まえ、可能なところから速やかに実施し、新たなネットワーク環境の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。

マイナンバーカードの利活用促進で、健康保険証だけでなく、様々な医療費助成の受給者証としてもマイナンバーカードを利用できるような取組を進めているところです。
医療費助成、公費負担医療制度それから地方単独事業がありますが、いずれもマイナンバーカードをこれらの医療費助成の受給者証として利用できるようにする取組をしております。先行の自治体が、昨年度の事業で都城市を始め5つの自治体で既に運用を開始しておりますが、今年度の事業として153の自治体を新たに採択いたしました。今日この後、ホームページで12時頃公表したいと思います。採択された団体については、早期に事業を開始できるよう取組をしっかり進めていただきたいと思います。
また、一次公募に検討が間に合わなかったという自治体もあったことから、本日(5月31日)から、二次公募を開始いたします。予算の範囲内で採択することとしておりますが、おそらく50から70団体を採択できるのではないかと想定しております。
正式な応募の最終期限を7月31日としておりますが、受付して審査の上妥当なものであれば順次採択をしていきますので、予定より早く応募を締め切る可能性もあるということにご留意いただきたいと思います。
マイナンバーカードと受給者証の一体化は、メリットを実感いただける取組だと思いますので、12月2日のマイナ保険証を基本とした仕組みへの移行に向けて、少しでも多くの自治体に取組を実現していただきたいと思っております。

ダッシュボードを使ったデータの可視化の取組についてお知らせします。
デジタル庁では、政策に関する数字を、ダッシュボードと呼ばれるツールで、国民の皆様にお届けしております。マイナンバーカード、自治体DX、アナログ規制見直しなどの状況を順次公開して、一目で進捗状況が分かることから好評いただいております。このダッシュボードについて、個人・団体・官民を問わず誰もが効率的に品質の高いものを作るための方法をガイドブックの形で整理して、今日(5月31日)12時にデジタル庁のウェブサイトで公表いたします。
この「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」には、ダッシュボード作成の要件整理の方法、作成プロセス、あるいは誤解なく伝えるためのグラフの設計手順などを示したり、あるいは見やすいダッシュボードを効率的に作るためのデザインのひな形も同時に公表いたします。
データを分かりやすくお示しすることで、様々な方が官民でデータを利活用し、正しい共通認識の醸成、意思決定の質の向上につなげていただければと思います。

規制改革推進会議、第19回目となりますが、本日(5月31日)16時から総理出席のもと開催いたします。議題は、ライドシェア事業に関する法制度についての論点整理と、2つ目の議題として、答申についてです。
守るべきは規制ではなく、国民の豊かな生活であるという認識のもと、しっかり改革を進めてまいります。

サイバー安全保障に関する有識者会議の立ち上げについてお知らせいたします。
国家安全保障戦略に基づいて能動的サイバー防御を導入することとし、サイバー安全保障分野における新たな取組の実現のために、法制度の整備を図ることとしております。専門的な見地から検討を進め、体制のあり方などについてご提言いただくため、この度私のもとに、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議を立ち上げることといたしました。
第1回会合は6月上旬を目途に開催すべく日程調整を行っているところでございます。会議のメンバーについては、経済界、アカデミア、法曹界、メディア、諸々の今般の検討を行っていただくのにふさわしい知見を有する有識者17名にご参加いただくこととしております。分野横断的に幅広くしっかり議論いただけることを期待しているところです。

2. 質疑応答

(問)マイナンバーカードのスマホ搭載に関してお伺いします。Androidに関して未定というお話ですが、これは技術的な何らかの問題があるのか、それともGoogleと交渉している途中だからなのか、教えていただければと思います。

(答)Androidについては決まり次第ご報告いたします。

(問)iPhone搭載で利便性は上がる一方で、国民の中にはマイナンバーカードをスマートフォンに入れることに対して不安視みたいなものが聞こえますが、その辺を払拭するための広報活動ですとか啓蒙活動をやる予定がありますでしょうか。

(答)マイナンバーカードあるいはスマホ搭載についてしっかり広報していきたいと思います。

(問)サイバー安全保障の有識者会議について、先程冒頭発言で、人選の狙いと会議で期待する議論についてお話があったのですが、今回このメンバーにされた狙いと今後の会議の議論に期待するところを教えていただけないでしょうか。

(答)この分野で長年の経験のある方、あるいは関連する法律・政策分野に知見を有する方、最新の技術あるいは安全保障その他の情勢に通じている方など、各層からバランスよく選定するよう事務方に指示したところでございます。こうした考え方を踏まえ、事務方からの提案を受けて、構成員としてお願いすることといたしました。

(問)マイナンバーカードのiPhone搭載について、今回Appleウォレットに搭載するということですが、法改正で実現する本人確認その他諸々の使い方はAppleウォレット単体でもできるように実装するのでしょうか。それから法改正を含めてAppleとの協議が長引いた背景についても教えてください。

(答)デジタル庁あるいはApple両者ともに一生懸命努力をしていただいた結果と思っております。詳細については広報にお尋ねいただきたいと思います。

(問)能動的サイバー防御の有識者会議の件でお伺いします。人選の中で、特に落合陽一氏が選ばれていると思います。落合氏の人選の狙いについてお願いします。

(答)先程申し上げたように、各層からバランスよく選定するよう事務方に指示したところです。

(問)国と地方の行政ネットワークについて、三層の対策をやめてGSSを参考にゼロトラストアーキテクチャの考え方を参考に、というお話をされていたが、事務方は三層分離をやめるとまでおっしゃっていなくて、今までの境界型防御とゼロトラストアーキテクチャは矛盾しない考え方というお話をされていたのですが、三層の対策、つまり個人番号利用事務系・LGWAN接続系・インターネット接続系でネットワークを分けている現状をやめるという理解でよかったでしょうか。

(答)三層をやめるというのは当然のことだと思います。複数のパソコンを使わなければいけないというような非効率、あるいはその間をUSBでやりとりをするというのはセキュリティの問題も出てくると思いますので、一人一台のPCで効率的に業務ができるようにしていきたいと思います。

(問)三層分離の中でも、β’モデルというインターネット接続できるようなモデルはあると思うのですが、三層分離を維持したままやるのではなく、三層分離そのものをなくすという理解でよかったでしょうか。

(答)一人複数のパソコンを使わなければいけない、あるいはやりとりをUSBでやらないといけないというような三層分離はやめます。

(問)能動的サイバー防御の有識者会議で、有識者の17人ですけれども、今日メンバーが発表されるのでしょうか。

(答)はい、そのとおりです。もう出していると思います。

(問)iPhoneへのマイナンバーカード搭載について、開始時期が来春後半以降となった理由について教えてください。

(答)来春のなるべく早い時期です。デジタル庁とAppleが緊密に協議し最善の努力をした結果です。残念ながら確定申告には間に合いませんでした。

(問)ライドシェアについてお尋ねします。先日、斉藤国土交通大臣が、3者協議の結果、期限を設けないということで法整備を議論していくことに合意したと発表されたのですが、この結果について河野大臣は期限を設けないことについて、どう考えていらっしゃるかお尋ねしたいです。

(答)これから全国各地でライドシェアが始まりますので、少なくとも年内は状況を見ながらモニタリングをしっかりやっていきたいと思います。右肩上がりでどんどんライドシェアが進展している、移動の制約がいろいろな地域でどんどんなくなっていくということであるならば、様子を見守ればいいと思っておりますが、進行の状況がフラットになり移動の足の解消が止まってしまえば、次のステップにいかなければなりません。その間しっかり法案の準備をして、次のステップが必要なときには移行できるような準備はしっかり進めていきます。

(問)国土交通省との交渉は大変だったのでしょうか。

(答)そんなことはありません。向いている方向は同じです。

(問)スマホに搭載した保険証の利用について、使い方のイメージとしては、いわゆるICカードなどタッチ決済のようなもので手続が完了するというイメージでいいのかという点と、このスマホを搭載した健康保険証、マイナ保険証だと思いますが、医療機関で使えるメリットについてお考えをお聞かせください。

(答)一部の医療機関でまず先行してスタートすることになると思いますが、顔認証はやっていただくことになろうと思います。いろいろなタッチ・かざし機能とは若干違うと思っております。

(問)メリットについてもお考えあればお願いします。

(答)今のマイナンバーカード保険証で得られるメリットと同様のメリットを受けることができます。

(問)マイナンバーカードの本人確認機能について、今日マイナンバー法改正法が成立した場合は、公布から1年以内にAndroidとiPhoneのどちらでも電子証明書機能、属性証明機能を搭載できるようになるという理解で間違いないでしょうか。

(答)今Androidで実現している電子証明書をiPhoneに搭載する。それと、iPhoneの場合は、券面記載事項も電子証明書と同時にiPhoneに搭載されることになります。これが来年の春。Androidについては電子証明書の搭載は既にできておりますが、券面記載事項のAndroidの搭載時期は、今の時点では未定ということになります。

(以上)