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河野大臣記者会見(令和6年6月11日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和6年6月11日(火)9時30分から9時56分まで 於:オンライン)

1. 発言要旨

能登半島地震の被災地の現地視察についてご報告します。
能登半島地震の発生から5か月余が経過いたしました。被災地では復旧・復興の取組が進められております。
今回の地震では、デジタル技術を活用した様々な取組が行われていることから、現場の実状を把握するとともに、成果あるいは今後の課題について関係者と意見交換してまいりました。私と石川副大臣とでそれぞれ手分けして被災地を訪問いたしました。
私は珠洲市・輪島市を訪問し、両市長から復興に向けた取組をお伺いするとともに、ボランティアによる支援現場を視察し、ボランティアあるいは市民の方々と意見交換をさせていただきました。
珠洲市では、被災者情報を一元化するために、今回新たに開発した被災者データベースについてじっくりお話を伺い、見させていただきました。自治体が保有している情報、現場で取得した情報、デジタル庁も協力したSuicaを活用した避難者のデータ、様々な方法で取得した情報を一元的に連携させたものになります。現場の要望に基づいたデータ抽出も可能でした。こうしたデータベースを活用することで、被災された住民の皆様へのきめ細かなフォローアップが可能となっておりました。デジタルが被災者の支援につながる大変良い事例だと思います。
また珠洲市の大谷地区では、ボランティアが提供してくださっている無人移動型フードバンクを視察しました。被災された住民の皆さんにICカードを配布し、フードバンクを利用する際にそのカードをかざすことで、24時間いつでも必要な物資を受け取ることができるようになっておりました。デジタル技術を活用した住民に寄り添ったサービスを、民間主導で提供していただいており、感謝申し上げたいと思います。
将来的にはマイナンバーカードをこうしたサービスでも活用できると思います。また、このフードバンク、本来は災害用ではなく過疎化した地域で平時に使うということで開発されたものと伺っております。平時でのこうした準備というものが非常時にも役に立つということで、この非常時と平時のつながりというのが非常に大事だと感じたところです。
輪島市では、実際の避難所であります大屋小学校を視察し、避難所の運営に携わっているボランティアの皆さんから、発災直後の通信途絶あるいはパソコンなどのIT機器の不足があったりという状況の中で、避難されている方々の把握に苦労したお話をお聞きいたしました。
また石川副大臣においては、一昨日(9日)に、輪島市、かほく市、内灘町の被害状況を視察したほか、志賀町で避難所や入浴施設の利用にSuicaを活用して避難者情報の把握をしている取組を視察し、志賀町の町長とも意見交換を行ってもらいました。
また副大臣は、昨日(10日)、石川県庁で知事と面会し、能登半島地震におけるデジタル面での災害対応、今後の連携について意見交換してもらっております。
今回の視察を通じて、能登半島地震の被害の大きさを改めて実感したところです。被災された方々に改めて心よりお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。災害対応、復旧・復興に当たられている関係者の皆様のご努力に深く感謝申し上げます。
今回、災害対応の現場で防災DX官民共創協議会などの民間人材の力を積極的に取り入れて、デジタルを活用した課題解決に取り組んでいる状況を見ることができました。今後の災害対応に大変参考になると思っております。
デジタル庁として、こうした経験・知見を積極的に活用し、課題あるいは成果の検証を行った上で、マイナンバーカードの活用による避難者の状況把握など、先週(4日)お伝えいたしましたデジタル庁の防災DXに関する取組を更に進めていきたいと思っております。

給付のデジタル化として、給付支援サービスについてお知らせいたします。
デジタル庁では「給付支援サービス」を構築しております。これを利用することで、給付プロセスをデジタル完結できるようになります。
具体的には、スマホでマイナンバーカードを読み取ることで、本人の情報あるいは公金受取口座の情報が自動入力され、通帳の写しの添付が不要になります。自治体側も、データ照合の事務負担が軽減されます。今般の給付金、新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置では、約120の自治体が利用され、あるいは利用予定ということになっております。
また、東京都が今年度も独自給付として実施する「018サポート」でも、本日からこの給付支援サービスに対応することになります。協力いただいた東京都及びGovTech東京に感謝申し上げたいと思います。
今年度新たに給付対象となる方は申請が必要となりますので、その際、給付支援サービスを利用することで、例えばスマホで親子のマイナンバーカードを読み取れば、家族関係が自動で判定され、健康保険証などの家族関係を確認する書類の添付が不要となります。
今後も実際にご利用いただいた方々、あるいは自治体からのご意見を踏まえながら、より多くの住民の皆様、自治体に使っていただけるサービスの構築に努めていきたいと思います。また、給付支援サービスの利用拡大を通じて、自治体の給付事務が迅速かつ円滑に行えるよう、引き続き最大限の支援を行ってまいりたいと思っております。

2. 質疑応答

(問)被災地の視察の件でお伺いします。成果と課題について意見交換されたということですが、政府・デジタル庁としては災害派遣デジタル支援チームを先日大臣も表明され、技術面でのアプローチは既に検討されているということですが、機器のカードリーダーやインフラ面はどのようなカバーが必要だとお考えでしょうか。

(答)マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーをしっかり用意しておく必要があると思います。それをどこで日頃備蓄しておくかといった具体的な検討をこれからしていかないといけないと思いますが、カードリーダーと、マイナンバーカードをお持ちでない方のための空カード、これはしっかりアプリと一緒に用意しておく必要があると思います。ただ、今回の大谷地区でのフードバンクなどを見ておりますと、やはり日頃から使っているシステムというのが役に立つと思いますので、マイナンバーカードの市民カード化といったものを進めていく中で、日頃からマイナンバーカードを持ち歩き、利用している、そういう中で被災地での様々なシステムで有効活用ができると思っております。

(問)今回、JRのSuica(の情報)も使った被災者データベースの視察も行われたということですが、実際マイナンバーカードでは今回実現しなかったわけですが、この被災者データベースとマイナンバーカードの連携への期待感はどのように感じましたでしょうか。

(答)特に珠洲市では、行政が得た様々なデータをこの被災者データベースに一元的にインプットすることで、まだ自治体として状況把握ができない方が日々絞られていくというデータベースの活用方法を見せていただきました。また、それを使って義援金を受け取っている方、様々な支援を受け取っている方、二次避難されている方、いろいろなデータでかなり立体的に珠洲市の市民の現状を行政側が把握することができている、これは非常に好事例と思っておりますので、いざというときのデータベースの横展開をしっかりしていく必要があると思います。

(問)政治資金収支報告書のオンライン提出についてお伺いします。審議中の政治資金規制法改正案では、オンライン提出が義務化となっていますが、今後参議院で通過後、デジタル庁としてはどのように関わっていくか、お考えがあればお聞かせをお願いします。

(答)最終的な法律の仕上がりいかんによりますが、使いやすいシステムにする必要があると思っておりますし、また単なるPDFでの提出ではなく、データがしっかり分析できるような形でのオンラインシステムにしなければいけないと思っておりますので、最終的な法案の形を見ながら、総務省と協力しながら、このシステム化をしっかり進めていきたいと思います。

(問)河野大臣は(政治資金収支報告書を)オンライン提出されていると思いますが、他方、国会議員の間では進んでいない現状があると思います。大臣としては、この進まない現状についてどのように要因があると考えていらっしゃるでしょうか。

(答)今アナログでやっていて、これをデジタル化してくださいというときに、やはり強い慣性が働いているというのは、このオンラインシステムだけではないと思います。今後新しい法律に基づいて、皆さんがしっかりオンラインで提出できるような、使いやすいUI/UXの優れたシステムというものを心掛けていかないといけないと思います。

(問)現在キャンペーン中でもあるマイナ保険証の利用促進に関連してお伺いします。国から病院や薬局への働きかけに力を入れてらっしゃると思いますが、それぞれの窓口で利用を勧められた患者とトラブルになったり、患者側がマイナ保険証しか使えないと誤解を生んだりするケースが起きていると把握しています。利用者の方からも「利用促進がちょっと強引なのでは」といったような声が聞こえていますが、現在の利用促進策について、河野大臣のご見解・ご意見をお伺いしてよろしいでしょうか。

(答)12月2日で保険証の新規発行が停止されて、マイナ保険証を基本としたものに移り変わっていく中で、なるべく早くマイナ保険証をお持ちの方には使っていただきたいと思っております。今一番のネックが、医療機関の窓口で「保険証をお持ちですか?」と声がかかってしまうところがありますので、そこの是正というところに力を入れていただくようお願いしているところでございます。何事もやり過ぎということにならないように気をつけていただく必要はあると思いますが、窓口でのマイナ保険証でしっかり顔認証で受付をやるというところに、一人でも多くの方になるべく早く慣れていただきたいと思っております。

(問)病院や薬局での声掛けですとかチラシの配布を通じて、12月2日以降はマイナ保険証しか使えないと誤った解釈をされる方がいるようです。12月2日以降も、例えば最長1年間健康保険証が使えるという対応があり、資格確認書で引き続き受診できるということもあると思います。そういったことを併せてアナウンスするように医療機関側に求めるとか、国民への周知方法を見直すなどお考えはありますでしょうか。

(答)マイナ保険証を基本とする受付になるべく早く変えてくださいということを、チラシなどの紙面が限られている中で、分かりやすくそうしたことを伝えていきたいと思っております。

(問)先月厚労省が公表したマイナ保険証の利用率が6.5%程度だったと思います。毎月公表される数字が伸びてきているとは思いますが、その伸び率を全体的に見るとまだ大きくとは言えない微増程度かなと思いますが、この伸び率をどのように見ているか、あるいはそれが例えば伸び率が少ないと感じているとすれば、その原因・理由をどのように見ているか教えてください。

(答)マイナ保険証を一度でも経験しました、という方が3割を超えている中で、やはり医療機関で「保険証を」という声掛けになってしまうのがネックになっていると思います。この使っていくという土壌が広まれば「使ったことあるよ」と言う方、あるいは「使ってもいいよ」と言う方もかなりの割合いらっしゃいますので、そこで広がっていくのではないかなと思っております。

(問)ライドシェアについて、4月に始まった78条3号の自家用車活用事業について、今後の運用改善も含めて、全国への拡大というのをどう図っていくのか、大臣のお考えをお伺いします。

(答)大きな都市でアプリでいけるところは、78条3号がかなりスタートとしていると思います。これから更にドライバーの数も増えていくだろうと思っております。アプリのデータがない、みなし5%でスタートしたところは、首長さんの判断で台数を増やしたりあるいは時間帯を広げたりということができるようになっておりますので、首長さんに地域の実状を見ていただきながら、積極的に広げていきたいと思っております。また、昨日(10日)も国会での斉藤大臣のご答弁もありましたが、タクシーに加えて、ハイヤー・バスあるいは鉄道といった事業者にも積極的な参入を国土交通省から促していただいているところですので、様々な地域での広がりが進んでいくだろうと思います。しっかりモニタリングをしていきたいと思います。

(問)モニタリングと並行して議論する法整備については、自民党内でも慎重派と推進派で分かれています。大臣は、目的は移動の制約の解消だと常々おっしゃっていますが、この法整備の準備も進めておく意義について改めてお願いします。

(答)モニタリングしながら、これが右肩上がりで全国各地でどんどん広がっていけばいいことだと思いますが、どこかでそれが停滞したときに、次のステップに速やかに移行するための準備というのは、その間にやっておかなければいけないと思います。

(問)給付支援ツールについて、今般の給付金を巡っては、デジタル庁は算定ツールの提供もしていますが、自治体に話を聞くと、使える時間が限られていたり、なかなかやはり業務の負担が大きいと。こうした自治体の負担を減らすために、今回は1万円単位の給付になっていますが、これについても不公平だとの指摘もあります。政府全体での検討が必要だと思いますが、例えば今後、給付とマイナンバーとの紐付けなどで1円単位の支給ができれば、より公平で効率的な給付につながると思いますが、今後の給付業務の在り方について、現時点での大臣のお考えをお願いします。

(答)給付については財務省にお尋ねいただきたいと思いますが、デジタル庁としては、この給付支援サービス、あるいは公金受取口座への紐付けというものを通じて、自治体の給付事務作業をもっと簡便にできるようにしていきたいと思っております。今回の給付サービスをお使いいただくことで、事務作業がデジタルで完結できるようになりますので、今大体120の自治体が利用あるいは利用予定になっておりますが、必要に応じて我々もバックアップしていきたいと思います。

(問)給付の在り方そのものを取材しても、どこに聞いてもうちではないという形になり、例えばデジタル行財政改革会議がそうした給付の全体の在り方を考えるなど選択肢としてありますか。

(答)給付ですからおそらく財務省になるんだろうと思います。例えば今、政府に関する質問、総務省にご協力いただいて、チャットボットを立ち上げて質問にお答えするというようなことをやっております。デジタル庁としても、コールセンターに代わるようなAI機能を使ったチャットボットのようなものを提供して、自治体のそうした応答作業の肩代わりというものは今後も積極的にやっていきたいと思います。

(問)先日のデジタル田園都市国家構想の会議で「誰一人取り残されない取組」ということで、デジタルサービス未実装の市町村が公表されていましたが、市町村の中にはデジタル化の業務が結構負担であって、デジタル化に疑問を持っている自治体もあるようですが、小規模自治体も早期にデジタル化を進めて、全市町村でデジタル化を進めるべきかどうか、大臣の方針をお聞かせください。

(答)大きな都市から小さい自治体まで、ニーズは様々だと思います。同じデジタルサービスが必要になるということではないと思いますが、これから人口減少の中で、また高齢化で新たなニーズが行政サービスの中で生まれていく中で、自治体の職員数を増やすことが今後おそらくできないと思います。そういう中で、今までやっていた自治体の業務を効率化して、新たなニーズに人材を振り分けるということをこれからどんどんやっていく必要が出てくると思いますので、デジタルに背を向けて、アナログで紙と鉛筆で作業を続けますという自治体はないはずです。

(以上)